エンドブレイカーの戦い⑦〜不壊を破壊せよ
「皆、よく集まってくれた」
グリモア猟兵ムルヘルベル・アーキロギアは、目の前に集まった猟兵たちを見渡した。
「早速だが、まずは状況説明をしておこう。すでに把握しておる者もいようが、おさらいのつもりで聞いてくれ」
そう言って、一冊の本を開く。グリモアの光が漏れ出し、AR映像のように背後にヴィジョンを映し出した。
そこに現れたのは、巨大な毒蛇とでもいうべき怪物だ。
「エンドブレイカー世界で
終焉に至る病発生の危機である。
犯人はこの『バシュム』――魔神エリクシルを従える『11の怪物』の王であり、唯一その力を持たぬモノ」
ただし、とムルヘルベルは言葉を続ける。
「バシュムは「毒液を吐く」という、ただその能力だけで『11の怪物』の王たりえる存在である。
このまま放っておけば、エリクシルと『11の怪物』は、世界移動能力の要である「世界の瞳」を破壊するであろう」
エンドブレイカー世界の大地そのものとなった「大地母神」の眼球、それが「世界の瞳」。
これを破壊されてしまえば、エンドブレイカー世界は外世界との一切の繋がりを断たれることになる。
「我々猟兵も例外ではない。エンドブレイカー世界は孤立し、「単一世界バシュム」と化すのだ」
そこに、バシュム以外の生命は――オブリビオンですら――存在を許されない。
紛うことなき終焉。叩き潰さなければならぬ、最悪の
絶対的悲劇だ。
「さて、此度の「エンドブレイカーの戦い」については、これで把握してもらえたであろう。
ワガハイが依頼したいのは、都市国家の一つ「三塔戒律マギラント」を襲うエリクシルの撃退だ」
ムルへルベルの背後に投影された映像が切り替わる。
新たに映し出されたのは、全身が
金剛石で構成された巨大な怪物『金剛石の巨人』だ。
「このエリクシルは、見て分かる通りすさまじく堅い。おまけに破壊されてもさらに巨大化する。
通常でも強力なエリクシルであるが、マギラントを襲う個体は「願いの力」で超強化されておるのだ。
いくら我々猟兵といえど、生身で戦うのは愚策であろう。なんらかの強化手段を用いるべきである」
そこで、ムルヘルベルはひとつ提案した。
「この都市国家には、「メイガス」と呼ばれる特殊な動力甲冑があってな。
それを使えば、オヌシらの魔力を増幅させ、技を強化することが出来るそうなのだ」
世界の危機に際し、マギラントの三大指導者「塔主」はメイガス貸与を許可してくれたという。
「自前があるならそれでも構わぬ。彼奴の防御力と再生力を上回るには、メイガスの力が役立つはずである。
あくまで独力での撃破を試みても、まあ不可能ではあるまいが……困難と言わざるを得んな」
ムルヘルベルは本を閉じた。
「此度の戦いで討つべきは『11の怪物』の8柱、それらはいずれもエリクシルよりはるかに強大なのだ。
気負いすぎて、こんなところで斃れるでないぞ?
終焉を終焉させる者に笑われてしまう」
この世界の命運を賭けた戦いが、再び始まろうとしている。猟兵はいわばバトンを受け取る側だ。
「金剛石は不壊の証。ならばそれを砕いてこその後継者、であろうな」
不壊の敵を破壊する、死闘が幕を開けようとしている!
唐揚げ
琥珀糖です。いよいよエンドブレイカーでの戦争がやってまいりました。
第一弾として、とてもわかりやすい純戦シナリオをお届けします。
プレイングボーナス条件は『メイガスに乗り込んで戦う』です。
第1章 ボス戦
『金剛石の巨人』
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POW : オオオォ……オォオ……
【巨体】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【金剛石の体】で必ず防御し、【剛腕】で反撃できる。
SPD : ォォオオォオオ……
【全身から放つ光線】が命中した敵を【金剛石の体】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[金剛石の体]で受け止め[全身から放つ光線]で反撃する。
WIZ : ォォォォオオオオオォオオオオ
【体】が砕ける度に【より強固な体】に変身する。変身の度に自身の【防御力】と【反射装甲】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
👑11
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ちょっとは縁がありそうな世界だってのに、
その謎を解く前に終わられちゃアタシも立つ瀬がないってもんさ!
……ま、ここはちょっとそこからもズレてるかもだけど、足がかりは多い方がいいからね!
早速メイガスを一基、借りようじゃないのさ!
宇宙カブやキャバリアなんかと『操縦』法は違うだろうけど、『念動力』でリンクすれば操れるだろ。
そうして自分の手足のように徒手空拳のメイガスで『ダッシュ』し、巨人へ肉薄する!
真正面からぶん殴る?そいつぁ『フェイント』だ。
テレパスで動きを察知しながら背後へ回り込み、『グラップル』で組み付き立ち関節技で締め上げるよ!
その剛腕、振るえなくしてやらぁ!
アウレリア・フルブライト
成程、あれは相当なる難敵。
有用なる対処の術があるのでしたらば、有難く使わせて頂きましょう。
ということにてメイガスに搭乗を。
…初めて乗るといいますのに大変動かし易いですね。まるで己の肉体そのものであるかのような。
…ならば、行けますわね!
機体を操り敵へと吶喊。
【ダッシュ】【ジャンプ】を織り混ぜての三次元機動で撹乱しつつ肉薄を。
敵の攻撃は予備動作等から上手いこと【見切り】躱しますが、最悪片腕一本くらいは【覚悟】。
懐に潜り込み次第、重ね一徹を撃ち込みます。
この一撃では砕くこと叶わねど。
繰り返せば必ずや打ち砕けることでしょう。
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
今日の藍ちゃんくんのステージはな、なんと!
メイガスなのでっす!
いえ、ステージ兼衣装と言いましょうか!
ラスボス衣装というやつなのでっす!
さらになんとなんと!
藍ちゃんくん、メイガスごと踊っちゃうのでっす!
派手さで巨人さん達をおびき寄せたところで、ブレイクダンス!
ぎゅうぎゅうづめの巨人さん達をぶつけ合わせちゃいましょう!
硬さが自慢のようでっすが、同じ素材同士が激しくぶつかったらどうなるか!
矛盾なのでっす!
より硬く、装甲を増やしても同じこと!
身長二倍もぶつけ合わせやすくなるのでっす!
負傷回復したところで自由に動けないのなら意味ないのでっす!
時間をかけてミキサーしちゃうのです!

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等!
このベルト・ラムバルドが来たのだ!我が愛機と共に敵なんざ…
え!?乗るのはメイガス!?ええ…ううむ…えぇい仕方あるまい!世界の危機だ!
つーわけでちょっくら失礼…メイガスに乗り換えて…
さぁ行くぞ!パロメデス…えぇとMk-II!パロメデスMk-II!…ううん…しっくりこにゃい…
メイガス操縦して突撃!
愛機から拝借した二刀の剣を振るい鎧無視攻撃と鎧砕きであの巨人を真っ二つに斬り捨てる!
…巨大化した!?
だが…こちらもUCでメイガスでの戦い方を十分に理解した!
それに今の私は貴様と戦えば戦うほど強くなる!貴様の力が尽きるまで持久戦だ!
さぁ行くぞ!パロメデスMk-II!…うん、いい名前じゃないか!
ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携○
▼心情
メイガスか。扱ったことがない武装だが……やってみるさ
▼戦闘
メイガスを借り受けて騎乗する
どうやらこの状態でも剣を振るうのに不便はしないようだ
キャバリアで振るう時の要領で振るうとしよう
敵の光線は霊的防護を備えた刀剣を念動力で操り受け流しながら回避する
敵が金剛石の守りを頼みとするならば、私は全ての守りを断ち斬るUCで応じよう
絶空斬。刀剣士の基本ともいえる技だが……基本だから弱いなんて道理はない。磨き上げた一閃、受けてみるがいい
そしてさよならだ
エドゥアルト・ルーデル
仕事の時間でござる
という訳で早速でござるがメイガスロボ発進!!!なんかの巨人とド付き合いでござる!いけーっ!
拙者?別に乗ってないけど?誰が乗ってるって?【知らない人】でござるけどそれが何か問題???
ちまちま砕くから回復されるんでござる、やるなら一発どでかいのを…なッ!
メイガスは砕くほどじゃなくていいんだよ!時間稼ぎ!気持ち罅入れるだけでいいから!
拙者はメイガスとどつきあいしてる最中に戦闘で出来た罅割れやら関節やらの隙間に爆薬を仕込んでやるんでござるよ
仕込みが済んだら全身の爆薬に起爆するようにランチャーをぶっぱなして木っ端みじんにしてもうたるんじゃ
火をつけろ、
燃え残った全てに
ラピリナ・ラピルバール
……故郷(※一応滅びの大地にある)も心配ですが、仲間たちを信じましょう。「イケメンをつかまえるまで死ねるかー!」とよく言っていましたし
今は、この地を襲うエリクシルの手勢を!
「メイガス」をお借りします!
メイガスでハルバードとアクスソードを振るって戦いましょう
気配を読むことは慣れています!相手の動きの変化、攻撃の前兆を読み、武器を盾に持ち替えUC【カーバンクルの紅き護り】で受け止め、相手を宝石に変える紅蓮の光線で反撃します!
別の宝石にその身が変わっても、その堅牢さは維持できますか?
……例え生身であろうとも、護るべき者を背にした城塞騎士は、決して折れないし砕けぬのです!
※アドリブや連携等歓迎です
●三塔を背負い翔べ
動力甲冑『メイガス』。
マギラント独自のこの魔力強化装甲は、装着者を不眠不休で活動させることが可能な極めて強力な装備だ。
他世界におけるキャバリア、あるいは機械鎧ともまた別のノウハウによって進化してきた。それゆえに扱うのには似て非なる技術とコツを要する。
かつてエンドブレイカーたちは、時に塔主と協力し時にはマスカレイド化した塔主と争いもした。場合によってはメイガスそのものがマスカレイド化したこともある、厄介な敵であり頼れる味方ともいえる間柄だ。
だがそれもすべては過去。現代の猟兵にとって、メイガスは心強い相棒となる。
「へえ……こいつがメイガスか。宇宙カブとキャバリアとも違った感じだね」
数宮・多喜は己の身を鎧う甲冑の感覚に笑みを浮かべた。
甲冑でありながら装着している違和感がゼロに等しい。かといってボディスーツほど完全にフィットしているわけではなく、装甲のぶんの「厚み」と拡張肉体の違和感は付き纏う。たとえるなら皮膚が二重になったような、言い表しがたい感覚だ。
慣れるのに少しコツが要りそうだが、歴戦の猟兵である多喜には難しいことではない。そして慣れさえすれば、なるほど目の前の巨人のような堅牢な装甲を叩き潰すには似合いの装備である。
オオオォオオオォオオン――!!
空気が震えた。
深い洞窟の奥に木霊する得体の知れない慟哭を思わせる叫びは、吹き込んだ突風が壁や天井で複雑に反響した結果起きる風鳴りのようだ。獣の咆哮と異なり、幾重にも構成された音は単一の感情を示さない。だが敵対意思を宿しているのは間違いなかった。
「来ますわよ!」
アウレリア・フルブライトが警告を発する。
声ならぬ雄叫びが大気を震わせる感覚が、装甲という第二の皮膚を通じてはっきりと感じ取れた。同時に異物にぴたりと触れ合った本来の皮膚の感覚もたしかにそこにある。単純に五感が拡張されたというよりは、二倍あるいは二重に鋭敏になったというべきか。触覚がそうであるなら視覚も同様、ゴウ! と意外なほどのスピードで迫る巨人の動きを読むのも容易い。
「気をつけろ。敵は腕力だけではないようだぞ」
ハル・エーヴィヒカイトは冷静沈着に言い、巨人の全身からプリズムの拡散めいて放たれた光を刀で切り払う。金剛石の身体はいわば全身が一種の照射機構であり、どこから光線が飛んできてもおかしくない。それを乗りたてのメイガスを駆りながら斬撃で受け流すとは、ハルの剣技は達人の域を凌駕していると言わざるを得ない。
「意外と小技を使うんですね、見た目通り力技で来ればいいものを……!」
ラピリナ・ラピルバールは白銀色の光線を躱し、歯噛みした。ラビシャンであるラビリナは、当然この世界を故郷とする。そして地域的な意味では「ピュアリィとしての」故郷は滅びの大地に位置している。今すぐ里帰りして無事を確認したいところだったが、猟兵としても誇りある城塞騎士としても、そうもいかないのが実情だ。
オオォオオオォオオ――。
再びの咆哮。低く腹の底を殴りつけるようなその響きは、どうやら不満と憤懣を宿しているらしい。光線乱撃を凌がれたのが納得いかないのだろうか?
巨人はざばざばと海水の飛沫を上げながら侵攻し、巨大な剛腕をみしみし握りしめた。今のところのサイズはマギラントの象徴たる三塔から比すればさすがに矮小――しかし奴は巨大化能力を有するのだ。油断は出来ぬ!
「ちまちま砕いてたら回復されてジリ貧でござる、やるなら一発どでかいのを……なッ!」
「そりゃそうだが、それが出来たら苦労はせんだろうがーッ!」
エドゥアルト・ルーデルが簡単に言ってのけると、たまらずベルト・ラムバルドが食ってかかった。そこへ掲げられた拳が隕石のような速度でぶうんと振り下ろされる! 二人はメイガスから魔力を噴射して急制動をかけ、ギリギリで拳を回避。勢い余った拳は海を叩き割り、ざばあと高波を起こした。
「巨人さんはダンスをご所望でっすかー? なら、藍ちゃんくんがお相手するのでっすよ!」
入れ替わりに紫・藍のメイガスが懐に飛び込んだ。ボディブローのように腰だめに構えていた巨人の拳が、ぶおんと下から上に逆袈裟の軌道を描く。藍は衝突寸前で逆噴射してそれをやり過ごすと、甲冑を纏っているとは思えない軽やかな動きでステップを踏む。ヒールが叩くのは大理石の床などではない。金剛たる巨人の腕である。カツンと小気味いい音が挑発的に響き、白銀を思わせる巨人の身体にメイガスのフォルムが映り込んだ。
オオォォオオオオ――ッ!!
「ありゃキレてるね」
「キレてるな」
「ブチギレてますね……!」
多喜・ハル・ラビリナは口を揃えて言った。巨人はどうっ!! と水飛沫を上げて跳躍、空中でぐるぐる回転しながら落下速度を乗せた拳で藍を叩き落とそうとし、さらに全身から嵐のような光線を放った!
「あーあー火に油でござる、ほら喰らわないように注意でござるよ! レンタル品ぶっ壊したら弁償金が怖ぇでござる!」
「言われなくても承知ですわよ! っていうかあなた、人のこと気にしてる余裕ありますの!?」
乱舞する光線と拳を躱しながら、アウレリアはエドゥアルトの茶々に言い返した。
「え? いや拙者は無関係でござるが?」
「何を言ってる、戦場にいるのだから君も」
「そもそも拙者メイガスなど乗っておらんでござるし」
「――ん??」
エドゥアルト、今なんか変なこと言わなかったか? 光線を叩き切りながらハルは訝しんだ。
「いや待て、じゃああの毒々しい色合いのメイガスには誰が……?」
「知らない人でござるけどそれがなんか問題???」
キラリと陽光がメイガスのコクピット部を照らした。なぜか首にギブスを巻いた変なおっさんが爽やかな流し目をキメる!
「誰だよ!?」
「誰なんですの!?」
「怖いだろ!!」
多喜・アウレリア・ベルトの怒涛のツッコミ! いやそうなるとエドゥアルトはどこにいるんだ!?
「ここでござるよご友人」
いた! エドゥアルトは巨人の背中だ! そして小脇に抱えているのは……爆薬!?
「い、いつのまにあんな距離に……」
「あやや~?」
あまりにも無法なエドゥアルトの振る舞いに、ラビリナと藍も言葉を失った。一方胡乱な黒髭は、藍がアクロバティックな動きを強制したことで生じた摩擦による罅割れに、手にしたプラスチック爆薬をバーン! と勢いよく叩き込んだ。
「メイガスは砕くほどじゃなくていいんだよ! 時間稼ぎ! 気持ちヒビ入れるだけでいいんでござる! てわけでポチッとな」
KA-BOOM!! プラスチック爆薬点火! 拳を振り上げた瞬間に起きた爆発で、巨人は大きく体勢を崩した!
「さあ火をつけるんでござるよ猟兵、
燃え残ったすべてに――」
エドゥアルトは渋い顔を作りながら海に落ちていく。知らない人は特に救助はしなかった。いよいよ誰なんだこいつは。
「……なんか理解し難い流れがあった気がしますけれど、気を取り直して反撃ですわ!」
アウレリアはさっきまでのトンチキな流れをなかったことにした。背中から魔力を噴射して一気に加速、全身にかかる強烈なGを鍛え上げた肉体で無理矢理にねじ伏せ、爆発で破損した箇所に鋭いフックを叩き込む!
「まず一発!」
「ならばもう一撃だ。受け取れ」
破片を散らしながら反発力で吹き飛ぶ両者。その間に入れ替わる形で割って入ったハルが、身構えた祓魔刀を真一文字に振るった。動作としては至極単純な斬撃、しかして極限まで練り上げられた絶空の斬撃は、それ自体が必殺になりうる。さらに広がった亀裂を文字通り割り開き、巨人の胴体を両断せしめた!
「再生される前に叩き潰してみせます!」
ラビリナは盾を前面に展開し、追撃を仕掛ける。破砕した下半身断面から照射された光線を弾……いや、光線は盾の表面に滞留して赤熱するように色を変えたではないか。表面張力の限界を迎えた水のように、膨らんだ紅い輝きが二倍の太さの光線となって巨人を撃つ! すると白銀を思わせる巨人の身体が色を変えた。より脆く繊細な宝石に!
「別の宝石にその身が変わっても、その堅牢さは維持できますか? 試してみましょうか!」
「ハッ、こりゃいいね! ちょいともったいない気がするけど……」
多喜は強力なテレパスで巨体を縛り上げた。全身に走った罅割れが外側からの圧力で強引にまとめられたことで、ガチャガチャと耳障りな摩擦音を鳴らす。
「あいにくあたしは、綺麗な宝石で着飾るようなタイプでもないんでねえ!!」
振り上げられたままの拳をメイガスで抱きしめるように拉ぎ、力を込め……へし折る! ばぎん! と大きな破砕音を立てて砕け散る腕部!
「さあ、これでおっかない拳骨は封じたよ!」
「だが一部が再生してるぞ! っていうかこれ分裂っていうべきじゃないかッ!?」
ベルトの言葉通り、残った下半身や飛散した一部が、逆再生映像のように空中で不可解に留まりピシピシと自己増殖していた。結晶が三次元的に析出する様は、美しくも不気味だ。
「ほらほら、早くしないと今まで与えたダメージのぶん累乗倍に再生されちゃうでござるよ~? 気付いておいででござるか~?」
「ええいいちいち煽るなッ!? 私ももうメイガスの戦い方は十分理解した!」
お前海面に向かって落ちてんたぞとエドゥアルトに言いたいベルトだったが、この感じだと大丈夫そうなので忘れることにした。
愛機から拝借した二刀を構え、
背面噴射! 析出する新たな金剛体を、バターを削ぐように切り裂く! 破片を切断!
切断切断切断!
「どうだ? どうだどうだどうだァ! ふはははいい調子じゃないかパロメデスMk-Ⅱ! しっくりこなかったが我ながらいい名前だッ!」
再生するはしから破壊してしまえば、鋭利に切断された一部はただのダイヤモンド――正確にはラビリナの『カーバンクル
の赤き護り』で紅蓮な宝石に変わっているのだが――と何も変わらぬ。キラキラと光のパーティクルめいて海に向かって落ちていくそれらが、陽光を反射してメイガスの舞踏を彩っていた。これが世界の存亡を賭けた死闘の序曲とは思えないほどに。
オオォオォオォオォ――!?
「硬さがご自慢の巨人さんにクイズなのです!」
藍はメイガスを生身同然に器用に扱い、可愛らしく人差し指を立ててみせた。
「そんな同じ素材同士がぶつかったらどうなるか! これはいわば、矛盾なのでっすよ!」
析出再生した巨人の拳が、異形の角度で藍を殴り飛ばそうとする。だがそこに猟兵の連携攻撃で破壊された自分自身の残骸が割り込むように飛来し、激突。ガシャアン! とガラスのような甲高い音を立ててどちらも砕け散った!
「どれだけおっきくなっても硬くなっても、それを利用しちゃえばこの通りなのでっす!」
藍のフフンと勝ち誇るような笑みが目に浮かぶ。パキパキ音を立てて新たに析出した剛腕が、愛らしく空を踊る藍を掴もうと伸ばされ――ハルの斬撃で真っ二つに両断された。
「お触り厳禁、というやつだ。
猟兵にも都市にも、指一本触れさせはしない」
オオォォオオオォ――!?
「そして、よそ見も厳禁ですわよ!」
「我がパロメデスMk-Ⅱの勇姿! とくと見るがいい!」
がら空きの再生途上胴体にアウレリアとベルトが潜り込む! 別の腕を析出させ止めようとする巨人だが、それは多喜の
念動力が遠隔グラップル妨害だ!
「どうどう! いい子にしな!」
「二発目ェ!」
「こいつも食らうがいい!」
斬撃と拳が同時炸裂! 析出再生した身体は微塵に砕け、そして紅蓮の宝石化光線によって溶け崩れるように滅殺される!
「まだ再生は続けていますが、ダメージの大部分は押し通せたはず。この調子で崩壊まで攻め続けましょう!」
「ところで拙者このままだと海に落ち(ざぱーん)」
「あ」
海面から立ち上がった水柱と通信途絶したエドゥアルトの声。ラビリナは水飛沫を見下ろした。
「……手を止めずに連撃を叩き込むのが重要です! 皆さん油断せずに!」
「全力で見捨てたね、まあ生きてるだろうけどさ……」
多喜は呆れつつ見なかったふりをした。結局代わりにメイガスに乗ってるおっさんは誰なのか、それは深く考えてはいけないのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
ベイゼル・フォステリー
メイガスか!
一度乗ってみたかったのだ。このような機械でなければ勿論乗ることはないからな。借りるぞ!
さて、問題は愛剣を振るえるかどうかだが
振るえぬならば問題ない。拳で殴るのみよ!
というわけでうっきうきで騎乗&ぶん殴りに行くぞ
使用できるならウイング・オブ・フリーダムで飛翔し光線や攻撃は回避に努める
回避できぬようなら致命傷を避けて受ける
とつげきは好きだが明らかに勝算がないようなことはしない
逆に言うと勝算があるなら喜んで敵陣に突っ込んでいく
折角相手もでかいのだから、可能なら腕をつかんで振り回して投げてみたいが…
出来るかできないかではないな。よし、やってみよう!
※アドリブ、ほかの方とのご一緒も歓迎します
●蒼穹に翼を広げ
メイガス。かつてはそれ自体がマスカレイドとなり、エンドブレイカーの前に立ちはだかったこともある因縁深い動力甲冑だ。
あれからエンドブレイカーの中にもメイガス使いが現れるようになったが、それはいわば専門家だからこそ。ヴァルキリーであるベイゼル・フォステリーには、遊び半分で扱えるような代物ではなかった――少なくとも当時は。
「一度乗ってみたかったのだ。いい機会だと思えば悪くはないな!」
奇縁とはまさにこれ。猟兵に目覚め故郷であるこの世界を守るためにもう一度戦うことになろうとは。
鋼の装甲がベイゼルを静かに出迎える。コクピットハッチが閉まれば、もはや甲冑は第二の肌身というほどにベイゼルの身体に馴染んだ。
装甲を纏った瞬間、ベイゼルは己の宿す魔力が急激に高まったのを感じる。
といっても、無から魔力が生じたわけではない。たとえるなら、ものすごい薬効を持つ活力剤を服用した時のような……元々ある魔力の流れが活性化され、甲冑との相乗効果をもたらしているのだと皮膚感覚で理解した。
「なるほど。これはいい」
ベイゼルは鋼の指を握り、開いた。驚くほどに違和感がない。愛剣『桜焔』の柄を握りしめる感触は、本来の掌のそれとなんら変わらぬ。
鞘走った刃が焔を燃やした。ベイゼルの胸はそれ以上に高鳴っている!
「さあ征くぞ巨人よ、ここから先は通さぬ!」
オオオォオォオオ――と、結晶が析出するように全身を再生させながら咆哮する巨人!
すでに猛烈な総攻撃を浴びて数回は崩壊するだけのダメージを受けていた巨人は、しかし明らかにダメージと再生のレースで競り負けていた。
猟兵の攻撃が闇雲で散発的なものだったら、ダメージをトリガーとした再生・巨大化で巨人は手がつけられないほどに強化されていただろう。
(「下手に斬りつけても刃負けしかねん。ここは一撃で最大の威力を叩き込むべし、か」)
ベイゼルは極彩色の光線を軽やかな動きで躱しながら、冷静に思考する。
メイガスが彼の能力発動を阻害することはない。背中から生やした希望の翼で大気を打ち、身を翻して翔ぶのも自在。向かい風が頬を叩く感触さえ、装甲を纏っているとは思えないほど身近に感じられた。眼なき敵の狙い、全身から乱反射する光線の軌道も感じ取れる――いける!
「さて、感覚は十分に味わったぞ。次はパワーを試してみたいな!」
ベイゼルは巨木のような巨人の腕を掴み、背中の翼を巨大化させるようなイメージを育てた。
翼と同じかそれ以上の魔力噴射が海原を鮮やかに染める。はるかに質量差のある巨体が……ベイゼルの力によって、海面から浮かび上がった!
オォオォオォオオオオ――!?
「ぬうんっ!!」
ベイゼルは腕を掴んだままその場でぐるんと回転する。彼を軸として巨人はそれ以上のスピードと勢いで浮かび上がり――当然、そのまま海面に叩きつけられる!
バシャア!! と、強烈な衝撃に海がたわみ、高波がマギラントまで届いた。ダメージで身動きの取れぬ巨人めがけ、燃える剣を突き出したベイゼルは矢のようにまっすぐと飛来し、罅割れた巨体の中心を剣閃で穿つ!
「悪くないといったが、あれは訂正だな――いいじゃないか、メイガス!」
少年のようなあどけない声で彼は叫んだ。赤い瞳は、燃える剣よりも力強く輝いているかのようだった。
大成功
🔵🔵🔵
アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
アドリブ歓迎
このメイガスっていうのに乗ればいいの?
ありがとう、あとでちゃんと返すからね!
メイガスの力で強化された念動力で巨人の動きを抑え込んだり転ばせたりして、隙が出来たところを攻撃するよ。
いくよ、メイガスパンチ! メイガスキック! それからメイガスヘッドバッド! あとえーっと、メイガススープレックス!
上手くダメージを与えて巨人がもっと大きく強くなろうとしたら、ソコが狙い目!
『神聖にして侵すべからず』
回復も強化もユーベルコードの力なら、それを打ち消せばダメージはそのまま残るから、そのまま攻撃を続けるよ。
最後にとどめの、メイガス、メイガス……えーっと……メイガスアタック!!(内容おまかせ)
●メイガスってつければよいと思っていらっしゃる?
メイガスは搭乗者の魔力を糧に稼働し、その技術や膂力を大幅に向上させる。
アヴァロマリア・イーシュヴァリエのようなサイキッカーも同様だ――といっても、これまでのエンドブレイカー世界にサイキッカーがいたとは思えない。存在していたとしてもメイガス乗りになっていた例は皆無だろう。つまりアヴァロマリアが、メイガスとサイキックの初のコラボレーションということになる。
その力は絶大だった。
「今の感じなら……えいっ!」
アヴァロマリアは見えない巨大な手で、金剛石の巨人を押しつぶすイメージを思い描いた。
数倍にまで増幅された念動力が、キネシスとなってそれを現実にする。析出再生しつつある巨人は、見えない神の掌に押しつぶされたかのようにメキメキと破損しながら海面に叩きつけられる!
オオオオォオオォオォオ――!!
おそらくは憤懣。感情なきエリクシルにそれほどの咆哮を上げさせるほどに、アヴァロマリアのサイキックは強化されていた。
「ここから先には、行かせないんだから!」
マリアは再びイメージを育てる。次はふたつの手で、敵を押し出すイメージ……上方向から瞬時に水平ベクトルに移動したキネシスが、すさまじい圧力で巨人を押す! 高波ごと斜め上に舞い上げられる巨人!
「よ、よーし……直接攻撃っ!」
アヴァロマリアは一気に敵に接近した! そして!
「メイガスパンチ!」
マニピュレータを拳の形に握りしめ、巨人に叩きつける!
「メイガスキック!」
脚部をさらに叩きつける!
「それから……メイガスヘッドバッド!」
そしてKRAAAASH! コクピット付近を思い切り叩きつける! どうでもいいがさっきからネーミングセンスが壊滅的だ! おまけにコクピット付近を激突させたので、アヴァロマリアにもすさまじい衝撃が帰ってきた!
「あうう……目がくらくらする……っ」
空中でくわんくわんと体勢を崩すアヴァロマリア。だが巨人は反撃できない……打撃と同時に流し込まれたサイキックエネルギーが、析出再生を阻害するネガティブな力となって巨体を駆け巡っていた。そして爆発! 内部で爆弾が炸裂したかのように巨体の一部が爆ぜる!
「あっ……え、えーと! 今のがメイガスアタックだよ!」
びしぃ! アヴァロマリアはカッコよく見える感じで巨人を指さした。どのへんがメイガスなのかは触れぬが華である。
大成功
🔵🔵🔵

マウザー・ハイネン
メイガス…私自身は乗り込んだことはないですが、使い方は知っています。
制限速度を守…る必要はないとしても廃メイガスにしないよう努めねば。
借り物は大切に、です。
銀の塔のメイガスをお借りしますね。武器は氷槍で行きましょう。
さあ全速力で行きましょうか、とUC起動。
摩擦極限まで減らした氷で周囲の地面を覆い、氷を滑走する形で巨人に仕掛けます。
光線はスケートの要領で華麗に躱しつつすれ違いざまに氷の魔法を纏わせた槍で削り取るよう貫きます。
反撃も警戒し攻撃直後にフェイントをかけて方向転換、戦場を滑走しつつ強化された氷槍でしつこく貫き体力を削り、最終的に胴の中心を背中側からぶち抜きましょう。
※アドリブ絡み等お任せ
●終焉の終焉
パキ、パキキ……と、ガラスが軋むような音が静かに響く。
まるでスタート直前のドラッグレースじみた、静寂と緊張。メイガスのコクピットから、海上に屹立する巨躯を臨む灰色の瞳。
マウザー・ハイネンの心は凪いでいた。
「再生は……必要最小限で抑えられているようですね。ならば、あと一撃」
パキ、パキキ……音の正体は、彼女のマニピュレータに握りしめられた『教皇の氷槍』である。矛から溢れた極低温の魔力が、海水を凍りつかせているのだ。
闇雲な連続攻撃では、敵に再生のチャンスを与えてしまう。ただ一撃、それを以て完全な核を破壊する――これまでの熾烈な攻撃で弱まった今の巨人ならば可能なはず。
そのためには、極限の集中を要する。二度目はない決死の片道切符だ。
パキ、パキキ……澄んだ氷の音が、マウザーの心を凪がせる。今は使命も世界の窮状も何もかもが抜け落ちて、敵だけが一面の蒼に浮かんでいた。心地よい緊張だった。
「借り物は、大切にしなければ」
瞼を閉じる。冷え切った空気を吸い、身体の中の熱を追い出すように倍以上の長さで吐き出す。思考が
明瞭になっていく――。
「全速力で、行きます」
出撃。
背面から蒼色の魔力が噴射され、メイガスを押し出した。静から動へ瞬時に転じたそのスピードは、音さえも置き去りにする。
摩擦抵抗は極限までカット。魔力で凍りついた海が、レッドカーペットならぬ蒼の
突入経路を作り出す。彼方に見えた巨体が一気に膨らむ! 接敵!
――オオオォォオォォオオオ!!
巨人は残された力を解き放った。太陽光を取り込み乱反射するプリズムめいて、極彩色の光線が全身から放たれる。それは万色の檻とでもいうべき、隙間なき範囲攻撃。
ラクダを針の穴に通すが如きその間隙を、マウザーはなめらかに抜けていた。最初から光がマウザーを避けていたようにすら思えるほどに、見事な突撃だった。
「貰いました」
巨体をすれ違ったマウザーは、強烈なGを受けながら魔力で強引に180度
転換。倍の速度で加速し、一気に氷槍を胸部に――突き刺す!!
振り向く間もなく、背中から串刺しにされた巨人は遠吠えめいて叫んだ。
それは断末魔だ。エリクシルの全身が罅割れ、そして砕け散る――パキンと澄んだ音。
散っていくかけらは、太陽光を浴びてキラキラと海面に瞬いた。
それは、銀色の雨のようにも見えた。
大成功
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