【ノベル】魚人退治 夏の海洞にて
●海洞の雪妖怪
「ここがお化けが出るって噂の洞窟?」
「情報によれば、そうです。」
冷えた夜、薄暗く、磯臭く、やや緑青がかかった海辺の洞窟。
御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)と、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は、UDC組織から「『某所の海辺の洞窟の夜に、お化けが出る』という報告の調査」を命じられてやってきた。
「それにしても珍しいの。ゆきのんがポーラ誘ってくれるなんて。」
「ただの気まぐれです」
「もしかしてなおなお(※ポーラリアの彼氏)からポーラ奪いたくなっちゃった?ゃー♪ポーラったらモテモテなうわわわわ!」
即座にポーラリアは雪乃に頬をつねられた。
先に進み、洞窟のひらけた場に足を踏み入れると、鮮やかなピンク色の、身長60cm程のウーパールーパーが二足歩行したかの様なUDCが、洞窟のあちこちに貼りつくように蠢き、二人に視線を光らせていた。
以降、魚人と呼ぶ。
「あれですか」
見敵必殺か。魚人の目が細まり、飛び掛かってくる。
雪乃の身体を通して冷気が
迸り、かざした手から強烈な吹雪が放たれる。
白い暴風を浴びた魚人はたちまち凍り付き、真白の彫刻と化してその場に倒れた。
「?…今ので終わり?」
思っていたよりもずっと手ごたえの無い魚人に対し、雪乃は何かを感じて頷く。
「ほわあ負けてられないの。ポーラもがんば…うきゃあっ!?」
氷のハンマーを作り出して飛び出したポーラリアを、制する様に吹雪の吐息を吹きつける雪乃。
「その様な鈍器で下すなんて生温い。いつものポーラさんに戻って遊びましょう。」
飛び掛かる魚人。の首元を容赦なく掴んだ雪乃は内側から吹雪を送り込む。
「この様に。」
泣きながら穴という穴に樹氷の如き氷が飛び出ながら凍てついた魚人に雪乃はサドい笑みを浮かべた。
何かのスイッチが入ったらしい。
「…綺麗」
そう言ったポーラリアは雪女の様な姿になっていた。
1体、また1体、魚人達が凍り付いていく。
何かやばいと感じた魚人達は一目散に逃げようとする。
雪乃は手を上にかざすと、洞窟の出入り口にシャッターの如く氷壁が降りてきた。
凍てついた入り口の壁に触れた魚人が次々と困惑の表情を浮かべながら一瞬で氷の中に閉じ込められていく。
その夜、付近を偶然通りかかった通行人は恐ろしいものを見たという。
次々と恐怖に染まった魚人の氷像を作り続ける、二人の雪女が舞う姿を。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴