9
ダンジョン・ランチ~ひよこーんスープとキメラ肉ステーキ

#アルダワ魔法学園

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園


0




「うーむ、足りぬ……足りぬ。」
 ここはアルダワ魔法学園の学生食堂の一つ。
 コック帽を小さな頭にちょこんと乗せた、髭もじゃのケットシーが何かをぶつぶつ呟いています。
「学生達に何か美味くて栄養のあるものを食わしてやりたいが、ピンとくる食材が足りぬ。」
 彼は学生食堂の料理人。魔法学園の生徒達に美味しい料理を出してあげようと、今日も頭を捻っているようです。
「……あれが手に入れば良いのじゃが、今からダンジョンに降りるのも骨が折れるしのう。」
 彼が明日のメニューに頭を悩ませていると、食堂横の廊下を誰かが慌てた様子で駆けていきました。
「た、大変だー!ダンジョンにモンスターが押し寄せてきてるぞ!」


「時間だね、始めよう。」
 大きな機械鎧の肩に乗った妖精の少年、トゥール・ビヨン(f05703)は手にした懐中時計を閉じると今回の依頼の詳細を、集まった猟兵達に向けて話し始めた。
「アルダワ魔法学園の地下ダンジョンの下層からモンスターが押し寄せてきているらしいんだ。みんなにはこれの退治をお願いしたい。」
 トゥールの言葉とともに、グリモアベースの背景が椅子とテーブルが並べられた食堂のような一室の風景に切り替わった。おや?っと思った猟兵達に向けてトゥールは更に言葉を続ける。
「実は今回はもう一つ。ボクが現地調査に向かった先で魔法学園の人から依頼があって、ダンジョンで倒したモンスターを持ち帰って欲しいそうなんだ。」
 倒したオブリビオンを学園に持ち帰る?一体何に使うのかと訝しむ猟兵達に向けトゥールは苦笑しながら応えた。
「依頼人は学園の学生食堂のコックさんなんだ。どうやら、生徒さん達に美味しい料理を作って上げたくてモンスターを食材として使いたいそうなんだよ。」
 オブリビオンを食材として使う。それは……大丈夫なの?と恐る恐る尋ねる猟兵達にトゥールは、取りあえず食べても害は無いみたいだねと続ける。
「今回みんなに倒して食材を持ち帰って欲しいのは、『ひよこーん』と呼ばれるヒヨコ型のポップコーンみたいなオブリビオンと『グレーターキメラ』と呼ばれる様々な動物が合成された獰猛なオブリビオンだ。詳しい情報は後でみんなにデータを送るね。」
 ここで一つみんなに覚えておいて欲しいことがあるんだ、とトゥールは言葉を続ける。
「依頼人のコックさんから聞いた情報なんだけど、出来るなら食材を美味しい状態で確保したいから可能であれば次のようなことに注意してモンスターを倒して欲しいとのことなんだ。」
 まずは、ひよこーんについて。
「ひよこーんは柔らかく、ふわっとした食感が大切。だから、倒すときは食感を損なわないように出来るだけ『ひよこーんにストレスを与えずに倒す』工夫をして欲しいとのことなんだ。ストレスを与えると固く焦げた味になってしまうんだって。」
 続いて、グレーターキメラについて。
「グレーターキメラは様々な動物が合成されたオブリビオンで、部位によって色々な肉の味が楽しめる。ただ、肉質が硬いので『倒してしまう前に使いたい部位を狙って良く攻撃を加えて』柔らかくしておいて欲しいんだって。倒してしまってから叩いてもあまり肉が柔らかくならないらしいよ。」
 それぞれのやり方はみんなに任せるけど、可能であれば美味しい食材を依頼人に届けるために覚えておいて欲しいとトゥールは言葉を続けた。
「オブリビオンを退治した後は、学生食堂で依頼人のコックさんが腕によりをかけたモンスター料理をご馳走してくれると言ってたよ。このモンスター料理、アルダワ魔法学園の学生達の間でも秘かに大人気だから楽しみにしていて良いと思う。」
 そう言うと、機械鎧の肩の上でグーッと小さなお腹の音がなった。トゥールはコホンと一つ咳払いをすると猟兵達をアルダワ魔法学園へ向けて送り出すのであった。


西駝きゅー
 こんにちは、マスターの西駝きゅー(にしだ・きゅー)です。
 おこしいただき、ありがとうございます。
 モンスター料理ってとても憧れますね。
 成功条件は迷宮のオブリビオンの撃破です。生け捕りにする必要はありません。その後は、学生食堂で美味しいモンスター料理に舌鼓を打ちましょう!

●難易度
 普通

●一章について
 集団戦でオブリビオン『ひよこーん』と戦っていただきます。
 『ストレスを与えずに倒す』ことによって食材として美味しくなるので、何か方法が思いついたら試してみてください。

●二章について
 オブリビオン『グレーターキメラ』とのボス戦です。OPにもある通り特定の部位を狙って攻撃を集中させると肉が美味しくなるので良ければお試しください。
 その際は、身体全体を満遍なく攻撃するより、ご自身が食べてみたい部位などを一カ所集中して攻撃してみることをお勧めします。
 なお、グレーターキメラの身体は、前頭から胸辺りにかけてが『獅子』、後頭から背中にかけてが『山羊』、腕部から肩にかけてが『ゴリラ』、脚部から腹辺りまでが『象』、尻尾から尻にかけてが『蛇』となっています。

●三章について
 アルダワ魔法学園の学生食堂でランチのひと時を過ごします。周囲にはたくさんの学生がいますが、猟兵達の席は予約済みなのでご安心ください。
 一章、二章の結果によってスペシャルメニューのモンスター料理のラインナップが変わるかも知れません。
 お食事は一人でも、誰かを誘ってでも結構です。また、料理人として忙しい学食のコックさんを手伝ったりも良いかもしれません。
 もし、プレイングで指定していただければグリモア猟兵のトゥール・ビヨン(f05703)もお遊びに上がります。
18




第1章 集団戦 『ひよこーん』

POW   :    ひよひよあたっく
【弾けたひよこーん】が命中した対象を燃やす。放たれた【不可視】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ひよー、ひよひよー!
【鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ぱちぱちぽんぽん
【体内の熱】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が地下迷宮に転送されるとそこには辺り一面、豆を煎ったようなこうばしい香りが漂っていた。
 そして、周囲からざわめきのように聞こえてくる小鳥が囀るような鳴き声。
 間違いない、この階層には地下迷宮下層より侵行してきたおびただしい数の災魔が巣くっているのだ!
 猟兵達は隣り合う者達と目配せをしあうと、各々が武器を手に取り災魔討伐に向けて階層内を散って行くのであった。
 去り際、誰かが「美味しそうな匂い……。」と呟いていったのが妙に猟兵達の耳に残っていた。
雷田・龍子
『ストレスを与えずに倒す』

「これは『ひよこーん』がストレスを感じる前に絶命させればいいのではなかろうか。」

【SPD】
龍子は胸元に深く手を突っ込み、ごそごそと何かを探す。

「なにが出るかな?」

胸元からUCを使ってこの状況に有効なガジェットを取り出し、ストレスを与えずに倒そうと試みる。


久遠寺・遥翔
ストレスを与えずに倒すか…っつってもこいつらの生態全然わかんねえしな。とりあえず相手の鳴き声に同調して鳴きまねをしてみて仲間っぽい雰囲気を醸し出してみるかね。

なんかフライパンの上ではねてる連中は楽しげに見えるし、もしかしてあれで適切に調理すればストレスなく倒せるんじゃね?
っつーわけでやつらの「ひよひよー」に共感して高めた火力でフライパンの下から獄焔砲を放射。直接炙るんじゃなくて【料理】技能も駆使してあくまでフライパンで炒めるぜ。
相手の攻撃は【火炎耐性】に【オーラ防御】も重ねて耐えるぜ




「ストレスを与えずに倒すつってもなぁ……。」
 黒剣を肩に担いだ灰髪の青年、久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー・f01190)は事前にグリモア猟兵より聞いていた情報を反芻しながら首を捻っていた。
 彼が見つめる先には、二匹の災魔ひよこーんが迷宮の一室でひよひよと鳴き声を上げていた。
「……とりあえず鳴きまねをしてみて仲間っぽい雰囲気を醸し出してみるかね。」
 久遠寺は意を決して室内に一歩を踏み出すと、こちらに気付いたひよこーん達が上げる鳴き声に同調するように鳴きまねを返してみせる。
「ひよひよー。」
「ひ、ひよ……。」
 照れた。最後はかすれたような声になってしまった。
「照れが入ったな。」
「いや、しょうがないじゃん!?」
 近くで様子を見ていた赤髪のドラゴニアン、雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)は眼鏡を指で押し上げながら、少し顔を赤らめた久遠寺へ冷静に突っ込みを入れていた。
 結局、久遠寺は代案として口笛で鳴き声をまねながらひよこーん達に近付いてみることにした。
 ――ぴゅーぃ。
「ひよひよー。」
 久遠寺の口笛に呼応するように鳴き声を上げるひよこーん。反応は上々のようだ。
 ――ぴゅーぃ。ぴゅーぃ。
「ひよー♪」
 嬉しそうに鳴き声を上げるひよこーん。何となく仲間だと思ってくれたようだ。久遠寺達がそばまで近付いてもひよこーん達に警戒した様子は見られなかった。
「さて、どうしよっか?」
 警戒されずにひよこーんに近寄ることは出来たが、ここからどうしたものか。久遠寺は傍らの雷田に意見を求めるように振り返る。
「これは『ひよこーん』がストレスを感じる前に絶命させればいいのではなかろうか。」
「なるほど。」
 頷く久遠寺に雷田は、私に良い考えがある。と胸元をごそごそと探り始めた。そして、彼女が取り出したのは、手のひらサイズの鶏のおもちゃみたいな形をしたガジェットであった。
「何それ、おねーさん?」
「これは……なんだこれ?」
「わかんないの!?」
 雷田はこの状況に有効なガジェットをユーベルコードで取り出して見せたのだが、使い方までは想定していなかったようである。何だろうねこれ。
「ひよ-!」
「わっ、ちょ熱っ!」
 久遠寺と雷田がやりとりをしている間に二人の敵意を感じ取ったのか、側にいた一匹のひよこーんが鋭い鳴き声とともにぱちんっと弾けたかと思うと体内の熱を炎に変えて次々と猟兵達に向けて放ち始めた。
「くっ、使い方……ええい、一か八か!」
 ひよこーんの放つ炎で火傷をしながらも、取り出したガジェットの使い方を考察していた雷田は一か八か、スイッチと覚しき鶏のトサカを強く押し込んだ。
 するとガジェットがコケーッと鳴き声を上げ、コロコロと何かが産み出されて地面に落ちた。
 卵である。そして、卵にヒビが入ったかと思うと中から今度はヒヨコ型のおもちゃのようなガジェットが表れた。
 一羽で。
「ピヨ。」
「おっ、何か出た。」
「ひよひよー♪」
 卵から表れたヒヨコ型のガジェットに、先程まで炎をまき散らしていたひよこーんも仲間と思ったのか攻撃の手を止めていた。
 二羽で。
「ピヨピヨ。」
「(可愛い……。)」
 再びガジェットを起動させた雷田は産み出された二羽のヒヨコ型ガジェットがちょこちょこと傍らのひよこーんの足下まで歩いて行く様子に熱いまなざしを送っていた。 
 そして、三度鶏型ガジェットから卵が産み出され殻が破られた。
 三羽揃えば。

 ――ちゅどーん!!

「ひよひよ!?」
「キャッ!!」
「うわっ、びっくりした!?」
 ヒヨコ型ガジェットが三羽揃ったところで、突然共鳴したかのように光を上げてひよこーんの足下で爆発を起こした。突然の不意打ちを受けるひよこーん。パタリと足下のフライパンの上で倒れ、動かなくなってしまった。
「……ふむ、追尾式の爆弾を産み出すガジェットか。これなら。」
「今おねーさん『キャッ』って」
「言ってない。」
 ノータイムで否定された。一瞬こちらに向けられた視線が何か恐かった。
 倒れたひよこーんは突然の事にストレスを感じる間もなかったようである。ふんわりと何処か美味しそうな様子で倒れている。
 火力で炙るか。久遠寺は倒れたひよこーんと先程の出来事を思い起こしながら、部屋にもう一匹いたひよこーんに視線を移す。たった今起こった出来事に混乱しているようである。
「っつーことはこーゆーのもいけるんじゃね。焔黒転身!」
 掛け声とともに手に持つ黒剣と融合した久遠寺はひよこーんに向けて黒い焔を宿す黒剣を振りかぶる。
「美味しく料理してやるぜ。いくぜ、獄焔砲!」
 久遠寺の黒剣から放たれた異界の焔は、ひよこーんの足下のフライパンの下に潜り込むと熱をもってひよこーんを炙り始めた。
「ひよー!」
 焦げ付かないように焔を加減しながらひよこーんを炙っていく久遠寺。ダメージを受けているはずなのに、ひよこーんはどことなく嬉しそうにも見える。そして、最後の仕上げと一気に火力を高めて火柱を上げた焔がかき消えると、後にはこうばしい香りを上げたひよこーんがフライパンの上で倒れていた。
 この方法ならいけそうだと、それぞれ攻略の手応えを感じた久遠寺と雷田は美味しく倒せたひよこーんを回収すると次の災魔を倒すために迷宮内を進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叶・律
正直、よりによってオブリビオンを食べるなどと…かなり興味がある。
気合を入れて臨むぞ。

ストレスを与えずに倒すと味が良くなるか。なるほどな。
自分の得物をじっと見やる……。
この木槌しか手持ちがないんだが。
殴り飛ばすか叩き潰すことしかできないんだが?ストレスを与えずに…?
なんたる不向き。だが諦めずにやってみよう。

……高速で、目にも留まらぬ速さでスイングして意識外でノックアウトすれば、ストレスなど、感じる間もないはずだ。
うおおおお!!!!
(叶の勇気が、ひよこーんを救うと信じて―――)
(アドリブ絡み歓迎)


霧枯・デスチーム
おー学食。借金のせいで安売りのカリカリばっかり食ってる身の上としては、是非ともご相伴に預かりてぇな。
勿論仲間外れはよろしくねぇ。災魔の皆様にゃー鉛弾と火薬のフルコースをご馳走してやろうぜ、ブラザー。

【POW】2m半のガジェットに乗って行動。
怖がると美味しく食べられなくなっちまうのか。
なら怖がる前に命のゴールをさせてやんねえとナー。
ブラザーアームズで攻撃力重視の大口径ライフルを召喚、恐怖を与える間もなく一撃でシメられるよう攻撃する。
まーこんな時間がかかるやり方してたら反撃でブラザーが燃えそうだけど、美味いメシのためなら仕方ねーんだよぉ!



「正直、よりによってオブリビオンを食べるなどと……。ところで、霧枯さんはひよこーんの味はトウモロコシとひよこ豆のどっちに近いと思う?」
「興味津々だナ、律の旦那。霧枯でいいよ、おいら達タメだろ。借金まみれのおいらとしちゃ、安売りのカリカリより美味いもんならどっちでもいいけどナー。ブラザーもそう思うだろ?」
 そんな会話をしながら迷宮を歩いているのは、眼鏡をかけた現代地球の高校性、叶・律(人間の探索者・f05943)と灰色の毛並みに包まれた小柄なケットシー、霧枯・デスチーム(100万回殺しても殺せない猫・f13845)である。霧枯がブラザーと呼び掛けた先には、二メートルを優に超える大きな二足歩行型ガジェットが随伴している。
 こうばしい香りが迷宮を進むにつれて強くなってきている。恐らくはもうすぐ目的のオブリビオンに接触できるのであろうが、叶には一つ気がかりなことがあった。
「俺殴り飛ばすか叩き潰すことしかできないんだが?ストレスを与えずに……?」
 手持ちの得物である木槌をじっと見つめながら若干不安そうに呟く叶。災魔を倒すだけなら問題は無いのだが、美味しい状態で確保しようと思うと手持ちの得物では出来ることが限られる気がする。
「おっと、そう肩を落とすなよ律の旦那。ようはやりようだって。」
 不安そうな叶の肩を、ぴょこん跳び上がり元気づけるように叩く霧枯。そして、おいらに考えがあると作戦を語り出す。
「ようは手っ取り早くひよこーんをシメちまえば良いのさ。まず、律の旦那がその木槌でひよこーんをバシーンと打ち上げる。そこをおいらのブラザーがご機嫌なライフルでバキュンと撃ち抜いて一丁上がりって寸法だ。逆転満塁ホームランってやつだナ。」
「逆転でも満塁でもない気がするが、連携が上手く行けばひよこーんがストレスを感じる前に倒せそうか。よしっ、その作戦でいくか霧枯!」
「おう!災魔の皆様にゃー鉛弾と木槌のフルコースをご馳走してやろうぜ!」
 ガッチリと固い握手を交わす叶と霧枯。そして、二人が辿り着いた先の部屋には災魔ひよこーんが待ち構えていた。
 いよいよ、戦いの火蓋が切って落とされる。

「いくぞぉぉぉ!!くらえ、ひよこーん!必殺・大槌術【砕塵】!」
 希望を胸に木槌を振りかぶった叶は雄叫びとともにひよこーんに向けて突撃していく。
「ひよー!!」
 突然の襲撃者にひよこーんは体当たりで果敢に応戦するも、叶は止まらない。そして、叶の巨大化した木槌がひよこーんの身体を捕らえ、打ち上げた。
「ひよぉぉぉ!!」
 打ち上げられたひよこーんは迷宮の天井に到達する前に機動型ガジェットに乗り込んだ霧枯の大口径ライフルにより撃ち抜かれ地に落ちていく。見る限り、ひよこーんはストレスを感じる間もなく、美味しそうな匂いを漂わせながら地面に横たわっているようである。
「こりゃ、鴨撃ちだナ。楽な仕事だぜ。なあ、ブラザー。」
 ひよこーんを片付けた叶に向けてサムズアップを送る霧枯であったが、その機体に突如こうばしい香りとともに炎を纏ったポップコーンの弾丸が撃ち込まれた。
「うおっ、アチチ。いや、おいらは熱くないけど。一体何だ!?」
 炎を機動型ガジェットの手で払い消火した霧枯は部屋の奥から何者かの気配がこちらに近付いてくる感じていた。
「ひよひよ……。(意訳:ひよ一郎がやられたようだな……。)」
「ひよひよ……。(意訳:奴はひよこーん四天王の中でも最弱……。)」
「ひよひよ……。(意訳:我らの地獄の炎でむせるが良い……。)」
 ひよひよと鳴き声を上げる三匹のひよこーんであった。何を言いたそうに囀っているが、鳥の言葉は猟兵達にはわからなかった。
「うおおおお!!!!」
 問答無用で突撃していく叶。螺旋を描き、回転をかけた木槌の殴打が三匹のひよこーんを纏めて打ち上げた!
「「「ひよぉぉぉー!!」」」
 宙を舞うように飛んでいくひよこーんを霧枯のライフルが順番に撃ち落としていく。何だったんだろうね、あれ。
 そして、部屋の奥から再びこちらに這い寄る気配。
「ひよひよ……。(意訳:見事だ猟兵よ。一つ言っておくと別に四天王も、勿体ぶって出てきた私も普通のひよこーんと強さは変わらないぞ……。)」
 また、ひよこーんだった。そうだよね、いっぱいいるって言ってたもんね。
「ふっ……上等だ。俺も一つ言っておくことがある。ひよこーんの味はトウモロコシ味かと思っていたが、チキン風味の線もあるんじゃないかとさっき思いついた。」
「ひよ。(意訳:そうか。)」
「なんの話をしているんだナ。」
 何かが通じ合ったのか、互いに頷き合う叶とひよこーん。冷静に突っ込みを入れる霧枯。恐らく今こそが(この部屋での)全てを終わらせるとき。
「うおおおお!!!!いくぞおおお!」
 叶と霧枯の勇気が、明日の学食を救うと信じて……!

 ――ご愛読、ありがとうございました!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイラ・ハーヴィスト
モンスターを食材にした料理なんて聞いて、どんなゲテモノ料理になるのかしらと心配してたけど、何よこのひよこーんって奴。最初から料理みたいなもんじゃない!これなら食材でも安心だわ。
問題はストレスを与えず倒すって事ね…。
ストレスの反対って、リラクゼーションとか癒しかしら?
それじゃあ『フローラル・ストーム』で花々を舞わせることで目に麗しく、花香良く、逝ってもらうわ。
それで少しでも癒しになるといいんだけど。


エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎

WIZ選択

モンスターを食材にした料理かぁ。
まぁ、故郷の合成食よりまずいってことはないだろうし、毒とかないなら挑戦してみたいかも。

って言っても狩猟なんて初めてなんだよね。
これ、本来の用途じゃないんだけどやるだけやってみようかな。

ってことで、【戦闘知識】の観点から目立ちやすい所に乾燥デントコーンをまく。
逆に死角になる所にUCマーチャント・オブ・デスで生成した弾薬箱を置く。
要は「自前の武器弾薬庫」に身を潜めての奇襲ってことね。
さらに、電脳ゴーグルでがれきのホログラムを作成してカモフラージュしてみる。

あとは、可食部が残るように【武器改造】でビームライフルの出力調整しておくかな。




「……何か今、打ち切りみたいな気配がしなかった?」
「なにそれ、妖精の知らせってやつ?」
 直感的にただならぬ気配を感じたのか金髪碧眼のフェアリー、アイラ・ハーヴィスト(かしましフェアリー・f05908)とオレンジの瞳のスペースノイドの少年、エルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)がそんな会話をしていた。そんなことは無かったよ?
「でも、モンスターを食材にした料理なんて聞いて、どんなゲテモノ料理になるのかしらと心配してたけど割とまともな感じのモンスターで安心したわ。」
 辺りに漂うこうばしい香りを鼻に感じながら、アイラはグリモア猟兵から受け取ったオブリビオンの情報を思い起こす。災魔ひよこーん、見た目だけなら美味しそうなポップコーンだ。
「アックス&ウィザーズでもモンスターを食べる習慣はないんだねぇ。あそこなら美味しそうなモンスターもいそうだけど。」
 前にやったゲームだったか、漫画だったか。エルトはファンタジー世界でモンスター料理を食べる作品があったよなぁ、と記憶を思い起こす。エルトは現在、現代地球に定住し暇を見つけてはゲーム&ネット三昧の毎日である。
「食べる人もいなくは無いんだろうけど、わたしは食べたこと無いってだけよ。繊細でセクシーなレディーはケーキと花の蜜が主食なの。」
 本気なのか冗談なのか、アイラは自らを指してそんな事をのたまう。敢えては突っ込むまい。
「まぁ、故郷の合成食よりまずいってことはないだろうし、毒とかないなら俺も挑戦してみたいかも。」
 故郷の宇宙船での暮らしを思い出すエルト。コアマシンが生成する味気ない合成食、うちの船のが特別あれだったのかは知らないけど、美味しくなかったよなあ。
「エルトはスペースシップワールド出身だっけ。あそこはオブリビオンとか食べられ無さそうよね。」
 先のスペースシップワールドを舞台にした戦いの様子を仲間から聞いていたアイラ。流石に機械の兵隊や粘つく宇宙生物が相手ではモンスター料理も成立しなさそうだ。
「デントコーンはこれくらいで足りる?」
「うん、ありがとう。撒き餌はそれくらいで良いかなぁ。ちょとこっちへ来てその奥で飛んで見てて。」
 二人は別に雑談をして時間を潰していたわけでは無い。災魔ひよこーんを討伐するために相談をした結果、アイラとエルトは迷宮の通路の一角で罠を張ることに決めたのだ。口は雑談に興じながらも、手は忙しく仕掛け作りの真っ最中である。
「これがホログラムか。良く出来てるわね。」
 アイラは小さな身体に乾燥デントコーンの袋を抱えながらエルトの電脳ゴーグルが映し出すがれきの山のホログラムを見つめていた。
 作戦はこうだ。エルトが戦闘知識によって割り出したひよこーんの通り道。そこに、ひよこーんが好みそうな餌を撒き興味を引きつける。そして、撒き餌の奥にがれきのホログラムを映しその中に潜んでいたアイラがひよこーんの緊張をほぐしながら先ず攻撃を加える。その隙を突いて、隠れていたエルトが背後からひよこーんにトドメを刺すというものだ。
「これ、本来の用途じゃないんだけどね。」
 撒き餌を挟んでがれきのホログラムとは逆側にユーベルコードで生成した弾薬箱を設置するエルト。ちょうど、曲がり角になっている場所なので餌をついばむひよこーんから死角となる位置だ。この黒い弾薬ケース、触れることで中の特殊空間に入ることが出来るという代物で、ひよこーんが通り過ぎた後にここから外に出ることで後ろから襲撃をかけることが出来るのだ。
「それじゃ、作戦開始といこうか。」
「オッケー、アイラ様の実力たっぷりと魅せて上げるわ!」

「目に麗しく、花香良く、逝きなさい!」
「ひよひよ……!」
 当初の作戦通り、撒き餌につられたひよこーんをユーベルコードで奇襲をかけるアイラ。彩り鮮やかに良い花の香りを纏い舞い踊る花びらがひよこーんを包み込んでいく。花の香りと彩りでリラクゼーション効果を狙ったものであるが、果たして。
「ターゲット、ロック。エネルギーチャージ完了。――ファイア!」
 花の嵐に包まれたひよこーんを、すかさず弾薬箱の空間から飛び出したエルトがビームライフルで狙い撃つ。食べられる部分が残るように、出力は調整済みである。
「よし、やったか!」
 舞い散る花びらの中から表れたひよこーんはビームライフルに撃ち抜かれ、今正に倒れようとしていた、しかし。
「ひよー、ひよひよー!」
「エルト後ろ!」
 今にも地に伏せようとしていたひよこーんが突如甲高い鳴き声を上げた。すると、エルトの背後からもう一匹新たなひよこーんが表れた。たまたま二匹目が居合わせたようである。
「おっと!」
 倒れたひよこーんの鳴き声に共鳴した新たなひよこーんはその身から強力な熱を発してエルトに襲いかかる。アイラの呼び声で間一髪服が焦げるだけで済んだが、直撃していたらただでは済まなかっただろう。
「フラワーサービスよ、受け取りなさい!」
 再度、花の嵐をひよこーんへ向けて放つアイラ。鮮やかな花の色にひよこーんは目を奪われていく。
「助かった!もう一発……ファイア!」
 緊急回避により体勢を崩しながらも、ひよこーんへ向けて銃口を向けるエルト。放たれた光線は正確にひよこーんを撃ち抜き、その身体は地に倒れ落ちていった。
 アイラのリラクゼーション効果が功を奏し、通路には美味しそうな香りを漂わせた二体のひよこーんが横たわっていた。アイラとエルトは急ぎ二体を回収すると、次なるオブリビオンが表れるのを待ち構えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヤーリ・ハンナル
【地下学食】で連携。
「同じく学食をきりもりする者として、この頼みは断れないね!」
 ひよこーんを入れるでっかい袋や籠を持参。
 シャルロッテ(f12366)がひよこーんにUCをかけている間に、こちらもUCを発動。
 ひよこーんがシャルロッテの攻撃でダメージを受けたら、巨人と2人【おたま】ですくい取って、武器の技能【催眠術】を使用。優しくゆすったり、ねつ造子守歌を歌ったりしてひよこーんを熟睡させる。
 巨人はおたまも2倍サイズだから、いっぱいすくい取れるはずさ。
 ひよこーんが眠ったら、そっと袋や籠に入れておく。
「できたらウチの学食にも少しもらって帰りたいね!」
※アドリブ連携ネタ大歓迎


シャルロッテ・エンデ
【地下学食】のみんなと一緒

あるだわって広いから
学食もいっぱいあるでちね

馴染みの店主
地下学食の母、ヤーリ(f10606)の顔が浮かび

よ〜し、料理人のお悩み解決
シャルロッテちゃんも手伝うでちよ!
(両親を早くに亡くした彼女は、ヤーリに母親の面影を重ねてるのかも)

ストレスを与えず倒すなら
●極星光でちね
オブリビオンだけに作用する
星からの光で照らすだけ、外傷は与えない
ゆ〜べるこ〜どでちゅから、昼間でも
迷宮の中でも関係ない…はず

ひよこーん持ち帰り用に
麻袋を何枚か持ってくでち

あたちは火炎と激痛に耐性がありまちゅ
ヤーリしゃんの方へ流れ弾が飛んでったら
蒸気ドリルシールドマシンを構え
盾受け+かばうで守りまちゅよ!




 迷宮のあちらこちらで猟兵達がオブリビオンの討伐を成功させていく中、ここでも二人の猟兵がひよこーん退治に向かわんと歩みを進めていた。
「これっくらいの、あさっぶくろに、ひっよこーんひっよこーんちょいっとつめてーでち♪」
「ご機嫌だねえ、シャルロッテ。良いことでもあったのかい?」
 大きな麻袋を引きずりながら楽しそうに歌声を上げるのは、琥珀色の髪に青い瞳を輝かせたドワーフ、シャルロッテ・エンデ(暁のびしょうぢょ神官・f12366)。その隣を赤茶色の三つ編みを揺らしながら歩くのはこれまた大きなおたまを背負ったドワーフ、ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)である。
 二人はヤーリがアルダワ魔法学園で切り盛りする、地下学食での顔なじみであった。今日の作戦に参加したのも元はと言えばシャルロッテが。
「みんなでコックしゃんを助けにいくでちゅよ!」
 と地下学食で誘いをかけたのが発端である。そういった意味では、見知った仲間とちょっとしたピクニック気分を味わえることが、彼女のご機嫌の理由なのかも知れない。ヤーリも、同じくアルダワ魔法学園で学食をきりもりする者として見過ごせないとシャルロッテの誘いを快諾してくれたのである。

「ひよー、ひよひよー!!」
「ひよー!」
「まさか、いきなり鉢合わせるとはね!」
 二人が歩みを進めてしばしがたった後、突如二匹のひよこーんが出会い頭にシャルロッテとヤーリを襲ったのであった。
「ヤーリしゃんあぶないでち!」
 ヤーリに襲いかかる弾けたひよこーんの体当たりを、盾を構えたシャルロッテがかばいに入る。不可視の炎を纏ったひよこーんの破片はシャルロッテの盾、蒸気ドリルシールドマシンにぶつかると白煙をあげて燃え尽きていった。
「助かったよシャルロッテ!大丈夫かい?」
「これくらいどーってことないでち!ヤーリしゃんはあたちが守るでちゅよ。」
 シャルロッテの背に守られたヤーリは仲間を気遣うように声をかける。上手く守りには入れたのか、シャルロッテには傷一つついていないようである。
「あたしからもお返しだよ!来な、アースジャイアント!」
 シャルロッテの無事な様子を確かめたヤーリはひよこーんの位置に向けてユーベルコードを発動し、自らの身長の二倍はあろう大地の巨人を召喚する。
「ひよー!?」
 突如現れた、巨人に驚いたひよこーんは猟兵達への追撃の手を止めてしまう。
「いまでち!導きの光、迷える亡者をあるべき場所へ!」
 その隙を見逃さず、シャルロッテはユーベルコードにて空間をつなげた天上の星々からの光を、ひよこーん達の周囲を回るように放つ。
「ひよひよー?」
 目も眩むような星明かりに囲まれた二匹のひよこーんは何が起こっているかわからず、身動きが出来ないでいる。
「さて、それじゃあたし達もいくかね。」
 今し方ヤーリに召喚された大地の巨人は彼女の動きに合わせて、二人がすっぽりと入るほどの巨大なおたまを振りかぶると、身動きが出来ないひよこーん達をひょいひょいっとすくい上げてしまった。
「ひよひよ!?」
「ほれほれ、よしよし。ぐっすり眠りな。」
 突然、おたまの中に放り込まれたひよこーんは動揺したように鳴き声を上げるも、ゆらゆらと優しく振られるおたまの動きが心地よいのか、段々と静かになっていく。
「おーたまにーゆーられて、こーとりーはーゆめーのなかー♪」
 優しく、眠りを誘うように催眠の力を込めて歌うヤーリ。うとうとと目を閉じていくおたまの中のひよこーん達をシャルロッテの極星光からの光が降りそそぎ、ダメージを与えていく。
「ひよ……ひよ……ひー……。」
 優しい光と歌に包まれ、静かに息を引き取る二匹のひよこーん。おたまの中からは、甘くこうばしい香りが漂ってきている。
「眠るみたいに逝ったね。それじゃ、袋を広げとくれシャルロッテ。……シャルロッテ?」
「でち……でち……ぐぅ……。」
 ヤーリが隣を見やると、子守唄に聴き入ってしまったのか、シャルロッテは立ったまますやすやと眠っていた。
「ほれ、アンタまで眠ってどうするんだいシャルロッテ。起きな!」
「ふえっ……ママ?」
 まだ、半分ほど夢の中なのかヤーリの声に起こされたシャルロッテは寝ぼけたような声を上げる。
「あたしはアンタの母ちゃんじゃ無いよ、まったく。」
 相方の様子にやれやれといった風に声をあげたヤーリはシャルロッテが広げた大きな麻袋の中へ、美味しそうな香りを上げるひよこーん達をそっとしまっていく。
「ねむっちゃったでち、でへへ。ヤーリしゃんは子守歌がじょーずでち。」
 麻袋の口を縛りながら、やっとこさはっきりと目を覚ましたシャルロッテは照れたようにヤーリに声をかける。
「それにしても、良い匂いだね。できたらウチの学食にも少しもらって帰りたいね。」
「学園にとどけたらコックしゃんにたのんでみるでち!」
 ほくほくと戦果について話していた二人は、大きな麻袋を担ぎなおすと次なるオブリビオンの元に向けてまた楽しそうに歩みを進めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『グレーターキメラ』

POW   :    グレートゴリラパンチ
単純で重い【ゴリラの剛腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    デッドエンド・バイト
【鷲掴み、または踏み付けによる拘束攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【獅子頭または尻尾の毒蛇による噛み付き】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    山羊頭の暗黒魔法
レベル×5本の【暗黒】属性の【瘴気の魔弾】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ニーナ・ソーサリーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 各地で猟兵達による災魔討伐の声が上がるにつれ、階層内でざわめくように聞こえていた鳥のような鳴き声もしだいになりを潜めていく。
 その時である。
 迷宮内に突如として恐ろしい獣の遠吠えが響き渡った。
 それは、獅子と山羊が同時に声を上げたような奇妙な鳴き声であった。
 ただならぬ気配に戦慄した猟兵達は、グリモア猟兵より事前聞いていた情報を思い出す。
 これが、災魔グレーターキメラの鳴き声!
 階層内で散り散りになっていた猟兵達は、グレーターキメラの気配のする元へ急ぎ駆けつけていく。
 さあ、メインディッシュはここからだ!
茲乃摘・七曜
心情
……生徒さんも災魔が材料って知っているんでしょうか?

指針
山羊頭の肉質を柔らかくする
「背中から後頭の部分に衝撃を与えていきましょう

行動
Angels Bitsとの三重輪唱で土【属性攻撃】【範囲攻撃】
※上から降り注ぐ、石の礫でダメージを与える

キメラが素早く動き狙いを定められない可能性を考慮し
Pride of foolsの属性弾攻撃で足や鼻先を狙い移動を制限を狙う
※『流転』は属性弾に魔術弾を織り交ぜておき仲間の攻撃に合わせ発動
「他の人がどこの部位を狙うかはあれですがサポートも致しましょう

対攻撃
瘴気は呪詛耐性で耐え、ダメージは激痛耐性で凌ぐ
「山羊頭の口の動きでタイミングが分かれば回避したいものですが


アイラ・ハーヴィスト
さてと、お次はグレーターキメラね。

要は自分が食べてみたい部位を狙ってやわらかくしてから倒せばいいのよね?
一番無難そうなのが山羊、珍しそうなのがゴリラってところかしら。
そうねぇ……折角の機会だけど、ゴリラを食べる勇気は出ないから無難な山羊の部分を狙うことにするわ。

まずトリニティ・エンハンスで攻撃力を重視して自身を強化!
そしてサイコキネシスで遠距離から山羊の部分を狙ってサイキックエナジーで攻撃よ!

ふふ、ご自慢そうなゴリラの腕も距離を取られればなかなか当てられないでしょ?
どう?これがマジックナイトでフォースナイトならではの合わせ技よ。


エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎

WIZ選択

狙う部位は一番無難そうな山羊の部分にしとく。
あの魔弾の効果とかよくわかんないけど、とりあえず当たらなければ問題ないよね。

まずはUCエレクトロレギオンで機械兵器を召還。
50ずつ2手に分けて、半分を敵に向かわせる。
これは陽動。群がる機械兵器の対処に追われてる間に『レッキス』での接近戦を仕掛けるよ。

【ジャンプ】と同時にブースター全開、キメラの頭上からグレネード発射。
落下の勢いを乗せて、山羊頭目掛けてヒールバンカー。
離れ際にビームもサービスしておくね。

待機させてた機械兵器もあるからもう一回【空中戦】してもいいし、警戒されてるならほかの猟兵の【援護射撃】にまわるのもいいかな。


シャルロッテ・エンデ
【地下学食】で連携でち!

あとはお肉をたたくだけ
うつべし!うつべしっ!!

アースジャイアントで大地の巨人召喚
シャルロッテちゃん愛用の聖鎚・暁の星と
背丈ほどある大盾・蒸気ドリルシールドマシンの大型版で
ヤギの部位をひたすら叩くでちゅ
て〜しぼう、こ〜たんぱく♪
(ヤギ肉は羊肉に近いと聞いて、ジンギスカン鍋を連想しつつ)

ドワーフが呼ぶと、巨人の割に小さいってよく言われまちゅけど
せまいダンジョンで使うなら、ちょうどいいでち

巨人を前に出して、あたちは後ろから操る
前線の盾も兼ねてまちゅ
ヤギの暗黒魔法を封じれば、後衛の人も安全でち


ヤーリ・ハンナル
【地下学食】
「やっぱりこのキマイラの部位で美味しそうなのはヤギだよね!」
 ヤギ狙い。まずUC発動して巨人を出現させる。とはいえ巨人も2mないので、弓矢を使ってヤギ部位を本体共々撃ちまくり。仲間の援護も兼ねる。【2回攻撃】【範囲攻撃】【援護射撃】
 巨人はシャルロッテと共に前に出して、自分だけでなく皆の盾にする。
 瘴気は毒耐性で、できるだけ耐える。
「巨人が倒されるまで粘るよ! ハリネズミにしてやるんだから!!」
 ヤギ部位を上手くゲットできたら、オキナワ風ヤギ汁が作ってみたいとか思っている。
※アドリブ連携ネタ大歓迎




 階層内の空気は一変していた。迷宮下層に続く階段を殺気を漂わせながら這い上がり表れたのは、様々な獣が組み合わされた様な奇妙な姿をした獣であった。これが災魔グレーターキメラ。階層に降り立った獣は辺りが広い部屋になっていることその二つの頭を巡らせ確認すると周囲を威嚇するかのように鋭い遠吠えを上げた。
 その音を聞きつけ、まず最初に駆けつけたのは小さなドワーフの二人組。琥珀色の髪を揺らしながら息を切らせるシャルロッテ・エンデ(暁のびしょうぢょ神官・f12366)と色黒の肌に薄らと汗を浮かべたヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)であった。
「これがグレーターキメラでしゅね。ならば、あとはお肉をたたくだけでち。いきましょう、ヤーリしゃん!」
「あいよ、シャルロッテ。狙うのは。」
「「背中の山羊(でち)!」」
 最後に声を合わせたドワーフの二人組は、同時にアースジャイアントを召喚すると、グレーターキメラへ立ち向かっていく。シャルロッテの大地の巨人が前線でグレーターキメラを抑え、後方からヤーリの巨人が弓矢の射撃で援護を行うという布陣だ。
 二人が狙うのはグレーターキメラの背中から生えた山羊の首である。そこへ攻撃を届かせるために、背丈の小さな二人が考えたのが、大地の巨人を使うことだったのである。
「ぐぐぐっ……負けないでち!えいっ、うつべし!うつべしっ!!」
 本体の動きをトレースする巨人を操作するために、大地の巨人の後ろで力強く大盾を構え、槌を振り回すシャルロッテ。その動きに合わせて、シャルロッテの大地の巨人はグレーターキメラを抑え込んでいく。振り回した槌が山羊の首に辺り、時折呻き声が漏れる。
「喰らいな、ハリネズミにしてやるんだから!!」
 そのシャルロッテの隣で大弓に番えた矢を引くヤーリの大地の巨人。バリスタの如き大弓からの連続射撃がグレーターキメラの背に負う山羊の頭に突き刺さっていく。
「グゲエエエエエエエエ!!」
 突如、山羊の首から恐ろしい声が上がると、その口より無数の瘴気の魔弾が放たれ、前線で耐えるシャルロッテの大地の巨人を狙い撃ちにする。巨人が構える巨大な蒸気ドリルシールドマシンの大盾が煙を上げ、何とか攻撃を凌ぎきったシャルロッテの大地の巨人であったが、その隙を逃さず放たれたグレーターキメラの突進を止めることは出来ず、前線の突破を許してしまう。
「シャルロッテ、避けな!」
 ヤーリの言葉に真正面からグレーターキメラを睨み返すシャルロッテ。前線を退けたグレーターキメラの突進は、その後方で盾を構えるシャルロッテへ真っ直ぐに突っ込んでいく。この間合いであれば、躱すのは容易い。しかし、それでは更にその後方にいるヤーリに被害が及ぶ可能性がある。ヤーリの大地の巨人が止めに入れるかも知れないが、盾を持たない巨人よりもあたしの方がこの攻撃を止められる可能性は高い。
「いかせない、あたしが止めてみせるでち!」
 意を決し、グレーターキメラの突進を正面から受け止める覚悟を決めたシャルロッテは、先程大地の巨人が構えていたものから一回りも二回りも小さい、蒸気ドリルシールドマシンの大盾と愛用の聖鎚・暁の星を構え直す。そして、グレーターキメラの巨大な身体が彼女の眼前に迫ったその瞬間。
「来い、エレクトロレギオン!」
 突如、シャルロッテの前に五十体にも及ぶ小型の機械兵器がグレーターキメラとの間に割って入るように召喚された。群がる機械兵器の攻撃に気を取られ、突進の足を止めて対処に追われるグレーターキメラ。そこへ表れたのは、オレンジの瞳をたたえたスペースノイド、エルト・ドーントレスであった。この機械兵器は彼のユーベルコードによるものであった。
「その小さい身体一つであのデカいのを止めるのは無茶だろ。俺も加勢するよ。」
 駆けつけたエルトはドワーフの二人組に声をかけながら新たに布陣を組み直し、体勢を整えていく。
「助かったでち。でも、あたしはおとなでちゅからあれくらい止められたでち!」
 小さいと言われたことに若干むくれながらも、加勢にきてくれたエルトに礼を言うシャルロッテ。エルトは、はいはいといった風に片手をひらりと上げている。
「押されてるよ、大丈夫かい。」
 心配するようにエルトに声をかけるヤーリ。群がるようにグレーターキメラを取り囲んでいたエルトの機械兵器であったが、グレーターキメラの攻撃により徐々にその数を減らしていた。
「大丈夫だよ、あれは陽動。本命は……こっち!」
 言葉とともに、飛び込むようにグレーターキメラへ向かっていくエルト。グレーターキメラに迫る直前にその身に纏う高機動型パワードスーツ、レッキスのスラスターを全開にし高く跳躍する。災魔の頭上に迫ったエルトは構えたグレネードランチャーの引き金を引きグレーターキメラの背中の山羊頭を爆撃する。そして、グレネードランチャーの反動を利用しそのまま落下するように山羊頭の脳天目がけ、脚部に装着したヒールバンカーを炸裂させる。流れるような連続攻撃を身に受けたグレーターキメラから、苦悶に満ちた声が上がる。
「グガアアア!?」
「これはサービス。お釣りはいらないよ。」
 頭上に降り立った障害を払おうと、振り回される山羊頭から離脱するように跳躍したエルトは去り際、追い打ちをかけるようにグレネードランチャーからビームライフルに持ち替え、銃口を山羊の首に向け引き金を引く。熱線に首を焼かれた山羊の頭は目を白黒させる。
「無茶するなって言った口で良くやるよ、まったく。」
 グレーターキメラの眼前で行われたエルトの連続攻撃を、大地の巨人の弓矢で援護を行いながら固唾を呑んで見守っていたヤーリは、鮮やかに決まった一連の攻撃に安堵の声を漏らす。
 ひらりと地に降り立ったエルトは今一度、災魔に追撃を加えようと振り返った、その瞬間であった。
「あぶないでち!」
 振り返ったエルトの眼前にグレーターキメラの獅子頭が迫っていた。あの猛攻にしばらくは怯んで隙が出来るだろうと思っていたが、グレーターキメラの胆力はこちらが思っていたよりも強かったようである。
 咄嗟に後ろに跳ねようとしたエルトであったが、獅子頭の後ろに見える山羊頭が殺意に満ちた目でこちらを睨みながら、その口に瘴気の魔弾を蓄えていた。下手に避ければ、あの追撃をもろに受けることになる。獅子頭の口がエルトの身体を捕らえようと大きく牙を剥いた、その時であった。獅子の鼻頭を掠めるように何発もの銃弾が何処からともなく飛来したのである。寸前で頭を引き銃弾を避けるグレーターキメラ。追撃にと背中の山羊頭から放たれた瘴気の魔弾も銃弾への対処に一瞬生じた隙を突いて距離を取ったエルトを捕らえることは出来ず、庇いに入った大地の巨人に受け止められてしまう。
「きちんと避けられて良い子ですね。あのまま猛進していたら、可愛いお鼻が弾けていました。」
 グレーターキメラに向かって優しく言葉を投げかけた、銃弾を放った張本人が部屋の奥からこちらに歩み寄ってきた。広い鍔の帽子で目元を隠すように微笑みながら優雅な足取りでこちらに近付いてくる彼女は、ミレナリィドールの茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)である。
「大丈夫ですか?お嬢さん達。」
 こちらに警戒を向けるグレーターキメラを余所に、三人の猟兵に声をかける茲乃摘。
「はいでち!」
「助かったよ。」
「サンキュ。けど、俺は男だけど。」
 口々に礼を述べる猟兵達の様子を認めると、茲乃摘は改めてグレーターキメラに向き直り、二丁拳銃・Pride of foolの銃口を向ける。
「では、私もお手伝いしましょう。」
 四人目の敵の姿を認めたグレーターキメラは警戒から興奮した様子で目を血走らせ、猟兵達に向けて再び突進してくる。
「既に布石は撃ってあります。もう、あなたは私の手のひらの上。」
 再び引き金が引かれる二丁拳銃。銃口から射出された魔導弾の弾丸がグレーターキメラの周囲で不可思議な軌跡を描いて災魔の足下に突き刺さる。よく見れば、先程茲乃摘が牽制にと放たれた弾丸も、グレーターキメラの周囲をぐるりと取り囲むように地面をうがっていた。その弾痕の数は七つ。
「万物流転。有限が作り出す無限の円環――。」
 地面を穿った弾丸に向け、茲乃摘が力を込めるとそれらは杭の様な形状に変化し、それぞれの杭を繋ぐように魔力で描かれた陣がグレーターキメラの身体を縛り付ける。
「封印術か、これは凄い。」
 突如、まばたき一つ動かせぬようにピタリと静止したグレーターキメラ。何が起こっているのかを認識出来ず、獅子頭の額から汗が流れる。
「幽玄たる時間の監獄へようこそ。」
 術式の最後に黒薔薇の様な美しいロングドレスの裾を摘まみ、気品を纏うように軽く会釈をする茲乃摘。グレーターキメラは今や完全に動きを止められていた。
「ふっふっふ、いよいよわたしの出番ってわけね。」
 そこへ新たに表れたのは金髪碧眼の小さな妖精、アイラ・ハーヴィスト(かしましフェアリー・f05908)であった。
「力の素たる火の魔力、力を巡らす水の魔力。そして、力の流れを司る風の魔力よ。我に宿りてその力を示せ。トリニティ・エンハンス!」
 主役は遅れて登場するものとばかりに、この最大の攻撃のチャンスを見逃さず、自信満々にその身に魔力を宿らせ強化を施していく。
「そんな呪文みたいなの必要だったっけ?」
「良いでしょ!さっきのが格好良かったから、わたしもやりたかったのよ!」
 先程まで一緒に災魔と戦っていたエルトから投げられた疑問に、慌てた様子で応えるアイラ。茲乃摘のユーベルコードの詠唱に感化されたようである。
 こほん、とアイラは気を取り直して魔力により強化された身を以てグレーターキメラの元へ弾けるように飛んでいく。術式により縛り付けられたグレーターキメラは無理矢理その身体を奮い立たせると前足のゴリラの腕を闇雲に振り回し、アイラの小さな身体をはね除けようとする。
「ご自慢そうなゴリラの腕も、強化されたわたしの動きにはついてこられないでしょ。」
 しかし、鈍った身体で強化されたアイラの動きを捕らえられるわけも無くグレーターキメラの太い腕は空しく宙を切る。そこへ、茲乃摘の詠唱により上空から降りそそいだ石の礫の雨がグレーターキメラの背中を中心に身体へ突き刺さっていく。
「グガッ!」
「僭越ですが、サポートしましょう。」
「ありがとう!よしっ、今よ。えいっ!」
 茲乃摘の攻撃により怯んだグレーターキメラへ向けて、アイラはサイキックエナジーで形作った光の剣を構え、山羊の首の周囲をぐるぐるとダンスをするかのように回りながら剣を振り下ろしていく。魔力により強化が施された妖精のサイキックエナジーによる斬撃に身体中を刻まれたグレーターキメラは断末魔のような雄叫びを上げる。
「どう?これがマジックナイトでフォースナイトならではの合わせ技よ!」
 決まった、とばかりにグレーターキメラに言い放つアイラ。背中の山羊頭は既にがくりと力尽きたように頭を垂れている。
「よしっ、もういっちょ!」
 その後を追うように、再び宙を駆けたエルトが山羊頭に向けてグレネードランチャーの爆撃を浴びせていく。
「ちょっとエルト、わたしの見せ場!」
「悪い悪い。」
 少しむくれるアイラに軽い調子で謝るエルト。茲乃摘の援護射撃も含めて、何だかんだで綺麗な連携が決まっていた。
「それじゃ、ここいらでみんなで一斉攻撃といこうかね!」
「はい。」
「はいでち!」
「オッケーよ。」
「了解。」
 山羊頭はもう既に沈黙しかけているが、グレーターキメラ本体はまだ健在だ。茲乃摘の拘束をやっとの思いで抜け出そうとする災魔に向かってヤーリの掛け声で猟兵達は一斉に攻撃を開始する。

「それにしても。」
「ん?」
 五人の猟兵達から一斉に攻撃を受け、地面に倒れ伏すグレーターキメラ。その様子を見つめながら、疑問の声を漏らす茲乃摘にアイラが反応する。
「明日の学食。生徒さんもこの災魔が材料って知っているんでしょうか?」
「……まあ、捌いちゃえばきっと普通の山羊の肉だし。知らぬが仏ってやつなんじゃない。」
 倒れた身体を震える足で起こしながらながら、未だその瞳に殺意をたたえて猟兵達を睨み付ける恐ろしき災魔グレーターキメラ。この様子は知らない方が美味しくご飯が食べられそうだ。
「グレーターキメラの山羊肉。少し分けてもらえたら地下学食でオキナワ風ヤギ汁でも作ろうかね。」
「て〜しぼう、こ〜たんぱく♪でち!」
「そろそろ、いい加減腹減ってきた。」
 かたや、この様子を知りながらも食欲全開な猟兵達を横目に見ながら、再び大きく雄叫びを上げた災魔へ向けて猟兵達は再度武器を手に立ち向かっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィクトル・サリヴァン
えーと…肉食獣は上手く調理しないと臭みがあるんだっけ。
山羊…ギリ蛇もいけるかな?
もしくは胴体は何が混ざってるかちょっと怖いけど、んー…胸肉はやっぱり定番。
…よし、狙う部位も決めた所で狩りの時間やろうか。

狙いを澄まし銛を獅子頭部下の胸を狙い投擲。
ゴリラ腕に妨害されそうだけどそこは距離を取って回数投げてぶち抜く気合いで。
殴られたら痛そうだし距離取り直撃受けぬよう立ち回る。
頑丈らしいけれども生きてる間に叩けば柔らかくなるなら然して問題じゃないよね。
銛の命中直後に巨大な水鯱…大海より来たれり発動。
おっと食い散らかしちゃ駄目だよ。後で俺達の戦利品になるんだから。
頭突きや尾の叩きつけで胸を徹底的に狙おう。


リコリス・ミトライユ
連携・アドリブ歓迎

どうせなら食べたことのないものを食べてみたいですよね。
……当然、全部、食べたことないですけど。

ようし、狙いは決まりました。
横に回り込んで、思いっきりゴリラの腕……ひじから下に、拳を叩きこんでいきます。
それから、踏みつけでも、ひじを狙って行きますね。
このあたり、きっと美味しいスープになると思うんですよね。

う、確かにちょっとじゃないくらい硬いかも……。
これは、何か作戦を考える必要があるかもですね。

殴ってくるゴリラの拳に向かって、
カウンターで思いっきり、【ペネトレイト・ブロウ】を打ち込みますっ!
あたしだって痛いですけど、相手だって十分痛いはずですし。
これで柔らかく、なるのかなっ。


雷田・龍子
「おまえのパンチと私のパンチの力比べと行こうか。」

【POW】
龍子はグレーターキメラに歩み寄り、UCを発動させる。
グレートゴリラパンチにドラゴンフィストをぶつけ合わせる。




「……あいつらは山羊に何か恨みでもあるのか?」
 先行した猟兵達の猛攻。特に集中して狙われ、グレーターキメラの背でぐったりと頭を垂れている山羊頭に若干の同情を感じながら赤髪に眼鏡の光るドラゴニアン、雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)が呟いた。
「一番美味しそうな部位だし、仕方ないんじゃ無いかな。」
 その隣で雷田の言葉を受けたのは大柄なシャチの姿のキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)であった。彼も今にも倒れそうなふらふらな様子のグレーターキメラに苦笑していた。
「でも、山羊だけをあんなに狙うなんて……。」
 プラチナブロンドにパッチリとしたガーネットの瞳のエルフ、リコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)もそんなグレーターキメラを見つめながら少し悲しそうな表情を浮かべていた。
「どうせなら食べたことのない部分も食べてみたいですよね。」
 いや、こっちは同情とかじゃ無かった。まあ、他の部位も美味しく食べてみたいという意見には雷田もヴィクトルも頷いていた。
「えーと、肉食獣は上手く調理しないと臭みがあるんだっけ。」
 そうすると、狙いは獅子や蛇よりは他の部分かなと考え始めるヴィクトルに雷田も頷き返す。
「ああ、言われてみれば確かに。あれは何時のことだったか……ヤツは強敵だったが肉は臭みがあって今一つだったな。」
「ちょっと待って雷田さん。ヤツって何、何の肉を食べたの!?」
 一人訳知り顔に頷く雷田にツッコむヴィクトル。冗談だ、と返す雷田であったが表情が真顔なので真意は不明である。
「うーん、そうするとあのゴリラの腕とか良さそうでしょうか。珍しいし、バナナを食べるから草食ですしね。」
「うむ、あの太い腕なら食べ応えもありそうだ。それに、力比べにもちょうど良い。」
「ゴリラはバナナだけ食べてるわけでも無いと思うけど……まあ、いいか。それじゃ、俺はその腕の付け根辺りの胸を狙ってみるよ。胸肉は定番だしね。」
 ポンッと手をつきながら提案するリコリスにヴィクトルと雷田も同意を返す。バナナはおいておくとしても、実際ゴリラの主食は草食らしいのであながち間違ってもいないらしいですよ。
「ようし、狙いは決まりました。それじゃあ、みなさん行きましょう!」
 元気よく拳を握るリコリスの掛け声を合図にグレーターキメラへと向かっていく三人の猟兵達。さあ、最後の仕上げといこう。

「では、私からだ。おまえのパンチと私のパンチの力比べと行こうか!」
 先陣を切ったのは拳に雷鳴の力を宿した雷田であった。帯電する拳を振りかぶり、グレーターキメラへ向けて真っ直ぐと駆け寄ると渾身の力を込めて災魔の右腕に向けて叩きつける。衝撃で床にめり込むゴリラの腕。しかし、次の瞬間グレーターキメラは床から腕を引き抜くと返す刀で雷田の身体を振り払った。
「雷田さん!」
 リコリスの言葉に咄嗟に後ろにはねた雷田。風圧が雷田の赤い髪を激しく撫でていた。「くっ、思ってた以上の硬さだな。」
 ゴリラの腕を叩きつけた自らの拳をみる雷田。グレーターキメラも無傷というわけでは無いが、あの硬い筋肉に覆われた豪腕はまるで鋼鉄を殴りつけたような感触であった。
「これならどうですっ!」
 いつの間にか雷田と逆側のグレーターキメラの左腕に回り込んでいたリコリスは腕の関節部、ひじを狙って拳を叩き込んでいく。そして、流れるような動作で両足でストンピングを決めるとそのままバク宙で後ろへくるりと跳ねて距離を取る。一瞬遅れて、逆上したグレーターキメラの豪腕が空を切りながら床に叩きつけられ瓦礫となった床の破片が飛び散る。
「う、確かにちょっとじゃないくらい硬いかも……。」
 一連の攻撃の感想はやはり、雷田と同じ。動作は鈍っていて攻撃をするのも避けるのも容易いが、あの腕を肉が柔らかくなるまで攻撃し続けるのは骨が折れそうだ。
「なら、こいつでどうだ。いけっ!」
 前に進み出た雷田とリコリスの後方から戦況をうかがっていたヴィクトルが続いて、三又銛を投擲するがあっさりとゴリラの豪腕に弾かれてしまう。
「うーん、やっぱりあの腕が邪魔だね。」
 弾かれ宙に飛んだ三又銛を魔力で手元に引き寄せ、銛の柄を握り直したヴィクトル。弱っていると思っていたが、窮鼠猫を噛むと言うべきか。どうやら、最後まで油断ならない相手のようだ。
「これは、何か作戦を考える必要があるかもですね。」
「よし、私に良い考えがある。」
「あれ、デジャヴ?」
 幸い、グレーターキメラに激しく動き回る体力は残っていないのか、こちらから攻撃に向かっていかなければあちらから攻撃をしてくる様子は無い。雷田の言葉に耳を傾けるリコリスとヴィクトル。
「良いですね!実はあたしも同じ事考えてました。」
 雷田の提案に明るく言葉を返したリコリスは互いに頷き合うと、二人は足並みを揃えてグレーターキメラの眼前に歩み寄っていった。
「来い、災魔。私の全力を見せてやる!」
「ちっちゃいからってナメると、痛い目見ますよ!」
 二人並んで歩み寄る猟兵がグレーターキメラの豪腕の射程に入る。未だ消えぬ殺意を目に宿した災魔は身体を大きくもたげると太く黒い両の豪腕を二人の猟兵それぞれに向けて激しく振り下ろした。
「グガア!!」
 激しい地鳴りの様な音が迷宮内に響き渡った。叩きつけられた豪腕の下から砕かれた床の欠片が土煙となって巻き上がる。
「どうした?まだまだこんなものじゃないだろ!」
 叩きつけられたゴリラの豪腕の下から鋭い声が上がる。グレーターキメラの大きな拳を自らの拳をもって受け止めた雷田である。
「あたしだって痛いですけど、あなただって十分痛いはず。根比べです!」
 もう片方の拳の下からもリコリスの力強い声が上がった。彼女の小さな拳もグレーターキメラの豪腕を真っ直ぐに受け止め、衝撃を相殺している。捨て身とも言える二人の猟兵の所行であるが、覚悟を決めた拳の一撃を受けたグレーターキメラは驚愕の表情を浮かべる。
 しかし、すぐにその表情は怒りへと変わり、再び渾身の力をもって両の拳を叩きつけていく。その攻撃の全てを雷田とリコリスは自らの拳をもって返していく。正に、力と力のぶつかり合いである。
「凄いなあ、武闘派女子。でも、こういうの俺も嫌いじゃ無い。」
 グレーターキメラと激しく撃ち合う二人の猟兵の後方で攻撃の機会をうかがうヴィクトル。流石にあの中に飛び込んでいく無茶をするつもりは無いが、二人に感化されたのか勇魚狩りの三又銛を握る手にも力が入る。
「そら、隙有り!」
 雷田とリコリスとの撃ち合いに我を忘れた様子のグレーターキメラに向け、攻撃の隙間を潜るように隙を捉えたヴィクトルの銛の投擲が災魔の胸に突き刺さる。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ!」
 そして、ヴィクトルの魔力によって象られた巨大な水鯱が突き刺さった三又銛をアンカーにグレーターキメラに向けて魚雷のように突進していく。
「グゲアアアアア!?」
 巨大な水鯱の突進を受けたグレーターキメラは断末魔の悲鳴を上げながら後ろに仰け反るように倒れていく。
「今です!全力全開の力で――打ち抜きますっ!」
「存分に喰らえ、これが私の全力だ!」
 リコリスの捻りを加えた竜巻の如き拳が、雷田のいかずちを宿した雷鳴の如き拳が、倒れ行くグレーターキメラに向けて同時に放たれた。
「グゲ……ガア……。」
風雷轟くが如く激しい両拳に撃ち抜かれた災魔グレーターキメラは最後に掠れるような声を上げて地面に倒れ伏し、完全に沈黙した。
「やった、やりました♪」
 撃ち抜いた拳をそのまま天高くかかげてぴょこんと嬉しそうに跳ねるリコリス。
「ご苦労様。おっと、もう囓っちゃ駄目だよ。俺達の戦利品なんだから。」
 ヴィクトルは倒れたグレーターキメラに向かって口を開けた水鯱を手で制して、元の水に返しながら安堵の声を上げる。
「では、皆で運び出すとするか。美味い食事が待ってるぞ。」
 ともに戦った他の猟兵にも声をかけながら、巨大な戦利品を持ち帰る手はずを整える雷田。
 迷宮を侵攻する災魔の群れは、猟兵達によって討伐されたのであった。
 お疲れさま、さあ学園で首を長くして待つ料理人へ皆の戦果を届けよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『学園名物 学食風景』

POW   :    学食を作る側、もしくは売る側にまわる

SPD   :    誰よりも早く売り切れ必死の一品を買いに行く

WIZ   :    仲良く誰かと一緒にお昼

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



============================
 本日のオススメは美味しい美味しいモンスター料理です!

■ひよこーん豆のスープ
 ころころしたひよこーんが入ったやさしい味わいのスープです。

■ひよこーんポタージュ
 じっくりコトコト煮込んだひよこーんをポタージュに仕立てました。

■キメラ風ラムステーキ
 とろけるほど柔らかいキメララムを大胆にステーキにしました。

■ブラックラムシチュー
 柔らかいキメララムを長時間煮込んだ味わい深いシチューです。

■ゴリゴリメンチカツ
 柔らかくなるまで叩かれたキメラの豪腕を溢れる肉汁とともにメンチにしました。

■ワイルドキメラハンバーグ
 複数の動物が交わるキメラの胸肉をワイルドにハンバーグにしました。

■(限定)ひよこーん豆とキメララムのカレーパン
 ひよこーん豆とキメララムを辛口に煮込んだカレーに仕立て、さくっと揚げたカレーパンにしました。数に限りがあるので、ご注意ください。

 通常メニューもやっています。その他のモンスター料理のご要望承り〼

 追伸、学食の臨時バイト募集中。明るくアットホームな職場です。
============================
シャルロッテ・エンデ
料理をつくるほう、厨房を手伝いまちゅ

もんすた〜ジビエ料理って
きっとA&Wの雪の街でも出せまちゅね
新名物にできるかも!

地下学食のヤーリしゃんとおそろいの
割烹着&三角巾姿に着替えて
シャルロッテちゃんの花嫁修行でちよ♪

シチューとかポタージュとか
雪国の人に喜ばれる料理を覚えたいでち
あと…キメララムのジンギスカン鍋!
(UDCアースで買ってきた、独特な形の鍋を持参し)

鍋の真ん中、山形のところでお肉を焼いて
まわりにお野菜をしきつめるでちゅ
そ〜するとほら!あふれるにくじゅ〜が
野菜のあじつけに♪

ささ、みなしゃんでど〜ぞ!
(いつもお世話になってる、雪の街のドワーフ仲間も招待してます)


ヤーリ・ハンナル
【地下学食】
「手伝うからさ、レシピを教えておくれよ!」
 割烹着三角巾持参で厨房を手伝います。
 特にひよこーんと肉の下ごしらえについては、興味津々。コックの手元を引かれるくらいガン見。熱心にメモもとります。
「ほうほう、この筋をしっかり切って、叩いて、下ゆでするんだね。こちらは角切りかい? スライスかい? スパイスは何を入れるんだい? 臭み消しのお酒はワイン? それともビール? ブランデー?」
 味見もします。特に自分ちの学食で出せそうなシチューやハンバーグは食べておきたい。
 もし食材が余ったらもらって帰りたいです。自分ちの学食で出します。
技能 :【料理】【大食い】
※アドリブ連携ネタ歓迎


リコリス・ミトライユ
こう見えても、お料理はそれなりに出来るんです。
修道院で、いっぱい勉強させられましたもの。

とはいえ……暑いのも苦手ですし、
それに……まだ、火、ちょっと怖いんですよね。
だから、油ものには近づかないようにして、
それ以外の、切ったり、盛りつけたりを中心にやっていきますね。

モンスター料理は、「まかない」でいただくことにしましょう。
んーっと、お野菜と一緒に、ゴリゴリメンチカツを白パンにはさんで。
ワイルドキメラハンバーグも食べたいから、
こっちもお野菜と一緒に別の白パンにはさんで。

いっぱい食べると、太っちゃいそうですけど……。
ほら、さっきいっぱい運動しましたしっ!
その分あとから食べてると思えば、へーきですっ。


雷田・龍子
【POW】
かつて「戦うメイド長」だった龍子はその経験を活かせると考え、赤いメイド服に着替えると臨時バイトで手伝うことにした。

「オブリビオン料理か。」
後で賄い料理でも創ろうとメニューを思案する龍子だった。




 ここはアルダワ魔法学園。髭もじゃのケットシーが切り盛りする学生食堂は学園の生徒達でごった返していた。
「すまんな、ヤーリ。お主に手伝って貰えるとは。」
「いいんだよ。その代わり、後でモンスター料理のレシピを教えておくれよ。」
 学生食堂の厨房でせわしなく手を動かす髭もじゃのケットシーのコックと話をしている、ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)は持参した割烹着と三角巾を締めて学食の臨時バイトとして厨房に立っていた。彼女も同じくアルダワ魔法学園の地下学食を切り盛りするものとして手際よく料理にいそしんでいる。
「ほうほう、この筋をしっかり切って、叩いて、下ゆでするんだね。こちらは角切りかい? スライスかい? スパイスは何を入れるんだい? 臭み消しのお酒はワイン? それともビール? ブランデー?」
「好奇心が旺盛なところは相変わらずじゃな。後で教えてやるからそっちの鍋のひよこーん豆を火にかけてくれんかの。」
「はいよ。ほほう、このひよこーんしぼんで豆みたいになってるね。一体、どうやったんだろ。」
 ケットシーのコックの調理の一挙手一投足に興味津々のヤーリであった。自身の学食でもメニューに活かそうかと、コックの手元に熱い視線を注ぎながら、てきぱきと料理を行う合間合間で熱心にメモを取っている。
「ヤーリしゃん、7番テーブル料理だしおえたでち。」
「ありがとうよ、シャルロッテ。次はこいつをお願いできるかい。」
「はいでち!あ、雪の街のみなしゃんの注文でちゅね。」
「そうさ、気を付けてもっていっとくれ。」
「はいでち~。」
 そんなヤーリに声をかけたのは、こちらもおそろいの割烹着と三角巾に身を包んだシャルロッテ・エンデ(暁のびしょうぢょ神官・f12366)であった。彼女もヤーリと一緒に学食の臨時バイトとして一生懸命給仕を行っていた。
「おまちどうさま、キメララムのジンギスカン鍋でち!」
 料理を運んできたシャルロッテに彼女が招待した雪の街のドワーフ仲間が待ってましたと歓声を上げる。シャルロッテがテーブルに置いたのは中央が山形になった独特な形の鍋、現代地球で言うところのジンギスカン用鍋だ。彼女は雪の街の仲間の前で、鼻歌を歌いながらキメラ肉のジンギスカンの準備をしていく。
「なべっのまんなか、おっにくを焼いて~♪まわりにおっやさいをしきつめて~でちゅ♪そ〜すると。ほら!あふれるにくじゅ〜が野菜のあじつけに!ささ、みなしゃんでど〜ぞ。」
 いただきます、と声を上げてシャルロッテが仕上げたジンギスカンを食べ始めるドワーフ達。とろけるようなキメララムの焼き肉にみんな幸せそうな表情を浮かべている。その様子をニコニコと見つめながらシャルロッテは再び給仕の仕事に戻っていくのであった。

「付け合わせのキャベツの千切り終わりました!」
「ご苦労さん、そしたらそいつとメンチの盛り付けを頼めるかの。」
「お安いご用です。」
 再び厨房。エプロン姿のリコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)も臨時バイトとしてケットシーのコックとともに料理にいそしんでいた。
「コックさんは火とか恐くないんですか?」
 キメラ肉をフランベしながら火柱の上がるフライパンを握るコックを見つめながら、ふとした疑問を口にするリコリス。彼女は事前にコックに話を付け、火や油を使う場所を避けて食材の切り出しや盛り付けを中心に行っていた。
「む?そうじゃな、火が恐くては料理人は勤まらんからの。」
「そうですよね……。」
変な質問しちゃったかな。でも、あたしは火は……うん、まだちょっと苦手だ。
心の中で呟くリコリスの様子を横目に、髭もじゃのケットシーはフライパンを振りながら応える。
「じゃが、誰しも恐いものや苦手なものの一つくらいはあろう。出来ることを無理せぬようやってくれれば良い。」
 ちなみに儂はカナヅチじゃ。と付け加えながらリコリスの方へ向き直る髭もじゃのケットシー。その顔はニコリと笑っていた。
「ありがとうございます!」
 向けられたケットシーの顔に笑顔を返すリコリス。少し下を向いていた彼女であったが、再び笑顔で顔を上げた彼女は手際よくメンチとキャベツの盛り付けを行っていくのであった。

「5番テーブルのメンチはこれか?」
 料理の盛り付けを行うリコリスに声をかけたのは真っ赤なメイド服に身を包んだ雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)であった。彼女も学食の臨時バイトに志願した一人だ。
「あ、雷田さん。お願いします。それにしても大盛況ですね。注文が追いつかなくなりそうです。」
「そうだな。よしっ、私に考えがある。」
「それ気に入ったんですか?駄目ですよ、学生さんを威圧して注文を一種類に絞っちゃうとかしちゃ。」
「そうか、では止めておくか。」
「えっ、図星なんですか?」
「何せ、私は戦うメイド長と呼ばれた女だからな。」
 そんな軽口を交わし合いながら料理を手に運んでいく雷田。相変わらず、すました表情から真意を測ることは難しいが、昨日の迷宮での戦いにおいてともに戦ったリコリスは雷田が良い人であることがわかっているだけに話もしやすいようであった。
「ゴリゴリメンチカツをお持ちしました、お客様。美味いぞ、何せ昨日私達がとってきたばかりだ。しかも、このメンチに使われた腕肉は私とあそこのリコリスが良く殴ってやわらかくしておいたものだ。味わって食べると良い。」
 料理を運んだ先から、そんな雷田の声が聞こえてきた。うーん、出来ればあたしが殴ったとかは学生さんには内緒にしてて欲しいかな!っと少し恥ずかしそうに厨房奥に引っ込んでいくリコリスであった。

「ご苦労さん、この辺で儂らも昼食にするかの。」
 目が回るような昼時の時間が終わりを告げ、美味しい料理にお腹を満たした学生達が授業に戻っていくと、ケットシーの料理人の声を合図に厨房を手伝っていた猟兵達に遅い昼食の時間が訪れた。
「やった♪まかないですね。」
「賄い料理か……ふむ、モンスター料理。コック、厨房を少し借りるぞ。」
 昼食の合図にぴょこんと喜びを露わにするリコリス。一方、雷田は何かを思いついたように厨房の奥へと向かっていった。
「ふう、やっと一息付けるね。それじゃ、あたしもモンスター料理の味見をさせてもらおうかね。ラムシチューとハンバーグが気になってたんだ。」
「あたちもシチューがいいでち!ひよこーんポタージュもちょっと貰うでち。」
 雷田と入れ替わりに厨房奥から表れたヤーリにシャルロッテも一緒になって席に着く。
「ちょっと何て言わずにたんと貰えば良いじゃないのさ。」
「あたちはレディーでちゅから、レディーサイズで貰うのでち!」
「そんな事言って、あとでどうせおかわりするんだろ。」
 ヤーリの言葉に少しぷくっとむくれるシャルロッテ。そんな楽しそうな二人の様子にリコリスも話しに加わる。
「あたしはメンチカツが良いです!白パンにふわっとはさんでメンチサンドにして。あ、でもハンバーグも美味しそう……。」
 どっちにしようかと真剣に悩み始めるリコリスにケットシーのコックは笑いながら応える。
「たくさん食べると良い。食材はまだまだあるからの。」
「えへへ、ありがとうございます。それじゃあ、ハンバーグもお野菜と一緒にパンに挟んで。食べ過ぎちゃって太っちゃいそうです。」
 でも、昨日いっぱい運動しましたし実質カロリーはゼロです!と元気よく応えたリコリス。まだまだ、食べ盛り伸び盛りの彼女だ。体型の心配も杞憂であろう。
「よしっ、出来た。」
 そんな楽しく会話が弾んできたテーブルに雷田が料理の皿をもって表れた。
「それは何ですか?」
 雷田が置いた皿に入っていたのは先程出していたひよこーん豆のスープ。しかし、先程出ていたものよりも具材が多そうだ。
「ひよこーん豆のスープにキメラ肉のミンチで作った肉団子を入れてみた。名付けて、メイド風キメラ肉団子とひよこーん豆のスープだ」
 ゴロゴロした肉団子が美味しそうな雷田の特製賄い料理であった。のぞき込むヤーリも感心の声を上げる。
「へー、やるもんだね。あたしも何か一品作ろうかね。あ、後で食材を少し分けて貰っていいかい?うちの学食でも出してやりたいのさ。」
「あたちも何か作るでち!シャルロッテちゃんの花嫁修行でちよ♪」
「あ、それじゃあたしも。こう見えて修道院で、いっぱい勉強したからお料理はそれなりに出来るんです。」
 シャルロッテやリコリスも雷田の料理に感化され、次々と厨房に向かっていく。先程まであれだけ働いていたのに、ランチの前に楽しい料理の時間がまだまだ続きそうだ。
「構わん、何か良いレシピが思いついたら儂にも教えてくれ。」
 わいわいと厨房に入っていく猟兵達。そんな彼女達の様子を見つめながら髭もじゃのケットシーは満足そうに微笑むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルト・ドーントレス
連携・アドリブ歓迎

WIZ選択

さて、例のモンスター料理が出来上がったわけだけど、結構メニューが豊富だねぇ。
結構迷うけど、「ひよこーん豆のスープ」と「キメラ風ラムステーキ」、ちょうだい。
バケットも一緒にね。

やっぱり、依頼に参加してた他の猟兵も来てるよね。
スルーするのもあれだし、一緒のテーブルになるのが普通かなぁ。

それじゃ、依頼参加者と食材と料理人に感謝して、いただきます。

うん、柔らかいステーキは噛むと口中に肉汁があふれていい感じ。
スープもシンプルなのにステーキに負けない存在感があっていいね。

いやー、頑張って仕留めた甲斐があって良かったぁ。
旨い料理が食べられて満足だよ。

ごちそうさまでした!


茲乃摘・七曜
心情
…ええと、モンスター料理って普通なんでしたか?

指針
普通の料理を普通に楽しむ
「いきなりはハードルが高いですし…他のものを注文しましょうか

行動
魔法学園の学食の風景を楽しみつつ静かに食事をする
※注文は通常の日替わりセット、もし和食があればそちらで
※実際のところ食材確保を行った身として少しばかり心配
「まぁ、本職が料理するのです考えすぎる必要もないのかもしれませんね

Ex
トゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)へのお誘い
「先日はお世話になりました、これから噂の食堂というか料理を見に行くつもりなのですけどご一緒にいかがでしょう?
「モンスター料理に挑戦されるなら、ぜひ味の感想を聞かせてくださいね?




「えーっと、こっちだったかな?」
 グリモア猟兵の妖精トゥール・ビヨンは件のモンスター料理を出すというケットシーが切り盛りする学食へ向かってアルダワ魔法学園の廊下を飛んでいた。
「あ、茲乃摘さん。こんにちは。」
 こんにちは、と応えた黒衣のドレスの女性は茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)であった。彼女は先日のトゥールの依頼によって迷宮で災魔討伐を行った猟兵の一人であった。
「先日はお世話になりました、これから噂の食堂というか料理を見に行くつもりなのですけどご一緒にいかがでしょう。」
 茲乃摘の誘いに応じたトゥールは連れだって学生食堂を目指し歩みを進めていく。
 辿り着いた学生食堂の扉を開けた二人は魔法学園の学生達で賑わう食堂を見て驚きの表情を浮かべた。
「……ええと、モンスター料理って普通なんでしたか?」
「ここのコックさん、定期的にモンスター料理を出してるみたいだから一部の学生にはお馴染みみたいだね。それにしてもすごい人だ。」
 辺りを見渡せば、みんな楽しそうに食事を囲んでいる。モンスター料理という聞き慣れないものに若干心配を抱いていた茲乃摘であったが、学生達の様子を見る限り皆美味しそうに料理を口に運んでいた。
「私は……いきなりはハードルが高いですし他のものを注文しましょうか。」
 かかげられたメニュー看板を見つめながら静かにランチを選ぶ茲乃摘。日替わりセットというところで目をとめていた。
「トゥールさんもモンスター料理に挑戦されるなら、ぜひ味の感想を聞かせてくださいね?」
「うん、茲乃摘さんも楽しんでいってね。」
 トゥールに別れを告げた彼女はカウンターで料理を注文する。注文を受けてくれた女性も先日の依頼で一緒になった猟兵であった。どうやら、臨時バイトとして手伝いに来たようである。注文を終えた彼女は予約されているという席を探して学食内を進んでいくと、これまた見覚えのある姿が先に予約席で運ばれてきた食事を受け取っていた。
「あれ、茲乃摘のねえさん。奇遇だねえ。」
 予約席に歩みを進める茲乃摘に気付いて声をかけたのは、エルト・ドーントレス(灰色猟兵・f14009)であった。彼とは先日の依頼でともに戦った仲である。
「ええ、先日はお世話になりました。エルトさんもモンスター料理ですか?」
「折角ならね。メニューも結構豊富だし。ほら、ひよこーん豆のスープとキメラ風ラムステーキだ。」
 運ばれてきたモンスター料理を示して微笑むエルト。
「見た目は普通なんですね。先日のモンスターがこんな風になるなんて。」
 エルトの料理をのぞき込みながら感想を述べる茲乃摘。あの恐ろしい災魔もこうしてお皿の上にのぼってしまうと普通の料理と変わらない様に見える。
 そうこうしている内に茲乃摘の分の料理も運ばれてきた。彼女が頼んだ日替わりセットはライスとスープに魚の照り焼きがついた、現代地球の和食に近いようなラインナップである。
「それじゃ、依頼参加者と食材と料理人に感謝して、いただきます!」
「いただきます。」
 向かい合うようにして席に着いた二人はともに料理に手を合わせる。茲乃摘は優雅に食事を口に運びながら、目の前のエルトにモンスター料理の味の感想を聞いてみる。
「うん、柔らかいステーキは噛むと口中に肉汁がジュワッてあふれていい感じ。臭みもほとんど感じないね。ソースはなんだこれ、果物とか使ってるのかな肉の味とすごくあってる。」
 キメララムのステーキを口に運びながらニコニコと味を語るエルト。厳密に言えば、ラムは子羊の肉を指す言葉だが、その癖が少なく良く叩かれて柔らかくなったキメラ山羊の肉はラム肉と味や食感が似ていることからキメララムと呼ばれている。使われたソースは青リンゴを中心にケットシーのコック秘伝の調合で作られた爽やかな果汁ソースだ。さっぱりとした味わいがとろけるようなキメララムの脂ととても良く合う。
「スープもシンプルなのにステーキに負けない存在感があっていいね。ひよこーん豆って口に入れるとホロッと崩れて中からチキンのやさしい味わいがしみ出てきてすごく落ち着く味だ。」
 加熱すると膨張する特性のあるひよこーんであるが、逆にゆっくりと冷凍することでしぼんで小さな豆のようになる性質も持っている。これを水で戻しながら煮出すことによってチキンの味が凝縮されたやわらかい豆のようになるのだ。もちろん、低脂肪・高タンパクで栄養価もバッチリ。一緒にやわらかく煮込まれた野菜の味もしみ出た透き通ったスープはホッとする味わいに仕上がっている。
 バゲットと交互にそれぞれの料理を口に運びながら幸せそうな表情を浮かべるエルト。
「ふふ、美味しそうですね。あら、この魚の照り焼きも美味しい。」
 幸福そうなエルトの様子を見ながら、微笑むように食事を口に運ぶ茲乃摘。通常メニューの日替わりセットの味も中々のようである。てらてらと琥珀色に輝くように焼かれた、やわらかく脂ののった白身の魚は現代地球のブリを思わせるような味わいである。
 美味しい食事に舌鼓を内ながら、何気ない会話に花を咲かせていく二人。楽しいランチの一時が過ぎていく。

「いやー、頑張って仕留めた甲斐があって良かったぁ。旨い料理が食べられて満足だよ。」
 食後に特別サービスで運ばれてきた飲み物に口を付けながら満足した様子のエルト。
「流石、本職の方の料理ですね。美味しそうに食べるエルトさんの様子で私もお腹がいっぱいになりそうでした。」
 飲み物を静かにかたむけながら、満足そうなエルトの様子を微笑みながら見つめる茲乃摘。
「「ごちそうさまでした。」」
 揃って手を合わせる二人の猟兵。まだまだ、学食の賑わいは続いていくようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
一仕事終わった事だしわくわく食事の時間だね。
魔物食は実は初めて、味も知らないのにいきなり料理に行くにはハードル高いから食べ専。
減った分は食べる、それこそ成長期の学生の本分…こらそこ、歳考えろとは言わない。

可能ならトゥール(f05703)を誘って食事。
今日は豆のスープとハンバーグの二品で。
メニューどれも目移りしちゃう位興味深いから節制しないと全部頼んじゃいそうだしね。
いい感じに仕上がったひよこーんの味にほっこりしたり、柔らかくしたキメラ肉の味にいい仕事したなぁ、と思ったり。
もしトゥールが別メニュー頼んでたら分けたげたり。
逆はまあ、量的に多く貰っちゃうことになりそうだし遠慮。

※アドリブ絡み等お任せ


アイラ・ハーヴィスト
ふぅん、学生食堂って初めて来たけどこんな感じなのね。

限定カレーパンも気になるけれど、限定って言うくらいだからもう残ってないかしらね…。
じゃあひよこーんポタージュとブラックラムシチューにしようかしら。

あ、わたしフェアリーだから少しでいいわ。
その代わり美味しそうな部分を頼むわよ!

よかったらトゥールも一緒にどう?
グリモア猟兵のお仕事お疲れ様。
それにしても本当どこに行くにもフェアリーって大変よねぇ。
食事をするにも中々フェアリーサイズのカトラリーは置いて無いし。
もちろんわたしはいつも持ち歩いてるけどね!


霧枯・デスチーム
【協力・アドリブ歓迎です】
ん~良い匂いだ。働いた後のメシ程待ち遠しい物はねーぜ!
まー、一番美味いのは奢りメシだけどよー。
ひよこーんにはたっくさん鉛弾奢ってやったし、今度はコッチが奢ってもらうかネ?
ブラザー、ちょっと行って席確保してきてくれよ。
おいらぁちっとお食事のお誘いしてからいくからよー!

ガジェットと同伴で食事。ご機嫌で欲張りに色んな料理を楽しみたいぜ。
できればトゥールと一緒にご飯食べてみたいぜ。鉄と火薬、装甲と火力の信望者としては、機動性高そうなバンデュールはどういう機体か興味があるしナ。




「ふぅん、学生食堂って初めて来たけどこんな感じなのね。」
 賑やかな学生食堂にふわりと降り立った小さな妖精、アイラ・ハーヴィスト(かしましフェアリー・f05908)は辺りをくるりと見渡すとそんな風に独り言ちた。彼女も昨日の災魔討伐に協力した猟兵の一人だ。
「あ、アイラさん。」
 声をかけたのはこれまた同じく小さな妖精のグリモア猟兵トゥール・ビヨンである。ふらふらとアイラの元まで飛んでくると少し疲れたようにふうと息を吐き出した。
「あら、トゥール。こんにちは。どうしたの、なんかボロボロだけど。」
「あはは、実は……。」
 トゥールが飛んできた方向へ顔を向けると学生食堂の一部に黒山の様な人だかりが出来た一角が見えた。おしくらまんじゅうのような様相を見せる人だかりからは「押さないでください!」とか「完売!限定カレーパンは完売です!!」などといった喧噪が聞こえてくる。
「限定カレーパンか……あれはもう残ってないわね。」
 どうやらトゥールは売り切れ必死のカレーパンを購入しようと果敢にチャレンジしたようだが、あえなく撃沈したようである。人混みに揉まれた目の前の妖精の様子から食欲旺盛な学生達のパワフルさが見て取れるようである。
「わたしは今来たところだけど、限定以外のメニューならまだやってるわよね。どう?よかったらトゥールも一緒に。」
「うん、ありがとう。ボクもお昼はまだだから一緒に行こうか。」
 いたわるようなアイラの言葉に気を取り直したように立ち上がったトゥールは、快くアイラの誘いを受けた。
「やあ、二人とも。わくわく食事の時間だね。」
 そこへ二人の妖精を見つけて声をかけたのはヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)であった。悠々と大きなシャチの身体を揺らしながら二人の元へ歩いてくる。
「ヴィクトルさん。こんにちは。」
「こんにちは。ヴィクトルもこれから食事?どう、折角ならあなたも。」
「ありがたいね、是非よろしくお願いするよ。俺も魔物食は初めてだから、みんなでゆっくり味合わおうか。」
 いつの間にか一緒に食事の輪が出来た三人は食堂のカウンターであれこれと楽しくメニューを迷いながら、注文を行った。カウンターで応対してくれたのは昨日の迷宮での災魔討伐に加わってくれた猟兵だったようで、ここでも話が盛り上がった。
 料理を注文した三人が、猟兵達のために予約された席までやって来ると、そこには見覚えのある大きな二足歩行のガジェットが立っていた。どうやら誰かを待っているようである。
「あら、これって。」
 見覚えのあるガジェットの姿を見上げたアイラ。すると何処からかご機嫌な声がこちらに歩いてくるのが聞こえてきた。
「ん~良い匂いだ。働いた後のメシ程待ち遠しい物はねーぜ。」
 声の主は、霧枯・デスチーム(100万回殺しても殺せない猫・f13845)であった。灰色の尻尾を大きく揺らしながら自らの相棒のガジョットの元まで歩いてくる。
「霧枯君か。やあ。」
「おや、ヴィクトルの旦那に。アイラとトゥールか。よお、お三方揃って。」
 声をかけたヴィクトルに、こちらに気付いた霧枯は片手を揚げて挨拶を返す。
「こんにちは、ガジェットに席取りしてもらってたのね。」
「そうだぜ、なあブラザー。」
 アイラの声に傍らの相棒を見上げながら同意を返す霧枯。ブラザーと呼ばれた大きなガジェットは蒸気を吐きながら顔を動かし頷きを返した。
「三人もこれからランチだろ。どうだい、良かったら一緒に?トゥールともゆっくり話してみたかったしよ。」
「うん、ありがとう。みんなで依頼の成功をお祝いしながらランチにしようか。」
 注文した料理が運ばれてくるまで、しばし四人は歓談に楽しんでいた。やがて、美味しそうな匂いとともにそれぞれが注文したモンスター料理が運ばれて来た。
「今日は豆のスープとハンバーグの二品だ。こんな感じになるんだね、興味深い。」
 受け取った料理をしげしげと見つめるヴィクトル。ジュワジュワと湯気の上がるキメラ肉のハンバーグは皿からこぼれそうなほど大きく、ひよこーん豆のスープもなみなみと皿につがれている。
「ちょっと量多くない?」
 ヴィクトルの前の料理をのぞき込みながらその量に目を丸くするアイラ。
「大盛りにしたからね。昨日たくさん動いたから、減った分は食べる。それに、折角学食にきているからね。成長期の学生の気分で俺もたくさん食べないと。」
 ニコニコとアイラの言葉に応じるヴィクトル。周りでもりもりと美味しそうに食事をするアルダワ魔法学園の生徒達に感化され、食欲も増し増しなようである。
「歳考えないと太るわよ。」
「うっ、それは言わない約束で……。」
 冷静なアイラの言葉にギクリと反応するヴィクトル。まあ、でもたくさん頑張ったし今日ぐらいは良いよね。
「わたしはひよこーんポタージュとブラックラムシチューにしたわ。ここ、フェアリー用のサイズでも食事を出してくれるのね。」
 見るとアイラの前には妖精サイズの小さな器に盛られた料理が並べられていた。同じくトゥールの前にも小さな食器と料理が並んでいる。
「うん、魔法学園は色んな種族が通ってるからかな。食器まで妖精サイズのがあるのには驚いたけど。」
 小さなケットシーから竜の姿のドラゴニアン、果ては猟兵全員を「転校生」として迎え入れ支援している魔法学園である。食堂でも多様性に応じた心遣いがされているのであろう。
「そうそれ!フェアリーって食事をするにも中々フェアリーサイズのカトラリーは置いて無いからいつも大変なのよ。もちろんわたしはいつも持ち歩いてるけどね。」
「へえ、身体がちっこいと色々大変なんだナ。お、おいらの分の食事もきたみたいだ。」
 身体の特別小さな妖精ならではの苦労を語るアイラを横目に最後に運ばれて来た食事を受け取る霧枯。
「ひよこーんにはたっくさん鉛弾奢ってやったし、今度はコッチが奢ってもらうかネ。一番美味いのは奢りメシっていうしナー。」
 冗談交じりに語りながら並べられていく料理を目で追っていく霧枯。待ちきれないのか先程から灰色の尻尾がせわしなくパタパタと動いている。
「うんうん、お金を気にしなくて良いと思うとつい食べ過ぎちゃうよね。」
「ヴィクトルさっきメニュー選ぶときも全部頼んじゃいそうな勢いだったわよね。」
「メニューどれも目移りしちゃう位興味深いからね。そこは節制したけど。」
 節制した結果料理が大盛りになってるけど、という言葉は飲み込んだアイラ。
「ほう、旦那達は謙虚だね。おいらは、じゃーんモンスターメニュー一通り頼んでみたぜ。一個一個は少なめにしたけどナ。」
 手を広げた霧枯の前に並べられたのはメニュー表に出ていたモンスター料理がひとしきり。他にも通常メニューからいくつかがチョイスされているようである。まるでモンスター料理の満漢全席だ。
「だから霧枯の料理が来るの遅かったのね。その身体の何処に入るのよそれ。」
「借金まみれの貧しい生活のおいらにゃー、美味いもんは食えるときに食っておきたいのさ。」
 目を細め、八重歯を見せながら満面の笑顔で応える霧枯。背後に控えるブラザーもコクコクと首を動かしている。
「それじゃ、食事も揃ったし食べようか。」
「そうね、それじゃあ。いただきます。」
 一様に手を合わせて食事を始める一同。美味しい料理に言葉も軽やかになっていくようだ。
「ひよこーん豆やわらかくてい感じに仕上がってるね。うん、落ち着くやさしい味だ。」
 ゆっくりと口の中で味わうようにスープを口に運んでいくヴィクトル。ホロリと口の中で崩れていくひよこーん豆をじっくりと噛みしめて味わう。透き通ったスープも野菜とひよこーんの出汁がしみ出てやさしく舌の上に広がっていく。
「キメラ肉のハンバーグもやわらかくて美味しいね。良い仕事したなあ。」
 自らが叩いたキメラの胸肉で作られたハンバーグを大きめにナイフで切り出し口に入れる。ジュワッと肉の旨味が口に広がり、舌の上で様々な肉の味わいに変わっていくのが楽しい。
「ラムシチューも中々よ。色は濃いブラウンシチューみたいだけど、キメララムの味が癖になりそう。」
「んー、ひよこーんポタージュも結構いけるぜ。」
 小さな食器を手に持ち、可愛くシチューを口に運ぶアイラ。よく煮込まれたキメララムの肉はこれまたとびきりやわらかく、シチューにしみ出た肉の味がブラウンソースと絡み合ってとても味わい深く仕上がっている。バゲットと一緒に食べればいくらでも入ってしまいそうだ。
 ポタージュを口に忙しく運ぶ霧枯はもう皿が空になりそうだ。コトコトとゆっくりとろけるまで煮込まれたひよこーんのポタージュは甘みと旨味がとろりとしたスープにとけ出ていて一体口に入れるとスプーンを運ぶ手が止まらなくなる。
「うん、すごく美味しいね。この料理が食べられるのはみんなのお陰だよ。それに、災魔討伐も本当にお疲れさま。」
「トゥールもグリモア猟兵のお仕事お疲れ様。あれも大変じゃない?送り出すのにわたし達と同じように現場にとぶんだし。」
「実際に動いて貰うみんな程じゃないよ。それにボクにはパンデュールもいるしね。」
 アイラの労いに少し照れたように頬をかくトゥール。
「お、そうだ。パンデュール!機動性高そうな機体だよナ。鉄と火薬、装甲と火力の信望者のおいらとしては是非話を聞いてみたかったんだぜ。」
 先程まで、美味い美味いと料理を次々食べていた霧枯は、トゥールとパンデュールの話になると目を輝かせて話し始めた。
「霧枯さんのブラザーも格好いいよね。火力すごいし、やっぱりスチームと銃火器の重厚な兵装は良いよね!」
「おお、話がわかるね!それによお、やっぱり機体に搭乗した時のあの一体感がよお!」
「うんうん、それに――。」
「二人とも目を輝かせてるわね。」
「ロボットは漢の浪漫だからね。うんうん。」
 美味しい料理に舌鼓を打ちながら話しに華を咲かせていく猟兵達。楽しいランチの時間はまだまだ始まったばかりだ。

 みんな、本当にお疲れさまでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月19日


挿絵イラスト