稀人、月蜜花茶の席を望む
ひとつ、ふたつ。
灯りは天へと昇り、月を目指す。
嘗てはそこに辿り着ければ、願いが叶うと信じられた。
その、月の向こうから。
鋼鉄の騎士が、願いを砕きにやって来た。
●
「皆はお茶会スキ?」
ん? と月・英(白昼夢は月の夢・f40538)が首を傾げる。首が座っていないようにも見えるが、大丈夫だろうか。
そんな周囲の心配も他所に、英はのんびりとマイペースに言葉を続ける。
「あのねー、封神武侠界の建業に無人のオブリビオンマシン軍団が現れ始めてるのは知ってる? 今回はお茶会が襲撃されちゃいそうだから、皆に護りに行って欲しいんだよね」
ついでに美味しいお茶が飲めるよ! と英は言う。
「元々は月夜に天灯を飛ばすお祭りだったんだけど、今では天灯を飛ばすと屋台でお茶が貰えて、皆でそれを味わおうねーってお茶会になったのね。要するに、天灯がお代の替わりなんだよ」
天灯を買って、お茶を楽しむ。
そしてこのお茶が、他では味わえないものなのだとか。
「稍月花って花を丸ごと使ったお茶でさ。満月の夜にしか咲かない花で、呉の国があった辺りにしか自生してないみたい。見た目は黄色い鈴蘭って感じだけど、毒はないから安心して大丈夫だよ♪」
寧ろこの花の蜜が甘くて美味しいんだ! と。
「お茶はね、花茶ベースの蜂蜜茶なの。お茶そのものは、華やかな香りとフルーティーな味わいだよ。紅茶のダージリンあるでしょ、あれのマスカット風味が気持ち強めな感じかな。そこにしっかりとした、でもしつこくない上品な甘みが合わさって、まろやかな甘さと爽やかな清涼感が両立されたお茶なんだよ。ころんとした稍月花の蜂蜜漬けもひとつ、満月みたいに浮かんでてね。美味しくて可愛いんだよね」
このお茶は、購入した天灯の和紙に『月』の一文字を書いて屋台で渡すと交換して貰える。
お茶会となる前のこの催しの前身の祭りでは、願い事を書くことになっていたそうだが、まだ将来に悩んでいる者でも催しを楽しめるよう、今の形になったのだと言う。
月を目指して昇る灯りを眺めながら、お茶を楽しむ。
「なんだけどー、そこにオブリビオンマシンが押し寄せて来ちゃうんだ」
嘗て猟兵たちと死闘を繰り広げたオブリビオンマシン『哪吒』。
その微弱な信号を目標にして、オブリビオンマシンの軍団が押し寄せる。
「迷惑な話だよねー。折角ゆっくりのんびり楽しくお茶会してるのにさ。敵が向かってくる方角は予測が出来てるから、お茶会楽しんで、しっかりばっちり討伐シクヨロなのだー!」
あっお土産話期待してるからね! と最後に付け足して。
にひひと笑うグリモア猟兵の掌にもまた、
小さな満月が煌めいた。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
公開日が満月じゃないとか言ってはいけない。
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:日常『天に送る祈り言』
第2章:集団戦『エルゼドール』
第一章では、月を眺めつつお茶会を楽しんでいただきます。
月を眺める、お茶を飲む、どちらにどの程度比重を割くかは自由です。
また、昔のお祭りになぞらえて、灯りを眺めながら願いや決意をかけるのもいいでしょう。
第2章では、姿を現した『エルゼドール』の軍団を迎え撃っていただきます!
無人オブリビオンマシンですので、パイロットの安全などは考慮せずとも大丈夫です。
一般のお茶会参加者は自発的に避難しますので、心置きなく撃破してしまいましょう。
第1章開始前に、断章を執筆予定です。
各章での追加情報も断章での描写という形で公開させていただきます。
断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきますが、今回は受付開始から1〜2日置いて必要成功数に到達しなかった場合、サポートを積極的に採用し章を完結させる場合がございます。ご了承ください。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 日常
『天に送る祈り言』
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POW : 屋台を巡る
SPD : 飛びゆく天灯を眺める
WIZ : 天灯に願いを書いて夜空に飛ばす
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●
「はい、熱いから気をつけてね」
渡された琥珀色の水面に、小さな黄金の満月が浮かぶ。
猟兵たちが書き記した『月』の紙を受け取った、屋台の女性が渡してくれたお茶がそれだった。
緩やかに流れる河を望む岬を示され向かうと、冴え渡った青藍の空には煌々と輝く満月、密やかに瞬く星々の姿。
腰を下ろすための大小様々な厚手の筵が地面に敷かれており、一人でも、二人でも、それ以上でも楽しめるよう工夫がされている。蝋燭の乗った小さな卓もそれぞれに設置されており、手を休めたい時はそこにお茶を置けるようになっていた。
猟兵たちが腰を下ろせば、程なくして月を目指し天に昇る天灯の光も眺めることが出来るだろう。
束の間のひとときではあるが、夏の月見を楽しんで、戦いの前に英気を養おう。
響納・リズ
まあ、素敵な催し物ですわね。
この灯を空に送るのも、素敵なお茶がいただけるのも、本当に素敵ですわ。
お茶があるなら、私はお茶菓子をお持ちしていきましょうか♪
とはいっても、焼き菓子がメインの洋菓子なのですが……甘いお菓子とお茶、とっても素敵な時間が過ごせると思いませんか?
他にも参加する方がいらっしゃるなら、お菓子をお分けいたしますわ。
月が映って、本当に素敵ですわね……。
ここでしっかり英気を養って……この素敵な時間と場所を台無しにする輩を懲らしめないといけませんわね。
だって、こんなにも素敵ですのに、敵に奪われるなんて、心外ですわ。
猟兵の一人として、しっかり任務を果たさせていただきますわ。
ふふふふ……。
●
「まあ、素敵な催し物ですわね」
屋台の女性から、改めてお茶会の話を聞いた響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は微笑みを深め、心からそう口にした。
(「この灯を空に送るのも、素敵なお茶がいただけるのも、本当に素敵ですわ」)
天灯と引き換えに手にしたのは、仄かな甘みを伴った芳醇な花茶。琥珀色の水面には、鈴のように小さな満月の花が浮かんでいる。
リズは一人がけの筵に腰を下ろしつつ、持参したバスケットの中身を卓に広げる。
入っていたのは、焼き菓子がメインの洋菓子。お茶に合わせて、お茶菓子を用意して持ってきたのだ。
しっかりとした甘みの、しかしお茶も香りと蜂蜜漬けが甘めらしいと言うからくどくなりすぎず、両方の味わいを引き立てつつ楽しめるよう、絶妙な塩梅に仕上げた品々だ。
「甘いお菓子とお茶があれば、とっても素敵な時間が過ごせると思いませんか?」
美味しそう! と瞳を輝かせる子供たちや、興味を示してくれた猟兵たちにリズはそう言って、お裾分けして。
それが一段落すれば、リズ自身もお茶とお茶菓子を楽しみながら、絶景を堪能する。
「月が映って、本当に素敵ですわね……」
煌々と淡く照る月の光さえ鮮明に宿す水面は清らかな証だ。天と地と水の全てを柔らかく照らす月の光を身に受けて、心が安らいでいく。
建業の人々にとっても、この催しは癒しのひとときなのだろう。
(「ここでしっかり英気を養って……この素敵な時間と場所を台無しにする輩を懲らしめないといけませんわね」)
そう。
程なくしてこの地は、戦場になる。
リズたち猟兵がそれを見過せば、この催しが台無しになるどころか、今後の開催すら危ぶまれる事態となる。
そのようなことを、リズが認めることは出来なかった。
(「だって、こんなにも素敵ですのに、敵に奪われるなんて、心外ですわ」)
広がる光景は、まさに清風明月。
そこに集い、このひとときを心から楽しむ人々。
無粋なオブリビオンマシンに、奪わせなどしない。
(「猟兵の一人として、しっかり任務を果たさせていただきますわ」)
リズは可憐でしとやかな女性だ。しかし、その胸に秘める意思の強さは間違いなく、彼女もまた一人の猟兵である証。
「ふふふふ……」
兼業の人々から見れば、月とお茶に笑みを深める女性。
しかし
猟兵からすれば、その周囲の温度がやや下がったような錯覚を覚えたかも知れない……。
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ
月より団子、だけどお茶を飲みながら月を愛でるというのもいいね。
一杯といわず、たくさん飲みたいな。
だから引換券の『月』の書いた紙を数枚用意しておこう。
これを逃せば、次は来月だしね。
しっかり記憶にも舌にも残しておかないと。
今日は本当にいい月。
この後にも派手なお祭りが用意してあるみたいだし、そっちも楽しみだね。
●
シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)もまた、和紙を手に屋台へ向かったが。
(「一杯といわず、たくさん飲みたいな」)
だからこそ、用意した和紙は一枚に収まらず。
それを屋台の女性に渡せば、ならばと急須ごと渡してくれた。勿論、それに浮かべる稍月花の蜂蜜漬けも。恐らくこの個数分、お茶を淹れられるのだろう。
「ありがとう!」
屋台の女性にお礼を告げて、シモーヌも席の確保へと岬に向かう。
途中、
猟兵らしい女性から、お茶菓子を分けて貰いつつ、一人がけの筵を探して腰を下ろした。
(「月より団子、だけど」)
それは必ずしも、風景には興味がないということと同義ではない。
団子――即ち、食を楽しみながら絶景を堪能する。どちらも楽しめるのと言うのなら、存分に。
(「うん、お茶を飲みながら月を愛でるというのもいいね」)
青藍の夜空を照らす淡い金色の光。
満月を目指し昇る小さな灯り。あのどこかにきっと、自分の書いたものもあるのだろう。
そして、それを映してきらきらと輝く水面。
全てが幻想的で、思わず見入る。
(「これを逃せば、次は来月だしね。しっかり記憶に残しておかないと。勿論、舌にも!」)
琥珀色の水面に唇を寄せれば、漂う甘みのある爽やかな香り。口に含めばフルーティーな味わいと、同時に転がり込んでくる蜂蜜の月のまろやかさ。
(「ああ、今日は本当にいい月」)
空に浮かぶそれも、口の中で蕩けるそれも。
どちらの月も、堪能するシモーヌだけれど。
「この後にも派手なお祭りが用意してあるみたいだし、そっちも楽しみだね」
忘れてはいけないのが、この後に控えるオブリビオンマシンとの戦いだ。
その前に軽く腹ごしらえ、とばかりにシモーヌは焼き菓子を味わうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
願い事を書いた紙を天にあげるなんて、七夕のようなお祭りですね。
七夕も現代においては布や糸が紙の短冊に姿を変えたように、このお祭りも形を変えたのですね。
空と水面に浮かぶ月を眺めて思うのは、少し私の意識が変わった事。
以前から月は嫌いではありません。未熟ながらも占星では月も意味を持つ星です。
でも月に心惹かれてはいけないそういう思いがありました。自ら光る星、恒星を持たなければならないと。
きっとそれは月のように生きた過去世と同じようになってはいけないと自らの戒めだったのでしょう。
でも今は大丈夫。
私は私自身の星を持っている。だから安心して月を見上げる事が出来るのね。
●
(「願い事を書いた紙を天にあげる……」)
夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は屋台の行列で順番を待つ間、自身の天灯を抱えながらも先に月へと飛び立った光を見上げて。
(「まるで、七夕のようなお祭りですね」)
時期が近いこともあるのだろうか。夜空に輝く天体に願いをかけるといった点など、幾つかの類似性を覚える。
(「七夕も現代においては布や糸が紙の短冊に姿を変えたように、このお祭りも形を変えたのですね」)
全ては時の流れと共に移り変わり、不変のものはないと言うが、きっとよりよい方向に変わったのだと藍は信じたかった。だって月を望み、お茶を楽しむ人々は皆、満ち足りた表情をしているから。
そして、この行列も不変ではなく。やがて藍の番が来て、天灯と引き換えにお茶を貰う。列を離れて一人がけの筵へと腰を下ろし、唇を湿らせながら夜天を仰いだ。
天に輝く月は淡く煌々と輝き、その光を水面にも映す。それらを眺めて藍が思いを馳せるのは、自身の内面。藍という自分の、意識。
(「以前から月は嫌いではありませんでした。未熟ながらも占星では月も意味を持つ星……でも」)
月もひとつの
衛星。但し、月が自ら光を生むことはなく、月のみで輝くことは叶わない。
(「月に心惹かれてはいけない、そういう思いがありました。自ら光る星、恒星を持たなければならないと」)
そう、まさに月へと光を齎す太陽のように。
藍がそうでなければいけないと強く感じていた理由は、彼女の過去――否、もっと遠く。前世に由来している。
(「きっとそれは、月のように生きた過去世と同じようになってはいけないと自らの戒めだったのでしょう」)
不変のものは、ある。
過去だけは、変えることが出来ない。猟兵の力を以てしても。
(「でも今は大丈夫」)
今の自分のことなら、変えられる。
だから藍の意識は少し、けれど確かに変わった。
(「私は私自身の星を持っている」)
藍として、様々な経験をして、様々な出会いに恵まれた。
今は自分の中に、藍という芯がある。それこそが藍の星として、胸の中で輝いているのだ。
(「だから、安心して月を見上げる事が出来るのね」)
自らの光ではないとしても、月は美しく輝く。
そして、藍自身が内に秘める、その星もまた、確かな光を放っていて。
自分と同じ魂を持った過去のひとと、月の負の側面を重ね合わせることは、もうない。
大成功
🔵🔵🔵
フロロン・ピューミリオ
まだ猟兵としての出陣の経験は少ないので、少し浮かれるような緊張してるような心持ちで赴きます。
「あら、あら!星月夜の下でお茶会なんて素敵ですわね!私も1杯いただきますわ。」
比率としてはお茶6・月見4程度でどちらも楽しませて頂きます。
「フフフ、どの
世界 でも、夜空に輝く
月は輝いていて、お茶は美味しいのね。……よし、わたくしも頑張りますわ!」
アドリブ・連携歓迎です。
迅瀬・ナクタ
「……戦いだけに参加しようと思ってたが、早く着いてしまったな。……仕方ない、オレもお茶を貰うか。」
茶を飲み、月を見ながら次の戦いについて考えています。キャバリアという大きい敵にどう戦うかや他の猟兵が動いた時どう連携に行くか、トイロボのOM-NATAKUにカスタマイズが必要かどうかなどなどです。
もちろん、他の猟兵等が話しかけてくればそれなりには対応します。
(美味しいし、月もキレイだ。今度は母さんと一緒に……いや、今は戦いの準備をしないとな。)
アドリブ・他キャラとの絡み歓迎です。
●
(「……戦いだけに参加しようと思ってたが、早く着いてしまったな」)
この月夜のお茶会へと無粋な来客、オブリビオンマシンが現れる。
そう聞いて、迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)はやって来たのだが、襲撃にはまだ時間があったようだ。
「……仕方ない、オレもお茶を貰うか」
黙って待っているのも手持ち無沙汰であるし、と天灯を購入し、屋台の列に並ぶ。
同刻、月や星にも負けず劣らず、その瞳をきらきらと輝かせていたのはフロロン・ピューミリオ(ピューミリオ星人の宇宙プリンセス・f38854)だ。
「あら、あら! 月夜の下でお茶会なんて素敵ですわね! 私も一杯いただきますわ」
彼女はまさに、購入した天灯と引き換えにお茶を受け取ったところだった。
お姫様として大切に育てられてきたフロロンは、外の世界に興味津々で。今日もまたこっそり城を抜け出して、初めて訪れる封神武侠界、その景勝地とそこで行われるお茶会に心躍らせていた。
だから、初めて経験する催しへに浮かれる気持ちと、猟兵としての出陣経験の浅さから来る緊張が、少しずつ彼女の中にあったものだから。
つい、足取りがぶれてナクタの腕に肩をぶつけてしまった。
「……っと」
「きゃっ!」
幸いにして、フロロンとしてはお茶をこぼしたりあまつさえナクタにかけたりすることもなく、またナクタとしても痛みはなかったのだが。
「ごめんあそばせ、ぶつかるつもりはありませんでしたのよ」
「いや……気にしてない。ただ人が多いからな、気をつけるといい」
はい、と笑顔を浮かべた後に、優雅にお辞儀して去っていくフロロン。その後ろ姿を見送るだけでも、楽しそうだな、とナクタは思った。
●
「ふう……ここなら空がよく見えますわね!」
一人がけの筵を確保し、一度卓にお茶を置いてぽふりと腰掛けるフロロン。
まだ岬の中でも小高い地点に敷かれた筵が運よく空いていたのだ。フロロンの言う通り、天も水面もよく見渡せる。
月の光も、星の瞬きも、夜空ごとそれらを映す河も、全てが息を呑むような美しさだった。
けれど、仄かに甘く華やかなお茶の香りもまた、その存在を主張する。ゆっくりと口に含めば、味もまた豊かに広がっていく。
「フフフ、どの
世界 でも、夜空に輝く
月は輝いていて、お茶は美味しいのね」
その時、天灯が月を目指してひとつ、またひとつと昇り始める。
まるでこの後、この場所が戦場になるとは考えられないほどに、その光景は幻想的だった。
ナクタは、その光景を眺めながら、お茶で唇を湿らせながら、けれど迫る戦いに備えて、考えを巡らせていた。
キャバリアという、トイロボよりも遥かに大きい敵にどう戦うか。他の猟兵が動いた時、どう連携に行くか。トイロボのOM-NATAKUにカスタマイズが必要かどうか……考慮すべきことは沢山あった。
それでも。
(「美味しいし、月もキレイだ。今度は母さんと一緒に……いや、」)
刹那、心に浮かんだ考えを、振り払うようにナクタは頭を振って。
(「今は戦いの準備をしないとな」)
次のことを考えるのは、それからでもいいと。
壊されてしまえば、次もなくなってしまうから。
そのためにも、戦うのだと決意を新たにして。
「……よし、わたくしも頑張りますわ!」
少し離れたところ、フロロンもまた。
決意を固めたようだった。
大成功
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ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携歓迎
お茶。奇遇にも先日桃とハマナスの蜂蜜紅茶をいただきまして。そして今回の稍月花の蜂蜜紅茶、運命でしょうか?どのようなお味なのか今から非常に楽しみです
お茶をいただいたらば、しばしこのお茶に合わせる物を考えます
どんな食べ物が合うでしょうか?
月つながりで月餅が合わせても……でも少々甘すぎますかね。ならば塩味がある…
(などと考えながらふとカップの中を覗けば、お茶の水面には月が映っていて)
…今回はお菓子ではなくても良いかもしれませんね(月が映った最後の一口を飲み干して)
●
蜂蜜茶。
紅茶や花茶に蜂蜜、ないしその粉末を混ぜる飲み方は、ティーソムリエたるディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)にとっては本来、特別珍しいものでもない。
「奇遇にも先日桃とハマナスの蜂蜜紅茶をいただきまして」
「おや、桃の花の蜂蜜なんて珍しいねえ」
屋台の女性が目を丸くした。
まさについ最近、二種類の蜂蜜紅茶を味わったばかりだったのだ。
「そこに稍月花の蜂蜜茶のお話を伺い……これは運命でしょうか、是非いただきたいと思いまして」
「嬉しいねえ。じゃあこれ、熱いから気をつけてね」
「ありがとうございます。どのようなお味なのか今から非常に楽しみです」
天灯と交換したお茶を受け取り、柔らかく微笑むディル。
そう、ティーソムリエとして三十六の全ての世界のお茶を味わい、極めたいと志すディルにとっては、同じ蜂蜜茶でも使われる蜂蜜の種類や、ベースになるお茶の種類が違えば、それはもう別のお茶であると言っても過言ではないのだ。
つい最近飲んだばかり? いえいえ、『稍月花の』蜂蜜茶はこれが初めてです、と。
一人がけの筵に腰を下ろして、早速お茶をいただく。
香りには花の、味には蜂蜜の甘みが含まれていて、けれど華やかで爽やかな、不思議だが芳醇で快い味わいだった。
その味を、香りを、五感で以て記憶に刻むように、ディルはゆっくりと堪能して、それから。
(「このお茶に合わせるなら……どんな食べ物が合うでしょうか?」)
暫し、思索に耽る。
お茶そのもののみがティーソムリエの嗜みに非ず。その真髄はお茶菓子やティーセット、果ては周囲の環境に至るまで全てにティーソムリエの手腕が問われるものなのだ。
(「月つながりで月餅が合わせても……でも少々甘すぎますかね。ならば塩味がある……」)
そこまで考えて、ふと。
覗き込んだ琥珀色の水面にもまた、月が映っている。
天に輝く月をその光ごと宿して、揺らめくように。
ふ、とディルの表情が綻び、自然とその口元に繊月のような、上品な弧が描かれた。
「……今回はお菓子ではなくても良いかもしれませんね」
この月こそが、きっと稍月花茶の最高の友。
その全てを味わい尽くすべく、ディルは月が映った最後の一口を飲み干したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
夏の宵ですから浴衣で。
お月見というと秋のイメージがあるので夏のお月見会は新鮮ですね。毎月月夜には開催されてるんでしょうか?
『月』の一文字を書いた天灯を月に向けて飛ばす…月への手紙みたいですね。シルバーレインでは月はルナエンプレスの故郷ですが、この世界の月には誰がいるんでしょうね?
望遠鏡や双眼鏡でも見たくなりますが、お茶会では無粋でしょうからここはお茶を片手に眺めるだけにしましょう。
お茶に浮かぶ満月のような稍月花も可愛らしく。満月にしか咲かない花ですか…月の満ち欠けに連動する開花のサイクルも興味深いです。
それに良い香り…お月見団子もいいですが、月を眺めながらいただくお茶もいいものですね。
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八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は浴衣姿で星空を纏う。
夏の宵に涼しげで、清涼感のある出で立ちだ。
(「お月見というと秋のイメージがあるので、夏のお月見会は新鮮ですね。毎月月夜には開催されてるんでしょうか?」)
今はお茶の用意で忙しいだろうから、後で主催に聞いてみようかとも考えつつ。
詩織は改めて手元の天灯、そして和紙に認めた『月』の字に視線を落とす。
(「『月』の一文字を書いた天灯を月に向けて飛ばす……月への手紙みたいですね」)
元は、願いを書くものだったとも言うから。
どうか、この願いを叶えてくださいと、そういった意味合いを込めて飛ばすものでもあったのかも知れない。
果たしてその手紙は、誰が受け取るのだろうか。
(「シルバーレインでは月はルナエンプレスの故郷ですが、この世界の月には誰がいるんでしょうね?」)
中国では兎や蟇が住むなどとも信じられていたようだが、この封神武侠界ではどうだろうか。そんな空想にも思いを馳せて。
(「望遠鏡や双眼鏡でも見たくなりますが、流石にお茶会では無粋でしょうから……」)
それは、機会があればまた今度、として。
今日はお茶を片手に眺めるのみに留めようと。天灯と引き換えに、お茶を受け取って。
空いている筵に腰を下ろして、ゆったりとお茶を楽しむ。
青藍の空、それを映す河、そして琥珀の水面全てに、月は煌めいていた。
(「お茶に浮かぶ満月のような稍月花も可愛らしいですね。それにしても、満月にしか咲かない花ですか……月の満ち欠けに連動する開花のサイクルも興味深いです」)
同じく夜に咲く月下美人は、一夜ばかりの花だ。満月が来る度に咲くものではないし、満月の日に咲くとも限らない。
月下美人が儚く美しい花なら、稍月花は親しみ深く可愛らしい花といったところか。その違いを考察するのも、詩織にとっては楽しくて。
(「それに良い香り……」)
ふわりと香る甘さは確かに花の香りだ。それでいて、お茶としての豊かな香りも損なわれていない。
(「お月見団子もいいですが、月を眺めながらいただくお茶もいいものですね」)
穏やかで優しい、夜のひととき。
失われてはいけないものだと、詩織は強く確信したのだった。
大成功
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第2章 集団戦
『エルゼドール』
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POW : 近接魔導戦闘
自身に【念導障壁】をまとい、高速移動と【魔杖槍による白兵戦や魔力】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 魔杖槍火力投射
【光輪型探信儀から放たれた探索魔導波】が命中した対象に対し、高威力高命中の【魔杖槍を使用した魔力の奔流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 第四世代戦闘魔導指揮システム
敵より【洗練された戦闘指揮システムの統制下にある】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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●
月は淡く優しく輝きを放ち続け、星々も微かながらも瞬き煌めいている。
天灯は月を目指して昇り続け、暖かな赤い光で空と水面を照らしている。
――だが、そこに俄に、白が混じる。
その光全てを上書いて、砕くように、鮮烈な白き光が夜天の向こうから現れる。
月夜と花茶を楽しんでいた人々は、危機を察知して岬から離れ逃走を始めた。猟兵たちは、彼らと入れ替わる形で先へと進み出る。
建業の人々を、その営みを守るために。
さあ、鋼鉄の侵略者を、打ち砕け!
シモーヌ・イルネージュ
いよいよお出ましだね。
お茶も十分に楽しめたし、次は食べた分だけ体を動かさないと。
そっちも楽しませてもらうよ。
でも、相手はキャバリアかー。硬いんだよね、あれ。
こんな月が綺麗な夜にはUC【月影戦士】を発動するよ。
そして、黒槍『新月極光』で戦おう。
相手の装甲の薄いところをサイバーアイで【情報収集】。
そこを狙って、黒槍で突いていこう。
命中したら、【電撃】を叩き込んで、沈黙させる。
相手からの攻撃は反応速度を活かして、槍で【武器受け】。
スピードで相手を翻弄しよう。
●
鋼鉄の騎士が、やって来る。
月の向こうから、願いを砕きにやって来る。
敵は遥か巨躯――それでも、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は恐れない。
「いよいよお出ましだね」
寧ろ、強敵との真剣勝負の気配に胸を躍らせて。
「お茶も十分に楽しめたし、次は食べた分だけ体を動かさないと。そっちも楽しませてもらうよ」
食後の運動は大切だし。
気合は十分、いざ勝負――と言いたいところだが、ひとつ問題が。
(「でも、相手はキャバリアかー。硬いんだよね、あれ」)
勿論、そんなことを理由に臆するようなシモーヌではないが。厄介、ではある。
正攻法でのぶつかり合いは、骨が折れることだろう。
「じゃあ、折角月も出ていることだし」
天に向けて掲げるは黒槍『新月極光』。
闇色の中にも揺らめく煌めき宿して月と見える。
「こんな月が綺麗な夜には、眠れる野生が目を覚ますってね」
月よ、月よと銀狼は呼ぶ。
真なる力を与え給えと希う。
「それじゃあ、行こうか」
地を蹴る。
月の光をその身に纏って、風すらも追い越して。
瞳に煌めくスコープが、敵の全てを暴いてゆく。
「そこだ!」
狙うは、装甲の薄い点。極光宿す黒が貫き、電流を流し込む!
まるで痺れに見舞われたかのように、機体は硬直する。だが、それも一瞬のこと。
負けじと輝く光輪が、シモーヌを捉えようとするが。
「遅い遅い!」
不可視の探索魔導波すらも、月の恩恵たる超反応で回避して。
ならばと白槍の一突きがシモーヌへと迫るが、こちらも黒槍で受け、払い退け。
「そんなモンじゃ、このスピードにはついて来られないよ!」
翻弄する。月と風を味方につけて。
月夜に極光が走り抜ける!
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「よし、行くか。……やはりトイロボとキャバリアだと大きさが全く違うな。……だが、逆に言うとその巨体でトイロボは見つけにくいだろう!行くぞ『NATAKU』!部位破壊だ!」
UC【RX-LツインソードG】を使用
『NATAKU』はエルゼドールに接近。場合によってはナクタがエルゼドールの気を引き付けます。 駆動系の部品を中心に破壊を試みます。
アドリブ・他キャラとの絡み歓迎です。
●
(「……来たか」)
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は敵の気配を機敏に察知した。
立ち上がり、その姿を双眸に捉える。元よりこのために来たのだ。いつでも戦う準備は出来ている。
「よし、行くか。……やはりトイロボとキャバリアだと大きさが全く違うな」
敵は5mもの巨躯。対して、ナクタの愛機にして相棒――OM-NATAKUはアスリートアース競技『トイロボバトル』の規格に対応した超小型マシン。人間の成人男性の手長にも満たないサイズだ。
「……だが、逆に言うとその巨体でトイロボは見つけにくいだろう!」
必ずしも、常に大きい者が戦いを制するとは限らない。
大きいも小さいも、その特徴や性質を活かした戦い方があるものだ。その力を理解し、最大限引き出したものが勝利を引き寄せる。
それは競技も、戦闘も同じことだ!
「行くぞ『NATAKU』! 部位破壊だ!」
NATAKUが抜き放つはRX-LツインソードG。一対の剣を鋏の如く操り敵の装甲の破壊を狙う。
だが、そのためには接敵が必要だ。NATAKUと共にナクタは敵へ向かって駆け出した。
エルゼドールは迎撃の構えを取る。念導障壁を纏い、その輝ける槍を突き出して、ナクタとNATAKUへ突撃してくる!
(「競技用だが往なすことなら!」)
その切っ先を弾いたのは、ナクタの振るったなぎなただった。猟兵である彼の手により振るわれるそれは、キャバリア兵装の一撃すらも受け流す!
「今だ!」
その隙を突いて、NATAKUが障壁の隙間を縫って敵の懐へ。
駆動系の部品に狙いを定め、その刃で挟み、捻じ切る!
がくり、と機体が体勢を崩した。
「このまま押し切るぞ……『NATAKU』!」
大成功
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フロロン・ピューミリオ
「素敵なお茶会が台無しですわね……早く再開したいですわ。うん!わたくしも頑張らなくてはいけませんわね!まずは遠くから撃ってくる来るのをやめて貰いましょう。」
UC【ハイパーピューミリオ星人】を使用
光り輝く触手で敵の目を引きつつ、自分の触手が届かない範囲からの攻撃をガードして、接近戦に持ち込みます。
接近戦になってからは、触手で相手の動きを封じたり、そのまま装甲を剥がせないか試みます。
アドリブ・連携は歓迎です。
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月夜に舞い来たる、鋼鉄の騎士。
その機体は月光を受けて輝くが、この建業の河畔にはそぐわない。
「素敵なお茶会が台無しですわね……」
堪能していたフロロン・ピューミリオ(ピューミリオ星人の宇宙プリンセス・f38854)もお冠だ。
自分も、人々も楽しんでいた。月を愛で、星を望み、お茶を満喫していた。無粋な来客には、可及的速やかにご退場願いたい心。
「早く再開したいですわ。うん! わたくしも頑張らなくてはいけませんわね!」
一刻も早く、平穏なお茶会を取り戻すべく全力を尽くすのだ。
そのためには、何をすべきか。フロロンは考える。
「まずは遠くから撃って来るのをやめて貰いましょう! さあ、本気で参りますわよ!」
ハイパーピューミリオモードとなったフロロンは光を纏いその触手を――え、上の身体から伸びてるのか下の身体から伸びてるのか? そこに触れてはいけない。禁則事項です。
ともあれ、輝くその触手は敵の目を引くだけでなく、触手の届かぬ地点から放たれる魔力放射を全てガードして見せた。範囲外の攻撃を全て大幅に弱体化させているのだ。
すると目論見通り、痺れを切らしたのかエルゼドールの集団が槍を構え、フロロンへと迫り来る。
「今ですわ!」
槍の切っ先がフロロンを傷つける前に、彼女はその機体の四肢を触手で締め上げて。そのまま装甲を剥ぎ取って無力化し、また次の機体へ。
憩いの場を乱す狼藉者らに、お忍び姫から制裁が下されたのだった。
大成功
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響納・リズ
美味しいお茶もいただきましたし、その分、しっかりと働きましょうか。
ええ、英気もしっかり養っておりますので、ご心配なく。今回の功労者のなるだろうグリフォンのアーリアには、先におやつを上げておきますわね。
アーリア、お願いしますわ。
相手はキャバリアですから、こちらもアーリアに騎乗して、対応をしましょう。
相手は、ダメージが3倍になりますから、アーリアに頑張ってもらって、避けまくりますわ。どうしても避けられない場合は、ジャッジメント~を使って、相殺しましょう。
敵の攻撃が止まった所で、再度、全力を込めたジャッジメント~で仕留めますわね。
さようなら、この素敵な場所を残すためにも、ここで消えてくださいませ。
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「さて」
響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は悠々たる佇まいで、静かに立ち上がる。
「美味しいお茶もいただきましたし、その分、しっかりと働きましょうか」
英気もしっかり養った。戦いに赴くことに、問題などありはしない。
「アーティア、お願いしますわ」
菫色の目をしたグリフォンが、その名を呼ばれてひとつ啼く。リズとしてはこの戦い、彼を頼りにすることとなるだろうから、未来の功労者としておやつを与えれば、嬉しそうに顔を擦り寄せて。
「では、参りましょう」
その背にリズが掛けると、アーティアは翼を広げて月夜へ羽ばたいた。青藍の色を背負って天を翔け、月光帯びた機体へ向かう。
敵機体は、優れた戦闘指揮システムの統制下にあり、その恩恵で強化された戦闘力で以て、全力でリズを排除すべく、猛攻を仕掛けてくるだろう。
だがリズは、アーティアを信じている!
「アーティア、回避を! 避けて避けて……避けまくるのです!」
リズの命に応じるように、再びアーティアは声を上げ。
白き槍より繰り出される魔弾を、ひらりひらりと掻い潜る!
「! そのまま下降を! 相殺いたしますわ!」
ただ狙い定めるのみでは当てられないと判断したか、複数機体の物量攻撃で攻める方針に切り替えたか。
何本もの槍の穂先に集中する魔力がリズを狙う。だがリズは狼狽することなく、月と水晶の杖を掲げて。
「天の雷よ、悪しき機兵に天誅を!」
青天の霹靂、ならぬ夜天の霹靂。
降り注ぐ雷が、裁き与えんと全ての魔弾を打ち砕き。
「さようなら、この素敵な場所を残すためにも、ここで消えてくださいませ」
絶え間なく続くかと思われた、攻撃の止むその瞬間を見極めて。
針の穴を通すが如きその刹那の好機に全力を込めて。今こそ正義の神雷をここに、下す――!
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やがて。
鋼鉄の騎士は月光の中、光の粒子と化して消え。
天に静寂、河畔に夜凪。乱暴狼藉の気配なく。
人々も、戦いの終わりを感じ取れば、程なくして戻るだろう。
そう、今日は月夜の茶会。月の沈むまで望まねば、余りに勿体ないと言うもの。
大成功
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