エンドブレイカーの戦い⑦~三戒律の塔
●迫るもの
此処は三塔戒律マギラント。
伝説の七勇者の一人によって建国された、魔術研究に優れる都市国家だ。
この都市のシンボルは『黒の塔』『緑の塔』『銀の塔』からなる三つの塔。各々の塔主によって分割統治されている地でも今、危機が迫っている。
ギチギチと奇妙な音を立てながら迫っているのは奇妙な軍団。
宝箱のような見た目をしたモンスター達はこの都市を攻め落とすために大量に集っている。鋭い爪による攻撃は勿論、擬態してからの破壊光線などはとても厄介だ。
このままではマギラントは破壊されてしまうのだろうが――そんな未来は、訪れない。
終焉を終焉する。この危機を察知した猟兵にもまた、先を導く力があるからだ。
●従者と共に
「三塔戒律マギラント。此処は僕がよく拠点にしている都市でもあってね」
知り合いもいるし思い入れも深いんだ、と語ったイスルギ・アイゼン(灰雨・f38910)は今の状況を語る。都市に押し寄せているのは機械の爪を持つミミックと呼ばれるモンスターだ。
何もしなければマギラントは無惨に攻め落とされてしまうだろう。
だが、この軍勢に対抗する為にマギラントの塔主達も動き出していた。援軍に来てくれる猟兵に魔導生物兵器である『従者兵器』――改造悪魔『レッサーデモン』・魔装昆虫『アサルトバグ』・機械妖精『マシンフェアリー』の三種類を貸し出して戦うことを示してくれたのだ。
「従者兵器は名前そのままの見た目と能力を有しているよ。使役者の指示に従って戦うから上手く連携してみるといい。指示は難しくなるけれど三種すべてと戦ってもいいし、相性の良い子だけを選ぶのもいいね」
ミミックは大群だが、此方も数で押すことが可能だ。
この戦争の機先を制するためにも――さぁ、従者兵器達と共に敵の大群に立ち向かおう。
犬塚ひなこ
こちらは戦争『エンドブレイカーの戦い』のシナリオです。
三塔戒律マギラントにモンスターの大群が攻め込んでいます。三塔の塔主が貸してくれる従者兵器と共に、敵を蹴散らしましょう!
●プレイングボーナス
『従者兵器を指揮して一緒に戦う』
『レッサーデモン』は闇の力を用い、『アサルトバグ』は虫らしい戦闘方法、『マシンフェアリー』は機械の妖精剣を使って戦います。彼らは言葉を喋ることはありませんが、皆さまの指示にしっかり従ってくれます。
どの子と一緒に戦うかなどはご指定ください。従える種類の数では有利不利は変わりませんので指示の内容や戦い方で工夫していきましょう! どうぞよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『ミミック』
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POW : ドリルクロー
【機械の爪】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
SPD : ミミックビーム
自身の【宝箱(頭部)の中】から極大威力の【破壊光線】を放つ。使用後は【擬態解除】状態となり、一定時間行動できない。
WIZ : 擬態からの不意打ち
【宝箱に擬態していた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
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キトリ・フローエ
マシンフェアリー!
機械で出来た妖精さんなのね
すごいわ、とっても格好良い!
思わずまじまじと見てしまうけれど
その前に敵をやっつけなくちゃ
ふふ、今日はよろしくね!
さあ、皆で力を合わせてやっつけるわよ!
あたしも剣を持ってくればよかったかしらなんて思いつつ
機械妖精の皆と一緒に素早く飛び回りながら空中戦で戦うわね
一斉に攻撃すれば擬態なんてする暇もないんじゃないかしら
もっとも、こんな状況で偽物の宝箱に騙されることなんて
そもそもないでしょうけれど!
機械妖精が攻撃してくれている間にあたしは魔力を溜めて高速詠唱
ベル、あたし達の力を見せてあげましょう!
杖に呼びかけ、全力の空色の花嵐で
ミミックたちを纏めて攻撃するわ!
サツキ・ウカガミ
塔主様、ありがとう。レッサーデモンの指揮権をお借りするね。
さぁ、まとめて蹴散らすよ!
狙うは先手必勝!
何かされる前に、極力潰したいね。
なるべく遠距離から、[不意打ち]で集団のど真ん中に【虚空弾・改】。
皆纏めて、圧縮してあげるよ!
攻撃は[見切り]で対処。
虚空弾が広がっている間に、ボクは闇の外から[気配感知]して[斬撃派]でミミックを攻撃。
レッサーデモンも、攻撃をお願い。でも、闇の中は高圧縮状態だから、無理しないで出来る範囲でね。
闇が晴れたら、敵のダメージが残っているうちに、まだ動けるのを狩ろうかな。
[ダッシュ]で近づきどんどん[なぎ払い]!
レッサーデモンも総員突撃!
マギラントには、入らせないよ!
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
やや、宝箱に擬態しての不意打ちでっすかー。
ですがですが果たして、藍ちゃんくんの歌を聞いてもじっと宝箱のふりをし続けられまっすかー!?
うきうきさせちゃうのでっすよー!
そしてそしてそして!
じっとしてられなくなって擬態時間を稼げなくなったところを皆々様、出番なのでっす!
今日の藍ちゃんくんはプロデューサーでもあるのでっしてー。
悪魔さん、昆虫さん、妖精さんのスペシャルユニットをプロデュースしちゃうのでっす!
妖精さん前衛、悪魔さん後衛で、バグさん遊撃なのでっすよー!
藍ちゃんくんは索敵と指揮といったとこでっしょうかー!
おびき寄せられたミミックさん達にスペシャルライブなのでっす!
●守り抜く戦い
三つの塔の統治によって成る都市国家・マギラント。
戦いの気配はこの地にも迫ってきており、放っておけば都市はおろか人々にまで被害が及ぶ。この都市に集った猟兵達は其々の塔から貸し与えられた従者兵器をお供につけ、モンスターを迎え撃つ準備をしていた。
「塔主様、ありがとう。レッサーデモンの指揮権をお借りするね」
サツキ・ウカガミ(
忍夜皐曲者・f38892)は黒の塔から来たレッサーデモンを傍に置き、ミミック達の大群を見据えた。
揺らめくレッサーデモンはサツキの傍にそっと控えており、次の指示を待っているようだ。
その近くにはキトリ・フローエ(星導・f02354)が翅を羽ばたかせており、自分が選んだ従者兵器を見つめている。
「あなたがマシンフェアリー! 機械で出来た妖精さんなのね」
キトリと同じか、それより少し大きいくらいだろうか。
機械妖精もまた翅に当たる部位を無機質かつ格好良く揺らしており、隣に浮遊している。
「すごいわ、とっても格好良い!」
自分との相違点が気になったキトリは思わずまじまじとマシンフェアリーを眺めた。けれどもすぐにはっとしたキトリは敵の方に向き直る。
「その前に敵をやっつけなくちゃ。ふふ、今日はよろしくね!」
「さぁ、まとめて蹴散らすよ!」
キトリとサツキはマシンフェアリーとレッサーデモンに信頼を寄せ、モンスター退治に挑む気概を抱いた。
其処へ三塔すべての従者兵器を連れてきたのは、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)だ。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
今日の藍ちゃんくんはアイドル兼プロデューサー。
マシンフェアリーが前衛、レッサーデモンは後衛。アサルトバグが遊撃隊という指示を付け、果敢に戦う従者兵器隊を作り上げているからだ。
「悪魔さん、昆虫さん、妖精さんのスペシャルユニットをプロデュースしちゃうのでっす!」
いくのでっす、と言葉にした藍は指先を敵陣に向ける。
宝箱擬態型の魔物だが、此度は騙されることなどない。この都市を滅ぼそうとしてくるゆえに擬態解除を行うことが多いこともあるが、街中の宝箱ほど目立つものもないだろう。
破壊光線を放とうとするべくミミックは頭部を開いた。されど、それよりも早く動いたのはキトリ達だ。
「皆で力を合わせてやっつけるわよ!」
キトリの声に合わせてマシンフェアリーが飛んでいく。機械の妖精剣を振るってミミックを突き刺す従者兵器を瞳に映し、キトリも空色の花嵐を巻き起こした。
あたしも剣を持ってくればよかったかしら、と思いつつ力を広げるキトリ。その周囲にはきらきらと煌めく青と白の花が舞っていった。機械妖精が花と共に飛び交う様は美しく、悪しき魔物など寄せ付けない雰囲気だ。
キトリはそのまま機械妖精達と一緒に素早く飛び回り、空中戦を仕掛けていった。
同様にサツキも先手必勝の意思を持ち、ミミックに攻撃を放ってゆく。
「あれに何かされる前に、極力潰したいね」
サツキが狙うのは遠距離からのアプローチ。出来る限り距離を取ったサツキは不意打ちを狙うべく、ミミック集団の中心に向けて虚空弾・改を解き放った。
「皆纏めて、圧縮してあげるよ! 皆、続いて!」
呼びかけたのは勿論、レッサーデモン達。
虚空弾が広がっている最中に従者達が闇の力を広げ、ミミックを包み込む。その間にサツキは闇の外からの攻撃を狙い、斬撃派でミミックを貫いていく。
だが、元来の習性なのかミミック達は宝箱に擬態していた。
「やや、宝箱に擬態しての不意打ちでっすかー。ですがですが果たして、藍ちゃんくんの歌を聞いてもじっと宝箱のふりを続けられまっすかー!?」
藍はくるりとその場で回り、ミミックの気を引く言葉と動きを紡ぎはじめた。
「うきうきさせちゃうのでっすよー! そしてそしてそして!」
――じっとしてられなくなって擬態時間を稼げなくなったところ。それが今回のスペシャルユニットの出番だ。
「皆々様、今なのでっす!」
掛け声の後に藍が響かせたのは、心無きものですらハイテンションになる歌声のユーベルコード。
まずマシンフェアリーが剣で一閃していき、続いたレッサーデモンが闇の魔弾を撃ち込む。よろめいた宝箱が口をあけたところでアサルトバグが一気に突撃していく。
藍の指示を忠実に守る従者兵器に続き、サツキの傍についていたレッサーデモンも果敢に攻撃を続けた。
「その調子だよ。闇の中は高圧縮状態だから、無理しないで出来る範囲でね」
レッサーデモンのことも気遣いながらサツキは素早く駆け回る。
キトリもミミックを狙い撃ち、自分達が優勢であることを確かめていた。
「このまま一斉に攻撃すれば擬態なんてする暇もないんじゃないかしら。もっとも、こんな状況で偽物の宝箱に騙されることなんて――そもそもないでしょうけれど!」
機械妖精が攻撃してくれている間にキトリは魔力を溜めていき、次の詠唱を紡ぐ。
仲間の連携を見て嬉しく、楽しくなってきた藍は高らかに宣言した。
「藍ちゃんくんたちは最強なのでっす! 三塔と猟兵のスペシャルライブをご堪能あれ、でっす!」
そして、サツキ達が仕掛けた闇が晴れた瞬間。後は敵のダメージが残っているうちに、まだ動けている状態の相手を狩るのみ。忍者然とした動きで以てサツキは駆け抜け――ひといきに敵陣を薙ぎ払う。
「レッサーデモンも総員突撃! マギラントには、入らせないよ!」
「その通りなのでっす。お帰りくださいませでっすよー!」
藍は従者兵器と共に更なるライブを行なった。キトリも杖に呼びかけ、全力の空色の花嵐を解き放つ。
「えぇ、絶対! みんなにベル、あたし達の力を見せてあげましょう!」
歌と闇弾、そして花。
その軌跡はマギラントの空に高く広がり、勝利を導く一閃となっていった。
大成功
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朱赫七・カムイ
◎
世を荒らす者に神罰を
呪詛と共に放つ禍殃ノ淘汰──このみみっくとやら…数が多く厄介だ
斯様な局面を乗り越えてこそ私も神として成長できる筈
魔導生物兵器とは浪漫
ホムラは、ましんふぇありーと共に戦いたいのか
彼らを率いて空から不意打ち攻撃とはなかなかに勇ましいね
ホムラは隊長を頼むよ
イザナが推すのは、れっさーでもん、か……
闇の力か…禍津神らしくてよいかもしれない
え?彼奴なら完璧に従えられるだろう、と惚気られても
其れは私にも出来るという事
イザナは結界で皆を守ってくれ
ホムラと妖精により空から撹乱し
悪魔の闇に絡めて一部に集め
呪厄と共に禍殃ノ淘汰の神罰をおとし滅する
擬態など無駄なこと
この地に厄は約されていないのだ
●閃く銀と闇
――世を荒らす者に神罰を。
世界の危機を察した今、守るべきはこの都市の住民達。
朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)は真っ直ぐな眼差しを敵陣に向け、神刀『喰桜』を構えた。
「悪いが容赦はしないよ」
宣戦布告としての言葉と共に紡いだのは呪詛。それと同時に禍殃ノ淘汰の力が戦場に巡っていく。それは刃を向けた相手の存在を理ごと淘汰する、禍殃の斬撃。
擬態しようとしていたミミックが一撃によってよろめく最中、カムイは敵の数の多さを確かめた。
「このみみっくとやら……数が多く厄介だ」
一体ずつ直ちに葬ってしまえばいいものだが、斬っても斬っても次が現れる。数で押して来ようとするのが解っているゆえに此方も攻撃の手を止めてはいけないだろう。
だが、斯様な局面を乗り越えてこそだ。
「怯まず、弛まず。これならば私も神として成長できる筈」
この世界の未来を勝ち取ると同時に、己が望むものへと昇華できるように。
カムイは強い思いを懐きながら傍らを見遣る。其処にはお供のホムラと一緒に魔導生物兵器――マシンフェアリーが浮遊していた。更にはイザナがレッサーデモンを従えており、大きく腕組みをしている。
「ホムラ、ましんふぇありーの皆と共に進もうか」
「ちゅん!」
カムイが呼びかければホムラが勇ましく鳴いた。
「先ずは任せた」
レッサーデモンと共に前に踏み出したイザナはホムラの勇姿を見守るつもりらしい。
彼らを率いたホムラは空高く飛び上がり、ミミックをしかと捕らえた。そのまま急降下していくホムラと機械妖精達はミミックへと不意打ち攻撃を仕掛けてゆく。
「なかなかに勇ましいね。ホムラはこのまま隊長を頼むよ」
「ちゅちゅんぴぃ!」
「イザナもれっさーでもんと仲良くなっているようだね」
「ああ」
カムイは自分でもミミックに対抗しながら、イザナの様子を確かめる。揺らめく影は闇を内包しており、実に禍々しい見た目ではあるが仲間ならば心強い。
「闇の力か……禍津神らしくてよいかもしれない」
「彼奴なら完璧に従えられるだろう」
「え? ……惚気かい、イザナ」
しかし、それは自分にも出来るということだ。イザナは結界で皆を守ってくれ、と告げたカムイは更なる斬撃を放ちにかかった。ホムラと機械妖精は空から撹乱していき、悪魔の闇に絡めながら一部に集めてゆく。
そして――呪厄と共に禍殃ノ淘汰が巡れば、神罰が落とされた。
滅する力をまともに受けたミミックは擬態も破壊光線も行うことなくその場に倒れていった。
「擬態など無駄なこと」
それに、と言葉にしたカムイは目の前のミミックを一閃のもとに斬り伏せる。
「この地に厄は約されていないのだ」
其の言葉と共に魔物は形を失くし、元から何もなかったかのように崩れた。
マギラントの危機が消え去るまで――幾度でも、何度でも。カムイとホムラ、イザナ。そして従者兵器達が織り成す戦いは此処からも続いていく。
大成功
🔵🔵🔵
マウザー・ハイネン
従者兵器…懐かしいですね。
黒の塔で研究してる我が主が使ってみたらと言ってきたのでレッサーデモンをお借りします。
流石にUCの模倣は無理でしょうが十分です。
マギラントを守る為に…いざ。
死角減らすよう陣形組み指揮。
負傷したレッサーデモンは後退して万全の個体と入れ替わらせなるべく戦力を減らさぬようにします。
擬態は速攻で見破りましょう。UC起動し吹雪を周囲に放ちます。
感知出来たらレッサーデモンに伝え一斉攻撃させて、更に速攻で氷の魔力を纏わせたランスで思いっきりぶち抜きましょう。
途中で邪魔されたなら向こうの行動成功率上昇もそれ程でない筈、混乱に一気に畳みかける形で仕留めていきますね。
※アドリブ絡み等お任せ
フリル・インレアン
ふええ、なんで宝箱を開けていないのにミミックさんに襲われるんですかー?
ふえ?それはこの都市国家を作った勇者さんのせいじゃないかって、そうなんですか?
宝箱を開ける前から破壊光線で攻撃してきて、攻撃したら擬態解除って、これを作った人は性格が悪すぎます。
とりあえず、美白の魔法で破壊光線を防ぎましょう。
そして、空いた宝箱状態のミミックさんをみなさんで攻撃していきましょう。
従者兵器のみなさんも一緒に頑張っていきましょう。
あの、みなさん喧嘩だけはしないでくださいね。
ふえ?なぜわざわざそんな事を言うのかですか?
何故か言わないといけないような気がしたので、
あとアヒルさんもしっかり指揮してくださいね。
ミツバ・カナメ
集団で都市機能の破壊を企む集団、つまりは暴徒だね!
世界は違っても違法行為は許さないんだから!
マシンフェアリーの子達をお借りして一緒に戦うよ。
さあみんな、出動だよ!
敵は擬態が得意ってコトだけど、擬態先が宝箱…つまりは物ってコトなら。
水を浴びせれば本物か偽物か判断はつけられそうだよね。
というわけで、暴徒鎮圧用放水銃で攻撃!
そうして擬態が解けた敵を、マシンフェアリーの皆に集中攻撃して倒していってもらうよ。
反撃を試みる敵がいれば、ディスチャージ・ロッドで【電撃】を浴びせて追撃。
抵抗は無駄なんだから大人しくしなさーい!
●三者三様
迫りくるモンスター集団。
敵影を見つめながら、ミツバ・カナメ(みんなを守るお巡りさん・f36522)は強く身構える。
「集団で都市機能の破壊を企む集団、つまりは暴徒だね!」
そういったものを取り締まるのが普段からのミツバの役目。
都市国家という場所であっても住民や無辜の人々が苦しい目に遭う可能性があるならば放ってはおけない。
「世界は違っても違法行為は許さないんだから!」
「従者兵器……懐かしいですね」
嘗ての戦いや交流を思い返していた、マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)も静かに頷く。
黒の塔で研究を行なっている主が使ってみたらどうかと勧めてきたので、マウザーは此度の相棒にレッサーデモンを選んでいる。闇の悪魔達は揺らめきながら、マウザーの指示を待っているようだ。
「流石にユーベルコードの模倣は無理でしょうが十分です」
いざ、マギラントを守る為に。
マウザーとミツバはそれぞれの決意を胸に抱き、戦いを挑むために駆け出した。
その間、フリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)も戦いの準備を整えていたのだが――はミミックの大群に困惑していた。
「ふええ、なんで宝箱を開けていないのにミミックさんに襲われるんですかー?」
こういった魔物はダンジョンなどに潜んでおり、本当の宝箱と間違えたときに襲ってくるものだ。
すると、フリルの傍にいるガジェットのアヒルさんがグワグワと鳴いた。
「ふえ? そうなんですか?」
それはこの都市国家を作った勇者のせいではないか、とアヒルさんは語っているようだ。このミミックは宝箱を開ける前から破壊光線で攻撃してきて、攻撃を行えば擬態を解除するらしい。
「それなら、これを作った人は性格が悪すぎます」
そんなものがこの都市国家を襲っているのならば黙ってはおけない。
フリルは構えを取り、美白の魔法での援護に入ることにした。破壊光線を防いでいる間に仲間達に攻撃してもらう狙いだ。フリルの動きを察したミツバは前へと踏み出し、従者兵器達に呼びかける。
「さあみんな、出動だよ!」
ミツバが従者として選んだのはマシンフェアリーの子。
機械の妖精達は各々が剣を持っており、ミツバの指示を待っているようだ。敵は擬態が得意だということだが、擬態先が宝箱という形を取るようだ。
「つまりは物ってコトなら……水を浴びせれば本物か偽物か判断はつけられそうだよね!」
ミツバが思いついたのは単純かつ効果的な方法だ。
――と、いうわけで。
発動、暴徒鎮圧用放水銃!
「頭を……ううん、箱ごと冷やされなさーい!」
何処からともなく持ち出してきた放水銃を敵に向け、ミツバは高圧水流を解き放つ。その水圧はミミック達の擬態を見事に解き、動きを鈍らせた。其処にマシンフェアリーが突撃していき、剣戟戦がはじまる。
だが、ミミック達も反撃を行おうとしていた。
それならば此方も対抗するのみ。ミツバはディスチャージ・ロッドを振り上げて電撃を浴びせていく。
「抵抗は無駄なんだから大人しくしなさーい!」
「ふぇ、その通りです。そのまま倒されてください……!」
フリルも有害な光から皆を守る蒸気を巡らせていき、自分の傍についている従者兵器に攻撃を願った。三塔の従者を連れているフリルはふと思い浮かんだことを告げる。
「あの、みなさんどうか喧嘩だけはしないでくださいね」
「グワワ?」
「ふえ? なぜわざわざそんな事を言うのか、ですか?」
アヒルさんがフリルの言葉に疑問を持つ。対するフリルは自分でも首を傾げながら少し考え込んだ。おそらく何らかの過去が引っかかったのだろうが、今は戦いに集中するとき。
「何故か言わないといけないような気がしたので……えっと、あとアヒルさんもしっかり指揮してくださいね」
「グワッ!」
フリルとアヒルさん、そして従者兵器達。
果敢に戦う仲間達は次々とミミックを倒し、その数を着実に減らしてゆく。
「皆さん、次はこちらです」
続いてマウザーがレッサーデモンに指示したのは、死角を減らすよう陣形を組むこと。
指揮を行なっていくマウザーに対し、レッサーデモンは忠実に従ってゆく。ミミックは数が多いものの動きは単純かつ、擬態されても容易に見破ることができる。
だが、問題は数で押されてしまうことだ。
「無理は禁物です。陣形の維持も大切ですが誰も倒れないようにお願いします」
負傷したレッサーデモンは後退させていき、万全の個体と入れ替わらせる。マウザーが重視しているのはなるべく戦力を減らさぬようにすることだ。
マウザーはユーベルコードを起動していき、激しい吹雪を周囲に解き放つ。
それに合わせてレッサーデモンが闇を操ればミミックが深く穿たれた。そして、相手の動きを見破ったマウザーはレッサーデモンにそのことを伝え、一斉攻撃に入った。
「――行きます」
更に速攻で身を翻したマウザーは、氷の魔力を纏わせたランスを全力で付き放つ。
思いっきりぶち抜く、という気概から放たれた氷獄。それは一気にミミックの集団の生命力を奪い取る吹雪と冷気となって敵を蹴散らした。
「混乱しているようですね。一気に畳みかけて仕留めていきましょう」
「ここからが勝負だね!」
「ふええ、頑張ります」
マウザーの呼びかけにミツバとフリルが応え、戦いは巡っていく。
それによってミミックは後退していくしかなく――戦いと勝利の天秤は猟兵の方に傾きはじめた。
大成功
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サフィー・アンタレス
◎
あまり種類がいても扱い切れない
レッサーデモンの力を借りるか
と云っても指示は得意では無いんだ
大量に居る敵を、なるべく多く倒してくれ
…これでしっかり伝わるか?
大量の敵ならば纏めて攻撃が効率が良い
雷を降らせて一気に片付けるか
味方や他の従者兵器達を傷付けないように注意を払いつつ
出来る限り多くの敵を倒すよう意識
レッサーデモンの動きを一応見つつ
攻撃の合間にこちらも仕掛けたり効率良く動く
こいつ等、意志はあるのか?
アルダワの蒸気機械は身近な存在だが、それとはまた違った存在だな
少しだけ、興味が湧いた
一応、レッサーデモンを壊さないように注意はしよう
貸し出されているものだ
しっかり主に返すのが礼儀だろう
リヴィ・ローランザルツ
嘗て魔術研究で世話にもなったし
思い入れだって沢山ある
自分の動きを考えマシンフェアリーを貸して貰おうかな
塔主の皆さんと手伝ってくれるフェアリーに感謝しつつ行こう
よろしくな
自分は軽業や空中起動を生かし相手を翻弄を心がける
UC六華の舞で相手の動きを阻害し成功したら、UC四重双撃で自分の分身とも連携し
互いに死角を作りながらアイスレイピアで多重射撃を仕掛けていく
相手の攻撃は見切りや軽業を使用し避けてゆくけど
光線を打たれてしまったら行動不能時間を使用させて貰い集中攻撃
フェアリーには少々前衛を頼むと共にその動きと連携をとって貰いたいな
声を掛けつ注意を促す事も忘れずに行いたい
確実に数を減らして行こう。
●雷雨双撃
響く剣戟、轟く光線の音。
マギラントの街には未だ大量のミミックが侵入しようとしている。
宝箱が都市国家を埋め尽くす未来があったとしても、それは猟兵の力によって潰えるものだ。現に今、多くの猟兵達が魔物を撃破して回っている。
「あと少しといったところだな」
周囲の状況を確認したサフィー・アンタレス(ミレナリィドールの電脳魔術士・f05362)は、傍に控えさせたレッサーデモンを見遣った。此処まで共に戦ってきた闇の悪魔は静かにサフィーに従っている。
「助かっている」
サフィーはそっと告げた。もとより指示は得意ではないが、このレッサーデモンはよく働いてくれている。先程に伝えた言葉は、大量に居る敵をなるべく多く倒してくれ、ということのみ。
「……しっかり伝わったということか」
このままの調子でやっていけばいいとして、サフィーは更なる敵に狙いを定めた。
同様にこの地で戦っているのはリヴィ・ローランザルツ(煌颯・f39603)だ。彼が従者として選んだのはマシンフェアリー。嘗て魔術研究で世話になったこともあり、思い入れもある存在だ。
「まだまだよろしくな」
自分の動きの補助と援護に回ってもらうにはマシンフェアリーが最適だった。リヴィは塔主の皆にも感謝を抱きながら、周囲を舞うマシンフェアリーに視線を向ける。
リヴィは自身が得手とする軽業や空中起動を活かし、ミミックの頭上を駆けた。
敵を翻弄していくリヴィに続いて機械妖精が剣を用いて魔物を貫く。其処に続いてサフィーが雷雨の力を巡らせていき、ミミックを纏めて狙った。
これほど大量の敵が存在するならば、こうして纏めて攻撃を行うのが効率もいい。
「……――」
降り注ぐ蒼い雷を降らせ続けるサフィーは一気にミミックを片付ける気概だ。その狙い通り、レッサーデモンが援護に入ってくれていることで効率は更にあがっている。
その際、サフィーが気をつけているのは味方や他の従者兵器達を傷付けないこと。
広範囲に雷を巡らせる今、この戦場はサフィーの舞台のようなものだ。サフィーはしかと注意を払いつつレッサーデモンと共に出来る限り多くの敵を巻き込む戦法を取っていった。
リヴィも六華の舞を発動させ、ミミックの動きを阻害する。見事に成功したことで勝機を感じ取ったリヴィは、マシンフェアリーに呼びかける。
「今だ、頼む」
機械妖精はすぐさまその声に応えた。リヴィはマシンフェアリーと互いに死角を補い合い、アイスレイピアによる多重射撃を仕掛けていく。地を蹴って高く跳んだリヴィはミミックの攻撃は見切り、空中で身を翻した。
光線は次々と迫ってくるが、それらもう脅威ではない。
マシンフェアリーには前衛を任せられると判断したリヴィは、的確な動きで以てミミックの数を減らした。サフィーも随分と減った様子の敵陣を眺め、軽く首を傾げる。
「それにしても――」
ミミックは無機質かつ機械的な動きをしていた。其処にふとした疑問を抱いたのだ。
「こいつ等、意志はあるのか?」
サフィーにとってアルダワの蒸気機械は身近な存在。だが、それとはまた違ったものだと思えた。それゆえに少しだけ、興味が湧いた。後でそのうちの一体をよく観察しようと決め、サフィーは身構え直した。
「レッサーデモン、そちらも気をつけてくれ」
今は自分の従者としているとはいえど貸し出されているもの。しっかり主に返すのが礼儀だとして、サフィーは雷の陣地に確りと立ち続けた。
「このまま確実に数を減らして行こう」
「ああ、狙うは全滅だ」
リヴィの言葉にサフィーが同意を示し、二人と従者兵器達は更なる攻勢に入っていった。
雷撃が轟き、剣魔融合の斬撃が疾走る。
美しくも力強い軌跡は勝利を飾るための色彩となり、戦場を鮮烈に染めあげてゆく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユヴェン・ポシェット
アサルトバグに、相手の周囲を飛び廻り注意を引いて貰いたい。奴等の視線が定まらない様に常に飛び続けて欲しいのだが、頼めるだろうか。
隙さえつくって貰えればロワと共に突撃。まずは、あの長い脚を狙って攻撃する。続けて、頭部を槍で狙い破壊する。
…とはいえ、あの箱頭からとんでもねぇもん出されたら…嫌だしな。ミヌレに俺の盾を預けておく。
槍の先端に布盾『sateenkaari』を巻き付けておけば、相手の目前で広げ視界遮る事も可能だろう。それにあの箱の穴塞ぐ事ができれば中からの攻撃を防げるかもしれない。まあ、動きを多少抑えるくらいはできるだろう。
それに気になるのはあのデカい錠前。ただの飾りかもしれないが、下手に手を出すのもな…。頭部への攻撃があまり効果がなければ狙いをそちらに変えてみるか。
危険を察知したらアサルトバグには俺たち元へ来る様に伝える。
但しまっすぐではなく、ふわふわと動きを定めずに、だ。できるだろう?
そこまでやってくれれば充分。
その間に俺達がまっすぐ敵へ突き進むのみ。
さぁ いくぞ ロワ、ミヌレ。
●相棒と共に
響くのはアサルトバグの羽音。
激しく飛び回る従者兵器は今、ミミックの大群を翻弄するために動いている。
「そのままの勢いで頼む」
それらの一時的な主として、ユヴェン・ポシェット( ・f01669)はアサルトバグへと声を掛けた。マギラントを守る戦いが始まってからこれまで、彼は街にミミックを近付けぬよう立ち回っている。
マギラントを破壊しようと迫ってくる魔物たちは数が厄介だ。
しかし、周囲を飛び廻られては向こうも注意するしかない。奴等の視線が定まらないように、或いは街に意識を向けさせないための策は実に上手く巡っている。
その間にユヴェンは死角に回り込んでミミックを槍で貫くという戦法を取っていた。
今までに倒してきた数は十数体。
この連携があるからこそユヴェンは見事なまでの戦績をあげ、都市国家にとっての脅威を潰している。
「常に飛び続けるのは疲弊するかもしれないが、助かっている」
近くを飛ぶアサルトバグに呼びかけ、感謝を述べたユヴェン。兵器と名のつくものであってもアサルトバグとて疲れを感じないわけではないと考えてのことだ。
すると、アサルトバグはこれまでとは違った羽音を鳴らして応える。
「そうか。大丈夫、か」
不思議ではあったが、ユヴェンはアサルトバグが伝えたいことを理解できていた。頼もしさを感じたユヴェンは双眸をそっと細め、自らも戦い続ける気概を抱く。
ミミックはというと、アサルトバグに翻弄され続けていた。
こうして隙さえ作って貰えれば後はこれまで通りに敵を葬っていくだけ。
「ロワ、行けるか?」
黄金の獅子に語りかけたユヴェンは槍を構え直した。名を呼ばれたロワもアサルトバグの頑張りを感じているらしく、雄々しく吠えることで戦いへの意思を示す。
頷いたユヴェンはロワと共に突撃していった。まずは――あの長い脚を狙って攻撃することを重視。
其処から続けて、頭部を槍で狙って完膚なきまでに破壊する。
一連の流れは瞬きの間に行われるが如く。隙を見せた相手ならばロワとユヴェン、そしてアサルトバグの連携によって一瞬程度でかたをつけられた。
だが、油断は禁物。
「上手くいったな。……とはいえ、あの箱頭からとんでもねぇもん出されたら――」
嫌だしな、と呟いたユヴェンは気を引き締める。
既にミヌレに盾を預けており、槍の先端に布盾を巻き付けてある。突撃一辺倒ではなく、相手の目前で布を広げ視界を遮るのもまた戦法のひとつだ。
ミミックは攻撃を行おうとしているが、アサルトバグが遮ってくれている。
それに加えて、あの箱の穴を塞ぐ事ができれば中からの攻撃を防げるかもしれない。たとえ失敗したとしても動きを多少抑えるくらいはできるだろう、というのがユヴェンの考えだ。
それに気になるのは――。
「あのデカい錠前。ただの飾りかもしれないが、下手に手を出すのもな……」
「きゅ?」
一度、後方に下がったユヴェンが警戒を見せる。その様子に気付いたミヌレは首を傾げていた。
「怖がっているわけじゃないんだ。心配ありがとうな、ミヌレ」
「きゅっ!」
ユヴェンからの返答を聞いたミヌレは応援の鳴き声をあげた。ユヴェンはミヌレの頭を軽く撫でた後、戦法を変えていく方針を取る。あの頭部への攻撃があまり効かない相手もいるようだ。ならば、狙いをそちらに変えてみるのみ。
「アサルトバグ達も無理はするなよ」
何かあればすぐに自分たちの元へ来るように、と伝えたユヴェンは万全の体勢を取っている。アサルトバグもユヴェンの声を聞き、体力が少なくなったものから移動してきた。
「但しまっすぐではなく、ふわふわと動きを定めずに、だ。できるだろう?」
ぶん、と再び羽音が返ってくる。
それが肯定の意味だと理解したユヴェンは薄く笑む。ユヴェンの指示と言葉を十二分に理解しているアサルトバグは実に頼もしい仲間だ。マギラントの従者兵器の強さを実感したユヴェンは気合いを入れた。
次はその間に、自分たちがまっすぐに敵へ突き進むのみ。
「さぁ――いくぞ。ロワ、ミヌレ」
黄金の獅子と鉱石竜を呼び、ユヴェンは得物を構える。
そして、その刃の切先が標的を捉えていき――激しい一閃が悪しき魔物を貫いた。
●決着の時
猟兵たちは今、勝利を確信していた。
あれほどに大群だったミミック達は一体残らず倒れており、破壊されているからだ。
マギラントに攻め込んだ軍勢のひとつはこれで潰え、住民や都市そのものへの破壊行為は防がれた。誰もが懸命に戦い、この世界の平穏が戻ることを願っている。
此処から戦いはまだ続くのだろうが――この勝利は絶対に揺るがぬものとして刻まれた。
大成功
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