エンドブレイカーの戦い⑱〜終焉は此処じゃない
●はじまりの少年
滅びの大地、復興した都市国家『楽園組曲ハーティタウン』の荒野。
赤き宝石で形作られた人馬のような11の怪物『クサリク・ジ・エンドブレイカー』は苦しそうに蠢いていた。
『グゴゴゴ……貴様は何者だ……そして、何処から現れた!』
エリクシルの体表から浮かび上がるのは少年、そして大勢の女たち。彼や彼女らとも違う苦し気な声が問いかける。
「僕の名はアウィン。はじまりのエンドブレイカー・アウィン! お前を足止めする為、妻達と共に蘇ったのです」
その名は七勇者の最後の一人、遥か昔にとうに死亡した筈の存在。戦闘能力こそないものの、伝説の勇者を立ち上がらせ多くの勇者と共に大魔女を食い止め、遠い未来の為の希望を遺した存在。
『馬鹿な……オブリビオンでも無い者が、どうやって蘇り、我と融合したというのだ!? エンドブレイカーといえど、そんな力は無い筈だ!』
「それを決めたのは、誰なのですか?」
こともなげに言うアウィンに対し、クサリクは激怒した声で叫ぶ。
『……理屈も道理も通らぬ化け物め! 貴様の
意思を喰らいつくし、消滅させてくれよう!』
グリモアベース。
「……驚きました。あの方をまさか目の当たりにできるとは」
無表情ながら驚きを隠せないという風にマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)というグリモア猟兵は呟いた。
「全ての支援は絶たれて『11の怪物』との直接決戦もいくつかで猟兵の勝利が報告されつつありますが、今回皆様に向かって頂きたいのは復興した都市国家『楽園組曲ハーティタウン』になります。既に住民は避難完了しており、残る『クサリク・ジ・エンドブレイカー』の撃破を要請します。……名前の通り、このクサリクという11の怪物が融合しているのはエンドブレイカー、それもはじまりのエンドブレイカー『少年アウィン』になります。なのですが、どうもこの合体はクサリクも意図したもので無いようで、アウィンがクサリクが内包する大量のエリクシルの放出を止めている状況のようです。何でも、完全に死んだ状態からオブリビオン化もせずクサリクによる悲劇の
未来を予知し、終焉を終焉させる
意思により、この世のあらゆる理を無視して愛する妻達と共に強引に蘇った挙句クサリクに無理矢理融合しているんだとか」
ちょっと私でも訳が分からない無茶苦茶さです、とマウザーは語る。
「クサリクは本来非常に強力な力を有しているのですが、アウィンとその妻たちに融合された事により大きく弱体化しています。ですが、いずれアウィンも力尽きてしまう時は来る……その前に、アウィンごとクサリクを滅ぼしてください」
そう語るマウザーは蝋燭の形をしたグリモアを取り出して、転送の準備を開始する。
「アウィンは道理を超えた存在であり救う方法も存在しないため守る必要もありません。予知でも彼自身が『僕達の事は気にしないで戦って』と仰っていました。……どうか皆様、お願い致します」
そうマウザーは説明を締め括ると、グリモアに火を灯し、猟兵達を蠢くエリクシルの怪物のいる荒野へと送り出したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
伝説の勇者とは別ベクトルの規格外。
このシナリオはエンドブレイカー!の『楽園組曲ハーティタウン』で『クサリク・ジ・エンドブレイカー』と戦うシナリオとなります。
クサリクは体内に蓄えた無数のエリクシルを放出して一気に大地母神を抹殺する予定でしたが、あらゆる道理を無視して強引に蘇ってきた全てのエンドブレイカーの先祖『アウィン』とその愛する妻たちに無理やり融合されて放出を食い止められ、力も大きく減じられています。
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
=============================
プレイングボーナス……真っ向勝負で倒す。
=============================
それではご武運を。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『クサリク・ジ・エンドブレイカー』
|
POW : ライフイレイザー
自身の【体表面に露出させたエリクシル 】から極大威力の【知的生命体抹殺光線】を放つ。使用後は【アウィンがガッツで動きを封じた】状態となり、一定時間行動できない。
SPD : バビロニアンドラゴン
【エリクシルの巨竜 】を召喚する。騎乗すると【アウィンが僅かな隙を作る時以外は無敵】状態となり、【万物破壊】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
WIZ : エンドブレイカーブレイカー
【自身の体内 】から、対象の【アウィンの力を弱めエリクシル軍団を放つ】という願いを叶える【アウィン殺しの槍】を創造する。[アウィン殺しの槍]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|

リカルド・マスケラス
ハーティタウンの住人の体を借りて戦うっす
「どもー、正義のヒーローが登場っすよ〜。自分はヒーローマスク、よろしくっす!」
チャラく出てくるが戦い真面目に。光線の狙いを絞らせないように動きつつ、鎖鎌を回しながら鎖分銅を飛ばして牽制……程度しか対策がないと油断させたところで
「頼むっすよ、ヴェガ!」
サイキックキャバリアを呼び出して【念動力】で操作。無生物であるヴェガを盾にしながら【結界術】の展開で光線を防ぐ
相手が動けなくなればチャンス
「この一撃のためにずっと回し続けていたんすからね」
と、【羅刹旋風】で強化した鎖鎌を更にぶん回し、何度も斬りつけ切り裂く
「アウィンの作ってくれたチャンス、逃さないっすよ!」
●正義の仮面はやってくる
荒野に蠢く赤き宝石の怪物は必死であった。
あらゆる道理を越えて融合してきたエンドブレイカーの始祖とやらに融合され、思うように動けぬ身。
それから解放されれば速やかに大量のエリクシルを放出して大地母神を殺害できる――だが、その前に猟兵は怪物の前にやってきた。
「どもー、正義のヒーローが登場っすよ〜。自分はヒーローマスク、よろしくっす!」
白狐の仮面を被った青年姿のリカルド・マスケラス(希望の仮面マスカレイド・f12160)の本体はその仮面、肉体の方はこの怪物に狙われたハーティタウンの住人の体だ。
『何だ貴様は。さっさと滅ぼしてくれよう……!』
チャラチャラとした雰囲気の彼に苛立ちを隠さず、クサリクはその体表に大量のエリクシルを露出させて光線を放った。
「真面目っすね〜」
光線の発射タイミングでリカルドはダッシュで回避する。無数の光線、一つ一つが知的生命に対し必殺の破壊力を有するだろうその攻撃に捕まらぬように忍者としての身のこなしで回避しつつ、鎖鎌を振り回し始める。
「それっ!」
回転の勢いで放った鎖分銅が赤きエリクシルのボディに命中するが、何事もなかったかのようにクサリクは光線を更に激しく放ち始める。
『その程度か!』
この程度の反撃なら躱す必要もない――そう思わせることそのものがリカルドの作戦。
殺到する光線の嵐には身軽なリカルドでも徐々に追い詰められてしまい、ついにクサリクにとっての必殺のタイミングが訪れる。
『これで終わりだ!』
放たれた極大威力の光、それを前にリカルドを被った青年の口元がニヤリと笑い、
「頼むっすよ、ヴェガ!」
その呼びかけに呼応して虚空より現れたのは結界展開型キャバリア『ヴェガ』、結界展開能力特化のその機体を外部から念動力で操り光線を防ぐ盾として結界を展開する。
『なんだとっ!?』
知的生命を滅殺する光線は結界すらも貫いたが十分威力は減衰、ヴェガそのものの装甲に阻まれリカルドには何のダメージも与えられない。
『グゴゴゴゴ……』
その瞬間、クサリクの動きが停止する。融合しているアウィンが一瞬の隙を生み出してくれたのだ。
「アウィンの作ってくれたチャンス、逃さないっすよ!」
鎖鎌を更に振り回し、ユーベルコード【羅刹旋風】による強化を受けた鎖鎌を怪物に連続で叩きつける。
予備動作で見切られやすくなる欠点はあるが、動けない状態では回避も何もあったものではない。
「この一撃のためにずっと回し続けていたんすからね」
エリクシルを砕くように、切り裂くように。鎖鎌の連撃は容赦なくクサリクを削り十分なダメージを刻み込んだ。
しかし怒れるクサリクはアウィンのガッツを振り払って、すぐに行動を再開する。それを見切ってリカルドは距離を取った。
――表面上はチャラく、されど戦闘そのものには真剣に。
抗う彼は再び鎖鎌を振り回し、次の攻撃の機を窺いながらクサリクの攻撃を躱していく。
大成功
🔵🔵🔵

ユーリス・レイフィスト
本来の力が出せないのであれば好都合だ。
理屈はいい、その事自体には興味も無い。
それがエリクシルだというのであれば、己が力を以って、真っ向から悉くを蹂躙する。
エリクシルは全てを弄ぶ歪んだ願望機だ。私のやる事に変わりはない。……すべからく討ち倒すのみ。
敵に僅かな隙が生まれるまでは、マジックカードを投擲し、牽制しつつ間合いを測る。
隙が生まれ次第即座に距離を詰め、トリニティラッシュで攻め立てる。隙のあるうちに手数で圧倒しておき、確実に手傷を負わせていく。
葉月・静夏
奇妙な見た目の敵ね。
話によるとこういう状態になることでアウィン達がクサリクと戦っているみたいね。
覚悟も決まっているみたいだから、私もその覚悟に答えて全力で戦うよ!
あまり時間はかけられないみたいだから、敵のユーベルコードの予兆をきにしつつ、積極的に攻撃を仕掛けていくよ。攻撃のための【勇猛夏敢】も繰り出していくよ。
敵のユーベルコードには【勇猛夏敢】での防御と反撃で対処ね。元の世界でディフェンダーとして戦っていた私には、どんな危険な攻撃でも後ろに通すという選択はないの。だから、かならず防いでみせるよ!
●赤き竜に抗うは
「奇妙な見た目の敵ね」
異なる世界の『ケルベロス』である葉月・静夏(せい夏・f40839)はクサリクの異形を見上げながらそう呟いた。
赤きエリクシルのボディから上半身を浮かべた少年、そして女たちの体はクサリク本人ではない。
話によればあの11の怪物の力を抑え込むために自分から融合したエンドブレイカーの祖『アウィン』なのだという。
自ら融合する事で強大なエリクシルの門番を弱体化させ、戦ってくれている彼らは既に覚悟も決まっているようで、猟兵達にやわらかく微笑んでくれているようにも見える。
ならばその想いに応えない道理は静夏にはない。
「私もその覚悟に答えて全力で戦うよ!」
構えを取った静夏、一方で蒼のロングコートを纏ったユーリス・レイフィスト(
還れなかった男・f39756)は静かに愛用のカードデッキを取り出し構えていた。
「本来の力が出せないのであれば好都合だ」
あのクサリクがどのような理屈で力を抑え込まれているのか、その事自体にはユーリスは興味を抱かない。
ただ彼が心の裡を占めるのは眼前の存在がエリクシルーー全てを弄ぶ歪んだ願望機を従える11の怪物であるということで、彼のやる事に何ら変わりはないのだから。
「……すべからく討ち倒すのみ」
今度こそ、己が力を以て真っ向から悉くを蹂躙する――
棘喰いはそう覚悟を決めていて、カードをクサリクに投擲する。
その瞬間クサリクの足元から巨大なエリクシルの巨竜が出現、騎乗したクサリクは竜の体でマジックカードを弾き砕きながら二人の猟兵へと突撃してきた。
凄まじい速度で突っ込んでくる竜に対し、ユーリスはその上のクサリクに向けてマジックカードを投擲、突き刺さり爆発した瞬間に巨竜の突進を回避した。
そのまま向きを変えて再度突っ込んでくる前に、様々な魔力が秘められたカードデッキをシャッフルしながら次に投擲するカードへと魔力を込めていく。
竜の一撃を喰らったなら万物破壊の衝撃でユーリスもただでは済まぬ。距離を取りつつ仕掛けるべきタイミングを見極める為の牽制を、彼は冷静に行って。
そしてユーリスを直に砕かんと上空から斜めに突っ込んでくるエリクシル、それをユーリスが躱し地面が砕かれたた瞬間にほんの僅かな隙が生じた。
――アウィンが作り出してくれたそれを、ユーリスは見逃さない。
騎乗しているクサリクの赤き宝石の体目掛けて飛び乗って、ユーベルコード【トリニティラッシュ】を起動
「エンチャントトリニティ……斬り捨てる」
最初に閃いたのは雷速度の居合、そのまま流れるように『星屑の氷』の白銀の刃が冷気を纏った刺突で貫いて、更に『焔陽炎』の焔纏った斬撃が瞬く間に三つの傷を刻み込む。
そしてそれで終わりではない。雷閃炎斬冷突三属性の刃による連続攻撃はクサリクの僅かな隙にありったけ叩き込まれてその軽さを補う手数でクサリクにダメージを重ねていく。
『グゴゴゴゴ……うっとおしい!』
振り払うクサリクだが既に計116回も傷を刻まれている。これだけあれば十分。
更に静夏がクサリク目掛け一気に距離を詰めていく。徒手空拳で戦う彼女は守りの戦いを多く経験していて、その経験でクサリクの攻撃の起こりに警戒しながらここが攻め時と判断したのだ。
『近づくな!』
邪悪な声が響き、クサリクの体表にエリクシルが露出。知的生命を滅ぼす光線を放ってくる。
予め予兆に警戒していた静夏はその攻撃に対してユーベルコード【
勇猛夏敢】を起動。彼女の両手に炎が纏われて、光線に対して構えを取る。
彼女は元々"ディフェンダー"として戦っていた。故に、どんな危険な攻撃であろうと後ろに通す選択肢はない。
「こうして、こうね!」
必ず防いでみせる――そんな気合で叫び、破壊光線を左拳の裏拳で受け止めた。そしてそれを受け流しながら前に出てクサリクに真っ向からの左の正拳を叩き込む。
攻撃直後の行動不能になったタイミングに叩き込まれた攻撃をクサリクは回避する事もできず、炎纏った正拳はユーリスの刻んだ傷に重ねて叩き込まれ、赤きエリクシルのボディの一部が砕けて苦悶の声をクサリクが漏らした。
消失していくエリクシルの巨竜から飛び降りてユーリスと静夏はクサリクから一旦距離を取る。
あまり時間は駆けられない。されど確実に、堅実に。
帰還した棘喰いの男は再びマジックカードを構え、そしてケルベロスの女は拳に炎を纏わせて、怒り狂う11の怪物に次なる攻撃を仕掛けていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
春乃・菊生
[WIZ]
終焉を終焉させる、その意思や見事。
黄泉比良坂を整えるが我の役目なれば、二度目の行き路、先を晴らして見せましょうぞ。
はてさて、とは言え我には単独で強大な化生を討ち果たす程の威力は出せぬ。
他の猟兵と共闘したいところじゃの。
秘術 袷、降ろすは天下に名高き武蔵坊弁慶。
かの者の膂力で大薙刀を振るい、敵の手脚や槍を逸らして先ずはアウィン殿や他の猟兵の助けとなろう。
そして出来た隙に破魔の力を込めた一撃を。一撃で足りぬなら何度でも繰り返そう。
アドリブ共闘等々ご随意に。
鳳凰院・ひりょ
戦争シナリオへの参加希望
すっかり出遅れた、というか大遅刻だけど!
それでも何か俺が力になれるなら…
共闘者がいれば共闘者と連携を重視
UCにより太刀を召喚、共闘者が防御型の立ち回りなら5割分の太刀を防御用として【念動力】で操作しながら護衛
残り5割で攻撃用の太刀を準備、【破魔】を付与した太刀の投擲による遠距離攻撃で援護攻撃する
単独行動ならばUCによる太刀は10割攻撃用に
俺自身は回避型の立ち回りなので【見切り】回避して敵の攻撃を掻い潜りつつ【破魔】+【全力魔法】力を注ぎこんだ太刀による【貫通攻撃】+【鎧無視攻撃】で攻める
単独なら投擲だけでなく接近戦による連続攻撃も視野に入れる
出遅れた分、目一杯暴れる
ネリネ・リード
POW選択!アドリブ共闘その他諸々ご自由にってな!
ヒュー!コレがエンドブレイカー!か!ガッツってのはスゲーな!
OK、アタシに任せな!ぶっ壊すのだけは得意なんだ!終わらせろッてんならしっかり終わらせてやるよ!
ってもタメがいるんだけどさ。
悪いね、ちょっと待ってろ?
アウィンや他の猟兵が気張ってる間にUC:破砕の剛腕を起動。
自前の義腕と合わせて全部のギミック可動すっぜ。
んで、ここぞってトコでフルパワーで叩き込む!
お待たせシマシタ!一丁お待ち!
全部まとめて全力全壊ブッ飛ばすぜ!喰らいやがれッ!!
●三方より阻止する
知的生物を滅ぼす光線と万物を砕くエリクシルの巨竜、アウィンに力の多くを封じられてなお恐るべき力を振るう11の怪物であったが、猟兵達の攻勢は更に激しさを増していく。
「ヒュー! コレがエンドブレイカー! か!」
感嘆の声をあげるサイボーグの少女はネリネ・リード(THE RED・f20899)。
「ガッツってのはスゲーな!」
「終焉を終焉させる、その意思や見事」
立烏帽子に水干――和装の羅刹、春乃・菊生(忘れ都の秘術使い・f17466)も、ネリネと共にクサリクという怪物の体表からその上半身を晒している少年の姿を見上げ、感嘆の声を漏らす。
勇者たちの時代は数千年前、その時代に生きたアウィンも完全に死んで数千年は経っている筈であり、その状況から
意志であらゆる道理を超えて蘇った事はそうとしか言いようがない。
「黄泉比良坂を整えるが我の役目なれば、二度目の行き路、先を晴らして見せましょうぞ」
そこに更に一人、援軍が現れる。
「すっかり出遅れた、というか大遅刻だけど!」
そんな風に言いながらもこの戦場へ転移してきた鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は慌てながらも準備は万端、三人の猟兵は即席の共闘であの怪物を打ち倒す事に決める。
「とはいえ、我はあの強大な化生を単独で撃破する程の火力は出せぬな」
「OK、アタシに任せな! ぶっ壊すのだけは得意なんだ!」
支援になるだろうか、と語る菊生に、ネリネは機械仕掛けの義腕をぶんぶん振り回し応じた。
「ってもタメがいるんだけどさ。悪いね、ちょっと頼まれてくれるか?」
「了解だ。俺も援護するよ」
「それなら我は左から攪乱する、右の方は頼むぞ?」
そうひりょに告げてユーベルコード【秘術 袷】を起動した菊生の体から莫大な破魔の力と存在感が溢れ出す。
両の角が長く伸び、真の姿を曝け出したその存在感に気を取られたアウィンを貫かんとするクサリクの動きが止まり、彼女へと振り返る。
「参る」
双眸の虹彩に妖しき羅刹の紋を光らせて、大薙刀を手にクサリクの左側に回り込むように駆ける菊生が赤き宝石で構築された足を薙ぎ払えば、派手に結晶の破片が散る。
シャーマンの彼女が今降霊しているのは天下に名高き武蔵坊弁慶――かの剛力で振るわれる一撃は、慌てて猟兵へと向けられたアウィン殺しの槍の先を溢れ出す破魔の力で逸し、槍の貫くという機能を妨害する。
そして菊生と同時に右側へと走り出したひりょが仕込み杖――『携帯型破魔刀』を抜刀し、ユーベルコード【精霊王乃太刀召喚】を起動して仕掛ける。
「精霊王よ、俺に力を貸してくれ! 明日への希望を見出すために!」
その叫びと共に精霊の力を込めれば偉大なる精霊王の太刀を限界の142本具現化し、念動力での操作を開始。
後方で準備するネリネ、更にはクサリクの上部のアウィンへも放たれた赤き槍を念動力で操った太刀が盾代わりに食い止めて、横から攻撃用の太刀が鉱石質の槍を両断、粉砕する。
ひりょのユーベルコードは手数を増やせば威力こそ弱まるが、増やしたことによる自由度に関しては強力。自身へ襲い掛かる槍は持ち前の回避能力で見切り、最小の手数で防いでやり過ごす。
召喚した太刀の半数は守る為、残りの半数は破魔の力宿しクサリクへと投擲され、反対側からの菊生の強烈な攻勢と共にアウィン殺しの槍をアウィンへと命中させるような暇を与えない。
そして二人が時間を稼いだ間にネリネが準備を整えた。
「お待たせシマシタ! 一丁お待ち!」
ユーベルコード【
破砕の剛腕】の起動完了、召喚された浮遊する一対の巨大な機械の巨腕は長さだけで彼女の倍はある。
ネリネが装着している義腕がギミックを開放し周囲から大量の空気を取り込み圧縮すれば、その動作をトレースして巨腕も同じように空気を取り込みその発熱で外角を高熱化させる。
走り出すネリネ、彼女が攻めに回ると同時、ひりょの刃が先んじてクサリクに数本襲いかかる。
知的生命を抹殺する光線を放たんと輝く禍々しき体表のエリクシルを見切り貫き、重ねて武蔵坊を降霊せし羅刹の全力の破魔の力を宿した大薙刀がクサリクの体表に浮き出た赤き水晶に叩きつけられ、光線の攻撃を強引に逸らす。
そこにクサリクの胴体に飛びかかったひりょが、精霊力籠めた破魔刃を鉱石の胴体に深々と突き立てた。
耳障りな悲鳴、苦痛に回避の動きが止まって。
「終わらせろッてんならしっかり終わらせてやるよ!」
そのチャンスを活かしてネリネがクサリクの真正面からギミックをフル稼働させた巨大な機械腕を振りかぶった。赤熱した義腕と赤熱装甲の巨大腕が同時にクサリクの胴に叩き込まれて。
「全部まとめて全力全壊ブッ飛ばすぜ!」
命中と同時に圧縮空気が解放、機械腕内に組み込まれたシリンダーよりハンマーを打ち出して、鉱石の硬さを無視するかのような破壊的な一撃がクサリクへと撃ち込まれた。
溜めに溜めた紛れもないフルパワー、クサリクの赤き鉱石の胴の下半分が吹き飛ぶ破壊力を受けてクサリクの絶叫が荒野に響く。
『グゴゴゴ……だが、まだ倒れぬ! この
意思を喰らい尽くしてお前達ごと滅ぼしてくれる!』
しかし、それだけの傷を負ってなおクサリクはまだ倒れない。アウィンですら根負けするのでないかという邪気と殺意で踏み止まっているのだ。
だが、一撃で足らぬなら何度でも繰り返すまで――再び最大の一撃を撃ち込むべく、三人の猟兵は散開し、次の攻撃の機を作る為に行動を開始した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

オルフェウス・シフウミヤ
※アドリブ大歓迎
真っ向から倒せばいいのですね。
ならばこそ私の領域です。
巨竜に無敵、万物破壊…なるほど厄介ではありますね。まぁスピードは大したことないですが。さて、僅かな隙がありさえすれば攻撃は通るのですね。
まずは煌銀眼を発動し、非常に遅い世界の中で戦闘演算と瞬間思考力を合わせて常に最適解で選択します。これが戦闘思考のトリニティです。
そして限界突破した雷剣天使 死の舞踏(トール・トーテンタンツ・ラミエル)を発動、汎ゆる速度を雷速を突破した黒紫の雷剣天使となり、攻撃を回避しつつ隙が出来るまで超雷速の連続斬撃で斬り続けます。同時に雷速で動くリュカオンのミサイルの爆撃とレーザー射撃で攻撃していきます。
●汎ゆるものを砕こうとも
半壊してもそのエリクシルを放出し大地母神を速やかに殺害する、という願いを果たさんとエリクシルの巨竜を召喚したクサリク。
相対するのはリュカオンという機獣を連れたサイボーグの女。
「真っ向から倒せばいいのですね」
金と白銀の刀身の二振りの剣をもつ彼女、オルフェウス・シフウミヤ(冥府の吟遊詩人オルフェウスの系譜・f40711)の思考は酷くシンプル、真っ向勝負こそが彼女の領域なのだから。
無敵、万物破壊、それに加えて高速移動能力を有するとどれをとっても厄介な組み合わせである事に疑いの余地はない。
咆哮を上げて空へと竜の身を跳ねさせて広範囲をボディプレスで叩き潰さんと襲い掛かるエリクシルの巨竜だが、オルフェウスは『
煌銀眼』を発動させ、その動きを演算する。
「まぁスピードは大したことないですが」
高速の思考では酷く遅く感じる世界――戦闘演算能力と瞬間思考の融合も合わさって最適解を常に選び続ける戦闘思考のトリニティ、赤き宝石の竜の攻撃を置き去りにしながらユーベルコード【
雷剣天使 死の舞踏】を限界以上の力で起動する。
「雷奏せよ、我が身はこれより雷剣天使。悪に蹂躙されし者への悲哀の悲しき涙を糧に、雷天使の死の舞踏を弱者の為に舞い強者を蹂躙しよう」
宣告のような、誓いにも似た詠唱と共に彼女の肉体が黒紫の雷剣天使へと変身、稲妻の雷速――それすらをも突破した速度で巨竜に騎乗したクサリクへと襲い掛かる。
翼の羽搏きや爪牙をその速度で回避しながら、生じる隙を見逃さぬようにクサリクを注視し、その身体を足場にすらしながら金の刀身の『
聖戦神剣』と白銀の『
白銀雷神剣』で連続で斬りつける。
更には自立行動するリュカオンが主には劣るが雷速で移動しながらミサイルで援護射撃するが、まだ隙は生じない何度か斬りかかりミサイルも命中するが、巨竜の妨害により有効打は防がれてしまう。
しかしこの後に必ず隙は生じる、その確信と共にオルフェウスは神剣を振るい続け、そして、
『グゴゴゴ……おのれアウィンめ!』
アウィンの抵抗により巨竜の動きが停止する。ほんの僅かの隙だが、それだけあれば彼女には十分。
リュカオンのミサイルとレーザーの援護を受けながら、オルフェウスの閃光の二振りの刃はクサリクの鉱石の翼を斬り飛ばした。
苦悶の声と共にエリクシルの巨竜は姿を消失させていく――もはや維持もできなくなったのかもしれない。
されどクサリク本体はまだ存在したままで、さらなる追撃のために雷剣天使と機獣は追撃を開始するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリピタカ・リリット
ご先祖サマの根性(ガッツ)、確かに受け取ったぜ
感動も感謝もクサリクをブチのめす力(ガッツ)に変えて
いざ真っ向勝負!
アウィン殺しの槍なんざ使わせねぇ
天使羽の空中機動で突撃し琥月杖で斬り込む
第六感と勝負勘で槍が体内創造された瞬間
全力魔法を篭めた月の刃で気合いの鎧無視攻撃
UC+封印術で棘をありったけ流し込んでただの石槍に
クサリクもろとも斬撃波で叩っ斬ってやる
エンドブレイカーブレイカーブレイカーだ!!!
アウィンが大地母神に託した遺産のおかげで
オレたちエンドブレイカーは多くの奇蹟を起こして多くの人々を救えたんだ
…再び死なせたくないって本音はぐぐっと堪えて
大地母神を守り切り二重の恩返し、果たしてみせるぜ
鍋島・小百合子
WIZ重視
お味方との協力・連携を強く意識して戦に臨む
誰ぞのために臨む戦を犠牲とは言わぬ
真っ向勝負ならば専売特許。決して手は抜かぬぞ
UC「勇者乃武器」にて自身の持つ薙刀を勇気の光によって強化し、薙刀の武技を以て敵を討ち滅ぼす(乱れ撃ち、鎧砕き、串刺し併用)
敵からの攻撃は残像を用いた見切り回避からの懐の小太刀による反撃(カウンター、咄嗟の一撃併用)
生み出した槍がアウィン殿に向けられるようであればその槍をわらわの薙刀による武器受けを以て防御、部位破壊とも併せて破魔と神罰の力を込めた小太刀の一刺しで破壊してくれる
槍を扱う練度が足りぬと見たな
犠牲とは言うたがわらわ達の手で葬ればこそじゃ
邪魔はさせぬぞ!
●その願いは叶わせない
消失していくエリクシルの巨竜、残されたクサリクは既に息も絶え絶えの様子。
されどこの状況からもひっくり返してくる可能性があるのが11の怪物であり、新たに駆けつけた二人の猟兵に油断は決してない。
(「ご先祖サマの│根性《ガッツ》、確かに受け取ったぜ」)
かつての大魔女との戦いからエンドブレイカーであったトリピタカ・リリット(琥狛の魔想紋章士・f39203)の金の瞳に宿るのは紛れもない闘志。
あの少年――はじまりのエンドブレイカー『アウィン』は勇者達に託された願いを果たし、更には多くの足跡と大地母神に託した遺産を遺してくれた。そのことが多くの奇蹟を起こし、人々を救い、そして大魔女を打ち破る大きな助けとなってくれたことは、彼の記憶にも強く焼き付いている。
『グゴゴゴ……貴様の犠牲は無意味だ! 貴様の意志が潰えた瞬間、我はエリクシルの軍団で猟兵共を駆逐するのだからな!』
「誰ぞのために臨む戦を犠牲とは言わぬ」
アウィンに向けて放たれたクサリクの言葉を、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が真っ向から否定する。
「真っ向勝負ならば専売特許。決して手は抜かぬぞ」
決意を胸に朱色の武者鎧を纏う女は言う。アウィンが融合して共々滅ぼすことになろうとも、揺るぎはない。
――再び死なせたくない、それがトリピタカの本音ではある。
されどそれでは彼の、アウィンの願いに背くことになってしまう。彼の意志を汲んでぐぐっと堪える。
決して『誓い』を違えぬエルフ、彼に抱いた感動も感謝も、全ては彼の願いを――クサリクをブチのめす
力に変える。
アウィンと大地母神、二重の恩返しを果たすために、
「いざ真っ向勝負!」
背のエンジェリックウイングを広げトリピタカが空へと羽ばたくと同時に小百合子がクサリクへと飛び込んでいく。
「我の心に灯す勇気の心と共に! ……いざ参る!」
ユーベルコード【勇者乃武器】を起動した小百合子の手にした薙刀が勇気の光に輝く。
彼女の卓越した薙刀捌きによる乱打はクサリクのガードを的確に崩していって、他の猟兵との交戦で半壊した身体を更に削り取り破壊していく。
目的外の用途でアウィン殺しの赤き槍が小百合子を貫こうとするが、残像すら伴う舞踊の如き動作を正確に捉えるには至らない。
「槍を扱う練度が足りぬと見たな」
『ならば先に……!』
小百合子を捉えきれぬと判断したクサリクは、願いを叶える槍を直にアウィンに刺し弱らせんと体内で生成を開始する。が、
「アウィン殺しの槍なんざ使わせねぇ!」
そこで風を掴むように背の翼を強く羽ばたかせトリピタカが空中から急襲する。
勝負勘と第六感を研ぎ澄ませていた彼は、ここでクサリクがその行動に出ると読み切っていて、それを封じるための行動に既にかかっていたのだ。
長く冒険の友として愛用してきた『琥月杖』に全力の魔力を籠めてクサリクのボディへと全力の月の刃の斬撃を叩き込む。
硬度を無視して切り裂かれたクサリクの傷の中に見える赤き槍――アウィン殺し。ユーベルコード【創世神の
棘】を起動して少年が刺青のように纏う棘冠紋――魔想紋と
棘の融合によって創り出された紋章を励起し棘を放てば、赤き宝石の槍は物質組成を改竄されて灰色に変化、ただの石槍へと変化してその力を封じられた。
アウィンを殺すという願いを果たす超常の力は失われた。が、苦し紛れにクサリクはそのまま石槍を体外へと放ち単純な物理攻撃でアウィンを貫き弱らせようとする。しかし小百合子が神速で踏み込み竜王御前の刃でクサリクを切り裂き、アウィンに届く前に刃で受け止め石槍の放出を阻んだ。
そのまま流れるような所作で懐から抜いた小太刀『白石局』を薙刀の傷口へ突き立てる。具現化した勇気のオーラのみならず、破魔と神罰の力を込めた護り刀の一刺しに、阻まれていたアウィン殺しの石槍は砕かれて、
「犠牲とは言うたがわらわ達の手で葬ればこそじゃ。邪魔はさせぬぞ!」
アウィンの想いを無為にさせはしない――叫び薙刀を再び振るう小百合子と共に、トリピタカが月光の魔力をありったけ籠めた月の剣杖を薙げば、月の剣閃は新たに放たれようとしていた槍を叩き落とし砕き、そしてクサリクの身体に深々と傷を刻み込み、
「エンドブレイカーブレイカーブレイカーだ!!!」
『グゴゴゴ……おのれ……』
既に限界は近いのだろう、声から力は大分失われているクサリクは、怨嗟の声と共に力を振り絞り二人の猟兵を振り払った。
しかし戦いの決着はもう近い――そのことを猟兵達、そしてアウィンは確信していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ユーフィ・バウム
《折れぬ大樹『ユーフィ』》を発動
私と同じ名のエンドブレイカーと共に戦います
いざ、真っ向勝負で打ち倒すっ!
相手のUCにはオーラ防御を打ち出すようにして
光線の直撃を避けるよう軌道を変え、
動きが封じられたところを一気に押し込みます!
「ユーフィさん」がアウィンさんに語ります
多くのエンドブレイカー同様、自分も
七勇者にはずっと憧れていた
乙女心で男性陣がラブラブな兄弟関係とも妄想し…こほん
あなた方が犠牲になるだけの歴史で終わるのは、
我慢ならなかった、砕くべき終焉!
貴方が残した遺産に願い、宿ったのが
「ラズワルドセイヴァー」の力です
勇者ラズワルドは終焉せず、今を生きている!
涙ながらにアウィンさんへ「ユーフィさん」が伝える中
私は功夫を生かした拳でクサリクを打ち砕きます
消えゆくアウィンさんに「私」も伝えましょう
闘神ガンダッタ、言葉の神シャルムーン
これは私の故郷アックス&ウィザーズの神の名です
彼ら達は仮面の化け物となって終わらず
なんらかの形で神となり、ラズワルドのように「今」を生きている
そう、私は思っていますよ
●終焉の先へ
クサリクが体内で作り出すアウィン殺しの槍は悉くが防がれ、砕かれて。
アウィンを弱めエリクシル軍団を放出するという願いは叶えられそうにない状況だが、ただ一つ逆転の目があるのはそれだけしかないと考えているのだろうクサリクは執念深く赤き槍を生成しようとし続ける。
そして、それに終焉を与えるべくユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)が背負っていた斧剣を眼前の荒野に突き立てて、
「戦士の斧剣よ! その絆の糸を以て導となれ! わたしは此処にいます!!」
ユーベルコード【折れぬ大樹『ユーフィ』】を起動すれば、斧剣はその姿を変えていく。
――本来のその斧剣の持ち手であり勇者を救った聖女、そして同じ名を持つエンドブレイカー、ユーフィ。
数奇な運命で分かたれたものの、不可視の絆で結ばれた血縁上の母の姿へと変わった『戦士の斧剣』は自我を持つ本人であり、猟兵のユーフィと同等の力を持つ。
「いざ、真っ向勝負で打ち倒すっ!」
『貴様ら如きに負けられるか!』
猟兵のユーフィの叫びにクサリクは吼えて、赤きエリクシルを体表に浮かべ知的生命を滅殺する光線を彼女に向けて放つ。
しかし猟兵のユーフィの前にエンドブレイカーは斧剣を構え立ちはだかって、ユーベルコード【四霊門・開門】を起動。
『……四霊門開門! わたしの全てを今ここで引き出しますっ!』
黄金の覇気が彼女の体から溢れ出し、それを障壁として光線に放ち軌道を逸らしていく。宝石より放たれる光線を幾度も、幾度も。
潜在能力を限界まで引き出されたエンドブレイカーの力は満身創痍のクサリクでは容易には凌駕できぬ程。
致死の交戦のの悉くを逸らし、何物の生命も奪わせぬように抗う血縁上の母。彼女の雄姿を見ながら、猟兵のユーフィはありったけの功夫を練り込んでいく。
『……多くのエンドブレイカー同様、自分も七勇者にはずっと憧れていました』
黄金の覇気で光線を弾きながら、エンドブレイカーが語り掛けるのは金髪の少年、彼女達の始祖であるアウィン。
六勇者が大魔女の眠りに囚われてからもずっと託された願いを果たす為に冒険を続け、数多の足跡を残した彼。
『乙女心で男性陣がラブラブな兄弟関係とも妄想し……』
「!?」
照れを隠すようにこほんと咳払いするエンドブレイカー、ちょっと知らなかった方がよかったかもと思いながらも猟兵のユーフィは功夫を練り上げる事に意識を集中する。
『――あなた方が犠牲になるだけの歴史で終わるのは、我慢ならなかった、砕くべき終焉!』
アウィンが盟約の地に遺し、遠い未来に使用された33個のエリクシル。
その中の一つに願い、エンドブレイカーのユーフィに宿ったのが『ラズワルドセイヴァー』の力。
永き時を経て魔女に敗れ仮面に憑かれたラズワルドを救う為だけに願われたそれは、多くのエンドブレイカーと共に奈落にてその力を発揮した。
『勇者ラズワルドは終焉せず、今を生きている!』
そして今この瞬間も、伝説の勇者はこの世界を守る為に悪しき存在と戦い続けてくれている――エンドブレイカーに涙ながらにそう告げられたアウィンは、どこか懐かしむようでありながらも少年らしさを感じる微笑みを浮かべた。
その時、光線が停止する。
『グゴゴゴ……我はまだ……』
アウィンの
意志で動きを止められたクサリクの最大の隙を見極めた猟兵が、一息に飛び込んだ。
既に阻むものは何もない。ただ、最後の拳を――、
「これで、最後です!」
ありったけの功夫を練り込んだ蛮人の拳が
万能宝石の門番の胴に叩き込まれ、かの怪物の
絶望の終焉を今度こそ砕き切ったのだった。
赤きエリクシルのボディがボロボロと崩れ、端から消滅していく。
かの怪物と融合したアウィンもこのまま共に消滅して本来あるべき場所へと還るのだろう。
だが、消えていく前に告げねばならない事がある。
消えゆくアウィンに、猟兵のユーフィは彼女が故郷の世界で識ったお話を伝える。
「闘神ガンダッタ、言葉の神シャルムーン……これは私の故郷アックス&ウィザーズの神の名です」
その二つの名を聞いたアウィンの表情に驚きが浮かぶ。
彼が未来を託された六勇者達、絶望的な長き戦いに赴く最後の別れに笑顔で送り返してくれた彼ら。
実際には名前が同じだけの別人なのかもしれない、或いは本人であってもウインドゼファーのようになにかしら数奇な運命を辿って変わっているのかもしれない。
それでも、
「彼ら達は仮面の化け物となって終わらず、なんらかの形で神となり、ラズワルドのように『今』を生きている……そう、私は思っていますよ」
楽観的かもしれないが、そうユーフィは思わずにはいられないのだ。
もう残り少ない、身体の殆どが崩れ去ったアウィンは懐かしむような、嬉しがるような表情を浮かべて。
――ありがとう。
声にならない言葉を遺して、はじまりのエンドブレイカーの身体は11の怪物の一柱と共に荒野へと崩れ去った。
ありとあらゆる道理を超えて現代の猟兵達に力を貸してくれた少年と愛する妻たちは、役目を今度こそ終えてあるべき場所へと還っていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵