エンドブレイカーの戦い⑯〜あなたの願いは
「……みんなの……願いごとは、何?」
ぼそぼそと、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)がグリモアベースで問いかける。突然の問いに、猟兵達は首を捻った。願いごと。誰にでも多かれ少なかれあるだろうが、いざ訊かれるとパッと思いつかないものだ。そもそも、何故そんなことをグリモアベースで訊くのか。ロビンが願いごとを叶えてくれる、というわけでもないだろうし。猟兵達が尋ねると、少年は答えた。
「『燦然楼閣ゼルフォニア』を、占領している……11の怪物の1柱、『ウリディムマ』。元々は、『密告者』って名乗ってた、らしいんだけど……」
密告者。その名に聞き覚えがあるエンドブレイカーの猟兵もいるはずだ。かつてエルフヘイムの戦いで出現した、巨大な唇の中に眼球を備える、異形の怪物。マスカレイド、あるいは大魔女が作り出した手下。そう思っていたエンドブレイカーも多いだろう。まさか、ギルタブリルよりも早くこの世界に到来していた11の怪物だったとは。
ロビンが続ける。
「僕、は……エンドブレイカーじゃない、から……当時のことは、よく知らないけど。その時は、無限増殖の開始直後を、攻撃して……倒した、みたいだね」
しかし、今回同じ手は通用しない。いまや明確な復讐心によってオブリビオン化したウリディムマは、既に無限増殖によって自らを大量に複製した上で、侵略を開始している。
「増殖には、『人間の隠れた欲望』が必要……だから。人類の居住区……つまり、都市国家を、侵略対象として狙って、るんだ」
猟兵とてその能力からは逃れられない。戦場に赴けば、ウリディムマは現れた猟兵全員の「隠れた欲望」を糧とし、それぞれの傍に無数の「小さなウリディムマ」を出現させるだろう。そして、彼らはすぐに叩き潰さない限り、完全なウリディムマの複製体に成長してしまう。
「本体を倒すまで、小さなウリディムマは無限に出現し続ける、から……何とか小さなウリディムマを減らしつつ、本体を叩くか……或いはいっそ、自分の『隠れた欲望』を……隠れた欲望じゃなく、しちゃう、か」
顎に指を当て、考えこむようにぶつぶつとロビンは呟く。なるほど、これでようやく冒頭の彼の問いと繋がった。願いごとは、ある意味では欲望ともいえる。いっそそれをさらけ出してしまえば、それは「隠れた欲望」ではなくなり、ウリディムマも糧として使えなくなるだろう。
ロビンが青い六角柱の水晶の形をしたグリモアを閃かせる。
「ウリディムマ、が………願いを、叶えてくれる、わけじゃない。けど……自分の、欲望……と、いうか……願いを、見えるように……するのは、きっと……叶えるための、一歩に、なるから」
臆せずにさらけ出せば良い、とオラトリオの少年は猟兵達をウリディムマの元へ送り出した。
ライ麦
ライ麦です。ウリディムマって密告者……お前だったのか……! マスカレイドor大魔女が作り出した手下だと思ってたよ……(元プレイヤー)。
それはともかくとして、密告者もといウリディムマとの戦いです。
ウリディムマは猟兵の「隠れた欲望」を糧に、それぞれの傍に無数の「小さなウリディムマ」を出現させてきます。「小さなウリディムマ」は即座に叩き潰さない限り完全なウリディムマの複製体に成長してしまううえ、本体を倒すまで、無限に出現し続けます。
小さなウリディムマを即座に倒しつつ、本体に対処するか、自身の欲望を隠すのをやめるか。いずれか、あるいは両方でプレイングボーナスがつきます。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
第1章 ボス戦
『ウリディムマ』
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POW : 抵抗を望む欲望も、私の餌となります。
【小さなウリディムマ】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【言葉で指定】した部位の使用をレベル秒間封じる。
SPD : あなたが隠したい欲望は、何ですか?
対象への質問と共に、【対象の秘めたる欲望】から【新たな無数のウリディムマ】を召喚する。満足な答えを得るまで、新たな無数のウリディムマは対象を【欲望を奪う視線】で攻撃する。
WIZ : これもまた、素晴らしき光景の一端です。
【ウリディムマ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[ウリディムマ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
👑11
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クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
ワタシの隠していた欲望は「ワタシの忘れた過去を探る為の旅に出たい」。
ワタシは生まれて半年頃から15歳の誕生日の日まで、ずっと行方不明だったんだよね。
そして、その間の記憶が全く無い。
多分世界間テレポートして何処かの世界にいたんだと思う。
だから、そこが何処なのかを探したい。
けど、貴方達オブリビオンとの戦いや人助けで忙しくて、今のところその余裕が全然無くてね…。
とっとと全てのオブリビオンを始末して、じっくりと旅をさせてもらいたいんだよ。
…と、これがワタシの欲望だよ。
UCは「ワタシの認識改竄光」を使用。
広範囲攻撃と認識改竄による同士討ちでウリディムマちゃんを倒すね。
戦場に現れたクローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)の傍らに、無数の小さな唇型の化け物が出現する。言うまでもなく、ウリディムマの複製体だ。それらは一直線にゼルフォニアの街並みの上に浮かぶ巨大なウリディムマの本体に向かって飛んでいく。
「これもまた、素晴らしき光景の一端です」
唇と眼球だけの体を歪めて笑い、ウリディムマは囁く。
「さあ、あなたの欲望は、なんですか? 隠しても無駄――」
「ワタシの隠していた欲望は『ワタシの忘れた過去を探る為の旅に出たい』」
漆黒のポニーテールを揺らし、クローネは凛と答えた。隠そうともしない真っ直ぐな答えに、ウリディムマはたじろぐ。クローネはポツポツと語り続けた。
「ワタシは生まれて半年頃から15歳の誕生日の日まで、ずっと行方不明だったんだよね。そして、その間の記憶が全く無い。多分世界間テレポートして何処かの世界にいたんだと思う……だから、そこが何処なのかを探したい」
いつもは明るく、笑顔を絶やさない彼女の口調は真剣で。口を一文字に結び、クローネはネクロオーブを掲げる。
「けど、貴方達オブリビオンとの戦いや人助けで忙しくて、今のところその余裕が全然無くてね……。とっとと全てのオブリビオンを始末して、じっくりと旅をさせてもらいたいんだよ。……と、これがワタシの欲望だよ」
掲げたネクロオーブから召喚された、黒肌のサキュバスが漆黒色の閃光を放つ。その閃光をくらった小さなウリディムマ達は途端に眼光を鋭くし、互いを攻撃し始めた。
「こ、こら、どうしたというのです!? やめなさい!!」
焦ったように制止するウリディムマ本体の声も聞かず、小さなウリディムマ達は本体にも攻撃を仕掛ける。その様子を、クローネは冷徹な瞳で見つめていた。気づけば、もう彼女の傍に出現するウリディムマはいなくなっていた。
大成功
🔵🔵🔵

ファニファール・ビリュンケット
なるほど、知的生命体を狙う怪物の一人であったか。
こうも狙われるとは。どうやらこの世界の私達は余程美味しいらしい。
だが過去のエルフに封じられ、私達エンドブレイカーに敗れた。
二度ある事は三度ある事を教えてやる。
今度は猟兵として。絶望の終焉を終焉させて貰う!
小さなウリディムマに対しては気配感知や心眼、
第六感で察知したら必中輝雷撃を叩き込んで即座に潰して本体へ。
私が隠したい欲望か……。
二人の子供がいる親として責任や騎士としての立場もあるので誰にも言わなかったが。
こうやって世界の秘密に触れたり、世界を救うための冒険に身を晒すことだ!
本体の攻撃には欲望を晒しつつ、カウンターで2回攻撃。追撃で傷口をえぐる!
「なるほど、知的生命体を狙う怪物の一人であったか。こうも狙われるとは。どうやらこの世界の私達は余程美味しいらしい」
ゼルフォニアの宙に浮かぶウリディムマを見上げ、ファニファール・ビリュンケット(緋炎蒼水・f39689)は呟く。あの一度見たら忘れられないインパクトのある姿には見覚えがある。性懲りもなくまた出てくるとは。だが、とファニファールは友の形見である白に蒼き紋様と石が埋め込まれたハルバードを握りしめた。
「過去のエルフに封じられ、私達エンドブレイカーに敗れた。二度ある事は三度ある事を教えてやる。今度は猟兵として。絶望の終焉を終焉させて貰う!」
瞬間、ハルバードの光り輝く穂先が、背後からにじり寄っていた小さなウリディムマに炸裂する。音もなく潰えるウリディムマを一瞥することなく、ファニファールはフラマ・アスールを振るい続けた。絶対命中する一撃は確実に小さなウリディムマ達を駆逐していく、しかし数が多い上に、彼らは新たに生まれ続ける。息を切らし、ファニファールは浮かぶ巨大な唇を睨みつけた。やはり本体を叩かねば無理だ。体をバネのように縮め、ゼルフォニアの建築物や、成長途中にあるウリディムマすら足場としてジャンプし、駆けあがり、ファニファールはウリディムマ本体に肉薄する。唇の中の眼球がぎょろりと動き、視線が彼女をとらえた。
「わざわざご足労いただき、ありがとうございます。さあ、あなたが隠したい欲望は、何ですか?」
「私が隠したい欲望か……。二人の子供がいる親として責任や、騎士としての立場もあるので誰にも言わなかったが」
答えづらい質問にも臆せず、ファニファールはフラマ・アスールを構えて静かに述べる。
「……こうやって世界の秘密に触れたり、世界を救うための冒険に身を晒すことだ!」
答えと共に、輝く穂先をウリディムマの眼球に突き立てる。断末魔のような叫びが響く。もはやファニファールに秘めたる欲望はない。増殖を止めたウリディムマを後目に、彼女は本体の傷口に再び必中輝雷撃を叩き込んだのだった。
成功
🔵🔵🔴
メニス・ソルタ
魔法の木の枝から【エネルギー弾】を放って小さなウリディムマを倒しつつ、隙を見て本体を攻撃してくよ。
でも、小さいのが次から次に出てきてもうキリが無いよ…!
それに、大きいウリディムマも出てきて凄い見てくるし…!
こ、こうなったら、素直に隠してる欲望を答えるしかないのかな…。
ぼ、ボクは…
『年上のお姉さんにいっぱい甘えたい』のっ!
柔らかくって温かくていい匂いのするお姉さんにぎゅって抱き締めてもらって、すりすりさせてもらったり、一緒にお昼寝したりしたいの!
…も、もうウリディムマ増えないかな?
…こんな恥ずかしいコト言わせないでよ、もう!
(巨人殺しの一投発動、不思議な石ころをその瞳目掛けて【投擲】)
「もう、キリが無いよ……!」
魔法の木の枝からエネルギー弾を放ち、周囲の小さなウリディムマ達を倒しつつ、メニス・ソルタ(リトルヴィジランテ・f19811)は泣きそうな表情になった。倒しても倒しても、どこからか小さな唇お化けは湧いてくる。泣きたくなるのも当然だ。おまけに、宙からは不気味な巨大な唇の中の眼球が、見下ろしながら直球で尋ねてくる。
「あなたが隠したい欲望は、何ですか?」
と。言いづらいから「隠したい欲望」なのに。メニスはもじもじと両手を擦り合わせて俯いた。
「え、えーと……」
「恥ずかしがらずとも良いのですよ」
口では優しく言いながら、かの者が召喚した無数のウリディムマ達が、欲望を奪う視線で一斉にメニスを睨め付け、苛む。その痛みと、増え続ける小さなウリディムマ達に、メニスは悲鳴を上げた。
(「こ、こうなったら、素直に隠してる欲望を答えるしかないのかな……」)
注がれ続ける視線にぐっと唇を噛み、メニスは頬を染めて声を張り上げる。
「ぼ、ボクは……『年上のお姉さんにいっぱい甘えたい』のっ!」
不意に視線が止まった。メニスは真っ赤な顔で、勢いのまま、秘めていた欲望をぶちまける。
「柔らかくって温かくていい匂いのするお姉さんにぎゅって抱き締めてもらって、すりすりさせてもらったり、一緒にお昼寝したりしたいの!」
一息に言い、肩で息をしながら周囲を見る。小さなウリディムマ達に、もう増える気配はなかった。
「……も、もうウリディムマ増えないかな?」
おっかなびっくり呟く彼の前で、巨大ウリディムマは唇を閉じる。
「……なるほど。良き欲望です」
「……って、こんな恥ずかしいコト言わせないでよ、もう!」
その返答に再び頬を紅潮させ、メニスはその巨大な眼球目掛けて思いっきり不思議な石ころを投げつける。目を開いたウリディムマは、寸分たがわず自身の眼球に命中した石ころに絶叫したのだった。
大成功
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アリシア・ウォレス
連携・アドリブ歓迎
こんな気持ち悪い奴塗れの気持ち悪い未来なんて、
生まれついてのエンドブレイカーとして絶対にぶっ壊すんだよ!
ワタシの密かな欲望、言われる前に公開するよ♪
ワタシはクラーリン(イカのバルバ)が大大大好きで「ワタシの抱き枕になって☆」ってアタックする予定だけど、まだ機会が無いよ!
あ、「ワタシを抱き枕にして☆」のほうがいいかな?
敵全員が齎す
悪しき未来を【エンドブレイカーズ・ソウル】で纏めて奪い、敵の多さから天文学的な
「奪った総量に応じた幸運」を獲得。
超豪運の自分に何もかもがままならない不運な敵に
撃ちまくる銃から放たれた一発一発の銃弾が敵に当たりつつ無限に跳ね返り、一発毎に数百数千の敵に直撃させる。
弾切れの銃は
火傷対策に耐熱ジェルを塗った胸の谷間に差し込み、
賢者の石が創造し手元に現れる銃弾を
素早く給弾しつつ、反対側の手でもう一丁の銃を撃つ事を繰り返す。
「こんな気持ち悪い奴塗れの気持ち悪い未来なんて、
生まれついてのエンドブレイカーとして絶対にぶっ壊すんだよ!」
戦場で仁王立ちになり、アリシア・ウォレス(イノセントのガンスリンガー・f41063)は言い放つ。
「いいえ、それはとても素晴らしい光景ですよ。ぜひ見せて差し上げたい」
嗤うウリディムマが、彼女に囁く。
「さあ、あなたが隠したい欲望は、何……」
「ちょっと待ったー!!」
アリシアは手を広げてそれを制止した。ウリディムマが瞬きするように唇を開閉させる。両手を腰に当て、アリシアは大きな胸を反らした。
「ワタシの密かな欲望、言われる前に公開するよ♪ ワタシはクラーリンが大大大好きで『ワタシの抱き枕になって☆』ってアタックする予定だけど、まだ機会が無いよ! あ、『ワタシを抱き枕にして☆』のほうがいいかな?」
「……そ、そうですか」
滝のような汗を流しながら、ウリディムマは後ずさった。数々の秘めた欲望を暴いてきたであろう彼すらドン引きしている。クラーリンとはイカのバルバである。そのイカを抱き枕にしたいとかされたいとか、常人には理解不能な欲望には違いなかった。しかしこれでもう秘めたる欲望はない。そこから新たな無数のウリディムマを召喚することもできないし、小さなウリディムマが増えることもない。怪物が狼狽えているうちに、アリシアはリボルバー銃を構えた。
「さあ、
悪しき未来、絶対にぶっ壊すよ!」
意気揚々と銃弾を撃ちまくる彼女に、不思議と敵の攻撃は届かない。どころか命中した一発一発の銃弾は通常ではありえないほどに跳ね返り、一発毎に数百数千の敵を貫く。瞬く間に数を減らしていく自身の複製体に、ウリディムマは叫んだ。
「何故です!? こんなこと、ありえない……!」
「さぁ、なんでだろうね?」
悪戯っぽく笑いながら、アリシアは引き金を引き続けた。それがありえるのだ。アリシアの【エンドブレイカーズ・ソウル】であれば。このユーベルコードは、戦場の敵全員の行動の結果の
悪しき未来を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。敵が多ければ多いほど、その幸運は天文学的な数字になる。超豪運のアリシアに、さしもの11の怪物が一柱も何もかもがままならず、ただ茫然と眺めているしかない。しかし、そのウリディムマにもチャンスが訪れた。
「あ、弾切れちゃった」
銃口を見て呟くアリシアに、ウリディムマがほくそ笑む。さしものエンドブレイカーも、弾が切れてはどうしようもあるまい。この隙に攻撃を――。
「まあ、いっか♪ もう一丁あるし!」
すかさず弾切れの銃を耐熱ジェルを塗った胸の谷間に差し込み、賢者の石が創造し手元に現れる銃弾を補給しつつ、反対側の手でもう一丁の銃を撃つアリシア。隙の無い二段構えに、ウリディムマは空中でズッコケる。完敗だ。早業で立て続けに放たれる銃弾に、かの怪物はただただ身を貫かれるしかなかった。
大成功
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仰木・弥鶴
隠れた欲望ね
特に隠しているつもりはない…というか
それを欲望だと思ったことがないから
ロビンの願い事っていう表現はいいなと思った
いずれにせよ君には教えたくないから殲滅狙いでいくよ
自分の回りに小さなウリディムマが出現する前に
カラーボールを本体に投げて目印に
大量の敵を同時攻撃するため約140m半径内の全敵を狙える『Now or never』を使用
ディバインデバイスの避雷針からありったけの白燐蟲を放ち
侵食の状態異常を小さなウリディムマに与え、邪魔にならないよう抑え込む間に
印つきの本体へハンドガンの銃弾を全て撃ち込む
君の姿は好きだよ
なんとなく目玉を好ましいと感じるのは俺の願い事に関係するからかもしれないね
宙に浮かぶ巨大な唇の中の眼球を前に、仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は軽く肩をすくめた。
「隠れた欲望ね。特に隠しているつもりはない……というか、それを欲望だと思ったことがないから」
グリモア猟兵の少年が言っていた、「願いごと」という表現は良いと思う。ウリディムマは唇を歪めた。
「しかし、誰にでも欲望はあるものです。あなたの欲望は、なんですか?」
「いずれにせよ君には教えたくないね」
飄々と言い、弥鶴は小さなウリディムマが増殖を開始する前に、目印のカラーボールを本体に投げつけた。弾けて血の染みのように染料が広がる。それと時を同じくして、瞬く間に視界が小さな唇のピンク色に染まっていく。それらは一斉に本体目掛けて移動を開始した。弥鶴は直ちにディバインデバイスの避雷針からありったけの白燐蟲を放つ。小さなウリディムマ達に白燐蟲が喰らいつき、数を減らしていくと同時に、浸食の状態異常を与え、動きを抑え込んでいく。それでも欲望を開示していない分、小さなウリディムマ達は次々に出現し続けているが、印があるから本体を見失うことはない。その目印に向けて、弥鶴はハンドガンを構えた。
「君の姿は好きだよ。なんとなく目玉を好ましいと感じるのは、俺の願い事に関係するからかもしれないね」
「そうですか。光栄です。では、その願い事……あなたの欲望は」
「教えないよ」
引き金を引き、全ての銃弾をその目玉の中に撃ち込む。ウリディムマの絶叫が響いた。ハンドガンの銃口から煙が上がる。ゼルフォニアに浮かんでいた巨大な唇の月は、ゆっくりと瞳を閉じて奈落の底へと沈んでいった。
大成功
🔵🔵🔵