エンドブレイカーの戦い⑪〜極バシュム討滅戦・準備
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――砂月楼閣シャルムーン北西の地底奥深くには、謎めいた超巨大獣の骨の中に建設された知られざる『地底都市国家』があるという。
……だが、それも最早過去の話。それがいい意味でか悪い意味でかはさておき、現在のこの都市国家の住民は光差す地上にも出ていた。
蟹の鋏や虎の皮膚、そのような『獣の特徴』を持ちながら猟兵で言う『巨人』に類するような存在達が、多数の武器や防具の工房を行ったり来たりする。資材を運ぶものもいれば鉄を打つ音が聞こえたりもする。巨人たちの声が止むことはなく、喧騒と共に陽光が差し込む。
そう、ここはかつての地底都市の上に建った工房街。
ようこそ、骸殻荒野改め――骸殻工房ガルシェンへ。
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「来てくれてありがとう。じゃあ早速説明を始めるね」
水島・可奈はホワイトボードに手元の資料を貼りながら説明を始めた。
「予兆でみんな見えたと思うけど、11の怪物の1体である『バシュム』が降臨している。こいつを放置すると、毒を吐かれてこの世界は終焉を迎える。早速退治しに行きたいところだけど……」
そこで可奈は首を横に振った。
「バシュムは相当な強い毒を持っていると予測される。勿論毒なんて大丈夫という方もいるだろうけど、全てがそうとは限らない……そこで今回、ちょっとある場所に協力を求めてみようと思う」
可奈が地図の上で指さしたのはシャルムーン……から指を滑らせ、クレーターのようなものがある場所。
「ここ。ここに、巨人達がやっている工房街がある。骸殻荒野ガルシェン……と聞けばわかる人もいるんじゃないかな。尤も、今は骸殻工房と二つ名変えてるけど」
ここの巨人達は腕がいいことで知られている。そこでこの工房街の巨人達に『バシュムの毒液に対抗できそうな装備』を開発してもらい、後々に活かそうという話だ。
「……今私達組織だけで行けばいいじゃんと思ったでしょ。痛いな、耳が痛い。ただ、懸念が2つあって」
1つは、彼らが『巨人』であるということ。恐らくは身長8メートルの巨人向けの武装しか作ったことがないから猟兵サイズなんて、ということ。
そしてもう1つ。
「こういう武装って、オーダーメイドが必要な場合もあるだろうし、なんなら使う武装は自分で一度見てみたいじゃん?」
猟兵はサイズもあれど在り方、戦い方十人十色。それは武装もそれに合わせる必要性も示唆していた。
「バシュムを倒すために武装の開発はどうしても避けられないと思う。
相手にも気を遣うある意味難しい話になると思うけど、頼んだよ」
そして世界の瞳――ではなくグリモアの扉は開かれた。
結衣謙太郎
骸殻工房ガルシェンへようこそ。
結衣(戦争モード)です。
開いたらバシュム書く予定ですがその準備段階の話。
以下詳細。
●メイン目標
自分にぴったりの『対毒武装』を開発する。
特別プレイングボーナスも兼ねております。
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンドブレイカーの戦い」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
今回は日常会というか準備編になります。
皆さんにピッタリの対毒武装を考え、巨人達にオーダーしてみてください。
オーダーメイドでも汎用ものでも構いません。ただし巨人達は主にサイズ面で作る際の問題を抱えている(巨人向けしか作ったことない)ので、そこは忘れないように。
このシナリオで作った装備は後々結衣のバシュム戦シナリオで有効になる可能性、あるいは使える可能性があります。
勿論設定強化としての使用も自由です。
●往時を知る方へ補足
嘗て地底都市だった頃はシャルムーンと『薔薇の痕』間の地底に存在し、隠された出入口からのみ出入りが可能でしたが、本シナリオは地上部メインで進行するのでこれを気にする必要はありません。軽率に行けます。
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
以上、プレイングお待ちしております。
素晴らしいアイデア、お待ちしています!
第1章 日常
『巨人の武器工房』
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POW : 巨人と一緒に鎚を振るい、武装を自作する
SPD : 武装を試し振りし、使い心地を確かめて調整する
WIZ : 職人と話し合い、武装の設計を考える
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瑞波羅・璃音
対毒武装…そう。あたしにも必要なものね。
なんてったって、『そういう役目』もできるのが『お助けNPC』だから!
※原作的に、『浄化能力』持ってました。
あたしが装備できたのは…今のものの他に『鎖』があって。
その鎖をお願いしようかと。
こう、参考になる現物がないから…紙に、『鎖を構成する環の一つは、この大きさ』ってのを描いて持っていくわね。
だいたい、あたしの中指くらいの長さの環なんだけれど。
長さは…あたしの身長の1.5倍くらいかしら。
ああ、少し長く…あたしの身長の3倍くらいになっても大丈夫だから。
これを扱うのも、修練のうちだからね。
「へい!」
「ほい!」
巨人達の工房、今まさに赤く染まった鉄が打たれている所に現れた瑞波羅・璃音(元離反NPC・f40304)。
「ここが工房だと聞いたけど……」
見渡してみれば確かにそこは防具を始めとして武装が大量にある、まさしく武装工房ともいえるところだった。
……それが、全部巨大なことを除けば、だが。
あまりにも自分には大きいだろうそれらを怪訝そうに見渡していると、一人の巨人が気づいたように声をかける。
「おう、おめぇが猟兵ってやぁつか。なるほどちっこいなぁ」
まるでペットでも見るかのように上から下まで見渡す白髭で左手が蟹の鋏の巨人に璃音はむっとした顔をするが、それを気にもせず頷く巨人。
「なぁるほどなぁ、これは……苦労しそうだべ。あっ、ちょっと向こうに座るべ。煩くてごめんな」
巨人に案内され壁から出た突起物に案内される璃音。突起物ではあるが巨人サイズなだけに、璃音のサイズであれば普通に椅子代わりにもなった。
「おでは白髭腕鋏。一応この工房の案内人だべ」
巨人達は絶対数が少ないため極めて単純な命名規則をしている。これも白髭で蟹の鋏の腕をしているからという理由だ。
「んで? おめぇはどんなのを好む?」
「あ、えーと」
巨人に詰め寄られて多少冷や汗をかきながらも璃音は切り出す。
「あたし、今の装備の他に『鎖』を装備出来て……その鎖をお願いしようかと」
「鎖ぃ? 武器かぁ? となると黒髭腕槌の出番か。おーい!」
白髭腕鋏が声をかけると黒髭の巨人がドスンドスンとやってくる。
「こう、参考になる現物がないから……ちょっと紙に『鎖を構成する環の一つは、この大きさ』ってのを描いてみたんだけど」
璃音の持った紙を巨人達が受け取り目を凝らす。巨人にしてみれば璃音の普段使う紙なんて付箋サイズくらいでしかない。
「だいたい、あたしの中指くらいの長さの環なんだけれど」
「ちっちぇなぁ……長さはどんくらいだべ」
「長さは……あたしの身長の1.5倍くらいかしら」
「2.5m弱だべか?」
黒髭腕槌が白髭腕鋏を見てる。寸法の目安をつける為だろうか。
「ああ、少し長く……あたしの身長の3倍くらいになっても大丈夫だから。これを扱うのも、修練のうちだからね」
「ほう、修練。それはいいことだなぁ」
にぃ、と黒髭腕槌が笑みを浮かべる。んー、5m弱だべか? んだな、それならまぁ、小さめに見繕えばなんとななるか、と頷き合う。あとは鎖の輪だが……
「ちいっといいか?」
白髭腕鋏がいきなり璃音の腕を引っ張った。巨人のパワーなんて凄まじいものをいきなり受けた璃音が悲鳴を挙げそうになる中、黒髭腕槌がすぐに何やら粘土のようなものに璃音の中指を突っ込ませ、抜く。
「うーん、こんなサイズだべか……あっお嬢さん、いきなりごめんな」
「い、いいけど……」
軽く身の危険を感じたのは内緒だ。解放されて再び突起物に座る璃音の近くで怪訝そうな顔をする巨人達。
「輪の数結構多くなりそうだべな……」
「まぁ武器の鎖ってそういうもんだ、やってみるしかないなぁ」
黒髭腕槌が粘土を大事そうに持ちながら奥へと引っ込んでいく。一息ついた璃音の傍に白髭腕鋏が腰かけた。
「なぁお嬢さん、なんでこんな所尋ねたべ」
「え? バシュムの話、聞いてない?」
「バシュム……あぁ、聞いたことあるようなないようなぁ……」
「あいつが凄い毒を持つらしいからそれに耐える武装がいると思ってね。なんたって」
璃音はすくっと立ち上がると左腕を胸へやる。
「『そういう役目』もできるのが『お助けNPC』だから!」
「あ、すまん、粘土ついたままだったな」
「えぇ……」
かっこよく決めたつもりだったが白髭腕鋏が中指の粘土を取りに手に触れたせいで台無しになった。これには璃音もタジタジである。
「んで、『えぬぴーしー』ってなんだべ?」
「……私は何の因果か、ゲームのキャラが異世界召喚された存在なのよ」
そこから璃音は自分について語りだした。家が没落したこと、燐に拾われたこと……そしてそれが設定な事……悪女の側近だったと分かった以上、異世界召喚されたここではお助けする存在として働きたいこと……本心なのか演技なのかわからないそれを白髭腕鋏は頷きながら聞いていた。
「おめぇさんも苦労したんだべな……」
白髭腕鋏が自分も回想に入ろうとしたところに黒髭腕槌がやってくる。
「そら、できたべ。持ってみ」
黒髭腕槌が差し出したのはまさしく5mくらいの鎖。手に持てばずっしりとした重みがある。
「……さすがに重いわね。でも、これがあればきっと勝てるはず……!」
「おめぇ、この鎖でどう毒対策入れたんだ?」
「こいつの腕触った時浄化の力っぽいの感じたんでな、浄化のエンチャントを入れてみた」
「あっそれでなのねなんか神聖な感じがするの」
ぎこちなく鎖を扱う璃音だが、どこか懐かしみを感じた。というのも。
(私、原作では浄化能力持ってたのよね……)
まるで昔取った杵柄のように、体に力が蘇りそうな感じがした。
「ありがとう。これで絶対討ち取ってみせるわ」
「おう、頑張れよ、んで――」
巨人たちの目は突起物に腰かけた次の客へ。
「次はおめぇさんか?」
大成功
🔵🔵🔵
アイン・セラフィナイト
んー……なるほど。巨人専用の武装しか作ったことがないんだ。
それじゃあ魔術的な機構を作ってもらって、魔法を使用できるようにしてもらったら僕でも使えるかな?
【天壌の綴り手】を発動して、四大精霊の魔力を秘めた武装製造の手助けを行うよ。
炎や風、水、そして魔力で製造の補助を行おう。
武装の形?それはもちろん、『巨大な本棚』の形にしてもらおう!
自分の魔力で自在に動かせるような超巨大本棚!
毒の血清を作成する機構は巨人達に開発してもらって、本棚の中には毒解析用の魔導書を僕がすっごく沢山編纂して詰め込むよ。
えーと、つまり毒解析に特化した一種の魔法のスーパーコンピュータみたいな感じかな。
「あっ、はい、アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)と言います、よろしくお願いします」
ぺこりと挨拶をする大人びた精霊術士。
「あの、じゃあ、魔術的な機構を作ってもらって、魔法を使用できるようにしてもらえないでしょうか?」
「魔術かぁ……赤髪腕鋏の出番だべな。おーい!」
白髭腕鋏が呼びかければ同じく腕が鋏となった赤髪の巨人がやってくる。この巨人が魔術系に通じるようだ。
「おう、んで、どんなのにするべ」
「そりゃあ勿論、巨大な本棚! 自分の魔力で自在に動かせるような超巨大本棚!」
「巨大? おう、じゃあおで達用のサイズでも全然問題ねぇか?」
「もちろん! 毒の血清を作成する機構だけあれば!」
「ふむふむ、しかし本棚なら本がいるだべなぁ」
「それは僕が編纂して詰め込むので大丈夫です!」
「……なぁ、ほんとに大丈夫だべか? おで達のサイズだと、本とかサイズにもよるがすごく多くなるべ?」
巨人サイズの巨大な本棚となれば、猟兵サイズの本なんか幾らでも入りそうだ。
「大丈夫です! 毒解析用の魔導書を僕がすっごく沢山編纂して詰め込むので。
えーと、つまり毒解析に特化した一種の魔法のスーパーコンピュータみたいな感じかな」
「すーぱーこんぴゅーたー?」
「……えーと、要するにそれを元にこれならばこうって臨機応変に導き出せる魔術みたいな奴です」
少し説明に困るところがあったが、とりあえず必要なことは聞けたので赤髪腕鋏が作業に移る。首傾げながら。
暫くして、耐えられなくなったのか。
「……ちょっと手助けしようかな」
赤髪腕鋏の方へ四大精霊の魔力を飛ばし、魔力操作で手助けしようとする。
「うぉう!? なんだこれは!?」
当然本人は自分の感じでやろうと思っているのだから大慌て。
「おい、ちょっと……」
「ああ、待て待て白髭腕鋏!」
白髭腕鋏が思わずつかみかかろうとするのを赤髪腕鋏が腕を出して静止する。
「魔力や魔術のサンプルってとこだべなこれは?」
こくこくと頷くアイン。魔術の形は十人十色、それを知らない彼ではなかった。
(とはいえ、少し悪いことしたかな)
白髭腕鋏がため息をつくのを見ながら完成するまで大人しく本棚に入れる毒解析用の魔導書の編纂に取り掛かった。これなら邪魔しないだろうと信じて。
なお完成自体は
いつものサイズなのと魔力、魔術サンプル提供の甲斐あって恙なく終わったとか。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
対毒装備……そうね、大事だわ。
一応その気になれば毒くらい筋肉でどうとでもなるけれど、そこにリソースを割かなくても良いとなると、戦い方の幅も広がるものね。
装備は「マント」を所望するわ
全身を包み込んでの防護、口元に当ててマスクの代わり、殴る時に握り込んで直接接触防止等、色々と活用できるのが強み
それにマントなら私以外の猟兵も容易に活用できる筈だし、ある程度は量産しても役に立つんじゃないかしら
私を基準に作るなら、やや大きめで作る方が良さそうね(平均よりかなり小柄なので)
一応の見本として、一般的な仕立のマントを何枚か持ち込んで、作るときの参考にしてもらうわ
「私は装備は『マント』を所望するわ」
次にオーダーしたのは荒谷・つかさ(
逸鬼闘閃・f02032)。
「全身を包み込んでの防護、口元に当ててマスクの代わり、殴る時に握り込んで直接接触防止等、色々と活用できるのが強みだし、マントなら私以外の猟兵も容易に活用できる筈。ある程度は量産しても役に立つんじゃないかしら?」
「ほうほう、おめぇさんはよくお分かりだなぁ」
白髭腕鋏がにぃっと微笑む。ようやくの防具オーダーという事で聞いてみれば成程使い方をよくわかっている。使い方をわかったり編み出したりするような存在はそれを作る側にとってみれば神様のような存在なのだ。クリエイターにとっては自分の作品が活躍することほど至上の物はないのだから。
「大きさだけど、私を基準に作るなら、やや大きめで作る方が良さそうね。平均よりかなり小柄なのよ、私」
「ほーう? それにしてはおで達とそうそう変わらない力を感じるが?」
「……流石、あなたも感じるのね。この筋肉の力を」
あっ、つかさが筋肉語りモードに。
「筋肉があれば何でもできる。正直その気になれば毒くらい筋肉でどうとでもなる。けれど、そこにリソースを割かなくても良いとなると、戦い方の幅も広がる。筋肉も別の場所に活かせる。そういうわけで訪ねたわけよ」
あっ、ちゃんと路線変更した、というか上手いな。白髭腕鋏もうんうん、と頷いている。
「一応の見本として、私達の間で使っている一般的な仕立のマントを何枚か持ち込んでみたけど、参考になるかしら?」
「おうおう、大歓迎だべ! 実際に使われているものを見ればそれを見ながらできるからなぁ! それにサイズもこれならわかりやすいというものよ!」
間違いない。この巨人達は自分たち向けサイズしか作ったことがないのが問題だった。
しかし、ことつかさのオーダーはドンピシャなものだった。
猟兵達が普段使うマントを持ち込みサイズ感と普段のはどういうものかを伝える。それがどういう使い方をできるかを把握し、それをわかっているのを伝えたうえで今回のオーダーの理由として伝える。加えて、自分の装備として重要な点を挙げ、さらにその上で自分がいる理由にする。そして極めつけに汎用性ある装備として頼む。
まさに、自前で毒対策機構を持たないので猟兵達の使い方の工夫に寄ってしまうということ以外、完璧なオーダーだった。
数刻して白髭腕鋏が大量のマントを持ってきた。
「そぉら、できたべ! おめぇさんのはこれだ! あとはサンプルな!」
つかさが試しにマントを羽織る。普段の巫女服系和服とはまた違う感じに思わず笑みがこぼれそうになる。
試しに手を包んで殴る振りをしてみたり全身や口に巻くように当ててみる。サイズも問題ないようだ。
「完璧ね」
「おう、こっちもいい仕事できたしいい勉強になった! ありがとよ!」
シェイクハンドするつかさと白髭腕鋏。勿論白髭腕鋏はしっかり五本指のある方の手である。
(いい筋肉してるわね)
(いい筋肉してるだべな)
筋肉使い同士はひかれあう。
大成功
🔵🔵🔵
アイリス・ゴールド
武器職人より人形職人のがむいてるんじゃね?巨人が人形作ればちょうど人間サイズだろうし。アクションフィギア作ろうぜアクションフィギア。
閑話休題
ボク向けの武器なら巨人サイズでいいぞ。巨人用の
フルプレートアーマーがあればそのまま人形遣いの技で扱えるからな。
それにしても毒液か、予兆を見る限り腐敗、腐食系の毒か?そこまで強力な毒だとやっぱ術式仕込むのが安パイだよなー、ようし、精霊建築士も呼んできてもっと巨大な
フルプレートアーマーにしちまおうぜ。
……やりすぎた。精霊建築士呼んだあたりからみんな悪ノリして都市国家として居住できそうな程に巨大化したぜ。でかすぎぃ!
これで終わればいい話だったんだけど、客はもう一人いた。
「武器職人より人形職人のがむいてるんじゃね? 巨人が人形作ればちょうど人間サイズだろうし。アクションフィギア作ろうぜアクションフィギア」
突起物に腰かけて足をぷーらぷーらさせるアイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔(リトルデビル)・f05172)。
「
閑話休題」
ぴょん、と飛び降りるアイリス。危うく錯視が乱れかけて巨乳がだぷんしそうだったがそこはさすがプロの技すぐに戻り。
「ボクも武器が欲しいな。黒髭腕槌を呼んでくれる?」
「おう、どうしたか。どんなのが好みだ嬢ちゃん」
黒髭腕槌がさっそくアイリスに近づく。すごいサイズ差だ。
「
フルプレートアーマー。巨人サイズでいいぞ。巨人用のがあればそのまま人形遣いの技で扱えるからな」
つまりアイリスは
巨人サイズの全身鎧を作ってもらい、それを人形遣いとして使う人形とすることで武器となそうとする算段だ。黒髭腕槌がなぁるほどなぁ、と頷きながら
白髭腕鋏を呼ぶ。
「全身鎧だと
今までのよりはかなり時間かかりそうだなぁ」
「構わないぞ、もう少し時間かかりそうだからなヤツに攻め込むまで」
実際バシュムのもとに攻め込むにはまだ拒絶の壁が邪魔している。時間はまだまだあった。
「それにしても毒液か、予兆を見る限り腐敗、腐食系の毒か? そこまで強力な毒だとやっぱ術式仕込むのが安パイだよなー」
「予兆がなにかはしらねぇが、腐食とかの類なら確かに材質を高めるよりは術式による防御が一番かもなぁ」
この点は白髭腕鋏も同意。じゃあエンチャント入れるか、と白髭腕鋏が切り出そうとしたその時。
「ようし、星霊建築士も呼んできてもっと巨大な
フルプレートアーマーにしちまおうぜ」
「は?」
白髭腕鋏が目を点にした。
「大きければ多少腐食しても問題ない。星霊建築の力も合わせればさらに術も使える。それに大きいものばかり作ってきたんならノウハウあるんじゃないか?」
白髭腕鋏達どころか工房中の皆が顔を見合わせた。
●数日後
「……やりすぎた」
アイリスが巨人用全身鎧を脇に携えながら、出来上がったそのロボット――否、全身鎧――否、それはもはや!
「星霊建築士呼んだあたりからみんな悪ノリして……都市国家として居住できそうな程に巨大化したぜ……」
そう、最早これは都市国家じゃないか? ってくらいに巨大なロボットだった!
「でかすぎぃ! これボクに扱えるか……?」
「なぁに、おめぇさんが始めた物語だろう」
白髭腕鋏をはじめ悪乗りした皆がアイリスによるそれを待っていた。責任とれとでも言うかのように。
「まぁ仕方ないか。よっ……うおっ……」
対毒都市国家が、アイリスの人形遣いの技により、動き出す。その様に皆おおっ、と声を上げた。それはズシン、ズシン、と試験歩行をし、皆を喜ばせた。アイリスは疲れた。
「ところでおめぇさん、これ名前どうするべ」
「え……? あぁ、そうだな……」
アイリスはしばし悩んでから、切り出す。
「『対毒巨神アンチバシュム』……かなぁ」
成功
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