ダルマ・ライク・ア・サンダーストーム【陸】妄信狂乱
――サイバーザナドゥ世界・某サイバースペース内。
鼓膜と腹に響く重低音が薄暗いフロアを席巻する。
暗闇を気が触れたかのようにランダム点滅する、色とりどりの照明。
そこにスシ詰めになって狂乱する数多のアバター達。
彼等の視線の先にあるのは、この場の誰よりも輝いていて、この場の誰よりも絶対的センター。
「みんなー♡ 今夜も~、マインのライブに来てくれて~ありがとうだにゃん♡」
「「マインちゃんっ! マインちゃんっ! マインちゃんっ!」」
あからさまにあざとカワイイポーズをステージの上で振り撒く少女へ、熱狂的過ぎる声援がライブハウスのフロア全体から送られていた。
ステージ上の彼女は、このサイバースペースの支配者。そして最強で絶対で究極のアイドル。
電脳世界のキャパ3万人同時接続数を誇る、言わずと知れた注目株のサイバーアイドルにして年齢不詳の美少女地雷系インフルエンサー。その彼女がセンターを務めるサイバーアイドル『
overwrite』。
彼女達が歌い、踊り、笑いかければ、一瞬にして数千万のカネが動く。
そして今夜も彼女等のサイバーライブは、大盛況で幕を閉じる。
「ふふっ♡ 明日も来てくれるよね?
囲い豚っぴのみんな~? 当然、
納税も期待してりゅ♡ だ~いしゅき♡」
「お、俺! 今から腎臓売ってくる!」
「だったら僕は、このサイバネアームを買い取ってもらうぜ!」
「拙者、マインちゃんと『overwrite』の為なら、どんな事もしますぞ~!」
もはやカルト宗教めいた熱量がライブハウスのフロアに充満する!
この異常なアトモスフィアを、誰も咎めはしないのか?
否、咎めないのではなく、出来ないのだ。
何故ならば、サイバーアイドルの歌声は遅効性の思考破壊プログラムを介して、ファンたちの理性と脳を破壊しているからだ……!
しかし、この異変に気付く内偵が、アンチプログラム向精神薬を噛み砕きながら、サイバースペースから密かにログアウトしていた。
彼が向かった先は、とある男と『救世主』の男児が結成した
抵抗組織『メサイア』であった。
――グリモアベース。
「エンドブレイカー世界での戦争も完全勝利したわけだけど、他の世界も事件が発生してるよっ!」
予知の内容を投影し終えたグリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、招集に応じてくれた猟兵らへ今回の任務の内容を話し始めた。
「最近、誰でもアクセス可能なサイバースペースで、大人気の『中毒的なまでに楽しい娯楽エリア』が存在するんだけどねっ? その中に、予知で投影したような、すっごく危険でヤバイ夏が紛れてるんだよっ!」
猟兵達がにわかにざわめき始める。
一体どういう事だろうか?
「これはねっ?
抵抗組織『メサイア』からのタレコミなんだけど……」
今年5月に本格的に製薬系メガコーポ『アカダルマファーマシー』に反旗を翻した、元アカダルマファーマシー所属のリアム・フォスターと、『おみ浮かべた願望を、超高精度の予知として実現させてしまう能力』を持った『救世主』ことブラドの二人が中心になって作った抵抗組織から、新たなメガコーポ側の動きがあったとのこと。
「どうやら予知で見たライブの主催者は、アカダルマファーマシーと企業提携しているメガコーポ『黃神公司』だってことが判明したよっ!」
メガコーポ『黃神公司』は、商業施設や警察との癒着、レジャーやイベント分野に辣腕を振るうマンパワー豊富な大企業群だ。
「アカダルマファーマシーは度重なる猟兵達の攻撃で弱体化を免れなくってねっ? このライブは資金調達とファンの洗脳による実働部隊員の補充を目的としてるんだってっ!」
つまり、洗脳ライブ!
ニャンニャンカワイイなアイドル達を使って、罪のないファン達に貢がせ、洗脳してメガコーポの働き蟻に仕立ててゆく。
コワイ!
「しかも、このライブの裏には何者かが開発したという遅効性の思考破壊プログラム、その名も『ヤマラージャ・アイビー』が深部に仕掛けられてて、サイバーアイドルグループ『overwrite』の虜になったファンの人格を破壊した上でメガコーポの傀儡にしちゃうんだから、許せないよねっ!」
このまま放置すれば、パブリックスペースで舞いや繰り広げられるライブで多くの人々が洗脳されてしまう!
今すぐライブに乗り込んでこの危険な目論見をぶっ潰さなくては!
「そういう事だから、まずは実際に公共
電脳空間で開催されるアイドルライブに潜入して、ファンだと偽りながら探りを入れてきてほしいなっ! 周囲のメガコーポの関係者の目を欺きながら、エリア内に巧妙に仕掛けられた『ヤマラージャ・アイビー』の発見の手掛かりを集めてねっ!」
レモンがグリモアを輝かせ、サイバーザナドゥ世界の電脳世界へ猟兵達を誘う。
果たして、狂気のサイバーアイドルライブの果てに、猟兵達を待ち受けているのは……!?
七転 十五起
『ダルマ・ライク・ア・サンダーストーム』第六話!
サイバースペースに蔓延するヤバイ級プログラムを破壊してください。
なぎてん はねおきです。
●概要
第一章日常、サイバースペース(電脳世界)でのアイドルライブです。
パフォーマンスをしているのは、新進気鋭のアイドルグループ『overwrite』。
メガコーポ『アカダルマファーマシー』の資金調達と兵隊補充のため、業務提携中のメガコーポ『黃神公司』主催で毎夜ライブイベントを開催・配信中です。その同時接続数は3万人を誇ります!
その絶対的センターを務める地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』が黒幕なのですが、ここでカチコミに行くとファンに邪魔されて黒幕に逃げられてしまいます。
なので、まずは猟兵の皆さんはファンのフリをしてライブに潜入し、危険なプログラム『ヤマラージャ・アイビー』の手掛かりを掴んでください。
第二章は集団戦です。
もし第一章で手掛かりを猟兵側が掴むと、メガコーポ側が勘付いて妨害を開始します。
なんと、ライブ中のセンター以外のメンバーが、“ライブ中の演出”として猟兵達に襲い掛かってきます!
(当然、アイドル達もメガコーポ側の手先です!)
真実を知らない(むしろ聞く耳を持たない)妄信的なファンも妨害してくるので、ライブ会場という超密集した空間で如何にうまく戦闘を行うかが重要になってきます!
第三章はボス戦、遂に『overwrite』の絶対的センターにしてこの事件の黒幕、地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』がステージ上で猟兵達とガチバトルを開始します!
ここでマインちゃんをサツガイすれば、ヤバイ級プログラム『ヤマラージャ・アイビー』も破壊されて、ファン達は憑き物が落ちたかの如く正気に戻ります。
ここでも実際キケンなヤッカイ級ファン達の熾烈な妨害があるので、目の前の敵以外にも注意を払って臨んでください。
なお、電脳世界ですが生身と同じように動けますし、装備の持ち込みもユーベルコードもOKです!
そして電脳世界で死傷すると、現実世界の自身にも影響が出ます。ご注意を。
●その他
詳細な情報は断章加筆時に公開します。
また、プレイング開始のタイミングは、断章の情報が公開されてからでお願いします。
(それ以前に投稿した場合は例外なく不採用です)
それでは、皆様の鋭い慧眼を携えたプレイングをお待ちしています!
第1章 日常
『地下アイドルの秘密を暴け』
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POW : パッションで乗り切る
SPD : クールに調査する
WIZ : キュートで篭絡する
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♪クソキョショリアルは捨てちゃって~っ!(FuFu~!)
♪完全タノシイ・ヴァーチャル世界でイッちゃって~!(FuFu~!)
♪ここがゴクラク・ヘブンだ 歌え! 踊れ! カネ払え!
♪キミ達の世界は~ アタシらが塗り潰してあげるっ♡(Wow!)
パブリックサイバースペースで、毎夜ゲリラ開催されるサイバーアイドルグループ『overwrite』のライブ!
SNS上や公式サイトで一切告知していないのに、何故かファン達は決まって多額のカネを携えてライブ会場へ集結してくる。まるで、そう命令が知らず知らずに植え込まれているかのように。
猟兵達は、そんな狂乱の宴の入り口へ転送されてきた。
このままファンとして紛れ込むのが手っ取り早いが、技能に自身があるならバックヤードから忍び込むのもアリだろう。
ただしバックヤードはあちらも侵入者を警戒しているはずだし、警備の目も厳重だと予想される。
ファンとして紛れるなら怪しまれないが、同時接続数3万人の中でもみくちゃにされながらの情報収集が可能かどうか。
どちらにせよ、前途多難だ。
猟兵達は果たして、実際キケンなプログラムの証拠を掴むことができるのだろうか?
フォーネリアス・スカーレット
【ジンライ・フォックス・f27072と同行重点】
「どうでもいい。オブリビオンは皆殺しだ、いつも通りにな」
『借りられる!』のサイバーネオン看板を踏み付け登場。まずは潜入モードか。暗黒非合法探偵スタイルで行こう。
「カミカゼ・イッキか。誘爆させれば殺しやすそうだな」
オブリビオンでならば殺す事に躊躇いは無い。だが、誰もがオブリビオンになり得るのなら、そうなる前に対処するのが皆殺しには楽だ。
「ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。知っている事を吐け」
UCを乗せたアイサツでインタビューする。
「早めに吐いた方がいい。私達は絶対に妥協しない」
叢雲・凪
SPD
【オブリビオンスレイヤー・f03411】サンと行動
『エンタメも度を過ぎればカルトになるか 全く度し難いね』
【ヘルニア】と書かれた極彩色のサイバーデジタルネオン看板の上に腕組みしつつ立つ。
『今でも半分理性を捨てているような状態だ。洗脳が行われればカミカゼ・一揆が起こっても不思議じゃない』
【カミカゼ・一揆】 それは戦国時代に伝説の猟兵ミヤモト・タカシも参加したと言われる未曾有の大規模クーデターである。反体制を訴える農民達が全身にダイナマイトを巻いて代官の根城にカミカゼした事からこの名前で呼ばれている。
『しかし アカダルマの連中も必ずいるはずだ。ここはしめやかにインタビュー(拳)をしようじゃないか』
サラリマンにとって社員証は命よりも大切なもの。ましてやアカダルマのようなカチグミ企業なら猶更、付けていなければ指を1~2本ケジメの上 始末書。紛失すれば両手をケジメしたうえで翌朝タマチャンリバーに死体が浮かぶことになるだろう。
忍び足+目立たない 疾雷を用いてアンブッシュ!
サイバーザナドゥ・電脳世界。
ここは仮初の01データの世界で構築された、もうひとつの“現実世界”である。
肉体をそのままダイブさせたかのような五感の再現は、マッポーめいた現実世界では実現不可能な行為を次々と叶えてくれる。故に、今回のような事件が生まれて多くのモータルが狙われてしまうのだ。
『エンタメも度を過ぎればカルトになるか。全く度し難いね』
漆黒のキツネ・オーメンを装着し、赤黒いパーカーを羽織ったニンジャ……叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は、【ヘルニア】と書かれた極彩色のサイバーデジタルネオン看板の上に腕組みしつつ立つ。そして眼下で狂乱するアイドルライブを見下ろしていた。
ジンライ・フォックスの言葉を聞き、【借りられる!】のサイバーネオン看板を踏み付け登場するは、全身を鎧で着固めた復讐に燃えるニンジャ……フォーネリアス・スカーレット(オブリビオンスレイヤー・f03411)。
『どうでもいい。オブリビオンは皆殺しだ、いつも通りにな』
『だがモータルも大勢押しかけている。今でも半分理性を捨てているような状態だ。洗脳が行われればカミカゼ・一揆が起こっても不思議じゃない。未曽有のパニックは避けるべきだ』
ジンライ・フォックスが危惧するカミカゼ・一揆とは、戦国時代に伝説の猟兵ミヤモト・タカシも参加したと言われる未曾有の大規模クーデターである。反体制を訴える農民達が全身にダイナマイトを巻いて代官の根城にカミカゼ・アタックをした事から、この名前で呼ばれている。
ジンライ・フォックスはモータルへの被害を抑えたい考えを示す。
しかし、オブリビオンスレイヤーはこの言葉に異を唱えた。
『カミカゼ・イッキか。誘爆させればオブリビオンを殺しやすそうだな。いっそ奴らをけしかけるか』
『ちょっと待たないか?』
すかさずジンライ・フォックスが制止する。
『ボクらの今回の任務は確かにオブリビオンを殺し、ヤバイ級遅効性思考破壊プログラムを粉砕する事だ。でも、モータルの犠牲を良しとする方針は駄目だ』
ジンライ・フォックスが語気を強める。
これにオブリビオンスレイヤーは毅然と訴えた。
『オブリビオンでならば殺す事に躊躇いは無い。そして、あのモータルも死後は骸の海へ沈む。つまり誰もがオブリビオンになり得るのなら、そうなる前に対処するには此処で皆殺しには楽だ』
『オブリビオンスレイヤー=サン、それは矛盾してないか? 確かにあのモータル達が死んだらオブリビオンになる可能性はボクも否定できない。けれど、今ここでオブリビオンスレイヤー=サンが手を下せば、それこそスレイされた理不尽に対する怒りを抱えたままモータル達は骸の海へ沈んで、むしろオブリビオンになりやすくなるのでは?』
ジンライ・フォックスの反論は続く。
『それに、その行為はオブリビオンスレイヤー=サンのような境遇の人をこの場で量産することになる。それを望むというのか?』
そもそもオブリビオンスレイヤーの異常な復讐心の源泉は、最愛の姉をオブリビオンに殺された際の憎悪だ。
ならば、モータルが身勝手な暴力に晒され、その身内が悲しむ事を周囲に強要するのはオブリビオンスレイヤー自身が最も望んでいない展開である。
鎧を纏ったニンジャの女は、自身の失望したかのように嘆息を吐いた。
『……ジンライ・フォックス=サン。どうやら憎悪で目が曇っていたようだ。この詫びはこの任務で返す』
『気付いてくれればそれでいい。とはいえだ、アカダルマの連中も必ずいるはずだ。ここはしめやかにインタビューをしようじゃないか』
ジンライ・フォックスはギュッと右拳を握り締めて黒雷を迸らせた。
『なるほど、まずは潜入モードか。暗黒非合法探偵スタイルで行こう』
そう告げたオブリビオンスレイヤーは、トレンチコート……ではなく、黒革ジャンを羽織って状況判断。
カムロ・タウン・スタイルの暗黒非合法探偵スタイルVer.である。
二人のニンジャは電子看板からパルクールめいて壁や屋根を伝ってゆけば、あっという間にライブ会場裏手のバックヤードへ向かって疾駆してゆく。
『雷は何者にも捕らえられない……疾雷!』
ユーベルコードで身体の一部を黒雷に変化させたジンライ・フォックスのアンブッシュ!
「グワーッ!」
バックヤードを護衛していた、メガコーポ『黃神公司』のヤクザたちが感電してしめやかに卒倒。
倒れた二人から社員証を奪い、ニンジャ達はそれを首にかけてまんまとバックヤードへ潜入してみせた。
ちなみに、サラリマンにとって社員証は命よりも大切なもの。ましてやアカダルマのようなカチグミ企業なら猶更、付けていなければ指を1~2本ケジメの上で始末書。紛失すれば両手をケジメしたうえで翌朝タマリバーかトネリバーに死体が浮かぶことになるだろう。
ナムアミダブツ!
早速、二人のニンジャはバックヤードを物色。
すると、アカダルマファーマシーの社員らしい、ダルマ社員証を首から下げる人物を発見するオブリビオンスレイヤー。
『イヤーッ!』
すぐさま決断的に社員を拳でインタヴュー開始! 鳩尾へのワンインチパンチ!
タタラを踏んだ社員が苦悶の表情を浮かべた。
「グワ……!? な、何者ですか!?」
『ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。『ヤマラージャ・アイビー』について知っている事を吐け』
奥ゆかしいアイサツ作法とは裏腹に、鎧を着込んだニンジャの眼光は殺気に満ちていた。
しかし社員は脂汗を額に浮かべながら首を横に振る。
「な、なんのことです? 私はただ、このライブのスポンサーです……! 何も知らない!」
『そうか。だが早めに吐いた方がいい。私達は絶対に妥協しない』
オブリビオンスレイヤーの喉輪が、社員の首をギリギリと吊るし上げてゆく。
「ア、アイ……エェェ……」
白目を向いて、宙に浮いた両足をじたばたさせる社員。
妥協しないという言葉は本物だった。
「なかなか頑張るね。でも、これでどうかな?」
今度はジンライ・フォックスの黒雷ショック!
「アイエッ!」
全身が大きく痙攣する社員!
ちなみにオブリビオンスレイヤーも一緒に感電したように思えるが、ニンジャ眼力によれば、感電する直前だけ彼女は指を放していたのだ。
ワザマエ!
こうして、アカダルマファーマシー社員への強制インタビューの結果によって、このライブの音響機器のそこかしこに『ヤマラージャ・アイビー』が仕込まれていることが判明したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィア・フルミネ
カシム(f12217) と参加
この世界の潜入ももう慣れたもの。わざわざ実体がない空間に入り浸る、というのは魂人である私からすれば身につまされる思いだけど
煌びやかな世界。うん、この前のプールを思い出す
そんなに強く握られると放電できない。でも、わかった
《招雷》を起動して、張り巡らされた厳重な警備を探知用のカードで探って突破しよう。強行突破になりそうならともかく私たちが傷を負わないことを優先する
ターゲットの「ヤマラージャ・アイビー」……危険なプログラムらしい、今更だけどキャバリアのメルは大丈夫?
カシム・ディーン
同行
フィア(f37659
UC常時
幸運の神発動
毎回思うけどつくづくヴァーチャルってのもすげーな
全然現実と変わらねーな(ぺたぺた
「マトリッ◎スだね☆」
UCも技能も問題ねーか
この世界も現実と変わらない!
「おー☆」
之が普通に科学技術だから凄いよなフィア
【属性攻撃・迷彩・電撃・念動力】
光水属性と己達とフィアに付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや熱源隠蔽
念動力で音も隠し電磁障壁で認識阻害
フィア…手を握っていて下さいね?
バックヤードへの侵入
【情報収集・視力・戦闘知識】
気付かれないように…警備の会話等も聞き耳を立てながらプログラムに類する証拠の捕捉を行う
「大丈夫だよフィアちゃん☆メルシーは負けないぞ☆」
フィア・フルミネ(
麻痿悲鳴・f37659)とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)、そしてその相棒のメルシーの三人組は、まるで肉体そのものを電脳世界へ持ち込んだかのような没入感に感激していた。
「毎回思うけどつくづくヴァーチャルってのもすげーな。全然現実と変わらねーな? フィアの肌の感触も現実と変わらねーし。電脳世界でもフィアは可愛いですね」
恋人の頬をペタペタ触るカシム。
これにフィアは透き通った肌をほんのり桜色に染める。
「うん、ありがとう。カシムもこっちでも変わらずかっこいいね」
既に将来を見据えた交際中の二人は、今日も任務中にイチャイチャしている。
「それにしても、この世界の潜入ももう慣れたもの。わざわざ実体がない空間に入り浸る、というのは、魂人である私からすれば身につまされる思いだけど」
「そんなことないよフィアちゃん! VFXだよ! 特撮技術だぞ☆ そう思えば楽しいよ☆」
メルシーがフィアを気遣って声を掛ける。
そんなささいな優しさが、今のフィアにはとても心地良い。
「ユーベルコードも技能も問題ねーか。この世界も現実と変わらない!」
「おー☆ 再現度100%だね☆」
「これが普通に科学技術だから凄いよな、フィア?」
カシムの言葉にフィアはこくりと首肯する。
「そうだね。本当に、煌びやかな世界。うん、この前のプールを思い出す」
「プールですか。また是非一緒に行きましょうね、フィア」
楽しかった夏の思い出を振り返るのもここまでだ。
三人は任務へ集中するべく行動を開始した。
「んじゃ、僕達は今から楽屋へ忍び込むぞ。光学迷彩魔術を駆けるから、手をつないで行動だ」
カシムを中心に、左にメルシー、右にフィアと手をつなぐカシム。
今回は周囲の音も危険だと判断したカシムは、念動障壁に防音対策と電磁対策を加えて侵入を試み始めた。
「フィア……手を握っていて下さいね?」
「うん、ありがとう。でも、そんなに強く握られると放電できない」
「フィアちゃんは恥ずかしがり屋さんだね☆」
「大丈夫です。感電ダメージは全部メルシーが請け負う!」
メルシーの常時発動型ユーベルコードで因果律をいじっているせいか、カシムへの現在のダメージは全てメルシーがおっ被るのだ。
「ハァ……ハァ……ビリビリ、いつ来るのかな♥ ドキドキしちゃう……♥」
ドMの肉盾は既に心身ともに電撃受け入れ態勢は万全である。
平常運行のメルシーに構わず、フィアはユーベルコードで自身と同じ強さのレアカード「DC」と探知用の、自身より弱いコモンカード「U」を召喚する。
斥候として向かわせたカード達がすぐ戻ってくる。
なぜなら、既に見張りが他の猟兵によって薙ぎ倒されていたからだ。
「同じ考えの人がいたみたいだね」
「ネタを先に奪われたか? まあいい……バックヤードから楽屋へ侵入だ……!」
「お、おぅ! ビリビリしゅる……♪」
ひとりだけ恍惚の表情で昇天しているものの、三人組は難なくバックヤードへ突入。
すると、ちょうど二人のニンジャが拷問でアカダルマファーマシー社員から情報を吐き出しているところだった。
「聞いたか? 例のプログラムが入ってるの、ライブの音源機材全てだとよ?」
「かなり大規模……でも、これだけの規模だと、個別に管理するのは効率悪いはず」
「なら、どこかで一括管理してるはずだよね☆ あ、しゅごいの♪ ビリビリしゅごぉ……!」
へべれけになるメルシーをスルーするカシムとフィアは、早速楽屋の家探しを開始。
「ターゲットの『ヤマラージャ・アイビー』……危険なプログラムらしい、今更だけどキャバリアのメルは大丈夫?」
「大丈夫だよフィアちゃん☆ メルシーは負けないぞ☆」
フィアとメルシーの間にも深い愛情の絆が結ばれているやり取りであった。
「ん? なんだこりゃ?」
カシムは楽屋の鍵のかかった棚をピッキングし、中にあったUSBスティックに首をかしげる。
早速、メルシーは中身を解析し始めると……。
「これ、『ヤマラージャ・アイビー』だよ! でも中身は残滓程度しかないね? 一応、中身は完全に浄化しておくけど……どういう事だろう?」
メルシーの疑問にフィアがある仮説を唱えた。
「ここは電脳世界。つまり、USBスティックを自分の身体に差したら、情報が直接、アバターの肉体に流れ込む?」
「そんなことしたら、一瞬で廃人じゃねーか? いや待てよ? オブリビオンなら……そういう事か!」
カシムはひとつの結論に至った。
「あのアイドルの誰かが、このウイルスの女王感染者だ……! オブリビオンの肉体ならそれが可能だからな……!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
箒星・仄々
楽しいライブや音楽を邪悪な企みに利用するなんて
言語道断です!
企みを打ち砕きましょう
ファンとしてライブに潜入です
グループのTシャツを着て
団扇とベンライトをもって電脳世界へ
応援のふりをしながら探索です
遅効性のプログラム…
この世界の何かに紛れ込ませているのでしょう
魔力を込めて竪琴をぽろろんとすれば
その響きに込められた炎や風の魔力が
本来なら電脳世界に不要な光や音、香り等の構成分
即ち思考破壊プログラムを明かにします
そのプログラム(光や音や香り)の発信源を
辿っていきましょう
箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は音楽を愛する者として、今回のアイドルライブを借りた悪事に憤っていた。
「楽しいライブや音楽を邪悪な企みに利用するなんて言語道断です! アカダルマさんの悪企みを打ち砕きましょう!」
箒星はサイバーアイドルグループ『overwrite』のファンに扮して、ライブ会場に潜入することにした。
しっかりとグループのTシャツを着て、団扇とベンライトをもって電脳世界へダイブするほどの徹底ぶりだ。
ライブ会場周辺では、物販ブースが軒を連ねてひしめき合っている。
客引きのスタッフが法外な金額の公式ファングッズを販売するショップへ観客を誘導していく光景に、箒星は世も末だと心の中で嘆いてしまう。
「ここでの売り上げがアカダルマさんと黃神公司さんに流れているのですね。そしてライブ会場で熱狂しているファンの皆さんは、それらの尖兵へ洗脳されてしまう。ますます許せませんね!」
密かに尻尾の毛を逆立てて怒りを発露させる箒星だが、大っぴらにここで怒れば怪しまれるどころか、ファンに囲まれて棒で叩かれてしまうだろう。コワイ!
「遅効性のプログラム……この世界の何かに紛れ込ませているのでしょう。となると、あるべき姿を歪めていると解釈できますね。ならばユーベルコード『シンフォニック・キュア』で治療を試みれば、どこかの歪みが一瞬だけ元に戻るはずです。そこが怪しいでしょうね」
早速、箒星は物販ブースの片隅の空きスペースに陣取ると、竪琴を掻き鳴らして歌い始めた。
歌う曲は勿論、『overwrite』の代表曲だ。
♪クソキョショリアルは捨てちゃって~っ!
♪完全タノシイ・ヴァーチャル世界でイッちゃって~!
♪ここがゴクラク・ヘブンだ 歌え! 踊れ! カネ払え!
♪キミ達の世界は~ アタシらが塗り潰してあげるっ♡
唐突なカヴァーライブに、ファン達は棒を担いで箒星に詰め寄ってくる!
「ゴラァテッメ! 神聖なマインちゃんセンター曲をなに勝手に歌ってんだスッゾコラー!」
「ネコは潰してカンヅメだ!」
「毛皮はなめして高値で売れ!」
「そうしてまた『overwrite』にカネを投じるんだ!」
半ば洗脳されているファン達が襲ってきた!
だが、箒星は逃げずに尚も歌い続ける!
「皆さん! 目を覚ましてください! ♪ゴミカス未来はブッコロせ~!」
なんとコアなファンなら唄えて当然の2番の歌詞を空で、しかもアカペラで歌い上げる箒星!
これに血気盛んなファン達はふと暴力を思いとどまる。
(今のうちです!)
竪琴を情熱的に掻き鳴らす箒星は、歌声と共に物販ベースに魔力を拡散させてゆく。
暴走したファン達の洗脳深度を軽減させて昏睡させると、ライブ会場全体がぐにゃり、と歪が生まれた。
「やはりライブ会場内に仕掛けられていますか。私も洗脳されることを覚悟して飛び込まねばなりませんね!」
箒星はよく聞こえる三角の黒い耳をペタッと伏せながらも、足取りはしっかりとライブ会場の中へと向かってゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
八咫烏・みずき
【アドリブOK】
こんな形のアイドルって、なんかおかしくないかしら…
ココはファンのふりをして潜入を行おうかしら
しかし、見栄えはともかく、そこまで魅力のあるアイドルなのかしら…
(近くにいる誰かに聞こえるような声でつぶやき、他のファンの苛立ちを誘う)
攻撃してきそうなやつがいたらさっさと抑え込んで
このアイドルに関して知ってることを洗いざらい答えてもらうことにする。
まぁ片っ端から繰り返していればそのうち情報をつかめるでしょ。
サイボーグの八咫烏・みずき(静かなる復讐鬼・f36644)は、電脳世界のアイドルライブ会場の異様な空気に訝しがっていた。
「こんな形のアイドルって、なんかおかしくないかしら……?」
みずきにとってアイドルとは、人々を洗脳するのではなく希望を振り撒く存在だと考えているのだろう。
まるで新興宗教のような崇拝の機運が高まっている会場に胸糞が悪くなってゆく。
「ひとまず、ココはファンのふりをして潜入を行おうかしら。会場へ入りましょうか」
みずきは大音量が鳴り響く、薄暗い会場の中へと身を潜らせていった。
(うっ……なに、この匂い? 色んな人の汗の匂いが混じって……うぅ……!)
押し合い圧し合いの密集空間のなか、アイドルの動きに合わせて老若男女問わず飛び跳ねて歌い上げる会場は、凄まじい熱気と湿度と体臭で充満していた。
ほぼ何も対策を考慮していなかったみずきにとっては不意討ちもいいところである。
しかし、この程度ならまだ我慢できる。
先日のアスリートアース世界での任務では完膚なきまでに惨敗したり、その後の入院でも問題のある言動が散見されたが、流石にここで無様な姿を他の歴戦の猟兵達の前で晒して足を引っ張るわけにはいかない。
……それにしては、潜入方法や対策が杜撰かつ、かなり行動が行き当たりばったりではあるが、それもきっとアスリートアース世界で負った後遺症なのだろう。
みずきはどうにか汗でヌルヌルするおっさんたちを掻き分けて最前列に出ると、ようやく件の『overwrite』の面々とご対面を果たす。
しかし、みずきは彼女達が燦然と輝くスターには到底思えない。
「ううん、この子達、見栄えはともかく、そこまで魅力のあるアイドルなのかしら……」
半ば洗脳されている3万人のファンの最前列でそんなことを言えばどうなるか?
ブッダでも分かり切っていることを、何故みずきは口にしてしまったのか?
その報いはすぐに訪れる。
「テメッコラーッ! オモテヘデロー!!」
ファンの中のファンである『トップヲタ』とその取り巻きに彼女のつぶやきは聞かれてしまい、ライブ会場の外へ強制的に連れ出されてしまう。
そこへ30人がかりの集団リンチにみずきは遭ってしまう!
「どこのモンだテメッ! おい、このアマ、潰して内臓掻っ捌いて売っちまおうぜ!」
「その前にイイ想いさせてやろーぜ? すげえ身体してるしよーぉ?」
「ぎゃははは! んじゃさ、四つん這いにしてお楽しみ中にオレが女の首を刎ねる!」
「若い女の肉と骨の断面図が見てぇよ~!」
好き勝手言ってみずきを欲望の捌け口にしようと画策するファン共。
しかし、みずきにとって、ここまでは計算通りで計画通りであった!
「この、外道が……!」
損傷急速回復剤を一気飲みして無理矢理にダメージを回復させたみずきは、立ち上がりざまに機械肢から展開する光粒子の爪を大きく真横に薙ぎ払った!
「モータルだろうと容赦しないわ。悪は殺す!」
「「アババババーッ!」」
紫に輝くグラッジフォトンクローが、取り巻きのファンのアバターをズタズタに斬り裂いてしまった!
ブッダ! これで斬り裂かれたアバターの持ち主は、現実世界で廃人と化すだろう!
インガオホー!
残るはトップヲタただひとり。
みずきは彼の片腕に爪を突き刺し、逃げられないようにしてインタビューを開始した。
「アイエッ!? い、いてぇぇよ~ぅ!」
「……で? 私を後ろから前後して首を刎ねた後に内臓を売り払うって言ってたわよね? それ、詳しく聞かせてくれる? あと、どうせ知ってるんでしょ? 『ヤマラージャ・アイビー』のこと。正直に答えれば、あなたもサンズ・ヒガン・リバーを渡らずに済むわよ?」
「ア、アイエエェェーッ!」
トップヲタはしめやかに失禁すると、このライブの機密情報を全て白状した。
彼もアカダルマファーマシーと繋がって、甘い汁を吸っていた『関係者』であった。
臓器密売はアカダルマファーマシーが元締めになっている事、例のプログラムの仕掛けている場所やその秘密など、彼は洗いざらい吐いた。
「こ、これで全部です! だからアノヨへは勘弁してください! 約束しましたよね? ユウジョウ!」
「ええ、分かったわ。でも、私を前後しようとした件はまだ謝罪を受けてないわよ。だから、死ね!」
「アイエエエエェーッ! 正直に言ったじゃないですかー!」
「ごめんなさい、気が変わったの。すべての悪は絶対潰す……慈悲はないわ!」
「アババババーッ!」
このライブの数時間後、現実世界のトップヲタの変死体がネットカフェで発見されるのだが、警察は電子ドラッグ中毒者だと決めつけて捜査もしなかったという話は、また別の話である。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
「いやさ…主様のチョコ食えば力が戻って本来のムキムキないすみどるがいになれると思ったのによぉ…!」
鏡を前にわなわなしてるさっちゃん(でもポーズ取ってる
「なんでこんなセクシー美少女になってるんだ俺ぇぇぇ!?」
うむ!我がチョコのパワーでより美しくパワーアップしたな!おめでとうさっちゃん!いぇーがーかーど完成めでたいな!
「思ってたのと違うぅぅ!これもメルクリウスの阿呆とヘカテイアの脳筋の所為だ畜生め!」(でも鏡見て酔いしれてる
其れよりもサイバーザナドウだぞさっちゃん
来たのは初めてなんだが懐かしいな?
「初なのに懐かしいんです?」
何故かな?
取り合えず電脳世界とやらに行くとしよう
ライブ
「すげー!!でも俺の方が美人だけどな!」(でもおめめキラキラさせてサイリウムぶんぶん
さっちゃんが楽しそうで何よりだ
【戦闘知識・念動力・第六感】
(チョコもぐもぐ)
だがやはり良くないパワーを感じるな
さっちゃんと魔力リンクさせ念動力を薄く広げて探知開始
同時に洗脳防衛
場内構造から適切な仕掛けの位置の捕捉を試みる
「そんな事より聞いてくれよお前。そう、そこのマインちゃん永久永劫無限推しのお前だ。昨日、俺の主様に言ったんだ。主様に。こんな女児の格好じゃなくて、元の筋骨隆々だったナイスミドルの俺の姿に戻してくれってな。そしたら主様、だったら私のチョコを限界まで食え!とか言うんだよ、限界まで。もうね、アホかとバカかと。主様な、その糞マズチョコなら何度も食ってきたっつーの。今更そのチョコをドカ食いしたところでどうにかなるわけねーだろ。おめでてー頭だな。そしたら私のチョコはあらゆる薬効成分を詰め込んだ世界一身体に良いチョコだぞ!とか抜かすわけ。もう見てらんない。主様な、もうその生命力を直接俺に流せと。俺様の権能は元々そうやって他人の生命力を枯渇するまで『吸収』する特性なんだと。屈服させるか拒絶するか、俺のコクピット内でいつ殺し合いが起きてもおかしくない、殺るか殺られるか、そういう雰囲気がいいんじゃねぇか。ゴミ同然のチョコレートはすっこんでろと。……そう思っていた時代が俺にもあったんだ」
いきなりヒト化した連環神機『サートゥルヌス』は、ライブを見に来たアバターに肩を回してがっしりと絡んでいた。
「あの野郎……! 気を利かせてあげたぞ!とかで、強引に俺が寝ている間に1億倍濃縮還元カカオ汁を口の中に流し込みやがって! んで、むせて目が覚めたらこの姿だ! ふざけんな! 確かに力は取り戻せたが、ナイスミドルで筋骨隆々どころか、こんな細腕で胸がタプタプした女の姿になっちまったじゃねーか! 殺す! 絶華は絶対にブッコロ……」
「誰を殺すのというのだろうか?」
皇・絶華(影月・f40792)は両手に激マズ薬膳チョコを握り締め、振り返ったサートゥルヌスの喉奥へ手を突っ込んで直接胃の中へダンクシュートッ!
「おええええええええ! ずびばぜんでじだぁぁあ!」
さっちゃん、無事死亡確認!
絶華は絡まれたファンに頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
「すまなかった、うちのさっちゃんが迷惑をかけた。彼、パワーが溢れすぎてTS化してしまった事が余程嬉しくて仕方がなかったようでな! 誰かに言いふらさないと気が済まなかったようだ! ところでキミは『ヤマラージャ・アイビー』について何か知っていないか? む? 知らない? よく思い出したまえ、この私のチョコを食べてパワーで記憶を取り戻せ!」
「ギャアアァァァアッ!」
絶華はこうして、一般人ひとりを手に掛けたのだった。
ヒトデナシ!
「畜生! なんでパワーアップしたら女に性転換しちまうんだよ!? 思ってたのと違うぅぅ! これもメルクリウスの阿呆とヘカテイアの脳筋の所為だ畜生め! だが俺の方が美人だな! ざまぁみろ!」
「なんだかんだ言ってて気に入ってるようだな、さっちゃん?」
下僕のナルシストぶりが加速してゆく光景に、絶華はチョコをバリバリ食しながら目がキマッている。
「うるせー! それよりライブ会場で情報を聞き込みすんだろ!? 行くぞ主様!」
サートゥルヌスは長い黒髪を振り乱し、翠色の瞳を爛々と輝かせて、生涯初のアイドルライブを体験するのだった。
その30分後……。
「マ・イ・ン! マ・イ・ン! すげー! アイドルやべーぞ! 俺の方が美しいけどな!」
完全にアイドルライブに夢中になってしまったサートゥルヌスであった。
「さっちゃんが楽しそうで何よりだ。され、チョコで強化された私に洗脳など効かないのでな!」
電子ドラッグにも無類の態勢を誇る絶華のチョコとは、一体何なのだろうか……?
絶華は一瞬でライブ会場の仕掛けを見抜いていた。
「360度全方位からの音響、その中に僅かなノイズを感じる……チョコで強化された私の聴力はごまかせないからな! では、周囲のファン達もそろそろ正気に戻ってもらおうか!」
絶華は周囲のファンの口の中へ、無理矢理に激マズ漢方チョコをねじ込んで制圧してゆく。
あまりの不味さにファンは次々と卒倒するが、凄まじい薬効とパワーのおかげで彼らの洗脳は溶けて安らかな顔で眠りこけるのだった。
だが、この騒ぎがライブ会場に猟兵がいる事を知らしめる騒動になってしまう。
メガコーポ側が次のフェーズへ行動を移行する……!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『強化心臓サイボーグ兵』
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POW : オーバーローディング・ゴッデスパワー・コピー
【女神の心臓のリミッター解除】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【機械の四肢を超強化形態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : ハイジャッキング・ゴッデスハート・コピー
レベルm半径内の、敵が制御していない装備・設備を自身の【女神の心臓(コピー)】と接続し、命中率と処理速度を増加させる。
WIZ : リバイヴィング・グラッジ・コピー
【ダメージに比例して強化されるフォトンの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
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メガコーポ側はライブ会場内で大暴れする猟兵の存在に気付くと、会場内の全スタッフに排除指示が出される。
「みんな~♡ 今日はスペシャルな演出でライブを盛り上げちゃうよ~♡」
センターのマインちゃんがマイクで宣言すると、バックのアイドルメンバー達が一斉に会場内へ散らばっていった。
「これから~このライブ会場を襲撃しに来た『テロリスト』を公開処刑しちゃいま~す♡」
なんと、ライブの演出として、猟兵達をテロリストと称して『overwrite』の面々が撃退するとふっかけたのだ。当然、事情を理解できていないファン達3万人も一斉に猟兵達へ敵意を向け始める。
「
囲い豚っぴのみんなも~! 助けて~! え~んえ~ん!」
ステージ上ではマインが泣き真似を白々しく行い、ファン達を煽りに煽っている。
このままでは、オブリビオンである『overwrite』の面々を撃破したくともモータル3万人を相手取らねばならない状況に追い込まれてしまう!
ごく少数で一部のファンを除き、ファンの99.99%は“ただ洗脳されているだけの一般人”であることを忘れてはならない。
これ以上、少しでも一般人が死んだ時点で、この任務は失敗すると思ってほしい!
果たして、一般人を隠れ蓑にして襲ってくる『overwrite』のメンバーこと『強化心臓サイボーグ兵』軍団を、猟兵達は撃破できるのだろうか?
ユーベルコードの高まりを感じる……!
フォーネリアス・スカーレット
【ジンライ・フォックス・f27072と同行重点】
「テロリストの公開処刑か。その行動には同意する」
堂々とアイサツをしよう。
「ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。殺されに来るとは殊勝な奴らだ。褒美に念入りに皆殺しにしてやる」
銃無し、武器無し、近接特化か。ならば近付かれる前に仕留める、
「と、言える程の弾幕は張れんが」
まずは両手にSMG。撃ち切ったら銃を投げ付ける。
「イヤーッ!」
本命は銃身に巻き付けた金属製フックロープ。即ち、伝導体だ。
「私がやれるんだ、本家の腕前を見せてもらおう」
私も電撃となり駆け抜けながらフックロープをばら撒いて足止めと伝導体の敷設に努める。
叢雲・凪
オブリビオンスレイヤー=サンと連携行動重点
「ドーモ はじめまして ジンライ…」 一呼吸の間を置き
「フォックスです」 礼儀作法+威圧を用いた威圧的アイサツ! ブッダ サイバー空間であるにも関わらず落雷が発生し カワイイバックダンサーモブが直撃を受けて四散!
「相手のほとんどはモータル… ならば… 炙りだすか!」さすがオブリビオンスレイヤーサン 戦いのメソッドを分かっている。オブリビオンスレイヤーサンの作り出したワイヤーの結界に黒雷を流す。(属性攻撃+麻痺攻撃+気絶攻撃)
「この電圧ではモータルは気絶するだろう… しかし オブリビオンはどうかな?」
「行こう! オブリビオンスレイヤー=サン!」 夜天九尾を発動。超高速でカラテを叩き込もう。
「二極… 双雷!!!」 鼻先一ミリまで接近して繰り出されるのはほぼ密着した【ゼロインチパンチ】!!
フォーネリアス・スカーレット(オブリビオンスレイヤー・f03411)はオブリビオンへの憤怒をあからさまに発露させる。
それは『overwrite』のメンバーこと『強化心臓サイボーグ兵』達によるユーベルコード『ハイジャッキング・ゴッデスハート・コピー』にて強化された音響機器の出力強化、それに伴う思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の効力拡大によって、更に激昂した。
「テロリストの公開処刑か。その行動には同意する。イヤーッ!」
オブリビオンスレイヤーはファンの群衆の中からハッソウ・ジャンプめいて多段跳躍を行うと、ライブ会場のディスプレイである【人生未来永劫永遠恒久お前が最推し重点】とショドー・フォントで書かれた垂れ幕の一番上で直立着地して敵を見下した。
「だが、モータルを盾にして攻撃をかわそうなどという魂胆は、所詮、サンシタのやる悪手だ。それが分からないなら殺す。慈悲はない」
これに叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)こと赤黒いキツネめいたニンジャもまた、ニンジャ跳躍力をもってして群衆の中から飛び出すと、ステージ上の【お前らは実際養分♡】とキッチュに描かれた看板の上に立って両腕を組んで佇む。
「竹林のタイガー、暁を知らず……いや、キューソーは猫を噛んだら殺すの方か? どちらにせよ、ヤケクソ・アトモスフィアから起こる突発的な行動だ」
ジンライ・フォックスはアカダルマ側のこの行動を冷静に分析してみせた。
二人のニンジャは互いに目配せすると、それぞれ奥ゆかしくアイサツを行った。
「ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。殺されに来るとは殊勝な奴らだ。褒美に念入りに皆殺しにしてやる」
フルフェイス兜の目元で赤く輝く復讐者の眼光!
対して、もう一人のニンジャは……。
「ドーモ、はじめまして。ジンライ……」
一呼吸の間を置き、
「フォックスです」
なんたる高圧的かつ奥ゆかしいアイサツだろうか!
まるでキョートのカチグミ・サラリマンが使いこなす本音と建て前のようなチグハグさ!
そして、おお! ブッダ!
サイバー空間であるにも関わらず、ライブ会場上空から赤黒い稲妻が何本も堕ちると、ステージ上のカワイイ重点のサンシタ・バックダンサーの頭上に直撃!
「サヨナ――!」
サンシタがゆえにアイサツを完璧に出来ぬまま、落雷をその身に受けたモブ・サイボーグ兵共はしめやかに爆発四散!
しかし、まだ多くの強化心臓サイボーグ兵の正規メンバー達が、3万人のファンの中に紛れて様子を窺っている。
その間にも、彼女達の女神の心臓の模造品が『ヤマラージャ・アイビー』が組み込まれた音響装置と接続し、周囲の洗脳深度を深めているのだ。
「相手のほとんどはモータル……ならば……炙りだすか!」
ジンライ・フォックスの提案に、オブリビオンスレイヤーが注釈を加える。
「銃無し、武器無し、近接特化か。ならば近付かれる前に仕留める、と、言える程の弾幕は張れんが」
「さすがオブリビオンスレイヤー=サン。戦いのメソッドを分かっている」
二人のニンジャは散り散りに会場内に跳躍すると、上空からホークアイめいて強化心臓サイボーグ兵を見抜く。
「そこか。イヤーッ!」
「そこだ、イヤーッ!」
片やサブマシンガンの精密射撃、片や黒雷を帯びた苦無のマシンガン投擲!
ニンジャ眼力による精密さで、モータルを傷付けずに敵だけを射貫く!
ワザマエ!
しかし、敵もイディオットではない。
今度はモータルの群衆に潜るように身を屈み、遠距離攻撃をかわす作戦に切り替えた。
彼女らは自ら攻撃は行わない。
ただ彼女達が自身の改造心臓を音響機材に接続するだけで、ライブ会場内の猟兵達の思考を徐々に狂わせ破壊するのが目的なのだから。
つまり、時間をかければかけるほど、ニンジャ猟兵の二人はジリープアー(徐々に不利)なのだ。
「おちおち敵を探していられないな。こうなればアブハチトラズだ」
オブリビオンスレイヤーはD社製巻き上げ機構付きフックロープを射出し、会場のあちこちへ金属ワイヤーを張り巡らせる。
それを悟らせないために、散発的にサブマシンガンの射撃を敢行する。
「当たらなくてもいい。音で警戒すればそれで済む」
群衆の中で身をかがめるサイボーグ兵達は視界の見通しが悪く、断続的に響く銃声に警戒心を剥き出しにして顔を上げようとしない。
この心理をオブリビオンスレイヤーはうまく突いたのだ。
「さあ、伝導体は張り巡らせた。ジンライ・フォックス=サン、後詰めは任せた」
「ヨロコンデー」
ジンライ・フォックスは決断的にユーベルコードを発動!
「出てこい……眠れる九尾……黒神の化身!! 夜天九尾!!」
黒雷外装【鳴雷】を解く事で、ジンライ・フォックスは黒雷の尻尾が生やして夜天九尾形態へと変身!
全身の黒雷が身を蝕むも、光速の機動力と凄まじい放電能力を獲得する!
「この電圧ではモータルは気絶するだろう……しかし、オブリビオンはどうかな?」
右手をバチバチッと迸らせた黒雷が、オブリビオンスレイヤーが張り巡らせた金属ワイヤーに伝播する。
すると、ライブ会場が一斉にアビ・インフェルノ・ジゴクめいた絶叫の合唱が響き渡った。
「「ア、アイエエェェ!?」」
かなりの人数のモータルが感電したが、実際手加減したので全治1週間程度の軽い火傷程度で済んだ。
しかし、周囲が昏倒する中で“斃れることが出来なかった”サイボーグ兵達は、肉の盾がなくなって右往左往してしまう。
そこへ飛び掛かるオブリビオンスレイヤー!
「誰かに出来るなら、私にもできる筈だ」
ユーベルコード『ジンライ・イミテイション』!
これはジンライ・フォックスめいた一本の黒い尾を持つ狐面のニンジャに変身可能なユーベルコード!
「行こう! オブリビオンスレイヤー=サン!」
「私がやれるんだ、本家の腕前を見せてもらおう」
ふたつの黒雷が激しく瞬くと、轟音と共にライブ会場を縦横無尽に駆け巡ってみせる。
「二極……双雷!! イヤーッ!」
「オブリビオンは殺す! イヤーッ!」
ジンライ・フォックスとオブリビオンスレイヤーは、サイボーグ兵達の鼻先一ミリまで肉薄すると、決断的に繰り出されるゼロインチパンチで衝撃をその身体に突き抜けさせる。
その行為を僅か1秒足らずの間に3回も繰り返した!
「「サヨナラ!!」」
強化心臓を粉砕された『overwrite』のメンバー達は、まとめて空中へ吹っ飛ばされながら盛大に爆発四散していったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
同行
フィア(f37659
中々シビアな状況だが手がねーわけじゃねー
フィアも助けたい…よな
【情報収集・視力・戦闘知識】
一般人の状況とその中に紛れたサイボーグ兵を捕捉
「ご主人サマ!あの子達…心臓が改造されてるよ!」
つまり馬力の強い動力源ってか
ならそれを奪えばいいって事だな
【属性攻撃・迷彩】
光水属性をフィアと自分達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源も隠蔽
ってフィア!?
…あれをやる気か
メルシー…!
「分かったよご主人サマ!フィアちゃんの思い出も守るよ!」
【空中戦・念動力・弾幕】
飛び回り念動力を広範囲に展開して一般人も含め動きを止
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
正確に敵の身を狙いUC発動
武装強奪と共に女神の心臓を抜き去る
【瞬間思考力・電撃・念動力】
加速した思考で敵の攻撃や諸々で命に関わる怪我を負いそうな一般人を捕捉
トラウマ?…させねーよ
フィアにはこのカシムさんとの楽しい思い出を犠牲になんぞさせねー!
そいつは唯の保険だ!
あらゆる一般人に対する命への脅威を電撃で迎撃や念動力で抑え込む!!
フィア・フルミネ
カシム(f12217) と参加
潜入した意義はあったけど、うん。こうきたか。でも誤っているし、思い通りにはならない。テロリストではないし処刑にもならないから
私を、魂人を、その手で処刑できるか試してみる?
迷彩の中から一般人のど真ん中に飛び出す。ほら、武器はないから
キミたちも、私たちの気が変わらないうちにこの場を離れて。本当のアイドルだったらキミたちをけしかけるようなことするわけがない。なんて説得しつつ注意を惹きつける
サイボーグが至近距離まで近づいてきたらカシムに合図。やっつけて。私はこのまま攻撃を受けつつ、歩き回って炙り出すから。ファンが巻き込まれたらその死も《永劫回帰》で無効にする
ああ、トラウマになりそう
周囲には人、人、人。
3万人の肉の壁に紛れ、サイバーアイドルグループ『overwrite』のメンバーこと『強化心臓サイボーグ兵』達が猟兵達を影から狙い澄ます。
ファン達も怨嗟の罵声を浴びせ掛け続け、まさに四面楚歌といったところか。
「潜入した意義はあったけど、うん。こうきたか」
フィア・フルミネ(
麻痿悲鳴・f37659)は完全に包囲されたライブ会場をしきりに見渡している。
「でも誤っているし、思い通りにはならない。テロリストではないし処刑にもならないから。私を、魂人を、その手で処刑できるか試してみる?」
群衆の中に紛れているサイボーグ兵達へ、フィアは挑発の声を投げかける。
彼女の恋人であるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)もまた、相棒のメルシーに敵の探知を任せてフィアを庇うような立ち回りをしてみせる。
「中々シビアな状況だが手がねーわけじゃねー。フィアも助けたい……よな?」
「大丈夫、誰も死なせない」
フィアの言葉は、どこか思い詰めた印象をカシムは感じ取った。
と、ここでメルシーが敵の探知に成功。
同時に敵の解析結果を二人へ報告する。
「ご主人サマ! あの子達……心臓が改造されてるよ!」
「つまり馬力の強い動力源ってか。なら、それを奪えばいいって事だな」
「カシム、でもそれって、近付かないと難しい」
フィアの危惧する言葉にカシムはニタリと笑みを浮かべて応えた。
「この天才魔術盗賊のカシム様が、3万人の群衆の中でスリが出来ないとでも? おいメルシー、いつものアレいくぞ!」
「道頓堀に飛び込むアレ?」
「ちげーよ! 光学迷彩魔術だろーが!」
メルシーの小ボケにカシムが足蹴で催促すれば、フィアも含めて三人の姿がライブ会場から消えてなくなった。
光学迷彩魔術と気配隠匿魔術、そして熱源感知遮断まで行う徹底ぶりだ。
「ありがとう、カシム。それじゃ、いってくるね」
ここでフィアが何を思ったのか単独で群衆の中へ飛び込んでゆく。
「ちょ、フィア!?」
カシムの手から離れたフィアの姿を捉えるのは困難だ。カシムとメルシーが他者から認識できないようにガチガチに魔力を施したのだから、当然のことである。
「ご主人サマ、フィアちゃんの居場所が分からないよ!」
「よく探せメルシー! まさかフィア、アレをやる気か
……!?」
カシムが恐れるアレ……魂人であるフィア特有のユーベルコードの発動を、今まさにフィアは狙っていた。
それを悟ったカシムは、メルシーに抱えてもらってライブ会場の天井付近まで飛翔してもらい、フィアの姿を必死に探し始めた。
「ほら、武器はないから。キミたちも、私たちの気が変わらないうちにこの場を離れて。本当のアイドルだったらキミたちをけしかけるようなことするわけがない」
「だ、誰だ! 何を言ってやがる! 殺すぞ!?」
「うわ! 何かに柔らかいのに触れた!」
思考破壊プログラムの影響で錯乱するファン達。
しかしフィアは認識されにくい今の状況を利用し、彼らの耳元に囁き掛け、自身の肌へ触れさせる。
フィアの言葉自体に洗脳解除の効果はない。説得で何とかなるかと考えていたようだが、それは少々楽観視しすぎていたようだ。
このままではラチが明かない。敵にも見付かっていないが、ファン達をどうにか出来るわけでもない。
千日手の打つ手がない状況を打破するため、フィアが次に取った作戦は……。
「ごめん、カシム。光学迷彩魔術を、解除する」
なんと、フィアはファンの群衆の中でその姿を曝け出したのだ。
「うわぁ! 目の前に人が急に現れた!」
「こいつ猟兵だ! 殺せ!」
「るんちゃーん! ねもちゃーん! 猟兵がいたぞー!」
ファンがフィアをもみくちゃにし、その渦中へ名を呼ばれたサイボーグ兵達が急行する。
そのサイボーグ兵の両手は、紫色に輝くフォトンの爪が伸びる!
「みんな、教えてくれてありがとう!」
「それじゃ、まとめて死んじゃえ!」
サイボーグ兵はなんと、肉の壁ごとフィアの肉体を引き裂いたではないか!
この光景をファンの頭上から目撃したカシムが怒鳴った。
「てめぇ……! くそがぁ!!」
「ご主人サマ! 降ろすよ!」
メルシーがカシムを手放して、血塗れのフィアの元へ降り立つ。
ファンのバラバラ死体の中で、フィアの死蝋のような真っ白な肌が赤く染まる。
「フィア! しっかりしろ!」
「か、シム……ごめん」
フィアの短い謝罪の言葉が零れた次の瞬間、その肉体は一瞬で元通りに復元されてゆく。
周囲のファンの肉体もいつの間にか元通り。
これが魂人特有のユーベルコード『永劫回帰』……戦場内の味方の死に至る一撃を、10秒以内であれば無効化できる不死の御業だ。ただし、使用するたびに楽しい記憶がトラウマへと書き換えられてしまう。
「ああ、たくさん生き返らせたから、トラウマになりそう」
「ふざけんなよ……トラウマ? ……させねーよ、フィアにはこのカシムさんとの楽しい思い出を犠牲になんぞさせねー!」
「ご主人サマ、危ない!」
上空に漂うメルシーが警告!
サイボーグ兵が女神の心臓のリミッターを解除、機械の四肢を超強化形態に変化させて襲い掛かってくる!
このままではまた一般人が犠牲になりかねない!
「メルシー! ヤレ!」
「……みんな、ごめんね! メルシーはどうしてもフィアちゃんの思い出を守るよ!」
上空のメルシーが念動障壁を発生させる。
ただし、普段のようなカシムを守る盾としてではなく、ファンとサイボーグ兵達を頭上から押し付ける『蓋』として。
突然、見えない力で頭上から押さえつけられた3万人の観客とサイボーグ兵達は、その場でうずくまって動けなくなってしまった。
こうなってしまえば、だいぶ視界は開けて、立っているカシムからサイボーグ兵達の姿が丸見えだ。
「フィアの永劫回帰は保険だ……だが……その保険を切らせちまったのは僕の落ち度だ……クソが……!」
うずくまるファンを蹴り除け、カシムは忌々し気にゆっくりとサイボーグ兵達へ歩み寄ってゆく。
「本当は心臓だけ抜き取るつもりだったが……気が変わった……。てめーらはボルトの一本単位までこの場で解体してやる……! 悦べ、てめーらは別の世界の闇市でパーツとして売り捌かれるんだ……生体組織は臓器売買の闇ルートへ流してやる。アイドル活動よりも社会貢献できるぞ?」
「カシム……」
フィアはカシムが激怒して拳が震える様を見詰めていた。
彼の怒りは、サイボーグ兵達へ向けられたものであると同時に、フィアの記憶を守れなかったカシム自身の怒りだ。
「万物の根源よ。我が手にその心をも奪い去る力を宿せ」
サイボーグ兵達の背中越しに強化心臓を抜き取るに飽き足らず、脳髄や肺、肝臓、人工筋肉や内臓兵器など、ありとあらゆるパーツを引っこ抜いてメルシーの賢者の石で出来た身体に突っ込んで保管させてゆく。
「フィア……すまない……僕は、守れなかった……!」
「ううん、カシム、そんなことはない」
フィアの慰めの言葉にカシムは頷くも、その腹の中では自罰の黒い炎が渦巻くのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
箒星・仄々
公開処刑とは
全くアイドルっぽくありませんね…
洗脳故に気付かれないのでしょうか
overwriteさん方を海へと導きましょう
ぺろっとして摩擦抵抗を減じて
密集する中をつるつるーと自在に動き回ります
ファンの皆さんの妨害もすり抜けます
overwriteさんの攻撃も滑って避けたり
つるっと受け流したりします
巻き添えを喰らいそうなファンの方の
体や足元をぺろっとして
滑って転んで回避させたり
同じくつるりと攻撃を受け流していただきます
同様にoverwriteさん方がファンの方を盾にした時にも
密集に紛れて近づいて
同様にぺろっとして
すっぽ抜けてもらいます
ファンを害そうとしたり
盾にしようとしたり
アイドルの風上にも置けませんね
ぎゅうぎゅうで身動きしづらいoverwriteさん方を尻目に
ペロっとして
転んでいただく他
機械部品をバラバラに分解して
倒します
全員を無力化しましたら
喧騒の中リートを奏で鎮魂の調とします
海で静かにお休み下さいね
魔法少女・マジカルガール
UCとマジカルカメラで撮影♪
コンパクトを開いて世界知識と流行知識を取り入れたマジカルアイドルに『魔法変身☆』(肉体改造・化術
正体を隠す為のドレスを早業で脱衣&早着替えして、アイドル衣装に変装・防具改造♪
ステッキもマイクに武器改造☆
メイクもバッチリで私の魅力を超強化♡
ステッキの魔法で会場のスクリーンやモニターをカメラと繋いで私の姿をライブ配信☆
国民的スタアのカリスマオーラを纏ってウイングで観客の頭上を飛び、カメラで私のアニメのオープニング曲を流して空中ダンスしながら歌唱☆
歌声にマジカルハートを乗せた魔法のメロディで敵とお客さんを傷付けず邪悪や心のみを浄化して癒して
状態異常を治療するよ♡
箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はシンフォニアだ。音楽に趣の深いジョブゆえ、アイドルの在り方にも持論が多少あるらしい。
「公開処刑とは全くアイドルっぽくありませんね……ファンの方々も洗脳故に気付かれないのでしょうか」
そう言いながら全身を毛繕いする箒星。
これは彼のユーベルコードの発動に必要な予備動作である。
そうしている間にも、音響機材とサイボーグ兵達の強化心臓が接続され、会場内の洗脳濃度が急激に高まっている。
ファンも箒星を取り押さえようと押し寄せてくるが、毛繕いをしたことで摩擦抵抗力が限りなくゼロに近づいたせいで、押さえつけられてもつるっつるにすり抜けてゆく。
しかし、これでは会場のどこにサイボーグ兵達がいるか探し出せない。
逃げ回るのは容易いが、広いライブ会場ですり抜けてゆくのも骨が折れる。
そうしたものかと箒星が考えあぐねていると、突如、ステージの上に見慣れない人影が現れた。
「皆の夢と希望を叶える存在…それはアイドルじゃなくて、魔法少女でしょ?」
ステージ上には、まだ小さな女の子がポーズを決めてファン達の視線を釘付けにしていた。
どう見ても小学生低学年の少女は、マジカルコンパクトを開いて、中身の鑑に自信の顔を映す。
そして、お決まりの詠唱文句を唱えた。
「
魔法変身!」
次の瞬間、彼女の身体が虹色の光で包まれ、衣服が消え去って身体のラインが露わになった!
鏡に映った姿が虹炉に輝く身体に投影されれば、overwriteのメンバーにも負けない、キュートでパッション溢れるアイドルコスチュームを纏った姿へ変身!
亜麻色の髪もくるぶしまで延びると、ブリリアントピンクに染まったツインテールをおおきなリボンで結ってカワイイ・アピール!
彼女はヴァーチャルキャラクターにして本物の魔法少女、魔法少女・マジカルガール(魔法少女王国のお姫様マジカルランドプリンセス・f38569)なのだ!
「皆の心は私だけのものだよ♪ 魔法偶像・マジカルアイドル☆ スペシャルステージ、開演だよ
マジカルステッキはスタンドマイクへ変形させ、流行のメイクでマジカルアイドルの魅力を最大限まで高めていく。
更にユーベルコード『グッドナイス・ブレイヴァー』をマジカルカメラで撮影すれば、ライブ会場のスクリーンやモニターを魔法で電波ジャック!
「オブリビオンアイドルなんかよりも、私の魅力でメロメロになっちゃえ♡」
ステージの上から宣言した魔法少女は、背中に輝く翼を顕現させると、カリスマオーラを振り撒きながらライブ会場を飛翔し始めた。
「いっくよー♡ 『マジカルプリンセス♡ラブリーガール☆』! ミュージック、スタート♡」
会場の音楽機材や映像機器を乗っ取った魔法少女は、自身の出演するアニメのオープニングソングを熱唱し始めたではないか。
だが、会場の思考破壊プログラムが健在の今、こんなことをすればどうなるか?
「皆、幸せだよね♡」
「「うおおおおお! しあわせだよー♡♡♡」」
答えは明白……っ!
洗脳が、上書きされる……っ!
しかもユーベルコードの効果で、応援されればされるほど『overwrite』からファンを奪い取ってゆく……っ!
「安心してね! あとでちゃ~んと洗脳は解いてあげる! 私のマジカルハートでね♡」
「「カワイイヤッター!!」」
ライブ会場を乗っ取られた『overwrite』関係者は、どうにかピンクの闖入者を止めようと躍起になるのだが、如何せん空中を自在に飛び回る相手に手出しが出来ずにいた。
「おや、いい感じに皆さんの注意が上に引き付けられましたね」
箒星にとっては、唐突に現れたトンチキ・インシデントに感謝していた。
周囲のファンは上空のピンクの魔法少女に殺到していくため、状況が呑み込めない『overwrite』メンバーが右往左往して取り残されているからだ。
「今のうちにアイドルさんを骸の海へと還しましょう!」
箒星はツルツルに滑るお腹で胴体滑走すると、標的へ一気に肉薄してゆく。
「申し訳ありません。その心臓、分解させていただきます」
「え、きゃぁっ!」
次の瞬間、箒星は『overwrite』メンバー達の身体を高速ペロペロ!
サイボーグ兵達は機械部品の留め具の摩擦抵抗力を失い、その場でバラバラに分解されて沈黙してしまった。
ただし、撃破までの工程の絵面は、青少年の何かが非常に危ない!
「ファンを害そうとしたり、盾にしようとしたり、アイドルの風上にも置けませんね。骸の海で学び直してきてください」
箒星は懐中時計から変形させた竪琴をポロンポロロンと爪弾き、上空の魔法少女が歌う楽曲に即興でアレンジを加えてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
皇・絶華
「おい主様!囲まれちまったぞ!?こうなったら機神に戻って皆殺しに…!」
ダメだぞさっちゃん
一般人は巻き込まれただけだ
後で治療するためにも生かさなければならないが…ちょっとチョコが足りない…か?残念だ
(近くの洗脳一般人にチョコ(一般人用だが味は地獄)を捻じ込みつつ…但し不殺徹底
【戦闘知識・第六感・念動力】
念動力を広範囲に展開
一般人とそれ以外の捕捉を確実に
時に直感も利用する
UC発動
対一般人
次元転移で安全な場所に飛ばす
「俺様の権能は最強だってことをおしえてやらぁ!」
そして敵サイボーグは容赦なく心臓毎次元切断で切捨
【薬品調合・武器受け】
一般人やサイボーグの攻撃は円環で受け弾く
睡眠ガスで一般人は眠らせ
八咫烏・みずき
「あれは…なんだか嫌な感覚を感じるわ。」
敵から発せられる心臓の鼓動。それに反応するように自分の脈動も激しくなる。
自分と同じ心臓を持っていることを理解したみずきは
彼女たちに対して強い敵意を向ける。
(お姉ちゃんと同じ、心臓の鼓動…もうすでに複製されてるってことなの?)
みずきはサイボーグ兵に対し激しい攻撃を仕掛ける。
劣化したみずきの心臓よりも敵の心臓のほうが性能が高く
苦戦を強いられることになるが
「負けるわけには…いかない!」
力を振り絞り、ユーベルコードを発動させ、逆転を狙いに行く。
「おい主様! 囲まれちまったぞ!? こうなったら機神に戻って皆殺しに……!」
漆黒の薄手のワンピースを纏った、黒髪の少女の姿をしたTSオッサンこと連環神機『サートゥルヌス』がいきり立つ。
しかしそれを皇・絶華(影月・f40792)が制止する。
「ダメだぞ、さっちゃん。一般人は巻き込まれただけだ。後で治療するためにも生かさなければならないが……ふむ? ちょっとチョコが足りないか?」
「おぼぎゃああああああ!?」
絶華が手製のクソマズ漢方チョコを洗脳されたファンのひとりの口の中に押し込めば、あまりの苦渋の味覚と薬効成分で脳内ニューロンが焼け焦げて強制ログアウトしてしまった。
「わぁ……! チョコの不味さでファンが現実に引き戻されちゃった……!」
サートゥルヌスは改めて、自分の主人のチョコの暴力的な可能性の幅広さに震撼していた。
一方、八咫烏・みずき(静かなる復讐鬼・f36644)にとって、『overwrite』メンバーである強化心臓サイボーグ兵達は直感的にシンパシーを覚えていた。
「あれは……なんだか嫌な感覚を感じるわ」
みずきの心臓は殺されたサイボーグの姉の心臓こと『女神の心臓』を受け継いでいる。
だが、周囲に潜むサイボーグ兵達もまた、自身と同じ鼓動を打つ心臓を持っている事は間違いない。
その証拠に、みずきの心臓と敵の心臓が共鳴するように鼓動が早く強く打つのだ。
(お姉ちゃんと同じ、心臓の鼓動……もうすでに複製されてるってことなの?)
医療分野に強いアカダルマファーマシー、もしくは他のメガコーポが、みずきの姉の心臓を元に高出力のサイボーグ心臓を開発していたという恐ろしい事実を突き付けられたみずきは、激しい怒りを『overwrite』メンバーへ向ける。
「お姉ちゃんの尊厳を……これ以上、踏みにじるな!」
3万人の群衆の妨害を、鉄拳で殴って気絶させながら掻い潜ってゆくみずき。
敵の居場所は心臓が教えてくれる。しかし、なかなか前に進めず、更にリミッター解除してきた敵サイボーグ兵達の腕部兵器に痛めつけられてゆくみずきであった。
そんな嬲られ続ける猟兵の姿を、絶華とサートゥルヌスは見過ごすわけがなかった。
「おい主様! あれ、やべーんじゃねぇか!?」
「寄って集って女性を嬲り殺しとは、アイドルもファンもパワーが足りていないんじゃないか?」
絶華は両手を大きく頭上へ振り上げたかと思えば、身体を捻って足を大きく上げて前へ踏み込むと、握り締めた砲丸めいたクソマズ漢方チョコの塊を全力投球!
敵サイボーグ兵の顔面にチョコ弾丸が命中・爆散し、口の中に入り込んだ破片の地獄の味覚で敵がショック死してしまった!
「ふんっ! ふんっ! ふんふんふんふんっ!」
それも一発だけではなく、どんどん投げ付けてゆく!
ファンが口にすれば一瞬で洗脳が解けてログアウト、敵が口にすれば即死!
絶華の特性チョコレートは、今日も盛大にバイオハザードを発生させていた。
「いや、どんだけチョコの在庫があるんだよ
……!?」
サートゥルヌスのツッコミに絶華は即答。
「ユーベルコードだ! そうでなくとも常に在庫は全身に仕込んでいつでも出せるようにしてあるぞ!」
「なにその心懸け……災害じゃん」
納得してしまったサートゥルヌスは、自身もパワーが足りないと因縁を吹っかけられないように、戦場で働きを見せ始めた。
「俺様の権能は最強だってことをおしえてやらぁ! 対人戦術機構『刻の神』! これが俺様の次元転送権能だ!」
神の名を冠するキャバリア……が絶華のチョコの呪いで女体化したサートゥルヌス、その本来の権能は次元を自在に操るという凶悪な能力を有する。
故に、3万人の群衆の大部分を一時的に亜空間へ引き込んで隔離させることで、サイボーグ兵の索敵を容易にしてみせた。
「おい、お前大丈夫か!? 酷い怪我じゃねーか!」
サートゥルヌスがみずきに駆け寄って傷の具合を確認する。
みずきは突然の助けに感謝しつつも、余計な真似をされたことに顔を歪ませた。
「触らないで……! 嬲られるのは、慣れてるから……!」
「んなこと言ってもよぉ! そんなボロボロで、あの人数と戦う気か?」
サートゥルヌスがファンを強制隔離されたことで、残る『overwrite』メンバー達が怒りの形相でにじり寄ってきている。
サートゥルヌスは非情かつ傲慢な性格であるが、この理不尽な状況を許すみずきの言動に首を傾げていた。
と、ここで絶華が尋ねる。
「そこの猟兵! この状況でどうやって逆転するか、言ってみるんだ!」
「な、なによ急に……? それは……力を振り絞って、何とかするわ!」
「はい、パワーが足りない!」
「おごォッ!?」
ノータイムでみずきの口の中にクソマズ漢方チョコを押し込む絶華!
判断が早い!
「そんな漠然とした対策で挑むからボロボロになるのだ! 具体案を示せ! でないと、いつか取り返しのつかない事になるぞ!」
「ドーピングでいつもごり押しの主様がそれを言うのか?」
絶華の言葉に呆れ返るサートゥルヌス。
そしてチョコの味覚に涙を流しながら嗚咽を漏らすみずき。
当然、このグダグダな状況へサイボーグ兵達の総攻撃が押し寄せる。
強化された腕部兵器とフォトンの爪が、猟兵達を引き裂かんと振り上げられた。
しかし、それは目に見えない壁によってすべて弾き返されてしまったのだ。
「どうやら、さっちゃんもパワーが足りないようだな! 私はチョコでパワーを得たので守りも完璧だ! 既に念動障壁の斥力を周囲に張り巡らしている! チョコのパワーがあれば物理攻撃など無意味だ!」
「な、なによそれ……? 滅茶苦茶じゃない……!」
「猟兵は無茶苦茶で当然だ! さて、私は具体案を示したぞ? 猪めいて突っ込んだキミと違ってな?」
「くっ……!」
思わぬ形で戦闘を邪魔されたみずきは絶華の顔を睨みつけた。
だが、次の瞬間、その眼差しは感謝のそれへと変わる。
「なに、これ……? お姉ちゃんの心臓が……熱くなって……こんなパワーが、まだ私に秘められていたの……? え、まだ力が強まってゆくの
……!?」
みずきの全身の出力が先程とは比べ物にならないレベルで向上していたのだ。
これに絶華は拍手で讃える。
「素晴らしい! やはりあらゆる世界で掻き集めた漢方・生薬を特殊ブレンドした俺のチョコに不可能はないな! さあ、あれはキミに因縁のある相手なのだろう? なら、私のチョコの薬効で引き出された新たな力で、彼女達へ引導を渡したまえ!」
「よくわからないけど……このクソマズいチョコが私の潜在能力を引き出したのは間違いないようね……だったら、遠慮なく利用させてもらうわ!」
みずきの全身が熱を帯び、周囲の空気が陽炎めいて揺らめきだす。
「グラッジフォトンクローオーバーロード形態へ移行……! 今までのお返しを……させてもらうから……覚悟してね……!」
グラッジフォトンクローオーバーロード形態とは、みずきが脅威にさらされ続けて嬲られた時間に比例して身体強化を施す特殊形態である。いわゆる『火事場の馬鹿力』!
敵サイボーグ兵達とファン達に袋叩きにされた上に、絶華のクソマズチョコを喰らった精神ダメージと薬効もプラス!
過去最高出力での変身を遂げたみずきは、迫りくる強化心臓サイボーグ兵達をグラッジフォトンクローで瞬く間に引き裂いて細切れにしてゆくのであった。
「こんなとこで……負けるわけには……いかない!」
最後のサイボーグ兵の心臓を破壊したみずきは、涙を流してその場に佇む。
「許さない……姉さんの、心臓を悪用するなんて……絶対に許さない!」
みずきの怒りの矛先は『overwrite』のセンター、マインちゃんへ向けられるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』』
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POW : マインのマインでギューッ☆ってしてあげりゅ♡
【鎖状に繋がれた対戦車地雷による拘束攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【零距離連鎖爆撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : マインのPOM♡POM♡ぐれねぇーど☆
【リボルバー式グレネードランチャー 】から無限に供給される【通常榴弾と焼夷榴弾】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ : 囲い豚のみんな〜☆投げ銭と応援ありがと〜!
戦闘力のない【囲い豚の群衆 】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【豚による投げ銭や熱狂的声援】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
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「はぁ~マジでみんなつっかえねぇ~なぁ?」
ダルそうに『overwrite』の絶対的センターが低い声を漏らした。
「あんなふざけた猟兵達に良いようにされて恥ずかしくないワケ?
囲い豚っぴのお前らはそんなもんかよ!?」
ライブ中の態度とは一変し、冷徹な女王めいたきつい言葉を浴びせるセンターこと地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』!
「ほらもっと出来んだろ? マインの役に立ちたいよねぇ? もしも役に立ってくれたら~、その時は~?」
ステージの上でスカートの裾を、ちらりとたくし上げるマイン。
「こっから先の事……教えてあげちゃう♡」
「「うおおおおお!」」
残るマイン推しの狂信的ファンは、血相を変えて肉の壁を再編成!
会場内には騒乱で人が減ったとはいえ、まだ1万人は会場に残っている!
マインは再び猫なで声になると、ステージ上で猟兵達へ告げた。
「そろそろ~? 『ヤマラージャ・アイビー』があんた達にも影響出てくるはずだね♡ 戦うなんてこわ~いから、マインの事を推してもいいんだよ? あは☆」
それもいいかもな……なんて考えが過ってしまい、猟兵達は慌てて我に返る。
長い間、ライブ会場で戦闘した影響が猟兵にも出始めている……!
しかし、猟兵達は直感的に理解した。
あのマインの心臓こそ、この音楽機材から洗脳音波を出す遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』のコアだということを……!
はたして、猟兵達は自身の洗脳が完了してしまう前に、マインの心臓を破壊してライブ観客を正気に戻すことが出来るのだろうか?
ユーベルコードの高まりを感じる……っ!
クライド・エント
空斗(f28864)と
【WIZ】
「マインちゃんは結構可愛いし推すのも悪くないんだけどよ、性格がなあ…」
周りのフォロワーは怪力でどかしつつ、道をあけるぜ
狙えるようになったらUCを決めるぜ!って思ったら相手にフォロワーを呼ばれて時間を稼がれちまう
ヤマラージャ・アイビーの影響もあって
(やべぇ…何だかマインちゃんがめっちゃ可愛く見えてきた…!)
そんなことを思っているときに、あざとく猫なで声で呼び掛けられて、誘惑されるとつい推しになっちまう
フォロワーに混じって
「マインちゃん最高~!」
とかいって応援しながら投げ銭も
空斗の援護もあって正気に戻り、
「わりぃな…今度はそうはいかないぜ」
最後は相方と一気に攻めるぜ
篠之井・空斗
クライド(f02121)に同行
周りの奴等は【捕縛】して、攻撃してくぜ
アイドルなのにそんな物騒なもん持つなよ…ってあぶねー
相手のUCにはこっちもUCで対抗、カウンターしてく
ただ、途中で相方の様子がおかしいって思って見ると何か応援しちゃってるじゃん!
「何やってんだクライドさん!」
とか言いながら出来るだけ庇っている内に、自分も洗脳の影響でマインに見とれてしまう
そこを好機だと感じたのかこっちにも可愛らしくおねだりされると、つい言うことを聞いて動けなく…
ただギリギリで攻撃を【逃げ足】を使って避けると、ついでにクライドも叩いて起こす
「あぶねーな、可愛さっていうのも毒だぜ」
あとは相方と合わせてUCを決めるぜ
クライド・エント(だらしない海賊・f02121)は篠之井・空斗(人間の探索者・f28864)と共に、サイバースペース内のライブ会場へ乗り込んできた。
ステージ上でふんぞり返るアイドルグループ『overwrite』の絶対的エースこと地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』を見るなり、クライドは眉間に皺を寄せて毒吐いた。
「マインちゃんは結構可愛いし、推すのも悪くないんだけどよ、性格がなあ……空斗はどうだ、あれ?」
尋ねられた空斗は、マインの身体に巻き付けられた地雷にうんざりした表情を浮かべていた。
「そもそもアイドルなのに、あんな物騒なもん持つなよって話だな……ってあぶねー!」
突如、二人の足元へ焼夷弾が撃ち込まれてきたのだ。
クライドと空斗はこれを回避するも、立て続けに乱射される擲弾の弾幕のせいでステージへ近付くことが出来ない。
「 マインのPOM♡POM♡ぐれねぇーど☆ ぜぇんぶ爆ぜちゃえ☆」
「くそ! シーブズ・ギャンビットで一気に間合いを詰め寄りてぇけど、ファン共が邪魔だな!」
1万人の肉の壁を越えてステージに上がるというと簡単そうに聞こえるが、空斗にはフック付きワイヤーぐらいしか相手を縛り上げられる得物を持ち合わせていない。無限にワイヤーが伸びるわけでもないし、それひとつで1万人を捕縛など出来るわけもない。ましてや猟兵の超常を発揮できるほどの技能熟練度があるわけでもない。
故に、最初から作戦内容は破綻していたのだ。
一方、相棒のクライドも、マインがユーベルコードで召喚したファン達に道を塞がれて先へ進めずにいた。
「おい退けよ、そこ! くそ! いくら怪力で押し退けても押し寄せてきやがる!」
敵の手数の多さを考えれば、よほどの怪力がなければ縦横無尽に群衆の中で動き回れるパワフルさを発揮できない。
猟兵に覚醒したからと言って無敵ではない。
鍛錬を積み、研鑽を重ね、武具の強化を欠かさず、そこまでしてようやく常人離れした働きが出来るというもの。
要するに、見込みが甘すぎた。
これが今の二人の実力、これが二人の現実である。
「ああ、面倒だ! ファンごと撃ち殺すか!」
クライドのユーベルコードは詠唱時間に応じて強化される炎の弾丸を放つことが出来る。
しかし、もみくちゃにされた今は詠唱どころではない。
それに空斗がこれを真っ先に咎めた。
「駄目だろクライドさん! そんなことしたら任務失敗だってグリモア猟兵に念を押されたよな?」
「じゃあ、どうすりゃいいん、だ……あれ?」
クライドは急に頭の中がぼんやりしてきた。
周囲の音響が脳内に反響する。
徐々にそれが心地良くなってくる。
(やべぇ……何だかマインちゃんがめっちゃ可愛く見えてきた……!)
これは、まさか……?
「うおおおおお! マインちゃ~ん♡ 自分も投げ銭するぜ~!」
洗脳、完了……!
「あはは♡ 猟兵もマインの魅力にイチコロだにゃん♡ そーれ! 此方のQRコードから誰でも実際安心で無担保・無審査・即金の闇金『アカダルマ・ローン』を案内してるよ~☆」
「ありがとう、マインちゃん! 3000億! 決断的ネットキャッシングだ!」
「は? クライドさん、なにやってるんだよ!?」
よもや相棒がヤマラージャ・アイビーの支配下に置かれて、脳味噌バーンと破壊されてしまったなんて空斗には想像つかなかった。
「よっしゃ! 借金した3000億、全部マインちゃんに投げてやった! これで投げ銭ランキング、一気に上位に食い込んだ! このままランカー共を蹴落として、マインちゃんは自分のものだ!」
「待てよ、その3000億どうやって返却する気だよ!? 依頼が終わっても深い傷しか残らないだろ!?」
「空斗! 一生のお願いだ! 空斗の腎臓を1個売ってくれ! それで5000万返却できるって!」
「相方の臓器売る気か!?」
「安心しろ、自分は左右両方売るから!」
「いや売ったところで、その額だと全然返済できないよな!?」
もう滅茶苦茶である。
しかも相方の乱心をどうにかしようと説得していた空斗も、次第に洗脳濃度が深まっていくのを感じていた。
「あ、あっあっ! マインちゃ~ん!」
猟兵コンビ、陥落……!
そのままファンの一員として観客席最前列まで二人は突っ込むと、虚ろな目でペンライトを一心不乱に振り乱す。
「お、お、お~! マインちゃん! 俺とビッグバンしてくれ!」
クライドは観客席最前列の策を乗り越え、強引にステージへ上がり込んでしまう。
「何やってんだクライドさん! 俺も混ぜろ!」
空斗もステージ上へ乱入!
「も~やだぁ~! 二人とも熱烈すぎぃ♡」
マインはグレネードランチャーの砲口を二人へ向け、焼夷弾を装填!
「うっぜぇから両方爆発しちゃえ♡」
このままでは数秒後には萌え豚二匹の丸焼き死体がステージに転がるだろう!
しかし、ここで空斗とクライドが突如喧嘩をし始めた。
「自分がマインちゃんに撃たれるんだ!」
「いいや、俺だね! 俺を狙ってくれてるね!」
「んだとクソボケ!」
「黙れゲロカス!」
二人は殴り合いの取っ組み合いまで発展してしまう。
これにはファン達もマインも呆然と見守るしかできない。
そして互いにトドメの一撃を放つ!
「死ねやドブ野郎!」
「くたばれタマナシ!」
クライドの右ストレートが空斗の顔面に突き刺さり、空斗の蹴りがクライドの股間を強かに潰した。
「「~~~~~っ!?」」
二人は同時に倒れ込んで悶絶してしまう。
「え、あ、えっと? 大丈夫……? 特に股間蹴られた人、すごい音が聞こえたけど……?」
思わず猟兵二人の安否を気遣ってしまうマイン。
二人に歩み寄った、その時だった。
「シーブズ・ギャンビット!」
ダガーによる素早い一撃がマインの左肩を切り裂く!
更に、燃え盛る銃弾がマインの身体を撃ち抜いたではないか。
「俺の情熱を感じな、フレイム・ダンス!」
「きゃあっ! うそ、正気に戻ったの!?」
驚愕するマインへ、猟兵コンビは肩を並べて身構えた。
「お互い、いい一撃が入ったからな。クライドさんの拳、すげぇ効いたぜ」
「ああ、おかげで目が覚めた。つか3000億返せ、クソ女!」
「きゃーっ!
囲い豚っぴのみんな、たしゅけてぇ~!」
逃げるマインの前にファン達がステージに上がって肉壁として立ちはだかる。
これではせっかく近付けたのに有効打が掻き消されてしまう。
仕方がなく、二人は後続の猟兵に持ち場を委ねる形で撤退してゆくのであった。
「……ところで、空斗? まじで腎臓売ってくれないか? 返済日が10日後で、元本の1割の利子を上乗せするらしいんだ」
「トイチで借りたのかクライドさん……断る」
「マジか!? この薄情者!」
「つかさクライドさん、こうなったらその3000億の借金、チャラにするにはアカダルマファーマシーを潰すしかないな……」
「そうだな……! よし、空斗! 自分は借金を踏み倒すぞ!」
「いや、堂々と宣言する事じゃないんだけどな、それ……クズイドさんじゃないか……」
こうして、メガコーポ『アカダルマファーマシー』との因縁が、またひとつ生まれた。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ミニョン・サフィール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
まずは【カーテンコール】を使って天使の翼をもつ人魚の魔法怪盗になって参上します
そして、ヒット&アウェイで攻撃するけど……フォロワーに囲まれて迎撃されて地面に押さえつけられてマインちゃんの前に引きずり出されます
そのまま鎖状に繋がれた対戦車地雷による拘束攻撃 を受けてしまい、さらに他の猟兵への見せしめとして爆発処刑宣言をされちゃいます
いやいやと抵抗し泣きますけどヤマラージャ・アイビーをいっぱい浴びてしまい、自分からおねだりして爆破処刑されちゃいます
でもデッドマンだから死なないで生きてますけどもう何もできなくなっちゃいます
ミニョン・サフィール(魔法怪盗サファイア・f32433)がサイバースペースのライブ会場へ到着すると、早速ユーベルコード『怪盗参上(カーテンコール)』で天使の翼をもつ人魚の姿へ変身して空中を漂う。
「魔法怪盗サファイア参上です」
会場内のファン達はポカンと謎の生物を見上げていた。
「なんだ?」
「なんだろう?」
「敵か?」
「敵なのか?」
「というか捕まえたくても空飛んでたら捕まえられないよな?」
「放っておこうぜ」
こうしてミニョンはファン達に無視された。
ミニョンのユーベルコードは速度強化なので、地面を歩くファン達に捕まえられないのだ。
だがミニョンも何故かひたすら空中を飛び回るだけで攻撃を仕掛けない。
最初こそ警戒するファン達とマインであったが、肝心のミニョンが何もしてこないので、そのうち全員から存在を忘れ去られてしまう。
「んと……あの、ボクを忘れないでください。放置プレイですか? そんなの嫌です」
ミニョンが必死に訴えるが、ライブ会場はマインの歌声に誰もが没頭しているためか上空に誰も気を払わない。
そうこうしているうちに、鳴り響く音楽の中に仕込まれた遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』で洗脳されたミニョンが、弛緩した顔で舌とよだれを垂らしながら白目を向いて上空からアピールする。
「んと、マインちゃん、ボクにその地雷で巻き付けて、ボクの身体を粉々に爆破処刑してください、お願いします」
ふよふよと頭上からマインへ接近するミニョン。
しかし、完全に思考が壊されたミニョンのだらしない顔に、マインは一言だけ言い放った。
「うわ、キモッ」
「んと……んん? また放置プレイですか……?」
こうして、何事もなかったかのように、マインのライブは再開された。
マインに拒絶されたミニョンは、あのあとライブ会場のスタッフにバックヤードから外へ叩き出され、そのまま行くあてのない風船めいて電脳世界の空を漂い続けた。
苦戦
🔵🔴🔴
八咫烏・みずき
このまま洗脳されるのは相当危ないわ…
何にしても、こんなやつを崇めるなんてゴメンだわ。
【戦闘】
やられる前にやるしかないわ…
洗脳の影響を自分の体に痛みを与えながら我慢しないと。
その状況でユーベルコードを発動させる
そして洗脳が終わる前にできる限りのハイスピードで連続攻撃を繰り出す!
あの女神の心臓を持った護衛はどこから連れて来たのかを知りたいところだけどね…
向こうはただ護衛として雇っただけだろうし詳しくは聞けなそうね…
いずれにしろ全力で戦って仕留めるわ
北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。
八咫烏・みずき(静かなる復讐鬼・f36644)は先んじて突っ込んでいった猟兵達の無様な姿に戦慄を禁じ得ない。
「このまま洗脳されるのは相当危ないわ……何にしても、こんなやつを崇めるなんてゴメンだわ」
同士討ちを始めたり、涎を垂らして自死を乞うなど、見るに堪え難い失態を観察したみずきはもうチョコの惨事も被りたくない。
「やられる前にやるしかないわ……洗脳の影響を自分の体に痛みを与えながら我慢しないと」
自傷行為による痛覚で遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の支配から逃れようと、必死にみずきは抵抗する。
そこへ、マインのユーベルコードで鎖状に繋がれた対戦車地雷が鞭めいて浴びせかけられる。
「マインのマインでギューッ☆ってしてあげりゅ♡」
なんてことだ!
あの対戦車地雷ベルトに対象を巻き取り、零距離爆破でオタッシャ重点の残虐行為を平然とやってのけようとする!
この混沌としたサイバースペースライブ会場には、ブッダの慈悲など1mmも存在しない!
しかし、自傷行為の痛覚で自我を保ち続けてきたみずきは、状況判断でこれを予知していた。
そして決断的ユーベルコードの行使に踏み切った。
「全力のスピードで行かせてもらう……肉体の限界まで飛ばす!」
ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!
自身の心臓が激しく鼓動すると、みずきの全身に力が一気にみなぎってくる。
ユーベルコード『ストライキング・ゴッデススピーダー』……全身に活性化したエネルギーを纏わせ、サイボーグ四肢と肉体の限界ギリギリまで高めた戦闘力を発揮!
「イヤーッ!」
裂帛のカラテシャウト!
みずきの身体がヒトの姿のまま、ライブ会場の上空を超音速で飛ぶ!
その最高速度はマッハ13だ!
「マイン! この速度じゃ私に地雷を巻きつけられないはずよ!」
「ず、ずるい~! 速すぎるよぉ~!」
地雷ベルトをヤケクソ気味に振り回すマインだが、一向にそれが命中する気配がない。
とうとう堪忍袋の緒が切れたマインは、グレネードランチャーを担いで空へ砲口を掲げた。
「こうなったら、マインのPOM♡POM♡ぐれねぇーど☆ 空中爆散しちゃえ♡」
140秒間の擲弾連射が、みずきを狙う!
しかし、それを阻む猟兵が颯爽と蒼き刃を持つ刀と曇りなき刀の二振りによって防がれた。
「遅いな」
――斬ッ!
マインの脇腹がザックリと鋭い剣戦に裂かれ、大量の鮮血がステージを濡らす。
「っっったああぁい!?」
目視すら困難な超音速の斬撃!
しかしそれは一回だけではなく、背中、四肢、袈裟斬りなど、マインのありとあらゆる角度から放たれてゆく。
「舞技・秘奥天翔蒼破斬――」
二刀流から繰り出される殺戮刀舞。
美しくも残忍なユーベルコードを繰り出す猟兵の名は、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)!
サポーターとして、ベストタイミングで戦場へ乗り込み、みずきの窮地を救ってみせたのだ。
「何故、こんなことをするのか聞かせてくれ。俺は過去に敬意を払う。だから教えてくれないだろうか」
北条は戦神と呼ばれたオブリビオンの呪詛を纏った白銀の妖刀こと『月下美人』の切っ先を突き付け、マインの真意を問う。
マインは刀傷と鮮血塗れのまま答えた。
「アカダルマファーマシーから言われたのよ……マインを世界を虜にするアイドルにしてあげるって。手っ取り早くそれが出来るなら、マインはヤバイ級プログラムだろうが何だろうが、手を出すよ。配信者としてもやっていけるけど、それじゃダメ、限界がある。だから世界にマインを夢中になってもらうためには、こうするしか!」
「そうか、理解した」
キン、と鍔鳴りが響けば、一瞬で十を超える斬撃がマインの身体に浴びせられた。
「アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ」
「イケメンだからって、いい気になんなよ! このゲロカスがァッ!」
震える手でグレネードランチャーを北条へ構えるマイン。
そこへ、みずきが上空から突っ込んでくる!
「私の事を忘れてんじゃないわよ! 全力で仕留めるわ!」
マッハ13の超音速で繰り出されるドロップキックがマインに炸裂!
「グワーッ!!!」
マインは木の葉めいて錐揉み回転しながら、ライブセットの鉄骨に激突!
鉄骨が粉砕してアリーナ席へ倒壊!
「危ない!」
咄嗟にみずきが鉄骨を殴り飛ばしたおかげで、観客席に死傷者が出ずに済んだ。
(あの女神の心臓を持った護衛はどこから連れて来たのかを知りたいところだけどね……向こうはただ護衛として雇っただけだろうし、詳しくは聞けなそうね……)
みずきの姉の心臓の強化版が既に闇市場に流通している事実から、もはやあらゆるメガコーポが強化心臓サイボーグ兵を雇用するのは明白だ。
あのマインも自らの欲望のために、進んで改造手術を行ったと思しき発言をしていた。
みずきは自身の運命を翻弄するメガコーポを、この日を境に更に憎悪するのだろう……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
箒星・仄々
オブリビオンさんのお言葉に
心奪われてなるものですか
マインさんを海へと還しましょう
スイッチオンでリートを起動
ファンの皆さんの腕や股下を潜り抜けながら
マインさんの歌や
その音楽機材のメロディに乗せて演奏します
当初は伴奏の様に思われるかも知れません
けれど魔力を込めた音色が
催眠音波の効果を減弱させていきます
私たち猟兵の抵抗も高まりますし
ファンの皆さんへの影響も弱まるでしょう
そしてマインさんの歌や音楽に
メロディを乗せているからこそ
ファンの皆さんは強く強く共感して下さるはず
徐々に徐々に
思考破壊プログラムの影響を治療していきます
正気に戻ったファンの皆さんが
ログアウトを始めれば
マインさんの力は弱まります
これが本当の音楽の力です!
今度はマインさんの音楽をかき消すような旋律で
猟兵の皆さんを治療します
隙がある様でしたら
マインさんの影から躍り出たランさんが
その心臓を串刺しにします
貴女も骸の海の過剰投与の犠牲者です
音楽への想いを歪められてお可哀想に
海で静かにお休み下さいね
戦闘後も演奏を続けて鎮魂とします
魔法少女・マジカルガール
マジカルカメラハッキング撮影ライブ配信継続☆
魔法少女と
タレントの活動で小さなよい子達や大きなお友達にスポンサーさんまで、私には各世界のファンの皆がついてる……いつだって支えてくれて、今も応援してくれてる!
絶対に、観客全員助けるよ!
UC+真の姿マジカルアイドルプリンセス化
全装備増強
バリアの攻撃反射、ドレスの状態異常耐性や他能力、マジカルハートオーラ防御の負傷・状態異常治療で攻撃と洗脳を防ぐ
正義の魔法少女ソウルを燃え上がらせ、
増大したハート魔力をマイク化ステッキで更に増幅
カリスマオーラ放つ国民的スタアの全てをコンパクトで超強化
如何に困難でも敵の囲い一万人全員を先に虜にして、封印術ハッキングで投げ銭封じ、無限の魔力バリアで包んで敵から守りつつ声援遮断
敵も逃亡阻止封印術拘束魔法の不透明バリアで包み、活躍や苦戦を見えなくする!
まるで合唱してる様な高速多重無酸素詠唱の、ハートを込めた全力魔法歌唱で非殺傷浄化範囲攻撃&洗脳治療だよ☆
遂に猟兵の前へ姿を現したアイドルグループ『overwrite』のセンターこと地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』。
箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は音楽で人々を苦しめるその所業に、静かな怒りを滾らせていた。
「オブリビオンさんのお言葉に心奪われてなるものですか。マインさんを骸の海へと還しましょう」
そう断言した箒星は、懐中時計のスイッチを強く押し込む。すると白い蒸気を噴射させながら、それは竪琴へと変改してみせた。
更に、箒星の足元から指笛で召喚された雌のメカジキことランさん(体長5m)が、その背に箒星を乗せて空中を泳ぐ。これでファンに邪魔されずにマインが立つステージまでひとっ飛びだ。
だがマインもユーベルコードで更なるファンを召喚して頭数を補充し始めた。
「
囲い豚っぴのみんな〜☆ 投げ銭と応援ありがと〜! マイン、がんばっちゃうぞ♡」
召喚されたファン達の声援と投げ銭チャットの金額で、マインの装備する爆発物がどんどんグレードアップしてゆく。
「そぉれ! BOMBOM爆ぜちゃえ☆」
安全ピンを抜いた手榴弾を、空中で遊泳するランさんと箒星へ向けて投げつけるマイン。
思わぬ攻撃にランさんが急旋回してこれを回避!
直後に箒星の真横で大爆発が発生し、爆風で自慢の猫ヒゲがあらぬ方向へ反りかえってしまう。
「なんと、強化した武器で攻撃してくるのですね。迂闊に下へ落下させたらファンの皆さんが巻き添えになってしまいますね」
箒星はマインへの直接攻撃よりも、ファン達の洗脳をユーベルコードで解除してマインのユーベルコードを弱体化を狙いがあった。
狙い自体は申し分ない。むしろ最善手と言えよう。
しかし、マインが強化された武器を攻撃してくることまでは頭が回らなかったようだ。
二兎追うものは一兎も得ず。
箒星は選択を迫られてゆく。
自分が犠牲になってでもファンを守るべきか否か。
箒星は竪琴を掻き鳴らし、ユーベルコード『シンフォニック・キュア』でファン達の洗脳が早く解除されることを願うしかできない。
……と、そこへ、新たな猟兵が駆け付けてくれた。
「音楽の力は世界を救うよ! 黒猫さん! 私に任せて!」
魔法少女・マジカルガール(魔法少女王国のお姫様マジカルランドプリンセス・f38569)、アイドルモードで助太刀に参上!
「みんなー! まだまだ盛り上がってこー!」
『うおおおおお!』
どこからともなく歓声が沸き上がる。
先程、彼女は音響機器をハッキングしたことで自身のユーベルコードとアイテムからライブの様子を配信しているのだ。その配信規模は、サイバーザナドゥ世界を超えて他世界のあらゆるファンに届けられてゆく。
しかし、同時に思考破壊プログラムも他世界に伝播してしまう。
ここで発想の転換だ。
アカダルマファーマシーは思考破壊プログラムの洗脳で世界を牛耳ろうと企てている。
ならばその逆……マジカルガールが世界平和のためにファンを洗脳したらどうなるか?
「私は魔法少女! そして国民的スタァ! このサイバーザナドゥ世界以外の『よいこのみんな』と『おっきなおともだち』……そして『大手スポンサーさん』がいる限り、私は負けないよ! だって、私には各世界のファンの皆がついてる……いつだって支えてくれて、今も応援してくれてる! 絶対に、観客全員助けるよ!」
キラキラなカリスマオーラを解き放ち、ぶち込まれるグレネードランチャーの擲弾をマジカルバリアで防御!
「アイドルがそんな危ないものをひとに向けて売っちゃ駄目だよ! アイドルは、魔法少女は、いつだって誰かの希望であり続けなきゃ!」
「クソみたいな御託なんか並べちゃって、マジうっぜぇわこのガキんちょ♡」
ユーベルコードで強化された武器の中から、なんと迫撃砲を担いで猟兵コンビへ照準ロックオン!
「いい加減にふっとんじゃえ☆」
マインがトリガーを引き絞ると、弾頭が火を噴いて射出されたではないか。
マジカルガールは悲しそうな表情を浮かべ、飛んできた弾頭を無限魔法で蜘蛛の巣のように張り巡らしたリボンに絡めとってキャッチしてしまう。
「残念だよ……暴力でしかお話が出来ないなんて、おねえさんって可哀想……その歪んだ心、私が浄化してあげるから!」
すると、マジカルガールはユーベルコードを更に発動させ、更なる変身フォームへ進化を遂げる。
「ドレスアップ・プリンセス! トランス!
魔法のお姫様!」
突然、ファンシーな音楽が音響機材から流れ始めれば、正義の魔法少女のマジカルハートが燃え上がり、彼女を魔法の国の王女様へと昇華してみせる。
「煌めく笑顔! 弾ける元気! 希望を照らす正義のハート! マジカルプリンセス、モードアイドル!」
神作画のぬるぬるとした動きの変身バンクが世界中に流れれば、サイバースペース内の観客たちも呆然と彼女を見上げて黙り込む。
(何が起きてるんだ?)
(いや俺ロリコンじゃねぇんだけど……)
(ガキは帰れよ)
(作画気合入ってんな)
(見えた!)
ファン達の思惑など完全無視し、彼女は眩い聖なる輝きを放ちながらマインへマイク型ステッキを向けて宣言する。
「聞き分けのない悪い子は、魔法少女がお説教しちゃうぞ!」
「素晴らしいです。先程の変身バンクのBGM、早速耳コピさせていただきますね」
意外とノリノリの箒星も、即興で先程の変身バンクのBGMを竪琴で奏で始め、呆然としているファン達の鼓膜へ響かせてゆく。
すると、魔法少女の素っ頓狂な演出に困惑していた観客たちは、自意識が図らずともニュートラルグレーの領域まで引き上げられていた。
そのおかげで箒星のユーベルコードの治療が覿面に効果を発揮し、徐々に正気へ戻る者達が多くなっていった。
「此処は危険です! はやく会場から離れてログアウトしてください!」
箒星の警句に、理解が追い付かない観客たちはとにかく逃げ出し始めた。
この現象は徐々に雪崩となって周囲へ伝播してゆき、正気になった者どもの不安を煽って、避難をより促すこととなった。
マインはこれに頭を抱え始める。
「そんなぁ! マインのパフォーマンスより、こんなロリコン犯罪者御用達アニメのキャラの方が萌えるってワケ!? この裏切り者ぉ!」
なんとマインは逃げるファンの背中へロケットランチャーを連射した!
このままファンが爆発四散してオタッシャ案件となれば、この任務は失敗だ!
だが、既に魔法少女は手を打っていた。
「正義の魔法少女ソウルを燃え上がらせて、増大したハート魔力をマイク化ステッキで更に増幅! カリスマオーラ放つ国民的スタアの全てをコンパクトで超強化! いっけぇー! マジカルバリアはこういう使い方もあるんだよ!」
そう叫んだ彼女が放った魔法は、バリアでマインの周囲を閉じ込めるという魔法であった。
こうすることでロケットランチャーの弾頭が外へ飛び出すことなく、爆風がバリア内部に閉じ込められてしまうのだ。
しかも、半球型のバリア全体が真っ黒に染まると、中身の様子は視認できなくなり、音も完全に遮断されてしまった。
「これならいくらファン達を呼び寄せても、中身は真っ暗! パフォーマンスも見てもらえないね! そしてその間に、ここの1万人の人達を助けるよ!」
「では私もお供しましょう! ランさん!」
空飛ぶメカジキで空中遊泳しつつ、箒星は癒しのメロディを奏でてゆく。
魔法少女も懸命に歌声で洗脳を解いてゆくが、洗脳深度が高いファンの妨害を考えていなかったため、この戦闘で1万人全てを救出することは叶わなかった。
それでも、一時的にマインを無力化し、会場内の多くのファンの洗脳を解除したのはお手柄だった。
しいてゆえば、魔法少女の技能熟練度が軒並み低いため、ユーベルコードが治療系のものだったら最良の結果を勝ち取れただけに惜しい事をした点であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
皇・絶華
なぁさっちゃん…あのアイドルがやった行動ってあれだったか?
「俺知ってるぞ主様!きっとあれだ!枕営業だ!エロい誘惑で色々便宜を図るって奴だ!おいマインちゃんだったな!ちょいと俺のメガバスターキャノンでひぃひぃ……あれ?」
何しているんださっちゃん?
「…く、くそ…生えねぇ…メルクリウスの野郎がいけたなら俺もいけると思ったのに…!」(さっちゃんも気づいてない理由:不死殺しの鎌剣で切り落とされたから
???(不思議そうに首傾げ
成程!戦いが怖いからお前を推せばいいのだな!
良いだろう!どうやら私も洗脳されたようだ!お前を全霊で強化させて貰う!
「ぬ、主様まさか…!」(がくがくぶるぶる
UC準備開始
【空中戦・第六感・念動力・戦闘知識】
飛び回りながらファンとマインの動きを常に把握し念動力でファンを無力化(不殺徹底
準備完了
お前にはアイドルとして足りないものがある!
そうそれは…パワーだ!
だが安心するがいい…お前に圧倒的なパワーを授けよう!
我がチョコを食し!宇宙を感じ!圧倒的なパワーに酔いしれるがいい!
地獄発生
皇・絶華(影月・f40792)は困惑していた。
ステージ上で悪行の限りを尽くすマインを理解出来ずにいたからだ。
「なぁ、さっちゃん? ……あのアイドルがやった行動って、あれだったか?」
「俺、知ってるぞ主様! きっとあれだ! 枕営業だ!」
下僕のサートゥルヌス(TSメイド少女の姿)がマインを指差して言ってのけた。
「エロい誘惑で色々便宜を図るって奴だ! おい、てめぇ! マインちゃんだったな!? そんなにファンにこびたいんなら、ちょいと俺の股間のメガバスターキャノンでひぃひぃ言わせてやるから、パンツを脱いでケツを出せ!」
「さっちゃんは何を言っているんだ?」
絶華は訝しんだ。
青少年の健全が危ぶまれる発言に、自身の下僕を理解できない。
そしてセクハラ発言を向けられたマインは、鎖状に繋がれた対戦車地雷による拘束攻撃を容赦なく放ってきた。
「何言ってやがんだこのクソガキ! つーか幼女じゃねぇかてめー!」
投げ付けられた対戦車地雷ベルトから逃れるべく、サートゥルヌスは絶華を抱えてチャクラムの動力でライブ会場上空へ逃げる。なお、観客等が爆発に巻き込まれないよう、投げ付けられたベルトを念動障壁で閉じ込めて爆発を封じ込めた。
「うるせーな! こう見えても俺はれっきとした男だ! 今その証拠を見せてやる! って、……あれ?」
サートゥルヌスがメイド服のスカートの中を弄ると、みるみるうちに顔が青ざめてゆく。
「何しているんだ、さっちゃん?」
絶華の問いにサートゥルヌスが声を震わせながら答えた。
「……く、くそ……生えねぇ……! 一時的な喪失かと思ってたのによぉ! 股間のメガバスターキャノンが生えてこねぇ! つかハマグリしか生えてこねぇ! くそが! メルクリウスの野郎がいけたなら俺もいけると思ったのに……!」
がっくりと項垂れるサートゥルヌスに、絶華はますます度し難いと言いたげに目を細めてしまう。
「うわ、ダッサ。マイン、よくわかんないけど~、残念でしたぁ~☆」
「ブッコロス!」
マインの煽り言葉に理性を失ったサートゥルヌスは、絶華をステージに下ろすとファン達を広域念動力で押し潰してみせる。
「おらぁ! これでファンは手出し出来ねぇ! そこで這いつくばってやがれクソが!」
まるで頭上から見えない何かに押し潰されたかのように、ファン達は揃って会場の床に寝転んで身悶えしている。お陰で空中のサートゥルヌスとマインの一騎打ちへ持ち込むことが出来た。
「くたばれアバズレが!」
「あはは♡ ざぁこざぁこ♡」
空中から乱射されるチャクラムが自在に空を裂き、何度も投げつけられる地雷ベルトを爆発させながらマインを狙う。
しかし一進一退の攻防は千日手の様相を醸しだし、どちらも決め手に欠ける戦いに発展してゆく。
「な、なかなかやるじゃねぇか」
「雑魚雑魚幼女のくせにしぶと~い♡」
ステージ上と空中でにらみ合いが続く両者。
この間に割って入る絶華が、突拍子のない事を言い放った。
「成程! 戦いが怖いからお前を推せばいいのだな! 良いだろう! どうやら私も洗脳されたようだ! これよりお前を全霊で強化させて貰う!」
「あっはは☆ あんたのご主人様がマインのファンになってくれたよぉ♡ 捨てられてやんの、ざぁこざぁこ♡」
マインは猟兵を味方につけたことで勝ち誇っていた。
だが、マインはその発言を5秒後に撤回したくなるのだ。
「では、お前を強化するぞ! 貴様に足りないのはアイドルパワーではない、チョコから摂取する圧倒的パワーだ!」
そう言い放った絶華は、ユーベルコードで『カカオ濃度1万%の漢方チョコ邪神植物』を呼び出す準備を始めた。
菓子とは思えないほどの異臭がライブ会場に立ち込めてゆく……!
「だが安心しろ……我がチョコを食する事で、お前は圧倒的なパワーを得る事が出来る! 遠慮はするな、141体のチョコ邪神植物が、一斉にお前にパワーを与えるだろう!」
「チョコ邪神植物ってなぁになぁに……?」
文字だけで危険な存在だという事だけは理解できたマイン、思わず絶華を爆殺しようかと身構えた。
しかし、絶華はマインへ告げた。
「いいのか!? 私のチョコを食べれば、他の猟兵になんて負ける事はないぞ! ゆえに我がチョコを食し! 宇宙を感じ! 圧倒的なパワーに酔いしれるがいい!」
「そ、そこまですごいの? じゃあマイン、チョコ食べてみよっかなぁ~♡」
立ち込める異臭に違和感を覚えつつも、マインは目が血走る絶華が
本当に洗脳されていると思い込んで信じてしまった。
そして141秒後、マインは地獄に落ちた。
「いやああぁぁぁあぁっ! チョコの触手が! おぇぇぇえ! あが、おぼッ!? おごごごご! アバババーッ!」
チョコまみれの植物型邪神141体がマインの身体に寄って集って殺到し、その口に地獄のような不味さを誇る絶華特製漢方チョコ(甘味料完全不使用)がしばしねじ込まれ続けてゆく。
「アイエエエエエ!」
そして過剰なパワーを摂取したマインの身体が超絶反応で大爆発してしまった。
「あわわわ……! こりゃエロ同人誌よりも酷ぇぜ……!」
空中で散華の気の一部始終を目撃していたサートゥルヌスは、ガタガタ身体を震わせながら、絶華の完璧な演技に恐怖してしまっていた。
大成功
🔵🔵🔵
叢雲・凪
オブリビオン・スレイヤー=サンと行動重点
『ドーモ はじめまして。ジンライ…』(礼儀作法+威圧+覇気
『フォックスです』 イクサの始まりを知らせる神聖不可侵のアイサツ。オバケめいた眼光が鋭くスパーク
『オブリビオン・スレイヤー=サン あなたはニンジャか?』(呪詛耐性+狂気耐性)
マインの洗脳音波に対してオブリビオンスレイヤー=サンに問う。猟兵読者には何が起こっているか分からないだろう。これぞ 伝説のマキモノ ブックオブファイブリングスにも書かれた古式ニンジャマインドプロテクトである!
『あの体躯で得物は全て爆発物。ふむ… オブリビオンスレイヤー=サン 任せてくれ ボクが陽動しよう』
閉所で爆発物か。派手さ重点といったところか。
ダッシュ+残像+リミッター解除を用いて俊敏なキツネめいて高速移動
ただでさえ狭いこの空間…『オブリビオンスレイヤー』=サンのUCが合わさればどうなるかな?
巻きあがった粉塵に紛れて一気に踏み込み 決断的ライメイケン!
『アノヨでライブをするんだな! イヤッー!』
フォーネリアス・スカーレット
【ジンライ・フォックス・f27072と同行重点】
印を組み、呟く。
「サップーケイ」
【殺風景】による迷宮を展開し、一般人を分断する。
「私はニンジャだと言った事は一度も無いが」
何故か勘違いされるのだが。ニンジャに師事した事はあるが、その癖でも出ているのだろう。
「私はオブリビオンスレイヤー。オブリビオンは皆殺しだ。それに与する者も」
決断的にツカツカ歩み、肉盾にした一般人ごと斬る。
「イヤーッ!」
一撃の威力を追求した電磁加速刀はただの一撃で砕ける程脆い。振う度に無尽の鞘で再生成する必要があるが、逆を言えば納刀は不要。その一撃は何でも斬る。そこに在るのなら、形の無い物であっても。
「殺さなければいいのだろう。肉体には傷一つ無い」
それが【芯断ち】の効果。オブリビオンにも効果が無い訳では無い。抵抗する闘志を斬る。
「だがオブリビオンは殺す。ハイクを詠め、マイン=サン」
ライメイケンの最後の一撃に合わせ、電磁加速刀二刀によるクロス切断で【介錯】する。
「私は、
ただの猟兵だ」
叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は赤黒いパーカーフードを目深にかぶり、黒いキツネ・オーメンを装着したまま、ステージ上で直立不動体勢から直角オジギと合掌による奥ゆかしいオジギをオブリビオンへ披露した。
「ドーモ、はじめまして。ジンライ……」
言葉を溜めて、首だけ起こしてマインを睨みつけた。コワイ!
「――フォックスです」
イクサの始まりを知らせる神聖不可侵のアイサツ。オバケめいた眼光が黒雷を伴い鋭くスパーク!
モータルのファン達は、このあからさまなニンジャのエントリーを目の当たりにしたことで次々と正気に戻ってゆく。
「ア、アイエエー!」
「ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」
「こんなのテストに出ないよぉ……!」
他の猟兵達のアクションのおかげで、音響機材からの洗脳はライブ開始から比べるとかなり薄まってきている。
そこへジンライ・フォックスのアイサツが加われば、モータル達のDNAに刻まれた原始的ニンジャ恐怖によって、彼らは己が生存本能が掻き立てられて洗脳を自ら打ち破ることが出来るのだ。
「ニゲロー!」
「ブッダ! 寝ているのですか!?」
浮足立ったファン達は、次々とライブ会場から逃走してサイバースペースからログアウトしていった。
この光景にフォーネリアス・スカーレット(オブリビオンスレイヤー・f03411)は一言だけ言葉を漏らした。
「サップーケイ」
これなら、ユーベルコードでモータル達を隔離する必要もないだろうと彼女は状況判断。
未だに洗脳が解け切っていない他のファン達でさえ、リアルニンジャのエントリーでしめやかに失禁して恐怖に打ち震えている。
今の彼等にはマインの命令など、とてもではないが聞く余裕はないだろう。
そんな彼女も悠然とマインの前に立ち尽くすと、ジンライ・フォックス同様にアイサツ・ムーブを行う。
「ドーモ。オブリビオンスレイヤーです。オブリビオンは殺す。慈悲はない」
今まで殺してきたオブリビオンの返り血で錆び付いた殺戮者のアーメットヘルムの目元が、殺気で赤く双眸が輝く。
燃え盛るアンタレスめいた紅の光芒は、マインを威圧して後ろへ一歩下がらせるくらいに十分なプレッシャーを与えていた。
「なにがニンジャよ! マインのマインでギューッ☆ってしてあげりゅ♡」
唐突なアイサツにもめげずに、マインはオブリビオンスレイヤーへ対戦車地雷チェーンベルトを投げつけて捕縛せんと試みる。
しかし、オブリビオンスレイヤーはグリモアの予知めいてそれを事前に見切っていた。
「イヤーッ!」
ノールックバク宙回避!
逆にD社製巻き上げ機構付きフックロープでチェーンベルトをひっかけると、遠心力を利かせてぐるっと身体をコマめいて一回転、そのまま地雷ベルトを投げ返した
「グワーッ!」
足元へ投げ出された地雷ベルトが起爆し、マインが後ろへ吹っ飛んでいく!
「オブリビオンスレイヤー=サン、よいカウンターだ」
ジンライ・フォックスの賛辞の言葉。
しかし、その賛辞にオブリビオンスレイヤーは反応せず、ヘルムで覆った頭を抱えていた。
「ヌゥー!」
「どうしたんだ、オブリビオンスレイヤー=サン? まさか『ヤマラージャ・アイビー』の洗脳の影響か?」
「ヌゥー!?」
被りを振って苦しむオブリビオンスレイヤー。
このままでは彼女は敵の傀儡に成り下がってしまう!
そこで、ジンライ・フォックスはおもむろに、ある質問を彼女に投げ掛けた。
「オブリビオン・スレイヤー=サン あなたはニンジャか?」
マインの洗脳音波に対してオブリビオンスレイヤー=サンに問う。
猟兵読者には何が起こっているか分からないだろう。
だが、これぞ伝説のマキモノ『ブックオブファイブリングス』にも書かれた古式ニンジャマインドプロテクト・ジツである!
このモン・ドーを行うことで、ニンジャはニンジャであることを自認し、あらゆるノロイやジャミングに対抗できるのだ!
しかし、オブリビオンスレイヤーから帰ってきた言葉は意外なものであった。
「いいや、ニンジャではない。そもそも、私はニンジャだと言った事は一度も無いが」
まさかの否定であった。
「何故か勘違いされるのだが。ニンジャに師事した事はあるが、その癖でも出ているのだろう」
「オブリビオンスレイヤー=サン、では洗脳は解けていないのか?」
ジンライ・フォックスの訝しがる態度に、彼女はキツネ・オーメンを一瞥して答えた。
「馬鹿を言え、私はオブリビオンスレイヤー。オブリビオンは皆殺しだ。それに与する者も殺す者だ」
怯えるモータルのファン達を憎悪の視線で睨み付けるオブリビオンスレイヤー。
睨まれたファン達は恐怖に抗えず、一目散に逃亡していった。
「ヒィッ! ゴメンナサイ!」
「ブッダはゲイのサディスト!」
その逃げる背中をただ黙って見送るオブリビオンスレイヤー。
「普段は殺す。だが、この依頼の担当グリモア猟兵の
予知はモータルの不殺だ。止む得ないが、そこのアイドル崩れのオブリビオンを殺すとしよう」
オブリビオンスレイヤーの両手には、電磁加速仕込み鞘炎刻印居合刀『焔繋』『水燐』の二振りが握られている。その刃は非常に脆い。幸い、納刀すれば無限に刃が再生するが、そもそも切れ味に特化したこの二振りに二の太刀は不要であった。
「一撃で貴様の闘志を切り裂く。邪魔をするならモータルも斬る。だが殺さなければいいのだろう? 安心しろ、肉体には傷ひとつ残らない」
それがユーベルコード『芯断ち』の効果だ。
電磁加速居合刀による一撃で、肉体を傷つけずに対象の闘志のみを攻撃する。
普段はオブリビオンへのインタヴューの際に使用するが、これなら邪魔なモータルも殺さずに排除できる。
それでも、オブリビオンスレイヤーはマインへ一撃で勝負を決めるべく、全集中で精神を研ぎ澄ませてゆく。
対してマインは起き上がると、今度はグレネードランチャーを構えて猟兵達へ方向を向けてきた。
「マインのPOM♡POM♡ぐれねぇーど☆ 全部爆ぜちゃえ☆」
次の瞬間、凄まじい連射速度で擲弾が連射され始めた!
「あの体躯で得物は全て爆発物。ふむ、オブリビオンスレイヤー=サン。ここは任せてくれ。ボクが陽動しよう」
ニンジャ瞬間思考力で状況判断したジンライ・フォックスは、決断的に空中へ黒雷のクナイを連射!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
おお! ゴウランガ!
投擲された黒雷のクナイは、撃ち出された擲弾を空中で突き刺してたちまち爆発四散させてゆくではないか!
「着弾前に撃ち落とせば問題ない。それにしても、閉所で爆発物か。派手さ重点といったところか」
140秒間のボムラッシュに、ジンライ・フォックスのは電撃的連続投擲で対抗。
キツネめいてステージ上を俊敏に駆け回って広く活用し、モータルが爆風で死傷しないように投擲速度を徐々に加速してゆく。
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
もはや千手観音菩薩めいて投擲のモーションが残像となって現れるジンライ・フォックス!
そして気が付けば、マインを中心にオブリビオンスレイヤーとジンライ・フォックスがステージ上で挟撃する形になっていた。
そして爆発の粉塵に紛れ、オブリビオンスレイヤーも機は熟したと言わんばかりに、決断的にステージ上をダッシュ開始!
「抵抗する意思を斬る。イヤーッ!」
振るメタルバレットめいて、オブリビオンの懐へ飛び込む殺戮者!
そのタイミングと同時にジンライ・フォックスも黒雷を迸らせながら前へ踏み込んだ。
「ボクだけが知り、ボクだけが扱える……ヒサツワザ! ライメイケン!」
軸足を狩る脚払いを起点に黒雷化し、一瞬で叩き込まれる八連撃を放ち、それらを合成した打撃が敵の内部を破壊する秘奥義・ライメイケン!
クリーンヒットすれば敵のユーベルコードを封じる恐ろしい決断的ユーベルコードだ!
このユーベルコードとオブリビオンスレイヤーのユーベルコードが組み合わされば、狭いステージ上でマインはどうなってしまうかは明白だ。
まさに前門のタイガー、後門のバッファロー!
「アノヨでライブをするんだな! イヤッー!」
マインの背中が黒雷で爆ぜる!
そこへオブリビオンスレイヤーの双剣の一撃が閃く。
「オブリビオンは殺す。ハイクを詠め、マイン=サン」
「グワーッ!!!」
クロスに斬り伏せられたマインが鮮血を噴き出す。
「私は、ニンジャではない。
ただの猟兵だ」
ザンシンを欠かさぬオブリビオンスレイヤーは、感情を乗せずにそう言ってみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
同行
フィア(f37659
フィア…帰ったら徹底的に治療しますからね?
あのUCなら取り戻せます…!
ぁあ?てめーなんぞ推してたまるかボケナスが(悪態付きながらも極めて冷静
「ご、ご主人サマ…!?(がくがくぶるぶる」(い、怒りがふり切れて…完全に殺しモードに入ってる…!
てめーの身体なんぞに興味ねーよ
いや…臓器としての価値はどれくらいか程度か
【情報収集・視力・戦闘知識】
ファン達とマインの位置
【属性攻撃・弾幕・念動力・浄化】
闇属性による精神打撃弾の弾幕展開
肉体は傷つけず精神を攻撃して気絶を狙い
更に浄化弾による洗脳解除も狙
メルシー…ファン共を守れ
「任されたよ☆」
雷槌発動後
フィア…!!
メルシー!
「分かったよご主人サマ!」
UC発動
幸運の神同時発動
五秒…いや三秒で終わらせる!
超絶速度で襲い掛かり鉄山靠で吹き飛ばしファンと距離と取らせ
【瞬間思考・二回攻撃・切断・電撃・盗み攻撃・盗み】
グレネードランチャー強奪!
打刀による連続斬撃から電撃を流し込み
超絶速度で切り刻みあらゆる資源を強奪!
戦闘後
フィアの治療開始!
フィア・フルミネ
カシム(f12217) と参加
私の軽率な行動がカシムを追い詰めた。反省よりも前に働きで取り返す! 私の思い出を取り戻すと言ってくれるキミを、そんな表情にはさせない
確かにその中身には興味がある。アイドルという職業の方には謝った方がいいと思う。地に這い蹲るといい、その方が誠意が伝わりやすいから
まだファンを巻き込もうっていうのなら《雷槌》を喰らわせる。使い所はメルシーが取りこぼしたファンを守る時か、攻撃に集中するカシムを庇う時、タイミングは誤らない!
私が救う! 大切な人も、自分の思い出も、それが私みたいな弱者なりの戦い方だから
ありがとう、カシム、メル……少し休む。今にも倒れそうなくらいに疲れているから
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はライブ会場で歯嚙みをしていた。
最愛の女性であるフィア・フルミネ(
麻痿悲鳴・f37659)が、自らの幸福な記憶を代償にユーベルコードでモータルのファン達を大勢救出したからだ。
(観客を救う為にはやむを得なかった……だが……フィアにはこれ以上、幸せな記憶をトラウマになんか改竄させねー!)
そういきり立つも、まだまだ洗脳された観客達が亡者めいてカシムとフィアの前を塞ぎ続けている。
「ご主人サマ! 落ち着いて!」
カシムの相棒であるメルシーも、動揺する主を宥めようと必死に声をかけている。
だが、フィアは意外にも冷静にこの状況を俯瞰していた。
(私の軽率な行動がカシムを追い詰めた。たとえそれが最善手であっても、カシムは望んでなかった)
フィアは魂人。種族特有のユーベルコードを行使すれば、どんな死だって回避できる。しかし、その代償として幸福な記憶がトラウマに書き換えられてしまう。
今まではフィア独りでの行動であれば、躊躇せずに心身の自壊を促すユーベルコードを行使し続けていた。
だが今は信頼し合い、愛し合うパートナーの存在がいる。
その相手が望まない行為を率先して行うことは、その信頼を裏切ることに等しい。
(ごめんねカシム。私の思い出を取り戻すと言ってくれるキミを、そんな表情にさせてしまった)
フィアは自覚する。自分の事を過保護に愛してくれる、年下の恋人の深い情を。
「カシム、私は理解した。だから、反省よりも前に働きで取り返す! あれを、どうすればいい?」
フィアはカシムの方針を窺う。共に歩むための意思表示だ。
これにカシムは彼女の身体に触れ、傷がないか一通り視認する。
「……大きな怪我はないようですね。ですが、フィア……帰ったら徹底的に治療しますからね?」
「メルシーのユーベルコードなら記憶を取り戻せるはずだよ、フィアちゃん!」
ああ、やっぱり過保護だ。
フィアはここまで愛してくれるふたりに感謝しつつ、あらかじめ詫びの言葉を述べた。
「先に言っておくね。キミを守るために、また私は倒れるから。治療、期待してる」
カシムとフィアの頬に軽く口づけをしたフィアは、身体を深く沈ませてクラウチングスタートの姿勢を取る。
身体に刻まれたルーン文字を活性化、全身に魔力を巡らせ充満させる。
そして溜め切った魔力を両足から一気に放出させると、まるで空を駆け昇るが如くフィアの身体が観客の頭上の上を跳躍してみせたではないか。
ステージ上に着地したフィアは、憐憫の眼差しをオブリビオンの電脳アイドルへ向けて言い放った。
「自分のファンを人質に取るとか、とても陰湿。他のアイドルという同業者の人達には謝った方がいいと思う。ステージ上で地に這い蹲るといい、その方が誠意が伝わりやすいから」
「何言ってんだババア? つかボロ布しか纏ってないとか変態~☆ マインこわぁ~ぃ!」
あざとく、そしてわざとらしく、身体を震わす『overwrite』のセンターこと地雷系配信者『超級美少女マインちゃん』の言動に、ステージ下のカシムが激昂し声に殺意を漲らせて大声を張る。
「ぁあ? てめーなんぞ推してたまるかボケナスが。つかフィアをババアって言いやがったな? そっちこそ若作りメイクで10代気取ってんじゃねーよ痛すぎる年増が。カシムさんの目はごまかせねーぞアラサー女?」
「ご、ご主人サマ!? それ以上はいけないよ……!」
ライブ会場の空気が一気に凍り付く。
カシムの眼力はマインの目尻と口角のメイク……コンシーラーやファンデーションで隠されたシミとシワの存在を見抜いていたのだ。
当然、洗脳されたファンはカシムを殺そうと殺到してゆく。
だが、カシムはメルシーの魔力回路を経由して広域念動障壁を強制発動。
ライブ会場を上から押し潰し、ファン達を床に這いつくばらせてみせた。
「近寄ってくんなゴミ共……今のカシムさんは超絶不機嫌だが、僕は猟兵の中でも超善人だともっぱらの評判なんでな? てめーらみてーなゴミ共にも慈悲をくれてやる……だから、そこで寝てろ」
暴君……!
傍らでメルシーはガタガタを身体を振るわせて戦慄している!
(わぁ……! ご主人サマの……い、怒りがふり切れて……完全に暴君になっちゃってるー! あと自分で超善人っていうのは胡散臭いぞ☆)
「おいメルシー? あとでてめー、三角木馬の上で100kgのバーベル上げ続けたまま古今和歌集を全暗唱の刑な?」
「なにその仕置き……? 新手の精神攻撃、いとおかし☆」
魔力回路でメルシーの思考がカシムに駄々洩れであった。
「そうやってメルシーのお仕置きをピンナップにしてご主人サマは愉悦に浸るって、メルシー知ってるぞ☆」
「アホなことぬかしてねーで、僕をフィアのところまで運びやがれ。殺すぞ」
「アッハイ」
普段みたく一切のおふざけが通用しないと悟ったメルシーは、大人しくカシムを抱えて空中へ飛翔。
ステージ上に降り立ったカシムの殺気に、マインはすっかり身体が強張っていた。
「な、なんなのアンタ……? まさか、そのババアとシケこんでるの? うわ、マジでぇ?」
カシムとフィアを交互に指差し、ヘラヘラ笑うマイン。
だがその0.5秒後に指差していたマインの左肩から先が、スパッと刎ね飛ばされてしまった。
「え? い、いったあああああぁぁいっ!」
遅れて広がる激烈な痛覚。そして大量失血による吐き気と眩暈。
ステージ上に転がる彼女の左腕の断面からして、超高速の斬撃が放たれたと推測できた。
「おい、年増女?」
カシムの怒気が更に膨れ上がる。
「てめーなんぞ、フィアと比べるのもおこがましい……てめーの魅力なんぞに興味ねーよ。いや……その若作りした身体の中身……新進気鋭のアイドルの臓器の価値が、どれくらいの値が付くかっつーのは興味あるがな?」
さらっとマインの臓器を闇ルートへ流すと宣言するカシム。
「おめーも洗脳しすぎて壊れたファンの身体の中身をくり抜いて、一山当てたらしいじゃねーか? なら、おめーの臓器……ファンに売り捌いたら、プレミア価格がつくんじゃねーの?」
「私も、確かにその中身には興味がある」
しれっとフィアもマインの臓器を売り飛ばす気満々だ。
そしてメルシーだけが珍しく真顔で状況を見守っていた。
「イ、イカレてるよ……猟兵って正義の味方なんじゃないの……? やってる事、メガコーポと変わりないんだけど?」
マインは目の前の猟兵の言動がフカシや脅迫ではなく、本当に
やると確信した。
「ア、アンタ達に、マインの臓器なんて渡さないもん♡ こうなったら、みんなみぃ~んな! 爆発しちゃえ!」
ヤケクソ気味にマインは、グレネードランチャーの残弾と対戦車地雷ベルトをライブ会場内の隅々までばら撒き始める!
「ここを全部吹っ飛ばして、マインだけ逃げちゃえば勝ちだもんね♡」
なんたる無軌道かつマッポー的言動か!
これを許せば、ライブ会場はオツヤに早変わりだ!
しかし、これは既にカシムもメルシーも、そしてフィアも予測していた。
「フィア! 無理しない程度にお願いします……! 3秒で十分だ……!」
カシムの指示に、フィアは無言で頷く。
フィアの身体が刹那、激しく発電し周囲に雷電を迸らせて激しく瞬く。
「いたい……けど、あきらめない」
ユーベルコード『
雷槌』発動! タイミングを見誤らず、即座に行動に出た。
全身から放出した電撃の影響によって一瞬で黒焦げになって倒れるフィア。
しかし『弱者救済』の信念を掲げる彼女の想いが、会場全体にばら撒かれた爆発物のダメージを無効にしてみせた。
(私が、救う……! 大切な人も、自分の思い出も、そ、れが……私、みたいな……弱者なり、の、戦い方、だか……ら……)
薄れゆく意識の中、弱者救済の念を思い浮かべるフィア。
その傍らで、猛烈な神風が起きた。
カシムとメルシーのユーベルコード『ロバーズランペイジ』で巻き起こった衝撃波だ。
マッハ43.5という驚異的な超音速機動からの、カシムとメルシーの挟撃による多重斬撃連携!
それでいて器用に四肢をそぎ落とし、まるでマグロの解体ショーめいてマインの身体から臓器がきれいにくり抜かれてゆく。
「最後は首を刎ねて
終ーだ!」
「意識を残したまま解体するご主人サマ、鬼畜だぞ☆」
即死できずに最後まで身体の臓器をくり抜かれ続けたマインは、ようやく頸椎をビーム大鎌剣ハルペーで切断されてログアウトしていった。
恐らく、現実世界でもバラバラになったアイドルの変死体がそのうち発見されるだろう。
インガオホー!
そして遅延性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』を司る改造心臓を、カシムは足で容赦なく踏み潰した。
すると、すべてが終わったライブ会場の空気が一変する。
「あれ? ここで何をしていたんだっけ?」
「私は正気に戻った!」
「ブッダ! ありがとう!」
すべてのモータルのファン達は呪縛から解かれ、次々とログアウトしていった。
アカダルマファーマシーへの人員補充と資金供給を、猟兵達はまたひとつ挫くことが出来たのだった。
「フィア! しっかりしてください!」
カシムは黒焦げになって倒れる恋人の身体を抱きかかえる。
「フィアちゃん、今助けるよ!」
メルシーは運命因果律を操作するユーベルコード『幸運の神』の効果を最大出力で発揮させる。
すると、何故かメルシーが吐血してしまった。
「げぼふっ!? フィ、フィアちゃんの、不運は……メルシーが改竄、した、ぞ……☆ 今迄失ってきた、記憶も元通りだよ……その代わり、メルシーが肉体ダメージとして請け負ったけどね……☆」
血をドボドボ吐きながら、サムズアップするメルシー。
賢者の石で出来た身体でさえも大ダメージを受けたのだから、今までフィアがどれだけ自分を犠牲にしてきたかがうかがえる。
「ありがとう、メル……なんだから、心が軽くなった、気がする」
「でも今は身体の治療が先です、フィア。早く帰還して治療しましょう!」
カシムはフィアをお姫様抱っこすると、ユーベルコードの超音速機動でグリモア猟兵が待つ転送地点まで急行してゆくのだった。
<了>
大成功
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