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エンドブレイカーの戦い⑧~Shall We Dance

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #霊峰天舞アマツカグラ #参加ありがとうございました!



 巨大な二本の天津太刀を頂く『霊峰アマツ』。
 そしてその『アマツ』を中心にして裾野に広がる都市国家。独自文化を持つこの国は今、混乱の中にあった。
 万能宝石『エリクシル』がその力をもって蘇らせた多数のモンスター達が押し寄せてきていたのである。

 少数ならばいざしらず、大挙して襲来する敵の軍勢に対抗し、街を守る術はひとつしかなかった。
 それはこの地を護る『火那山津見神』に儀式を捧げ、その力を借りて結界を張り巡らせることだ。
 すでにこの国の神楽巫女たちは檜舞台の上で奉納の舞を舞い、儀式を始めている。ただ、このままでは護ることはできても、撃退するまでには至らない。
 もっと強い祈りと舞を――。
 神楽巫女たちは自らの全身全霊をかけて、舞い続けるのだった。


「と、言う感じでね!」
 理緒が神楽舞の様子が写しだされたモニターをぺしぺし叩きながらぐぐっと身を乗り出す。
「巫女さ……都市国家のピンチなんだよ!」
 本音が駄々漏れるのはどうかと思うが、このままではいつかは神楽巫女たちも限界を迎え、都市国家の中にモンスター達がなだれ込むだろうことも疑いない。
「だからみんなにも現地に行って、舞を奉納してほしいんだ」
 ダンスが苦手という人もいるかもしれないけど、そこは安心してほしい、と理緒は言う。
「これは『儀式』の舞だからね。もちろん正式な手順とかもあるけど、それよりは気持ち!」
 街を、そこに住む人を護ろうという気持ちが『火那山津見神』にいちばん響く。
「だから、上手とか下手とかはあまり気にしないでだいじょぶだよ」
 もちろん舞の種類も問わない。舞踊でもダンスでも、なんなら歌いながらだっていい。『舞』とは言っているが、心からのパフォーマンスで構わないのだ。
 自分がいちばん想いを込められる『舞』を捧げればいい。そうすれば届いた思いが炎となって、敵を撃退してくれる。
「ということで! ほんとはわたしも行きたいところなんだけど、予知しちゃったから、ねー」
 みんな、わたしの分までよろしくお願いします。
 理緒はそう言って、タブレットを操作し、ゲートを開いた。


すい

 お越し頂きありがとうございます。すいと申します。
 今回のシナリオは、1章完結の「戦争シナリオ」になります。

 街と街の人たちを護る気持ちさえあれば、パフォーマンスの種類は問いません。
 神楽巫女さんのお手伝いをして、みなさまの魂の叫びで敵を撃退してくださいませ。

 プレイングボーナスは『神に捧げる舞または演武を披露し、神火の結界を強化する』です。
 プレイングの受付は、タグにてお知らせいたしますので見て頂けますと嬉しいです。
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第1章 冒険 『天津大神楽』

POW   :    武器を振るい、力強い演武を見せる

SPD   :    高度な技を織り交ぜて舞い踊る

WIZ   :    祈りを込めてたおやかに舞う

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
そういうことでしたら、やってみましょうかぁ。

まずは『女神様にお仕えする者』として現地の巫女の方に御挨拶、『正式な手順』を尋ね、可能な限り守るようにしますねぇ。
可能であれば服装も合わせたい気もするのですが、着られるサイズが有るか、という問題が(遠い目)。

【豊饒宿霊】により[パフォーマンス]を指定し強化、『霊刀』による剣舞をお見せしましょう。
都市の外に現れた魔物を切裂くかの様に、実戦さながらの迫力を重視しますねぇ。
私のお仕えする『女神様』とは異なる神様では有りますが、それ故に『名代としての礼を意識』し、『守り神』への敬意を併せ、一種のトランス状態に入り一心不乱の[祈り]を。




 しゃりん。
 神楽鈴の名残音とともに神楽巫女たちの汗が櫓に落ちる。
『火那山津見神』の儀式結界。抗魔の壁の光に陰りは見えなかったが、いまだ破魔の炎を得られるほどの舞を奉納できていない。このまま舞を捧げ続けていても、これではいつか限界がきてしまう。

 猟兵たちが姿を見せたのは、儀式を取り仕切っていた宮司の頭にそんな思いがよぎり始めたときだった。
 心強い援軍の来訪に宮司の神楽巫女たちの表情が安心したように柔らかく崩れる。これならば――。


「そういうことでしたら、お力にならせていただきたいとますぅ」
 信仰する神は違えど、同じく『神に仕えるもの』として、その立場や思いはよく解る。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、宮司と神楽巫女に挨拶をしてそう申し出ると、この儀式の正式な手順を尋ねた。
「難しいことはありません。『火那山津見神』さまに祈りを捧げ、それから『舞』をお願いします」
 宮司が微笑んでるこるに返す。時間をかけて準備した正式な儀式ならば複雑な手順もあるのかもしれないが、今回に限っては緊急なこともあり全てが略式扱いだ。時間のかかる複雑な手順は省いてしまっている。
「あと装束なのですが、なんといいましょうか。その、わたくしどもの衣装では……」
 こぼれてしまう。そう言いかけて、宮司は少し視線を逸らして言葉を濁した。


 櫓舞台の中央にるこるが目を閉じて佇む。
 さわ、と流れた風が開演の合図。るこるは瞳を銀黒に輝かせると、まずは自らの神、豊乳女神チチガミサマに祈りを捧げ、次いで『火那山津見神』に奉納の礼をすると、両手で白鞘を捧げるように掲げ、そのまま右手ですらりと抜き放った。

 自らが仕える神豊乳女神の名代として、この地の神火那山津見神に最大の敬意と礼を。
 剣の舞を祈りに変えてるこるが舞う。流れるような動きで切っ先が円を描き、袈裟に流れて、純夢天が空を斬る。
 櫓舞台はいつしか静寂に包まれていた。最初は軽く響いていたるこるの足音も、いまはもう聞こえない。
 光なく、それでいて透き通っていくるこるの瞳。
 意識の全てを神の意思に委ね、その剣の描く軌跡は壁の外の魔物たちを斬り裂くかの如く流麗にして苛烈さを増していった。
 数刻の舞の後、ふわりとるこるが跳んだ。宙で右手上段に構えられた剣が袈裟に振るわれ、白鞘に納められる。
 しゃりん。
 神楽鈴とはまたちがう――けれど同じくらいに静謐な――その音に、結界が大きく光り輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「みんなで踊ってアゲてけってことっすよね。なら、任せるっすよ〜」
そんな感じでエントリーする狐のお面。忍者のアビリティ【神火分霊撃】でたくさんの神楽巫女姿の炎の分身を生み出し、舞に参加っす

「さあ、派手に行くっすよ!」
薙刀の両端に火【属性攻撃】で炎を灯し、ファイヤーダンスのように踊る。神楽とは違う、ダイナミックなパフォーマンスでみんなの目を引くっすよ
この世界の人々の笑顔を想ってひたすらに、楽しく舞う。炎の分身ではあるが、舞台などに延焼はしないように配慮
「この世界は思い入れがあるんでね。絶対、侵攻させたりはしないっすよ」

今回の舞が結界の足しになってくれると嬉しいっすね〜




「みんなで踊ってアゲてけってことっすよね。なら、任せるっすよ〜」
 次に舞台に出てきたのは、狐のお面をつけた小柄な神楽巫女だった。宮司が不思議に思い止めに入ろうとするが、
「自分、リカルドっす!」
 神楽巫女は狐のお面――リカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)――を親指で指差しながら、そう名乗った。
「……そうなのですね」
 宮司は狐のお面と目を合わせると、合点がいったように頷いて、その場をリカルドに譲る。
 櫓舞台の中央に歩み出たリカルドの瞳がオレンジに輝くと、周囲に生まれた炎が神楽巫女の姿をとり、櫓舞台を埋め尽くしていく。その手には薙刀が握られていた。

「さあ、派手に行くっすよ!」
  だん!
 センターを務める狐面の神楽巫女が気合いと共に足を踏みならすと、薙刀の両端に炎が灯った。そして足音がそのままリズムを刻む。
 だんだだん。だんだだん。
 リズムに合わせて炎を纏った薙刀が振るわれていく。
 最初はゆったりとしていたテンポがいつのまにか熱く激しく。踊りもそれに合わせて熱量を増していく。
 大きく横に振るわれた刃を、となりの巫女が飛びながら躱す。かと思えば、空中高く投げ上げられ、真っ赤な軌跡を描きながら落ちてくる薙刀の柄を、ジャンプしながら捕まえた。
 そして全員が高速で薙刀を回して作り上げた、密集した炎の輪の間を、狐面の神楽巫女が華麗なステップとターンで走り抜ける。
 ひとつのミスが隣の巫女を焼いてしまいそうな中での一糸乱れぬ演舞に、観客は息を飲みつつ、笑顔で手拍子と拍手を送り、それを讃えた。

 短時間だが櫓全体が燃え上がったような激しいパフォーマンスが一段落すると、両端で燃えていた薙刀の炎が、片側だけになった。
 足音のビートが止まり、静寂を取り戻した舞台に観客もその手を休め舞台上を見守る。
 ゆらりと刃先の描く炎の軌跡が鬼火のように揺蕩った。その中央でリカルドは両手に薙刀を持つと、それまでとは打って変わったしなやかで優雅な舞で櫓舞台を支配する。
 流れるような軌跡の美しさに、観客からため息が漏れた。
 リカルドが薙刀を振るう度に櫓舞台を埋め尽くしていた神楽巫女が炎に戻り消えていく。波が引いていくように外側から順に、少しずつ消えていって最後にリカルドの薙刀の炎が消えると、舞台は暗転したように見えた。
 一瞬の暗闇。そして、それを打ち消したのは結界の光。
 再び光に包まれたとき、櫓舞台にリカルドの姿はもうなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黄・威龍
●SPD

確かに儀式ともなれば、やれ仕来り通りやら正式な手順はお決まりなんだが…随分と気前が良い神様じゃねぇか
舞の種類も問わない、舞踊でもダンスでも何でもござれと言われれば迷うもんだが…得意な物となれば吟詠の剣舞か?

去國三巴遠国を去りて三巴遠し
登樓萬里春楼に登れば万里春なり
傷心江上客心を傷ましむ江上の客
不是故郷人是れ故郷の人ならず

どんなに美しい春景色でもそれは他郷であり、自分の故郷ではない
望郷の念を綴った詩だが、ここに居りゃ俺も同じもんだ
宿星剣『北斗』による『粛清天剣戟』で多少動きをもたせりゃ、ここの神様も喜ぶだろうさ
まぁ、主役はあっちの神楽巫女さんだからひっそりとだがな




(随分と気前が良い神様じゃねぇか)
 儀式というものは基本的にめんどうくさいものだ。しきたりや手順に決まりや意味があり、そのとおりに行わなければ効果が薄れる、ヘタをすれば意味すらなくなるようなものまであるというのに、その辺はすべて無視してもいいという。
 しかも奉納する舞さえ、どんなものでも構わないというのだ。
(でも嫌いじゃねぇな)
 なんでもかんでも杓子定規よりは好感が持てるし、やはり要は気持ちだ。そこがなければしきたりや手順が正しくても何の意味もない。
 黄・威龍(遊侠江湖・f32683)はすこし楽しそうに笑うと、櫓舞台へと進み出た。


(得意な物となれば吟詠の剣舞か)
 威龍が宝珠を取り出し名を呟くと、珠は星辰の輝き放ちながらその形を水晶の剣へと変化させた。握りを確かめ、剣を垂直に上げると、刃面を顔の中央に向けて捧げた。頭身に浮かび上がった北斗の七つ星が輝く。
 威龍は剣を降ろし、瞳を輝かせると舞台を蹴って中央へと跳んだ。
 一瞬の静寂。

去國三巴遠国を去りて三巴遠し
 威龍の唇から朗々とした歌声が紡がれた。それと同時に剣が大きく振るわれ弧を描く。決して速い動きではなかったが、それは隙がなく、観るものを惹きつける優雅さを持っていた。

登樓萬里春楼に登れば万里春なり
 唄声の響きに乗り高く舞い上がった威龍が身体を捻りながら、周囲を見渡すようにくるりと回る。

傷心江上客心を傷ましむ江上の客
 身体の動きにわずか遅れるように振られた剣が風を切って音を立て、響いた音が観ている者の心を打つ。

不是故郷人是れ故郷の人ならず
 ふたたび櫓の上に降り立った威龍は、納刀の構えの後に剣を宝珠に戻して深く一礼を捧げた。
 見事な朗吟と、それに合わせた剣舞に観ていた者たちから拍手が沸き起こる。

『どんなに美しい春景色でもそれは他郷であり、自分の故郷ではない』
 この詩は望郷の念を綴った詩だ。自分もこの地においてそういう存在だと思う。
 そして今回この侵略を許してしまえば、この地の人たちは故郷を失い、どこかできっと同じ思いをしてしまうことになるだろう。

 北斗は人の生死と運命を司る。
 その力が宿った剣で納めた舞だ。この力をもって切り拓いた未来ならば、そんなことになるはずはない――。
(御利益も気前良く頼むぜ、神さま)
 威龍は心の中でそう呟くと、見ていた者たちにもう一度礼をして櫓を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高柳・源三郎
こんなおっさんが舞を奉納するのはどうかのう?と言う気持ちで参加します。
たぬき人形のはなに巫女舞を待って貰い、源三郎はユーベルコード「源三郎の表の顔」を使い演芸系技能を強化して、たぬき人形のたろうと一緒に演奏の方を担当し舞を奉納します。




 高柳・源三郎(幕府に目をつけられた旅芸人呑んだくれ野郎・f15710)は、袖から櫓舞台を見て少し悩んでいた。
(こんなおっさんが『舞』の奉納をするのはどうかのう?)
 自分は旅芸人である。踊りや楽器などの経験はもちろんあるが、剣舞や神楽舞などというものとはほど遠いものだからだ。
 しかし目の前に困っている人たちがいる。笑顔になれていない人たちがいる。そしてここに来る前グリモア猟兵は『舞の種類は問わない』『心からのパフォーマンスならば構わない』と言っていた。
 それならば自分の『芸』で少しでも多くの人を笑顔に導くのが旅芸人というものではないだろうか。源三郎はそう自分に言い聞かせると、覚悟を決め、櫓舞台へと歩みを進めた。


「我ら高柳一座、『火那山津見神』さまに芸を一席」
 源三郎が観客に向けて深々と礼をすると、左右に立っていた2体の狸の人形――たろうとはなも、少し遅れてぺこりと頭を下げる。
 その愛らしさを見た観客からは拍手が起こった。
 源三郎とはその拍手を受け止め、静まるのを待つと、瞳を輝かせながら、ぽん、と手を打った。
 観客の注意が狸たちから一瞬逸れたその瞬間に、たろうは鼓を構えた裃姿、はなは扇を携えて巫女装束へとその衣装を着替えていた。
 狸の早着替えに観客からまた拍手が起こる。
 そんな2体を前にして源三郎は杯に酒を注ぐと神前に供え、自分は三味線を構えるとあいびき椅子に腰を下ろすと、三線をかき鳴らした。
 軽快に空気を震わせて響く三味に、たろうの鼓がさらに軽妙さを添え、その音に乗ったはなが扇を振るって舞う。
 明るく楽しい神楽舞に観客からも手拍子が起こり、その表情は笑顔で溢れていく。

 そうこれだ。これこそ旅芸人の神楽。そしてこの笑顔こそ、源三郎が『火那山津見神』に奉納したかったもの。
 舞が終わり大きな拍手に包まれながら、源三郎は供えた杯の酒を、ぐい、と飲み干すと、新たな一杯を神に捧げてもう一度深々と礼をした

大成功 🔵​🔵​🔵​

虹川・朝霞
指定ユベコは判定用。

なるほど、奉納舞ですね!知ってます!
心を込めて踊る…そして、それが神に届いて加護をもたらす…。
わかりました、俺もやりますね!
守りたいのは、俺だって同じですから!

舞台は傷つけたくないので、鉄下駄は脱ぎまして。持ってきた普通の草履に履き替えました。
さて、俺がやるのは紫雲刀を使ったもの。蛇腹刀ですから、伸ばせば見ごたえあると思うんです。

そうして、舞う。腕のフリに合わせて動く蛇腹刀と、袖。
たまに蹴りのような動きの入る足とか。

エリクシルの軍団は、悪辣です。歪んで叶えるなど、絶対にあってはならない。
この世界の者たちを、そのような者等の餌食にさせてはいけない。
だからこそ、俺は舞う。




「なるほど、奉納舞ですね! 知ってます!」
 知っているというか、昔は捧げられる側だったあった虹川・朝霞(梅のくゆり・f30992)は力強く頷いた。
 心を込めた踊りが神に届いて、加護をもたらす。
 自分のときもそうだった。上手下手は重要ではないのだ。もちろん上手な舞は見ていて気持ちのいいものだが、それよりも大事なのは心。
 大人の形だけ洗練された舞よりも、子供の拙いながらも心よりの舞のほうが響くのである。
「わかりました、俺もやりますね」
 そのことをよくわかっている朝霞は、そう言って紫雲刀を手にすると櫓舞台に立つ。皆を守りたい。そう思う気持ちは、朝霞にとって今も昔変わらないものだから――。


 舞台の袖に鉄下駄を並べ草履に履き替えた朝霞が、一礼の後、舞台中央で片膝を着き目を閉じて、居合いの姿勢をとった。呼吸を整え、体内で想いと気を練る。
 エリクシルの軍団は悪辣だ。願いを聞いておいて故意に歪んで叶えるなど、絶対にあってはならないことだ。そしてこの世界の者たちを、そのような者等の餌食にさせてはいけない。
 だからこそ、俺は舞う――。

 開眼した瞳が金に輝き、練り上げた気とともに紫雲刀が振り抜かれた。
 1本の刀身であった剣の刃が数多に別れ、ワイヤーで繋がれた刀身が、大きく振られた腕の動きに合わせて、大きく伸び、自在に空を舞う。
 足が流れるように舞台を滑り、朝霞は音もなく舞台を駆けた。風に翻る袖が優雅にひらめき舞い踊る。
 大きく振り上げられ、滑らかにしなる腕に操られた紫雲刀はいつしか刀身に雷を纏い、左右に大きく宙を裂いたかと思うと、螺旋を描き放電の燦めきを残しながら雷龍のように駆け巡る。
 そして再び一本の刀身に戻った紫雲刀を逆手に構え、正拳からの前蹴り。そこから身体を捻り、逆袈裟に切り上げた刀身がまた大きく空を斬り、残心の構えと共に剣へと戻る。
 流れるような演舞が櫓舞台を支配した。

 結界の外の怪物たちを、拳が穿ち、蹴りが砕き、剣が切り刻み、吹き飛ばしていく。観客たちにはそんな景色が確かに見えた。
 演じる側とそれを賛する側、ひとつになった心はさらに結界の輝きを強くしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
山頂の二刀を振るえれば敵を一掃できそうなものですが、そういう国ではないのですね
敵を焼く神火の結界……攻性結界といったところですか
ならば、この国の雰囲気には少々似合いませんが――

紅い踊り子の姿に変身
火を吐く獅子女神の力(属性攻撃)を宿すこの姿なら、神火の結界へ力を捧げるに相応しい筈
燃え盛る炎のように激しい【ダンス】の【パフォーマンス】
神に【祈り】を捧げ、見る者を【情熱】的に【鼓舞】する【情熱の艶舞】
襲い来る魔物の軍勢を一切【焼却】する火力を生み出すため、時にアクロバティック(ジャンプ)に、時に力強く(気合い)、全霊の舞いを披露する




『霊峰アマツ』
 その山頂には二振りの巨大な天津太刀が封じられている。霊峰の頂きにある太刀となれば、名刀であるだろうし、敵を一掃できるほどの力を秘めていたとしても不思議ではない。

(山頂の二刀を振るえれば敵を一掃できそうなものですが……)
 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は霊峰を見上げそう思った。しかしこの街の人々はその手段を取らない。国が戦いを好む気風ではないのだろう。だから取った手段も儀式結界を張り巡らすという、あくまで護りの体勢だ。
 しかし降りかかる火の粉は払わねばならない。
 護るばかりではジリ貧である。敵が攻めてくるのなら、それを撃退しなければならないのだ。そしてこの結界は敵を討ち滅ぼすだけの力を秘めている。
 今はまだ護りのみだが、この結界の真価は攻性結界、敵を焼く神火の結界だ。ならば。

(この国の雰囲気には少々似合いわないかもしれませんが――)
 オリヴィアは櫓舞台に進み出て金の瞳を輝かせると、その燦めきは全身を包みこみ、光が収まったときには、そこに紅の踊り子が立っていた。
 炎を纏ったような鮮やかな緋色の装束は、火を操る獅子女神の力を宿し、神火の結界へ舞を奉げるにはこれ以上のものはないように見える。

 炭火の炎のように静かにすり足で始まった舞が、だんだんとステップを踏むような激しい踊りへと変化し、オリヴィアの全身を大きく使ったパフォーマンスは燃え盛る炎のように観客を鼓舞した。
 そしてまた熾火のような流麗な舞。動と静の絶妙な対比が、観るものをオリヴィアの世界へと惹きこんでいく。
 ゆるりと指の先までが揺らめく炎のように宙を流れて舞えば、観客たちはその美しさに息を飲み、爆ぜる火の粉の如くダイナミックな跳躍を織り交ぜた舞踏に、弾ける汗が光を反射して舞い散ると、観客たちはどよめきと歓声と拍手を送った。
 まさに全身全霊。一種のトランス状態に陥りながら、オリヴィアが一心不乱に舞い祈る。
 そんなオリヴィアの情熱の艶舞は、いつしか観客たちの心を一つにし、その想いが結界を強く白く輝かせていく。

 輝きを増した結界。それまで侵入を拒むだけだった光の壁が、その領域に侵入しようと触れた魔物を焼き尽くし、次々に蒸発させていく。
 猟兵の捧げる舞と、街の人の思いの力。ただ護るだけの時間はそろそろ終わろうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

あー、私がもっとも得意とする“舞”ってそっち系なのだけど、まぁそういうわけにもイかないわよね。それはそれとして休憩時間に裏の方でエネルギー充填、魔力供給、疲労回復医術兼ねてそっちの儀式的な“舞”をおねだりはしてみる。(休憩の度に妙にツヤツヤした巫女さんが増えるかも?)
ま、私もケイオスマジック多重詠唱化術結界術のエキスパートではあるので、神楽的な禁呪の心得もきちんとあるわよ。なんか妙にツヤツヤしてる巫女さん達のためにもきっちりと『舞』を捧げるとしましょうか。




 結界の輝きが増し、光が飽和していく。これは祈りが『火那山津見神』に届いている証。反撃の証。
 そんな中、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔少女・f05202)は、舞台袖で休憩している神楽巫女たちに視線を注いでいた。

 神楽舞を奉納する、ということで来てはみたのだけど、アリスの得意とする舞は神楽舞とはちょっと違う。
 もちろんケイオスマジック多重詠唱化術結界術のエキスパートとして、神楽的な禁呪の心得はあるが、それよりも、エネルギー充填や魔力供給、疲労回復医術など、ヒーリング系(意味深)の舞がもっとも得意なのだ。
 そして今の状況からみると、神楽舞も大事だが、その舞を舞う巫女の回復も大事なことではないかと思う。
 猟兵たちも懸命に舞い、結界はその力を強めてはいるが、いまだ魔物を焼き尽くすほどの力を得てはいない。それならば舞い手はいくらいてもいいはずだ。だからこそ神楽巫女たちの回復はとても重要なことと言える。
 そして現状、そんな回復系の役割を担っている猟兵はひとりもいない。ならばそれはわたしが最優先で行ってもいいことだ――!
 理論武装、終了。
 アリスは自らの視線の先にいる巫女たちに、やさしく声をかけて回ることにしたのだった。


 そこからしばしの時が経ち、数人の猟兵の舞いが終わった頃。アリスが神楽巫女たちを引き連れて舞台袖に戻ってきた。
 アリスはもちろん、それまで疲労に沈んでいた神楽巫女たちにも、そんな面影はどこにもなく、ともすれば艶めいているようにすら見える。
 ただ全員が互いからちょっと瞳を逸らしながら、頬をほんのりと赤らめ、摺り足なのになんとなく内股っぽい歩き方になっていることはツッコむだけ野暮というものだろう。

 それでもやはり神楽巫女である。櫓舞台に上がれば表情も変わる。
 笛の音を合図にアリスを中心にして神楽巫女たちが、再びその舞いを奉じる。鈴が鳴り、榊が流れ、御幣がたなびいた。
 中央のアリスが右手の鉾を大きく回し、左手の扇を翻しながら、舞台上を滑るように駆けた。その舞いは優雅で力強く、そしてどこか艶やかだ。
 しなやかに艶めかしく舞台と神楽巫女を支配して、アリスの舞が結界を燃え上がらせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、和風ならお任せくださいっ!!
あれ?なんか浮いている感じがしますね?
クノイチですよー?

理緒さんお任せください
この理緒さんの個性的なダンスの映像を納めておきます
(以前、SOWで理緒さんが踊ってた時の映像を再生する

それではいきましょう!
【ちまっとかぐや隊!】せいれーつっ!!
ちょっと今日は赤色多めで点滅お願いします
火の神様ですからね

ではでは!
可愛く皆でチアリーディングです!
和風な舞とは違いますが元気に応援ならこれが一番!
かぐや隊は4~5個くらいの団体に分けて
アーティスティックなダンスをお届けしましょう!
え?私ですか?くるくる回りながら真ん中で指揮してますけど?




「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、和風ならお任せくださいっ!!」
 しゅたゆんっ、と櫓舞台に降り立った人影から発せられた、堂々とした前口上に、まわりはちょっと引いていた。
「あれ? なんか浮いてる感じがしますね?」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は周囲を見回してちょっと小首を傾げた。
 そして浮いている。なにがとはいわなけど浮いている。重力に逆らっている。

 と、そこもなのだがクノイチ?
 まわりはみんな思った。クノイチってなんだっけ――。
 見事なまでに忍んでいない。いや忍べと言われても自己主張が激しすぎて無理そうだが、それにしても忍ぶ気配がない。
「クノイチですよー?」
 呼びかけるように再度宣言するサージェの言葉を、見ていた観客と神楽巫女は生暖かい目で飲み込んだ。


「それではいきましょう!」
 まずは! そう言ってサージェはおもむろにスマホを取り出すと、用意していた動画を再生しはじめた。中ではグリモア猟兵がぐねぐねしている。
 するとその途端、スマホから流れ出たおどろおどろしいオーラが、結界の光を浸食しその輝きを失わせていった。観客がどよめく。
 サージェはそっと動画を消すと、袖に向かってスマホをぺいっと投げ捨てた。

「それではいきましょう!!」
 テイク2。さっきよりこころなしか声が大きい。
「ちまっとかぐや隊! せいれーつっ!!」
 サージェが瞳を青琥に輝かせて号令をかけると、七色に輝くかぐや姫たちが檜舞台いっぱいに、きれいに整列してその姿を現した。
 ゆっくりと輝きをグラデーションさせていくかぐやたちに、サージェが、
「ちょっと今日は赤色多めで点滅お願いします。火の神様ですからね!」
 そう声をかけると、かぐやたちもそれに応えるように赤く輝く。

 かぐや隊は4つに分かれると、サージェを中心に前後左右へと整列した。
「れっつごー!」
 元気なかけ声と共にドラムトランペットのと軽快な音楽が舞台を包む。和服に小さなボンボンをつけたかぐやたちがそれに合わせて跳ね、踊る。
 一糸乱れぬラインダンスから、大きなスタンツを組んでのジャンプ。そしてサージェを真ん中に、前後左右の隊列が、速度を落とさず見事に入れ替わった。
 赤から朱、橙、黄色と、かぐや隊の輝く波が櫓舞台に寄せては返す。
 そんなかぐやたちのダンスを笑顔で見守りつつ、中央のサージェはタクトを振りながらくるくるとまわる、そして弾む。
 とことん元気で明るいリズムと弾むソフトボールが、結界をまた強く輝かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウーヌス・ファイアシード
火の神を祀る都…
そして、都と民を守る火の結界、か…

かつての我、そして、かつて我を破壊の神と崇めた者達とは対極となる火の力…
だが、今の我ならば、我の火も守る為の力にできるはず…!

…しかし、神を滾らせる舞に、それを正しく為す技は…

…いや、難き思索は止そう。
ここは灰化の火として、ありのまま舞ってゆこう。

まずは穏やかに燃える如く、仄かに、柔らかく…
次に、風に揺られ、震え、儚く跳ぶように…
そして、揺るがせた風も、焚べられた数多も包み、激しく燃え上がるように、己が身を振り乱して…!

この都を守りし火の神よ!
我が火を大いなる護り火と共に!


…え?舞う様が子供離れしていた…!?
こ、子供なのは見た目だけ故、な…



『火那山津見神』
『霊峰アマツ』を中心にした都市国家に祀られた火の神。その力は今、捧げられた想いを受けて、数多の怪物からこの地を護っていた。

 そんな『護り』の結界をウーヌス・ファイアシード(復燃せし灰化の火・f37284)は感慨をもって見上げていた。
 かつては自身も火の神と崇められたこともあるウーヌスだが、そのとき呼ばれた名は『破壊の神』
『火那山津見神』とは対極の力だ。
(だが、今の我ならば、我の火も守る為の力にできるはず……!)
 知識も得てきた、経験も積んできた。ただ猛り、破壊しか為しえなかったときとは違うはずだ。自分の力を神を滾らせる舞に込めて正しく奉じることができれば、守りの力として、そしてさらにはは怪物を退ける攻めの力としてこの結界を強化できるはずだ。しかしそのための舞となると……。
(いやちがう、難き思索は止そう)
 ぐるぐると回り続けそうになった思考をウーヌスは深呼吸で止めた。グリモア猟兵も言っていたではないか『心』なのだと。それならば――。
(ここは灰化の火として、ありのまま舞ってゆこう)


 自らを抱きかかえるような体勢から、大きく両手を広げると、それにあわせてその背の翼もふわりと広がり、静かな羽ばたきかウーヌスの小柄な身体を宙へと浮かせた。
 ゆらり、身体が揺れる。
 しなやかに流れる体捌きは、揺らめく焚火の炎のように、優しく柔らかく。悠揚な舞が『火那山津見神』への祈りを捧げる。
 たん、とひと息。
 ゆったりと仄かに揺れていた舞がその速度を増した。櫓を包み込むような優しい舞いはその表情を一変させ、激しく櫓上を駆け巡りながら、いつしか空を跳ね、全身が空を焼く大火のように振るわれて、その髪すら風を生み出す白火の如く爆ぜまわった。
 舞に喚ばれた炎を纏いし大剣と大きな溶岩石の腕も、結界外の怪物を葬らんとするかのごとく力強く振るわれる。
(この都を守りし火の神よ! 我が火も共に大いなる護り火とならん!)
 まさに一心不乱。
 うら若き少女とは思えない、炎のような熱さと大胆さ、そして妖しさすら漂う艶のある舞が、観る者の心を魅了し、観客たちは声を忘れてため息を漏らすばかりだ。
(ちょ、ちょっとやりすぎてしまったか……?)
 少女特有の静謐さを出して舞ったつもりだったが、踊るうちにあまりに少女離れしてしまったかようだ。
 ウーヌスはは周囲の反応にはたと気づいたが、それでもしかし、踊りを変えることはなかった。
 なぜならこれがいま、自分のできるせいいっぱいの舞なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九尾・桐子
理緒さんが来ないのはありがたいですね
来たら来たで可愛がりたがって付きまとうでしょうし…

それはともかく
本職巫女の舞、披露しましょう

舞うは九尾神社の神楽舞…の桐子アレンジ
小さな身体を大きく魅せるよう動きも大きく
それでいて優雅に

…そしてここからが私流
九尾の神器…蒼炎蒼龍の2丁拳銃を巫女服の袖からシャキーンと出して握り
ガン=カタ演武の舞
琴の音楽に合わせて銃声でリズムをとり
見えない敵の懐に飛び込み肘打ち膝蹴り回し蹴りと流れるような格闘術
最後は左右の見えない敵に同時に銃弾を撃ちフィニッシュ

これが桐子流の神楽舞です
いかがでしたか?

…もちろん舞台上は私1人ですよ?
そこに敵がいるような動きというだけですからね?




(グリモア猟兵さんが来られないのはありがたかったですね)
 前天冠を整えながら、九尾・桐子(蒼炎の巫女・f28109)そんなことを考えていた。参加していたらおそらく、神楽舞の前に愛でくりまわされてたいへんなことになっていただろう。
『袖でしかしないから!』
 そんな言葉がどこからともなく聞こえた気もしたが、そこは耳に栓をしておく。

 そんなことはおいておいて、ここからは本職の巫女としての見せどころだ。目の前であれだけ素敵な神楽舞を見せられたからには、こちらもしっかりと返すのが礼儀というものである。
 桐子はもういちど自分の装束をしっかり確認すると、おおきく深呼吸をして櫓舞台へと歩み出ていった。


 櫓舞台の中央に進み出て、舞うは九尾の神楽舞。
 両の手に携えた扇を翻しながら手足の指先まで魅せる伸びやかな舞は、桐子の小柄さを微塵も感じさせることなく、櫓舞台に収まりきらないオーラをもって観客を魅了していく。

 ぱちん。
 一差し終えた桐子が扇を閉じて懐にしまうと、一おいて拍櫓舞台上に琴の音が響いた。
 ゆったりとした事の音に合わせて、桐子は瞳を閉じたまま、摺り足で滑るように動く。瞑想にも似た静謐さを伴った動きに、観客たちもそれを静かに見守っていたが――。

 一転。

 叩きつけるように鳴らされた弦の響きに桐子が顔を上げると、開いた瞳に黒耀の輝きが宿る。瞬間、横に大きく広げた両腕の袖から飛び出した2丁の拳銃――蒼炎蒼龍――が両手に握られた。

 力強くリズミカルに転調した琴に合わせて、両手に銃を構えた桐子が舞った。それは、それまでの雅な舞から一転した、速度と激しさを兼ね備えた演舞。
 弦の響きに合わせた銃声が空を穿ち、飛び込みからの肘打ち、膝蹴り、そしてそこから円運動を基本にした翻弄するような体捌きから放たれた回し蹴りが相手を吹き飛ばし、さらに動きを止めず跳ぶように側転して着地してからの零距離射撃が左右の敵に放たれる。

 そこでやっと動きを止め、深く礼をした桐子を、一瞬の間をおいて湧き上がった歓声が包み込んだ。
 これは演舞だ。もちろん実際に敵はいないはずだが、桐子を見ていた観客たちには結界外の怪物たちが吹き飛ばされる光景が確かに見えた。
 その想いはきっとそのまま『火那山津見神』に捧げられたのだろう。想いが飽和したように輝いた炎が、結界の周囲に噴き上がると、周囲の怪物たちを次々に灼いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
舞なら任せて!
ダンスは元々得意だし、神楽舞ちゃんと練習してきたから!

この世界にはまだ縁も薄いけど
若津姫様とは以前の戦争でお話した繋がりがあるし
巫女様達の想いもちゃんと届けたい
この地を、人々を、世界を守りたい

僕は世界とか関係なく、全ての人が、景色が大好きだから
絶対に、壊させたりしない
僕にできる全力で、祈りを込めて舞うよ

指先や目線のまで意識したしなやかな仕草と
この世界の平和を願う強い想い
そして高い集中力
全てを備えているからこそ魅せられる動き
普段のどこか幼く無邪気な雰囲気とは対照的な優雅さで
完璧な神楽舞を捧げる

より自身の集中力を高めるために舞いに合わせた歌唱も紡ぐ
僕にとっては歌が人生そのものだから




 猟兵たちの心からの舞は『火那山津見神』に確かに届き、光の結界はその輝きを増していた。そしてそれはもはや防ぐだけの結界ではなく、光の壁に触れた者を灼くほどの力をもって、怪物たちを押し返し始めていた。

 そんな結界を見渡して、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はあらためて気合いを入れた。
 エンドブレイカーこの世界とはまだ縁は薄い、けれど若津姫とは言葉を交わしたこともあるし、繋がりはある。それに、この結界を維持するために懸命に舞った神楽巫女たちの『この地を、人々を、世界を守りたい』という想いも澪にはとてもよく解るものだった。

 澪は猟兵だ。いろんな世界を行き来し様々な景色を見てきている。そして澪はそんな世界にいる全ての人が、景色が大好きだった。
 だから――。
(この世界も絶対に、壊させたりしない。僕にできる全力で、祈りを込めて舞うよ)
 ダンスは得意だし、神楽舞はだってしっかり練習してた。大丈夫。できる。

 澪は大きく頷いて、櫓舞台に上ったのだった。


 白衣に緋袴、千早を羽織り、鉾鈴をその手に携えた姿は、神楽巫女たちから見てもため息がもれるような荘厳な雰囲気を醸し出していた。
 ゆったりとした笛の音に合わせて舞が始まる。
 滑るような摺り足での移動はかすかな足音すら立てず、伸ばし翻る腕や身体は、肘の角度はもちろん指先や翼の先にまで意識があるようなしなやかで優美な所作と、その動きを為し続ける高い集中力。全てを兼ね備えた完璧な神楽舞が、観るものを魅了していく。

 ゆるりゆるりと優雅に舞う澪の唇からはいつしか歌が紡がれていた。それはおそらく無意識での吟詠。
 澪にとって歌は自分自身と言ってもいい。そんな魂から溢れる想いが、極まった集中力の中で言の葉となり、踊りに合わせて唇を震わせる。
 大好きだ。人が、街が、国が、空が、大地が、そしてこの世界が。
 護りたい。人を、街を、国を、空を、大地を、そしてこの世界を。

 みんなに、笑顔を――。

 ともすれば幼く、無邪気に見られやすい澪だが、強く確かな想いを込めた舞は、幼さを純粋さに、無邪気さは神聖さへと昇華されて、大きく広げられた背の翼と相まって、天から降りた天女のような神々しさで観るものの想いを一つにし、『火那山津見神』にさらなる力を与えていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラーウム・ティラメイト
それでは…オベイはとっても可愛いですね体操を行います
『ケー』
オベイと共に現れた私

『えっ…うそでしょ…?完成したのその体操…』
マーアリアはドン引きしていた
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=51127


それではオベイはとっても可愛いですね体操第一!

『ケー!』
オベイが両翼を大きく広げました
その後それを円を描くように回します


『ラジオ体操…ですね、皆様彼女は放っておいて私が演武を見せます』
マーアリアが指定UCを発動して神社から借りた演武の棒を回し華麗なステップを踏みながら舞う

『神よ、因果獣神皇よ、この世界の皆様方をお守りください!』
そう思いながら演武を舞った




 フラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は輝く結界に照らされた櫓舞台に進み出ると、くるりと観客の方を向いて一礼すると、
「それでは……『オベイはとっても可愛いですね体操』を行います」
 唐突に宣言した。
『ケー』
 封印石からにょきっとでてきたカラスのような生き物が、それに応えて一鳴きした。
 観客はこれまでとあまりに違う空気感に、あっけにとられている。

 そして、その様子を袖から見ていたマーアリアはドン引きしていた。
『えっ……うそでしょ……? 完成したのその体操……』
 観客の様子に、ではない。あの新興宗教じみた倶楽部の公式体操ができあがっていたということに。そしてそれが神楽舞の舞台で披露されるということに、だ。
 正直どんなカオスな体操が繰り広げられるのか想像がつかない。ともすれば洗脳までありうる。

 これは止めるべきか――そう思ったマーアリアが動き出す前に、
「それでは『オベイはとっても可愛いですね体操第一!』」
 フラーウムの声が櫓舞台から放たれると、
 ちゃんちゃんちゃ、ちゃちゃちゃちゃ、ちゃんちゃんちゃ、ちゃちゃちゃちゃ……
 どこからともなく軽快なピアノのリズムが舞台上に流れ出した。どこか懐かしい、誰もが聞いたことのあるあのリズム。

「翼を前から上に上げて大きく……」
『ケー!』
 フラーウムの言葉に合わせて、封印石から出てきたカラス――オベイが両翼を大きく上に突き上げる。
 いっちにーさんしーごーろくしちはち。フラーウムのカウントアップに合わせてオベイが大きくその身体を伸ばす。
「翼を回します」
 そして上げた翼を羽ばたかせるように広げたかと思うと、円を描くように回していった。

『ラ●オ体操…ですね』
 その場にいた全員の気持ちをマーアリアは言葉にだして呟いた。
 全身をせいいっぱい使って体操をするオベイはたしかにとっても可愛かったが、しかしそこじゃない。
 観客たちがさすがにざわつき始める。

『皆様彼女は放っておいて私が演武を見せます』
 マーアリアは宮司から借りた演武用の杖を手に、櫓舞台に進み出てそう宣言すると、その瞳を輝かせ、見事な杖捌きと華麗なステップを踏みながら大きく舞う。
『神よ、因果獣神皇よ、この世界の皆様方をお守りください!』
 強い想いが『因果獣神皇』を通じて『火那山津見神』にも届いたのだろう。結界はさらに輝きを増して、力に溢れていった。

 そしてそんなマーアリアの激しく力強い演舞の後方。フラーウムとオベイは、ラ●オ体操を第二までしっかりと踊りきると、深々と礼をして櫓舞台をあとにするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天羽々斬・布都乃
「巫女の皆さんが頑張っているのでしたら、異なる世界とはいえ、同じ巫女として助太刀します!」
『布都乃よ、天羽々斬一族の巫女としての力、見せてやるのじゃ』

式神の子狐の言葉に頷き、天羽々斬神社に伝わる舞いを奉納しましょう。
巫女服で神楽舞を舞いますね。

『ふむ。ただの舞いではインパクトが弱いのう。
布都乃よ、もっと派手にいくのじゃ』
「わかりました」

懐から霊符を取り出し、陰陽術【五行強化符】を発動します。
大地を隆起させ、地中から煌めく金属を空中に漂わせ、それを核とした水の龍を生み出します。
水の龍は木々を生やし、そこに炎が灯り――火那山津見神に捧げられます。

「これが天羽々斬流陰陽術、五行相生の理です」




「巫女の皆さんが頑張っているのでしたら、異なる世界とはいえ、同じ巫女として助太刀します!」
 力を振り絞り懸命に舞った神楽巫女たち、そしてそれを助け、想いを込めて舞った猟兵たち。その想いを引き継いで、わたしも精いっぱい舞ってみせる。
 天羽々斬・布都乃(神剣使いの陰陽師・f40613)は、両手をぐぐっと握りしめ、結界に向かってそう宣言した。
『布都乃よ、天羽々斬一族の巫女としての力、見せてやるのじゃ』
 側らにいた式神の子狐も、布都乃の気持ちにそう言って答えた。
 結界の光はいよいよその強さを増して、飽和した力が白光のフレアのなって立ち上り、大気を灼くほどになっている。
 もうあと一押しの想いがあれば、結界は怪物たちを灼き尽くし、この街にはまた平穏が訪れるだろう。
 布都乃は大きく頷くと、櫓舞台の中央へと歩み出て行くのだった。


 式神を従えた布都乃の姿に、観客たちのざわめきは波が引くように消えていった。『火那山津見神』の巫女とは装束に差違こそあれど、その雰囲気から正式な巫女であり術者であることを感じ取ったのだろう。

 静寂を取り戻した櫓舞台で布都乃は、右手に神剣『天羽々斬』、左手に霊剣『布都御魂』を構えて、片膝を着くと『火那山津見神』に一礼。
 剣を交差させながら立ち上がると、両の腕と剣に大きく円を描かせ、天に向かって祈りを奉じた。 
 直後、布都乃の身体が回転し、両の刀が空を斬り、式神がそれを追って宙を跳ねまわる。
 退魔神楽『二本剣の舞』
 この街では見たことのない神楽舞ではあったが、刀を用いた緊張感と静謐さを併せ持つ舞に、観るもの全てが息を飲む。

『ふむ。ただの舞いではインパクトが弱いようじゃのう。布都乃よ、もっと派手にいくのじゃ』
 子狐は布都乃の肩に駆け上がると、そう耳打ちした。
 観客からリアクションがないのは布都乃の舞に惹きこまれているからなのだが、子狐はそれを解った上で、もう一押しが必要と判断したようだ。
「わかりました」
 布都乃はその助言に小さく頷くと、剣を置き、懐から霊符を取り出しすと、右目を黄金に輝かせ符に呪力を満たしていく。
「天羽々斬流陰陽術、五行相生……」
 布都乃の言霊に掲げられた霊符が呪力に飲まれ、周囲に光が溢れた。布都乃がさらに印を切り、呪を紡ぐ。

 黄――波打つ大地から光の粒子が舞い。
 白――光の粒子は煌めく大きな一つの核石へと成って。
 黒――核石を瞳とした水龍が雨を降らし。
 青――雨は無数の木々を育み。
 赤――木々に灯された炎が天を焦がした。

 燃え盛る炎と共に五行の理が『火那山津見神』捧げられると、結界は強く輝き、白炎の柱が渦を巻いて周囲の怪物たちを灼き尽くし、それまで都市を覆っていた禍々しいオーラが塵のように吹き飛ばされ、消えていく。
 一瞬の静寂ののちに沸き起こる歓声と、宮司、神楽巫女たちの安堵の息。そしてなにより猟兵も含めた全ての人たちの笑顔。
 霊峰『アマツ』がそれを静かに見下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月09日


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#エンドブレイカー!
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#エンドブレイカーの戦い
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#霊峰天舞アマツカグラ
#参加ありがとうございました!


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト