闇の救済者戦争㉒〜欠落の月に照らされて
●【Q】
――その存在が紡ぐ言葉は全てが儀式魔術【Q】である。
ダークセイヴァー第二層、天蓋血脈樹の上で猟兵達を待ち構えるこの世界の真の支配者『
五卿六眼』。
その中でも始祖ヴァンパイアにして
五卿六眼を統率するライトブリンガーはそういう性質を備えていた。
【Q】「六番目の猟兵達よ。未だ、この名の意味を知らぬ者達よ」
慈悲深い支配者のように、女は儀式魔術【Q】を紡ぎ続ける。
【Q】「私の名はライトブリンガー。この世界より光奪いし者の責務として、あなた方と戦おう」
それはただの事実、そして敵対者には死刑宣告に等しい言葉。
【Q】「心するがいい。私の言葉は全てが【Q】なのだから」
他の世界に発生したオブリビオン・フォーミュラの力を操りし始祖ヴァンパイアは、猟兵達の訪れを静かに待つ。
「闇の救済者戦争もいよいよ佳境だね。今回は一番の大物……
五卿六眼『ライトブリンガー』の撃破をお願いしたい」
集まった猟兵達を前に、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)というシャチのキマイラはそう切り出す。
「始祖ヴァンパイアであり
五卿六眼の統率者であるライトブリンガーは極めて強力、欠落をまだ破壊できていない事もあって完全に滅ぼす事は不可能だと、現時点では予知されている」
そんな絶望的な事柄を、淡々とシャチのキマイラは述べて。
「でもね、倒す事は全く無駄になる訳じゃない。どうやら、猟兵から受けた傷は完全に癒やす事ができないみたいなんだ。もしかしたら後々何かに影響があるのかもしれない。ただ……それ以前に、このダークセイヴァーを地獄のように支配し続けるやつには一発ぶちかましてやりたいよね」
それが本音、とヴィクトルは少し照れたように頭を掻いて、彼の予知した内容の説明を始める。
「まずライトブリンガーの厄介なのは、言葉すべてが儀式魔術【Q】……俺達グリモア猟兵も使ってるアレだね。それによって色々とやれるみたいなんだけど、今回はなんと他の世界のオブリビオンフォーミュラの能力を自身に賦与してそれと自分のユーベルコードを組み合わせて戦ってくるんだ。詳しい事は用意した資料を見て貰うとわかるけど……どれも厄介極まりない。けれど」
皆は他の世界のオブリビオン・フォーミュラを倒した経験があるよね、とヴィクトルは付け加える。
「その記憶も活かしてどうにかライトブリンガーの攻撃を凌ぎつつ反撃するのが流れになると思う。ライトブリンガーの【Q】はころころ変えられるけど、此方が何かの【Q】に備えているならそれで対応してくるみたいだから、そこも狙い目になると思うよ」
【Q】を考えなくともライトブリンガーのユーベルコードは極めて強力、それへの対抗策も忘れちゃ厳しい事になだろう、とヴィクトルは言って転移の準備を行う為に自身の鍵のグリモアを手に取る。
「もう一つ。別の場所で戦ってる祈りの双子……既に制圧寸前のギリギリな状態だけど、そっちが完全に制圧されるとライトブリンガーは姿を消すみたい。だからライトブリンガーに傷を残したいならなるべく早く、祈りの双子が完全に倒れてしまう前に仕留める必要があるかもしれないね。当然無茶苦茶強いし厄介だけど、これまでの戦いを勝ち抜いてきた皆ならきっと大丈夫、そう信じてるよ」
そうヴィクトルが締め括ると、鍵のグリモアから光が溢れ出す。
その光に導かれた猟兵達の次に見た光景は、血管の大地と空に輝く禍々しき赤き月。そして、そこに佇む始祖ヴァンパイアの姿であった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
六日頑張って働いて七日目はおやすみしそうな。
このシナリオはダークセイヴァー第二層の『五卿六眼『ライトブリンガー』』と戦うシナリオとなります。
ライトブリンガーは儀式魔術【Q】により他世界のオブリビオン・フォーミュラの能力を再現して猟兵ごとに適宜切り替えユーベルコードも合わせて襲い掛かってきます。
戦場説明ページの【Q】より一つを選び、明記した上で対抗してください(指定がない場合はプレイングを見てこちらで決定させて頂きます)
また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
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プレイングボーナス……「ライトブリンガーの儀式魔術【Q】」をひとつ選び、それに対抗する。
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それでは、ご武運を。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『五卿六眼『ライトブリンガー』』
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POW : 【Q】天翔ける五つの黄金剣
【天翔ける五つの黄金剣】から、レベル×5mの直線上に【光】を放出する。【精神力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
SPD : 【Q】匣の中の太陽
【手にした匣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【太陽の炎】」を放ち、ダメージと【超業炎】の状態異常を与える。
WIZ : 【Q】欠落の月より至る光
戦場にレベル×5本の【光の柱】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【弱い】対象を優先して攻撃する。
👑11
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七那原・望
【Q】「KING宝珠の賦与」
この際殺せなくても構いません。
この地獄を創り、支配していた外道にに一矢報いる事が出来るなら。
無傷で逃げられるとは思わないでくださいね。
高速多重詠唱による強化属性の全力魔法で自身の身体能力を限界突破。
第六感と心眼と気配感知でライトブリンガーや植物怪獣軍団の行動と黄金剣や宝珠の挙動、放たれる光の軌道を見切り、回避を。
向こうが本格的に動く前に落としましょう。
強化を終えたら即座に多重詠唱全力魔法でLux kardiaを放ち、周囲の宝珠を全て同時に撃ち抜き、少し遅れてライトブリンガーも撃ち抜きます。
宝珠を味方に付けたら知識を活かしつつ植物怪獣軍団の総攻撃で押し切りましょう。
●希望の光と絶望の光
血管の大地にただ一人佇むその存在は、周囲に五つの黄金剣を浮かべ転移してきた猟兵達を睥睨する。
圧倒的な禍々しき存在感、この世界から光を奪った存在であるという
五卿六眼の統率者たる威厳は、相対する者に強烈な圧力を感じさせる。
その圧に対し、オラトリオの七那原・望(比翼の果実・f04836)は強烈な意志を以て対峙する。
「この際殺せなくても構いません」
既に祈りの双子は斃れた。このライトブリンガーは欠落を破壊されていない事もあり、滅ぼしきる事はできないと予知されている。
それでも。
「この地獄を創り、支配していた外道に一矢報いる事が出来るなら――」
少なくとも、無傷で逃がす訳にはいかない。
明らかな敵意を向けてくるオラトリオの少女に、始祖吸血鬼は構わずに言葉を紡ぐ。
【Q】「KING宝珠の賦与」
ライトブリンガーの言葉と共に、五つの宝珠が浮かび上がる。
かつて魔王ガチデビルが想像したKING宝珠は、ライトブリンガーを主としてその周囲を飛び回り始めて。
【Q】「六番目の猟兵に光を」
流れるように宣告。同時、黄金剣から一斉にこの闇の世界に似つかわしくない強烈な光が五本放たれた。
高速多重詠唱、全力で魔力を注ぎ込んだ強化属性の魔法で肉体を強化した望が血管の大地を蹴った。
彼女が居た位置を光条が貫き、別の光線が彼女を焼き尽くさんと襲い掛かる。
それを視覚に拠らず心眼と第六感で気配を読み回避、ダッシュで戦場を駆ける彼女の耳に植物怪獣の咆哮が轟き、騒がしい足音が近づいてくる。
時間をかければKING宝珠の力で徐々に強化されて押し込まれてしまうだろうと即座に思考する望、本格的に動く前に落とさねばと決意して、勝利の果実を手に掲げてユーベルコード【Lux kardia】を起動する。
「希望を紡ぐ光を……!」
勝利の果実より放たれるのは無数の光の帯、望の周囲に迫っていた植物怪獣が光に貫かれ倒れていく。
射程内にいたのはライトブリンガーも同様、だが始祖吸血鬼は盾のオーラを纏う5thKINGの宝珠を壁にしていて、宝珠が用意していた料理――ブラッドソーセージだろうか、赤黒いそれを手にしている。
直接狙っても光は弱められ、僅かに通ったダメージも一口齧り光の帯に焼かれた傷を癒してしまうことだろう。
しかし望もそれは予測済み、彼女の狙いはそちらにはなかった
「取りました……!」
彼女の本来の狙いはKING宝珠、指定した対象を攻撃する光の帯は、盾のオーラで守りを固めていた5thKING宝珠以外の全てに一定以上のダメージを同時に与える事に成功していた。
一定以上のダメージを負えばKING宝珠は猟兵の味方となる、その性質通りに四つの宝珠が望の傍へと近づいてこようとする。
黄金剣からの光がそれを阻もうとするが、ワンテンポ遅れて放たれた勝利の果実の光がライトブリンガーを襲い、攻撃を中断させる。
その隙に望の近くに寄ってきたそれぞれの宝珠の力を発揮し始める。
「さあ、押し切りましょう」
3rdKINGの宝珠により召喚された植物怪獣が一斉にライトブリンガーへと襲い掛かる。
天翔ける黄金剣が切り裂き放たれた光が怪獣達を焼いていくが、4thKINGの宝珠より流れ込んでくる知識を活かし圧倒的な物量を的確に操りライトブリンガーを押し込んでいく。
そして、一体の巨大植物怪獣が飛び込んで、ライトブリンガーにその尾を激しく叩きつけて吹き飛ばした。
空中高くへ吹き飛ばされたライトブリンガーはくるりと回転し、音もなく着地。黄金剣に精神力を込め光で一気に薙ぎ払ってきた。
その気配から攻撃の起動を読み、望は反撃を回避する。
有効打を受けつつも速やかに立て直し反撃まで行ってくるのは
五卿六眼の統率者としての実力の為せる業だ。
しかし、攻撃自体は間違いなく通すことができた。
完全に滅ぼす事はできずとも、ここで与えた傷はきっと意味あるものとなるだろう。
未だ残る植物怪獣に次の指示を出しつつ、アネモネのオラトリオの少女次なる攻撃の機会を伺うのであった。
成功
🔵🔵🔴
ロリータ・コンプレックス
何か勘違いしてないかしら?あなたの責務は私達と戦うことじゃない。
この世界を元の形へと帰し、全てのオブリビオンと共に骸の海に帰る事よ、
猟兵の先輩?
【Q】現実改変?
何かよほど強い者のイメージでもあるのかしら?
でも私には相性最悪じゃないかしら?
神様、あなたの姿と権能をふるう無礼をお許し下さい。
世界の創造主にして全知全能。未来を見通しあらゆる法則をも支配する。
今までの人生、ずっと神と共にあった私にこの信念が揺らぐことはない!
覚醒!
この死天使の姿に目覚めたとき天啓として私は神様の御声を聞いてる。
疑う余地もない。
敵の光の柱も変身後の攻撃も全て無効化できる。
この邪視を受けて抵抗する余地も無く死に逝きなさい。
●御声を胸に
KING宝珠より召喚された植物怪獣の群れが光と黄金剣に全て薙ぎ払われた後も、ライトブリンガーは息一つ乱さず周囲に視線を向ける。
始祖吸血鬼の金の左眼がみたのはまたしてもオラトリオの少女、ロリータ・コンプレックス(死天使は冥府で詠う・f03383)であった。
「何か勘違いしてないかしら?」
冷徹にも聞こえる声色で、ロリータは始祖吸血鬼に問いかける。
「あなたの責務は私達と戦うことじゃない。この世界を元の形へと帰し、全てのオブリビオンと共に骸の海に帰る事よ、猟兵の先輩?」
それはこの世界の貴族として生まれ、多くの苦境を見、体感してきた彼女の世界の真の支配者に対する宣告だ。
だが五卿六眼の統率者であるライトブリンガーはその言葉に何の反応も示さずに、ただ
言葉を紡ぐ
【Q】「現実改変ユーベルコードの賦与」
発した言葉と共に、戦場の空気が、ライトブリンガーの形が変わっていく。
無理やり変形しているのではない、最初からそうなるように静かに始祖吸血鬼の形態はイマジンモンスター、想像した『さいきょうのそんざい』に変身していく。
広げられるのは吸血鬼の翼、煌めくのは鋭い爪に角、強靭な肉体。見るからに頑丈そうな毛皮は生半可な武器では傷をつける事すら敵わないだろう。
肉食獣をベースにした禍々しい人型の
怪物。
まさに悪魔としか言いようのない造形でありながら、体各所から生やした鉱石質の結晶から強烈な光を放っている――この闇の世界においては酷く冒涜的にも感じられる。
「それがあなたの強い者のイメージ、なのね」
ロリータはそう呟きつつ、だが全く恐れなどしていない。
「でも私には相性最悪じゃないかしら?」
この力はライトブリンガーだけに作用するものではない。世界そのものを想像力の国に塗り替えるものであり、つまりはロリータ自身も『さいきょうのそんざい』に変身できるのだから。
イメージする存在は世界の創造主にして全知全能。未来を見通しあらゆる法則をも支配する全能の存在。
ロリータがこれまでの人生でずっと共に在り続けたその存在は、
「――神様、あなたの姿と権能をふるう無礼をお許し下さい」
赦しを請うようにオラトリオが言葉を発し、ユーベルコード【
覚醒】を起動する。
「神よ。私にあなたの使命を遂行するにふさわしき力を今一度与え給え。仇敵を滅ぼすに足る力を私に」
失われた右の翼が再生した。この姿はかつて窮地に陥った時に覚醒した死天使の姿――彼女の想像する最強だ。
対する悪魔は角を輝かせる。すると、空に輝く赤き月から無数の光の柱が降り注いだ。
天罰であるかのようなその光は、一本一本が生半可な想像力では防ぐ事すら叶わぬ破壊力を有している。
だが、『さいきょうのそんざい』を想像したロリータは天使の翼で飛翔し、光の柱をすり抜けながらライトブリンガーから目を逸らさない。
死天使の邪視――視認した相手の力を徐々に奪い、死に至らしめる力は、ライトブリンガーの想像する最強の存在の力をも減じ死へと導いていく。
悪魔が吼え、直に殴りつけようと吸血鬼の翼を広げ飛びかかってくる。
白く気高き琴剣を抜いて、振り下ろされた爪を受け止める。体格差はあれど、悪魔の爪はロリータを切り裂く事は叶わない。
――この世界は今、想像力の世界。
これまでの人生をずっと神と共に在った彼女の信念、そしてこの姿に目覚めた時に確かに聞いた天啓の御声は、彼女の想像する最強を更に強固なものにしている。
それがどうして、ライトブリンガーの想像力に負ける事などあろうか。
「抵抗する余地も無く死に逝きなさい」
悪魔の爪を受け止めながら邪視の力を強める。分が悪いと判断したか、悪魔は吸血鬼の翼を広げ高速で距離を取った。
大成功
🔵🔵🔵
日輪・黒玉
【Q】「無限災群の賦与」
……でたらめにもほどがある敵ですが
それは黒玉たちが退く理由にはなりませんね
黒玉は誇り高き人狼
必ず貴女を狩ってみせます
無限に溢れる敵、正面から破れるはずもありませんが……ならば、頭を狙うのみ、です
使い慣れていない武器は隙も生まれるもの
あの光の柱が無差別攻撃というのなら津波のように湧く敵たちも例外ではない
僅かでも生まれる大群の隙を縫うようにして、一気に駆け抜けます
これだけ多ければ速く動き回れる輩も多くはないでしょう?
黒玉にそう簡単に追い付けると思わないことです
全速で一気に駆け抜けて、ライトブリンガー本体へと蹴り込みます
●人狼は駆ける
――戦場の空気が変わる。現実改変の世界が解除されたのだろう。
だがそれは猟兵達に対する福音などではない。
【Q】「無限災群の賦与」
始祖ヴァンパイアが淡々と告げた言葉は、第三層の究極禁獣に賦与されたそれを自身に与えるもの。
ライトブリンガーの眼前の空間に闇が凝縮し、そこから濁流のように無数のオブリビオンたちが湧き出してくる。
下層のヴァンパイア、人狼、忌まわしき怪物――無数のオブリビオン達は個体能力こそ高くはないものの、その数だけは底なしで途切れる様子はない。
(「……でたらめにもほどがある敵ですが」)
ピンクの髪に一房の藍色が特徴的な日輪・黒玉(日輪の子・f03556)という人狼が突破せねばならないのはそんな無茶苦茶な能力だ。
その上であの始祖ヴァンパイアに痛打を与えねばならない――とてつもない困難。
けれど、
(「それは黒玉たちが退く理由にはなりませんね」)
黒玉は誇り高き人狼。例え相手がこのダークセイヴァーの真の支配者で規格外の能力を有していようと何であろうと必ず狩るという決意を胸に抱いていた。
藍の装甲を煌めかせるローラーブレードで血管の地を蹴り加速。
向かってくるオブリビオンは無限、真っ向勝負で打ち破れないと黒玉は冷静に思考。
故に狙うべきは頭、ライトブリンガー本人のみ。湧き出るオブリビオン達を速度で翻弄しながら黒玉はその速度を上げライトブリンガーを目指す。
幸いだったのはライトブリンガーのユーベルコードと、この
無限災群の組み合わせの相性自体はそれほど良くないことだ。
空から降り注ぐ光の柱が狙うのは敵味方区別ない弱者。やや弱い戦力を津波のように戦場に溢れているという状況では猟兵のみを狙いに定める事は酷く困難だ。
使い慣れぬ武器、能力で生じた隙は黒玉に有利に作用するが、しかし光の柱の威力自体は強烈。近くのオブリビオンが蒸発させられる余波で自分まで吹き飛ばされては話にならない。
狩人のように慎重に、確実に。黒玉は光の柱に混乱し蒸発していくオブリビオン達の攻撃を掻い潜り、光の柱により生じた隙を縫うようにして始祖ヴァンパイアへ最高速度で迫っていく。
それを可能にしているのは彼女のユーベルコード【
黒玉狼の乱舞】だ。敵よりも早く動き続けるならば回避能力を始めとした能力が三倍に向上する力。
「これだけ多ければ速く動き回れる輩も多くはないでしょう?」
戦場を満たす程にオブリビオンが多く動ける場所が制限される戦場であるならば、高速で移動し続ける黒玉の能力は向上したままだ。
オブリビオンの爪や槍、剣やユーベルコードが追いつけぬ速度で躱し見切りながら、遂に人狼はライトブリンガーの眼前へと躍り出る。
光の柱は自由に黒玉を狙えない。驚いたように僅かに眉を上げたライトブリンガーはヴァンパイアの翼で防ごうとするが、黒曜戦刃を展開した黒き狼の蹴撃がガードよりも早く叩き込まれた。
吹き飛ばされる始祖ヴァンパイアはすぐさま翼を広げ体勢を立て直す。上手く命中はしたが、まだ倒し切るには至らないようだ。
即座に襲い掛かってくるオブリビオンの群れ、黒玉は即座に思考を切り替え全周から襲い掛かる攻撃を見切り、再び加速を開始した。
成功
🔵🔵🔴
空桐・清導
【Q】「現実改変ユーベルコードの賦与」
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「ヘッ!【Q】だかなんだかよく分からねえけど、
お前はオレには勝てないぜ!!」
【Q】によって生まれた
イマジンモンスターを見上げながら不敵に笑う
「なぜなら!オレは無敵のヒーローブレイザイン!
どんな敵にも必ず勝つヒーローだからな!!」
想像?いいや否。
そうであると魂から信じる男―空桐清導
その理想が顕現するならば、彼の敗北は決してない
「想像するのは最強の自分!いくぜ!究極変身!!」
光の巨人が[限界突破]しながら現れる
黄金剣の攻撃を受けながら尚も巨大化
見上げる程の大きさになったら光を収束させた剣を創造
それでもってライトブリンガーを斬る!
●正義の理想は砕けない
無限災群により溢れ出したオブリビオンは、いずれも猟兵達に決定打を与えられずにいた。
業を煮やしたか、ライトブリンガーは淡々とした声で次の【Q】を宣告する。
【Q】「現実改変ユーベルコードの賦与」
戦場を埋め尽くさんばかりの勢いで召喚され続けていたオブリビオンの召喚は停止し、再び戦場は想像力の世界へと書き換えられていく。
『オウガ・オリジン』の『現実改変ユーベルコード』の力を使い自身の想像するさいきょうのそんざいへと変身、その力を増幅させるという能力を使った始祖ヴァンパイアの姿は再び禍々しき巨大な魔獣のような姿へと変わっていく。
「ヘッ!【Q】だかなんだかよく分からねえけど、お前はオレには勝てないぜ!!」
見るだけで心が折れそうなその巨大なイマジンモンスターに対し、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は見上げながら不敵に笑う。
「なぜなら! オレは無敵のヒーローブレイザイン!」
ヒーローの名乗りは高らかに、この悍ましい血管の地平の闇の世界に響く。
「――どんな敵にも必ず勝つヒーローだからな!!」
そこには一点の疑念すら存在しない。想像などという
生易しいものではなく、そうであると魂から確信する男こそ空桐清導なのだ。
「想像するのは最強の自分! いくぜ! 究極変身!!」
叫びユーベルコード【
究極変身!】を起動した彼の胸から、目も眩むような輝きが溢れ出す。
魂から溢れ出る光をオーラに変え、イメージするさいきょうのそんざいを顕現させたならば、彼の姿は光の巨人へと変身する。
魔獣が五本の黄金剣を飛翔させ、光の巨人を貫くべく光を放出する。
想像力の世界の力で高められたその光はまだ戦場に残っていた
無限災群のオブリビオン達を蒸発させながら光の巨人に命中する。
されど光の巨人は斃れるどころかその体を更に巨大化させ、魔獣に匹敵する体躯から更に大きく、魔獣を見下ろす程の大きさにまで限界を超えて変身していく。
無限の可能性を体現したかのような光の巨人は巨大化の度に強く輝きを増していく――宇宙の如き煌めきの巨人の手に、光が収束し剣が創造される。
振り上げる、魔獣が五本の黄金剣全てをガードに回した次の瞬間、強烈な一撃が真上から叩きつけられた。
ライトブリンガーの側も想い描くさいきょうのそんざいになっている故に、何倍にも強化されている清導の一撃を止める事ができた。
「うおおおおおっ!!」
だが、清導は更に気合を入れれば纏う光の輝きは強め、加える力を更に増してガードの上からライトブリンガーへと光剣を振り抜いた。
光が戦場に弾け、余波を浴びたオブリビオン達は逃げる間もなく消滅していく中、清導の間合いから魔獣が高速で離脱していく。
魔獣は半身を深々と切り裂かれながらも僅かに芯をずらしていたのか、まだその生命の輝きを失わせてはいなかった。
だが、呼吸は目に見えて荒くなっている。清導の一撃は相当に堪えているようだ。
大成功
🔵🔵🔵
アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
アドリブ歓迎
Q:ワープドライブ
言葉が全部「Q」……きっとすごいんだろうけど、でもお姉さんが出来ることは全部、もうマリアや他の猟兵さん達が乗り越えてきたものばかりだよ。
だから、負けない。こんな酷い世界にしたあなた達なんかに、絶対にマリアは負けないよ!
ライトブリンガーのお姉さんがいつ近くにワープしてきても大丈夫なように、身の回りをサイキックエナジーでいっぱいに満たしておくよ。
どこから出てきても、そこはもうマリアの手の中と同じ。
見つけた瞬間、黄金の剣もお姉さんもまとめて念動力で思い切りぎゅっと握って捕まえて……ピンポン玉より小さくなるくらい圧し潰しちゃうんだから!
●機会は一瞬
最強の魔獣の姿が、想像力こそが勝敗を分ける想像力の世界と共に崩れていく。
この【Q】では自身の理想を顕現させるヒーローを敗北させることは決して出来ぬと判断したのか、
五卿六眼の統率者は次の【Q】を発動させる。
【Q】「ワープドライブの賦与」
銀河皇帝の血族が有するそのユーベルコードにより、ライトブリンガーの姿が瞬く間に消失する。
この力を操るライトブリンガーにとって無限の距離も零距離も殆ど変わりはない。一瞬であらゆる座標へと転移できるのだから。
(「言葉が全部『Q』……きっとすごいんだろうけど」)
その力を目の当たりにした翠のクリスタリアンの少女、アヴァロマリア・イーシュヴァリエ(涯てに輝く・f13378)は、ライトブリンガーの途方もない力を理解しつつも絶望などしていなかった。
何故ならあの始祖ヴァンパイアの力は、これまで他の世界を救う戦いで猟兵達がオブリビオン・フォーミュラと戦い、乗り越えてきた力ばかりなのだから。
「だから、負けない。こんな酷い世界にしたあなた達なんかに、絶対にマリアは負けないよ!」
ユーベルコード【
聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな】を起動、肉体に極大のサイキックエナジーを宿し、それを周囲に放出し空間を満たしていく。
このサイキックエナジーの内側はアヴァロマリアの手の中と同じだ。どこに現れようと把握し、即座に攻撃に移ることはできる。
ライトブリンガーは一瞬で現れ攻撃、即座にワープで離脱するという戦法をとる。少なくとも死角からの攻撃は――、
「っ!?」
――瞬きなどしていない、ただ突然に、ライトブリンガーはアヴァロマリアの眼前に現れて、その光り輝く五なる黄金剣で彼女を切り裂かんとしている。
準備をしていたから反応は出来る。念動力で編み上げた祈りの防壁を眼前に展開して剣の到達を遅らせながら極限の集中力でライトブリンガーと黄金剣の群を捕えんとする。
「負けない。負けない。絶対、負けない……!」
クリスタリアンの強烈な念動力に捕らえられながらも、黄金剣はクリスタリアンの少女を貫かんとじりじりと迫ってくる。だがこの力に負けてはならないと、彼女の 魂に宿る勝利を掴む運命が、あと少しで必死という状況から反撃にまで押し返す事に成功する。
死の危機に極限まで高まったアヴァロマリアのユーベルコードは、彼女の暴力的な念動力の力を限界にまで高めて黄金剣をライトブリンガーの元へ押し返しそのまま圧縮をかける。
このまま限界まで、ピンポン玉よりも小さくなる位まで圧し潰す――全力で念動力を働かせて黄金と始祖ヴァンパイアの身体がぎゅっと縮まり変形していく。
だが次の瞬間、確実に捉えていたライトブリンガーが煙のようにかき消えた。
ワープドライブは一瞬で転移する、捕らえ続けることは限りなく困難に近い。
ライトブリンガーにその力がなければサイキックエナジーでの爆縮も成ったかもしれないが、今回は逃してしまった。
だが一瞬とはいえ念動力は働いて変形させるまでは届いていた。無傷という訳ではないだろう。
今度は確実に捕らえ潰す為に、アヴァロマリアは周囲をサイキックエナジーで満たし、極限まで集中力を研ぎ澄ませるのであった。
成功
🔵🔵🔴
スターレイル・エストレジャ
【Q】「聖杯武器の賦与」
(奴には昔会った事があるが、あの態度から奴は覚えてないな…まあいいか)
【聖杯武器の対策】
…何?!
『神の左手』…星虹超越覇気から氷【属性攻撃】のワイヤー【罠使い】を放ち障害物に固定して引き寄せられない様にする
噂に聞いていたが、これが聖杯の力…!
『リリスの槍』…【視力】と【心眼】で槍の動きを見て回避して攻撃範囲から逃がれる
不味いな…
『聖杯剣』…【視力】と【心眼】で敵の聖杯剣の攻撃に対して【鉄壁属性攻撃】の【オーラ防御】で防ぐ
【敵のUC対策】
敵が放つ直線上の光を【心眼】で【見切り】素早く【エネルギー弾】を放ち反撃する【クイックドロウ】
【反撃】
危なかったな、反撃させてもらおう…
鳴り響け…魂の心音!トゥントゥン…キーン!
まずは錯乱させる…
指定UC発動して星虹を放ち障害物をカートゥーン生物の性質とゴムの性質を追加して突撃させる
借りを返させて貰う!
私は剣に星虹【聖属性攻撃】を纏った斬撃波を敵に放ち敵に攻撃した後
星虹の剛力拳!
星虹【属性攻撃】により剛力の性質を付与して殴り飛ばした
●聖杯剣りたーんず
再び姿を現したライトブリンガーを前に、スターレイル・エストレジャ(星虹の超越者・f40527)は星虹のオーラを纏い臨戦態勢を取っている。
ライトブリンガーは彼女を一瞥するが、特に何か感じた風でもなく表情に変化はない。
(「奴には昔会った事があるが、あの態度から奴は覚えてないな……」)
それがこの戦いに影響するわけでもない。ただオブリビオンの性質的にスターレイルが遭遇したのは別個体で記憶にないだけなのだろう。
思考するスターレイルに構うことなく、始祖ヴァンパイアは次の【Q】を宣言する。
【Q】「聖杯武器の賦与」
言葉と共にライトブリンガーの左腕に巨大な黄金の籠手が、そして禍々しきリリスの槍と巨大な蒼き聖杯剣が出現する。
銀の雨の降る世界のオブリビオン・フォーミュラ、聖杯剣揺籠の君。彼女の操っていた三つの聖杯武器が、その機能を一切損なわれる事無く出現したのだ。
具合を確かめるようにライトブリンガーが左腕を雑に振るう。
「……何?!」
咄嗟に纏う星虹のオーラを練り上げワイヤーのようにしてちょうどよく突き出ていた大地の血管に巻きつけて凍結、引力に抵抗する。
凄まじい力――噂には聞いていたが聖杯の力はこれ程かと思考するスタ―レイルに対し、無表情にライトブリンガーは吸血鬼の翼を広げ突進してくる。
手にしているのはリリスの槍――宇宙の終焉まで癒える事のない毒を注ぐという強烈なその槍の刺突を、スターレイルは卓越した視力と心眼で見切りつつ、地を蹴って槍の間合いから逃れんとする。
が、その目で見えたのはリリスの槍のみではない。天翔ける黄金剣が光を今にも放たんと輝きを強めていたのだ。
咄嗟にその軌道を見切りエネルギー弾で反撃する。カウンター気味に放たれたそのエネルギー弾は五本の黄金剣に命中し、その切っ先を僅かに逸らす。
光が放たれる。スターレイルから少し横を切り裂く光は後方ずっと遠くまで照らし出し、その直線状の物体を焼却した。
「不味いな……」
連続攻撃は止まらない。槍から聖杯剣へと持ち替えたライトブリンガーの刃がスターレイルに迫ってくる。
オーラを限界まで硬化させて思い切り体をのけぞらせる。オーラがほんの少し聖杯剣を押し留め、その間にスターレイルの身体は聖杯剣の軌道から逃れる事に成功する。
切り裂かれるオーラ、眼前を聖杯剣が豪速で切り裂き、まともに受ければ命も危なかっただろうと冷静に思考するスターレイルは、後方に跳躍しつつ体勢を立て直して、
「危なかったな、反撃させてもらおう……」
――連撃を一通り凌ぎきったここからが、スターレイルの本格的な反撃だ。
「鳴り響け……魂の心音!」
ユーベルコード【
原初の星虹】を起動する。心音に金属音のような高い音が響き、彼女の神が焔のように、瞳の虹彩が星形に変わる。
出現した雲の様な羽衣を纏う彼女の周りに星型の虹が現れ、彼女の神としての力を十分に引きだす手筈は整った。
星虹を放ち、血管の地平の障害物へと性質を付与する。
与えるのはカートゥーン生物の性質とゴムの性質――常識にはとらわれない、頑丈で弾力のある力。
それらをライトブリンガーに突撃させれば、始祖ヴァンパイアは表情一つ変えずにリリスの槍で貫かんとする。
だがそれは貫けない。槍を覆うように伸びて、貫通だけはさせずに弾力の反動で明後日の方へ吹っ飛んでいく。
「借りを返させて貰う!」
少々茫然としているようなライトブリンガーに、スターレイルは愛用の神剣型神器を振るい清らかなる星虹の斬撃波を放ち、同時にダッシュで距離を詰める。
聖杯剣が斬撃波を斬り散らし、霧散した後に無手のスターレイル自身が飛び込んで来て、
「星虹の剛力拳!」
剛力の性質を付与した星虹のオーラで覆われたスターレイルの鉄拳が、神の左手でのガードよりも早くライトブリンガーの顔を撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔴
館野・敬輔
【Q】「異門同胞の賦与」
【POW】
アドリブ連携大歓迎
今はひとつでも多く、手傷を負わせることに意味がある
この世界から光を奪った者よ、覚悟しろ!
指定UC発動、ヴァンパイアに変身
血色のオーラに隠すように漆黒の「オーラ防御」を纏いながら
ライトブリンガー含むその場のオブリビオン全員に
「吸血鬼の存在を認め、我に従え」と命じよう
従った奴がいたらライトブリンガーへ攻撃するよう命じ
従わぬ輩には吸血コウモリをけしかけ「吸血」させよう
統率の乱れをさらに乱したら
「ダッシュ、闇に紛れる」でライトブリンガーに接近
黄金剣からの光は「視力、見切り」で軌道を見極め回避しつつ
至近距離から黒剣を「2回攻撃、怪力」で叩き込む!
●必要ならば、可能性の
未来をも従えて
殴り飛ばされたライトブリンガーの身体は何度か地面を跳ねたあと、何事もなかったかのような無表情で再び立ち上がった。
しかしその体には損傷が幾らか目立つ。ダメージが通っているのは間違いないだろう。
その希望を打ち消すようにライトブリンガーが宣言するのは自身の力量を超えているという【Q】。
【Q】「異門同胞の賦与」
その【Q】である言葉により、ライトブリンガーは数十万の軍団を第二層の血管の地平に召喚させた。
邪悪な闇の種族、禁獣、紋章つかいの実験に使い潰された狂える異端の神々――この戦争で猟兵と数多く交戦したオブリビオンも多数見受けられる。
いずれも個体能力は非常に高く真っ向勝負ではまず勝ち目のない相手。だが、それを前にした館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は静かに闘志を滾らせていた。
このライトブリンガーを倒しても欠落が健在な今、完全に滅ぼすことは不可能だとグリモア猟兵でもある彼は自身の予知でも理解していた。
それでも猟兵による傷は治り難いらしい。今後を見据えるならば今はひとつでも多く、手傷を負わせることにこそ意味があるのだから。
「この世界から光を奪った者よ、覚悟しろ!」
黒騎士の青年は真っすぐにライトブリンガーを見据え、叫んだ。
出現したオブリビオン達は状況をよく理解できぬままに、何か叫んでいる人間に襲い掛からんと殺意を強め行動を開始する。
――完全には御しきれない異門同胞、それは強力なオブリビオン達を従えきれず、各々の欲望のままに行動を始めるという欠点がある。
敬輔が活路を見出したのはそこだった。
「この姿を目にした者よ、吸血鬼を恐れよ、そして跪け!!」
ユーベルコード【
畏怖で従えし吸血鬼】を起動した敬輔の姿がダンピールの黒騎士らしき姿から漆黒のマントを纏うヴァンパイアらしき姿へと変身。
血色のオーラを纏い、吸血コウモリの群れを従えし姿は見る者にいふと恐怖の念を抱かせる。
「吸血鬼の存在を認め、我に従え。ライトブリンガーを、攻撃せよ」
堂々と、
五卿六眼の統率者をも含めたオブリビオンの大群に敬輔は告げた。
ダークセイヴァー上層のオブリビオン達は酷く強力で、邪悪な闇の種族だ。畏怖を感じたからといって敬輔に従う道理はない、寧ろ身の程をわきまえぬ
人間がやってきたと享楽の為の道具にしようとするだろう。
だがこの場にはそれ以前の、知性も理性も消し飛んだようなオブリビオンも多数存在した。
厳密に命令に従うかはともかくとして、凶暴な彼らが暴れるように感情を動かされたのならそれを止める者はない。
一体の異端の神がライトブリンガーに向けてユーベルコードを放ったことを皮切りに、狂気に陥った異端の神々が一斉に暴れ始めた。
そうなれば理性ある闇の種族の方も対応せねばならない。
暴れる異端の神々を殺そうとする闇の種族に、突如襲い掛かるのは敬輔の従える吸血コウモリの群。数で襲い掛かり血を啜る吸血コウモリが戦場の混乱をより煽っていく。
この戦場において数の多さは有利には働かない、混乱が膨れ上がる中、闇とオブリビオンの混乱に紛れて敬輔は走る。
時間が経てば混乱が収まり敬輔に対してのみ殺意が向いてくるだろう。その前に仕留めるべく、彼はライトブリンガーを目指す。
その意図を察したか、翼広げ空中に飛びあがったライトブリンガーが天翔ける黄金剣より光を発射して大雑把にオブリビオンの群れごと敬輔を狙い撃つ。
だがそれは常に警戒している。黄金剣の軌道を見切り光線を掻い潜り速度を緩めない。光が掠め血色のオーラの下に纏う漆黒のオーラが彼の肉体を保護しているが、オーラ越しにもその威力はまずいと感じる。
慎重に混乱を煽りつつ、空中で黄金剣を操るライトブリンガーの死角へ潜り込んだ敬輔が跳躍。
この世界に生まれ育ち、多くの苦しみを見てきた黒騎士の黒剣――魂を喰らいし刃が猛烈な気迫とともにこの闇の世界の真の支配者の肉体を二度、深々と切り裂き鮮血が血管の大地に舞い散った。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィヴ・クロックロック
私は貴様を否定する。何もかもが気に食わない。むやみな先輩面もこのクソみたいな世界の首魁らしいことも…何よりキャラがかぶっている!
【Q】「ワープドライブの賦与」に対策を絞ろう
光の柱の初手を引き抜いた心臓のリアクターを用い吸収、相殺。喰らった光子を利用し私のUCを限界を突破し大規模展開、骸の海を一気に噴出させ亡者の群れを召喚する。以降の柱は亡者が引き受けてくれるだろう。
そしてワープドライブを使った本体の攻撃か…いいだろう正面から喰らってやる。薄く張ったオーラの防御と感と勘を頼りに現れた瞬間に私の光の剣を突き立てる、さあ私も喰らってやるんだ…もちろんこの光も奪っていくんだよなぁ?
(アドリブ連携歓迎)
●光と光、刺し違えようとも
異門同胞により召喚されたオブリビオン達の同士討ちで戦場は大混乱に陥っていた。
そんな状況でライトブリンガーは再びワープドライブを自身に賦与して、混乱から距離を取った。
またその力で基本に忠実なヒットアンドアウェイを狙ってくるだろう、と緑髪のダンピール、ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)は思案して、
「……私は貴様を否定する」
無限遠の距離に居るだろうライトブリンガーに向けて呟いた。
「何もかもが気に食わない。むやみな先輩面もこのクソみたいな世界の首魁らしいことも……」
勿体ぶった言い回しに本質を言わない性格の悪い支配者、第三者から見ても割と碌でもない部類になるだろう自身の幼少期を構築しているこの闇の世界を作り出した存在への怒りは相当なもの。
「……何よりキャラがかぶっている!」
――その瞬間、空から赤い光の柱が降り注いだ。
どこが被っていると言わんばかりに降り注ぐ光の柱は触れれば致命傷間違いなしの破壊力、即座にヴィヴは胸に手を突っ込んで心臓に埋まる光子リアクターを引っこ抜き空へ翳す。
アンプルは既に射っている。鎮痛剤込で胸からリアクターを引っ込ぬくという、本来なら耐えきれそうにない激痛は、ヴィヴが意識を保てる程度には緩和されている。
翳されたリアクターは動力源たる光を丸ごと吸収、ヴィヴへの初撃を相殺する。
だが欠落の月より放たれた光はそれのみならず次から次へと――、
「……この虚ろにもはや輝きはない!」
次が降り注ぐ前に、喰らった光子を利用してユーベルコード【星の終わり《ジ・エンド》】を限界を超えて起動。
次の瞬間、リアクターを引き抜き生じた虚ろな穴から骸の海と聖者を蝕む亡者たちが溢れるようにして湧き出してきた。
溢れた骸の海と亡者は血管の戦場全体へと広がり、存在するものの生命力を吸収する。
光の柱のターゲットは湧き出た亡者の方へと向かい、ヴィヴは攻撃対象から外れる。
しかし油断はできない。この【Q】の厄介な部分は未だ現れていないのだから。
次の瞬間、瞬きもしていないのにヴィヴの眼前にライトブリンガーの整った顔が現れていた。
混乱の内に一撃離脱、実に理に叶った戦法で狙ってくるライトブリンガーは黄金剣をヴィヴに突き立て打倒さんとする。
――そう認識する前にヴィヴは動いていた。
出現したタイミングは薄く張っているオーラと勘で感知していた、だからあとはその位置に突き立てる。
限界稼働したリアクターの形は極光の剣、それを思考よりも早く眼前のヴァンパイアに突き立てた。
次の瞬間走る激痛、黄金剣が深々と刺さっているが
しったこっちゃない。
「さあ私も喰らってやるんだ……もちろんこの光も奪っていくんだよなぁ?」
血泡を吐きながらヴィヴはこの世界より光を奪ったというライトブリンガーを睨む。
差し違える事は大前提、覚悟を決めたヴィヴは極光の剣をより深く捻じ込んで先に倒さんとする。
流石に付き合いきれないと判断したのか、ライトブリンガーの姿が掻き消える。ワープドライブの力で距離を取ったのだろう。
それを認識したヴィヴは倒れ込み、五体を血管の大地に投げ出した。
致命傷には恐らく届いた。あとは他の猟兵に任せればいいだろう。
そんな事を考えつつ、限界を超えたヴィヴは意識を手放したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
この非道なる世界の支配者さんに
見事一矢報いて見せましょう
猟兵をにゃめんなよ、です
これはコンコンシステム!
沢山の罠や拷問具が此方へ向かって来ますね
だからこそ有難いです(にっこり
竪琴を奏でて
範囲内の罠や拷問具を魔力へと変換します
際限なく現れる罠によって
際限なく魔力が高まっていきます
そして
紅蓮の紗幕や激流の盾、旋風の繭で身を守りつつ
降り注ぐ光の柱に対して魔力をぶつけて
逸らしたり対消滅させます
欠落の月より至る光、と言いましたか…
この光の先にある月が
或いは欠落なのでしょうか?
…今は撃破に全力を尽くしましょう
ひしめく罠を魔力へ変換しながら
そして光を散らしながら
悠々とライトさんの方へ歩んでいきます
射程に入りましたら
システムフラワーズそのものを魔力へ変換しちゃいます
圧倒的な魔力の奔流で
ライトさんを海へと導きます
終幕
そのまま演奏を続けて
いつの日か海での静かな眠りを贈ることを誓います
●最後に響く音はコンコンコン
猟兵達は数々の【Q】を超えてライトブリンガーに武の暴虐たる刃を届かせ続けた。
ここまでの最後に捻じ込まれた光の剣による傷――それを抜きにしても始祖ヴァンパイアは既に限界であった。
それでもなおライトブリンガーが威圧感そのままに猟兵を迎え撃ち続けるのは
五卿六眼の統率者としての矜持なのだろうか。
だが翠の瞳に闘志を宿しやってきた箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、そんな意地のようなものを打ち崩すと決めてここにやってきた。
「この非道なる世界の支配者さんに見事一矢報いて見せましょう。猟兵をにゃめんなよ、です」
いつも以上に愛用の蒸気機関式の竪琴を持つ手に力が籠もる。手負いとはいえ圧倒的な実力を有することは事実で、この戦場でまだ見せたことのない力の一つを賦与する言葉をライトブリンガーは紡ぐ。
【Q】「天災天賦の賦与」
キマイラフューチャーのシステム・フラワーズを構築した超天災級の頭脳を自身に賦与した始祖ヴァンパイアにより、簡易型のシステム・フラワーズが瞬時に構築される。血管の大地に舞い散る無数の花弁と同時に彼女の右手側に出現したのは禍々しい鮮血の色の壁だ。
「これはコンコンシステム!」
仄々の驚嘆したかの声に構わずコンコンコンと無造作にライトブリンガーが壁を叩けば、血管の地面から見るだに禍々しい拷問具や狩猟罠が地を埋め尽くさんばかりの勢いで湧き出して仄々を捕らえんと襲いかかってくる。
金属質の頑丈で凶悪なそれらに捕らわれれば妖精猫の小柄な体ではあっという間に悲惨な事になってしまうだろう状況で、まさに絶体絶命の状況。
「……だからこそ有難いです」
――それらを前に、仄々は悪戯を仕掛けるような笑顔を浮かべていた。
何故なら向かってくる恐ろしい器具の数々は、その多くに金属の――無機物の部品でできている。
「さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
仄々が落ち着いた手付きで竪琴を鳴らせば、彼の周囲140メートル内の無機物が魔力へと変換される。
炎、水、風。簡易型システム・フラワーズにより際限なく湧き出す拷問具の数々は鋭い刃や針を魔力に変換されて無力化され、同時に周囲に莫大な魔力を溢れさせる。
有機物で構成された拷問具もある程度は存在したが、三種の魔力の荒れ狂う戦場ではあっさりと破壊され仄々には届かない。
ライトブリンガーは攻撃を重ねる。ユーベルコードを起動すれば、暗き空に妖しく輝く赤き六つの月の眼のような紋様から放たれたような光の柱が戦場に降り注ぐ。
されど仄々はそれも予測済み。黒猫を焼かんとする月の悪しき輝きは、仄々を護る旋風の繭と紅蓮の紗幕、そして激流の盾と自在に操作される属性の魔力を貫き切れず逸らされて、彼に傷を与えられない。
(「それにしても欠落の月より至る光、と言いましたか……」)
竪琴を奏でながら思案する仄々。
この降り注ぐ無数の光の柱の起点、赤く輝く六つの月が或いは欠落なのだろうかと、そんな考えが頭を過ぎってしまう。
――それを今証明する手段はない。
その上で月までの距離は果てしなく、仮にあれが欠落であるとするならライトブリンガーの方も万全な防御態勢を整えていることは想像に難くない。
だから、今は眼前のライトブリンガー本人の撃破に全力を尽くすべきだ。そう思考を切り替えた仄々は、罠を魔力へ変換しつつ光の柱降り注ぐ戦場を悠々と歩いていく。
そしてついにライトブリンガーまで約100メートル、狙っていた射程にまで辿り着いた。
竪琴をより強く弾き鳴らせば、瞬時に構築された簡易型システム・フラワーズが炎や水、風の魔力へと変換される。ライトブリンガー自身を守っていたシステムが魔力に変換されて効果は反転、自然の脅威や天災そのものの奔流が仄々の武器としてライトブリンガーを飲み込んだ。
既に限界寸前であった始祖ヴァンパイアに耐える術はない。
圧倒的な属性の魔力の奔流が止んだ後には何の姿も残っておらず、【Q】により構築された簡易システムも仄々のユーベルコードの範囲外に残っていた罠の数々もその機能を停止していた。
全ての敵の消失した血管の地平で仄々が奏で続ける竪琴の旋律は、いつか骸の海に還るべき
五卿六眼の統率者に対する誓いのメロディ。
――今は滅びを与えられずとも、いつかは骸の海での静かな眠りを贈るという誓いを籠めた安らかな旋律が血色の地平に響き渡る。
かくして闇の救済者戦争に姿を現したライトブリンガーは一旦は撃破された。
この謎の多いダークセイヴァーにはまだまだ識るべきことは多くあるだろう。いずれは腐敗の王や他の生き残りとも戦う日は来るかもしれない。
それがいつの話になるかは分からないが、今は一時の勝利を伝える為に。
猟兵達は血管ひしめく大地を離れ、グリモアベースへと帰還したのであった。
大成功
🔵🔵🔵