エンドブレイカーの戦い③〜人魚の救出
●人魚の輝きが消えた世界で
そこはかつて軍事・交易の要として発展してきた、温暖な都市国家だった。
七勇者のひとりである「ガンダッタ・アックス」によって建国され、その子孫が街区を治める領主のひとりに名を連ねていたという。
しかし、今目の前に広がっている光景は、影に覆われた瓦礫の山だった。
影の正体を知ろうと「わたし」は上を見上げた。
空が広がっているはずの場所に、鍾乳洞が垂れ下がる洞窟の天井のような巨大な物体が空を占拠していた。
それこそが、遠い昔に戦神海峡の水底に沈んだ古の都市「アックスヘイム」の底だった。
水底に沈んでいた古の都市「アックスヘイム」を、エリクシルが「願いの力」で強引に兵器化すると、人魚の膨大な生命力を「動力」に、海底から浮上させたのだ。
遺跡から滴り落ちてくる赤紫色の雫のひとつに、「わたし」の手が無意識に伸びる。
鈍い音とともに、硬い感触が白い手のひらに伝わる。
水滴には粘り気があった。
「わたし」は知っていた。
それが、遺跡の動力にされた人魚たちの血であることを。
『あぁ、これが世界の終焉……』
声にならない声で呟いた「わたし」は、一度大きく息を吸い込み、強く瞼を閉じる。
やがて、人々の無数の声が遠くから聞こえはじめる。
声に導かれるように意識を集中させ、ゆっくりと瞼を開ける。
そこは見慣れたグリモアベースだった。
すでに集っていた猟兵たちに、わたしはいつも通り声をかける。
「皆さん、行きましょう。この終焉を打ち砕くために! 場所はエンドブレイカーのアックスヘイムです」
プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は、グリモアの力を発動した。
●遺跡内部
動力源に辿り着いた猟兵たちが目にしたのは、異様な光景だった。
空間を埋め尽くさんとする、夥しい数の巨大なガラス玉。
その中央に鎮座する奇妙な物体。
時折、「おぉおーーーん……」という奇妙な音がこだましていたが、それがエンジン音なのか、はたまた人魚たちの悲鳴なのか、猟兵たちにはわからなかった。
奇妙な物体は、規則的に収縮と拡張を繰り返しており、その様がまるで巨大な心臓のように見えた。
だから、あれが動力源の大元なのだろうと、猟兵たちでも予測がついた。
もう少し現状を把握しようと、手近にあったガラス玉の中を覗き込んだ猟兵のひとりが、小さな悲鳴をあげた。
分厚いガラスの向こう側で、力なく浮き沈みする人魚の姿があったのだ。
『ガラス玉を満たしている液体には、人魚だけを眠らせる作用があるようです』
猟兵たちの耳に、グリモアベースに居るプルミエールの声が響く。
『ここにはオブリビオンは配置されていませんが、ガラス玉から人魚を逃すと、遺跡のセキュリティが作動して皆さんが入ってきた扉が消失し、別の扉が現れるようです』
プリミエールの説明は尚も続く。
『扉の先では、脱出を試みた人魚たちが彷徨っているようです。脱出経路を確保しつつ、彼らも手助けできれば良いのですが……』
もちろん彷徨っている人魚たちは、猟兵たちが退路さえ確保すれば後から自力で脱出できそうなため、今すぐ手を貸さなくても問題はないという。
『それと、扉の先に水路があります。水路を使えば、効率的に人魚たちを外に逃すことができそうですね。ただ困ったことに、水路にはどこからか睡眠薬が注入されているようなので、トラップを解除して睡眠薬の流出を止める必要がありそうです』
トラップといっても難しいものではなく、壁のどこかに隠されている停止ボタンを押せばいいと、プリミエールが補足する。
『それと、これはお願いに近いのですが、皆さんの中に治癒能力を持っている方がいたら、ぜひその場で治療をしてあげてください。それでは皆さん、頑張ってくださいね!』
柚子胡椒
こんにちは、お久しぶりです。
久々のシナリオですが、どうぞよろしくお願いします。
以下、補足です。
遺跡内部に囚われた人魚の救出シナリオです。
失敗すると、充分な動力を得たアックスヘイムの遺跡はいずれ『勇士号』のように動き出し、アクスヘイムを襲い、冒頭のような「未来」が訪れることになります。
そうなる前に人魚達を救出し、「動力」を断ち切って、兵器化遺跡の稼働開始を止めなければなりません。
プレイングボーナス:遺跡内部に囚われた人魚を救出する。
それでは、皆様のプレイングを心からお待ちしております。
第1章 冒険
『人魚救出』
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POW : 遺跡をくまなく歩き回り、要救助者を探す
SPD : 遺跡の罠を見つけて解除する
WIZ : 囚われて衰弱した人魚達を治療する
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ベゼリアイト・スナティ
・心情
ここにmon reveは居るのかしら、居ないのかしら!
困っている子ども達がいるのでしたら手助けいたしましょうね
・行動
まぁまぁ人魚さんですのね?
他の猟兵の皆様もいるのかしら、居たら人魚さんの居場所や怪我人が居ないか聞いてみるわ
会えずともわたくしには足があるもの、ふふ、歩いて探しましょうね。
戦う事は出来ずとも、癒す事は出来るのよ!
あらあら怪我人かしら、痛いのかしら苦しいのかしら、わたくしの歌声で少しでも癒されて行ってくださいな
今回は癒すためにきたのよ、1人でも多くを癒す為に時度休憩はいれますわね!
あぁあぁ可愛い子どもたち、生きなさい、行きなさい
●
グリモア猟兵の力によって遺跡内部にある動力源に導かれた猟兵は、さっそく人魚の救出に乗り出した。
そのひとり、ベゼリアイト・スナティ(ラ カージュ・f41218)は、とある存在を求めて世界を旅する猟兵だった。
「ここに
mon reveは居るのかしら、居ないのかしら!」
そんな期待と不安を胸に降り立った彼女の目に、ガラス玉から解放された後も眠り続ける人魚たちの姿が映る。
「まぁまぁ人魚さんですのね?」
かつては美しかったであろう鱗は輝きを失い、パールのように肌理細かだった肌は崩れ落ち、青白く変色している。
眠っている表情も、どこか寂しげだ。
「困っている子ども達がいるのでしたら、手助けしてあげましょうね」
彼女にとって「神」という存在以外は、みな可愛い子ども。
スナティは床に散乱するガラス片を気にすることなく、慈愛に満ちた動作で人魚たちに近付き、手を差し伸べた。
動力室にスナティの『ユーベルコード』の歌声が響く。
「……う、私たちは一体?」
「あぁ、やっと動ける。ありがとう、見知らぬ方よ」
まるで悪夢から覚めた子どものような表情で、感謝の言葉を述べる人魚たちを送り出す。
しかし、動力室に囚われていた人魚たちを癒し終えてもスナティの救助活動は終わらない。
他にも、どこかで動けなくなっている人魚や怪我人がいないか、周囲に聞き回りながら遺跡内を歩き回る。
「だって、わたくしには足があるもの。ふふ、せっかくですもの、歩いて探しましょうね」
軽い足取りで遺跡内を歩き回っていると、またひとり、壁にもたれかかるようにして倒れている人魚を発見する。濡れた床に人魚の血が広がっていた。
「あらあら、怪我人かしら、痛いのかしら、苦しいのかしら。わたくしの歌声で少しでも癒されてくださいな」
スナティが『ユーベルコード』を再び発動する。
「戦う事は出来ずとも、癒す事は出来るのよ!」
そして、1人でも多くの人魚を救ってゆく。
その為にはこちらも焦ってはいけない。
自分の体力も考慮し、時折休憩を入れながらスナティは歌声を披露し続けた。
『あぁあぁ可愛い子どもたち、生きなさい、行きなさい』
やがて、スナティの穏やかで力強い歌声に癒された人魚たちが、スナティに手を振りながら遺跡から脱出していく。
キラキラと輝く平和な海で、美しい人魚たちが子どものように無邪気にはしゃぎ、泳ぎ回る
世界が視えたような気がした。
大成功
🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
罪ない人魚達の命を吸い取るなんて許しておけないよ
とりあえずガラス玉に閉じ込められている人魚達出してあげなくちゃ
扉が消えたなら新しい出口を作るだけだよ
揺るぎなき反抗を
反抗の加護で切れ味が増した妖刀で壁を斬り裂いて新しい退路を作るよ
移動途中に迷子になっていた人魚達も一緒に救助してこのまま外に脱出するよ
さあみんな外だよ、海にお帰り
人魚には自由な海がよく似合うよ
●
グリモア猟兵の力によって遺跡内部にある動力源に導かれた猟兵のひとり、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は、
反抗の竜から与えられ妖刀を携えたまま、人魚を内包するガラス玉に触れた。
直後、フラッシュバックに襲われ、薄暗く陰湿な空気が漂う研究所の実験台に横たわる無力な自分と、目の前に漂う人魚の姿が重なる。
しかし、『反抗の竜は舞い降りた……』と、胸にある反抗の印に宿る守護竜の声が静かに響き、握っていた妖刀の熱と指先に触れたガラスの冷たい感触で一気に現実に引き戻された。
(そうだ。今ボクがいるのは、あの研究所じゃない)
チタノは再び目の前の光景を直視すると、「反抗の妖刀」を静かに構えた。
「罪ない人魚達の命を吸い取るなんて許しておけないよ。とりあえず、ガラス玉に閉じ込められている人魚達出してあげなくちゃ」
人魚たちを傷つけないよう、妖刀でガラスに何ヶ所かヒビを入れると、ガラス玉は自らの重さに耐えきれず砕けた。
ガラス玉から解放された人魚たちは悪夢でも見ているのか、苦悶に満ちた表情をしていた。
しかし、時間の経過とともに薬の効能が消えたのだろう。
人魚たちが自然と目覚めることを知ったチタノは、ガラス玉の破壊に専念することにした。すると、遺跡のセキュリティが発動し、自分たちが入ってきた扉が音もなく消滅する。
人魚たちが動揺したが、チタノは冷静だった。
「扉が消えたなら新しい出口を作るだけだよ」
揺るぎなき反抗をーー。
ユーベルコード『反抗の刃を(ハバキリ)』を発動し、反抗の加護で切れ味が増した妖刀を遺跡の壁に突き刺すと、続いてぐるりと円を描くように妖刀を回転させて、あっという間に新しい退路を作ってみせた。
その後も、チタノの行動には無駄がなかった。
遺跡内部をくまなく歩き回るようなことはせず、壁にぶつかれば妖刀で切り抜き、道を切り開いた。
やがて、新鮮な潮の香りがしてくる。
この壁に向こうに海が広がっていると確信したチタノは、躊躇なく壁を破壊した。
視界がひらけ、真正面に青く清浄な海が現れる。
「さあみんな外だよ、海にお帰り。人魚には自由な海がよく似合うよ」
チタノの言葉に、後ろからついて来ていた人魚が歓声をあげた後、海へと飛び込んでいく。
ふと、数人の人魚の方を見ると、人魚たちがチタノに向けて笑顔で手を振っていた。
その光景に、感情表現の苦手なチタノもこの時だけは表情を緩めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ユキト・エルクード
(アドリブ・絡み・連携歓迎)
SPD判定
俺がこの街の影である限り、無辜の民をいたずらに殺させはしない。
【行動】
活性化されている技能の全てを駆使し、自分ひとりだけの時には最短ルートを、人魚を確保している場合は安全ルートを選んで速やかに移動。
基本罠は回避していくが、破壊可能な脆いものや構造が単純なものは単独行動の際に優先して破壊・解除を行い、他メンバーのショートカットや人魚の安全確保を行う。
脱出時には率先して扉の捜索やトラップの解除を行い、人魚達の水路からの逃亡をアシストする。
重傷の人魚はあらかじめUCでマーキングしておいた都市の医務室まで運搬するか、回復持ちの味方に預ける。
●
グリモア猟兵の力によって遺跡内部にある動力源に導かれた猟兵のひとり、ユキト・エルクード(亡霊夜警・f38900)は、数奇な運命を辿る猟兵だった。
かつて、エンドブレイカーとして世界の「終焉」を終焉させてきたユキトは、その後、猟兵たちが存在する世界へと渡った。
しかし、そこで思わぬ事態に巻き込まれてしまう。
それは、見た目は10代、肉体年齢は20代、精神年齢が40代のままになるという、珍しい現象だった。
幸い、長年の戦いの感は失われておらず、猟兵としてやっていく分には困ることはなかった。
「そうして、現在に至るわけだが」
まさか、かつて救ってきた世界に再び舞い戻り、11の怪物との戦いに身を投じることになるとは……。
運命とは本当に奇妙なものだと、しみじみしそうになって、すぐに首を横に振った。
いまは、過去の浸っている場合ではない。まずは、この遺跡の動力源を止めなければ。
「俺がこの街の影である限り、無辜の民をいたずらに殺させはしない」
その場にいない「敵」に宣言すると、猟兵になる以前より愛用し続けている漆黒の棍「桜華」を携え、退路の確保に乗り出した。
遺跡のセキュリティの発動で新たに出現した扉を音を立てずに開けると、闇に紛れて素早く通路を駆け抜ける。
薄暗い通路に敵の気配はなく、代わりに様々なトラップが仕掛けられていた。
おそらくは、人魚の逃亡を阻止するためだろう。
自分1人であれば、この程度の罠、難なく回避できる。
しかし、負傷した人魚や衰弱した人魚を連れての脱出となると、やはり安全な水路の確保が必要であり、そのためには睡眠薬が水路へ流入を止める必要がある。
もちろん、この後に来る仲間のことも考えて、ほかのトラップも徹底的に破壊しながら進むことにした。
幸なことに、通路内を彷徨っていた人魚にも遭遇することができた。
しかし、彼らの傷を見たユキトの表情が一瞬だけ曇る。
思っていた以上に傷が深かったのだ。
このままにしておくのは流石に可哀想だと考えたユキトは、ある方法にとることにした。
「わるいが、俺は回復の方面はさっぱりだ。その代わり、治療が得意な奴らのところに『跳ばして』やる」
「……(コクリ)」
人魚の同意を得て、ユキトはさっそくユーベルコード『残桜転移術(ザンオウテンイジュツ)』を発動した。
あらかじめマーキングしておいた場所に、人魚たちを瞬間移動させたのだ。そこでなら、彼らも安心して治療を受けられるはずだ。
「あとは、この遺跡において最大の難関でもある巨大な水門の鍵の解除だけだな」
侵入する時は開いていた青銅色の水門が、セキュリティの発動の影響だろうか。硬く閉ざされている。
しかしユキトは、壁の窪みに巧みに隠されたスイッチを見事探し当てると、最後のトラップを解除してみせた。
金属同士が擦れ合う音とともに、巨大な水門がゆっくりと開く。
この先は、複雑な潮の流れが人魚たちの逃亡をアシストしてくれるはずだ。
「達者でな」
水門を潜り、振り返ってこちらに手を振る人魚たちに軽く応えながら、ユキトは彼らの今後の幸せを祈るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
早期救出のためにも、トラップの解除を急がないとね。
【神火分霊・改】で最大数の分身を出して、人数を確保。
分身と情報共有しつつ、遺跡内の[情報収集]にあたろうかな。
[軽業]や[悪路走破]、[水上歩行]なども駆使して、
大人数で停止ボタンと経路を探していくよ。
水路を彷徨う人魚達にも、状況を共有できるかな?
[コミュ力]を駆使して、睡眠薬の濃そうなところや
安全が確認できてそうな経路、他の人魚との合流方法を伝えていくよ。
回復もしてあげたいけど……ボク、あまり得意じゃなくて。
その代わり、すぐ脱出までの段取りをつけるから、待っててね!
●
グリモア猟兵の力によって遺跡内部にある動力源に導かれた猟兵のひとり、サツキ・ウカガミ(
忍夜皐曲者・f38892)は、人魚たちの体力を考慮して、早期救出を目指すことにした。
花飾りとリボンをあしらった服を着こなすツインテールの彼女は、こう見えて霊峰天舞アマツカグラで暮らす好奇心旺盛な忍者だ。
何かと目立つ彼女を「忍んでいない忍び」と評する忍者もいたが、当人は「必要な時には忍ぶのよ! メリハリが大事!」と気にする様子もなく、1日も早く世界を守護する存在になるために鍛錬と情報収集に励んでいる。
「それで、今はどんな状況なのかな?」
現場に到着したサツキは視線を巡らせるだけで、動力室の構造や人魚たちの生存状況を把握した。
それから、ガラス玉に囚われた人魚たちの解放を他の仲間に託し、睡眠薬が大量に注入されているという水路の確認を急ぐ。
水路は通路に並行する形で作られており、無数に開けられた壁の穴から薬液が溢れ出ていた。
「トラップの解除を急がないとね。まずは、人員確保ね!」
両手で素早く印を結び、ユーベルコード『神火分霊・改』を発動。現時点で出せる最大数の分身を作り出した。
戦闘能力こそないものの、お互いに情報共有しながら情報収集や救助活動が行える。使い勝手が良く、数で解決できそうな場面でよく使う
ユーベルコードだ。
『それじゃあ、行ってくるね!』
分身たちが散開すると、サツキも行動を開始した。
通路に仕掛けらたトラップを華麗な動きで回避し、瓦礫で埋もれた場所では壁を駆け抜け、浸水しているところは水上歩行で渡り、内部構造を把握していく。
やがて何人かの分身から、自力で脱出を試みる人魚たちと遭遇することができたと報告が入った。
こうした場面においては、高いコミュニケーション能力を発揮する分身たち。お陰で、出口の情報と負傷した人魚について聞き出すこともできた。
『出口の水門が閉ざされてて、沢山の人魚たちが立ち往生してるようだよ!』という分身の報告を聞き、サツキは通路を一気に駆け抜ける。
突如視界が拓け、解放的な空間に出た。
どうやら、ここが水門のようだ。
「回復もしてあげたいけど……ボク、あまり得意じゃなくて。その代わり、すぐ脱出までの段取りをつけるから、待っててね!」
腕から血を流す人魚に持っていた布で応急処置を施し、改めて水門を見た。
5メートル近くある巨大な水門の扉は固く閉ざされており、猟兵の力でもビクともしなかった。
どこかに水門を開くレバーかスイッチが隠されているはずだと考えたサツキは、怪しい場所はないかと周囲を調べていく。すると、海藻に覆われた床に付いた不自然な切り込みを見つかる。
直感的にそこを叩くと、床の一部が回転して錆びたレバーが出てきた。
レバーの柄をしっかりと握り、力一杯レバーを倒す。
「ガチャン」という施錠が外れたような音が鳴り、水門がゆっくりと開く。
その光景に人魚たちが歓声をあげた。
「よかった、助かった!」
「ありがとう、本当にありがとう!」
水門の向こう側には海が広がっていた。
気付けば、遺跡からエリクシルの「願いの力」の気配が感じら取れなくなっている。
遺跡が完全に停止したのだと察したサツキは、仲間とともに海に再び人魚たちの歌声が戻ったことを喜んだのだった。
大成功
🔵🔵🔵