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冬の訪れ、着込む雪

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #戦後

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#アルダワ魔法学園
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#【Q】
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#戦後


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●立冬が過ぎ、冬がやってくる。
 アルダワは西方の商会同盟の地域。
 とある蒸気列車ステーションの広場では人々が交流していた。

 暑き日々から急に気温が下がり出し、秋を飛ばして冬の様な気候に。
 突然冷え込んだ環境に慣れず、乾いて冷えた空気の中白い息を吐き、震えながら人々は街を往く。

「防寒着……」「寒くなってきたので、暖かいのはいかがですか」
 そこに突然、山の様な防寒具を積み上げ運んできた女の子達がやってきた。
 頭にうさみみのフードを被った、暖かそうな防寒着に身を包む、か細い少女達であった。
「マフラーも手袋も」「ふわふわでもこもこの」
「おひとつこれくらいです。今がお安めです。」
 防寒具のバーゲンセールであった。

 まだ冬の装いを押し入れから引き出していない人々にとって、彼女達の商売は渡りに船。
 質もそれなりに見えるものが、破格の値段で大量に売られている。
 飛ぶように様々な防寒着が売れていく。

 やがて、雪が降り出した。
 世界の気温がどんどんと下がっていく。

「すみません、もっと暖かいのを」「1枚2枚じゃ足りん!これもくれ!」
 寝巻用の毛布すらも販売していた彼女達の防寒具の山は、どんどんと崩れる程に売れていき、何度も同じ防寒具を買っては着こなす客が激増した。
 異常である。

「さ、寒い……!」「これでも駄目なの……!?」
 アルダワの街中で、だるまの様に着ぶくれた人々がいっぱいになった。
 だが彼らはそれでも冷え込んで来る気温に寒さを覚えている。
 その着方は既に、極寒の極地でさえも暖かく居られる程のものだというに。

 早く暖炉にあたろうと帰宅を試みようとした時、突如猛吹雪が巻き起こった。
 人々は猛烈な寒さに震えながらそれでも歩こうとするが、あろうことか、彼らが着ていた全ての防寒具から勢いよく冷気が噴き出して……。

「……ああ……寒い……寒い……嬉しい……」
 氷に閉ざされた、真っ白な街。
 腰まで埋もれる程積もった雪を、ホワイトアウトするほどの吹雪の中かき分けて、先程まで防寒具を売っていた少女達と共に歩く。
 獣耳フードを被って大きな白い防寒具を何層にも羽織りながら、絶えず体が凍り続けながらも氷を落として歩き続けている、異質な女の子が現れた。

 彼女は真っ白な氷で一面覆われた街のあちこちに点在する、樹氷の一つにそっと手を伸ばし、表面についている霜を落とす。
 中からは氷が出てきた。
 内側と外側からガチガチに凍り付いた、沢山厚着した少女が、とてもとても寒そうな顔をして震えたまま時を止めた姿を閉じ込めている、氷の塊が。
「ぁぁ……こんなに寒そうに……これからもっともっと冷えるから、もっともっと仲間を増やしていこうね……」
 白い防寒着の女の子は雪だるまのようになった樹氷のおでこにそっとキスをし、うさ耳の少女達と雪の中を通過していった。
 他の街も同様のものへと変えていく為に……。


「冬だよ。冬が来たよ。」
 ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)がグリモアベースに集まった猟兵達に告げる。
「それと同時にアルダワで、災魔さんがさむ~い事件を起こしてるみたい。大変だわ?何とかして、みんなが冬を超えられる様に手伝って欲しいの。」
 災魔とは、蒸気魔法世界アルダワでのオブリビオンの呼称である。

 ポーラリアは異変の起きた場所の映像を映す。
 可愛いウサギ耳の防寒着を着た少女達が蒸気機関車の駅前で大量の防寒具を販売していた。
「この子達、災魔なの。とっても寒そうにしてる人をさむ~く凍らせるのが大好きなボスの災魔が放った手下災魔さん。」
 販売されている防寒具は一見暖かそうだが、氷雪を操るボス災魔が作ったものであり。
「寒さ耐性がなくなって、ボス災魔さんの意思次第で自由に冷気を吹き出す魔法の防寒具なんだよ!」
 急に寒くなって来た日に特価で販売されたこの防寒具は罠。
 着こなしたが最後、それでも寒いと感じるようになって更なる防寒具を求めるようになっていき、だるまの様な超厚着と化して身動きがとりづらくなった上で、後からやってくるボス災魔に凍らされてしまうというわけである。

「まずは防寒具の販売をどうにか阻止してね!」
 相手は災魔の中でも弱い方だが、場所が場所なだけに人を巻き込みやすい。
 戦闘以外でどうにかする方法が求められそうである。

「時間が経つとボス災魔さんが辺り一面吹雪にしちゃうから、それまでに何とかしてもらえたらなーなの。」
 そう言ってポーラリアはグリモアのベルを鳴らし。
「災魔さんを倒したら雪はもう酷くならないと思うわ!ぽかぽかもさむさむも堪能するといいのよー!」
 猟兵達をアルダワに送り込んでいった。


古塔
 古塔と申します。宜しくお願いします。
 目的:災魔を倒す。

●概要
 蒸気魔法世界アルダワは西方の一角、商会同盟の地域でのシナリオです。
 まつ毛の毛先まで凍るほどの氷点下となっている雪の世界と化した街に転送されます。

 この寒さに対抗するための防寒着を災魔達が売っている所に出くわしますが、そもそもこの寒さを呼び寄せたのが災魔。つまりマッチポンプです。
 どうも寒がっている人々が凍ったオブジェを集めるのが趣味の災魔の様です。
 この過剰な寒さを晴らす為にも倒しましょう。

●1章
 雪兎が擬人化したみたいな少女の災魔が、駅の広場で防寒着を売っています。
 この防寒着、着た時点では暖かいのですが、ステータス的には逆に【寒冷適応】と【凍結耐性】が低下し、災魔の意志一つで内側から冷気が噴き出る仕様となっています。罠です。
 どうにかして販売を妨害してください。

 ・ご覧の状況が故に、一般人が沢山たむろしています。派手な攻撃は危険です。
 ・見た目はとても暖かいので、真正面から罠だと説くのは工夫しないと難しいです。
 ・災魔は商売に集中しており、猟兵側が荒事でも起こさない限り戦いません。むしろ防寒着を売り込んできます。

 手段はお任せします。
 無理に倒さなくても、2章の災魔を倒すと勝手に溶けて消えます。

●2章
 元凶の災魔が吹雪と共にやってきます。

 それでは、もし宜しければ。
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第1章 集団戦 『『雪兎の精霊』スノーラビット』

POW   :    人の温もりに触れた雪兎の最期
自身が戦闘不能となる事で、【心を通わせた】敵1体に大ダメージを与える。【対象に別れや感謝の言葉】を語ると更にダメージ増。
SPD   :    臆病な雪兎は物陰からこちらを見ている
肉体の一部もしくは全部を【雪うさぎ】に変異させ、雪うさぎの持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ   :    雪兎が見せる小さな奇跡
【舞降る雪】を降らせる事で、戦場全体が【ホワイトクリスマス】と同じ環境に変化する。[ホワイトクリスマス]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山理・多貫
古塔マスターにおまかせします。かっこいい山理・多貫をお願いします!

「おな、か空きました、ね…。」

つねに飢餓と吸血欲と戦っている吸血鬼です。
食べ物(吸血)をもとめて様々な場所・世界にぷらりと立ち寄ります。
行動指針は倫理破綻系(なれど自分では常識人だと思っています)
食欲を優先して行動しがち。
いろいろ言い訳を作って食べてしまいがち。
若い子を襲いがち。

NGは修復不能Lvでのマントの損傷描写
他はなんでもOKです。グロエロも〇、引き立て役も〇

無表情系 
台詞では変なところで詰まる感じで「、」が入ります。




 アルダワの一角は西方、商業地区の蒸気機関車ステーションの広場。
 毛先も凍てつく程寒い、氷点下の空気。
 災魔『スノーラビット』の少女達は、雪降る中を防寒服を着こんで防寒服を売っていた。
「さむくなってきました」
「あたたかいふく、売ってます」
「売ってますー」
「いかが」「ですか」
「まふらーも、にっとぼうも、てぶくろも、ございます」

 せっせせっせと道行く人に、防寒グッズを売りさばくスノーラビット。
 急な気温の低下にこのバーゲンは渡りに船である。
 だがこれを身に着けてしばらくすれば、更なる防寒を求めたくなる上、最終的には冷気が噴き出て装備者ごと凍ってしまう。
 ボス災魔のユーベルコードで作られた、防寒服という名の罠なのだ。

「おな、か空きました、ね…。」
 そんな防寒服をもしゃもしゃと食べる女性がいた。
「!?」
「は、…え?」「え?」
 え?

「………………」
 一心不乱にもしゃもしゃと食べていた。
 彼女の名は|山理・多貫《やまり・たぬき》(吸血猟兵・f02329)。
 種族はダンピール。つまり吸血猟兵である。

「待って、止まって」「誰か止めて」
「おきゃく様、おきゃく様食べ物じゃないですそれは。どうか食べないで。」
 弁償という言葉が頭からすっ飛ぶ程慌てたスノーラビット達が多貫を押さえて引き離そうとする。
「……」
 雪色の防寒服を口に咥えた多貫は、スノーラビット達に視線を向けると。
「みず、の味がす、る…。」
「えっ」
「……食べれ、る…。」
 もひもひと口を動かす多貫。
「いえ、ですので、しょうひん、なので」
「どうか食べないで、いただけると…。」

 水。
 その言葉に幾名かのスノーラビットは目くばせした。
 そういえばこの防寒着は氷雪系災魔のユーベルコードで作った冷気の防寒着。
 という事は、スノーラビット達同様、雪を原材料にして作られていてもおかしくはない。
「……まさか……!?」
「この防寒着を食べられる防寒着として売ればもっと……!?」
「まって、それでも服で売らなきゃ」
 防寒バーゲンのマーケティング方向性がおかしな所に行きかけたのを何とか押し止める。
「|災魔《あるじさま》はみんなあたたかそうにしている所が見たいって」
「わたしたちみたいに」
「|災魔《あるじさま》のおかげでわたしたちは今、街中でも溶けない。」
「たべられる、だめ、ぜったい。」

 兎に角この女性をどうにかしなければ。
 まずは引き離して、この防寒着が食べ物でない事を分からせよう。
 ぎゅうぎゅうと、複数のスノーラビットが多貫を取り押さえ、路地裏に押し込もうとする。

『……こ、ら。』
 多貫はスノーラビット1体の首根っこをひっつかみ、べふんと地面に叩きつけた。
「あっー」
「……!」
「だ、誰か憲兵を呼んで」
 この光景に驚いたスノーラビット達は、自身らがまだ一般人に溶け込めることを利用して助けを求めた。
 だが事態はそれどころではない。
 多貫は押さえつけるスノーラビット達を振り払い、叩きつけた、か弱そうなスノーラビットの肢体を見やる。
 じゅるりと涎を引く音がし、同時に多貫の腕が。
「お、お客様、待っ――」
 スノーラビット達は積んでいた防寒着を崩して二人の周囲を覆う。
 咄嗟の判断だった。
 公共の場でお見せできない光景が今から始まる。

 複数の意味で食べられるスノーラビット。
 遠慮なしに頂く多貫。

「……う。……まず、い。」
 皆様から見えない位置で、でろでろと口から出す多貫。
 スノーラビットからは水の味がした。
 まずいというか、ご希望に沿うような血の味が一切しなかったのだ。
 この災魔は雪兎の精霊。体は雪で出来ていた。
「……きゅう。」
 たべられて気を失ったスノーラビットを他のスノーラビットが回収していく。

「露店商売の商品と店員を食べるという不審者を聞きつけて来たが!」
 アルダワの憲兵がやってきた。
 その時にはもう、先程の防寒着に紛れて多貫の姿は消えていた。

「た、大変……だった……」
「今のおきゃくさまは、なんだったのでしょう。」
 スノーラビットは大混乱。
 一時的に、防寒着を販売する状態を停止させる事となったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

なんて羨まし…じゃなくて卑劣な計画を…これは止めなくてはなりません!
とはいえ、そこまで派手に暴れてはいけないようなので、わたしも作戦を考えました!

まずは寒そうにしているわたしに災魔の手下達が防寒着を売りつけてきます
ここは素直に購入し…この場で着てみます!それと同時に防寒着の中にUCを発動!氷の妖精さんを潜ませます
それに釣られてお客さんが集まってきた頃に、妖精さんの冷気をフルパワーMAX!瞬く間にわたしの身体はかちこちに凍り付いてしまい防寒着ごと氷像と化します…
これによって災魔の売る防寒着は危険だという警告が出せます!
残った災魔さん達は氷の妖精さんが処理してくれるでしょう…




「なんて羨まし…じゃなくて卑劣な計画を…これは止めなくてはなりません!」
 兎のキマイラの男の娘、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、微笑半分にわなないた。
「とはいえ、そこまで派手に暴れてはいけないようなので、わたしも作戦を考えました!」
 そう、今回は純粋な戦闘は微妙にやり辛い。
 テフラは災魔達の防寒服販売バーゲン場に急いだ。

「すみません、わたしにも防寒服をください!」
 ぴょんぴょんと兎の様に跳ねて挙手するテフラ。
「どうぞ、持って行って」「おかねはここに」
 お金を払って素直に魔法の防寒服を買う。
「この場で着てみてもいいですか?」
 テフラの提案に災魔は案内する。
「今寒いですから、その為に簡易的な試着部屋もよういしました。」
 案内された柱状の個室の中で防寒服を着る。
 並んだ柱の個室の中からは既に購入して着衣しているアルダワの人間も出て来る。
 ふっかふかでもっふもふのフード付き防寒服に身を纏ったテフラ。
「うわあ、暖か……!」
 売り出し中の災魔の目の前で可愛さをアピールするようにくるくると回っていると。
「あ……ひゃん!?つめた……え、何……」
 テフラの身体が突如、服の内側から漏れ出すように大量の冷気が溢れ出た。
「あ……ああ……ぁ……」
 瞬く間にテフラはカチコチに凍り付いてしまい、防寒着ごと見事な兎獣人の氷像と化してしまったのだった。

「えっ!?」
「何だ、急に……?」
 どよめく周囲の人達。
「あ、あれ、予定より早い様な。」
「仕込んでた冷気、|災魔《あるじさま》もう発動しちゃった、の?」
 おどおどする災魔達。その言葉をお客達は逃さなかった。
「どういうことだ!」
「着るとあんなになるっていうの!?」
「おきゃくさま、大丈夫です。」「あれは事故で、暴発で……」
 慌ててクレームに対処する災魔達。
 だが取り繕いは難しかった。なんせ最初から、最終的に今のテフラの様な目に全員遇わせる為に防寒服を売っていたのだから。
「これ返すわ!」
「急いで家に帰った方がいいな……!」
 不審に思った客達はバーゲン会場から離れていく。返品する者も現れた。
 話はテフラの思惑通りの展開へと進んでいったのだった。

「(ぁ……ぁ……寒…………ぃ…………)」
 言うまでもなく、魔法の防寒服が暴発したのではない。
 あらかじめグリモア猟兵から防寒服の仕掛けを聞いていたテフラは、あえて仕掛けが暴発したかのように見せかけたのだ。
 自身の服の内側でユーベルコードを発動し、【全てを凍てつかせる小さな妖精】を召喚。
 妖精達の力を使って自分自身を凍らせたのであった。

「(………………………………)」
 ご丁寧に妖精達はこっそり氷の台座を足元に作り出す。
 アルダワのステーション広場の中心にて観光用の彫像の様に動かなくなった、可愛らしいポーズを取ったままテフラの氷像は、知らない人が見れば最初からその場に設置されてあった氷の彫刻の様に見えるだろう。
 自身でやらかした事とは言え、全身に駆け巡るあまりの寒さと冷たさに意識も凍てついてしまいそう。
 本命が来る前に溶けるのか、それともこのまま凍ったままなのかは今はまだ、分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです




「ごきげんよう。怪しい防寒着の販売を聞き届けて参りました。」
 金髪のオラトリオの女性、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)が、アルダワの広場にやってきた。
「わ」「こんにちは」「ごき……げんよう」「あたたかい服は」「いかが」「でしょうか」
 災魔達は兎耳をぴこぴこと動かしながら、突然やってきた美しいオラトリオにたじもじする。
 その防寒着バーゲンで売られている服は、もこもこふっくらしていた暖かそうなもので、どれも、着れば冬の雪に似合う可愛らしいデザインをしていた。
 リズは、そっと内に少しの怒りを秘めた凛々しい眼で災魔達を見据える。
「話は伺っております。あなた様方は、その服を皆様に着せて凍えさせ、この地を極寒に変えようとしているとか」
「え?」「そんな……」「ないです。そういうつもりで」「売ってないのです」
「ただ皆様に」「暖かい冬を過ごしてもらおうと」「沢山ご用意したものであって」
 監査官の様な態度を取るリズに災魔達はたじろぎながらも言い訳する。
「ですが、その冬服は人々を凍えさせる力を持っていると聞きます。それを分かっていて売っているのでしょう?」
「そんな、つもりは」「お客様、でしたらどうか」「一度お着に、」「ご試着になってくださいませ」「ませ」
「(……どうしましょう)」
 災魔達の言葉や目は、何の嘘も語っている気配がなかった。
 もしかすると最終的に冷気が噴き出る辺りはボスの災魔に聞かされていないのだろうか?
 彼女らは純真に防寒着を売っている。そんな気がしてリズもたじろいだ。
 彼女は敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っているからだ。

「罠だと分かっていても純真に冬の衣装をお売りになっているのでしたら……」
 リズはとりあえず一着購入。
 簡易更衣室で着替え、もこもこの冬の防寒着一式の姿となった。
 成程、着てからはなんだか暖かい。ここから北風が吹けば徐々に寒さを感じて来るのでしょうけど。
 リズは全身でこの防寒着にかけられた魔力、呪いの様な付加効果の力を感じ取った後。
 当初予定していたユーベルコードを変更し、バーゲン会場に出向く。
「せめて、皆様が暖かくなるようなおまじないをかけさせていただきますわ。」
 翼を広げて上空を舞い、リズの全身から【生まれながらの光】を。
 広場のバーゲン会場の全てに対して聖なる光を、放つ。
 それはまるで暖かい服を着た冬の天使が、冬の空に舞い降りたかの様な光景であった。

 バーゲン会場に存在している防寒着。
 着れば徐々に寒冷・氷結耐性が低下し、最後には凍り付いてしまう。その力が、聖なる光によって浄化されていく。
 リズの着ているものも含めた殆どの防寒着は、最早ただの普通に暖かい防寒着となっていったのだった。

「暖かい……光……」「すごい……」
 災魔達はその光に合わせて思わず雪兎の杖を掲げる。
 雪が、降る。
 冬の天使に合いそうな、ホワイトクリスマスの様な幻想的な雪が。
「せっかくの冬を寒いままでいさせてはいけません。暖かくして過ごしましょう。……ぅ……」
 ゆっくりと浄化を終えて舞い降りるリズは膝をついた。
 この場にある防寒着を全部浄化しようとするのだから、【生まれながらの光】の発動リスクたる疲労も尋常では無い。
 リズはそのままゆっくり街の隅に移動し、持ってきた暖かい水筒の飲料を飲みながら、雪降る街を観賞するようにして一息つくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰日向・千明(サポート)
「異世界のスマホってのは、こうやって使うンスよォ……!!」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ、事故を揉み消された恨みから黄泉返った女子高生。地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉している
・他人より自己の利益を優先し、その世界の秩序や慣習にとらわれない傾向にあるが、なんだかんだで弱者は放っておけない
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」にさまざまな道具を注文して、あらゆる苦難を乗り越える
・死への恐怖心がなく、傷ついてもなお前進する様相はまさしく屍鬼
・切り札は誤発注したキャバリア




 引き続きアルダワの駅の広場で防寒着を売っている災魔達。
 しかし人だかりがざわざわと別の方へと移動している事を察知する。
 客足が遠のいているのだ。
「もしかしたら」「どうぎょうしゃが来たのかもしれない」「だれか」「何売ってるかスパイしに行って」
 災魔の1体がポンと雪うさぎに変身し、小柄さを売りに人込みをすり抜けて人だかりの中心へと潜入する。

「はいはい。ちゃんと並んで買うッスよ。」
 案の定バザーとして防寒着を売りつけていた。
 売り手は女学生の様な人型をした姿の、黒髪の竜神。
 名は陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)といった。

「はーい。どんどんじゃんじゃん買ってってくださいッス。経費は後であっちの兎の子達が払ってくれるんで」
「(えーっ!?)」
 雪うさぎはショックを受けた。兎の子とは即ち我々災魔達の事である。
 抗議したげに千明の座るカウンターに雪うさぎが乗る
「うちの売る防寒着はあっちのより暖かい。比べ物になんねー質してるッスから。」
 千明は神器化したスマホを持っている。
 そのスマホの霊界通信サービスアプリ「|天孫《あまそん》」を通じて防寒着を大量注文して売り払ってるのだ。
 転売になんねーようにと同値の値段で売っているそうだが。
 まあ、|災魔《あっち》のよりは割高である。が、何よりも質がかなり違っていた。

 雪うさぎは商品の防寒着の1着の中へもぐりこむ。
 すごい暖かさだった。まるで太陽に包まれているような。
 慌てて雪うさぎは防寒着から脱出して、これをどう巻き返そうかと悩む事となったのだった。
 ――雪の魔によって生み出された防寒着も、着るとやがて凍てつく付加効果を除けばすごいふかふかで心地よい。
 千明が注文している|天孫《あまそん》は霊界にあり、神のアイテムを取り扱っている。
 今回売り場に出されているのは|天照《あまてらす》の神の加護ありし太陽の防寒着。
 格が違う。
 雪の力が神の力、それも雪を溶かす太陽の力に叶うはずもなかったのだ。

「あー、楽っスね今回の依頼。とりあえずあっちの服に負けない奴出せばいいんで」
 大量に発注している辺り、値段や支払い周りが怖そうであるが、兎に角千明は商戦で災魔達を圧倒したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。お嬢様口調だけどアグレッシブで享楽的
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
その他使えそうな技能があれば適宜使用する感じで
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手




 商戦に負けぬ様可愛い装飾や魔法による雪のエフェクト、家族セットなどの方針を急遽打ち立てようとしていた災魔。
 そこに突如バーゲン会場へと突撃してきたものが居た。
「ごきげんよう。わたくしの名はシルヴァーナ(中村・裕美・f01705)。貴方はどんな血を流すのかしら」
 惨殺ナイフを片手に災魔達に飛び掛かった。
「う、うわ、あ」「憲兵さん呼ばないと」「だ、だれかー……あっ?」
 慌てる災魔達の目の前で、突如シルヴァーナは消えた。
「「「な、なんだったんだろう……」」」
 災魔達は販売を再開した。

 事件は業務の際に起こった。
「いらっしゃいませー」「かっていってくださ」
 1体の災魔が急に後ろの防寒着の山に引き込まれ、そのまま出てこなくなった。
「こちらでよろしいでしょうか。それでh」
 販売中だった災魔も急に消えて、バーゲン会場からいなくなる。

 1体、また1体、災魔が消えていく。
「こ、これは」「いったい……」「こ、こわい」
 きょろきょろおどおどと辺りを見回す災魔。
 恐ろしくなった彼女らは、遂に防寒着の販売を仕舞いにする。
 本日はここまでの看板を立ててそそくさと、親玉の災魔がやってくる方へと逃げていくのだった。

 最後に、もしかしたら、と、災魔の1体が防寒着の山を探そうとする。
 その中から出てきた、シルヴァーナの飢えた顔と目が合った。

「………………」「………………」
「あっ」
 そう言って災魔はシルヴァーナに引き込まれ、惨殺ナイフが迫る。
 シルヴァーナは最初から最後まで、災魔の売る防寒着の山の中で、ひたすらに暗殺を繰り返したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『チラー・フリージング』

POW   :    凍るもこもこ飛ばし
【全身モッコモコになる防寒着の山】【冷気の吹き出すモコモコ毛布】【絶対零度の猛吹雪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    氷の接吻
【対象に抱きつき口】から【絶対零度のキス】を放ち、【全身瞬間凍結】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    フロア凍結
【絶対零度の猛吹雪】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を触れた者を凍らせるガチガチの氷漬けにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠凍雪・つららです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 駅を中心にしたアルダワの街に降る雪はやがて吹雪の勢いとなった。
 逃げて来た兎少女の災魔に鉢合わせするようにして、白い雪の地面を歩いて出向く災魔が現れた。

 その体躯はまるで着ぐるみの様に、過剰な防寒服を着込み続けた姿。
 大きくもふっとした尻尾が出ている辺り、獣人(恐らくは妖狐系の)であるのだと思われる。
 そんなもこもこ防寒服は、彼女から発せられる強烈な冷気で所々凍っていた。

「『もこもこ防寒で逆に寒くなってみんな冷凍作戦』は失敗しましたか」
「あるじさま」「あるじさま」
 残っていた兎少女の災魔達がぴょんこと跳ねて災魔に群がる。
「しっぱいしました」「いろいろありました」
「お疲れ様です。君たちみんな寒い雪の中でしか生きられないから、ここが凍ったら仲間が増えたのにね。せめての褒美をあげる」
 そう言うと災魔は兎少女の災魔達にもこもこの防寒着をもふもふと着こませ、雪だるまの様にもっこもこになった兎少女の災魔達に手をかざし、極寒の猛吹雪を放つ。
「さむ……む……」「でも……気持ち……い……」「ぴきぱき……かちんこ……」「これが……さむさ……」
 兎少女の災魔達は、内側から噴き出る冷気も含めて思う存分に寒さを堪能し、気持ちよさそうに樹氷の如く凍り付いた。
「………………はぁ………………ん………………」
 その姿に災魔は恍惚の笑みを見せる。
「……ぁぁ……いい……もっこもこに着込んだ女の子の凍った姿……いい……一生愛でてあげる……♪」
 災魔はその兎少女の災魔が凍ったオブジェの1体をぎゅっと抱きしめ、そのまま力任せに地面に押し倒し、氷の抱き枕の様にしてしばらく地面を転がっていた。
 兎少女の災魔を凍らせたのはこれから先の戦闘で溶けない様にという災魔の安全策、だと兎少女の災魔達は思っているが、実態はこれである。
「はぁ……はぁ…………じゃあ………………」
 存分に堪能した災魔『チラー・フリージング』は。
「ここ、もっともっと寒くして、もっともっとお仲間を増やそうね……」
 吹雪の中、積もる雪の中に足跡を残しながら、彼女は駅の方に向き直り、待ち構えている猟兵達を凍らせんと歩いていった。

 冬が、来る。


 ※特殊
(猟兵達の活躍によって凍り付く住民達は居らず、付近にいる全員が家に帰って避難を済ませています。一般人への被害はないので存分に戦闘を。)
(本章、やられプレイングをしても成功値にボーナスを入れるものとします。最終的には倒さねばなりませんが、十分寒さをご堪能下さい。)
バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎




 雪深き町の中、緑髪のラミアの如き体躯をした女性、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)が訪れた。
「寒い……」
 爬虫類系のUDCを有している為かその身を震わせる。

「あなたも凍えに来たのですね。凍えてください!」
 災魔はもこもこの衣装や毛布を生み出してはバジルに放つ。
「一見ちょうど良さそうに思えるけど、もうグリモアの力でどういうものか分かってるんだよね。」
 バジルはそれに対し薬品を投げつけた。
 空中で爆散し、毛布を溶かす、衣服を溶かすタイプのバジリスク・ポーションだ。

「さあ、寒冷地だけど役に立ってね。」
 バジルは使い魔「にょろざーる」という蛇の様なものに、自身の指を斬りつけて垂らした血液を飲ませると、にょろざーるは強靭な無知の如き化け蛇と化して、災魔に飛んでいき、噛みついていく。
「う、わっ、ぎゃ!?」
 じたばたとしてにょろざーるを振り飛ばそうとする災魔は、もこもこの厚着を通して毒が染み込み、身体や体臭やその衣服に危険な変調をもたらした。
『毒を盛って毒で制す、なんてね。私のバジリスク・ブラッドの味はいかが?』

 バジルは確実に災魔にダメージを与えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

氷像化から解放したら何故か兎さん達凍っちゃってる?羨まし…じゃなくて、災魔が出てきましたね!
ただえさえ寒いのにこれ以上寒くなったらまた凍っちゃいます!?

久々のウィザード・ミサイルで攻撃しましょう!
炎属性だから効果はありますね!
しかしUCのせいか、凍っていた兎さん達が解凍されてわたしに抱き着いてきました!?
これじゃあUCが発動できなくて…あわわ…災魔が復活して冷気が…
猛吹雪で…兎さんごとわたしも凍っちゃ…ぁぁ…
(兎の集団を模した樹氷が完成される)




 妖精達によって氷のオブジェと化していたテフラは厳寒の中、何とかして氷から抜け出した。
 しかしそこに現れたのは吹雪と親玉の災魔であった。
「あ、あれ?何故か兎さん達凍っちゃってる?」
 そして周囲を見渡すと、先程まで防寒着を販売していた兎少女の災魔達が凍っているではないか。
 それもさっきまで自身らが販売していたもこもこの防寒着を沢山着こなして。
 そこに災魔、チラー・フリージングが、ざくざくと雪に足を踏み入れながらやってきた。
「羨まし…じゃなくて、災魔が出てきましたね!」
 その光景に目を輝かせるも、尋常じゃない寒さがテフラを襲う。
 がちがちと歯が震え、徐々に体や兎耳が凍り付いていく。
「ただえさえ寒いのにこれ以上寒くなったらまた凍っちゃいます!?こうなったら炎です!久々のウィザード・ミサイルで攻撃しましょう!」

 テフラは雪の中手をかざし、災魔に対して魔法の炎矢を連射する。
 700発にも及ぶ炎のガトリングが災魔を溶かし、焼いていく。
 あうっとやられたような、熱くて苦しそうな表情を見せる災魔。
 身体に纏わり付いている氷も溶けていく。
「炎属性だから効果はありますね!このまま」
 その時、ぎゅっと抱きかかえられる感覚がした。
 テフラは何者かに抱き着かれていた。
「え!?」
 先程まで凍っていた、先の兎少女の災魔達である。
「これ以上とかしたら、いけない。」
「ご主人様も私達も、熱さに、弱い……」
 ぎゅぎゅうと次から次にと兎少女の災魔達がテフラに抱き着いて、その身を動けなくさせる。
「こ、このままじゃ魔法が使えな……あわわ……!」
 そう言っている内に災魔が体勢を立て直し、その身に鎧のような氷を纏う。
「もう容赦はしません。この辺り一帯をガチガチの氷漬けにしてしまいます!」
 そう言って災魔はふうっと吐息を吹きつけるような動作を取ると、辺り一面に絶対零度の猛吹雪が巻き起こる。
「あっ、いやああぁぁ!猛吹雪で……兎さんごとわたしも凍っちゃ……ぁぁ……」
「さむい……」「すずしい……」
「きもちいい……」
 兎少女の災魔達はどこか気持ちよさそうに、ハーレム状態であるテフラはとても寒そうに、猛吹雪の直撃を受ける。

 後に残ったのは何もかも厚い氷で覆われた極寒の氷漬けの街。
 その中に佇む、物言わぬ兎少女と兎の男の娘による、兎の集団を模した見事な巨大樹氷オブジェだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐東・ころも
・アドリブ&絡み歓迎です
ざむい…!寒いのだわ!!こっちこないで欲しいのだわ!!
災魔をやっつけようと差し向けたプチ達はあっという間に毛布にくるまれたり雪に埋もれたりとバリエーション豊かに全滅…
氷漬けにされるのは嫌なのだわ…!という事で【甘く蕩ける飾りつけ】で生クリームを出して足止め…寒さのせいかいつもより固めなソフトクリームが出てきたのだわ…
とりあえず災魔も埋もれたからヨシ!ってなんで私の上からも…!?

つ…つめたいのだわ…体が埋もれて動けな…
ちょっ…な、なんでそんなに怒ってるのだわ!?
待つのだわ!ベトベトにしたのは謝るから話し合うのだわ!
や…やめっ……

(こっぴどくオシオキしてあげて下さい)




「ざむい…!寒いのだわ!!こっちこないで欲しいのだわ!!」
 金髪に口から生える八重歯の輝くハロウィンの様なお菓子の魔女、佐東・ころも(ハロウィン大好きお砂糖魔女っ娘・f36006)がやってきた。
 極寒の世界と化した街に足を踏み入れると、身体がアイスクリームの様にふんわりさっくりとした質感を持ったのを感じる。
 ころもはただの人間ではなく、身体が砂糖で出来た砂糖菓子人形の妖怪である。
 冷蔵ケーキに盛り付けられる砂糖菓子の如き彼女であればこの程度の寒さ、と言いたい所だが、生きた砂糖菓子故かダイレクトに寒さを感じるようだ。
「美味しそう……でもその上からもこもこの雪をかぶせたらもっとふわふわして美味しそう……美味しいシューアイスになりませんか……?」
「だめなのだわ!やってくるのだわ!こうなったら寒さにちなんだアイスケーキみたいに盛り付けてやるのだわ!行くのだわプチころも隊!」
 災魔をやっつけに、小さなお砂糖魔女ぷち軍団がころもの衣服から大量に行軍する。

「「「「「がんばるのだわ!がんばるのだわ!」」」」」
 災魔は艶めかしく微笑むと、プチころも達にユーベルコードを放っていく。
「はぁん……もこもこになりましょう……!」
 災魔は凍り付いていく冷気の籠ったもこもこを生み出し、飛ばす。

 プチころもの1体が毛布に包まれると、そこから極低温の冷気が噴き出す。
 プチころもはもこもこ暖かいデザインの氷の砂糖菓子となって雪の地面に転がった。
 プチころもの1体は襲い掛かる吹雪を浴びて雪に埋もれ、そのまま動かなくなる。
 プチころもはそのまま魔女帽子の乗った雪の塊となって雪の地面に転がった。
 プチころもの1体は躱そうと躍起になったが、真上にぶん投げられた防寒着の山が雪崩の様に押しつぶしてくる。
 プチころもは山の様な布団の如き大量の防寒着に潰された後、魔法の防寒着から吹き出した真っ白の冷気の嵐に巻き込まれ、氷山に閉じ込められたかのように凍り付いた。
 プチころもの1体は災魔の真正面至近距離に届くが、「んっ……」突如災魔の放った投げキッスの様な吐息を浴びて時間が止まったかのように動かなくなった。
 プチころもはそのまま氷の砂糖菓子となって雪の地面に転がった。
 プチころもの1体は吹き荒れる吹雪によって厚く積もった雪の中にずぶずぶと沈んでいく。
 プチころもはそのまま動かなくなり、二度と浮上する事は無かった。

「プチ達が全滅したのだわー!?無駄にバリエーション豊かなのだわ!!?」
 そして災魔は、雪をかき分けてゆっくりところもに近づいてくる。
 口が開く。絶対零度の白く凍てついた冷気の息がふわりと口元から漏れている。
「こ、氷漬けにされるのは嫌なのだわ……!その冷たいを超える白いお口の息を閉じて欲しいのだわ……!」
 氷の接吻を交わそうと、ころもをがっしり掴もうとする災魔。
 だがころもはまだ全てのプチころもを出し切ったわけではなかった。
「かかったのだわ!まだプチ達は服の中に仕込んでいたのだわ!生クリームを出して足止めするのだわ!『|甘く蕩ける飾りつけ《クリーミーメッシーパーティ》!』」
 突如、ころもの服の中から残りのプチころも達を放出。
 飛び掛かったプチころも達が魔法の大量生クリームが放出する。
「う、うわっ……!?つめた……べとべと……これ……甘……ソ、ソフトクリーム……!?」
「……寒さのせいかいつもより固めなソフトクリームが出てきたのだわ……」
 そのクリームはいつもなら津波の様にベトベトしながらもドバァと放たれる、もう少し液状の筈であったが、今回は冷凍庫の様な寒冷地の地形のせいで、1体1体がにゅるにゅると細いチューブ状のクリームを放った。質感が厚い、弾力のある、白いバニラソフトクリームであった。
「ん、んむぅー……っ!」
 兎にも角にも、ユーベルコードによってソフトクリームの山が災魔へと大量にかけられる。
 あまりの量のソフトクリームの山に、遂に災魔は埋もれて動かなくなった。
 後に残ったのは雪の中にたたずむ、こんもりとした巨大ソフトクリーム(いびつな形、バニラ味、コーン無し)。
 時折蠢いているような気がするが、襲い掛かって来る様子はない。

「とりあえず災魔も埋もれたからヨシ!プレイング完了なのだわ!」
 そうころもが勝ち誇り、安堵していると、先程まで頑張ってくれていたプチころもが見当たらない。
 突如、ころもの上から、冷たくてべとべとする巨大ソフトクリームのクリームがにゅるにゅると落ちてきた。
「ってなんで私の上からも…!?」
『|甘く蕩ける飾りつけ《クリーミーメッシーパーティ》』
 そのユーベルコードは大量の生クリームを敵にも自身にも受ける。
 そして自身が生クリームまみれになった状態を敵と共有し続ける効果なのだ。
 今ここでプチころもにクリームの放出を止めさせても不思議な力でクリームがかかり続けるだろう。
 いま目の前の災魔の、巨大ソフトクリームまみれと同じ状態になるまで。
「う、うわーっなのだわー!?」
 生クリーム、もとい、ソフトクリーム生成用のしゃりしゃりとした質感を持つしぼり袋を手にしたプチころも達が次から次へところもの頭上に降り注ぐ。
 そして大量のソフトクリームが一斉にころもの全身に吹き放たれていく。
 今のころもはまるで調理用透明ボウルの中に入れられた砂糖菓子。
 その上から、これから泡立ててお菓子に加工するからクリーム入れるね!と言わんばかりに山盛りのソフトクリームが複数人から一斉にぶっかけられているかのような。

 雪の中にたたずむ、新しいこんもりとした巨大ソフトクリーム(いびつな形、バニラ味、コーン無し)が完成した。
 ほんの少しクリームの中から黒い砂糖の魔女帽子の一部が見え隠れし、それが時折、寒そうに震える。
「(つ……つめたいのだわ……体が埋もれて動け……な……)」

 極寒の中、静まり返った戦場。
 ずり、ずり、蠢く音が、ソフトクリームまみれとなったころもの耳に響く。
「(……?)」
 冷たい中、ソフトクリームの山をかき分ける音。そして。
「……ぁ……わ……ぁ……!?」
 冷気で声がかすれてしまうが、ころもの目の前に災魔の顔が現れた!
 その顔は凍え切っている。
「あはぁ……みつけたぁ……」
「ちょっ…な、なんでそんなに怒っ……じゃなくて……嬉しそうな顔してるのだわ……!?」
 この災魔は厚着が大好き。それも冷たいクリームをどっさりと全身で浴びたその表情は極寒を思わせる程冷たいのにどこか朗らかであった。
「待つのだわ!待つのだわ!ベトベトにしたのは謝るから話し合……」
 災魔はおしおきと言わんばかりにころもを掴む。全身ソフトクリームにまみれた手で。
「や……やめっ……」
 おしおきと言ってもこの災魔はひたすらに凍らせる力を以て寒さの恐怖を教える事しかできない。
「(じゅ、十分なのだわ……!?)」
「この娘はたっぷりたっぷり、冷たいクリームで加工しようね……!」
 ころもに更にみぞれの様に固まった雪の様なソフトクリームをかける。
 まるでもこもこの毛布を何重にも厚着しているようだが、ソフトクリームなので冷たい。重い。
 そこから更に、もこもこソフトクリームまみれとなったころもの触感を確かめるかのようにもみくちゃにし。
 そこから更に転がし、雪玉の様に雪まみれにして固めていく。
 災魔はその雪玉に手を突っ込むと、中にいるころもの全身に冷気を送り込み、身体の中に雪結晶を作り出し。
「い、いやあああなのだわー!!」
 全身から雪の結晶が生み出されたまま更に災魔がずぶずぶと雪とクリームまみれの塊の中に侵入してくると、ころもは口に手を突っ込まれ、冷気を送り込まれ、中からぴきぱきと凍り付いていく。
「(さむ……すぎ……のだわ……つめた……ぁ……)」
「……できたぁ……雪とクリームまみれの、とってもさむさむアイス……」
 災魔は最後に雪玉の中からずぶずぶと脱出すると、ふうっと極寒の吹雪を起こす吐息で崩れた部分を雪で埋めていき、その雪玉に手を当て、更に更に冷気を送り込む。
 ソフトクリームの混ざった滑らかな雪の塊が、透き通る氷に固まっていく。

 その日、雪の町に、涙が氷の中でとどまった、全身雪結晶とソフトクリームまみれの氷漬けのころもの氷塊が出来上がったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎




「少々寒いですわね。」
 毒を盛って毒で制す、ラミアのキマイラ、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)が雪深い街に転送された。
「お姉さんとっても寒そうです……わたしの防寒着を分けてあげます……」
 青白い雪景色の中から現れた、青と白の過剰なもこもこ服を着込んだ災魔は、バジルへ向けて覆いかぶせるように、巨大な毛布を投擲した。

「あら、間に合ってるわ。」
 バジルは手に取ったフラスコから薬品をぶちまける。
「事前情報でしたらグリモア猟兵に聴いた通り。」
 薬品のかかった所から巨大な毛布が焼け広がるように溶けて消えていく。
 極寒の世界に爬虫類のキマイラであるバジルはたちまち凍え動けなくなってしまいそうだが、今のバジルの身体には寒冷耐性の付く薬をコーティングしてあり、極寒の冷気を感じなくしてあるのだ。
「毒を盛って毒で制す、なんてね。それじゃあ仕置きの時間よ。」
 バジルは雪をかき分けながら災魔に近づく。
 ふわり、三日月の様に釣り上げた口の微笑。
 だが災魔もまた同様に暖かな微笑を浮かべ、手を広げて冷気を展開していくのだった。
「今は冬です……吹雪が起きます……この町一帯ガチガチに凍り付いてしまいます……」
 ふうっと冷たい吐息を吐きながら巻き起こる絶対零度の猛吹雪。
 凍った所に触れてしまえばバジルもただでは済まない程凍ってしまいそうだ。
 それをバジルは、極酸性の薬品を霧の様に吹きあげて、展開。
 吹雪を溶かす薬で、何とか自身の周りだけは雪や氷が消え、無事でいる。
「そうして凍えなくても、寒いのは寒いです……いつか……寒さで……寝てしま……」

「そのようね」
 吹雪を放っている災魔が、突如眠りについてしまう。
 これが今回のバジルのユーベルコード、『|睡魔を誘う蛇の果実《スイマヲイザナウヘビノカジツ》』であった。
 溶雪系の酸霧を展開すると同時に、即効性の睡眠ガスも展開していたのだ。

 災魔は自身の寒さに凍えながら、眠りにつく事となったのだった。
「とりあえず今の内に凍っている被害者がいないか探して救出しておきましょう。貴女はそのまま眠っていなさい。ね。」

成功 🔵​🔵​🔴​

ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!




「うおおおおー!気合やー!気合……あぅやっぱり寒っ……寒……いやアカン!速攻で終わらさな凍る!」
 元気いっぱいのサッカー選手の猟兵、ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)が転送されてきた。

「どっどこやー!敵ボスどこや!どこー!」
 兎に角気合の張った声で何とか進んで災魔を探す。
 と同時に、先程の災魔が眠りから覚めた。
「むにゃ……この町はもう冬なので、あなたも凍りましょ……あれ……何で眠ってたん……だっけ……?」
「おった!?うわぁ、寒そうな!」
 凍てついたもこもこの服で何重にも着込んだ可愛らしい少女の災魔(オブリビオン)が今回の敵だ。

「……」
 災魔はウルスラをじっと見る。
「な、なんやのん」
「貴女、とても寒そう……私の防寒着を貸してあげるので、もう少し暖かい恰好しません……?」
「は?余計なお世話や。それにボク、シルバーレインのサッカーマン。動きやすい服装やないもこもこ服なんか着ぃへんで!」
「そういうとおもってこう……ひざとか腕とか胸とかにピンポイントでもこもこしたものを……頭はもこもこのシュシュみたいな髪飾りやヘッドバンドが……」
「うっ」
 今回の災魔はウルスラの動きを邪魔しない、しかしピンポイントに暖めるべきところを暖める、お洒落ちょい露出もこもこ冬衣装を用意していたのだった。
「お好みでおへそ出しもできますし……」
「う、うん、それならちょっと……いやいやそんなもん罠にへぷしっ!」
 この極寒の寒さにウルスラは風邪を引きそうだった。
「……じゃ、じゃあちょっとだけ……」

 ウルスラは脛の辺りとか腕、胸当てにちょっとスカートっぽくなったもこもこの衣装を災魔に着せてもらった。
 ポニテに合う雲のようなもこもこ髪飾りに兎のヘアバンドと緑のリボンが、まるで雪兎を頭に乗せたかのようだ。
「ほなこれで――」
「これで貴女も凍ってしまいます……」
「う!?ひゃあっ!!?」

 突如、ぶわわわと各種衣装から冷気が噴き出し始めた!罠だ!
「う、うわーっ!?こっこの!やっぱ罠やんけお前ー!」
 頭や腕や脛が凍るが、さんざん猟兵にもこもこ服を嫌がられた災魔が今回は関節周りを妥協してくれたおかげで何とか動ける。口も動く。
 視界は凍った霜で覆われてやや不安定だし、気を抜けばあっという間に氷の彫像の仲間入りになりそうだ。
 ウルスラは事前に決めていた戦術を取る為、足にエアシューズ(空気を生み出すローラースケート)、手にナイフ、背中からレーザーを撃ち出すビット兵器(小型浮遊砲台)を展開し、ヒット&アウェイで攻め立てようとする。
「なっ、きゃっ!?うわっ!」
 だが地上は思う様に動けない。
 分厚く積もった雪の地面ではエアを噴き上げても吹き上がる雪の飛沫が移動を邪魔する。
 ローラースケートで滑ろうともたちまち雪に埋もれてしまいそもそもまともに歩く事も出来ない。
 何とか雪飛沫をあげながら、兎が跳ねるようにして動く。
「待って……待って……そうして寒さに凍えてるうちに捕まえたら……仕上げの氷のキスをして……内側から完全に凍らせるから……待って……」
「絶対に待たれへんなそれ!?完全にとどめやんけ!!」
 レーザービットを放つ。
 だが無数の吹雪の波が、放ったレーザーの光を細かく分散させて災魔に届かせない。
 やはり近距離に飛び込むしかないか。
「いや、まだある!ボクはサッカー選手。悪手やろうけど必殺技で切り開いたる!」
 強く踏み込み、巻き上げた雪をエアシューズの空気操作でボール状に変える。
 そうして簡易的に固めた雪玉をサッカーボールに見立てて、ウルスラはシュートを放つ!

「じゃあ私キーパーになります……」
 災魔はもこもこの毛布をどこからともなく発射して、放たれた雪のシュートを逐一包み込み、衝撃を抑え込んで地面に落としていった。
「キミもしかしてアスリートアース出身かな!?対策完璧やんけ!」

「こっちからいくよ……ふうっ……!」
 災魔は返す様に吹雪の吐息をふうっーと噴き上げる。
 すると辺り一面がより強力な吹雪に覆われ、建物や地面が凍り付いていく。

「あっ、ひあっ!?なんやこれ!?」
 先程まで落ちていた毛布やボール等がそれに触れた瞬間一瞬でガチガチの厚い氷に覆われて凍り付いた。
 この氷を利用して滑って急襲しようと思ったが、触れた瞬間凍ってしまうのでは――。

「いや、いける。ボク何のためにエアシューズ履いてる思うとんねん、月のエアライダーやで!」
 そう言ってウルスラはエアシューズに溜めていた空気を最大解放した。

「えっ、やめて……その氷、触ったらみんな凍り付くのに、何で凍らずに滑ってくるの……その滑ったままの姿で凍るの楽しみだったのに……!」
 災魔がおののく。ユーベルコードの吹雪の効果を無視して気流を纏いながらウルスラが、壁や地面をスケートで縦横無尽に滑りながら災魔のもとへ高速でやって来る。
 その秘密はもちろんエアシューズだ。
 エアシューズが解放した空気の力で微妙に接地面から宙に浮く、エアホッケーの如きホバリング状態で、風に乗って滑るというエアライダーの妙技をウルスラはやってのけたのだ。
 おかげで凍てつく氷や、足を取られる雪に一切彼女は足を漬けない。
 地形を凍らせる氷の上を滑っているのは、雪だと吹き上がる雪飛沫で滑走を邪魔されてしまう為だ。
「ひぅ……そんなに冬が嫌ですか……っ!」
「冬というか、過剰な寒さが嫌やな!ここで凍るんは堪忍やで!」
「それでも雪は全てを包み込むのです……来て……!」
 巨大な毛布でゴールキーパーのごとく壁を展開して立ち塞がる災魔。
 だがこれからやってくるウルスラの攻撃は先程の雪塊を飛ばすものとは違う!
『基本にして王道! 積み上げた努力と経験は決して裏切らへん!いっくでー!【真・クレセントファング奥義】!!!』
 一気に接近してきたウルスラの、回避困難な極超音速連続蹴りと無数の三日月型の衝撃波が、斬撃となって幾度も災魔を切り裂いた!

「い、いやあ!あああっ……!!」
「これで、シュート!やっ!!」
 スタぼろに毛布と、身に纏う防寒着を、真空音速三日月斬撃波によって切り裂かれた災魔の腹に、とどめの蹴撃がぶち込まれる。
 災魔は冬から溶け零れたような冷たい涙を流しながら、光となって消えていったのだった。


 こうして、街は災魔の手から取り戻された。
 過剰な吹雪は一時なりを収め、何人かの猟兵が樹氷のような氷のオブジェとなったが、その他の雪や氷は溶け、淡い日差しが差し込んでゆく。
 街はより警戒した商法が取り敷かれたが、少なくとも売り出される防寒着は、もう着こんでも寒くならない、暖かいものとなるだろう。

 まだまだ寒が収まらぬ冬は続くが、どうか健やかに春を迎えられますよう――。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年12月31日


挿絵イラスト