スナップ・ドラゴン・フライ！
タルトとジャムがポットの中で争っている。
パンプキン・マジックに中てられてオピウムどもが揺れている、爛々とした気分でコーカサスを捕らえたなら、嗚呼、捉えられたマウスの姿。コーカスレースに誘われてオツムはヘロヘロ、ヘローウィーンだって。いやいや、ハッピーハロウィーンの間違いだ。なんだって？ 純粋な気持ちでハロウィンを楽しみに来たってのに日付が混在している？ それもちがうさ。お茶会をしにきただけだよ、自意識過剰なティーカップさん。それは僕のことを言ってるのですか？ 勝手に喋るんじゃないよ、ティーが上手く注げないじゃないか。濯ぐのは罪だけで十分だって？ 十分待ってくれないか蒸らすんだから。
まあ、まあ！ ご機嫌よう、ご隣人の方！ 昨日も今日も明日も、未来永劫、行進日和は良い事に決まっている。参りましょうと唆されても、騙されても、咽喉が潤っていれば万々歳だ。いやちょっと待ちなさいテメェ等、こんな人数招待したら席が爆発するかもしれねぇですよ？ そう、そうなのね。貴女も一杯、いっぱい飲んでしまったの？ 災難だわ。最難関の蠢くロードなんてなんのその、お冠なロード様はオイスターの濃厚さを理解している。え？ あのネズミ？ マウスが無差別にかけてるお茶はオピウムじゃなくてパンプキン・ティーよ。そんな莫迦な。ならば如何して輪郭ぐちゃどろなお茶会が存在を肯定されている。まあ、高低差が激しいのね！ ご隣人の方が珍しく、マトモに目を回しているわ！ 幻覚と中毒性にご注意と告げたところで手遅れだ。ブチ開けたパンドラの匣、転がった無貌のオリジンな、オリジナルなシリアス――あたし？ 頭からかけられたわ！ シリアルじゃないのに！ ご近所さんに配り終えたら今度は獣だらけだ、座ってるんじゃないよ！
ウサギもトカゲもタマゴもライオンも、頭でっかちなヒトサマにも、乾杯の心得を魅せ付けてやれ。ほら、後ろに並んで楽しそうだろ。折角だからオピウムにもカボチャをかけてやろう。んー！ デリシャス！！！ アリシャス騒がしい光景にティーカップまで蒼白染まりつつあった。あったかい？ つめたい？ そんなのは自販機にでも訊いてくれ、聞き分けの無いワンコインめ。三回まわるんじゃない、三百回だ、ワンとも鳴けなくしてやる。ちょっと落ち着いたらどうなのよ、あたしもぐるぐるしちゃうわ。それじゃあワンコ蕎麦だね。傍においでよ、到着、パーティだ。やっとお茶会ね。
お茶会に必要なのはカトラリーではない。ナイフとフォークはシュールに捻じ曲げられ、茶器はぐちゃぐちゃな具合に千鳥足で落っこちるだけ。がらがらと割れた銀色にはたっぷりのお砂糖が絶対だ。ねえ、誰よこんなところに抹茶を置いたのは！ ダメじゃないか、苦いのも酸っぱいのもお役御免だよ、それこそ、オウガ・ケーキにすり替えたくなるくらいに。食べれるんじゃないかしら？ そこのアナタ、味見してみて！！！ いや食わず嫌いじゃねぇです、憎々しくて喰えたもんじゃない。じゃあこっちのアリス・ケーキは如何ですか？ ダメ！ 食べちゃダメね。間違えたわ……。ころりと飛び込んできたモブウサギに一言、崩さないように墜落だ――楽々コースはケーキひとつね、ぺろりよ！
おいおい、ユー達はまさかメイン・ディッシュを忘れているんじゃないだろうね。本日のコースではピンク・アニマルの行進が讃えられます。ピンクのゾウを肴にして一杯というわけだよ。非誕生日さ。非誕生日なら、ピンク色の舌が正解だよね。乾杯！
あら、ネズミは本当にせっかちさんなのね、カタツムリみたいにグルグル出来ないのかしら。先走ったマウスに遅れないようカップを持ってみる。きっと、今日も素敵なお茶会になるわ。だって、カップがこんなに大きいし、ドリンクは結局、レインボーだったもの。そして何より、なんていったって、あたしは今日非誕生日なの！ 貴女は……？
……お誕生日の気配がする？ 何を言ってるんだい、フレンズ。誕生日はピンクアニマルしてないし、何より、ティーが飲めてないはずだよ。……お隣さん？ どうしたんだい、そんなに飢えたアニマルのようなお鼻をして。そうそう、お隣さんはハロウィンが誕生日だよね。……ちょっとエチケット貸しなさい、それと、今日はなんの日だか確認してきなさい。今日？ 今日はハロウィンだよ。大祭祀サマの非誕生日、おやすみなさいデーさ。
……あ。
気の毒だね。毒々しい髑髏に白湯でも注いで飲んでると良いさ。スミンとピンク色な女はティーをがぶがぶやってるからね。ごめんなさいね、あたし、貴女とはお茶を飲めそうにないわ。また明日お茶会しましょう。
納得いかないわ！！！
これだからアリスラビリンスは！
オイスター、追いシュガーの準備は出来てるかい？
……色つきのゾウなんてオカシイと思いませんか？
黙ってろコーヒーカップ！ 喋るな回ってろ！
成功
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