黒炎大掃討作戦~延焼・タスカルーサ
●グリモアベース
「皆さぁん、お集まりいただきありがとうございますぅ。それではぁ、わたしが視た予知をお話ししますぅ」
グリモア猟兵、ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)はグリモアベースに集った猟兵達に語り始めた。
「アポカリプスヘルの北アメリカ大陸南東のメンフィスで燃えてる黒い炎からオブリビオンが湧き出してベースに向かっていますぅ。皆さんには黒い炎を消すためにオブリビオン退治をお願いしますぅ」
ミントのグリモアには北アメリカ大陸の全景が地図のように映し出され、南東に向けてズームしていく。
しかし、猟兵達は違和感を覚えた。メンフィスは北から南西に流れるミシシッピ川に面した地だ。だというのにグリモアがズームする地に面する川はほとんど東西に延びていた。そして、その違和感の正体がメモ書きを読むミントから告げられる。
「オブリビオンと黒い炎はメンフィス、」
「のあるテネシー州、」
「の隣の、」
「アラバマ州のタスカルーサ、に進んでいますぅ」
現代地球型世界の知識がある猟兵達は驚愕せざるを得なかった。隣のなどと軽く言っているが、メンフィスとタスカルーサの間は230マイル――370キロメートル以上離れているのだ。延焼したと言うには途轍もない距離まで黒い炎が及んでいる可能性がある一言だった。
グリモアには黒い炎から上がる竜巻が映っていた。
「皆さんにはタスカルーサに向かうオブリビオンと黒い炎を荒野で迎え撃って貰いますぅ。まず、この黒い炎から現れるのはたくさんの蚊でできた竜巻ですぅ。オブリビオンなので生き物の血だけじゃなくキャバリアでも何でも針刺して食べるのでぇ、何とかして退治して下さいねぇ」
そしてグリモアは黒い炎を映す。
「蚊を退治したら今度は黒い炎の中から皆さんの『恐るべき敵の幻影』が実体を伴って現れますぅ。この幻影に対して強い恐怖心を持っていると攻撃しても全てすり抜けちゃいますぅ。だけど恐怖を乗り越えた一撃なら実体ごと幻影を貫いて一撃で黒い炎を消し飛ばせますぅ。
恐い敵がいないとか有力な敵と戦ったことのない人には『スーパー戦車』か『バズリトレンディ』がちょっと出やすいかもしれませんねぇ。それじゃ行きますよぉ。グリモア・イリュージョン! ワぁン・ツぅー・スリぃー!」
鷹橋高希
シナリオIDが5万番台突入。押さえてたフラグメントは押さえたまま新規で書きました。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ。
シナリオフレームの難易度は「普通」、章構成は全2章となります。
第1章:集団戦 Vs. 『竜巻蚊柱』
荒野を舞台に好き放題蚊を滅して下さい。
第2章:冒険 『恐るべき幻影』
どんな敵でも出して構いませんが、特にサポート参加の方には上述の通り『スーパー戦車』か『バズリトレンディ』が相手になる可能性が高いです。
何故ならここはならず者達の街、タスカルーサ(※個人の感想です)。
火の用心。迅速な消火を心掛けましょう。
第1章 集団戦
『竜巻蚊柱』
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POW : 回転を保ちつつ一斉吸血
技能名「【吸血】【生命力吸収】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : 竜巻勢力増大
【回転速度を高める】事で【さらに荒れ狂う蚊の竜巻】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 分離部隊による潜行吸血
【竜巻本隊を囮にした、生気を吸う吸血蚊部隊】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
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●黒炎が焼くは黒き戦士の地
アメリカ合衆国・アラバマ州はかつて先住民が
征服者と闘った地だ。先住民の酋長はタスカルーサ――彼等の言葉で「黒い戦士」の意――と呼ばれ、その経緯からこの地に流れる川はブラックウォリアー川と名付けられていた。
しかし、この川に今溢れているのは遠くメンフィスから燃え広がった黒い炎だ。文明が崩壊した地球――アポカリプスヘルのタスカルーサは、またも
征服者の脅威に晒されていた。
キノ・コバルトリュフ
キノキノ、火力が足りないんだって?
だったら、焼き舞茸はいかが?
キノ!バルくんどんどん焼いていくよ!!
トリュフ!バルくん、いい焼き加減だね。
キノも奉納の舞いを頑張っちゃうよ!
マツタケ!!おいしく焼けたかな?
●黒き炎のこげ目から
「キノキノ、黒い炎も結構広い範囲に燃え広がっているんだね」
キノ・コバルトリュフ(
キノコつむりの星霊術士・f39074)が見渡したブラックウォリアー川には、地平線の果てに至るまで黒い炎が燃え盛っていた。
その黒い炎が一段と燃え上がり――否、黒い竜巻が次々に吹き上がった。竜巻は意思を持つようにキノへと近付いてくる。キノの耳に響くのは風音ではなく不愉快に甲高い羽音。その竜巻が何もかもを喰らい尽くす吸血蚊の群れであると知らしめる死の宣告だった。
「キノ、まずはあの蚊柱からだね」
その蚊柱を見据えながらキノは扇を広げ、そして踊り始めた。その様は神に捧げる舞――神楽であった。程なくして、神楽を彩る神の使いの黒猫――星霊バルカンの『バルくん』が現れてキノの周りを駆け、尻尾に点いている創世記の炎が渦を巻いていく。
「焼きマイタケ! どんどん蚊取り線香だよ!」
キノの言葉通り、蚊取り線香のように広がる炎の渦は次々と蚊柱を焼き落としていく。星霊バルカンと共に舞うはユーベルコード「神火大嵐舞」。清めの力ある炎がキノの周りに満ちていた。
「……キノノ!? かゆーい!!」
しかし、僅かながら蚊はキノに取り付いていたようだ。痒みの毒は直ぐさま虚脱感に変わり、扇を取り落としそうになるが、毒でノックアウトされるほどキノコつむりのガッツは弱くないのだ。
「シメジ、別動隊とは卑怯だね。だけど飛んで火に入る夏の虫だよ!」
キノは扇を翻し、炎の渦に変化を付けて蚊柱を次々と焼き払う。やがて力ある浄炎は黒い炎をも焼いて滅し、その焦げ目からは色とりどりのキノコが育っていた。
大成功
🔵🔵🔵
ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!
鳥居・祐介(サポート)
戦闘スタイルは所謂「タンク」タイプです。
武装はほとんどが収納可能もしくは不可避なため一見丸腰に見え気弱でおどおどした外見で油断を誘って敵を引きつけ味方の突破や攻撃のための囮になります。
攻撃に対しては【激痛耐性】で多少の攻撃には怯まず耐え必要とあらば【怪力】で押さえつけます。
こちらの意図や強さを見抜く的にはグレートソードを抜いて大振りな攻撃を仕掛け否が応でも意識せざるを得ない状況にします。
ダメージが蓄積し瀕死になったら『風魔神顕現(アウェイキング・フレスヴェルク)』にて高い戦闘力を待つ風が人の形を成したような魔神を召喚して敵を薙ぎ払います。
●風の支配者
「て、手筈通りに行きますよ、ニノンさん」
「お願いします、ユウさん!」
ブラックウォリアー川に溢れる黒い炎に向かって駆け出したのはニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)と鳥居・祐介(風魔神に憑かれし者・f05359)だ。肉体派とは言い難い祐介の手には大振りなグレートソードが握られ、ケットシーであるニノンはユーベルコード「トリニティ・エンハンス」による炎・水・風の魔力を纏い、祐介の後ろに控えている。祐介が
前衛を務め、ニノンの攻撃魔法を主力とするであろう布陣だ。
その二人に向けて黒い炎の中から現れたのは蚊柱の竜巻だ。生命を吸い尽くそうと向かってくる。
「このっ……!」
祐介はグレートソードを振り抜いた。見た目とは裏腹に腕力に優れ頑強な肉体から繰り出された一閃は敵の中心を捉えていた。惜しむらくは敵が蚊柱でありほとんどを一時的に散らしたに過ぎなかったことだ。蚊の群れは祐介という生命力の水風船に取り付いていく。まとめてぶっ飛ばします、と息巻くニノンの炎が蚊を焼き払うが、ニノン自身も防御に魔力を割り振りながらの反撃で、祐介を解放するには至らない。
(血が、意識が……! そ、そろそろ限界です……! 僕に宿りし風魔神よ……契約に従い、今こそ力を貸してください!)
祐介はグレートソードを杖代わりにしていたが、ついに膝を付く。
その時、人の形を成したような「風」が現れ、風で出来たグレートソードが祐介に群がる蚊柱を切り裂いた。
「これが……ユウさんに宿る風魔神……!」
祐介はUDCアース出身だが、アルダワ魔法学園への転移があり、その際に魔神に取り憑かれてしまっていた。その名は「フレスヴェルク」。
祐介の「アルダワ魔法学園での」姓でもある「ウインドルーラー」――風の魔神だ。これを召喚するユーベルコード「風魔神顕現」が祐介を
前衛たらしめており、二人の布陣の真の狙いでもあった。フレスヴェルクは祐介に代わり、次々と蚊柱を切り飛ばしていく。
「魔力をお貸しします! 容赦せずやっちゃいましょう!」
ニノンはフレスヴェルクに風の魔力を共有させ、蚊柱を――そして黒い炎をも吹き飛ばしていく。
アポカリプスヘルのタスカルーサに吹き込んだのは、アルダワ魔法学園の
風雲児だった。
成功
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音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
●鬱るな!鬱詐偽さん タスカルーサの人助けは蚊柱バシバシバスターSP
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)は自身の冠番組「鬱るな!鬱詐偽さん」の決め台詞をポーズ付きで披露した。すると、ヒュオォォ……という乾いた風の音が聞こえた。この音は鬱詐偽の持つ番組の編集で挿し入れられたSEではなく、アポカリプスヘルの荒野に吹く風の音だった。
(うう……何もないじゃない……)
アメリカ大陸のタスカルーサは川に黒い炎が燃え盛るだけの地と化しており、その黒い炎は竜巻状の蚊柱を生み出した。鬱詐偽の生命を吸い尽くそうと無数の羽音が迫る。
「ううっ……!」
蚊は人類の大敵だ。吸血された肌は腫れて痒みに襲われ、その痒みを引き起こす唾液は致死性の菌やウイルスを媒介することも少なくない。それが人類に牙を剥くオブリビオンと化したとなれば、鬱詐偽にとってビジュアル面だけに留まらないアイドル生命の危機――死の恐怖だ。
その恐怖を退けるべく――ユーベルコード「リアライズ・バロック」で――134体にも及ぶ
親衛隊が現れ、果敢に蚊柱に跳び込み駆逐していく。
蚊柱を囮にして鬱詐偽に近付く蚊もいたが、バロックレギオンは針一本も通さない。やがて一帯の蚊柱を排除した彼等は速やかに姿を消し、鬱詐偽の再度の口上で番組が再開した。
成功
🔵🔵🔴
中床・ミミミ(サポート)
「わたしも参加しま〜す!よろしくお願いします! ……えへへ、楽しみだなぁ〜」
ミミックのブレイズキャリバー×どろんバケラー
箱を開けると、色んな中身が飛び出します。
普段はミミックとしての本来の姿ですが、ちょくちょくミミミを持った女の子の姿やミミミを背負ったオルトロスの姿に化けて(?)います。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
吃驚の蒼炎
「な、何もないね……」
宝箱を抱えた少女と呟き声は中床・ミミミ(中身飛び出す
ビックリ箱・f40879)のものだ。
ミミミは出身世界とは別の地球――アポカリプスヘルのアメリカ大陸・タスカルーサの荒野にいた。後方で僅かに営まれている
拠点が
文明崩壊後の世界を物語る、ケルベロスディバイドにも訪れ得る敗北した近未来の世界の有様に息を呑んだ。
その時、川から黒い炎が燃え上がり、竜巻状の蚊柱がいくつも現れた。蚊柱は真っ直ぐミミミに向かってくる。
「きゃー!」
少女は宝箱を抱えて逃げ出すが、蚊柱はあっと言う間に少女を呑み込んだ。何もかもを喰らう蚊が少女に群がり――。
――少女は「どろん」と音を立てて消えた。
ミミミは「原獣」と呼ばれる古代生物・ミミック――宝箱である。少女の姿はエクトプラズムであり、ミミミの霊鎧なのだ。
蚊柱が不意を突かれた一瞬でミミミは蓋を開く。この世界で
決戦配備は要請できない。それでも世界の人類を守るために刃を振るうのがケルベロスの役目である。
「触ってびっくり! いまの中身はアチチだよ!」
ミミミの中から噴出したのは蒼い炎だ。この
「ミミミの炎」は何もかもを燃やす地獄の蒼炎。蚊柱を丸ごと包み込んで焼き尽くし、黒い炎へと逃げ帰る蚊へも逃さず延焼し、川に溢れる黒い炎にも燃え移った。
川に溢れ返っていた黒い炎はほとんどが蒼炎の中に焼失し、ミミミは少女のエクトプラズムに再び自らを抱えさせた。
「あの黒い炎から焼け出されてくるのは何かなぁ?」
成功
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第2章 冒険
『恐るべき幻影』
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POW : 今の自分の力を信じ、かつての恐怖を乗り越える。
SPD : 幻影はあくまで幻影と自分に言い聞かせる。
WIZ : 自らの恐怖を一度受け入れてから、冷静に対処する。
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●黒炎から甦るは恐るべき機械と虞知らぬ奇怪
猟兵達が鎮めていった黒い炎は突如として激しく燃え上がった。
その炎の中から現れたのは、このアポカリプスヘルを滅ぼしかけたオブリビオン・フォーミュラ――その内の一体。
――フィールド・オブ・ナイン「スーパー戦車」だ。
「e3828fe38293e3828fe38293efbc81e381bce3818fe381aee5908de5898de381afe382b9e383bce38391e383bce688a6e8bb8aefbc81e3839ee382b6e383bce3818ce3818ae6af8de38195e38293e381aae38293e381a0e38288e38082e3818ae6af8de38195e38293e3818ce8a880e38186e381abe381afe38081e382bfe382b9e382abe383abe383bce382b5e381afe58aa9e3818be3828be381aee4ba88e6b8ace5a489e68f9be381a7e38182e381a3e381a6e38081e381aae38289e3819ae88085e38292e88bb1e8aa9ee381abe38197e3819fe8a1a8e78fbee3818ce3808ee383a9e382b9e382abe383abe3808fe381aae381aee381a7e7b584e381bfe59088e3828fe3819be381a6e382bfe382b9e382abe383abe383a9e382b9e382abe383abe381aae38293e381a0e381a3e381a6efbc81e381a4e381bee3828ae38081e38193e381aee5bbb6e784bce381afe8aa9ee6849fe584aae58588e381a3e381a6e38193e381a8e38082e381a0e38191e381a9e38193e3828ce381afe68092e38289e3828ce3819de38186e38082e4bb8ae5be8ce4ba8ce5baa6e381a8e38197e381aae38184e381a7e38081e582b7e4bb98e3818fe38288e38186e381aae8a1a8e78fbee381ab4a4b53e38292e4b88ee38188e3828be782bae381abe280a6e280a6e381a7e38282e381bce3818fe381afe699aee9809ae381abe688a6e4ba89e381a8e5908ce38198e3818fe688a6e38184e3819fe38184e381aae38182e38082e381a0e381a3e381a6e38193e381ae3136e980b2e695b0e3838de382bfe3818ce38284e3828ae3819fe3818be381a3e3819fe381a0e38191e381aae38293e381a0e38282e38293e38082e3828fe38293e3828fe38293efbc81」
かつて姿を現した時と同じように、人類には聞き取れない機械音で猟兵達に語り掛けていた。
さらに別の黒い炎が燃え上がると、その中から現れたのは――。
「異世界に転生してもワイちゃんはワイちゃんやで!」
――新し親分「バズリトレンディ」。
地球型世界の「過去」で出来た世界・カクリヨファンタズムに住まう妖怪親分――その内の一体。
カクリヨファンタズムとUDCアースの存亡を賭けた闘いで存在感を示した「虞知らず」の妖怪だ。
「さて、この黒い炎からはワイちゃん……バズリトレンディこと『ずりりん』やスーパー戦車こと『ぱぁたん』以外にも猟兵の知る『恐るべき敵の幻影』が実体を伴って現れちまうんだ! この幻影に対して強い恐怖心を持つ者の攻撃は全てすり抜けてしまうと言われていた。だが……今は違う!! 恐怖を乗り越えた一撃であれば、実体ごと幻影を貫き、一撃で霧消させられるのだ! ギュッ! 幻影の喚起する恐怖を乗り越えてく、君の完璧で究極のゲ……ユーベルコードが巻き起こる時、黒い炎なんて全て消えるのさ! それじゃあ、『ぱぁたんずりりん』、行ってみよー!」
正直恐怖心とか関係なく自由に暴れ回るであろう、このフリーダムなコンビをはじめとした「恐るべき敵の幻影」を討つべき猟兵達の心情とは。
「一体いつから――
トンチキを遣れないと錯覚していた?」
もう黙って。
迅雷・電子(サポート)
相撲好きの女子大生。父親が相撲取りだったのが切欠で相撲にはまり、夢は女横綱です。
普段の口調は「男勝り(あたし、あんた、だねぇ、だよ、だよねぇ、なのかい?)」です。普段は私服ですが戦闘になると脱いでイェーガーカードの姿になります。基本相撲の動きで戦います。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●タスカルーサ場所・千秋楽
「せっかくだ!
取ろうか、スーパー戦車!」
迅雷・電子(女雷電・f23120)は黒い炎の中から現れたスーパー戦車に声を掛けた。電子の出で立ちは胸にさらし、そしてレギンスの上からまわし。一目で解る女力士――相撲取りだ。
『わんわん! お姉さんはお相撲さんなんだね! それじゃぼくも土俵について、はっけよーい――』
「――残ったぁぁ!」
通じていないはずの言葉が噛み合うのは土俵に立つ者同士だからか。電子とスーパー戦車は真っ向から組み合った。
あらゆる箇所に棘を生やした装甲の合間を縫って車体を掴む電子に、スーパー戦車から伸びた鎖が巻き付いてくる。腕に、胴に、脚に。このまま捕縛されて引き剥がされたら、スーパー戦車に土をつけることは叶わないだろう。
「どぉぉすこぉぉぉぉい!」
だからこそ電子はすぐに投げに入った。重金属の塊である巨躯の戦車が軽々と浮き上がり、アポカリプスヘルの荒野に叩き付けられて砂埃を巻き上げる。電子に巻き付いた鎖が道連れに引き倒そうとするが、鍛え抜かれた女力士の身体は動じず鎖が先に千切れ飛んでいた。
メンフィスの黒い炎部屋のスーパー戦車に黒星を付けた電子の
決まり手は「相撲投げ」。
制服の日々を過ぎ女子大生となって益々、女雷電は横綱となる夢を燃やしているのだ。
成功
🔵🔵🔴
不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにない相手に対しても無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。
一般人がいる場合、恋人や配偶者がいないなら同士と決めつけて喜んで協力し、いる場合は敵とみなしますが一応事態を前進させる意思はあるので嫌々ながら爆破は我慢して助力はします。
元ヒキコモリで堕落しているので猟兵として身体能力上がってるにも関わらず(リア充を爆発させる事を除いて)体を動かす事は非常に嫌がりますが一応事態を前進させる意思はあるので嫌々ながら動きます。
●流行はリア充だ
流行とは、人々が様々な流れを交差する中に生まれるものだ。
様々な流れとは、金・地位・交友等……
現実が充たされた人々が生み出すものだ。
――そう。
流行とは「リア充」そのものなのだ。
「――爆発しろっ!」
そして不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)にとって、リア充は爆発すべき悪であった。
「せやな。爆発は流行や!」
静武に同意するのは、黒い炎の中から現れたバズリトレンディ。
――
流行の塊だ。
「お前がっ! 爆発するんだっ! このリア充め! 『
リア充は消毒だ~~!!』」
バズリトレンディのリア充テンションは静武が怒髪天を衝くには十分で、逆立つには些か不十分な静武の頭髪を補うように燃え上がるのは
「本物の」炎だ。静武が取り出したるは「リア充ころし」の銘を付けられた火炎放射器。
「ハンマーパイナッポーアッポーハンマー! ワイちゃんは言っている、ここで消毒される運命ではないと!」
一方のバズリトレンディは静武の怒髪天を他所に例の歌でハンマーパイナッポーアッポーハンマーを組み立て終えており、それをハンマーパイナッポーとアッポーハンマーに分けながら静武に振り抜き、炎と果物が交差した。
タスカルーサの荒野に風が吹き抜け、崩れ落ちた人影は――バズリトレンディ。
「ワイちゃんの負けや……。その思い、伝わったで。『技能:コミュ力1』……そうや、人は分かり合える、助け合えr」
「黙れ黙れ黙れさっさと爆発しろ!」
「爆発オチも流行を越えて定番にー!」
新し親分「バズリトレンディ」、爆発しアポカリプスヘルの大空へキラリ。
成功
🔵🔵🔴
キノ・コバルトリュフ
キノ?あれ誰?
あの『ぱぁたん』とか『ずりりん』って、みんな知ってる?
シイタケ?星霊のみんなもやっぱり知らないよね。
ナメコー?わかった!
トリュフ!!ここはキノが怖いと思うものを召喚して戦う場所だったんだね。
だったら、キノが呼び出すのは。
その身の丈は遥か山をも越え、その者が使った武具はそれぞれの都市国家の象徴として飾られていた。
知り合いの猟兵ちゃんに聞いた話だとデビルキングワールドの戦争にも呼び出されていたという、エンドブレイカー!の人類の祖『此華咲夜若津姫』お母さん!!
マツタケ!キノの勝利だね!!
キノノ?黒い炎から呼び出した者の恐怖を克服しないといけない?
大丈夫、お母さんは怖いけど優しいからね。
●終わりなき良い旅を
「……キノ? あれ誰?」
キノ・コバルトリュフ(
キノコつむりの星霊術士・f39074)にとっては当然の疑問だった。片やメイガスよりも複雑そうな機械、片や何だかよく分からないけれども猥雑そうな奇怪。少なくともキノが恐怖したことのある対象ではない。
そこでキノは星霊を召喚し、彼らの知識に助けを求めた。
「シメジ、あの『ぱぁたん』とか『ずりりん』って、みんな知ってる?」
スピカ、ヒュプノス、ジェナス……といった星霊の車座にキノは問い掛けたが、星霊達は一様に首を横に振る。しかし、一体の星霊がキノに歩み寄ってきた。黒猫に似た星霊の――キノが「バルくん」と呼んでいる――バルカンだ。キノの被るキノコの笠の下に潜り込み、前脚を持ち上げて耳打ちする。
「……ナメコー? わかった! バルくん、みんな、ありがとう!」
キノの顔はパッと明るくなり、礼を述べて星霊達を還す。耳打ちの通り、バルくんを残して。
「時間だ。答えを聞こう!」
ハンマーパイナッポー&アッポーハンマーのAH側をキノに向けて突き出す
ずりりんに、キノとバルくんは向き合った。
「トリュフ!! ここはキノが」
「ああっ! 目が……目が~!!」
「マイタケ、黙って。まだキノの台詞」
「アッハイ」
隙有らば
自分の
物語に乗せようとする虞知らずを
黙させてキノは仕切り直す。
「ここはキノが怖いと思うものを召喚して戦う場所だったんだね。だったら、キノが呼び出すのは」
『「呼び出すのは?」』
「その身の丈は遥か山をも越え、その者が使った武具はそれぞれの都市国家の象徴として飾られていた。知り合いの猟兵ちゃんに聞いた話だとデビルキングワールドの戦争にも呼び出されていたという、エンドブレイカー!の人類の祖――」
「『此華咲夜若津姫』お母さん!!」
キノがその名を呼ぶと、タスカルーサの荒野一面見渡す限りが黒い炎を噴き上げた。
「暫くぶりですね。私のかわいいぼうや」
大炎上と呼ぶ他ない黒い炎の中から現れたのは、キノが言葉にした通りの巨躯を誇る女性だった。
『でかー!』
「こわー!」
なお「ぱぁたんずりりん」の御両名は打ち上げられてご退場。
「キノー! お母さん、この黒い炎を消すためにキノと手合わせお願い!」
「かわいいぼうやのお願いとあれば喜んで。ただし本気で参りますよ」
「エリンギ! 行くよー!」
此華咲夜若津姫が腕を振り、天高く天槍を投げ上げた。キノにはそれだけで強烈な空気の振動が襲い掛かるが、広げた扇で振り払うように、バルくんと共に舞を踊る。
キノの周りを巡るバルくんの炎が渦を巻き始める頃、上空が眩く輝いて、オーラの天槍が何十何百と地平線上に突き立った。天槍の石突きを稲妻が円を描いて結び、その径を縮めながら上昇していく――舞い踊るキノを中心点として。
「裁きの雷よ!」
「キノー!」
創世記の炎の渦と全人類の母の雷がぶつかり合い、轟音が響いた。世界の誕生とでも例えるべき衝撃波が炎の渦と共に広がり、黒い炎を完膚無きまでに吹き飛ばし、オーラの天槍をも打ち破った。
見渡す限りの荒野に上空まで砂埃が舞い、それが晴れる頃に、キノの舞は奉納された。
「マツタケ! キノの勝利だね!!」
「お見事でした。かわいいぼうや」
此華咲夜若津姫は拍手でキノを称え、破裂音が轟く。
「さて、それではまた暫しのお別れですね。終わりなき良い旅を、私のかわいいぼうや」
「マイタケー!」
此華咲夜若津姫が黒い炎と共に消えるまで、キノは手を振っていた。
「――オカンへの恐怖は克服出来たんか?」
どこからか燃え出たバズリトレンディがキノに訊く。
「キノノ? 克服なんてしないよ? お母さんは怖いけど優しいからね」
「そうか。いいオカンやな――」
バズリトレンディは空を見上げる。一度滅んだはずの世界でも、空は青く晴れ渡るのだ。
「キノノ、キメてるところ悪いけど終わりだからね? 消えてね?」
「ウィッス」
こうして、タスカルーサにまで及んだ黒い炎は鎮火したのだった。
大成功
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