エンドブレイカーの戦い⑬~魔弾と魔槌の狂想曲
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「……これは……」
グリモアベースの片隅で。
閉ざしていた双眸を北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)がゆっくりと開きながら、そう呟く。
閉ざされた漆黒の双眸が、蒼穹へと色を変えながら開かれていくその瞳の先には、ふわりと、1枚のタロットが浮かんでいた。
かのタロットが指し示すは、『塔』の正位置。
それに優希斗が頷き、周囲に集まっていた猟兵達に、皆、と静かに言の葉を紡いだ。
「『アルダワ魔王戦争』で、皆が何とか撃破することが出来た、『グラン・ギニョール』と言うオブリビオンがいた」
そのオブリビオンは、猟兵達に一度やられた時の記憶の一端を残している様だが……。
「その『グラン・ギニョール』が、『11の怪物』が一柱、『ウガルルム』と融合して、今も尚、存命らしい。しかし、彼女は……」
――世界でも6世界に並ぶ者のない程の暗殺能力を有しているとされる『暗殺者』
その暗殺者たる彼女が、『ウガルルム』と融合し、再び宝石災魔を量産して、グリモアベースへの襲撃を企んでいるのだと言う。
「実に『グラン・ギニョール』らしい戦略だと正直俺は思うけれど。でも……手の内が分かっている暗殺者程、滑稽なものは、ある意味では無いよね」
――無論、そんな生半可な覚悟で相対できる様なオブリビオンでは無いことは重々承知の事。
けれどもその戦略は、
過去と何ら変わりは無い。
「……そう分かっているからこそ、俺達でもある程度状況を把握出来るんじゃ無いかな、とも思うけれどもね」
――ともあれ。
「いずれにせよ、俺達の本拠地の居場所を突き止められて、破壊される訳にはいかない。そんなことをされれば、著しく俺達猟兵は不利になるからね」
――だから、こそ。
「この『ウガルルム』と融合して、更なる力を得て、『ウガルルム・ザ・グランギニョール』の名を得た相手を放置するわけにはいかないんだ。皆には、この『ウガルルム・ザ・グランギニョール』と戦い、戦場の一角に現れる彼女達の行動を阻止して欲しい」
――無論、只でさえアルダワ魔王戦争当時でさえ強敵であったウガルルム・ザ・グランギニョールが、更なる強化を得ているのだ。
つまるところそれは……。
「まあ、皆より遙かに強力な存在なんだと、そうまず思っていた方が良いだろうね。実際、戦術的にも彼女は、以前よりも遙かにその動きが洗練されている」
ウガルルム・ザ・グランギニョールが持つ『意志持つ』槌による、『超重量・超破壊力のハンマー』と『無数に分裂し、無限に弾丸を放つ拳銃』による変幻自在の攻撃に根ざしている。
……それ以外にも、元々の能力が更に強化されている為、猟兵『個々』より『格上』であることは一目瞭然。
更にウガルルム・ザ・グランギニョールが待つ戦場は、『世界破壊の灼熱』に覆われているのだ。
「……まあ、皆が完璧な戦い方をしたとしても、勝率は52%位、だと思う。それ位の強敵なのだと……そう、皆には諒解して欲しい」
――けれどもそれは、逆に言えば。
「この50%以上の勝算を如何に底上げしていけば良いのか……要するに足し算じゃなく、乗算の戦い方で行けば、格上でも十分勝機がある、と言う事だと俺は思う」
――だからこそ。
「ウガルルム・ザ・グランギニョールの遠近死角無き攻撃に対する対策と、五感を奪われる『世界破壊の灼熱』に対する対抗策を講じた上で皆に最善を尽くして欲しい。……皆になら、きっと出来ると思うから」
そう優希斗が言の葉を紡ぐと同時に。
猟兵達の周囲に不意に、蒼穹の風が吹き荒れ始めるのを見つめながら。
「皆……頼んだよ」
そう、優希斗が静かに信頼を籠めて呟くと同時に。
蒼穹の風に包み込まれた猟兵達が、グリモアベースから姿を消していた。
長野聖夜
――狂想曲のその果てに。
いつも大変お世話になっております。
長野聖夜です。
と言うわけで、エンドブレイカーの戦い、『ウガルルム・ザ・グランギニョール』シナリオをお送り致します。
このシナリオのプレイングボーナスは下記となります。
プレイングボーナス:『世界破壊の灼熱』による五感の喪失に対処する/敵の武器の形態変化に対応する。
どちらかを満たせば基本的にはプレイングボーナスとなりますが、最低でもどちらかの対策を満たしていなければ、『ウガルルム・ザ・グランギニョール』と戦うのは難しい、と判定します。
ただ、このシナリオは基本的に一括返却の予定ですので、その点を意識した行動をして頂ければ十分勝算がございます。
プレイング受付期間は、オープニング公開後に改めてお知らせ致します。
――それでは、良き戦いを。
第1章 ボス戦
『ウガルルム・ザ・グランギニョール』
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POW : ウガルルム・リコシェ
【無数の拳銃】から発射した【致死量の「世界破壊の灼熱」を封入した銃弾】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
SPD : ウガルルム殺戮劇場
【無数の拳銃の弾丸、または超重ハンマー】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
WIZ : ウガルルム・ハンマーインフェルノ
高速で旋回する【「世界破壊の灼熱」の渦】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【ハンマーの回転】を捧げていないと制御不能に陥る。
👑11
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ。
斬り結ぶ刀の下ぞ地獄なれ、ただ斬り込めよ神妙の剣
魂が肉体を凌駕する
狂い裂け薄墨爛漫桜!卍かげふんげふんオーバーロード!!
妖刀『薄墨爛漫桜』を手に集中力を高める。
体感時間を引き延ばし己のパフォーマンス(ここでは才能や性能の意味の方)を十全に引き出す
神憑りの領域、現代スポーツでいうゾーンに入る。
研ぎ澄まされた精神は五感を喪失してなお周囲の状況を把握できる。
妖刀『薄墨爛漫桜』のベースは銀雨の燕刃刀だから刃片を射出もできるのだけど……刀持って無数の銃弾に晒されたらやっぱやりたいわよね、またつまらぬものを斬ってしまったアクション。
剣戟結界で空間ごと細かく切り刻めばイケるでしょ。
で、
縮地で一気に間合いを詰めて、為すとしましょう
ジャイアントキリングを。
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――実験都市オペレッタグランにて。
「あら? どうやら一足先に先行したみたいね、わたし」
吹き荒れる蒼穹の風から姿を現したアリス・セカンドカラーがそう誰に共無く小さく呟いている。
只、それを独り言、と言うのは少々語弊があるであろう。
何故なら、今アリスのその手の中には、妖刀『薄墨爛漫桜』という名の
妄想少女がいるから。
『やれやれ……先ずは1人目の猟兵ってところか』
そのウガルルム・ザ・グランギニョールの鎚の声がズシン、と重圧の如く圧し掛かってくる。
――その五感全てを奪う強烈な破壊の灼熱と共に。
――だからこそ。
(「わたしの
魂が、
肉体をを凌駕する《 限界突破 》!」)
その為にも……。
「狂い裂け、『薄墨爛漫桜』! 卍○、ゲフン、ゲフン!」
思わずピー音と共に色々な方面に宜しくない決め台詞を言いそうになりながら、『薄墨爛漫桜』を強く握りしめ。
「オーバーロード! 行くわよ、刀型東方妖怪、妖刀『薄墨爛漫桜』。無数の結界刃で形成された刃は変幻自在、そして薄墨色の刃片が舞う姿は桜吹雪の如し!」
その詠唱と共に。
変幻自在の薄墨色の結界刃で形成された刃をより強く握りしめ、自らの力をより高め、己が
体感時間を引き延ばして、己が力を最大限に引き上げるアリス。
既に、ウガルルム・ザ・グランギニョールは、その気配を完全に断っている。
音もなく忍び寄り、一撃で『殺す』必殺のタイミングを十分に見計らって。
それは、まるで居合の達人同士が互いの手の内を読み合い、対峙している……あの刹那の瞬間の様。
その状況下の中で、先に動いたのは……。
――無数の弾丸、だった。
無限にも等しい無数の銃弾が音も何もなく、アリスの全方位にマシンガンの如く張り巡らされて、アリスを撃ち抜かんとする。
――けれども完全なる集中状態……
神憑りの領域に入ったアリスは。
「……そこ!」
叫びと共に『薄墨爛漫桜』を一閃し、
剣戟結界で、空間ごと細かく切り刻んだ。
「うん、イケたわね。やっぱり、こう言う時にしか出来ないわよね……。『またつまらぬものを斬ってしまったアクション』って」
五感は失われ、気配を見出すことは出来ぬとも。
研ぎ澄まされた精神で、周囲の状況を把握できるアリスと『薄墨爛漫桜』には、不可能ではないのだから。
そんな場面は沢山の物語を見れば自然とやりたくなるし、もし自分がやるとしたら、の様な『妄想』に費やしてきた時間は計り知れない。
「まあ、元々妖刀『薄墨爛漫桜』自体、燕刃刀がベースだから、結界刃を解放して全弾を迎撃する方が現実的かも知れないけれど。でも、それじゃあ、あなたの力の源……わたしの『妄想』にはなりえないものね」
そう何処か小悪魔的な笑みを浮かべて。
薄墨色の刀型東方妖怪、『薄墨爛漫桜』に小悪魔な笑みを浮かべて問いかけると、少女の形をし刀型東方妖怪はこくりと小さく首肯した。
「という訳で……そこね!」
その無数の銃弾の先で。
何処から其れが撃ち出されたのか……その源を心眼にて見極めたアリスが身に着けた時の宝珠に封じた時間質量を解放し
縮地。
そうして一瞬でウガルルム・ザ・グランギニョールに肉薄し。
「それじゃあ、為すとしましょうか、
ジャイアントキリングを」
何処か妖艶な呟きと共に『薄墨爛漫桜』を袈裟に一閃すると。
『はっ……そう簡単にあたし達がやられると思うんじゃないよ、猟兵!』
そう告げて。
アリスの
体感時間を引き延ばす手法に気が付いたグランギニョールが。
『ババア!』
『ああ……分かっているよ。全くいつも思うが、アンタはババァをいつも働かせすぎだよ』
叫ぶや否や、やれやれと嘆息しながら、その手の鎚がアリスに振り下ろされ。
アリスの斬撃にグランギニョールが血飛沫を上げる一方、鎚による一撃は、最至近にいたアリスを容赦なく殴打する
その衝撃に、ガハッ! と喀血しながら吹き飛ばされるアリス。
――けれどもその一閃は、確実に強烈な一撃を、グランギニョールにも与えていた。
(「まあ、及第点ってところかしらね。……後は、任せたわよ……」)
消えゆく意識の中でそうアリスが小さく胸中で言の葉を紡ぐ。
――仲間達……必ず此処に駆けつけてくるであろう、猟兵達へとグランギニョール撃破の希望を託して。
成功
🔵🔵🔴

白石・明日香
相変わらずデカ乳はあきらめることを知らねぇな。嫌いじゃないぜそういうところは。まぁ、潰すけど!
五感なくなるのは厄介極まりないな。見えんし聞こえんし匂いも辿れん・・・こうなったら奴との戦闘知識を元にして第六感で奴の動きを読むしかない。
ハンマーの一撃は仕掛けるタイミングを読んで残像で撹乱しながら狙いを定めさせずにダッシュで接近し間合いを詰めて銃弾の嵐は先制攻撃、範囲攻撃、鎧無視攻撃で弾丸諸共奴を吹き飛ばす!
間に合わない場合はオーラ防御、激痛耐性で耐えてやっぱり吹き飛ばす!
見えなければ纏めて辺り諸共力づくで吹き飛ばせばいい。シンプルがいいだろデカ乳様?
クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎だよ。
【POW判定】
何故だろうね…ワタシは貴女"達"の事を少しだけ知ってる気がするよ。
遠い遠い…昔、何処かで会っていたのかもね。
まあいいか、貴女"達"はここで灼■、いや、倒すよ。
五感の喪失については、五感とは異なる感覚である【第六感】で感じ取るようにするよ。
更に【気配感知】【野生の勘】【幸運】も組み合わせるよ。
相手の攻撃が命中した場合は【激痛耐性】で耐えるね。
UCは「ワタシの忍者ちゃんとエインヘリアルちゃん」を使用。
武器の形態変化については、忍者ちゃんとエインヘリアルちゃんの二人の連携で対処してもらうよ。
貴女"達"に、二度目…ううん、"三度目"の死を与えてあげるよ。

ユーフィ・バウム
また見えましたね『グラン・ギニョール』
貴女「達」も強化されていますが、
成長しているのは此方も同じ
いざ――勝負ですっ
五感の喪失には、五感以外の感覚を研ぎ澄ますことで対応します
そうです――森の戦士の根幹【野生】!
元より普通では勝てない相手。理性は捨てましょう
ただあるのは近くにいる敵を屠る、それだけッ
《ディープトランス》発動。
【グラン・ギニョールへの攻撃】という行動を
理性を代償に成功させます
武器の形態変化し迫る敵の攻撃も――近距離ならば!
五感が失せようが、野性の勘は貴女を必ず捉える!
オーラ防御全開にて凌ぎ、反撃を成功させますっ
攻撃に肉体は軋み、悲鳴が口からついても
最後に立っているのは、私のほうですッ
ウィリアム・バークリー
『世界破壊の灼熱』なんて、“氷聖”たるぼくが負けるわけにはいきません。
「範囲攻撃」の「結界術」に「オーラ防御」氷の「属性攻撃」「凍結攻撃」を重ねて、『灼熱』からの安全地帯を用意します。他の皆さんも守れればよし。
では、『戦場のインフラ』らしい仕事をしましょうか。
Active Ice Wall展開。
戦場を埋め尽くす氷塊、皆さん自由に使ってください! 盾でも武器でも足場でも。
Priorityが必要な方は遠慮なく。
ぼくは彼女に近寄らず、氷塊の制御と補充に専念します。さすがにこの環境じゃ、氷塊が解けるのが早い。ですが、ぼくがいる限り新しい氷塊は幾らでも生み出せます。
狙われた時に備えて、氷塊で「盾受け」。
司・千尋
連携、アドリブ可
露出度アップしても見えないから意味ないな…
五感の喪失は研ぎ澄ました第六感と心眼で対応
レーダー代わりも兼ねて結界術とオーラ防御を重ねて耐久力を強化した鳥威を全方位・広範囲に細かく分割し複数展開
割れてもすぐ次を展開
敵のいる方角や武器の種類等を把握し
回避が無理なら盾受けや武器受けも使い防御
間に合わない時は双睛を使用
基本的に攻防ともに『錬成カミヤドリ』で全方位から攻撃
複数の紐を網状にしたり引っ掻けたり
絡めてたりして行動阻害や捕縛を狙う
装備武器や早業、範囲攻撃、2回攻撃、乱れ撃ちなど手数で補う
可能な限り近接範囲には近付かないが鳥威や紐を使いバランスを崩し命中率を下げる
集中しすぎて頭痛いぜ
カタリナ・エスペランサ
わざわざホームに乗り込んでやったんだ
これくらいのハンデはくれてやろうか
等と嘯きつつ。言うだけならタダ、挑発になってもならなくても参考にはなる
五感を閉ざすぶん《第六感》を研ぎ澄ませ《情報収集+見切り》に活用
暗殺者を捉える為の手段としては勿論、味方の動きも把握して同士討ちを防ぐのは連携の前提だ
《オーラ防御》で《空中戦》機動力を維持し回避に活用&敵UCの威力を削ぐ
弾丸には《吹き飛ばし+属性攻撃》の爆風・
ハンマーには《武器受け+ジャストガード》でそれぞれ《受け流し》対処
ダメージにはそれでも狩るのは此方だという《
負けん気》で《継戦能力》を《限界突破》させ
一蹴
基本は注意を引いて陽動
必要に応じて《早業+怪力》の接近戦・雷羽の《属性攻撃+弾幕》
味方の援護を重視して立ち回るよ
今回の切り札はUC【解演】オーバーロードからの【狼牙天裂】
流れを作る囮でもいいし本命の決定打でもいい
そこは味方の手札や戦局次第だね
負担が大きいようなら【解演】無しの【狼牙天裂】も視野に入れよう
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
…面倒な奴が、面倒な怪物と融合したか
しかも、あの…しゃべるハンマー付で
…今度こそ討つ
世界破壊の灼熱で潰されるのが俺の五感だけなら
魂の少女たちの力を借りよう
指定UC発動
魂の象徴たる白い靄を、世界破壊の灼熱の色に似ていると思われる「火炎耐性、オーラ防御」の朱色のオーラで覆い隠し偽装
魂の少女たちには俺の目と耳の代わりをしてもらおう
一応「第六感」も働かせはするけど、気配を消すであろう暗殺者なら、引っかかればラッキー程度になりそうだな
ウガルルム殺戮劇場は絶対命中だが
近接距離に踏み込まないと絶対命中にはならない
だが近接距離は俺の得意な距離でもある
…ここは敵の油断を誘おう
五感を奪われ戸惑う演技をしつつ
出鱈目に「属性攻撃(氷)、衝撃波」を乱射し世界破壊の灼熱を吹き飛ばそうとしよう
もちろんできっこないが、敵が背後を取ってくれたら重畳
少女たちから警告が来たら急いで向きを変え
相討ち上等で「怪力、2回攻撃、鎧砕き」でハンマー、ないしは弾丸ごと叩き斬ってやる!
今度こそ、骸の海へ還れ!
森宮・陽太
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
真の姿解放(ただし衣装はサクミラの服装のまま)
以前、アルダワで対峙した時は殺人鬼と名乗っていた気がしたが
本質は暗殺者だったってか?
ま、どっちだろうが、今更服装にツッコミ入れる気はねぇ
…露出増そうが、てめぇには関係ねぇんだろ?
暗殺者の技量を持つ相手が、五感を潰した上で襲撃か
だが、同じ暗殺者同士なら「戦闘知識」でやり口を見当つけられるかもしれないな
相手の混乱に乗じ襲撃か、あるいは死角から奇襲か?
「第六感」で殺気を感じたら「高速詠唱、魔力溜め」+指定UCでサブナック召喚し俺を庇わせる
サブナックなら、敵の武器が変化しても十分庇ってくれるはず
もし敵UCをコピーできたら、時間目いっぱいまで発動し攻撃し続けるよう命じる
敵が無数の拳銃の弾丸に「制圧射撃、蹂躙」されるか、超重ハンマーに「怪力」で圧し潰されるか
どちらになっても、俺は「忍び足」で敵の背後を取って二槍伸長「ランスチャージ、暗殺」するのみ
(『零』の無感情かつ冷たい声で)
…この場にいる暗殺者が貴様だけとは、思うな
●
――ばしゃり、と戦場に血飛沫が舞う。
眩く光り輝く無限の灼熱地獄の如きその場所に飛散した血飛沫の音を、五感消失の直前に耳にしながら。
「また見えましたね、『グランギニョール』」
ユーフィ・バウムが、そうウガルルム・ザ・グランギニョールに囁きかける。
その声は、既に五感消失が始まった猟兵達に聞き取ることは出来なかったけれども。
ユーフィの全身を覆う蒼穹のオーラから迸る闘志は、はっきりと感じ取れた。
「……面倒な奴が、面倒な怪物と融合したか。しかも、あの……しゃべるハンマー付で」
その中で、館野・敬輔が篭もる灼熱に自らの声を消されつつ、ふと思う。
(「俺は、アルダワであいつと相対した記憶があるのは確かだけれども」)
けれども……。
「……何故だろうね」
そう消えた筈の五感の先で、微かに怪訝そうな雰囲気を纏ったクローネ・マックローネの気配には直感的に気がつけた。
(「この感じは……多分」)
「ワタシは貴女“達”の事を、少しだけ知ってる気がするよ」
――『彼』が時折見せる、在る気配に似通っている。
そのクローネの雰囲気を感じ取りつつ、敬輔が自らの腰の黒剣を抜剣するその間に。
ユーフィも懐から勇気の実を取り出し、それを1つ摘まんでいた。
普段の様な味は全くしないけれども。
それでも体の内側から全身に熱き血潮の如く駆け巡る無限の勇気が、自らの周囲に展開した蒼穹のオーラを更に強めてくれる。
その様子を、熒惑が齎す心眼でこっそりと確認しつつ、司・千尋が皮肉げに笑って肩を竦めた。
「そういえばお前、何か露出度アップしてパワーアップしたとか言っていたなぁ……」
『ハハンッ! 流石は猟兵! あたし達の話には感づいているみたいだね!』
そう愉快そうにウガルルム・ザ・グランギニョールが高らかに笑うが……。
「何か言っているのかも知れないが、そもそも見えないし聞こえないから意味ないよな……」
そう、微かにその翡翠色の瞳を何処か遠くを見るかの様に眇めながら呟く千尋。
そんな千尋の至極全うな正論と似た様な事を感じていた者は、何も千尋だけでは無いらしい。
「わざわざホームに乗り込んでやったんだ!
この程度のハンデはくれてやろうじゃないか!」
そう強気の笑みと共に、カタリナ・エスペランサが嘯くのを聞いて、ふうん……と軽く鼻を鳴らすグランギニョールの鎚。
『やっぱり強気だね。とは言え、あたし達が死力を尽くしたとしても、勝算は48%……ギリギリ5分に届かないんだ。その位強気になるのも当然と言えば当然か。しかもさっきの一撃でアンタは傷を負った。あたし達の勝算は……40%弱か』
そんな、カタリナの挑発に乗る様子も見せず。
ゆらり、ゆらり、と陽炎の様に溶け込む様にこの『世界破壊の灼熱』の中に消えていくグランギニョール。
その五感を消失させられる程の灼熱に目をやられ、全身汗だくになりながら、ウィリアム・バークリーは両手を広げる。
(「『世界破壊の灼熱』……になんて」)
――自らの二つ名、“氷聖”の名に賭けても。
「ぼくが負けるわけにはいきませんね」
そのウィリアムの呟きと、ほぼ同時に。
ウィリアムの周囲に展開された青と紅色の混ざり合った魔法陣が白光の如き明滅を開始。
続けて両指で複雑な軌跡を十重二十重に魔法陣を重複させる様に描き、その力を解き放つ瞬間を計っていると。
「……以前、アルダワで対峙した時は殺人鬼と名乗っていた気がしたが」
自らの真の姿を解放。
普段から身に纏う衣装の儘、白いマスケラを出現させ、クルクルと弄ぶ様に人差し指の上で回転させる森宮・陽太が呟く。
「……本質は、暗殺者だったってか?」
無論、五感が消失している以上、その声がグランギニョール以外に聞こえる筈もないが。
(「まあ、どれ程露出を増やそうが、見えなければ意味はない。或いはそれを武器として使えば、謀る事の出来る者もいただろうが……」)
――そんな『零』の内なる声に小さく首肯する陽太。
「……そもそも、露出を増やしていようが、てめぇには関係無い話だろ? ……グランギニョールの姉ちゃん」
呟く陽太のその声は、破壊の灼熱によって他の猟兵達に、聞き取ることは出来ないが。
「まっ、相変わらずって奴だよな、デカ乳が諦めることを知らねぇのはよ!」
そう白石・明日香が何処か楽しげに笑っている気配を、陽太や敬輔は直感し。
「嫌いじゃ無いぜそういうところは。まぁ、潰すだけだけれどな!」
――同時に明日香の宣戦布告が、開戦の合図となった。
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――バサリ。
遊生夢死 ― Flirty-Feather ―。
見る角度や光の当たり具合から、どの様な色にも見えるプリズムの羽をその背に広げ。
自らの周囲に光り輝く虹色の結界を張り巡らしながら、どうせ消失しているのなら、と桃色の双眸をそっと閉じるカタリナ。
代わりに、『驕傲:世界は我が手の上に』による力場を展開、周囲の猟兵達の動きを、それぞれが持つ熱源や『気』を収集する。
(「問題は、五感の無いこの状況で、どうやって皆と呼吸を合わせるか、なんだけれどもね」)
「まあ、そこはアドリブでなんとかしていくしか無いか」
そう、カタリナが呟くその間に。
――轟。
と言う音と共に、敬輔の周りに朱色の靄が纏われ始める。
――此処は世界破壊の『灼熱』
であればこそ……。
(「恐らくこの世界は朱色に近い世界の筈だ。……入った瞬間には五感を奪われてしまったから、それを確認する余裕はなさそうだけれども」)
そう内心で呟きながら、グランギニョールの気配を『第六感』を働かせて、探る敬輔。
今の状況で出鱈目に黒剣を振り回し、全方位に向けて斬撃の波を解放しても当たる可能性は極めて低い。
であれば……。
「敵からの出方を待つ。常道だな。だが……同じ暗殺者である『俺』ならば……」
――本来であれば、最も警戒されるべきは、背面。
陽太が『零』の知識で、白いマスケラを被って相手の動きに思考を張り巡らした刹那。
――パーン! パパパパパーン!
無数の銃弾……一発、一発に『必殺』の一撃が籠められている……が解き放たれた。
「やはり、早い……!」
銃声も全く聞こえない儘に解き放たれた無数の弾丸の軌跡をユーフィ達の熱源で予測し、両手を下に翳すカタリナ。
その手から解き放たれた爆発魔法の籠められた弾が無数の銃撃に激突。
爆発の連鎖を起こして、その被害を多少は食い止め。
更に爆発物の破片から偶々一番近くにいると感じたクローネを守らんとした敬輔だったが……次の瞬間には無意識に唾を飲み下していた。
――何故ならば。
「側面
……?!」
氷塊を作り上げ、周囲の灼熱を冷やしきる覚悟で詠唱していたウィリアムの側面から、無数の銃弾が飛んできたから。
咄嗟にウィリアムの側面に展開されたのは、全方位・広範囲に細かく分かれた焦げ茶色の結界を張り巡らされた鳥威。
その無数の鳥威と鳥威の間に1枚だけ、結詞に繋がれた、双睛が掲げられている。
只の1枚の懐鏡にしか見えないそれが、不可視の防御壁を作り上げ、直撃すれば戦闘不能を免れ得ないウィリアムを守り抜くが。
(「……ははっ。まさかいきなり切り札を使う羽目になるとはな」)
本体が飾り紐である千尋自身と双睛を、更に自らの複製と鳥威の全てを繋いでいたのは、不幸中の幸いと言うべきだろう。
そうで無ければ、双睛による守りすら覚束なかったに違いないから。
(「逆に言えばそれだけ、バークリーのあれを、こいつは警戒しているって事か」)
それは千尋の直感の様な思考ではあるが、正解だった様だ。
――何故ならば。
「……行きます! Active Ice Wall! Full Boost!」
その叫びと共に。
ウィリアムが何とか自らの周囲に十重二十重に描いた魔法陣を起動、無限にも等しい氷塊を一斉に召喚する。
無限にも等しいそれは、戦場全体を覆い尽くさんばかりの勢いで展開され、同時に青と白の綯い交ぜになった冷気の結界を構築し。
――『世界破壊の灼熱』を和らげ始めた。
「これで……少しは……! 皆さん……今のうちに……!」
そのウィリアムの考えは、あながち間違ってはいない。
本当に少し……少しだけだが、掠れながらも物事を見て、聞くことが出来る程度には、五感が取り戻されている。
直ぐに氷塊が溶けてしまえば、それまでだが。
「……成程ね。ウィリアムちゃん、これなら、少しは戦えそうだね」
そうからかう様な、けれども何処となく楽しそうに。
或いは、『何か』を懐かしむかの様に。
放たれた無数の銃弾に生命の危機を感じたか、自らの肌を硬質化したナノマシンアーマーを軽く叩いて。
そう告げたクローネが素早く九字護身法を切りながら。
「宜しくね、ワタシの螺旋忍軍ちゃんに、エインヘリアルちゃん♪」
パチリ、とウインクをすると、瞬く間にクローゼの周囲に螺旋忍者軍が召喚された。
かの螺旋忍者軍団が、その手の螺旋手裏剣を全方位に向けて一斉に投擲を開始。
螺旋の力の籠められた無数の手裏剣が戦場全体にばらまかれる様に解き放たれるが。
『……簡単に当たってやるわけにはいかないんだよね』
そう聞こえない声量で呟きながら、グランギニョールが自らの周囲に召喚した無数の銃弾を一斉掃射。
その銃弾には、致死量の『世界破壊の灼熱』が封入され、それがこの世界の中で何度も何度も跳弾し、その威力を高めていく。
――あまりの速さに、目に留めることすら出来ないその弾丸。
もしそれに当たれば螺旋忍軍は勿論、クローネも致命傷を負い、結果として戦力が失われるだろう。
――そう、その位強く……。
「貴女『達』も強化されているのは、分かっていますっ!」
――けれども。
「成長しているのは……わたし達も同じっ!」
先程の無数の銃弾を、自らの周りに張り巡らした蒼穹のオーラと千尋の鳥威で辛うじて耐え抜いたユーフィが叫ぶ。
「ならばわたしも――切り札を切りましょうっ!」
――それが……。
「『蛮人』の――森の戦士たる『わたし』の定めなのだからっ!」
その高らかな戦士の雄叫びをユーフィが上げた、その刹那。
――プツリ、と。
ユーフィの中で己が本性……狩人として、蛮人として……何よりも、森の戦士としての『根幹』である、『野生』を縛る『理性』が千切れる音が鳴り。
同時に喉奥から振り絞らんばかりの吠え猛る轟きを、ユーフィが上げた。
「おおおおおおおおおおおっ
!!!!!」
――その様は、正しく『野生の獣』
同時に、ウィリアムに作り出された無数の氷塊がその咆哮に合わせる様に歌う様に青白く光り輝き、戦場全体の温度を一気に下げ……そして。
「……合わせる!」
短い気合いと共に、ウィリアムとユーフィによって下がった世界破壊の灼熱に向けて、氷の衝撃波を敬輔が叩き付けた、その時。
『……何?!』
――声が、反響した。
ウィリアムの氷塊と、ユーフィの咆哮と、敬輔の一閃が、五感消失の効果自体を打ち消したかの様に、グランギニョールの声が。
――その時、グランギニョールは陽太に肉薄し、そのハンマーを真正面から振り下ろそうとしていた。
「……成程。本来、暗殺は相手の死角や、混乱に乗じて行うものだ。だが……俺達が五感を消失させられる可能性を周知しているのであれば、敢えて姿の感知を困難な状態にした上で、正面から打ち据えるのも1つの手だな。裏を掻くという奴だ。だがそれは……俺にとっては、裏の裏だ」
そう陽太が呟くと、ほぼ同時に。
抜く手を見せずにグランギニョールの正面に改造型ダイモンデバイスを突きつけ。
「……行け、サブナック」
改造型ダイモンデバイスの引金を引き……自らの前に、獅子頭の戦士を召喚した。
召喚された剣にも盾にも獅子頭の悪魔、『サブナック』が咆哮と共に、グランギニョールのハンマーを盾で受け止める。
『……ちっ。抜かったね。まさか、あたし達の作り出した世界そのものを封殺する暴挙に出てくるとは……』
そうハンマーが呟くと、ほぼ同時に。
タン、と素早くグランギニョールが素早くバックステップし、同時にハンマーが銃に変形し、無数の銃弾を展開しようと……。
「……完全とは言わなくてもさ。空中からなら、ウィリアムさんの氷塊が水蒸気になって視界を遮りそうになっても、十分見えるもんなんだよね♪」
その言葉を合図にしたかの様に。
上空から降り注ぐは、無数のカタリナの羽根。
無論、如何に空中にいるからといって無傷でいられる筈もない。
けれども、カタリナには、矢雨の如く無数の羽根をグランギニョールに降り注がせて、自分達が貴様を狩るという
負けん気がある。
雨あられの如く降り注ぐ無数の羽根がグランギニョールの行く手を阻んだ隙を突いて。
「完璧とは言わなくても、多少は見える様になったんだ! 好きにやらせて貰うぜ!」
その歓喜の雄叫びと共に、
無数の残像を生み出した明日香が跳弾し、今にも背後から迫っている銃弾ごと戦場全体を焼き尽くさんと、月光の大剣を背から抜剣し。
「纏めて吹っ飛べ!」
咆哮と共に跳躍し、自らの背後に迫る銃弾を、ウィリアムの氷塊を盾にする事で一瞬食い止めた明日香が大地に月光の大剣を突き立てると。
――轟!
月光の大剣に籠められた真紅の魔力が大剣を伝って大地に伝わり、それが『世界破壊の灼熱』の源であろう熱の一部を呼び寄せ。
――ごぼぉぉぉぉぉっ!
轟音と共に、まるで溶岩の如き炎柱と化した衝撃波を解放した。
解放されたそれが、明日香を撃ち抜かんとしていた銃弾を飲み込み、続けてグランギニョールの体をも溶岩で包み込む。
『がっ?! ちっ……やってくれるね……!』
その体をごっそりと焼き払われながら。
変形した銃弾を叩きこまんとグランギニョールが戦場全体に向けてそれを一斉放出。
だが……その時。
「お前は1つ……いや2つミスを犯した」
――そう陽太が、淡々と思考を紡ぎ出す。
1つ目は、陽太の……同業者ともいえる零……『暗殺者』の裏を掻こうとした事。
――そして……もう1つは。
「『そいつ』に、お前のユーベルコードを当てた事だ」
そう低く歌う様に陽太が小声で囁くのに応じる様に、『サブナック』が咆哮する。
その咆哮と同時にサブナックの前面に現れたのは、無数の拳銃の弾丸。
まるで、マシンガンの如く解き放たれた無数の銃弾が、真正面からグランギニョールの弾丸を撃ち抜いていく。
『……っ! あたし達の力をコピーする力か……ちっ!』
グランギニョールが思わず、と言った様に舌打ちをするのを見て、周囲に自らの本体結詞の複製を展開していた千尋が皮肉気に笑い。
「因みに俺達の手はそれだけじゃねぇぜ? そうだろう……館野?」
その千尋の言の葉に導かれてるかの様に。
「おおおおおおっ!」
敬輔が、朱色の靄に覆われていた黒剣を唐竹割に振り下ろし。
自らの朱色の靄と、ウィリアムの青と白の綯い交ぜになった結界を攻性防壁に作り替えた凄まじい吹雪の如き一閃を解き放った。
『……っ!?』
明日香に炙られたところに、一気に凍て尽くさんばかりの勢いの氷剣の一撃を受け、グランギニョールが大きく傾ぐ。
「本当だったら、油断を誘って使うつもりだったんだけれどな。まさかユーフィさんが理性を斬り捨てて迄戦うとは思っていなかったよ」
そう思わず微苦笑を浮かべながらの敬輔の言葉に応じる様に。
「ああああああああっ!」
獣の様な唸り声を上げたユーフィが蒼穹のオーラを残影の様に撒き散らしながら、グランギニョールに肉薄し。
その拳を振り回す様にして乱打を解き放ち、グランギニョールを打ち据える。
それは、単なる膂力に任せた獣による殴打。
だが、自らの理性を代償に、本能の儘に攻撃を続けるユーフィは今。
『がら空きだよ!』
嘲る様な叫びと共に。
陽太の召喚したサブナックから間断なく解き放たれる無数の銃撃に体を穿たれていたハンマーをグランギニョールが振り下ろした瞬間。
――ヒュン、と。
「おっと、アタシの事を忘れて貰っちゃ困るんだよね!」
遊生夢死 ― Flirty-Feather ―を輝かせ、煌びやかな雷光を纏ったカタリナが滑空する。
その手に握りしめるは、1振りのダガー。
――自らの遊生夢死 ― Flirty-Feather ―の羽根に籠められた雷撃を纏った、ただのダガー。
けれどもそのカタリナによる一閃が、確実にユーフィの頭を粉砕しようとするハンマーの軌道を狂わせ。
――その生み出された隙を逃すこと無く。
「Active Ice Wall……行け!」
ウィリアムが素早くハンマーの下に滑り込ませる様に氷塊を移動させ。
「まっ……こういう手も俺は持っているんだぜ。バウム達はよく知っているけれどな」
千尋が自らの周囲に展開していた結詞の複製を氷塊の背面で編み上げて、蜘蛛の巣の如き盾を、ユーフィの頭上に展開する。
ウィリアムと千尋の展開したそれが、致死に至らしめるグランギニョールのハンマーの一撃の勢いを大きく削ぐ。
それでも尚、十分強いと言える衝撃が、ユーフィの頭部に叩き付けられた。
「がっ
……?!」
額が割られ、頭蓋に罅が入るのではないかと思える程の衝撃に、野生の獣と半ば化していたユーフィが目から火花を飛び出させ。
――ボタリ、ボタリ。
と頭部から血を滴らせるのを見て、グランギニョールが獲ったとばかりにハンマーを切り返して畳みかけようとした、其の時。
「やらせはしないよ、オブリビオン。……貴様達の望む世界を、『私』は望まないのだから」
その呟きと、共に。
ヒットアンドアウェイの要領で再び高高度に達していたカタリナが、全身をプリズム色に輝かせて、羽根を驟雨の如く降り注がせながらダガーを投擲。
――今度は、そのダガーに自らの第二神権 ― omen ―の神威を乗せて。
第二神権 ― omen ―の力の乗ったそのダガーの投擲速度は、雷速から光速に達し。
――グサリ、と。
そのグランギニョールの腕の中で跳ね上げられ、下段からユーフィを粉砕しようとしていた『鎚』の柄を貫いていた。
『ぐっ……?! あたしを狙ってきたか……!』
その、ハンマーのババァの呻きを聞いて。
「そうだね■ラ■ラ■・■■■ト。貴方“達”は……」
――えっ?
自分で、何を口走ろうとしたのかは、クローネにも分からない。
果たして自分が何を言おうとしているのか?
それが分からぬ儘に、そしてその『理由』を知りたいという彼女の意思に反して、クローゼの口から言葉が溢れ出す。
「貴女“達”は此処で、灼■……倒して、二度目……ううん、“三度目”の死を、与えてあげるから」
その言の葉に応じる様に。
クローネが呼び出した螺旋忍軍の螺旋手裏剣がグランギニョールの全身に突き立ち。
そこに……先程召喚した黒鎧のエインヘリアルの剣が、逆袈裟に振り下ろされた。
エインへリアルの斬撃が、先行した猟兵の付けた切り傷と重なり合い、X字型の傷跡を作り上げて、その体から血糊を吹き出させるその間に。
「物事ってのは、シンプルな方がいいだろう、デカ乳様?」
口の端に鮫の様な笑みを浮かべた明日香がクローネに続く様に大地に突き立てた月光の大剣を引き抜いて。
その刃に紅蓮の焔を纏わせて横薙ぎに振るうと。
振るわれた斬撃が、グランギニョールの胸を横一文字に断ち切り、更に止まることの知らない程の夥しい量の出血を強いる。
急激な大量失血にグランギニョールが思わず意識を朦朧とさせたその間に。
「今度こそ……骸の海へ還れ!」
敬輔が氷の力を纏った黒剣を三日月形の弧を描く様に振るって。
その斬痕を抉る様にグランギニョールを断ち、その身を凍てつかせていくその間に。
「……この場にいる暗殺者が貴様だけとは、思うな」
何時の間にか、音もなくグランギニョールの背後を取っていた陽太……否、『零』が。
その手の濃紺のアリスランスと淡紅のアリスグレイヴで、グランギニョールの心臓と、喉を貫いた。
『ガボッ……ゴボボッ……!』
血泡を噴きながら、己がハンマーを取り落としその場に頽れるグランギニョ-ル。
その間にも取り落とされたハンマーが自意識が未だ残っていたのか、周囲全体を薙ぎ払う様に振られようとしたが。
「……ばれてるぜ」
呟いた千尋が生み出した自らの本体の複製の先端に繋いだ月烏と烏喙を突き出し、ハンマーを串刺しにし。
「このまま完全にこの世界ごと凍てついて……此処で討滅されてください!」
氷塊による絶対冷却の魔力の消耗の激しさに眩暈を覚え、その両目から血の涙を零しながらウィリアムが氷塊の槍を解き放つ。
それらに連続で突き立てられても動こうとするハンマーとグランギニョールだったが。
――そうして、本能だけで動こうとする獣の様なその姿は。
「おおおおおおおっ!」
『野性を縛る理性』を捨てた、この世で最も恐ろしき戦士……『手負いの獣』と化したユーフィの重拳の格好の的であった。
自らに残された最後の膂力の全てを注ぎ込んだ渾身のユーフィの重拳が、思わず息を呑むハンマーを粉微塵に砕き。
『くそ……ババァ……あたし、は……』
そのハンマーの最期こそが、ウガルルム・ザ・グランギニョールが凍てつき果てる直前に見た最期の光景となり。
「やれやれ……集中し過ぎて、頭が痛くなりやがったな」
その千尋のやれやれと言わんばかりの盛大な溜息と。
「……あなたの負け……ですウガルルム・ザ・グランギニョール……っ!」
僅かに残されていた理性をその瞳に宿して掠れがすれに呟いたユーフィのそれが。
――ウガルルム・ザ・グランギニョールが最期に聞いた言葉となった。
大成功
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