エンドブレイカーの戦い⑥〜その謎解きの答えは
●予知:難解な謎を前にして。
紫煙群塔ラッドシティ。
『世界の瞳』と呼ばれる謎の巨大遺跡群と融合するように作られた、歯車機械文明に支えられた都市国家。
未だ多くの謎に包まれているこの都市の中で、最高レベルの謎とされているのが巨大歯車遺跡『クロノスメイズ』。
毎年12月24日、黄金の砂と純白の雪が降る間だけ扉が開くというこの迷宮に、大勢のモンスターの群れが殺到していた。
扉を強引に破壊して侵入し、遺跡を支配しようと企むエリクシルの放ったモンスターたちだ。
その扉の前で……モンスターたちは立ち往生していた。
「ぬぬう! 硬い!」「ええい、打ち壊せ、はやくしろ!」「僕の最強の腕がぁああ!?」「謎掛けだとぉ! 文字なんて読めぬわぁ!」「兄弟が歯車に挟まって……死んだ!」「どうでもいいから早く進めぇ!」
二つ三つと、扉を物理的に突破して遺跡に突入したモンスターたち。
途中遺跡の罠で何体もの仲間が倒れながらも屍を乗り越え強引に突き進んできたのだが、今眼前にある扉は非常に頑丈で破壊するには時間がかかりそうだ。
この扉の先には、ここの巨大歯車遺跡の罠を作動させたり停止させたりすることのできる制御室があるという。
モンスターたちにそれを意識して狙う知性はなくただ闇雲に突っ走っていた結果なのだが、ここを突破されてしまっては遺跡の罠がモンスターの手に委ねられてしまう。
排除が面倒になることは間違いない。
その扉を開けるための謎解き―――リドルは、次のようなものだ。
『裏切リの最後に来る者』『ドアの先端に在る者』『エルフの間にいる者』
『それを繋ぎ合わせたものを告げよ。さすれば道は開かれる』
うっかり偶然、モンスターがこの謎を解いてしまう前に。
あるいは、耐えきれなくなった扉が破壊されてしまう前に。
集まった有象無象のモンスターを排除しなければ、この遺跡はモンスターの手に落ちてしまうだろう。
●招集:お掃除タイム。
「ハーイ! という訳でモンスター掃討のお知らせデース!」
グリモア猟兵、バルタン・ノーヴェが猟兵たちに招集をかける。
エンドブレイカーの戦いも順調に進む中、天翔回廊ヘイズワースを占領している11の怪物『ウシュムガル』との戦いのために紫煙群塔ラッドシティを襲撃しているモンスターやエリクシルを駆逐する必要がある。
そのため、バルタンはラッドシティの遺跡に侵入したモンスターの群れの存在を予知したのだ。
「モンスター自体は数が多いだけで、サーチアンドデストロイで殲滅可能デース!
目の前の扉に夢中になっているので、後ろから襲い掛かればユーベルコードなしでも勝てるくらいであります!」
油断は禁物だが、戦い自体はそれほど難易度の高いものではない。
注意するのは、時間。
時間をかけてしまえば、モンスターたちが遺跡の謎を解いて奥に進み、遺跡の罠を管理する部屋に踏み込んでしまう可能性があるのだ。
「制御室に到達されれば、遺跡中の罠を好き勝手に使われるようになりマース!
そうなると、皆様でも突破するのはデンジャラス……! 一時撤退して仕切り直す必要がありマース!」
すなわち、今回の戦いは拙速が求められる。
あるいは、モンスターたちをすり抜け、目を掻い潜り、気づかれないよう扉の前に辿り着いて謎を解き、先に制御室を抑えるという手もある。
そうすれば、逆に猟兵が罠を自由に扱えるようになる。モンスターの殲滅は容易になるだろう。
「この迷宮最難関のリドルは、こちらであります!
今のうちに答えを見出してから突撃してもOKデスヨー!」
『裏切リの最後に来る者』『ドアの先端に在る者』『エルフの間にいる一つ』
『それを繋ぎ合わせたものを応えよ。さすれば道は開かれる』
この謎を解くことができれば、この遺跡は安全に管理することができる。
……解くことができなくともモンスターを薙ぎ払えばひとまず解決するので、気楽に挑んでもらえれば幸いです。
「それではエブリワン! よろしくお願いしマース!」
グリモアを起動したバルタンによって、遺跡の一室までのショートカットが開かれる。
そう、敵の最後尾がどこにあるかわかっているため、わざわざ入口から踏破する必要はないのだ。
迅速な対応が始まる。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回のシナリオは一章構成です。エンドブレイカー! の戦争シナリオとなります。
紫煙群塔ラッドシティにて、歯車遺跡の一つに侵入したモンスターの群れを殲滅することが目的です。
モンスターは人型・獣型、様々な姿があり、言葉を交わすことはできすが全体的に粗暴で知性は低いです。
ユーベルコードを使用することもないので、意図的に不利にならなければ対処は容易です。
オープニングで記載した謎解きに答えることができれば、罠を作動させることで戦わなくてもモンスターは駆除できます。
モンスターたちは扉を壊すことに夢中になっているので、露骨に目立とうとしなければ扉の前までは忍んで近寄ることはできます。
プレイングボーナスは、『歯車遺跡の
罠に対処する』および『遺跡の罠を利用してモンスターを駆除する』です。
オープニング公開後の断章はなく、すぐにプレイング受付開始となります。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたしますが、早めに完結したいと考えているため、普段より締切予定時刻は短めにさせていただきます。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『クロノスメイズの冒険』
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POW : 発見したモンスターを撃破する
SPD : 遺跡の罠を察知し、回避または解除する
WIZ : 遺跡のパズルや謎掛けを解く
👑7
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レティ・ライトニング
あ! なるほど。
答えは『リドル』ですね。
単語の中の、指定された部分ーー最後、先端、間を読めば良いのです。
(他謎解きをする方が居なければ答え合わせへ向かいますが、そうでなければ答え合わせは譲りましょう)
私は脳筋らしく、敵を倒しに向かいますよ!
罠で敵が足止めされている隙に『閃光の嵐』でドッカンドッカンドッカンです!
雷撃の閃光を放ちますよ。
不意打ちできない正直者なので……一応、小声で名乗ってから攻撃しますね!
こらー! 扉を壊すのはやめなさーい!
罠が発動した時は巻き込まれないよう注意します。
あとはおまかせ! お好きなようにお使いください。
馬県・義透
四人は、陰海月にねだられました
陰海月「ぷきゅ!」(UC使う!)
なお、四人のおじーちゃんによる遮断呪詛で、ゲーミングな光は遮断されました
ついでにコートみたいなのも羽織りました
…以下、『冷蔵庫にも貼れそうなホワイトボード&マーカー』による、陰海月が漢字も頑張ったヘロヘロ筆談…
迷路好きだけど、謎解きも好き!今回は謎解きの方だね
すすっと扉の前に。ぼく、文字読めてよかったー
ええと…
『裏切リ』は最後の『リ』
『ドア』は最初の『ド』
『エルフ』は真ん中の『ル』
よーし、答えは『リドル』!
あってたら、罠使っちゃえ
間違っててもさ。考えるの楽しかったんだ!
あと、その場合は…遮断が続いてる四天霊障で重量攻撃しておこっと
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、了解ですぅ。
参りましょう。
【拿禦】を発動、現時点では誰の制御下にもない『範囲内の遺跡の罠』を制御下に置きますねぇ。
この『罠の操作』に、『祭器』各種による[範囲攻撃]を併せれば、殲滅自体も容易に可能ですぅ。
それこそ、此方の攻撃に巻込んで扉を破壊してしまわない様、強化された命中で敵方だけを狙いますが。
お肉や使えそうな素材は『FTS』で回収しておきますねぇ。
リドル自体は『「裏切リ」の最後の文字』『「ドア」の最初の文字』『「エルフ」の真ん中の文字』で「解=リドル」で良いでしょうが、この扉自体も「誰の制御下でもない設備」になるなら、支配下に置いて入った方が早いでしょうかぁ?
御堂・絢瀬
大体銃をぶっ放して片付ける事が多いからね。
デキる女としてはここらで頭を使ってクレバーな所を見せておかなければなるまいよ。
恐らくこの「裏切リ」の最後がカタカナであるというのが肝ではあるのだろう。
『裏切リ』の最後、『ドア』の先端、『エルフ』の真ん中……繋ぎ合わせれば『リドル』となる。
リドルの答えがリドルとは一周回って面白みがあるが、これが正解であれば存分に罠を使わせて貰おう。
間違えていてもご愛嬌だ。ラピッドシューターを使い、両手の拳銃から銃弾の雨を見舞ってやろう。
夢幻・天魔
『超絶厨二病:厨二なら何でもOK』
やれやれ……かつて異世界にて、世界最高の頭脳と呼ばれた探偵王たる俺に、この程度のリドルを解かせるとはな……(当然全て妄想)
フッ、こんなものは簡単だ
うらぎ『り』
『ど』あ
え『る』ふ
それぞれの読む場所を示しいるわけだ
あとはこのアナグラムで……『ドリル』が正解という訳だ!
(無駄に捻って不正解になるやつ)
ん? 反応がないようだが………
そうか、ドリルこそが敵の弱点というわけだな!
フハハハハハハハ!!
(『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』で両手にドリルがついた装備を召喚。無敵の装備で強引にモンスターを倒していく)
夜久・灯火
リドル…要はなぞなぞってことかな?
まあ、折角だし謎を解いてみようか。
まずはUCで姿を隠すして進んでいくよ。
後は敵に接触してバレないように【野生の勘】で注意して【落ち着き】ながら行こう。
早く進むために【軽業】も使用。
扉の前にいる敵は電流を使った【マヒ攻撃】で動けなくするよー。
敵が動けなくなったら、謎解きといこうか。
えーっと…裏切リの最後は「リ」、ドアの先端に有るのは「ド」、エルフの間は「ル」。
で、コレを適切に繋わせると…答えは「ドリル」かな?
…なんか、字面からしてどんなトラップが出てくるか分かる気がするなぁ。
殺意が高そうだけど…まあ、起動させちゃおう。
ティオレンシア・シーディア
いくら対処が簡単でも、こんだけうぞーむぞーと大量にいるんじゃちょっと面倒よねぇ…
さっさと遺跡のトラップで一網打尽にしちゃいましょ。
ま、謎解き自体はそんなに難しいものじゃないわねぇ。
「裏切リ」の最後、即ち「リ」。「ドア」の先端、即ち「ド」。
「エルフ」の間、即ち「ル」。
結論、答えは「リドル」でQ.E.D。
管制室掌握できたら落とし穴系のフロアトラップでまとめて処理&○足止めして●虐殺・滅尽を起動、○範囲攻撃バラ撒いて片っ端から潰してくわねぇ。知性は低いって話だし、こーゆー単純だけど広範囲なタイプの罠は覿面でしょ。
安全地帯からハメ殺すって、素敵よねぇ?

ウルザ・ルーナマリア
よし急ぎで謎かけ突破して制御室にいけばいいんだな!
モンスターに先越されないようにしねーとな!
移動はこっそりとモンスターに気付かれないように。
物陰とかを使ってモンスターの視界に入らないように、必要なら天井近くとかに登って扉の前にまでいくぜ。
謎の答えは『リドル』だろ?
裏切リでリだけ片仮名なのおかしいし最後に来てるからリ、
ドアの先端…最初の文字でド、
エルフの真ん中の文字がル、だからな!
この位は分かるぜ!
もしモンスターが謎解き前後で扉の所に押し寄せて邪魔するならUCで動き封じている間に突破できるように、とにかく制御室に入れないよう足止めに回るぜ!
…機械の扱いよく分かんねーしな!
※アドリブ絡み等お任せ

栗花落・澪
謎解きの答えは
最後の文字、頭文字、真ん中の文字で
そのままリドルかなぁ…って思ったけど、どうだろう
でも制御室抑える人達はいるだろうから
僕は敵への奇襲主軸にしようかな
空中浮遊で足音を消し
物陰に隠れながら素早く接近
指定UCを発動し
破魔を宿した炎の鳥達を先行して向かわせ
浄化と延焼の力で蹂躙させつつ罠の位置などをさっと確認、把握
物陰から高速詠唱、多重詠唱で風、雷魔法の属性攻撃で追撃
風で炎の鳥達を煽り威力を高めたり
雷の感電による麻痺で足止めしながら
敵が罠にかかりやすいようにさり気なく位置誘導
敢えて隠れながらなのは
姿は見せない方が混乱させられるかなと思ったから
折角罠があるなら
制御室組とも上手く連携を取りたい
蘭華蟷螂・ハナカマキリ
思えば猟兵になってから長らく活躍の機会に恵まれませんでした。何度か参加希望したのですが、何故かグリモア猟兵の方から許可が下りず……
しかし、今回こそは!
……それにしても、お腹が空きました。先程食べたばかりなのですが種族柄、大量の食糧が必要でして。戦いが終わったらごはんにしましょう。
『
粧』の中に大量の暗器を隠し持ち、敵の背後から忍び寄り、UCで拘束。鎌腕で斬り裂いて暗殺します。
僕、こう見えてと言いますか……ご覧の通り、弱肉強食衝動に蝕まれた
肉食蟲の軍令暗殺者なので。当然、
弱者は
殺害して、
捕食します。
一応謎の答えは【リドル】としておきます。
●扉は三つあった。
猟兵たちが転移した時、このクロノスメイズは進化していたようだ。
制御室に至るための扉は、三つあることになっていた。不思議である。
何はともあれ提示されるリドルは同じなのでどこを選んでも解答に違いはない。
だが、扉が三つになったことでモンスターも分散したため、三方向に分かれることとなった。
適宜相談して班分けを行った猟兵たちは、互いの再会を誓い合い各々の道を駆け出していく。
●綺麗な天使たちの華麗な連携。
「あ! なるほど」
「ぷきゅ!」
「謎解きの答えは……だよね?」
ケルベロスディバイドの世界出身のヴァルキュリア、レティ・ライトニング(雷光の鎧装騎兵・f41118)。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)のところで元気に活躍している大きなミズクラゲの『陰海月』。
金蓮花が彩るオラトリオの若き猟兵、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
可愛らしい容姿をしている二人と一匹は、仲良く浮遊しつつ迷路を移動していた。
なお、義透は今回は保護者として陰海月の中から黙って見守るポジションになるようです。
「ぷきゅ!」『迷路好きだけど、謎解きも好き! 今回は謎解きの方だね!』
「ええ! 頑張りましょう!」「よろしくね、陰海月くん、レティさん」
陰海月は、冷蔵庫にも貼れそうなホワイトボードとマーカーによって、漢字も頑張ったヘロヘロ筆談で意思疎通を図っている。
陰海月はユーベルコード《四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)》により義透と合体して攻撃力を増加させているのだが、そのままだと1680万色に輝く四悪霊の呪詛纏いとなっていてとても目立つことになる。
そこで、義透たちの手によって遮断呪詛を施すことで、ゲーミングな光は遮断してかっこいいコートみたいなものを羽織り、隠密行動を可能にしているのだ。
通路を進み、目的地の近くまで辿り着いたところで、扉の前に殺到しているモンスターたちを捕捉する。
そのまま無策ですり抜けていくにはあまりにも敵の数が多すぎるため、レティと澪は目を合わせて連携を定めた。
「僕は敵への奇襲を主軸にしようかな。制御室を抑えるのは、陰海月くんに任せたよ」
「私も脳筋らしく、敵を倒しに向かいますよ! 罠で敵が足止めされている隙にドッカンドッカンドッカンです!」
「ぷきゅ!」『わかった! がんばるよ!』
澪とレティがモンスターとの戦いに出向くため、陰海月が制御室を開ける役目を任じられた。
やる気十分の陰海月を物陰に潜ませて、澪とレティが静かに堂々と奇襲を仕掛ける。
まず澪が空中浮遊で足音を消し、物陰に隠れながら素早く接近してからユーベルコードを起動する。
「鳥たちよ、どうかあの者たちを導いてあげて」
《浄化と祝福(ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション)》。
144個のあらゆる種類の鳥の姿を模した、飛翔する破魔の炎を放つユーベルコードだ。
澪はその全てを個別に操作でき、複数を合体させることで強化することもでき、延焼分も含めて任意に消せる。
破魔を宿した炎の鳥達を先行して向かわせて、浄化と延焼の力で蹂躙させていく。
突然現れた炎の鳥に、モンスターたちはパニックに陥った。
「罠の位置などをさっと確認して、把握しておこう。……よし、追撃するよ」
そして、澪は物陰から絶えず高速詠唱と多重詠唱を組み合わせて、風と雷の属性魔法攻撃で追撃を繰り出していく。
風で炎の鳥たちを煽ることで威力を高めたり、雷の感電による麻痺でモンスターたちの足止めをしたり、のちのち敵が罠にかかりやすいようにさり気なく位置誘導も試みている。
敢えて澪が隠れながら攻撃を続けているのは、術者の姿を見せない方が混乱させられるから……そして。
「それでは! 私も行きます! 雷光の如く!」
そして、レティが小声で名乗りを上げてから堂々とその身を晒すからだ。
正直者なレティは不意打ちができない、相手が無法なモンスターであろうとも黙って潜んで攻撃することはできない性質なのだ。
姿を見せたレティが炎の鳥の使役者かと思ったモンスターたちの視線が集まる中、レティは雷撃の閃光を放つ。
「私は守る……みんなを! この世界を!」
《閃光の嵐(サンダーストーム)》。
携行型の固定砲台『アームドフォート』から雷撃の光線を放ち、半径118m以内の敵全員を攻撃するユーベルコードだ。
発動前の決意の心と祈りの時間に応じて上昇するその威力は、十分に高まっていた。
「こらー! 扉を壊すのはやめなさーい!」
レティの叫びと共に、モンスターたちは光線に飲み込まれて吹き飛んでいく。
強力な光線を放つレティに気を取られたモンスターは、背後から迫る澪の魔法攻撃になすすべなく倒されていく。
姿を晒すレティと隠れ続ける澪の連携に、モンスターたちは混乱している。
そして、二人が陽動している間に、すすっと扉の前に移動した陰海月が、仲間たちと答え合わせを済ませていた回答を提示する。
「ぷきゅ!」『ぼく、文字読めてよかったー。ええと……』
陰海月の脳裏で、先程レティや澪と話していた会話を反芻する。
「答えは『リドル』ですね。単語の中の、指定された部分―――最後、先端、間を読めば良いので」
「最後の文字、頭文字、真ん中の文字で、そのままリドルかなぁ……って思ったけど、どうだろう」
事前に相談していた仲間たちと合致していた答えが合っているか、ワクワクドキドキしながら陰海月はホワイトボードに文字を書いていく。
『『裏切リ』は最後の『リ』
『ドア』は最初の『ド』
『エルフ』は真ん中の『ル』
よーし、答えは『リドル』!』
筆談にも対応している扉の罠が、カチャリと解除される。
陰海月は速やかに入り込むのだった。
●より速くデストロイ。
「成程、了解ですぅ。参りましょう」
「ま、謎解き自体はそんなに難しいものじゃないわねぇ」
「うん。謎の答えは『リドル』だろ?」
『豊饒の女神』を祀る宗教組織出身の童顔且つ小柄ながら桁違いに発育の良い体型の少女、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
裏路地にあるBar『黒曜宮』のマスターにしてバーテンダーである美女、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。
海に適応した白い毛並みのシーベアルグのバルバの若き猟兵、ウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)。
三人は扉に向かう途中、リドルの謎をすり合わせていた。
ウルザの言葉に、ティオレンシアとるこるはその通りだと首肯を返す。
「『裏切リ』の最後、即ち『リ』。『ドア』の先端、即ち『ド』。『エルフ』の間、即ち『ル』。結論、答えは『リドル』でQ.E.D」
「リドル自体は『「裏切リ」の最後の文字』『「ドア」の最初の文字』『「エルフ」の真ん中の文字』で『解=リドル』で良いでしょう」
「裏切リでリだけ片仮名なのおかしいし最後に来てるからリ、ドアの先端……最初の文字でド、エルフの真ん中の文字がル、だからな! この位は分かるぜ!」
談話しつつも立ち塞がるモンスターたちを蹴散らし押しのけ、三人は颯爽と扉の前へと向かう。
脅威的ではないものの、際限なく思えるほど数の多いモンスターたちを一瞥して、今後の動きを話し合っている。
「ここの扉自体も『誰の制御下でもない設備』になるなら、支配下に置いて入った方が早いでしょうかぁ?」
「そうねぇ。いくら対処が簡単でも、こんだけうぞーむぞーと大量にいるんじゃちょっと面倒よねぇ……。
さっさと遺跡のトラップで一網打尽にしちゃいましょ」
「よし、急ぎで謎かけ突破して制御室にいけばいいんだな!
モンスターに先越されないようにしねーとな! まずは止めてやるぜ!」
そして、扉を破壊しようとしているモンスターたちに向けて、ウルザは常に冷気を纏っている『海獣王の三叉銛』を向けて、《足止めの一投(シタゴシラエ)》を放つ。
それは、命中した『三叉銛』あるいは自身の爪牙の先端から放たれた凍てつく冷気が対象の全身を包み込む針付きの氷の網に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなるユーベルコード。
ウルザは動き封じたモンスターを素早く串刺しにして一掃すると、道を開いてるこるとティオレンシアが通過できるように扉の前に陣取った。
「とにかくおれは、制御室に入れないよう足止めに回るぜ! ……機械の扱いよく分かんねーしな!」
「わかりましたぁ」「お願いねぇ」
扉の前に押し寄せているモンスターたちに対峙するウルザに門番を任せたるこるとティオレンシアは、素早く謎の回答、リドルを告げる。
鍵が解錠され開くと同時に滑り込みつつ、管理室を掌握するべくふたりはユーベルコードを展開する。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、その祈りを届けし聖壇の理をここに」
「あたし、雑魚散らしは得意なの。―――逃げられるなんて思わないでねぇ?」
《豊乳女神の加護・拿禦(チチガミサマノカゴ・サシオサエシリョウユウ)》。
半径144m以内の、敵が制御していない装備・設備を自身の制御下に置き操るユーベルコード。
そして同時に、概念的に『祭器』と接続することで、それらの持つ命中率と処理速度を増加させる。
現時点では誰の制御下にもない効果範囲内の遺跡の罠を制御下に置き、罠の操作を『祭器』を使用した範囲攻撃と併用させるべく調整する。
罠の攻撃にウルザや味方の猟兵たちを巻込んでしまわないよう、そして制御室の扉を破壊してしまわないよう、強化された命中率で敵だけをターゲットとして狙いを定める。
そして、ティオレンシアの振るう《虐殺・滅尽(アニヒレート・ピアレス)》。
ハッタリ・イカサマ等の小技を含めた手練手管を魔術文字と特殊武装で最大限に補助しつつ、射撃・打撃・斬撃・爆撃・投擲・体術・魔術で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できるユーベルコードだ。
何度でも使用可能で、対象の変更も可能な魔術文字をたっぷりと罠へと散らばめていく。
るこるの制御と合わさって、恐ろしい殺傷力の罠が準備される。
「『祭器』各種による範囲攻撃を併せれば、殲滅自体も容易に可能ですぅ」
「知性は低いって話だし、こーゆー単純だけど広範囲なタイプの罠は覿面でしょ」
そして、他の二組が制御室で罠を稼働させる時とタイミングを合わせて……。
殲滅が行われるのだ。
●考え過ぎて無駄に捻って……。
「大体銃をぶっ放して片付ける事が多いからね。
デキる女としてはここらで頭を使ってクレバーな所を見せておかなければなるまいよ」
「やれやれ……かつて異世界にて、世界最高の頭脳と呼ばれた探偵王たる俺に、この程度のリドルを解かせるとはな……」(※自称です)
「リドル……要はなぞなぞってことかな? まあ、折角だし謎を解いてみようか」
「……それにしても、お腹が空きました。先程食べたばかりなのですが種族柄、大量の食糧が必要でして。戦いが終わったらごはんにしましょう」
「いいね。打ち上げに期待するとしよう。さて」
世界各国の紛争地帯に飛び込む戦場のトリガーハッピー、御堂・絢瀬(ディレッタント・f15634)。
数多の世界を旅し、ある時は救い、ある時は滅ぼしてきた究極の戦士(※自称です)、夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)。
ゲームの実況配信で稼いでいるプロゲーマーでもある猟兵の少女、夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)。
そして
異なる世界から召喚された
復讐者の少女、蘭華蟷螂・ハナカマキリ(インセクティアの破軍拳士×レジスタンス諜報員・f35697)。
四人は灯火のユーベルコードにより身を隠してモンスターたちをすり抜けて迷宮を進んでいた。
「データ展開完了っと。さあ、行こうか」
《サンダーステルス》。
自身と武装を実体化したデータの電流で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にするユーベルコード。
また、実体化したデータの電流を飛ばして遠距離攻撃も可能であり、その応用で周囲にいる仲間を装備の一環として巻き込み感知不可能の状態にしていた。
強大なオブリビオンの前ではリスクがあったかもしれないが、有象無象のモンスター相手ならば難なく誤魔化すことができる。
唯一残る触覚で気づかれないように、敵に接触してバレないように。
灯火を先頭に野生の勘で注意して、一行は落ち着いて扉の前まで到達した。
そして、扉を破壊しようとしているモンスターたちが邪魔になるのだが、ハナカマキリが大量の暗器を隠し持ったまま奇襲を仕掛ける。
「思えば猟兵になってから長らく活躍の機会に恵まれませんでした。
何度か参加を希望したのですが、何故かグリモア猟兵の方から許可が下りず……。
しかし、今回こそは!」
今回こそは活躍するぞと、ハナカマキリは意気込みモンスターたちの足止めを買って出たのだ。
披露するのは、大量の暗器と強さを隠し、弱く見せて油断を誘う高硬度繊維製の防刃防弾防術装束。
アサシネイトチャイナロリータドレス『
粧』から手枷、猿轡、拘束ロープを放ち、命中した対象の攻撃力を減らしつつユーベルコードを封じる《咎力封じ》だ。
ハナカマキリの先制攻撃を受けて身動きが取れなくなったモンスターを、蟷螂の腕を象った複数の暗殺用処刑鎌型宝貝『蟷螂鎌腕』で手早く斬り裂いて暗殺していく。
モンスターたちは訳も分からず刻まれていく仲間を見て狼狽えるばかりで、冷静さを取り戻す猶予を与えられずただただハナカマキリの餌食になっていく。
「僕、こう見えてと言いますか……ご覧の通り、弱肉強食衝動に蝕まれた肉食蟲カマキリの軍令暗殺者なので」
ハナカマキリは切り刻まれたモンスターたちに手を伸ばして、
弱者は
殺害して、
捕食していく。
これもある種の食物連鎖なのかもしれない。
幼くも頼もしいハナカマキリの雄姿を背に、三人の猟兵は扉に向き合い謎解きを行う。
「恐らくこの「裏切リ」の最後がカタカナであるというのが肝ではあるのだろう。
『裏切リ』の最後、『ドア』の先端、『エルフ』の真ん中……」
「フッ、こんなものは簡単だ。
うらぎ『り』。『ど』あ。え『る』ふ。それぞれの読む場所を示しいるわけだ」
「えーっと……裏切リの最後は『リ』、ドアの先端に有るのは『ド』、エルフの間は『ル』。
で、コレを適切に繋わせると……」
答えは合致していると互いに頷き合い……天魔と灯火が高らかに宣言する。
「あとはこのアナグラムで……『ドリル』が正解という訳だ!」
「答えは『ドリル』かな? なんか、字面からしてどんなトラップが出てくるか分かる気がするなぁ」
「えっ?」
……。しばし、その場に沈黙が流れた。
「……え?」
「ん? 反応がないようだが………。そうか、ドリルこそが敵の弱点というわけだな!」
「一応……謎の答えは【リドル】と思いますよ?」
「間違えていてもご愛嬌だ。
リドルの答えがリドルとは一周回って面白みがあるが、これが正解であれば存分に罠を使わせて貰おう」
きょとんとした灯火と高らかに笑いだす天魔。
ハナカマキリが振り返らずに呟き、絢瀬が苦笑しつつ解答すると、制御室への扉が解錠され侵入可能となった。
顔を手で覆う灯火をよそに、天魔はそのまま扉の前に立ちはだかってハナカマキリと挟み撃ちの形でモンスターたちを排除する。
「フハハハハハハハ!! かつての俺があの世界に転生した時の、最強の力を見せてやろう!!!」
《異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺(アルティメットレジェンダリィミソロジー)》!
無敵の異世界転生した自分の究極装備(妄想)を想像から創造し、戦闘に利用できるユーベルコードだ!
両手にドリルがついた装備を召喚した天魔が、無敵の装備で強引にモンスターを倒していく!
すごいぞ、かっこいいぞ!(※強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化するのです)
「……まあ、起動させちゃおう」
「ああ、罠の操作は任せるよ。私は……パーティに混ざろうか」
灯火を室内に送り出し、絢瀬は二丁の銃火器を両手に構え、狙い澄ました弾丸をばら撒くように次々と吐き出す。
放たれた銃弾は一分の狂いなく、モンスターたちの急所に叩き込まれていく。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる……なら、下手で無ければ言わずもがなさ」
絢瀬が展開するのは、《ラピッドシューター》。
技能名「【スナイパー】【クイックドロウ】【一斉発射】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用するユーベルコード。
その技能値は今、1210レベルに達する神業となっていた。
銃弾の雨が見舞われ、暗殺、ドリル、銃弾と多様な攻撃にモンスターたちは蹂躙されていく。
「まぁ……よし、気を取り直して行こう」
モンスターを相手に活躍する仲間たちを背にして、気を取り直した灯火は制御室の中を探り、システムをハッキングして迷宮内の罠を操作し始める。
こうして、ここのクロノスメイズのトラップはすべて、猟兵たちに掌握されたのだった。
●そして始まるジェノサイド、ハイ!
「ぷきゅ!」
「さぁ、この勢いでやっつけちゃいましょう!」
「諦めて逃げてくれるといいんだけどね」
《四天霊障》による重量攻撃を加えつつ、陰海月は楽しく罠を使っていく。
リドルを考え、みんなで答え合わせをするのはとても楽しかったようだ。
ノリノリで操作された罠はブロック落としのように、あるいはパズルのように上下左右からモンスターたちを押しのけ阻んで挟み込んでいく。
そんな惨状に陥っても退くことなく前進を続けるモンスターたちが、澪の《浄化と祝福》とレティの《閃光の嵐》で薙ぎ払われていく。
「安全地帯からハメ殺すって、素敵よねぇ?」
「お肉や使えそうな素材は『フローティング・トランスポート・システム』で回収しておきますねぇ」
「おー。よしよし、うまくいったな!」
管制室を掌握したティオレンシアによって、落とし穴系のフロアトラップでまとめて処理されていくモンスターたち。
落ちた穴の下では、《虐殺・滅尽》によるデスコンボが炸裂しており、辛うじて落ちずに済んだ者たちには《拿禦》によって『祭器』と接続した射撃トラップの餌食になっていく。
扉の前でモンスターたちが殲滅される様を眺めて、三叉銛を納めて見物に回っていた。
「フハハハハ!! 恐れよ、これぞ我が災厄の顕現なり!」
「すごい、モンスターがこんなに……」
「見事な手際だ、灯火くん」
「これで面目は保ったかな?」
罠の作動をリズミカルに行い、次々にモンスターを吹っ飛ばしていく灯火。
その様子を天魔は笑って見守り、ハナカマキリは目を輝かせて見つめている。
一仕事を終えた絢瀬が傍らで見守る中、灯火はディフェンスゲーム等の要領で罠を操作していく。
ほんのわずかな時間で、迷宮に侵入したモンスターたちは全滅し、遺跡は猟兵たちの手で守られた。
紫煙群塔ラッドシティの防衛に成功した猟兵たちは、思い思いに歓声と称賛を交わし合い、この不思議な迷宮を後にするのだった。
ミッション、コンプリート!
大成功
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