●米は偉大なんだよ
諸君、お米は食べているか。
――否、お米を食べたいか!!
糖質、病、ダイエット等々控える理由は色々あるだろうが、食べれるか否かではない。
今、君がお米を食べたいかどうかを聞いている!!
お米を食べたいか、食べたいだろう。そうだろう、そうだろう。お米いいよね!!
白くてツヤツヤ、ほくほく炊き立てのお米をお腹いっぱい食べると、幸せな気分に浸れる。
あれね、実はマジだ。科学的根拠があるのだよ。
●幸せを感じる成分はセロトニンというのだけど。
「お米には、それをつくるのに必要なトリプトファンって成分が、豊富に含まれているんだって」
とあるHPをスマホで確認しながらブリーフィングを始めるフール・アルアリア(No.0・f35766)
――このグリモア猟兵が此処にいるってことはトンチキ寄り依頼――と思うだろう。
そんなことはありません、今回はほのぼの依頼です。とりあえず、まあ、座りたまえよ。
「え、なんでこんな話してるかって? ちゃんと依頼に関する話だよ。今回はUDCダイナー案件でね、UDCが食材として提供されているお店があるから、そこに向かって欲しいんだ。その料理を食べてしまうとね、猟兵以外は人ならざるものに変貌しちゃうんだって。だからさ、料理を提供しているUDCをさくっと倒して解決して欲しいんだ」
フール、ひとりひとりになんかちらしを配る。
――ちらしにはおにぎり専門店って書いてあった。うん?おにぎり専門店?
「そう、おにぎり専門店。今回行ってもらうお店は青森県の恐山のどっかにあるおにぎり専門店。このちらしを火であぶると浮き出る合言葉があって、それを店長に伝えるとお店の奥に案内されて、UDCを食材に使ったおにぎりセットが食べれるよ。料理を提供しているUDCが警戒心高くって、提供されるおにぎりを食べきらないと出てきてくれないんだ。だから、とりあえず、お腹いっぱい食べてくればいいんじゃないかな。なんかね、すごく美味しいらしいよ」
因みに合言葉は【鮭おにぎり万歳!!】だそうだ。
――いや、本当にトンチキじゃないってば。
「お金はUDC職員さんたちが負担してくれるから大丈夫!!猟兵たちが食べると虫歯が治るとか、お肌が若返るとかそういうあからさまな健康効果が発生するみたい。だけど、それだけだから。因みにね、料理人――鮭のUDC」
――まって本当にトンチキじゃないってば!!
「クィーンレッドサーモンっていうUDCが、鮭や筋子のおにぎりを普及したくて人に化けて料理人してるみたい。出てくるおにぎりは勿論、自分の肉体を切り分けた鮭や筋子のおにぎり。付け合わせはお味噌汁と、からあげと、お豆腐、卵焼き、ホウレンソウのお浸し。おにぎりとお味噌汁はおかわりし放題。満足いくまでおにぎり食べたら、いいところでUDC出てくるからとっちめちゃって。その後は、猫がたくさん出てくるから遊んでくればいいと思う」
トートバックから猫じゃらしセットをわさっと掴んで引っ張り出す。
「その猫たちね、既におにぎり食べちゃって変貌しちゃった人たちなんだ。もう手遅れだし、向こうに敵意もなくって、いっぱい遊んでいるうちに満足して消えてってくれるよ。美味しいご飯に可愛いにゃんこで戦争の疲労を癒してきなよ。ダクセの戦争、色々しんどかったでしょ?」
お疲れ様、なんてグリモア猟兵は微笑んで。件のおにぎり専門店と通じる道が開いたとさ。
なるーん
はじめまして&こんにちは、なるーんです。
戦争お疲れさまでした、ゆるゆるほのぼの依頼です。
米を食え!おにぎりを食べろ!!以上。
お味噌汁の健康効果も大分ピーキーな性能しているらしいですね。
最近は焼きおにぎりがブームです。
●第一章
米を食え!おにぎりを食べろ!!以上。
おにぎりメニューは鮭、筋子がメインですが、いくら、かつお節、ツナまでは許されます。
でも鮭か筋子おにぎりの口直しの合間にそれらが出てくるだけです。
鮭おにぎり万歳!!
●第二章
鮭のUDCがでてきますのでとっちめてください。
●第三章
他のお客さんが猫になります。ゆるもふしてるとそのうち消えます。
例によって例の如くまったり運用。
以上、よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『UDCダイナー潜入』
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POW : 気合いで全部の料理を食べる
SPD : 他の客や店員にバレないよう、食べているふりをしながら料理を始末する
WIZ : 万一に備え、薬や魔術でUDC食材の危険に対策しておく
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チル・スケイル
おにぎり。それはスシと双璧をなす日本の米文化。
中でも鮭おにぎりは、美味しい魚と米を同時に味わえる実に日本的な料理ですね。
オブリビオンが関わっているとはいえ…食べずにはいられません
いただきます。(礼儀正しい挨拶)
ああ…とても美味しいです。なんて柔らかな歯ごたえ…
(鮭おにぎりがあまりに美味しいので健康効果に気づかない)
美味しいからか、いつもより食べられそうな気がします
ああ、プチプチと。踊るように、口の中に味が広がります
(筋子おにぎりがあまりに美味しいので健康効果に気づかない)
ごちそうさまでした。さあ、シェフに会うとしましょうか。
●トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸のひとつである
そのおにぎり専門店は三途川の麓にあった。
お店付近にたてられたのぼり旗には【霊験あらたかな三途川の水で研いだおにぎり】【すべて青森県産ブランドです】【恐山の霊力にあやかって美と健康を‼】とか書かれてる。霊感商法かな?
一見そんな怪しいお店だけれども、客入りはまあまあのよう。
それもそのはず、使っている材料のこだわりがすごい。チル・スケイル(氷鱗・f27327)は今一度、グリモア猟兵に渡されたちらしを確認した。
晴天の霹靂(お米ブランド名)のおにぎり、青の一番星(卵ブランド名)で作ったたまごやき、青林シャモロック(鶏肉ブランド名)で作った唐揚げ、夏立菜(ホウレンソウのブランド名)で作ったおひたし等々お醤油やお味噌も勿論、日替わりでかわるお味噌の具までもすべて青森県産のブランド品で揃えられている。
もうそんなん美味しいことは約束されているようなもの。お客も入る筈だ。が、例の合言葉さえ伝えなければ振る舞われるおにぎりなどは普通のものだから、ひとまず心配しなくていいだろう。猟兵には無害だし。
「おにぎり。それはスシと双璧をなす日本の米文化。中でも鮭おにぎりは、美味しい魚と米を同時に味わえる実に日本的な料理ですね。オブリビオンが関わっているとはいえ……食べずにはいられません」
和食大好きなチルの足取り軽く、約束されし美味しい最高級おにぎりを求めて店先の暖簾をくぐった。
●トリプトファンは神経伝達物質のセロトニン、免疫や睡眠に関連するメラトニンの合成材料である
「いらっしゃいませー」
そして、そこにいたのは鮭と猫だった。
否、どうみても鮭の異形頭な板前風料理人と、どうみても頬から猫の髭が生えている定員のおじさんがいた。厨房はクリアランス仕様となっており、料理人は姿は
見せていないけど見えている。
一瞬固まるチル――誰だトンチキ依頼じゃないって言ったのは。
しかし、トンチキとはツッコミをもって初めて意味を成すもの。此処はスルーするに限る。美味しいおにぎりを食べに来たのだし。チルはうぉっほんと咳払いをひとつ。カウンターに近付いた。ちょっと炙られたちらしを見せて、囁くように例の合言葉を伝える。
「鮭おにぎり万歳」
「ありがとうございます。ささ、こちらへ」
おじさん、にやりと悪い笑み。米を食え!おにぎりを食べろ!と書かれた暖簾を更にくぐった店の奥は、広々とした料亭風の座敷席だった。靴を脱いで席に落ち着くと運ばれてきた緑茶を楽しみながら、おにぎりのフルコースを待つ。
「どうぞ、お嬢さん。ごゆっくり」
「ありがとうございます。いただきます」
然程、待つことなく振る舞われたおにぎりフルコース。チルは礼儀正しく手を合わせて、早速と一口、鮭おにぎりを頬張った。
「ああ!!……とても、とても美味しいです。なんて柔らかな歯ごたえ……」
お米はふかふかほかほか炊き上がりのように白く輝き、白米のよい香りが匂い立つ。噛めば噛むほど米の旨味が口内に広がり、それだけで美味だというのに!!其処にアクセントとして混じる海苔と焼き鮭のハーモニー!!海苔は湿気ることなくぱりぱりで、程よい塩気が鮭の旨味を邪魔することなく引き立たせる。脂ののった良い鮭だ。シンプルに美味しい。
もう一つ、とおかわりしても飽きの来ない味。いつまでも食べれてしまいそうな――そうして食べれば食べるほどチルの青空のような髪は艶やかに、さらさらに、キューティクルに!!だけどもチルは気付かない。だって美味しいから。
「次は筋子のおにぎりを――ああ!!プチプチと。踊るように!!口の中に味が広がります……」
お嬢さん筋子は如何かな、と勧められるままにチルは筋子のおにぎりを頬張る。醤油漬けの筋子のようだ、此れもまた美味い!!青葉を刻んで混ぜているのか濃厚な筋子の旨味に爽やかさが混ざる。ともすれば濃すぎる味に辟易してしまうところを、大葉がやんわりと緩和して少し大人の味を演出。飽きない。鮭と筋子だけで無限にいけそうだ。
そうして筋子のおにぎりを食べれば食べるほど、チルの鱗はツヤツヤと。美肌効果である。しかしてチルは気付かない。だって美味しいから!!
おにぎりの箸休めに味わう卵焼き、唐揚げ、ホウレンソウのお浸し、お味噌汁も余すことなく美味い。全部が全部、まるで最高級料亭でも振る舞われない逸品のようで。
「はぁ、ごちそうさまでした」
チルは心行くまでおにぎりを堪能したそうだ。
料理人が出てくるまで暫し、どうぞお腹を休めて。お茶でも飲みながら余韻を楽しんでいて下さいね。
大成功
🔵🔵🔵
ワーブ・シートン
アーネスト(f11928)と一緒
魚っておいしいですよねぇ。
おいらもぉ、おにぎり食いに行くですよぅ…
おいらぁ、入れるかなぁ??
(魚が調理しているようだが、今は気にしないことにする…気にしたら負けだ、今は)
さてぇ、猫に関してはぁ、アーネスト兄さんに任せるですけどねぇ。
おいらぁ、魚食いたいですからねぇ。
てなわけでぇ、「鮭おにぎり万歳!!」ですよぉ。
塩おにぎりや植物系素材しか食わないあアーネストを横目に鮭やまぐろ、たらこなどの魚貝類をがっつがつ食うクマ。(熊は雑食)
「ものすごくおいしいですよぅ」
多分、次、魚が丸ごと出てくるから、満腹にしない方がいいかもねぇ…
アーネスト・シートン
ワーブ(f18597)と一緒
おにぎりですか。
日本のファストフードといっても差し支えない食べ物ですよね。
わたくしも、おにぎり食べに行きますか。
わたくしは、塩おにぎりやおかかや梅干しや醤油かけた焼きおにぎりを食べに行きますよ。
鮭?
動物さん可哀想なので、動物性は食べませんけどね…え?わたくしもこれ言わないといけないんですか??<鮭おにぎり万歳!!
鮭おにぎり万歳…(渋々)
魚介類はワーブに渡してアーネストは植物系を好き食う。
「まだ獣肉(牛や豚や鶏のこと)がないだけ安心できますね」
●セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きがある
「おにぎりですか!わたくしもおにぎり食べに行きますか」
「おいらもぉ、おいらもぉ、おにぎり食いに行くですよぅ……」
さて、三途川はさらさらと穏やかに流れて昼下がり。お腹も空いてくる頃合いのお時間。続いてご来店のお客様は二人組。
アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)とワーブ・シートン(森の主・f18597)、動物研究学者とクマさんのお通りです――クマ!?鮭の天敵では!?
ワープも自覚はしていたのか、おいらぁ、入れるかなぁ?と少し不安げな様子。だがしかし、ご安心ください。どんな姿でも違和感を持たれないのが猟兵の特徴。ワープが店先に入っても猫ひげのおじさん店員は、和やかな笑顔でいらっしゃいませーとお出迎えしたくれた。
ワープはちょっと一安心――できなかった。クリアランス仕様の厨房の向こうに、何かいる。明らかに異常な何かがいる。
( 魚が調理しているようだが、今は気にしないことにする……気にしたら負けだ、今は )
鮭の異形頭の料理人の姿を見てワープは思わずうわぁって顔をした。宇宙猫ならず宇宙熊顔である。うん、それが正しい。この依頼はツッコミが入った瞬間、トンチキに堕ちるのだから!!ひっでえ依頼でまことにすいません。
一方、アーネストは一切気にせずに、店先に並ぶショーケースのおにぎりを見繕う。が、あることに気付き、こちらもこちらでスペキャ顔をした。というか虚無顔というか。うん。すーんって顔である。
「塩おにぎり……焼きおにぎり……梅……こんぶ……が、ない……」
「当店は魚介類専門でして」
「そ、そんな……」
それもその筈、アーネストは動物愛好家であり、所謂、ヴィーガンである。鮭、いくら、など動物性の食品は避けているのだ。食べれるものは上に挙げたもの。このままではおにぎりを食べることができず、無駄足になりかねない。
しかして其処に天の助けか采配か、猫ひげのおじさん店員がアーネストに控えめに声をかけてきた。
「どうしても、ということでございましたら塩と焼きぐらいはご用意できますが……」
「ど、どうしても、です。わたくし、外国のものでして。日本のファストフードたるおにぎりを、まずはシンプルにオーソドックスなものから、楽しみたいと思っておりまして」
「なるほど、そういうことでしたらご用意いたしましょう。少々お待ちを」
アーネストの咄嗟の言い分に、猫ひげのおじさん店員、一旦厨房に引っ込んで鮭頭の料理人となにやらこそこそ内緒話。
――耳何処だよとはツッコミしてはいけないよ。
鮭頭、きらきらスマイルで窓の向こうからアーネストたちに向かって親指をぐっと立てた。サムズアップ。OKだそうです。恐らく、おにぎりご新規と思われた様子。敷居を低くすることで初心者をその界隈の沼にハメる、という作戦なんじゃないかな。
そんな訳でアーネストのおにぎり問題は解決を見せたのであった。
●メラトニンは生体リズム調整に重要な役割をもち、催眠効果がある
件の合言葉をアーネストは渋々と、ワーブはノリノリと店員に告げて案内されたお座敷。
どこで聞きつけてきたのか客入りは上々。どのお客様もTHE・お金持ちという風貌である。
がやがや、ざわざわ――耳に入る会話の内容は、身体のだるさが消えたとか、肌が若返ったとか、そういう健康効果に関することばかり。霊験あらたかなおにぎりはすごいわね、なぁんて言っているお客様もいる。
「んー、この人たち食べちゃった人たちだねぇ」
「どうやらそのようですね。そのうち猫さんになってしまうのでしょう」
「そうしたらアーネスト兄さんに任せるよぅ」
「はい、わたくしに任せてください。是非」
席についた二人はこそこそ声を控えめに。やる気満々のアーネストの眼はきらっきらに輝いていた。
そんなこんなで運ばれてきたおにぎりフルコース!ワープには魚介類盛りだくさんのおにぎり、アーネストには塩と焼きおにぎりがそれぞれ振る舞われた。ほかほか白米、ぱりぱりの海苔、米の旨味を引き立出せる程よい塩加減、そしてほっと優しいお味のお味噌汁(具は野菜)――アーネストは自分専用のおにぎりを楽しみながら、ワープのお皿に自分の皿の卵焼きや唐揚げをのせてやりすごす。
( 動物さん可哀想なんですよ……それにしてもおにぎり美味しいですね )
事前の交渉のおかげでアーネストには魚介類おにぎりが振る舞われることはなかった。アーネスト自身は安心して食を楽しんだが、勿論、健康効果は特に発揮されることはない。
対してワープ。美味しいですよぅ、と食べれば食べるほど毛艶のキューティクルは増していき、まあるい瞳はキラキラうるうると輝いて。手足から伸びるぎらりとした爪はどんどん鋭く伸びていく。が、ひょっとしたらそういう効果なのかもしれないが、ワープはその健康効果に全く気付かずで。
「ふう、満足ですよぅ。お次は鮭いっぴきまるまる頂くですよぅ」
UDCをやる気、否、食べる気満々のごちそうさまでしたのご挨拶。
おにぎりを腹八分目まで食べ終わる頃には益々に逞しいクマさんになったワープがそこにいて。
「……おにぎりの健康効果、すごいですね」
アーネストは隣でただただその変貌に驚いていたという。
――さて、料理人が出てくるまであと少し。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
小岩・育美
美味しい香りが何やらしましたので来てみたのですが。
なるほどこの世界、天然モノがベースになっているのですね。
なんて素敵なんでしょう!合成アミロースや精製プロテインに頼らず、そして薬品添加もごくごく微細。ほぼゼロと言っていいのかしら。
メガコーポのCEOでもめったに口にできそうにありませんのに、あまつさえ食べ放題なんて!(※勘違い)
ええ、ええ。存分に食させていただきます、むしろ食させてください。
このような天然魚介を味わうチャンスなど早々ないのですから!
付け合わせの野菜までさっぱりした味わいでこれはもう手が止められません!
鮭おにぎりとお味噌汁、どんどん下さいなー!(もぐもぐ)
●セロトニンとメラトニンの生成量はトリプトファンの摂取量に依存する
三途川はさらさらと流れて穏やかに。
先の二人組のご来店から然程、間も開けずにお次のお客様は小岩・育美(腹ペコ秘書兼ネゴシエイター・f36757)――称号が腹ペコ!!これはいっぱい食べてくれるに違いない。期待のお客様である。
育美はすぅーっと深く深呼吸。何も自然の空気を堪能している訳ではない。育美が堪能しているのは、お店から漂うほかほか白米、香ばしい焼き魚と唐揚げ、お味噌汁の匂いという美味しい香りである。
「はい、いいですね。これはとっても美味しい香りです……なるほどこの世界、
天然モノがベースになっているのですね」
――テンネンモノ。そう天然モノ。育美が天然モノとわざわざ言うのはやむを得ないというもの。
何故ならば育美はサイバーザナドゥの出身なのだから!!サイバーザナドゥは天然モノを味わえることは殆どない。ていうか、まずない。天然モノは大体、骸の海に汚染されている。(本当かどうかはわからないが)安全と称された養殖モノでも高級品だろう。故に。
「なんて……」
だから、そう。
「なんて素敵なんでしょう!!合成アミロースや精製プロテインに頼らず、そして薬品添加もごくごく微細!!ほぼゼロと言っていいのかしら。メガコーポのCEOでもめったに口にできそうにありませんのに、あまつさえ食べ放題なんて!!」
こんなテンションになるのも仕方ないのだよ!!
早口でまくし立てるようなひとりごと。育美の眼はそりゃあもう期待に満ち満ちてきらっきらに輝いていた。ダイヤモンドの煌きである。
――因みに育美さん、勘違いじゃありません。大丈夫、食べ放題で大丈夫ですよ。満足するまで美味しい物をたくさんたくさん食べて行ってね!!しかもタダだから!!猟兵には無害だから!!
「はぁ、楽しみです!早速、参りましょう!!」
育美はまるでスキップでもするかのように、ルンルンランランご機嫌に店先の暖簾を潜っていった。
●しかし、トリプトファンは体内で合成できないため外部からの摂取が全てである
合言葉は元気よく。
おにぎり食べさせてください!!という勢いが伝わってしまうくらいのハツラツさに、店員さんも思わずにっこり笑顔。そんなに食べたいだなんて!!料理を提供している側としてはこんなに嬉しいことはないだろう。
そんなこんなで案内された座敷席。
「ああ、お茶すら美味しいなんて!!」
お水も生で飲めるし、お茶の葉っぱも鮮度よく。運ばれたきたおにぎりだって、もう育美にとっては堪らないご馳走だった。
(お米が!お米が偽物じゃないわ!!本物は噛めば噛むほど旨味が口内に広がるのね!!塩も、魚も美味しい!!美味しいわっ!!)
安全に食せる天然魚介。その味に、旨味に、何より何も懸念なく食べれることに、育美は感激しながら次から次へとおにぎりを食べていく。この機会を逃したら次はいつ味わえるのか。鮭おにぎり以外にもすじこ、たらこ、いくら、ツナマヨ、おかかまでしっかりしっかり楽しんで。
勿論、それだけじゃあない。付け合わせの唐揚げも卵焼きも。一口齧ればじゅわっと広がる肉汁の旨味、だし巻きたまごの優しい味わい。お味噌汁の野菜も苦味なく美味い。もう何もかもが美味い!!
(これが天然ものの旨味!!ああ、ああ、手が止まらないわっ!!ホウレンソウのお浸しもさっぱりしている!!)
育美の気持ちよいくらいの食べっぷりに、店員さんと鮭頭の料理人が顔を見合わせサムズアップ。
「お嬢さん、もっと如何かな?」
「ええ、どんどん下さいなーー!!」
――そうして暫く、育美が満足するまでわんこそばならず、わんこおにぎりが繰り広げられたそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『クィーンレッドサーモン』
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POW : 対捕食者用パワー(ノーブルレッド)
全身を【体内のタンパク質を分解して放つ真紅の輝き】で覆い、自身の【ここで喰われてなるものか、と言う意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 鮭泳法(ワイルドスイム)
【滝も登れそうな激しい突進】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 女王は食物連鎖も利用する(ヒグマレンタル)
自身の【体内の筋子の幾つか】を代償に、【ヒグマ型眷属】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【鋭い爪や牙、巨躯】で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●つまりは米を食え!おにぎりを食べろ!!ついでに魚も食べてくれ!!!
猟兵たちがおにぎりフルコースをお腹いっぱい堪能した頃合いで、周りのお客さんたちの様子がざわざわとおかしくなってくる。突然、頬に生えてくる猫の髭、爪、尻尾、そして縮んでいく身体。もう店内は大パニックである。
そんな中、クリアランス仕様の厨房からゆらり出てくるのは鮭の異形頭の料理人。
「
鮭鮭鮭鮭鮭!!」
――まってそれ笑い声!!?とは突っ込んではいけないよ。いいね。トンチキになるからね。
「ねこちゃんふえたね。とてもいい。ねこちゃんはおいしくおさかなたべてくれる」
ちょっとカタコトっぽい言葉を操って。異形頭の料理人は猫のUDCに変貌していくお客さんたちを眺めながら、満足そうに笑った。広い座敷の間を見回るようにゆっくりと歩き回って、そうして。
「
鮭!?」
見つけてしまうのさ、健康効果を発揮して寧ろ元気に満ち満ちている猟兵たちを。
「おまえたち、まさかりょうへい!!おのれ、鮭の野望を阻止するか!!ゆるせん!!」
鮭の異形頭の料理人。お客人に混ざって猟兵が来ていたことに大層お怒りのご様子。タイかな?って見紛うほどにお顔を真っ赤にして怒りを示した途端、鮭頭以下の人体が溶けるように形が崩れて。
――ざっぱぁああああん!!
重なる衣類の下から、骸の海の飛沫をあげて跳ね上がる一匹の鮭、否、クィーンレッドサーモン!!
脂ツヤツヤ程よく身が引き締まり、そして大きい。とても食べ応えがありそうです……とにかく野望の詳細は知らないがこれ以上、被害を広める訳にはいかないので!!
景気よく!仕留めちゃってください!!
因みに骸の海から泳いで襲い掛かるので、陸上でびちびち跳ねているだけってことはありません。床から、壁から、天井から奇襲かけてきますので気を付けて……!
チル・スケイル
心情:サーモンのオブリビオン…食べられるでしょうか
む…クマ。食べられるでしょうか
UDC職員に豪華なディナーを贈るとしましょうか
方針:冷気放射杖を両手両足に装着し、鮭と熊を凍らせる
大柄な熊も恐れず、零距離から凍気を浴びせ、真っ白に凍らせる
襲ってくる鮭は、床や壁ごと凍らせるつもりで冷気を浴びせる
床から飛び出す鮭を踏みつけ、そのまま冷気で氷漬けに
要するにゴリ押し
トドメに【氷術・停】を使う。凍りついた鮭や熊に魔力を叩き込み、絶対零度の氷漬けにする
寄生虫を始末し安全に食べるため、念入りに凍らせる
凍りついた鮭たちを見て満足げに微笑む
よかったら、カチカチに凍った鮭や熊の様子や心情も書いてください
小岩・育美
あらこれまた美味しそうなお魚さん。
なるほど、バイオサーモンの原種のようなものですか。
なんて素敵なんでしょう、この身の付き方はお刺身、塩焼き、ムニエル……どれでも極上の味わいを体験できそうです!
一般の方々が猫になっているのは不思議な能力故なのでしょうか。
……不可解ですね?
美味しく味わって頂くために人間を猫にする、それは一見理に適っています。
ですがなぜわざわざ食べるキャパシティを減らしてしまうのですか?
人間もお魚は大好きでしょう。そして猫以上に食べられるでしょう。
でしたら人間のまま魅了すればよいのでは?
そう交渉?してお魚さんを煙に巻いてみましょう。
……スモークサーモンという物もありましたね?
アーネスト・シートン
ワーブ(f18597)と一緒
お魚さんですね…しかも、鮭ですか。
それにしても、今までどうやって自分の体を切っていたんですかな??
部下にやらせていたのかな??
あ、ワーブ。
サポートはしますから、捕食してもいいですよ。
弱肉強食は致し方ないところですからね。
まぁ、直接攻撃ではなく、鮭を眠らせることなんですけどね。
獏さん、お願いします。
おっと、ワーブは起きててくださいね。
あとは、眺めるだけ。
ワーブ・シートン
アーネスト(f11928)と一緒
お、半分人型とか(キマフュにいるんですよねぇ)じゃなくてぇ、完全なぁ鮭ですよぉ。
んじゃあ、好物だしぃ、まんまぁ、食うですよぉ。
いただきまぁーすぅ。
眠らせると同時にクマの一撃加えて、あとは食事シーン。
おいしいですよぉ。(むしゃむしゃぱくぱく)
アドリブ歓迎
●猟兵3分クッキング
此処からは例の3分クッキングの曲をBGMにお届けします。
メニューは鮭(UDC)のお刺身とヒグマ(UDC)の大和煮です。
●まずはクィーンレッドサーモンを喋らない鮭にします
ついに姿を現したクィーンレッドサーモン!!
よく脂がのったツヤッツヤで引き締まった身、骸の海から飛沫をあげて跳ね上がる活きの良さ!!
その猛々しい姿を見たとき、その場に居た猟兵たち(アーネストを除く)の気持ちはみな一致した。
((( 美味しそう )))
「 弱肉強食は仕方ないですから、ワーブは捕食しちゃってくださいね 」
――君たちめっちゃ食べる気じゃーん!そして食べさせる気じゃーん!!
まあ、仕方ない。先まで食べていた鮭おにぎりの具はクィーンレッドサーモン自身なのだから!つまりもう味は保障されているようなもの。これはもう一部と言わず、まるっと一匹味わわねばなるまい。
そんな食いしん坊猟兵たちの瞳に見つめられたクィーンレッドサーモン、ちょっとビビり気味。尻尾までふるふる身を震わせてぱしゃんと骸の海に隠れてしまった!!
「 お、おおお、おまえたちの目、ちょっとこわい!! 」
「 あら、失礼しました。美味しそうなお魚さんでしたので、つい 」
「 く、おさかなおいしいはじじつ。けど、りょうへいにおとなしく食われてなるものかーっ!!」
クィーンレッドサーモン、流石にまるまる全部を食われてしまう気はないらしく、滝も登れそうな激しい突進を繰り出して猟兵たちに差し迫る!!そこにふふ、なんて秘書らしくお淑やかに微笑みつつ、まずは育美が躍り出た。ぴっと人差し指をクィーンレッドサーモンに突き付けて。
「 あなたの野望には矛盾があります!! 」
「!!? 」
思わず急ブレーキするクィーンレッドサーモン。
育美はかけていない眼鏡をあげるような仕草をしながら、ええ、私がフィードバックをして差し上げます、とすっかり秘書モードで話しかける。いつの間に用意したのか、手に持った端末で資料などを映しながら。他の猟兵たちもちょっと興味深そうに覗き込んでいる。
「 いいですか? お魚を美味しく味わって頂くために人間を猫にする、それは一見理に適っています」
「 じゃあ、なにがもんだい? 」
「 胃のキャパシティの問題です。なぜわざわざ食べるキャパシティを減らしてしまうのですか? 」
「 !!? 」
「 わたくしもそう思います。人間の方が胃の容量は大きいですし 」
そこ抜けてた!!みたいな顔(?)するクィーンレッドサーモンに、アーネスト(動物学者)の追撃が入る。クマの方がもぉっと食べれるけどねぇ、と言いかけたワープの大きなお口を、ややこしくなる気配を察したアーネストが素早く塞いで。その隙に育美はすかさずトドメの一撃を放つ。
「 人間もお魚は大好きでしょう。そして猫以上に食べられるでしょう。でしたら人間のまま魅了すればよいのでは? 」
「 そうですね!!? 」
うっかり育美の交渉に肯定しちゃったクィーンレッドサーモンから論理的思考力が奪われた!!
●次に素早くシメて寄生虫対策に急速冷凍します
育美のユーベルコードによりすっかり論理的思考力が奪われたクィーンレッドサーモン。
こうなれば最早、本能に突き動かされるただのさ……クィーンレッドサーモンである。食い気満々の猟兵たちを天敵と見做して。クィーンレッドサーモンは協力な眷属を呼び出した!!
召喚の代償として犠牲にするのは美味しい筋子!――勿体ない!!と叫んだのはチルと育美である――呼び出されたヒグマ型眷属は、目の前のお魚さんではなく猟兵たちに襲い掛かる!!
「 おや、これはいけません。クマさんの爪は人間には凶器ですからね 」
クマさんの本気の一撃で人間顔抉れるからね、簡単に。
動物学者故にその一撃が致命的と見做したアーネストは一匹のバクを呼び出した。バクは襲い掛かるヒグマの爪をものともせず、ふわああと呑気に欠伸をひとつ。
するとどうでしょう!ヒグマはすってんころりんと転びまして、たちまちにぐーすか眠り出す。ついでにアーネストの死角から襲い掛かろうとしていたクィーンレッドサーモンも、床にべちんと落下して、すやりすやりと眠りについていた。
「 大変です。このままでは鮮度が落ちてしまいますね 」
そこですかさずチルが動き出す。
食材は鮮度が命。6月のこの頃、冷凍されていないナマモノは少しの放置で台無しだ。おにぎり代を賄ってくれるUDC職員に、豪勢なディナーを振る舞おうとしていたチルにとって、食材放置は許されざる罪である。
――いや、UDC食材にしていいのは猟兵だけですからね、チルさん!UDCダイナーになっちゃう!
チルは冷気放射杖を両手足に装着し、床の、壁の全てを、まるでこの部屋を冷凍庫代わりとせんかの如く、そんな勢いでカッキーンと凍らせた!!
「 ああ、ネコさんたちが! 」
わたわたとネコを抱えて店先に避難するのはアーネスト。
チルは、失礼、と一言添えて。しかし避難する人手が確保されているならば、と食材の保存に集中する。
「 ヒグマ……は 」
「 食べれるそうです 」
「 えぇ、食べちゃうのぉ?おいらは食べないでおくれよぉ 」
「「 勿論です 」」
「 さて、寄生虫の心配がありますから冷凍は念入りにしなければ 」
チルと育美はそろってお返事。チルはトドメに氷術・停を発動させて、クィーンレッドサーモンとヒグマの氷漬けを絶対零度の氷にかえてしまった!!氷の表面にはうっとり満足気に微笑むチルが映り込む。安らかだったクィーンレッドサーモンとヒグマの寝顔は、心なしか悪夢に魘されているかのように苦渋に歪んでいたそうだ。
●そして最後に捌きます!!
アーネストはこの場にいなくてよかったかもしれない……
何故ならば今から繰り広げられるのはハラペコさんたちの調理シーンなのだから!!
ところで此処には飢えたクマさんが居た。
おにぎりは腹八分目、くわえて冬眠したくなるほどに寒い室内。体温を保つために体内のエネルギーが急速に消費されて、すっかりお腹が減ってしまった――そう、ワーブである。
ぐぅう、とチルと育美が驚くくらいの大音量でワーブの腹の虫が鳴り響く。
「 ところでおいら、お腹減ったよぉ…… 」
目の前には氷漬けにされた鮮度ばっちりの美味しそうなお魚。
そう、ワーブの大好物がいる。大きい、びちびちの、活きがよくて、脂ののった、筋子をたんまりこさえた、それはそれは美味しそうなお魚が、いる。こうなれば飢えてしまったクマさんは我慢できないというもの!!
「 ヴォアァアアアアッ!! 」
その咆哮はまさに飢えた凶暴なクマ!!繰り出されるワーブ必殺のクマの爪アタック!!
通常であればチルの絶対零度の氷は破壊されないのだが――此度ばかりはおにぎりの健康効果&空腹によるブーストがのったワーブの爪が勝った!!生存本能強し!!である。または火事場の馬鹿力。
何度も何度も繰り返される爪と熊手による攻撃で、ばりーん!!と氷が砕け散った。ああ!!と驚愕と静止の声があげられるも、ワーブはまるで聞こえた様子もなく。目の前のクィーンレッドサーモンにかぶりつく!!
「 んん~、おいしいですよぉ。食べ応えたっぷりですよぉ 」
口内に広がる濃厚筋子と鮭のハーモニー。ああ、止まらない。美味しい。むっしゃむっしゃと食べ進めるワーブのお顔は、たちまちにほんわか緩んだ。すっかりいつもの穏やかなクマさんである。
チルと育美の手元に残った食材はヒグマのみ。二人は顔を見合わせて。
「 大和煮が簡単そうですよ 」
「 では、折角ですから厨房をお借りして、作って食べましょうか。使いきれなかった食材をUDC職員たちに振る舞えばいいでしょう 」
――そうしてできたヒグマの大和煮は、ちょっと肉に癖があったものの、それはそれはジューシーで。お酒が飲みたくなるような、そんな味だったそうな。
大成功
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第3章 集団戦
『増える灰色の猫』
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POW : ふえる
自身が【好奇心】を感じると、レベル×1体の【戦闘力のない灰色の猫】が召喚される。戦闘力のない灰色の猫は好奇心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : ふえる
戦闘力のない、レベル×1体の【灰色の猫】を召喚する。応援や助言、技能「【ジャンプ】や【クライミング】」を使った支援をしてくれる。
WIZ : あたり
【時々出現する毛色の違う猫】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
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チル・スケイル
満腹です。
では猫と触れ合いましょう。猫じゃらし、よし。
ああ〜。ふわもふはいいですね〜。
あんまり触らせてくれない所も、奔放でいいですね〜。
右手の猫じゃらしをふりふり。
尻尾で掴んだ猫じゃらしをふりふり。
何も考えずに猫とふれあい。
平穏とはこういうものです。
●にゃん♪
「満腹です」
美味しいおにぎりフルコース、おまけにヒグマの大和煮まで食べて、お腹はすっかり満たされた。お腹いっぱい食べた後は――運動もといお猫とじゃれじゃれタイムです。チルはスチャっと格好良く猫じゃらしを取り出した。右手と尻尾に1本ずつ、二刀流で!!そしていざ、お猫がいる店先へ!!
「にゃぁーーん♪」
チルの前に可愛いお猫たちが現れた!!ピンクの瞳は好奇心にきらきら輝いて、チルの尻尾の先に揺れる猫じゃらしに食いつく。ぴょんぴょんぴょん!灰色にゃんこA、やんのかステップで近付いて、長いあんよでぴょいーーーん!!
チルはすかさずシュッと尻尾を揺らして、猫じゃらしを遠ざける。灰色にゃんこA、ぺちっと地面に着地して。何処だ何処だ?とお顔をきょろきょろ。その隙に、遠ざけた先で別の灰色にゃんこBが猫じゃらしをぺちっと捕まえた。おもちゃをとられた灰色にゃんこAは灰色にゃんこBに、ていっとプロレスを仕掛けてごろごろごろどたどた。
チルは――にっこにこだった。表情は控えめだが心の中ではにっこにこだった。
もふもふが、もふもふが、ひたすら転がってじゃれついて触れ合ってくる。かわいい。平穏とはまさにこういうものだと、チルはしみじみ頷いた。
そっと店先の木製ベンチに腰掛けて、尻尾は引き続きふりふりを継続したまま、右手も併せてふりふり。おめめをまんまるくして白いにゃんこがえいっと手を伸ばす。チルはそれをささっと避けて好奇心を煽れば、白いにゃんこは――チルの上に膝上に飛び乗った!!
「!!?」
膝上にやわらかい肉球の感触。ぷにぷにとした、肉球の、感触。白いにゃんこはまんまるお目目でチルを見上げて、にゃんっ!と短く鳴いた。思わず触れようとするとするりと逃げていく白にゃんこ。再びベンチの下に降りると、みゃあみゃあ鳴いて遊べと促す。
「ふふ、奔放でいいですね」
チルは猫たちが満足するまで遊びまくる。もう揺れる尻尾ごとじゃれつかれても構わずに。思う存分心行くまでふわもふにゃんこ天国を楽しんだ。そうして――遊び疲れて眠くなって、すやすや眠りながら消えていくにゃんこたちを。
「おやすみなさい」
少しだけ寂しそうに見送った。
大成功
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アーネスト・シートン
ワーブ(f18597)と一緒
あとは、猫ちゃんと遊ぶだけになりましたね。
あ、
ワーブ、あまり動かないで。
猫ちゃん潰れちゃうから。
とりあえずは、猫じゃらしで遊んでみたりネズミを模したラジコンカーで遊んでみたりしてみます。
「かわいいですねー…遊ぶだけでいなくなるのは寂しいかもですけどね…」
ともあれ、UDCってのは千差万別ですよね。
受け付けないのから、おいしそうに見えるものや動物っぽいの、こういったものまで色々いるんですよね。
アドリブ歓迎
ワーブ・シートン
アーネスト(f11928)と一緒
あぁ、うん。
でもさぁ、猫ちゃんならぁ、活発に動くから心配しなくてもいいと思うんですよぅ。
おいら、ゆっくり寝転がるですよぅ。
体を登ってくれるかなぁ。
様子見しながら眺めるですよぅ
小岩・育美
民間人の被害者さんなのでしょうけれども、可哀そうな事になってしまってますね。
致し方ございません、せめて皆さんお腹いっぱいになってもらいましょう。
ちょうど先程料理しました、熊肉の大和煮もありますし。
ただ、強めにしてしまった味付けは少し薄めなければならないかもしれませんね。
通常では味の引き算は上手くいかないものですが……味見をしながら調整を試みてみましょうか。
け、決して少し多めに大和煮が食べられたらいいなとか考えている訳ではありませんよ?
味付けが決まりましたらさっそく振る舞いましょう。
どうぞ、お腹いっぱい食べてくださいませね。
●にゃんにゃんにゃん♪
「あとは猫ちゃんと遊ぶだけになりましたね」
と数々のおもちゃを片手にわくわくのアーネストと。
「登ってくれるかなぁー」
アーネストの言うままそぉっと寝そべるワーブと。
「……でもこの猫ちゃんって元は民間人なんですよね。可哀そうなことになってしまいますね」
と猫ちゃん用に味を調節した大和煮の鍋を持つ育美。猫ちゃんの園に三者三様の反応を示す三人が其処に居た。
そう、育美の言う通り元は民間人だった猫ちゃんたち。でも元の姿に戻る術はなく、かといって一応、UDCではあるのだから放置する訳にもいかない猫ちゃんたち。UDC機関に保護を依頼すれば――ざっと見繕って20匹は超えている(というか猫ちゃんたちの能力で寧ろ増えている)――機関は保護猫団体に早変わり、あっという間に多頭飼育崩壊現場まっしぐら、である。
可哀そうだけれども、骸の海にお返しするのが恐らくきっと手っ取り早くて安全です。多分。
「なにはともあれ、思いっきり遊びましょう。私は遊び担当で」
「では私はご飯担当で。せめてお腹いっぱいになって頂きたいです」
「じゃあおいらは、お昼寝担当で」「それちょっと羨ましいですね」
食い気味のアーネスト。何はともあれ役割分担は決まった。三人は顔を見合わせ頷きあう。
いざ――にゃんにゃん接待である!!!
まずはアーネスト。猫ちゃんなら間違いなく食いつくだろうラジコンネズミで遊び出す。
ベンチの下、脚と脚の間から、ちょろりちょろり顔を出しては引っ込めて。鳴き声ボタンでチュウなんて鳴かせてみれば、猫ちゃんたちお目目ギラリン★まるでクリームパンのような白くてちっちゃいお手手でネズミを捕まえようと、一生懸命てしてし!てしてし!!届くか届かないかの距離を保ちつつ、焦らして焦らして――猫ちゃんたちが興味を失う前に、チョロチョロっとベンチの下からラジコンネズミを走らせれば、猫ちゃんたちはどたたたたー!!そんな猫ちゃんたちに吊られるように、他の猫ちゃんたちもどたたたたー!!ついで勢い余って、ワーブのお腹にジャンプを決める猫ちゃんも居たりして。
もうアーネスト、にっこにこである。もふもふのリスさん尻尾がご機嫌に揺れる。
「可愛いですねぇ……いなくなっちゃうのが寂しいですけど」
「無限増殖しちゃうみたいですから、こればかりは仕方ないですね……」
「だぁねぇー」
再びベンチ下に隠れたラジコンネズミを捕まえようと、カッカッとクラッキング鳴きをご披露する猫ちゃん。そんな追いかけっこ遊びをしていれば、お腹は減ってしまうもの。みゃーみゃーにゃーにゃーと鳴いて訴え始める猫ちゃんたちに――声をかけたのは育美だ。
「さあ、ご馳走ですよ。どうぞお腹いっぱい召し上がれ」
猫ちゃん用薄味大和煮をたっぷり盛った器をことり、ことりと置いていく。お肉は食べやすいようにしっかりほぐしてあって、心遣いもばっちりである。
さて、猫ちゃんたちはと言うと、お目目をまんまるくして。ふんふん、ふんふん、しっかり匂いを確認しまして。ぱくり、ぱくり。うみゃうみゃ、うみゃうみゃ、なんて可愛い鳴き声をあげながら食いついた。大層、お気に召した様子――仔猫のときのあの鳴き声、可愛いですよね。因みに、猫ちゃん用に味を薄めている最中、育美さんはしっかりおこぼ……味見をしていたそうで。とても美味しかったそうです。
空になった器から他の器へ、目移りして横取りして、時々、猫ちゃん同士の可愛い喧嘩シーンなども挟みつつ、和やかなお食事タイムも終わる頃。
高かった陽射しもすっかり傾いて。川のせせらぎも涼やかで、木のざわめきも賑やかで。ちょうどよく風も涼しくなってきた頃合い。猫ちゃんたちはくぁあっと欠伸を一つ、ふわふわのぬくもりを求めてワーブのお腹の上や、ベンチに腰掛けたアーネストや育美の膝の上に登り出す。
「わぁーい、登ってくれたぁー」
「よかったですね、ワーブ」
「なんだか、おいらまで眠くなってきたよぉー」
「猫はあたたかいですからね」
まぁるくなってすいよ、すいよ。ころりんと寝返りうっては万歳・臍天。ちょっと頭だけが落ちていても、気にせず眠る猫ちゃんたちの寝姿。これがまた可愛いこと、可愛いこと。アーネストも育美もワーブも、猫ちゃんたちのふわふわの毛並みを優しく撫でる。穏やかに安らかに眠れるように。
集まるぬくもりが心地よくうつらうつらするワーブも、あっという間にすいよと寝落ちて。猫ちゃんとクマさんが仲良く眠るというお伽話のような光景に、アーネストと育美がちょっと癒されてみたりしつつ。やがて、ぽつり、ぽつりと一匹、また一匹と消えていく猫ちゃんの姿に、哀愁。
そうしてまんまるお月様が星と輝く頃には、其処にはだぁれもいなかった。
――遊んでお昼寝、さようなら。
お魚の野望は潰えて。美味しい記憶と、猫ちゃんたちとの思い出は共に連れて。
こうしてまたひとつ、UDCダイナーはひっそりと姿を消したという。
大成功
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