あの人の事が、本当に
●
願いが叶うと噂の神社の裏手。
深夜の3時、そこにある大木に、願いを書いた紙を打ち付けると、その願いを神様が叶えてくれるのだという。
女子大学生である彼女──さつきは、家で書いてきた願いを書いた紙を胸に抱きしめて、早歩きで夜の街を歩く。
「神様、神様、神様っ
……!!」
一歩進む毎に、ぎゅうっと胸が締め付けられる。
あの人に、彼女が居たなんて。フリーだと思っていたのに。しかも、婚約までして、今度結婚式をするなんて。
あんなに優しくしてくれた。バイト先のコンビニの社員で、大人の余裕があって、同い年の男達にはない魅力があった。ミスしたら助けてくれて、落ち込まないでってコーヒーとか、プリンとか奢ってくれた。
「私、私……あの人が、本当に好きなの……誰かに取られるなんて……そんなの、耐えられないっ
……!!」
でも、一介の女子大学生である私にできる事なんて、たかが知れてる。だから、神様になんとかしてもらうんだ。私の願いを叶えてもらう。婚約者と別れれば、きっと私の方を見てくれる。私の事、好きになってくれる。そのためになら、私、幾らでも頑張れる。
「だから……お願い、神様
……!!」
神社のある森の手前まで辿り着いた頃には、もうすっかり息が上がっていた。ここから鳥居を抜けて、結構な段数のある石段を登って、100メートルほど先にある本殿の裏。鬱蒼とした森が囲むそこは薄暗いけれど、でも。
「っ……神様、お願いします!!」
ここ一週間、何度も何度もシミュレーションした。だから、大丈夫。きっと、ちゃんと目的の大木まで辿り着けるし、願いも叶う。
そう言い聞かせながら、さつきは階段を登り始める。
ひたすら己の薄暗い願いのみに集中している彼女は、気付かなかった。
彼女の歩いてきた道を、人ならざるもの──デウスエクスである屍隷兵が埋め尽くし始めている事に。
●
グリモア猟兵であるプルミエール・ラヴィンスは、ケルベロスディバイドにて発生する事件の予知を猟兵達へと語る。
「失恋したさつきという名の女子大学生の負の願いから発生するドリームエナジーを狙い、デウスエクスが彼女の命を狙っています」
現れるデウスエクスは十二剣神『原罪蛇メデューサ』の配下、螺旋忍軍の隠・登駆であり、さつきを殺してドリームエナジーとグラビティ・チェインを回収し、メデューサに献上しようとしている。
「隠・登駆は儀式を行っている最中のさつきさんを狙っているため、儀式の場所である神社の裏手の大木付近に身を隠しています。さつきさんがそこに辿り着き、殺される前に阻止しなければなりません。しかし、その前に邪魔を防ぐ為に配置された屍隷兵『キョンシーガール』を退けなければ、神社まで辿り着く事は困難でしょう」
つまり、まずはキョンシーガールの相手をしながらさつきを追いかけ、隠・登駆を撃破し、さつきを救出する、ということだ。
「彼女の願いは褒められたものではありません。しかし、その願いのために殺される謂れはありません。皆さん、彼女の救出、お願いいたします」
秋野
こんにちは、秋野です。
ケルベロスディバイトでの対デウスエクスの配下戦、ボス戦、危険区域からの一般人の救出の全3章の依頼となります。
●第1章
対キョンシーガール戦です。戦いつつ、神社へと進んでいきます。
●第2章
隠・登駆との戦いとなります。螺旋忍法の使い手です。
●第3章
デウスエクスの影響が強く、キョンシーガールがまだ周囲に残っている状況ですが、こちらも準備が整い、都市に配備されていた決戦装備が使用できます。それらを有効に使いながら、キョンシーガールを退けつつさつきを安全区域まで避難させます。
第1章 集団戦
『屍隷兵『キョンシーガール』』
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POW : 「ボコボコにするヨ」
【素手】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 「ギタギタにするヨ」
【正拳】【直蹴り】【回し蹴り】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ : 「生き血を頂くヨ」
噛み付きが命中した部位を捕食し、【生命エネルギー】を得る。
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
まったく……世界が違うとはいえ、筋違いの神頼みとそいつを食い物にしようって悪い奴らは変わらねぇのかよ。
相手がオブリビオンじゃねぇってのは不思議な感じだけど、黙って見過ごす訳にゃいかないんでね!
出てきやがれキョンシーども、気配を殺したつもりでもそのが良いと殺気は誤魔化せねぇぞ!
『ダッシュ』で石段を駆け登りながら、周囲にテレパスを張り巡らせて【超感覚網】を広げるよ。
アタシへの攻撃の『カウンター』だけでなく、他の猟兵やさつきさんへの攻撃へも『電撃』や『衝撃波』を飛ばして近寄られる前に排除しようと立ち回る。
特に衝撃波は『範囲攻撃』としても放ち、一気に道を開けて追いかけるよ!
シエナ・リーレイ
●アドリブ歓迎
オブリビオンじゃないの?とシエナは首を傾げます。
諸事情により積極的に『お友達』に迎えて良いのはオブリビオンと言い含められていたシエナ
デウスエクス達であるという相手に戸惑うけれど
遊びに誘われればシエナは喜んで応じます
仮初である[ジュリエッタ・リーレイ人形]に噛みついて来る『お友達』候補に苦笑しながら[怪力]で撫でまわしたり振り回して遊び、『お友達』候補が眠れば【ユーベル】によりお『お友達』に迎えようとします
そして、新たな『お友達』と共に更なる『お友達』を得る為に『お友達』候補と遊び始めます。
屍隷兵キョンシーガールが跋扈する街中。この位置から高台に見える森の奥が、さつきの向かった神社だ。
「オブリビオンじゃないの?」
首を傾げるシエナ・リーレイ
(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)に、数宮・多喜
(撃走サイキックライダー・f03004)も頷く。
「オブリビオンじゃないのはあたしもいまいちピンとこないけどね……筋違いの神頼みとそいつを食い物にしようって悪い奴らってのは変わらねぇらしい」
見過ごす訳にいかねぇよな、と続けながら、多喜は走る。その間にも自身の体を媒介に、身を守り敵を退ける為のテレパスのネットワークを張り巡らせるのは忘れずに。
さつきを救出すべく動き出した猟兵達に気が付いたキョンシーガール達。キョンシーガール達は攻撃目標を猟兵達に設定したらしく、それぞれの場所から猟兵達へと向かっていく。
「ねぇ、あなた……オブリビオンじゃないのに、わたしと遊んでくれるの?」
殺気を放ちながら接近するキョンシーガールの大きく開かれた口と、そこから覗く鋭く尖った牙のようなものは、確実にシエナを害する為のものだ。それを見てとったシエナは、ぱあっと表情を明るくさせる。
オブリビオン以外とは遊んじゃダメだって言われてたけれど……大丈夫、遊んで良い相手、かもしれない。
そう理解したシエナへと距離を詰めたキョンシーガールが大きく口を開けて、シエナが持つジュリエッタ・リーレイ人形へと噛みついた。
「もう、仕方ないなぁ……わたしが、遊んであげる!」
噛みついたままのキョンシーガールの頭を掴んだシエナは、そのままその頭を怪力でもって撫で回す。頭が曲がってはいけない方向に曲がり、ぐきっと嫌な音がしても、その手は止まらない。
「ここは任せて良さそうだね」
シエナの様子を見てそう判断した多喜の行手を阻むべく、立ち塞がるキョンシーガール達。明確な殺意を向けてくるキョンシーガール達へと、多喜は鋭く視線を向ける。
「私は、先に行くよ!!」
気合と共に放った衝撃波は、向けられた害意を変換したものである。相手の数だけ放たれたその攻撃は、キョンシーガールを進路から退かすには十分なものだった。
「早くさつきさんに追いつかないと
……!!」
そして、なるべく早く、彼女を保護しなければ。
多喜は神社への石段へ向け、キョンシーガール達が辺りを埋め尽くしつつある夜の街を駆け抜けるのだった。
大成功
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葉月・静夏
ドリームエナジー?この世界にもドリームイーターがいるのかな?
名前が同じだけで別物みたいだけれど、やっていることは私のいた世界とあまりかわらないね。
それなら、私も元の世界と同じように、デウスエクスを倒して狙われている人を助けるよ。
あまり敵の近くにいるのはよくなさそうね。移動しながら周囲を見回して、敵を見つけたら加速して接近しながら素早く【緩夏静拳】で攻撃していくよ。ユーベルコードの本領を発揮できないけれど、ゆっくりしていると危ないから仕方ないね。
本来は守りの戦いのほうが得意なのだけれど、今回は先手必勝を目指して頑張ってみるね。
ユナ・カプリース
アドリブ・連携◎
神頼み、ねえ。
まあ直接危害を与えない分いくらかマシなんじゃない?
少なくともこのデウスエクスとかいうやつらよりかはよっぽど平和的だと思うアタシである。
さて、相手はキョンシーか。ようするに動く死体だろ?
だったら火葬にしてやらないと。【指定UC】で『焼却』だー。
攻撃しようと突っ込んでくるなら、飛んで火に入る夏の虫。いや夏のキョンシー。
30cm以内に近寄らせないよう距離を取りながら、炎の『継続ダメージ』を与えてじっくりウェルダンに仕上げてあげよう。
おっと、周囲に燃え移らないように気をつけねば。
仲間の猟兵達により、キョンシーガールは数を減らし、神社に続く石段への道が開かれていく。
「急いだ方が良さそうね……」
見えて来た石段を確認しつつ、葉月・静夏(せい夏・f40839)は呟く。その視界の隅、路地の奥からキョンシーガールが飛び出してくるのが見える。
静夏の知っているドリームイーターとは、多分違うのだろうとは思うが、やっている事は大凡同じだ。そうであれば、静夏のやる事もかわらない。
狙われている人を助ける。その為には、まずこのキョンシーガール達を倒さなければならない。
「ギタギタにするヨっ!!」
宣言しつつ、キョンシーガールは片足を大きく振り上げて、回し蹴りを繰り出してくる。それを間一髪避けた静夏はそのまま一歩分退き、左の拳を握る。
「本当は守りの戦いの方が、得意なんだけどね……っ!!」
線香花火のような火花を纏った拳を、回し蹴りをした後の隙を狙って叩き込む。脇腹にその拳が直撃したキョンシーガールの身体を、静夏の拳を包むのとそっくりな、線香花火のような炎が包み込む。
「う、うぐっ
……!!」
そのまま燃え続けるキョンシーガールへと、静夏は再度拳を構える。
こうして二発目の拳を喰らったキョンシーガールの横を駆け抜けたユナ・カプリース(手足の生えた武器庫・f40410)は、その向こう側、石段の中腹に、人影を見た。
「あれがさつきさん、かな……?」
確かに彼女の願った事柄自体は良くないものに違いない。結果として他人の不幸を願うそれは、決して褒められた物ではない。しかし、ユナに言わせれば直接危害を加えようとしないだけマシである。少なくとも、デウスエクスとか言う奴らよりはよっぽど平和的だ。
「さて、相手はキョンシーか……要は動く死体だろ?」
石段との間に、ぴょこんぴょこんと身体を割り込ませてくるキョンシーガールに、ユナは呟く。
距離的にはあと少し。走ればすぐに追いつく程度。こいつらさえ片付けられれば、保護するのは容易いと思えるくらいには。
「攻撃しようと突っ込んでくるなら、飛んで火に入る夏の虫。いや夏のキョンシー」
接近しつつあるキョンシーガール達へ向けて、ユナは火炎放射器を構え、引き金に指を掛け。
「だったら火葬にしてやらないと。真紅の制裁で『焼却』だー」
そして、吐き出された炎は、キョンシーガール達を燃していく。轟々と燃え盛る真紅の炎と線香花火のような炎の燃える中を、猟兵はさつきを保護すべく、石段を駆け上っていくのだった。
成功
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太目・乃子
【POW】で勝負。
心情
この国では内心の自由は保障されている。実際に効果がある呪術でもないおまじないを試したところで、咎められるものでもないだろう。
まあ釘を使って木に紙を打ち付けたりすると器物破損にあたるかもしれないけれど。
私は警察じゃなくてケルベロスだから、とりあえずデウスエクスをぶちのめしてさつきを助ければいいだろう。
行動
石段を駆け上がりながら、UC【ストライク・イェーガー】使用します。
半径102メートル内のキョンシーガール達に射撃し続け、自身を含む味方の30cm以内に近づけさせません。
「邪魔。」
アレンジ・連携などお任せします。
猟兵達の働きにより、数を減らしていくキョンシーガール達。その間に生まれた隙間を縫って、太目・乃子(サキュバスの欠食児童・f40815)は石段を駆け上る。
「ギタギタにするヨ」
「ボコボコにするヨ」
左右の森から飛び出してくるキョンシーガール達。
ぴょこんぴょこんと跳ねては接近してくるキョンシーガール達に、乃子は装備したライフルで放つユーベルコード、ストライク・イェーガーで自動追尾で弾丸を叩き込んでいく。
走っているのと、相手の動きが上下左右に安定しないのとで一定数の弾丸が外れて木々や石段にめり込んでいるが、とにかく接近さえ許さず、猟兵達が前に進めればそれで良い。
倒す事よりさつきの安全を最優先、他は後でなんとかする。
その行動理念の元、乃子は石段を上へ上へと駆け上っていく。
「ギタギタにするヨ!!」
あと少しで追いつける、という程に、さつきの背中が見えた頃。運良く弾幕を抜け、ぴょこんと目の前にキョンシーガールが飛び出してきた。
頑張れば手が届く範囲の距離。しかし、乃子はそこから先の接近を許しはしない。
超近距離からライフルの照準を合わせ、そして。
「邪魔」
引き金を弾き、乃子はキョンシーガールを屠ったのだった。
成功
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第2章 ボス戦
『伝達者『隠・登駆』』
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POW : 螺旋忍法『爆傘(ばくさん)』
自身の【番傘】が触れた対象に【螺旋エネルギー】を注ぎ込み、身体部位をねじ切り爆破する。敵との距離が近い程威力増大。
SPD : 螺旋忍法『攻性植物招来』
【御札】からレベル×6体の【攻性植物】を召喚する。[攻性植物]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。
WIZ : 螺旋忍法『無殺界』
【番傘】から【エネルギー波】を放つ。ダメージは与えないが、命中した対象の感情から【殺意・害意・悪意】を奪う。
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「え? な、何……?」
ひとまずキョンシーガール達を退け、さつきに追いついた猟兵達。その音と気配とに気が付いたさつきが足を止め、振り返ったのは石段を登った上、神社の境内の前の平地部分であった。
「なんですか……私に何かご用でも……」
呪いをかけようとしていた所に後ろめたさを感じているのだろう、さつきの態度はよそよそしかった。
果たして、警戒しているさつきにどう説明したものか。
猟兵達がそれぞれにそう思考を巡らせ掛けた、その時。
「来ないなぁと思っていたら……こんな所にいたのね」
音も気配もなく現れた隠・登駆は、さつきへと手を伸ばす。
「さぁ、行きましょう? あなたの目的地は、もう少し先よね」
さつきと登駆との距離は、さつきと猟兵達との距離よりやや遠い。先に動けば、さつきを無事保護できる。
そう判断した猟兵達は、すぐさま次の行動に移った。
ユナ・カプリース
アドリブ・連携◎
はいはい通りすがりの正義の味方のお通りさね。お触りは禁止ったら禁止。(さつきと登駆の間に入る)
前に出たのは良いけど、この状況でおいそれと銃器をぶちかますわけにはいかないな。
なので【指定UC】を使わせてもらおう。
今回のグレネードは閃光弾。闇夜の中では眩しかろう。
光による『目潰し』と共に前に踏み込んでレッグギロチンで『2回攻撃』をする。
向こうの攻撃は『窮地での閃き』と『戦闘知識』を駆使して『ジャストガード』を狙いに行こう。
葉月・静夏
なんとか間に合った、かな。
それにしてもデウスエクスが他のデウスエクスと協力なんて……螺旋忍軍は私がいた世界でもこういう動きをしていたかも。
人を襲おうとしているところは変わらないから、ささっと倒さないと。
この敵も近くが危ない相手なのね。
まずは、危険を顧みず敵に突っ込んで【夏印・盛夏斧爆】で夏印を貼り付け、引き寄せ効果でさつきさんから離したいね。
他にも猟兵がいれば、引き寄せ続ければ攻撃しやすくなるよね。
敵のユーベルコードには傘が当てにくいくらいに間合いを詰めて対処するよ。徒手格闘の私にとってもそのほうが戦いやすいから丁度いいね。
「はいはい通りすがりの正義の味方のお通りさね。お触りは禁止ったら禁止」
さつきと手を伸ばす登駆の間に駆け込んだユナ。その手には、グレネードが握られていた。その事に登駆が気付くより早く。
「目、瞑っててね」
登駆の方へとグレネードを放ったユナは身を翻す。
「えっ?! 何なの
……?!」
そのままユナは、戸惑いを露わにするさつきの視界を遮るように覆い被さる。次の瞬間、グレネードは炸裂して、閃光を放った。
さつきの背中を軽く押して、登駆との距離を取るよう促した後、再度90度方向を変えるべく地面を蹴ったユナ。閃光で一時的に視覚を奪われている筈の登駆に、レッグギロチンを叩き込むべく、右足を軸に上体を捻ったユナの視界に映ったのは。
「危ない危ない……君はそういう事をする子なんだね」
傘を広げて閃光による目潰し効果を軽減させた登駆が、にやりと口角を上げてエネルギー波を生み出していた。
「くっ
……!!」
今回避行動を取れば、もしかしたらあのエネルギー波は避けられるかもしれない。だが、そうすれば背後に庇ったさつきに当たる。今ここで踏ん張る事が、さつきを守る事につながる。そう判断したユナが、ぐっと足を踏ん張った。
そこへ。
「そうはさせないわ」
横から距離を詰めた静夏が、左拳を叩き込む。威力は然程ではない一撃だが、直撃と同時に夏印が貼られる。
「邪魔が入ったわ」
衝撃でエネルギー波が霧散した登駆は、不愉快そうに吐き捨てる。しかし、登駆の目的は未ださつきだ。その目的の障害であるユナを排除する事が最優先だ。
「私のことを狙ってきてね」
しかし、それを理解しつつも、登駆の意識は側方へと飛び退いていく静夏から離れる事を拒む。そっちを優先して倒すべき、との衝動を、抑えきれない。
「あんた……邪魔、なのよ!」
その衝動のままに、登駆は番傘を振り被り、飛び退る静夏へと距離を詰める。自然とさつきから距離が空いてしまっているのに、その足を止める事が出来ない。
苛立ちを込めた番傘の一撃を、半身を引く事によって静夏は避け、そして空振りした登駆が横を通り抜けるその勢いを逆に利用する形で足を踏ん張り、左腕を振って。
「盛夏爆斧
!!!!」
静夏の仕掛けた炎の左ラリアットは、これ以上ないという程見事に登駆の首元に命中した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
氷咲・雪菜(サポート)
人間のサイキッカー×文豪、16歳の女です。
普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にブリザード・キャノンを使って戦う。
あとはお任せ。宜しくお願いします!
千賀・月晴(サポート)
人間の悪魔召喚士×カンパニーマン、26歳の男です。
普段の口調:うさんくさい(僕、~くん、だね、だよ、~かい?)
目は基本糸目ですが、ここぞ!って時には開きます。
基本的には悪魔を召喚したり、武器に憑依させて戦います。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
アドリブ連携◎ エログロ× あとはおまかせ。
よろしくおねがいします!
引き寄せられてさつきから遠ざかる登駆。
「間に合って何よりだよ」
後ろから駆けつけた千賀・月晴(別に裏切ったりしないタイプの糸目・f39083)が、さつきに駆け寄りそう声を掛けるが、なんとなしに向けられる視線が胡散臭いものを見るようなものだった。
「そんな警戒しなくて良いよ。僕達は君を助けに来たんだから」
そう言う月晴ではあるが、それに対してさつきとしては味方が敵かの判断か付かない。戸惑いを表情に浮かべたまま、それでも流されてか付き合いでかは知らないが、さつきはこくりと小さく頷く。
「うーん……まぁ、いきなり信用しろってのも、難しいか。とにかく任せてよ」
月晴がさつきに声を掛けている間に、登駆の方へと駆け抜ける氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)。
「人の弱みに付け込もうなんて、許せません!!」
登駆がさつきを襲う前に間に合った事に安堵をしつつ、雪菜はブリザードキャノンを登駆へと放つ。登駆はその一撃を横に躱し、閉じた番傘を振り被り。
「次から次へと、よほど暇なんだね。こんな子の為に、わざわざ駆けつけるなんてさ」
攻撃の気配を察した雪菜は、意識して肩から力を抜く。
「おや、随分と物分かりが良いね」
呟きつつ、登駆が振るった番傘の先端からは、螺旋エネルギーが収束している。その先端が、雪菜に触れる。限界まで溜め込まれた螺旋エネルギーが、雪菜の身体を吹き飛ばすべく爆発的に解放される、が。
「何……っ?!」
発動したユーベルコード、オペラツィオン・マカブルにより吸収された螺旋エネルギーが放出され、登駆を襲う。
「今の内に回復しておこうか」
自身の放った螺旋エネルギーによりダメージを負った登駆の様子を視界の隅で確認しつつ、月晴は悪魔を喚ぶ。その悪魔は現れるや否や、天使の如き歌声を響かせる。晴れやかさのある優しい歌声に、人の心を揺さぶる詩。
「まるで天使の歌声じゃない?まあ、悪魔なんだけどね」
くすりと笑う月晴。ダメージが治癒した猟兵達は、登駆を退けるべく、それぞれに武器を構え直すのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シエナ・リーレイ
こんにちは、わたしはシエナだよ!
キョンシー達と楽しく遊んだシエナ、気分も高揚としてもはやデウスエクスも『お友達』候補で確定です
そして、番傘を手にした少女とも仲良くなり『お友達』に迎える為に石段で手に入れた『お友達』と共に突撃します
なんであなたを嫌わないといけないの?
少女の番傘から放たれるエネルギーを受けようとシエナは止まりません
シエナが少女に向けるのは溢れんばかりの親愛と好意、殺意も害意も悪意を全く向けていません
気分の高揚ゆえに少女の放つ言葉も都合よく解釈しつつ、無事に近づけば[怪力]混じりのお遊戯会の始まりです
少女が遊び疲れて眠れば沢山の『お友達』が暮らすスカートの中の世界へ誘います
「しつこいわね……とっとと諦めなさい!!」
声を荒げ、閉じたままの番傘をさつきと、それを庇う猟兵達へと向ける登駆。
そんな登駆へと、登駆の味方であるはずの──いや、手駒であった筈のキョンシーガール達が、八方から襲いかかる。
「こいつら……とんだポンコツね
……!!」
とはいえ、その様子と表情は、登駆の知るそれではない。意思がないかのようなその姿は、まるで人形のようだった。
「みんなお友達なの」
キョンシーガール達の向こうから聞こえた声に、登駆はおおよそで当たりをつけてエネルギー波を放つ。
殺意、害意、悪意を放つそれが当たれば、いかに猟兵といえどまともに攻撃する事は出来まい。
登駆の目論見は大概の場面に於いて当てはまる推論だが、しかし。
「あなたも一緒。お友達でしょう? ねぇ?」
一瞬の油断の隙に、無邪気に笑うシエナは距離を詰め、手を伸ばす。
視界が悪かったから螺旋忍法『無殺界』が当たらなかったのか、それともシエナの行動原理に殺意などの感情がないからかなのか。動きを止めもせず、そして躊躇いもなく、その手のひらは登駆の手を取る。そして。
「一緒に楽しく踊りましょう?」
ぶぅん!! と、登駆の耳元で、荒々しく、激しく、風を切る音がする。くるくると、周囲の景色が激しく回る。ごきり、ばきり、めきりと、何かが折れ、千切れて捻れる音がする。
楽しそうなシエナと、小さな子供に振り回される人形が如く振り回される登駆の狂ったような踊りは、数分続き、そして。
「はぁ、疲れちゃった……ねぇ、あなたもそうよね」
関節が捻れ、ボロ雑巾のようになった登駆を見るシエナの表情は、天真爛漫そのものだった。白目を剥き、びくんびくんと痙攣する登駆に、シエナは優しく微笑みかける。
「みんな、お家に帰りましょう。とシエナはスカートをたくし上げながらお友達に促します」
芝居掛かった口調でそう言いながら、シエナはスカートをたくし上げる。そこに触れた登駆は、瞬きの間にそのスカートの内側へと、吸い込まれて姿を消したのだった。
大成功
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第3章 冒険
『決戦都市起動』
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POW : 高層建築から対空砲撃を放つ
SPD : デウスエクスを誘導し、射線上に追い込む
WIZ : 魔術増幅装置を利用し、大規模な魔法を使う
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「私……私、あの……す、すいません、でした……。私、きっと危なかったんですよね。よくわからないけれど……あいつに狙われて」
登駆の消えた神社の社殿の前で、さつきは唇を震わせながら蹲る。詳細はわからないものの、とにかく登駆が自分を狙っていたのはよくわかった。そして、どうやら自分が愚かな行動に出てしまったからそういう事件を招いたのだ、という事も。
「本当に、すいません……私が悪いのに……私が、バカなばっかりに……」
その所為で、見ず知らずの人達が危険な目にあった。もしかしたら知らない所で、他にも被害が出ているかもしれない。
そう思うと、最早立っていられなかった。泣いて済むなら泣いていたいけれど、それで償える罪なのだろうか。
ぽろぽろと溢れる涙を拭うさつきに、猟兵達がどう声を掛けるか顔を見合わせていると。
「ギタギタにするヨ!!」
「ボコボコにするヨ!!」
「生き血をいただくヨ!!」
ぴょんぴょんとコミカルな動きで、石段を登ってくるキョンシーガール達。
まずい、と猟兵達が思った、次の瞬間。
ごぉっ! と爆音を轟かせ、大規模で高威力の魔法の炎が、キョンシーガール達を焼き払う。
それは即ち、猟兵達がここでさつきを保護するまでの時間にて、決戦兵器の準備が整った事を意味する。
それを上手く使えばキョンシーガール達を一掃する事が出来るし、さつきも安全に非難させる事が出来る。
猟兵達は互いに頷き合い、さつきを安全に逃し、残ったキョンシーガール達を片付けるべく、行動を開始するのだった。
御梅乃・藍斗
誰かを好きになって、振り向いてほしいと願うなら
汚い感情と向き合うことも避けられないのだと思います
それは自分の力で為すべきもので、超常存在に委ねたりするものじゃない
貴方は馬鹿なんじゃない、少し心が弱っていただけですよ
一時の過ちなんて誰にでもあることだ
拭えないほどの罰に変えてしまうような惨禍にはさせません
ポジション:メディックを要請
さつきさんと、他にも一般人の紛れ込みがあればそちらの避難を最優先に
道を切り開くために【サバイバル】【情報収集】
危険を避けたり怪我を応急的に手当てするために【救助活動】を活用
僕は基本指定UCで敵を煽り注意をひきつけます
攻撃は【受け流し】つつ【居合】【傷口をえぐる】で攻撃を
ぐずぐずと涙を溢しながら俯き、疼くまるさつきを庇うようにしながら、御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)は語りかける。
「誰かを好きになって、振り向いてほしいと願うなら、汚い感情と向き合うことも避けられないのだと思います。それは自分の力で為すべきもので、超常存在に委ねたりするものじゃない」
鞘に収まったままの刀の柄に手を掛け応戦の構えを取る藍斗に、さつきは頷く。
「そう、なんです……そうだったんです。全部、私が悪いの……こんな事に、なって……っ!!」
そう言って、全てを諦めようとその場に蹲り続けるさつきにちらりと目をやって、それから藍斗は続ける。
「貴方は馬鹿なんじゃない、少し心が弱っていただけですよ。一時の過ちなんて誰にでもあることだ」
はっとしたように顔を上げるさつきに、柄から離した手を差し伸べた藍斗。少しの逡巡の後、さつきはその手を取った。そのままその手を支えに立ち上がったさつきの肩に一度、勇気付ける様手を置いて、無傷を確認した後、藍斗は再度、柄に手を置く。
彼の見据える先には、土煙の向こうから姿を見せるキョンシーガール。
「拭えないほどの罰に変えてしまうような惨禍にはさせません」
そう告げて、藍斗は地を蹴り、そして、居合を放つ。一閃した刃は、キョンシーガールを横に切り裂く。
「弱いですねぇ! 本気出したらどうですか?」
そう言って横方向へと飛び退る藍斗を、憎悪を抱いたキョンシーガールが追い縋る。それにより空いた隙間から、藍斗はさつきを逃す事に成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ユナ・カプリース
アドリブ・連携◎
まあ、そう上手く行かないのが人生だし、簡単に割り切れないのが感情だよね。
アタシはあんま恋とか愛とかに口出せるタイプじゃないけどさ、直接危害を与えない選択を選んだ君のことを見てくれる人もいるんじゃないかなー。
そんな人に出会うためにも、まずは無事帰ってぐっすり寝よう。うん、それが良い。
アタシも決戦配備はメディックを要請。彼女を無傷でここから連れ出してほしい。殿は務めるとも。
『索敵』で敵の位置を把握。【指定UC】も活用しつつ、避難経路に近い敵を中心に攻略していこう。
さながら長坂の張飛さね。三国志は知ってるよね、キョンシーだもの。
要するに、ここから先は通さないってこと。
葉月・静夏
さっきそれなりに倒したと思ったけれど、まだまだキョンシーガールが残っているね。
諦めが悪いみたいだけれど、それは私も同じだから、なんとしてでも切り抜けるよ!
決戦配備はスナイパーを要請するね。さつきさんが囲まれないように敵を狙撃してもらえると助かるよ。
狙撃ではさつきさんの近くの敵は攻撃しにくそうだから、そういう敵には私が速い【緩夏静拳】で対処するよ。
……心の中だけだったとはいえ、私は両親の不幸を願って、それが叶ったことで束縛から逃れて危険だけれど楽しいケルベロス、そして今の猟兵の生活を手に入れたから、さつきさんに言えることは特にないの。まずは生き延びてから色々考えればいいんじゃないかな?
シエナ・リーレイ
今なら成功する気がするよ!
決戦都市からの支援を受けたシエナ
漲る力に何かの確信を抱いたのかスカートを大きくたくしあげます
みんなも『お友達』になってほしいと思うよね!
たくしあげられたスカートの中から顔を出した数多の世界で仲間に向かえた数えきれない程の『お友達』と共にワイワイガヤガヤ楽しくも騒がしい相談会
そして、相談の結論が出れば『お友達』と共に願います。
みんなわたし達の『お友達』になって!
ポジションはキャスターで要請
石段を駆け降りていくさつき。街に転々と飛び跳ねているのが見えるキョンシーガールが、徐々に、しかし着実に、その包囲を狭めていく。
「ギタギタにするヨ!」
「ボコボコにするヨ!!」
壊れたおもちゃのように同じ事を繰り返しながら迫ってくるキョンシーガールに、さつきは涙を流しながらただ走る。
だって、流してくれた。怖い。こんな、私の事……私、そうだ。私、助けられるだけの価値はあるのかな。
家で書いてきた願い事を思い出す。どこかに紙は落としてきたみたいで、今はどこにもないけれど、でも……人の不幸を、願うなんて。
「『お友達』がたくさん!」
くるくると回りながら、踊りながら、シエナは笑う。漲る力は、決戦都市からの支援によるもの。今からきっと、上手くいく。
そんな確信を持ちながら、シエナはスカートの裾を摘む。
「みんなも『お友達』になってほしいと思うよね!」
シエナの願いは、『お友達』の願い。こんなにたくさん『お友達』がいるのだ。一緒に遊んでくれるのも、それだけたくさんいる。
摘んだスカートの裾をひらりとまくしあげれば、その奥から覗く数多の世界で仲間に迎え入れた『お友達』が、愉快そうに楽しそうにガヤガヤと語り合っている。一瞬の沈黙ののち、その視線が周囲のキョンシーガール達へと向けられて、その幾多もの手が、それぞれに伸ばされる。
「さ、行くよ」
その様子を呆然としながら見守っていたさつきの手を、ユナが取る。引き摺られるように走り出すさつきへと、機関銃を構えたユナは語りかける。
「まあ、そう上手く行かないのが人生だし、簡単に割り切れないのが感情だよね。
アタシはあんま恋とか愛とかに口出せるタイプじゃないけどさ、直接危害を与えない選択を選んだ君のことを見てくれる人もいるんじゃないかなー」
ま、わかんないけど。だって先のことは先のことで、今わかることじゃない。
引き金を引き、弾切れのない機関銃でキョンシーガールを蹴散らしていくユナの言葉に、さつきは目を瞬く。
「そんな人に出会うためにも、まずは無事帰ってぐっすり寝よう。うん、それが良い」
うんうんと一人頷きながら、ユナはさつきの背中を押した。
「殿は務めるとも。君は安心して、真っ直ぐ走って」
そう言って、ユナはさつきに背を向ける。きっと、ユナはもう振り返らない。さつきは無意識に、そう感じた。この人は、自身の役目を全うする人なのだ。だから、私も…………ちゃんと、走らないと。走って、逃げないと。
「……はいっ!!」
こんな私でも、こんなに思ってくれる人がいる。守ろうとしてくれる人がいる。そんな人達の為に、自分はしっかりと、走らないといけない。例え、過ちを犯したとしても。
そう心に決めて、さつきは示された道を走り出す。
「さながら長坂の張飛さね。三国志は知ってるよね、キョンシーだもの。要するに、ここから先は通さないってこと」
そう言うユナの機関銃からは、絶え間なく弾丸が放たれ、キョンシーガールが屠られていくのを背後に感じながら、走るさつきが角を曲がったそこへ、角の向こうから迫ってきていたらしいキョンシーガールが襲いかかる。
「っ!!」
あと少しで、この街から出られる。あと少し、だったのに。皆が私を逃がそうと、助けてくれたのに。
恐怖と無力感でぎゅう、と目を瞑ったさつき。
「動かないで!!」
静夏の声が響く。言葉の通り、さつきはその場で動きを止める。その数センチ横を、援護の狙撃部隊が撃った弾丸が通り過ぎ、腹部を貫く。ぐらりと体制を崩したキョンシーガールへと、静夏は拳を叩き込んだ。そして、キョンシーガールとさつきの間に立った静は、ゆっくりと瞼を開くさつきに笑いかける。
「心の中だけだったとはいえ、私は両親の不幸を願って、それが叶ったことで束縛から逃れる事ができたの」
ぱち、ぱち。さつきは数回、目を瞬いた。話が飲み込めないらしいさつきに、静夏は続ける。
「危険だけれど楽しいケルベロス……そして、今の猟兵としての生活を手に入れたから、私がさつきさんに言えることは特にないのよね。まずは生き延びてから色々考えればいいんじゃないかな?」
そう言って、静夏はその先を指差す。
「あっちまで行けば安全よ。さつきさんがこの後どうするかはわからない。だけど……後悔だけは、なるべく少ない方がいい。これで納得できるっていう選択肢が選べるように、応援してるわ」
「……はい。皆さん、ありがとうございました!」
頭を下げて、走り出すさつき。ふう、と一つ息を吐いた静夏へと、ダメージによってふらりふらりと大きく身体を揺らすキョンシーガールが鋭い視線を向ける。
「ギタギタに……するヨ……っ!!」
どこにそんな力が残っていたのかというような速度で繰り出された拳を、静夏は鋭く息を吐き身体を捻って避けた。そして。
「これで終わりよ!!」
躱し様、線香花火のような火花を纏った拳をキョンシーガールに叩き込む。その拳をもろに受けたキョンシーガールは、ばちばちと弾ける火花に身を焼かれながら、がくりとその場に頽れる。
数分後、猟兵達にさつきが保護されたという連絡が入り、そしてさらに数十分の後、キョンシーガールの最後の一体が倒された。
さつきがその後、どうするのか。彼女の選択はまだわからないが、少なくとも猟兵達の活躍により、一つの命が救われたのは間違いない。
成功
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