エンドブレイカーの戦い⑯〜スウィート・デザイア
かつては『密告者』と名乗り、無限増殖の開始直後を攻撃されることで倒されたウリディムマ。知的生命体の心に秘めた欲望が彼の養分。
此度、二の轍を踏まぬためにウリディムマは策を練る。
順番を変えたのだ。
「このウリディムマ、という『11の怪物』の1柱は『人間の隠れた欲望』を糧にして無限増殖するんだね。前に増殖の直後をやられて倒されたので、今回は既に燦然楼閣ゼルフォニアの都市国家を占領し、ある程度自分の複製を増やした状態で戦いを挑んできたというわけ」
麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は説明を続ける。
「問題は戦場に現れる君ら猟兵の隠れた欲望すらも無限増殖の糧にしてしまうことだ。それぞれの傍に……」
嵐は皆を一人ずつ示し、無数の小さなウリディムマが君たちの周囲にあふれ出すのだと言った。
「最初は小さいが、彼らはそのうちに完全なウリディムマの複製体に成長してしまう。それに本体が倒されるまで無限に出現し続けるそうだよ。とはいえ、これらを放置してウリディムマ本体を狙えるほど甘くない。となれば手は二つ」
増殖したウリディムマが成長しきらないうちに倒しながら本体を叩く。
もしくは、『隠れた欲望』を何らかの手段で『隠れた欲望』でなくしてしまえばウリディムマの糧にはできなくなる。
「ウリディムマの糧となるのは
隠された欲望でなければならない。オープンにされたものに彼は興味を示さない。ゆえの密告者。秘密が公然の事実となった時、その存在意義は消え失せるのさ」
ツヅキ
プレイングが送れる間は受付中です。
採用と執筆はタイミング次第。
書けそうなものからリプレイをお返ししていきますので、全ては採用できない場合があります。
●第1章
知的生命体の秘められた欲望を糧に無限増殖するウリディムマ。
スウィートという単語には甘いの他にすばらしいとか優しいといった意味もあるそうです。『小さなウリディムマを即座に倒しながら本体に対処するor自身の欲望を隠すのをやめる』とプレイングボーナスです。
第1章 ボス戦
『ウリディムマ』
|
POW : 抵抗を望む欲望も、私の餌となります。
【小さなウリディムマ】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【言葉で指定】した部位の使用をレベル秒間封じる。
SPD : あなたが隠したい欲望は、何ですか?
対象への質問と共に、【対象の秘めたる欲望】から【新たな無数のウリディムマ】を召喚する。満足な答えを得るまで、新たな無数のウリディムマは対象を【欲望を奪う視線】で攻撃する。
WIZ : これもまた、素晴らしき光景の一端です。
【ウリディムマ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[ウリディムマ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
アーネスト・シートン
エンドブレイカーは、こんな奇怪な能力を持つ怪物と戦って勝てたのですね…すごいですね。
でも、蘇ってきたのなら、私たち猟兵の出番ですね。
エリクシルは動物たちには直接の害は無いですが、間接的には高い確率で害になりえますね。
主に人型や亜人や獣人や竜族の欲望のせいで。
ここのエルフは相当酷い目にあったそうですね。
まぁ、わたくし、動物好きではありますが、隠している欲望といえば、「人間を、ある程度減らしたい」ですかね。
地球の動物たちは人類のせいで絶滅したり絶滅寸前の状態だったりしますからね。
農耕や牧畜における駆除、外来種の侵入、密猟、地球温暖化…
えぇ。70億がいかに多いか語れますね。
只でさえ人類は発展途上国の人たちが飢えているほどですし。
戯言はここまでにしましょう。
世界を滅ぼすのは止めさせていただきますよ。
久しぶりに、これ行ってみますか。
短めに行きましょう。(UC使用)
滅竜銃及びMSLで周囲の小型密告者を銃撃しながら滅竜銃で密告者狙いますよ。
時間かけるのは惜しいですからね。
…今度は右手ですか。
特徴は雄弁な唇に巨大な目玉。ウリディムマの姿は異形という以外に言葉が見つからない。こんなものと戦って勝つだなんてエンドブレイカーは尊敬に値する。
人の秘密を目玉で暴き、お喋りな唇で告げるウリディムマ。その血走った目をアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)に向けて慇懃に笑う。
「おや、新たな獲物が来てくれましたね。歓迎しますよ、お名前は?」
「いえいえ。あなたのような奇怪な怪物にわざわざ名乗るほどの者ではございません」
アーネストは人当たりのよさそうな微笑みを浮かべた。
「猟兵だから来た、それだけですよ。オブリビオンとなって甦った『密告者』さん?」
「その通りです。今の私はかつての私を倒した者たちへの復讐心に燃えています」
「復讐ですか」
眼鏡を押し上げ、軽く首を傾げてみせる。
「それを言うなら、ここのエルフは相当酷い目にあったらしいじゃないですか」
「そうでしたっけ?」
「おとぼけさんですねぇ、あなた」
――欲望。
エリクシルのそれは動物たちには直接の害は無いとはいえ、間接的にはそうも言えない。むしろ高い確率で害となる影響を及ぼすといえるだろう。
「人型、亜人、獣人、竜族……いずれの欲望も酷い結末をもたらしたみたいですね」
「お詳しいですね。お調べになったのですか、大変だったでしょうに」
「それほどでもありません」
「いずれにせよ、私の邪魔をするというのなら貴方が隠している欲望も糧にさせてもらいましょう」
ウリディムマの瞳孔が開いてアーネストの心の奥底まで見透かそうとする。だがアーネストはその前に自ら口を開いた。
「わたくし、実は人間を間引きたいんですよ」
「なんですって?」
少々驚いたようにウリディムマが言った。
「人間を、ある程度減らしたいのです」
アーネストも表情ひとつ変えずに言った。
既に戯言の時間は終わっている。だからこれは本心。それが本当である証拠にアーネストの周囲には小型のウリディムマが出現していない。
「その理由はいったい?」
「わたくし、動物好きなでしてね。彼ら地球に生きるものたちは人間のせいで絶滅したり絶滅寸前に追い込まれる種族が後を絶ちません」
人類が動物を死に追いやる方法は多岐に渡る。たとえば農耕や牧畜における駆除。あるいは外来種の侵入による捕食や密漁、温暖化による生息可能域の減少……例をあげれば限りがない。
「70億です。いくらなんでも多すぎると思いませんか」
それは地球における総人口。
あまりにも多く、あまりにも不平等。同じ人でさえ発展途上国では飢えすらも解消されない状態が長く続き過ぎている。
「むう……」
ウリディムマは困惑を隠せない。
「貴方、よくもまあそのような危険思想を隠さずにおけますね」
「お褒めに預かり光栄です」
両手の銃で弾幕を仕掛け、一気に小型から殲滅にかかるアーネスト。もちろん本命は密告者本体。狙うのに壁となる小型を一掃するとすぐさま滅竜銃のリボルバーを再装填、正直なところウリディムマはいい的だ。
「狙いやすくて助かります」
――瞳孔のど真ん中へ、対魔銃の弾丸を速射で叩き込む。
「な、なんてことを!」
「……今度は右手ですか」
喚くウリディムマをよそにアーネストは自分の右手を眺めて呟いた。茶色い毛並みに小さな爪。まるでリスみたいな。
アーネストは微かな嘆息を漏らす。
それでも、世界を滅ぼさせないためには必要な代償だった。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
なるほど、これは鬱陶しい相手ですね!
でも…目なんですよねぇ…。
ついたら即、UC使いまして。さらに七色竜珠を全て合成、白日珠[鏡形態]へ!
はいでは…小さいのも巻き込んでの範囲薙ぎ払い攻撃である。
そして、ウリディムマの大部分は目である。
しかも、わりと挑発気味である。
つまりは棘での継続ダメージがとんでもないことになる。
飛ばしてくるなら好都合、この鏡な白日珠を盾にして武器受けします。
そして勝手にUC効果適用である。
どんどん薙ぎ払いますよ!腕が動かなくなっても念動力で白日珠使って薙ぎ払いますからね!
「なるほど、なるほど!」
大事なことなので荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は二度頷いた。世の中には二種類の敵しかいない。鬱陶しい奴と鬱陶しくない奴だ。そしてウリディムマは圧倒的後者であった。
――しかも、目なんですよねぇ……。
檬果はもう一度じっと敵の姿を眺めて再確認。やっぱり目だった。口でもあるがやはり目の方が目立つ。
「というわけで! おいでませ『夏侯惇』!」
「うッ、眩しい!」
七色の光が輝いたと思った刹那、鏡に薙ぎ払われたウリディムマの目玉から数多の棘が突き出した。
「な、なんですかこれは」
ウリディムマが驚くのもわかる。
本体に加えてあらかじめ増殖しておいたものと檬果の周囲に現れたもの、全てのウリディムマの目という目から一斉に棘が生えたのだから。
「ぎえぇぇー!! 痛い痛い痛い痛い!!」
「いやはや、自業自得というやつですねぇ」
「この棘はなんですか? 凄く痛いのですが」
「これはですねぇ、目によく効くんですよ。しかもあなたってば挑発お好きでしょ? きっととんでもない継続ダメージが入りますのでお覚悟を」
「く……見た目によらず賢い戦い方ではありませんか。ならばこちらも手加減は無用ですね。おいきなさい、私の複製体よ」
まとめて向かってくる小さなウリディムマの群れを受け止めたのは檬果が顔の前にかざした白日珠の鏡面だった。
「今、白日珠に触れましたね?」
檬果はキラリと目を光らせる。
はッ、と小さなウリディムマが息を呑んだ。
「しまッ……あぎゃあ!」
「さあ、どんどん薙ぎ払いますよ!」
「そうはさせるものですか。二度と薙ぎ払えないように腕を使えなくしてやりなさい」
「――と思いますよね? 残念! 実は念動力使って薙ぎ払えるんですよねこれー!」
「そんな隠し玉まで用意しているなんてシャーマンズゴースト恐ろしい子
……!!」
完全に一本取られたウリディムマは拷問に等しい仕打ちにごろんごろんと転げまわる。取り合えず口を塞げばよいのに煽り口調が性の密告者は普通に会話するだけで終わらない地獄を味わい続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵

セラ・イーズデイル
・欲望?最近ちょっとすごくって困ってるのよぉ…でもオープンにしていいんでしょぉ?語るわぁ。ナイフぶん投げながらねぇ!自動追尾つけておけば小さいおめめもどうにかなるんじゃなぁい?
・ねぇちょっと聞いてよ、おめめちゃん!アタシ、最近、すんごく美味しいお魚の味覚えちゃってぇ!ずっと脳内がお魚ちゃん食べたいなのぉ!でもランチでそこそこのお値段が軽くぶっ飛ぶのよぉ?最近ずっとそんなランチやディナーばっかよぉ!なぁんてひと様に言えないじゃなぁい?ヒンシュク買いそうじゃなぁい?
だからもうずっと我慢してたの語るの!もう本当に美味しいの、舌にのせたら魚の旨味がとろけるのよぉ。ああもう、今すぐお店行きたいわぁ!!
抱いた欲望の対価は何で支払われるのかという命題に対してセラ・イーズデイル(行楽殺人鬼・f40633)はひとつの結論を得た。
「いいいことおめめちゃん? それはね、我慢なのよぉ……!」
「我慢ですか? おおぅ――」
ひゅんっとナイフが飛んできたので慌てて逃げるウリディムマにセラが言いたいことはただ一つ。
「アタシ、最近、すんごく美味しいお魚の味覚えちゃってぇ!」
あぁもぉ、お魚ちゃん食べたいなのぉ――!!
こうしている間もあの味を思い出しては頬が落ちるほどに見悶える。両手を頬に当てたセラは「ほんとにほんとに美味しかったのよぉ!」と
頭をぶんぶんと振った。
脳内にいる天使の自分と悪魔の自分が左右から同時に囁いた。
――我慢は体に悪いわよぉ。そんなに食べたいなら行っちゃえばいいじゃなぁい! 三食お魚天国だわぁ。
――だめよセラ! そんな生活続けたらすぐにお財布がすっからかんになっちゃうでしょぉ!?
現実の戦場においてはセラの自動追尾機能付きナイフと四方八方から飛びかかる
ウリディムマの複製の攻防が続いていた。もっともセラは欲望という名の食欲をフルオープン状態なので新たなウリディムマは発生しない。
「そんなに美味しいお魚でしたか」
「そりゃもぉ、絶品だったわぁ。でもランチでさえそこそこのお値段が軽くぶっ飛ぶのよぉ?」
最近はずっとランチもディナーも最高のお魚で贅沢三昧ですぅなんて自慢が周囲の顰蹙を買っても致し方ないことは誰よりもセラが一番よく分かっていたので。
「それがようやくお話できてすっきりしたわぁ。おめめちゃん、アタシの欲望わかってくれたかしらぁ?」
思う存分
お魚への思いをぶちまけたセラ。ウリディムマは目玉に刺さったナイフから血を流して言った。
「貴方の話を聞いているだけで私もお腹がいっぱいになった気がします」
「それじゃまるでアタシが惚気たみたいじゃなぁい? まぁそうだけどぉ。美味しいお魚愛してるわぁ」
セラはその後もどれだけお魚が舌の上で柔らかくとろけたかの詳細や今すぐにお店へ行きたいこの衝動を熱弁したりと止まらない。
最後にはセラの熱気に当てられたウリディムマが「ご馳走様でした」と言ったとか言わなかったとか。
大成功
🔵🔵🔵
龍巳・咲花
隠れた欲望でござるかあ
そうでござるなあ、甘い物食べたいとかでも太りたくないとか、お洒落したいとか、パリピになりたいとか、友達と遊園地行きたいとか……あれ、拙者今思うとあまり欲望を隠してないのではござらぬか!?(指折り数えながら)
くっ、忍びは本心を隠してこそでござるのにっ
思いついた欲望を口に出しつつ、ムシュマフを召喚するでござるよ
六体が周囲の小型を炎や毒切りや噛付きで殲滅する中、拙者は残りの一体に乗って本体に向かうでござるな
曾て世界を窮地に陥れた者と同じ名前の者が世界を救うのもまた一興でござろう?
拙者の手裏剣やクナイの投擲で巨大な目を潰しに掛かり、ムシュマフの炎でその唇を焼き尽すでござる!
隠れた欲望。
二つの要素の入った言葉だ。欲望、はわかるとして
隠れたというからには人には言えない秘め事みたいな意味を感じさせる。
「貴方にも隠れた欲望があるのでしょう? 私はそれを糧にして私の欲望を叶えるのですよ」
舌なめずりでもしそうな声色でウリディムマが言った。
「そうでござるなあ……」
あらためて考えると、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)にとってのそれは年頃の女の子にとって当たり前のことばかりだった。
「甘い物食べたい、でも太りたくない、お洒落したい、パリピになりたい」
あ、と思いついて付け足した。
「友達と遊園地にも行きたいでござるねえ……あれ、拙者意外と欲望を隠してないのではござらぬか!?」
「そうですよ」
ウリディムマが唆すようにたずねる。
「もっと人には言えない欲望があるのでしょう? ほら、ねえ……あッ」
欲望を指折り口に出して数える度、咲花の周囲にはムシュマフの首が召喚されていた。
そのうちの六体がウリディムマを守るように浮かぶ小型のウリディムマを炎や毒を撒いて一掃してしまう。欲望を隠しもしない咲花の回りには新たなウリディムマが発生しないのでウリディムマの数は減る一方。
「何てことでしょう。貴方、本当にそんな普通の望みだけで満足なのですか」
ウリディムマの問いかけにも、咲花はただ悔しがるばかりだ。
「くっ、忍びは本心を隠してこそでござるのにっ」
「気にするのってそこなのです? あ、やばそうなの来ちゃいましたね」
残る1体のムシュマフが獰猛な顎を開いてウリディムマの眼前に迫る。曾て世界を窮地に陥れた者と同じ名前の者が今こうして世界を救うために戦っているのだ。
「それもまた一興でござろう?」
咲花は得意そうに微笑み、手裏剣とクナイを構える。
「ゆくぞ、ムシュマフ!」
咲花の擲つ忍具がウリディムマの目玉に突き刺さった。
「ぎああ!!」
目を潰され、呻くウリディムマ。ムシュマフは一気に炎を吐き出した。渦巻く業火はウリディムマの唇ごと呑み込み、紅蓮の炎で焼き尽くす。
大成功
🔵🔵🔵
楊・暁
【朱雨】
早業でUC発動
切れたら再度発動を繰り返し
小せぇ敵&本体同時に攻撃しつつ
隠してぇ欲望…?―ねぇなぁ…
嘘や隠し事しないよう務めている為、本当にない
藍夜とは…その、恋人になれて…結婚までできたし…
あとはずっと一緒にいてぇな、っていつもお互い言い合ってる
藍夜のこと誰にもやりたくねぇこととか
ずっと俺のことだけ見てて欲しいとか…全部言ってるし…
あっ!今度のクリスマスのプレゼント
秘密にしようと思ってたけど言っちゃうか?
…実は、手編みの何かを贈りてぇなって思ってて…
編み物なんてやったことねぇけど、ほら…藍夜、手が商売道具だろ?
冬でも悴まねぇように、って…
藍夜の言葉には照れ&はにかみつつ
確りトドメは刺す
御簾森・藍夜
【朱雨】
寧ろ俺は奴をバラしたい
まず声帯はどこだ
唇から生まれる?目から?何、無い?つまらん
でもオブリビオンじゃないならほらお前が新しい例になれば良いんだ心配するなバラせば解るともなぁ心…
(俺の嫁が今日も輝いている可愛い天使かな?きちゅねだな
手袋大事にする
飾ろうな神棚に
額に入れて
心音のクリスマスプレゼント今年は靴にしようかと思ったんだ
今度探しに行こう、ぴったりのを
(心音は恥ずかしがり屋だから今キスは出来ない可愛いな流石俺の嫁
というか…
お前何俺の心音を見てるんだ?UC
どれほど生んでも変わまん
捕まえラベリングし順にバラす震えて待て
逃げた奴から撃ち殺す
俺は常に隠してない
ほら言ってみろ俺が今したいことを!
足下を転がる小石の一粒や風に舞い上がる僅かな塵が次々と小妖怪の幻影となって真っ白な雪を降らせ、ウリディムマ本体やそれを取り巻く小型のそれを吹き消した。
楊・暁(うたかたの花・f36185)がぽつりと。
「隠してぇ欲望……? んー、別にねぇなぁ……」
「心音の正直さなら俺が太鼓判を押すぞ」
「なぁ? 嘘や隠し事なんかねぇもんな」
「相手が悪かったな」
ふふん、と自慢げな微笑みを浮かべるのは御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)。
「ウリディムマだったか? 言いにくいな。とにかくお前をバラさせろ。目玉と唇しかないってどういう了見なんだ。ああ、研究心が疼いてたまらん」
声帯の場所すら検討がつかない。
果たして唇から目が生まれるのか、目から唇が生まれるのか。
「どちらも一緒ですよ。この二つが揃って私なのです」
「そんなのつまらん」
「そんなこと言われても」
「そもそもオブリビオンじゃないなら、お前が新しい例になれば良かろう。心配するな、バラせば解るともなぁ心……」
最初の一例として心を込めてバラしてやるからそこへなおれ、と言いたかった藍夜はあっさりと暁に見惚れて考えを変えた。
(「ああ、俺の嫁が今日も輝いている……」)
もじもじと指先を弄りつつ、藍夜のことを想っている時の暁ほど可愛い天使はこの世にいない。
(「天使? いやきちゅねだな」)
藍夜とは恋人として付き合った後に結ばれた。あとはずっと一緒にいたいと思っている。いや、思うだけじゃなくていつもお互いに言い合っているから、どこにも誰にも隠せていなかった。
新しいウリディムマを呼べるものなら呼んでみろというやつだ。惚気れば惚気るほど、ウリディムマは力を発揮できない。
「いやいや、何かあるでしょう。お相手に隠しておきたい気持ちのひとつやふたつくらい」
「そんなのねぇもん」
暁は首を振った。
「誰にもやりたくねぇとか、ずっと俺のことだけ見てて欲しいとか……全部知ってるよな?」
「無論」
藍夜は胸を張る。
「心音は何も隠していないと俺が保証する」
「あっ! せっかくだしあれも言っちゃうか? 今度のクリスマスのプレゼント、秘密にしようと思ってたんだけど……」
実は、手編みの何かを送りたいと思っていたのだと教える。藍夜は手が商売道具だから、冬でも悴まないように。
編み物の経験はなかったが、藍夜のためなら頑張るつもりだ。初心者向けの簡単な手袋の編み方だって探せばいくらでも見つかるだろう。そういう中からどれが藍夜に似合うかなとか、使う毛糸の色や素材などを選ぶのは考えるだけでもわくわくする。
「手袋? 心音が俺に?」
藍夜は頬を染め、にこりと微笑んだ。
「死ぬほど嬉しい。その気持ちだけで年末まで幸せな気分にひたれる。完成したら飾ろうな神棚に。額に入れて」
そんなことを言い出すから、暁も照れたようにはにかんでしまう。
「いや、神棚に飾るのはさすがに。ていうか額!? せっかく編むんだから使えよ、ばか」
「じゃあそれを嵌めて、街に出かけよう。心音のクリスマスプレゼントは靴にしようと思っていたんだ。ぴったりのを今度探しに行こう、ふたりで」
さっそくクリスマスデートの内容が決まったところで、だ。
「お前何俺の心音を見てるんだ?」
無粋な視線をこちらに向けている密告者から暁を隠すように庇う藍夜である。本当はキスしたいくらいだが、彼の気持ちを慮って我慢した。恥ずかしがり屋さんだからな俺の嫁は、ふふふ……。
刹那、ウリディムマを一掃する雨の如き弾丸が降り注ぐ。藍夜にとっては数の多寡など問題ではなかった。片っ端から捕まえてラベリングし、順番にバラすまでのこと。
「震えて待て」
逃げた奴から撃ち殺してゆきながら、堂々と。
「俺は常に隠してないからな? ほら言ってみろ今したいことを!」
完全に開き直った藍夜にウリディムマが汗を浮かべた。
「そこのきちゅねといちゃいちゃしたいのですね?」
「その通り!」
もはや新しいウリディムマが増える余地はどこにもあらず。吹雪と弾幕に追い込まれ、ぐうの音も出ないというやつであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
人の秘密、欲望を知りたがるとはなんとも人間じみているというか
一番の怪物は人間である、なんて皮肉でも言いたいのかね、こいつ
さておき――誰にも言った事はないが。何もかもを投げ出してしまいたくなる事がある
猟兵として戦う事、神刀の担い手としての使命、日々の仕事やその他諸々
誰だって死にたくないし、楽に暮らせるならその方が良い
だけど、俺は既に知っている。世界を脅かすものの存在を
知っていて、それに抗う力があって。それでも何もしないのは――それは、自分を許せなくなる
だから俺は刀を振るおう。利剣を抜いて、敵に向けてダッシュで接近
飛来する小さなウリディムマは何か喋る前に斬り倒し。参の型【天火:猛】で斬る
何とも人間じみた敵だなと夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は思う。そうでなければ人の秘密や欲望に興味など持たないだろうから。
「一番の怪物は人間である、なんて皮肉でも言いたいのかい?」
「ふふふ……なかなかよい洞察ですね。人間は知的生命体として興味深い存在です。貴方はどのような欲望を隠しているのかとても興味がありますよ」
「やれやれ。ご期待に添えるといいんだが」
これは誰にも言ったことがないのだが、と鏡介は前置いた。
俄然ウリディムマはその先を聞きたがった。隠されたものほど価値があるのだと言わんばかりに、真っ赤な瞳で鏡介の心を見透かすみたいに凝視して。
「何もかもを投げ出してしまいたくなる事があるんだ。本当に、時々だけれどね」
猟兵として戦う事もそう。
それに神刀の担い手である鏡介に課せられた使命。日々舞い込む依頼やその他諸々さまざまな用事で毎日が忙殺されてゆく。
――死にたくない、楽に暮らしたい。
自覚したのはいつからだろう。
そう思うことに罪悪感は覚えなかった。だって、誰だってそれが普通だろうから。鏡介は生物の本能として感じたまでのこと。
けれど……。
鏡介の視線が射るようにウリディムマを見つめた。その手が刀の柄にかかる。ウリディムマのような存在そのものが答えだ。
「お前たち世界を脅かすものの存在がある限り、俺は戦い続けると決めたんだ」
「ご自分の本心を無視するのはよくありませんよ」
「違うな」
「違うとは?」
「そういう存在を既に知ってしまった以上、何もしないではいられない。俺にはそれに抗う力があって、倒すことで救われる世界がある、人がいる。それでも何もしないのは――それは、自分を許せなくなるから」
だから、鏡介は刀を抜いた。
迸るように距離を詰め、その勢いを乗せたままに斬撃をくらわせる。小さなウリディムマが破壊され、本体への道を空けた。喋らせる暇など与えない。
「屠れ」
参の型で斬られたウリディムマは袈裟に血しぶきを上げながら頽れ、地面に激突する。
大成功
🔵🔵🔵
ユト・フォンデュ
密告者もいるんだね……
次から次へと……
そばに居るミニ敵を倒しつつ
攻撃は動きをよく見て見切り
特に急所攻撃は魔鍵で防ぐ
僕は独身なんだよね
相手もいないし結婚もしてない。リア充実は末永く爆発しろー
まあ、別に憂いてないんだよね
これまでに恋する相手に出会えなかっただけだし
たださー、僕を覚えていて、僕の技を継いでくれる人は欲しかったの
いなくなってから誰にも覚えて貰えないのは寂しいよ
子供を欲しがるメンタルに似てるね
我ながら勝手な願いで泥々しいとは思うよ
今はその願いも叶ってるんだよね
愛弟子がいるから
魔鍵の先で自分の腕を切って血を流し
影縛りで密告者を固定して2回攻撃で手数を増やし
貧血になっても君を倒したい♪
おいぬさまGO!
目だからね。猟犬に噛みつかれると痛いんじゃない?
ところで僕、もう1つ欲があるんだ♪
君の中に檸檬を入れたくって
料理と罠が得意な弟に作ってもらったんだよー♪
沢山切込みの入った丸ごと檸檬をぽんぽんと投げ込む
効いてくれたら見ていて面白いし
檸檬に気を取られてるうちに猟犬もお見舞いしとくねー
ユト・フォンデュ(菖蒲咲の黒うさぎ・f39047)が歩く度に柔らかそうな白髪が風に揺れて靡いた。まるで誰かを導くみたいに紫水晶がきらりと光る花形のランタンを手にして。
――まさか、密告者まで現れるとはね……。
微かなため息。
次から次へと、尽きる事の無い再会にユトは運命の悪戯みたいなものを感じるのだった。面白いのは望んでもいない相手だというのに懐かしさに似た感覚を覚えたことだろう。無論、喜びはない。そんなものは心のどこをさらっても出てこなかったので、さっさと倒してしまわなければ。
「どいてくれる?」
まずは傍にいる小さなものから薙ぎ払っていった。よくよく観察すれば、攻撃を躱すのはそれほど難しくない。急所に迫る突撃を受け止めれば、魔鍵にあしらわれた花がきらめいた。そういえば菖蒲の花言葉には『朗報』というのがあるのだそうな。
「君は隠れた欲望を好むそうだけど、本当はそれを誰よりも知りたいんじゃないのかい? だとすればこれは朗報だよ。なにしろ、僕が隠してきた大切な欲望を独り占めして聞ける機会なんだからね」
「ほう? 随分ともったいぶるのですね。貴方の隠れた欲望とはいったい何なんですか。是非教えて欲しいですね」
ウリディムマの視線はどこか胡乱だ。そんなことを言って、本当に言えるのかと試すような色さえ浮かべている。だが残念、これからユトが話すのは真実そのものだ。ずっと胸の奥にしまっていたささやかでありながら勝手な望み。
「まず、僕は独身なんだよね」
「お綺麗なのにもったいない」
驚いたような惑わすようなウリディムマの感想を聞き流して、話を続ける。
「そうでもないよ。相手もいないし結婚なんてとんでもない。ここだけの話、リア充は末永く爆発しろーとさえ思ってる」
とはいえ、別に憂いてもいないんだけどね。
ユトは微笑みさえ浮かべ、またしても小さなウリディムマを倒した。出会いがなかったのだ。恋心を抱く相手に恵まれなかったともいう。つまりはユトの胸に花は一度も咲かなかったということ。それはそれで構わないのだが、跡継ぎだけは欲しかった。
「跡継ぎですか?」
「そう。これが僕の隠れた欲望ってわけ」
自らの技を継ぎ、その存在を覚えていてくれる者がいてくれたらどんなに満たされるだろうか、と。欲望とはきっと満たされぬ想いを埋め合わせるための手段をそう言うのだろう。
どうか、僕を覚えていて。
実の子どもである必要はなかった。
ユトが生きていた証となってくれる存在なら、血のつながりなどいらない。
「いやー、我ながら勝手な願いで泥々しいとは思ったよ? でもね……今はその願いも叶って幸せなんだ。僕のかわいい愛弟子だよ」
思い出し笑いみたいにくすくすと、幸せそうな顔になるユトだった。その微笑みのままで魔鍵を自分の腕に添わせて血を流す姿は人生を謳歌する者にのみ許される強さを印象づける。
「だって君の願いは叶わないんだものね、密告者? 潔く僕らに倒されてよ♪」
流れる血――真っ赤なユトのそれを代償に召喚された
おいぬさまが獲物はどこだと双眸を爛々と輝かせてわんと吠えるんだ。
「む……?」
そして密告者は知るだろう。
いつのまにか伸びた影が自分を動けなくさせていることを。
「おいぬさまGO!」
そのでかい目玉、きっと猟犬に噛みつかれたら凄く痛いだろうね。ご愁傷さまだよ。さっきから血を流し過ぎてくらくらしているけれど、君を倒せるのなら貧血くらい安いものさ。
ユトの腕から血が流れ落ちる度に猟犬はその数を増やし、今では10体を超えていた。思うように隠れた欲望を引き出せなかった密告者は目玉を鋭い牙に齧られ、「むむう」と唸る。
「あなたが隠したい欲望はそれだけですか? 他にもっと人には言えない欲望があるでしょう。ほら、よぉく考えてください」
「そうだなあ、……あ、あったよ♪」
ぽん、とユトは手のひらを打ち合わせる。
「さすがにそれは隠しておきたい欲望でしょうね」
「ううん。ほら、これ見て?」
「切り込みの入った丸ごとの檸檬……ですか?」
「正解。料理と罠が得意な弟に作ってもらったんだよ」
「それと貴方の欲望といったいどういう関係が――な、何をするんです? すッ……すっぱぁ―――――!?」
突如、檸檬をぽんぽんと投げ込まれた密告者はたまらず悲鳴を上げた。遂にもうひとつの欲望すらも叶えたユトは心底からの満足感を味わい尽くして。
「やったあ♪ おいぬさま、いまのうちにやっつけちゃえ!」
「あああぁぁ……」
「♪」
密告者はどこまで耐えられるだろう。
せっかく増殖した小さな自分たちと一緒に、容赦なく遠慮なく食い散らかされてゆく。
「僕の欲望を教えてあげた対価はおいぬさまの餌代としてちゃんと貰い受けるよ。これだけの数があればきっとみんな満腹になるだろうねー」
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
『隠れた欲望』なんて私…
とかゴニョゴニョ言ってたら、小さなウリ坊がぶわっ~と出てきたので、こりゃダメだとUC自動発動。
女神な自分が「範囲攻撃で纏めて倒すのです!」と進言すれば、
邪神様なりきりセットを着た自分が「デビルキングワールドでの言動見てたら、
みんな大体判ってますから言っちゃいましょうよ♪」と提案。
「…短期間だけ神としてのお勤めとか恥や外聞とかを、ぱあっ~と投げ出して、色んな事やって過ごしてみたいかなって💦」
(どこかで「やっぱりな」と呟く声が複数)
増えなくなったので反撃。
光の属性攻撃・神罰・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃でウリディムマ達に「目が!目がぁっ!!」攻撃を放って纏めて倒しますよ!
「え、えぇ……?」
大町・詩乃(
阿斯訶備媛・f17458)は頬を赤らめ、恥ずかしそうに身を捩った。『隠れた欲望』というキーワード。少なからず人に言うのは躊躇われる望み……詩乃はもじもじと自分の両手を揉みながら、不鮮明な呟きを繰り返す。
「『隠れた欲望』なんて……そんなの私、だって、あのぅ……か、堪忍してくださいッ……」
――だが、ここは戦場である。
小さなウリ坊が詩乃の周囲から一斉にわいた。それこそぶわっ~ともの凄い密度でひしめき合っている。
駄目だ、これじゃ負けてしまう。
「ああっ、もう!」
覚悟を決めた直後、姿を現したのは真の姿の幻影と黒歴史の幻影だ。前者のアシカビヒメは神々しく、後者の邪神なりきりセットを着た自分はどこまでも楽しそうに。
顔を覆って恥じらう詩乃を左右から挟み込んだ両者はそれぞれ言いました。
「詩乃、恥ずかしがっている場合ではありません。さあ、範囲攻撃で纏めて倒すのです! あなたの手で世界に平和を取り戻すのですよ」
「いやいや、本当はもうみんな判ってるんですよ。デビルキングワールドでの言動見てたら隠しようがないじゃないですか。だからほら、勇気を出して言っちゃいましょうよ♪ さぁさぁさぁ!」
どちらの言葉に耳を傾ける?
「あ、あの……私――」
詩乃は覚悟を決め、一息に吐き出した。
「……短期間だけ神としてのお勤めとか恥や外聞とかを、ぱあっ~と投げ出して、色んな事やって過ごしてみたいかなって💦」
そこかしこで「やっぱりな」なんて声が幾つもあがった。とても詩乃らしい、ささやかな願い事。ただ一時だけでいい。何もかもを忘れて誰の目も気にせず、自由になりたいだけ――……。
我が意を得たり、と邪神になりきる幻影が言った。
「正直者には私が味方しますよ♪ 今です! 威力8倍の攻撃をウリディムマに叩き込むのです!」
「は、はいッ」
眩く輝く神罰の光魔法が詩乃から解き放たれる。
「うぐッ、これは――!?」
「目潰し攻撃、ですッ
……!!」
「ぎやぁああああ
!!!!!!!!! 目が、目がァー!!」
まともに閃光をくらったウリディムマがその辺をごろごろと転がりながら悶え苦しんだ挙句、一緒に巻き込まれた小型の複製体と共に蒸発して消え去った。
「はぁ……」
詩乃は大告白した緊張が解け、疲れきったような顔でぺたんとその場にへたり込む。
大成功
🔵🔵🔵