●システム・フラワーズ底の更に奥には
グリモアベース。
「エンドブレイカーの戦いお疲れさま。それですぐにで悪いんだけど、キマイラフューチャーの人類遺跡にちょっと行ってきてくれないかな」
シャチのキマイラであるヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は大きな戦を終えた猟兵達を労いつつ、次の任務についての説明を始める。
「儀式魔術【Q】の成功でシステム・フラワーズの奥底が一部剥がれて、その奥から謎の廃墟が出現したんだ。その周辺には怪人のCGがうろついていて、この廃墟のことを『人類遺跡』と呼称している……もしかしたらキマフューにかつて存在した人類が築いた跡地なのかもしれないね」
この遺跡を調査すれば人類滅亡の謎に迫ったり、謎の多いキマイラフューチャーについて新しい情報が見つかるかもしれないとヴィクトルは言う。
「ただ、調査の障害が二つある。一つはCG怪人……超すごい技術だから触ったり喋ったりもするんだけど、廃墟に入ろうとするとやってきて邪魔しようとしてくるんだ。今回は夏の思い出トリオ達、マア普通に倒せばいいんじゃないかな」
そしてもう一つ、人類遺跡の廃墟にも問題があるという。
「なぜかは知らないけど遺跡ではずっと雪が降り続いているんだ。しかも致死性。対策なしに長時間浴びてたら猟兵でも覚めない死の眠り一直線で危ないだろうから準備していった方がいいだろうね」
そしてヴィクトルは鍵型のグリモアを手にし転移の準備を開始する。
「あとは……俺も調査で何度か会ったんだけど、この廃墟の中に住んでいる原住民? がいるみたい。ゼラチンみたいな感じでキマイラフューチャーで今知られている種族のどれにも当てはまらない感じ。遺跡について色々聞くのは難しいだろうけど、ちょっとしたお話ぐらいならしてもいいかもしれないね」
じゃあ、頑張ってねとヴィクトルは締め括り、猟兵達を人類遺跡の入口へと転移させたのであった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
人類遺跡、なんなんでしょうね。
第一章は『夏の思い出トリオ』のCG怪人との戦いになります。蹴散らしてください。
第二章は謎の致死性の雪が降り続ける人類遺跡の探索になります。
雪への対策があるとよりいい結果になり易いです。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『夏の思い出トリオ』
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POW : ひまわり怪人・ウェポン
【ひまわり兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : かき氷怪人・ジェノサイド
【かき氷攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 蚊取り線香怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【蚊取り線香】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
●
システム・フラワーズの剥がれた床面の先に見えるのは白い景色。夏は過ぎたとはいえ冬の代名詞であるそれにはまだ早い時期なのだが、深々と降りしきるそれの周囲には夏の風物詩のCG怪人たちがスクラムを組んで侵入者を阻まんとする。
長らくダークセイヴァーで過酷な状況で戦い抜いてきたダンピールの風雷堂・顕吉(
吸血鬼狩人・f03119)にとっては少々気の抜けそうな相手にも見える。
『この先には行かせないぞー』
どことなく緩い、けれど決して通してはくれない気配をひしひしと感じる。
だが、ユーベルコード【殺界形成】で漆黒の殺気を放っても、逃げ出そうとする怪人は居ない。
見た目によらぬ強者であり、油断することなく剣を抜いてサングラス越しに怪人たちを睨みつけ相対する彼に向けて、かき氷怪人が超高速でかき氷マシンから放たれる氷をぶつけてくる。
「そんなものも武器にできるのか」
もの珍しそうに顕吉が呟く。見た目以上に素早く厄介だが、顕吉は経験でその動きを見切り恐るべき殺気を放つ刀『
小竜公』で受け流すと、纏わりつく闇のように離れぬまま側面、そして背後へと回り込んだ。
かき氷怪人の攻撃の欠点は回避されても中止できないこと、大きな隙を歴戦の剣士に見せた当然の帰結として怪人の胴は両断、CGらしく何もなかったかのように消滅していく。
『おのれー! よくもかき氷怪人を!』
怒るひまわりと蚊取り線香の怪人、更に他にも怪人達が近づいてきている事を顕吉は輝くオーラにより察知している。
まだまだ数は多いが、やれない事はないだろう。
流れるように刀に付着したCGの血を振り払い、永く戦ってきたダンピールは
外套をはためかせ駆け出した。
そして、これまでの戦いのように、残りの怪人達を熟練の剣術で鮮やかに仕留めていく。
成功
🔵🔵🔴
城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。
戦闘は確実性やオーバーキルより迎撃数を優先するので、全力魔法と範囲攻撃で少し広めに撃ってから時間差で仕留める。
もしくは単体攻撃にカウンターや鎧破壊攻撃を乗せつつ、連続して使って、一撃必殺を繰り返す。
「ここから先は行かせないよ、キリッ」
…ところで、なんでオブリビオン居るの?(前後の説明忘れた)
……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)
●
率先して怪人達に切り込んでいくダンピールを迎撃する為ひまわりの頭部の怪人対応しようとするが、咄嗟に女子大生の城田・紗希(人間の探索者・f01927)が仕掛けていく。
『ここから……』
「ここから先は行かせないよ」
『あっ台詞取るなんて!』
ひまわり怪人が抗議するもキリッとした彼女はどこ吹く風とばかりに刀を構える。だが考えるより先に行動するタイプの彼女、特に戦術は考えていない。
怒りのままにひまわり怪人は標的を変えて、ひまわり兵器を構え種型の砲弾を紗希に向けて放つ。
「危ないね!?」
第六感、あと少々の幸運で紗希は攻撃力重視の砲弾を躱すことに成功する。脳筋じゃないと自称する彼女、戦闘での弾道や射線の計算は普通にこなせる事もあるのだろう。
敵の数は多く、ならば確実に仕留めていくよりもまずは迎撃数を稼ぐべきだろうと思考した紗希がユーベルコード【おもちゃ兵隊の行進】を起動すれば、139体のいかにもな姿のおもちゃの兵隊が周囲に召喚されて。
「行けっ、全部隊出撃!」
紗希の号令とともにブロックを組み合わせたような外見の兵士達はおもちゃのマスケット銃を構え、一斉に発射する。
ユーベルコードに召喚されたその物理攻撃力は怪人すらも倒せるほどで、そして残った個体も紗希が『紅時雨』で直に切り裂き撃破していく。
「……ところでなんでこんな所にオブリビオン、じゃなかった、CG怪人が居るの?」
――首を傾げているが、その問いの正確な答えを知っている者はまだ猟兵にはいないだろう。
脳筋だからではない筈だ。きっと。
成功
🔵🔵🔴
陰日向・千明(サポート)
「異世界のスマホってのは、こうやって使うンスよォ
……!!」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ、事故を揉み消された恨みから黄泉返った女子高生。地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉している
・他人より自己の利益を優先し、その世界の秩序や慣習にとらわれない傾向にあるが、なんだかんだで弱者は放っておけない
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」にさまざまな道具を注文して、あらゆる苦難を乗り越える
・死への恐怖心がなく、傷ついてもなお前進する様相はまさしく屍鬼
・切り札は誤発注したキャバリア
●
おもちゃの兵隊と女子大生が怪人たちを蹴散らしていく中、学生服の竜神の少女、陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)も一気に切り込み仕掛けていく。
それを阻止するためにかき氷怪人がその自慢の速度で千明に対しかき氷攻撃で足止めせんと襲い掛かる。
かつて彼女を轢いた車よりも超高速――そのアタックを千明は『懲ら〆縄』という太縄を巧みに操り鞭のように廃墟に巻き付けて身体を引き寄せて攻撃範囲から離脱して回避。
更に神器化したスマホを操作してユーベルコード【天孫購臨「通販で取り寄せた両手剣」】を起動する。
「配送は当日即時っす。敗走は許されない……」
霊界通販サービス『
天孫』で発注した神剣を両手で構え、まだ攻撃を止めることのできないかき氷怪人を両断する。
プレミアム会員の特典の封印を解除すれば威力は更に上がるのだが、このCG怪人の群れにそこまでする必要はなさそうだ。
『おのれ俺達も負ける訳には……!』
(「気づいてくれてないっぽいっスね……」)
微妙に配送と敗走でかけたりしているのだが、怪人達がそれに気づいてくれる様子もなくほんのちょっぴりがっかりしつつも、
「この調子であんたら倒してやるっスよ……!」
他の怪人が放ったかき氷攻撃が千明を掠め、痛みがあるけれども千明は逆に勢いをつけて怪人達を攻めていく。
死を恐れないかのように戦う彼女は悪霊、傷をものともせず前へ前へと進み、屍鬼の如く注文した武器を振るって怪人を蹴散らしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ロラン・ヒュッテンブレナー(サポート)
※絡みアドリブOK
※感情が尻尾や耳によく表れる
※人見知りだが【優しい】性格で育ちのいいお坊ちゃま
※戦闘時は魔術器官と電脳空間の演算力を用いて知略で戦う
※「ぼく」「~なの」「~さん
体のあちこちにつけた魔道具の回路を起動し(【高速詠唱】)、
狼の嗅覚聴覚視覚(【聞き耳】【暗視】)を駆使した【情報収集】と、電脳空間からの【ハッキング】で敵戦力を分析(【学習力】)
適切な魔術(UC)を組み合わせたり【乱れ撃ち】する
防御は【結界術】で作る【オーラ防御】壁や、
小柄な体系と狼の機動力(【ダッシュ】【残像】)を使う
仲間を守り、敵には【勇気】をもって容赦ない作戦・攻撃を行う(【全力魔法】)
●
竜神の悪霊女子高生が切り込んでいく中、前線に切り込んで戦う猟兵達を援護するように後方から術を紡いでいる人狼の少年がいた。
「地に福音を刻み、空に柱となれ。清浄なる風を呼び、浄化の炎を灯さん」
ユーベルコードを詠唱する彼、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の周囲には防御の為の頑丈な結界が展開されている。
彼が全身に装着した魔道具の回路は彼の術の構築を助け、そして電脳空間での戦力分析で敵怪人たちの配置を正確に把握している。
蚊取り線香怪人が術を阻止せんと悪しきCGの蚊取り線香の煙を広げ妨害しようとしてくるが、彼の術を止める事は叶わない。
「――ヒュッテンブレナー式破邪結界、飛翔」
詠唱のおわりと同時、複雑な幾何学模様を描きながら聖なる光――攻性結界が放たれた。
把握した敵の座標に受けて放たれた光は怪人達の逃げ場を塞ぐように包囲すると、中心の怪人達を一斉に貫く。
ロランの周囲144メートル内、1440本も放たれた光はさながら嵐のよう。一体たりと残さぬ勢いで容赦なく貫いて消滅させていく。
元がCGのこの人類遺跡を守る怪人達は後に何も残らない。そして、ロランから離れた位置にいた個体が彼を倒さんと近づいてくるが、最初よりもその数は随分と減らされていて。
「もうちょっと、かな」
電脳魔術での分析も合わせてそう確信したロランは再び術を紡ぎ始める。
この先に何があるのかは不明だが、そこへの道を切り開くために、少年は叡智を以て怪人達を仕留めていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ロータス・プンダリーカ(サポート)
素早さが売りの格闘猫
口調は「ですにゃ、ますにゃ、ですかにゃ?」と丁寧語に「にゃ」が付く
年齢の割に子供っぽい、と言うか猫っぽい
時々猫の本能には抗えない
尻尾や耳が感情と共に良く動く
拳法と銃を組合せた武術の達人
敵の動きを読み、計算された動きで戦う
悪を許さない正義と立ち向かう勇気を持ち合わせた漢
卑劣な事は嫌いだが、相手がそれ以上の悪であれば勝つ為の奇襲や搦め手は厭わず用いる
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
迷惑行為NG
公序良俗は遵守
冷泉院・卯月(サポート)
勿論お仕事は大事ですけどぉ、折角なら珍しい物や新しい物も見つけたいですよねぇ~。
あ、ご一緒される方がいらっしゃればぁ、一緒に頑張りましょうねぇ~。
あまり戦闘は得意ではないですけどぉ、ぶちくんとたれちゃんの力も借りてぇ、頑張っちゃいますよぉ~。
遠距離なら二人に短杖になってもらって魔法弾を撃ったりぃ、
接近戦なら二人で力を合わせて杵になってもらって頑張っちゃいますぅ~。
パラドクスは状況に応じて臨機応変に使いましょうかぁ~。
戦闘以外なら運転なんかも得意なのでぇ、何処へでもお届けしちゃいますよぉ~。
道中も楽しいことが見つかるといいですよねぇ~。
●
玩具の兵隊がマスケットの銃弾を、更に謎の神聖なる複雑な軌跡で怪人達を焼き尽くしていく光が飛び交う戦場。
その中を和装のケルベロスコートを纏うウェアライダーの冷泉院・卯月(壱七八あーる・f40880)は、彼女の出身世界とは全く異なるキマイラフューチャーの深部の光景を楽しんでいた。
人類が滅んで遠い年月が経ったというこの世界、異様に高度な文明の遺産は彼女から見ると遠い未来のものにも見える。
と、キックボードで戦場を巡りつつも楽しんでいた彼女の近くへ、赤茶の毛並みのケットシーがやってくる。
「あとちょっとにゃ。一気に畳みかけていこうかにゃ」
ロータス・プンダリーカ(猫の銃形使い・f10883)という名の彼に、
「そうですねぇ~。一緒に頑張りましょうねぇ~」
あまり戦闘は得意ではないけれども相棒のファミリアロッドな兎のぶちくんとたれちゃんと共に戦う彼女、二羽を一本の杵に変化させてよいしょっと持ち上げる。
そしてキックボードに乗って地面を蹴って、まだ戦意も高いかき氷怪人へと加速していく。
『まだ俺達はここにいる! ここにいるぞ!』
夏はまだ終わってないとでも言うかのような気迫のかき氷攻撃が卯月に向けられた。
超高速の連続攻撃――それを卓越した運転技術でキックボードを巧みに操り回避しつつ、卯月はユーベルコード【フルムーンブレイク】を起動すれば、新たなやわらかな光源が頭上に出現する。
システム・フラワーズの上空に浮かんだのは満月、卯月が創造したそれは狂獣の力を振るう為のまがい物。
その力を受けた彼女の手足は獣の荒々しい力を発揮するものへと変化して、その脚力はかき氷兵器で攻撃を仕掛けようとしていた怪人が中断できない拘束連続攻撃が終わり動き出す前に距離を一気に詰めて杵を真上から振り下ろす。
シャリシャリとしたかき氷の頭部が大きく凹んで、CGはそのまま消滅していった。
そしてロータスの方もケットシーの小柄ながら身軽な身のこなしで怪人たちの連続攻撃を華麗に回避していた。
「素早さには自信がありますにゃ!」
尻尾の毛を逆立てて怪人の攻撃を見切り、次の攻撃を予測する。
攻撃の隙を達人の感覚で見切り、一瞬怪人達の動きが止まった瞬間を見計らってユーベルコード【猫流銃形】を起動、怪人トリオへと切り込んでいく。
一切の無駄のない動きから最短距離で猫の手を急所に叩き込み怪人を仕留めていく彼の速度は非常に身軽で速い。
卯月や他の猟兵が切り込んで怪人達の手札を晒させてていた事もあって、次の行動の予測も容易、そこに恐怖はないからこそ。いつも以上の速度を出せているのだ。
ただでさえ達人、もとい達猫。その技量と猫の素早さを併せ持った彼が翻弄し仕留め、卯月がキックボードで軽快に駆け回りながら支援射撃を受けて討ち漏らしを仕留めていく。
そして最終的にCG怪人は全て消滅し、人類遺跡への入り口だけがぽっかりと猟兵達の前に広がっていた。
「この先、何があるんでしょうかねぇ~」
未知への期待に胸を高鳴らせつつ、ロップイヤーな兎のウェアライダーは人類遺跡へと一歩、歩み出して。
そして猟兵達は未知なる人類遺跡の調査を開始するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『人類遺跡探索』
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POW : 瓦礫をどかし、遺構を探す
SPD : 雪を防ぎながら迅速に移動する
WIZ : 遺跡の構造や特徴をスケッチに残す
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●白く染まる古の廃墟
雪が降っていた。
花弁の舞うシステム・フラワーズの奥底の更に下にあるこの人類遺跡に降り続けるのは季節外れの冷たいもの。
猟兵であろうと、あらゆる生命を死の眠りに落とし込む致死の立花は止む事無く降り続け、人類遺跡をやわらかに覆っていた。
まるでやわらかな布団のように、この地を眠らせ続けるかのように。
この雪を凌ぎつつ、遺跡を調査する。何があるかは分からないし、得られるものがあるとも限らない。
しかし、このキマイラフューチャーの滅びの前――異なる世界から転生した者が生きていたという、その時代の痕跡がもしかしたらあるのかもしれない。
グリモア猟兵が話していた原住民とやらと接触する事ももしかしたらできるかもしれない。
猟兵達は積もった雪を踏みしめて、この地の調査を開始した。
ゾンビーヌ・ロッテンローズ(サポート)
デッドマンのコミックマスター×自由農夫、18歳の女です
普段の口調は「女性的(わたくし、~様、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、心を許したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です
ゾンビとして蘇った文字通りの『腐』女子
男性が好きですが恋愛対象でなく、妄想のネタとして男同士でくっつけることを好みます
口調は作っているもので、本性は内気な陰キャです
ユーベルコードは所持する物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
死の雪降りしきる廃墟をゴスロリ服の少女が巨人を伴い進んでいく。
「しかし廃墟以外、何もありませんわね……」
彼女、ゾンビーヌ・ロッテンローズ(元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316)は巨人――彼女の体から繁茂して巨人型になっている茨の『ロサ・ギガンティア』を雪除けの傘のようにしながらこの人類遺跡の探索を進めていた。
しんしんと降る雪は触れれば死の眠りへと誘う恐ろしいもの、一度死よりゾンビとして蘇った彼女であっても恐ろしいものだから、緑肌が雪に触れぬように慎重に進んでいる。
ユーベルコード【
腐薔薇姫親衛隊】により召喚された彼女のオリキャラ二人は忠実に、彼女を守りながら進んでいる。
白薔薇の魔術師が魔術で茨の巨人が阻み損ねた雪を吹き飛ばし、不安定な足場に差し掛かればを赤薔薇の騎士がゾンビーヌを抱えて突っ切っていく。
二人については少々邪な設定もあるのだが、まあ、この少々危険な地では忠誠心の方が上回るようで妄想を炸裂させる余裕はないだろう。
――ナチュラルにそんなシチュエーションが生じた方がオイシイ、と考えるかは置いておく。
(「それにしても色も単調で退屈ね……」)
あまり代わり映えのしない景色を見遣りゾンビーヌはそんな風に思う。
外の酷くポジティブで前向きなキマイラやバーチャルキャラクター達の世界、その中の更に内側に発見されたこの廃墟はまるで世界観そのものが違うような異質な景色。
生命も何も存在しないような、雪や廃墟が崩れる音ぐらいしか聞こえないこの場所は、世界そのものが眠りについているようで。
(「まるで御伽噺のようですわね」)
物語の通りならば、100年の眠りの後に王子様がこの地に眠る姫君や眠りを覚ますのだろうが、この地はどうなのだろう。
そんな事を考えながら茨の巨人、そして薔薇の騎士と魔術師と共に、腐薔薇姫は人類遺跡の探索を進めていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
夜城・さくら(サポート)
キャバリアでの戦闘をメインに。
『オーバーフレーム換装』では、装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。【スナイパー】技能使用。
手数が必要な時は『無限射撃地獄』です。敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。
キャバリア以外では、『ギタギタ血まみれの外科手術』で仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。
「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。
●
熱を無くした人類遺跡と呼ばれる廃墟を、一機の大型の機体――キャバリアが進んでいた。
その乗り手である夜城・さくら(不思議ちゃんの量産型キャバリア・f30006)はアンサーヒューマンとして拡張された瞬間思考力で崩れかけた不安定な足場を避けつつ慎重に進んでいた。
キャバリアには流石に致死性の雪も影響を及ぼせない、しかしキャバリアに乗ったままでは廃墟内の探索は少々難儀する為にさくらは所々で降りて、降雪を避けながら雪の降り込まぬ廃墟内部の探索を行っていた。
雪の降り込まぬ屋内をいくつか探ってみる。書類など記録的な物は確認できる範囲では風化してしまったようで、役に立ちそうな情報は中々見当たらない。
最近何かがこの場で生活していたような、そんな痕跡は発見できたけれどもその住人自体はどこにもない。
引っ越したのか、はたまた雪の下で眠りについているのか――ともあれ、他の場所ならばもっと状態がいい記録があったり住人に遭遇したりできるかもしれない。
気を取り直して廃墟から外へと出ようとしたさくら、だがその瞬間嫌な音を知覚して緑の瞳を頭上に向ける。
降り積もった雪の重みに廃墟が崩れようとしていてぐらぐらと、そしてとうとう限界を超えて均衡が崩れて積雪と瓦礫が桜に向けて大量に落下してくる。
だがその雪や瓦礫がさくらに触れる事はなかった。キャバリアから発射された『
BS-Fダズルビット』がそれらを阻んだからだ。
ユーベルコード【無限射程地獄】、脳波コントロールにより戦闘ドローンを遠隔操作していて、瞬間思考力で察知した危険を即座に排除、同時にさくら自身は破片すらも当たらぬ位置にまで後退していた。
一度積もってしまった雪まで致死性かどうかは不明だが、当たらぬに越したことはないだろう。
落下が止まった事を確認したさくらは再び量産型のキャバリアへと乗り込んで、人類遺跡の探索を再開するのであった。
成功
🔵🔵🔴
アン・フォールン
人類遺跡ね……。
ここに居るらしい奴ら、ふわっとした情報しかないけど何なのかしらね。
滅んだはずの人類が変化したものか、それともキマイラみたいに人類が作った生物か。
とりあえず探査するしかないのね。
指定UCを応用、擬似重力の魔術を使い周囲に降る雪を上へ。
当たりがある訳じゃないしとりあえず行ける範囲の建物をしらみ潰しに回るしかないか。
もし原住民と出会えたら、こっちの身分などの事を話した上で相手の種族の事や個人の事を聞きたい。
隠す事は何も無いし外と中の情報交換が出来れば良いんだケド。
あと、ちょっと疲れてて休憩したいから飲み物とか分けて貰えないかしら。
●未知の種族との接触
そしてキャバリアから離れた場所の廃墟を、レプリカントの女が探索していた。
「人類遺跡ね……」
死の雪降りしきる廃墟を、アン・フォールン(重力の元で踊る。・f41523)は普段通りの様子で歩いている。
よくよく見れば雪は彼女には触れる事はなく、彼女の頭上一定の高度で反転して空へと
落下していて、傘すら必要はなさそうだ。
崩れかけた足場を重力が無いようにひょいひょいと渡る彼女に、廃墟の瓦礫が運悪く落下してくるが、その瓦礫も空中で停止し空に向かって落下していく。
ユーベルコード【ドライブグラビティ】、彼女が起動したその力は疑似重力の魔術。同時に彼女に触れている疑似重力は周囲を特殊な重力空間に変質させていて、彼女を害する雪も瓦礫も彼女に触れる前に明後日の方向に働く疑似重力により退けられている。
「ここに居るらしい奴ら、ふわっとした情報しかないけど何なのかしらね」
疑似重力の魔術を展開しながら呟く彼女が思考を巡らせるのは、この人類遺跡に住まうというクラゲのようなゼラチン質でできた人型の原住民のこと。
人類が居なくなった遠い未来の光景のような地に住み続ける彼らがどのような存在なのかは、いまだ明確な答えは出ていない。
滅んだはずの人類が変化したものか、キマイラみたいに人類が作った生物か。或いはテレビウムやバーチャルキャラクターのような妖精や精霊という事も考えられるしそれ以外の可能性も十分にありうる。
「とりあえず探査するしかないのね」
足取りを早めるアンはまた一つ廃墟の中へと入り込んだ。既にいくつかの廃墟の中を探索していて、降り積もった雪をかき分けた痕跡などの痕跡は幾つか探り当ててはいるが、住人そのものにはまだ巡り会えてはいない。
当たりがある訳でもない探索、しかし、もう少しで何かが掴めるような感覚はある。
虱潰しに廃墟内を歩いて、やがて地下への階段を見つけてその先へと下っていく。
暗い通路、しかしその先になにか光源がちらついたのを、アンは見逃さない。
その光へと彼女は近づいていく。やや広い地下の会議室のような部屋――中にいるのは奇妙なゼラチンのような質感の人型が数人。
『わっ、お客さん?』
「お邪魔するわね。私はアン、この人類遺跡の外から来たしがないグラフィティアーティストよ」
驚いた風な原住民たちに対し、アンはまず自己紹介から入る。
『ああ、最近よく見るっていう旅人さんだね。ボクはデューズ、ここの皆とここに住んでるんだよ』
何となくほわほわした調子で話す彼が語るに、彼らはこの廃墟で外の致死性の雪を凌ぎながら生きているらしい。
廃墟で色々な物品――ガラクタも多いらしいが、それらを拾い集めたりしているとの事で、この場の照明もそのような物の一つとの事だ。
(「特に隠し事はなさそう……というより」)
彼らは好意的、とアンは短いやり取りの中で感じる。
この過酷な環境で生きる為に争ってなんかいられないという事か、他にも理由があるのか。いずれにせよお互い隠し事なしで色々と話し合う事は出来るだろう。
と、その前に。デューズという原住民が勧めてきた椅子に座って一息ついて、
「……ちょっと疲れてて休憩したいから、飲み物とか分けて貰えないかしら」
廃墟を幾つも歩き回って少々疲れ気味なアン、特に急ぐ必要もなく、情報交換の話も長くなりそうだからとそう聞いてみた。
『あ、そうだね。長旅は疲れるからね。ちょっと待ってて、いい感じのお茶とかあった筈だから』
そう言ってデューズは部屋を出て、少しして温かな飲み物と共に戻ってくる。
そして、アンはこの地に住まう謎のゼラチン種族である彼らと死の雪降りしきる人類遺跡地下で、ゆっくり暖まりながらこの人類遺跡内外の情報を交換したのだった。
――未だ謎多き人類遺跡、そしてそこに住まう謎の種族。
彼らについての情報が本格的に得られる日は、そう遠くないのかもしれない。
大成功
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