闇の救済者戦争㉑〜コンフロント
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五卿六眼『腐敗の王』
私は「生と死の循環」を操るもの……。
私が「死の循環」を加速すれば、即ち世界は腐敗に満ち……。
腐り落ちて「過去」となった万物は、オブリビオンとして蘇る……。
腐り落ちたお前の肉から、お前のオブリビオンを拵える事もできる……。
だが……!
死を厭わぬ者がいるのなら、正々堂々とお相手しよう……!
俺が「生の循環」を加速すれば、即ち世界は熱き魂に満ちる……!
己が魂を奮い立たせられぬ者共は、瞬く間に俺の劫火に焼き尽くされるだろう……!
生と死を超克した者の刃しか、この私俺には届かない。
さあ、私俺に見せてくれ。今度の猟兵達が、果たしてどこまで戦えるのかを。
●案内
世界の腐敗、すなわち「生と死の循環」を操る絶対者にして、ダークセイヴァーの真なる支配者「
五卿六眼」の一柱たる『腐敗の王』のもとへいってくれぬかと終夜・嵐吾(灰青・f05366)は告げる。
「ダークセイヴァーの人々が、死んでも魂人として転生してしまうのは腐敗の王が循環を停止しているからのようなんじゃ」
そしてこの腐敗の王は「欠落」が健在な為か滅ぼせないが、倒す毎に「生と死の循環」が解放されていくのだという。
ならば、倒すのみ――ではあるのだが、腐敗の王は「死の循環」を加速させ、視界に映るすべてを腐敗させていくのだ。
それは血管で埋め尽くされた大地のみならず、腐敗の王と戦う者――つまり、猟兵も。
「己の身は、朽ちていくじゃろう。そしてそれを糧にオブリビオンとしてよみがえった自分が、腐敗の王の傍らに蘇る」
それは、今の己の姿そのままを映したものかもしれない。はたまたまったく違う姿をとっているかもしれない。
「朽ちていく身は痛みを伴うじゃろう。足からやられたら、動きもきっとままならぬ。それでも、オブリビオンとして万全の己と、腐敗の王にむかわんとならん」
これは絶望的な戦いとなる。時間がたてば、そこで己の身もすべて朽ちてしまうだろうから。
しかし、この能力の発動中は腐敗の王も、自身の傷を癒せず、耐久力も脆くなっている。
少しずつでも傷を与えていけば、腐敗の王も倒れるということなのだ。
「きつい戦いになると思う。オブリビオンの自分自身もおるし……それでもいってくれるなら」
頼むと言って、嵐吾は手の内のグリモアを輝かせた。
志羽
御目通しありがとうございます、志羽です。
詳細な受付期間については【マスターページ】【シナリオ上部のタグ】で案内しますのでお手数ですが確認お願いいたします。
プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、すべて採用となるかどうかはわかりません。
オーバーロードの場合、いつでも、送れる限りは送っていただいて大丈夫です。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「闇の救済者戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナスについて
プレイングボーナスは『僅かずつでも腐敗の王に与えたダメージを重ねる。』です。
終わっていく己と、全盛の己たるオブリビオン。そして腐敗の王。
小さくても、一撃を積み重ねていくことを念頭に心情などなど詰めていただけると幸いです。
オブリビオンな自分については何かあればプレイングにどうぞ。特になければ、今現在の姿そのままとなります。お任せの場合、好きにしてOK、どうなっても文句言わないととります。
●お願い
グループ参加などの場合は、ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。
プレイング受付についてはマスターページの【簡易連絡】にて案内いたします。
受付期間外に送って頂いたプレイングについてはお返しします。受付期間中であれば再送については問題ありません。
また、団体さんについては人数によってはお返しとなる可能性がありますのでご了承ください。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『五卿六眼『腐敗の王』』
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POW : フレイムビースト
自身の【全身】を【熱き魂の炎】化して攻撃し、ダメージと【装備焼却】の状態異常を与える。
SPD : オブリビオンソード
【腐敗による「消滅と忘却の宿命」】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【ユーベルコード知識忘却】の状態異常を与える。
WIZ : 死の循環
【この世界を司る「世界法則」そのもの】から、戦場全体に「敵味方を識別する【死の循環】」を放ち、ダメージと【肉体腐敗】の状態異常を与える。
👑11
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流茶野・影郎
死ぬ……か
生命賛歌なんて都合のいいものがない戦いなら、もう知っている
崩れ、存在が消える……だがなロートルの俺でも最後まで立つことは出来るのさ
『ラストスタンド』
イグニッション!
覆面忍者ルチャ影に幸せなど要らないのさ
そうだろう?
そこの俺、いや完全無欠の正義のルチャ影?
虚像の正義の味方を無視して、いや一撃を負ってでも、死の循環で腐り果てようと――最後まで立てれば動ける
動けるなら戦える
戦えるなら届く!
相打ち覚悟の忍者刀
死の循環の狭間に投げる詠唱風車
肉と骨を切って魂で殴り合いだ
チキンレースと行こう腐敗の王
どんなに腐らせようと魂は腐らねえんだ
フェイントかけたジャンプから放つは最後の
「大回転ルチャキック!」
身体が朽ちて、腐って、落ちていく。
己の身に起きていることを、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)は見つめ息吐いた。
「死ぬ……か」
生命賛歌なんて都合のいいものがない戦いなら、もう知っていると影郎は腐敗の王へと向かう。
しかし、身は崩れ落ち――腐敗の王の前にたどり着く頃には、さらに体の自由は聞かなくなっていることは想像に易い。
「崩れ、存在が消える……だがなロートルの俺でも最後まで立つことは出来るのさ」
けれど、心が消え去ることはない。折れることはない。
己の身が崩れていく最中、その隣にうぞりと立ち上がる影がある。
それはオブリビオンとしてある自分の姿。
影郎は自分を賭ける。肉体を凌駕し、最後まで立ち続ける――ラストスタンド。
イグニッション! と影郎は叫ぶ。
「覆面忍者ルチャ影に幸せなど要らないのさ」
そうだろう? と影郎は――覆面忍者ルチャ影は問いかける。腐敗の王との間に立つ、その存在へ。
「そこの俺、いや完全無欠の正義のルチャ影?」
だがそのオブリビオンたる自分の相手をしている時間はない。
崩れていく己の体、今できることを覆面忍者ルチャ影は思考する。
虚像の正義の味方を無視して、いや一撃を負ってでも、死の循環で腐り果てようと――最後まで立てれば動ける。
それが、覆面忍者ルチャ影が一瞬で出した結論。
動けるなら戦えるのだと。
そして戦えるなら――届く!
構えた忍者刀。
腐敗の王が放つ死の循環の一撃は覆面忍者ルチャ影を捉える。だがその真に詠唱風車が爆ぜて敵の視界から一瞬、覆面忍者ルチャ影を失う。
肉と骨を切って魂での殴り合いに持ち込むための一投、
「チキンレースと行こう腐敗の王」
どんなに腐らせようと魂は腐らねえんだと、覆面忍者ルチャ影は駆ける。
その心根は、いつだって、いつまでもきっと変わらない。
フェイントをかけて、腐って骨さえ見えてくるその足でフェイントかけ跳躍する。
狙いは腐敗の王。偽の正義を纏う己を飛び越えて、その顔めがけて、空中で身を回転させて。
「大回転ルチャキック!」
覆面忍者ルチャ影の一蹴が決まる。肉体が腐敗しようとも、その心は腐らぬのだからと。
腐敗の王にとってそれは常ならば微々たる一撃。しかし、それでも十分たるのは、死の循環の中にあるから。
大成功
🔵🔵🔵
キアラ・ドルチェ
【護】
呼吸を整える
痛みに耐える
目の前の敵に、一太刀なりとも入れる事だけを考える
この身が朽ち果てる事を考えると、恐怖しか湧き上がりません
ならば…今は考えない
ただ「今、ここ」でどうすれば良いのかだけ考える
同道して下さっている頼りになる方々と共に、倒す事だけを考える
「己を信じよ、己の大切な仲間を信じよ…」
潤さんも陸井さんも信頼できる強い方
「私独りでは成し遂げられない事も、お二人とならできるっ!」
潤さんの気迫も陸井さんの決意もただ頼もしいですっ!
ならば信じて征くのみ!
倒れ伏すその時まで!
ゆきますよ、ケルティックミストルティン!
全方位からの『私』の攻撃を全て避けられるか!? 「私」と「腐敗の王」よ!
凶月・陸井
【護】
これを言ったら妻は多分怒るだろう
相棒や仲間達は皆心配するだろう
それでも、俺は絶対に迷わない
「死なんか厭わないよ。俺達は、前に進み続けるんだからな」
一緒に来てくれる二人の事は心配だけど、本当に感謝もしてる
この状況とこの敵は、一撃を叩き込むだけでも一人では不可能だ
だからこそ、天城くんの気持ちも言葉も理解できる
「気持ちはわかるから、大丈夫だよ」
銃と短刀で湧いてくる敵を討ち払い
腐り落ちようと怯まないでただ前へ
突っ込むだけなら厳しいだろうが
三人での正面突破ならきっとたどり着く
至近まで近づけたら【水遁「爆水掌」】を使用
限界の体であろうと
前へ倒れ込むようにしてでも叩き込む
「俺の全力、喰らっとけ!」
天城・潤
【護】
仮に死が訪れるとしても
その前に僕はこの世界の住人として刃を牙を
命を捻じ曲げ歪め弄び
超越者として半眼で見るようなモノに
「反吐が出るのです昔から」
僕の余りの殺意の在り方に
団長もキアラさんも引かせてしまったかも
「大丈夫です…僕は冷静です」
真っ直ぐ立ち向かいましょう
護剣・断罪捕食を詠唱し突き進みます
身体のそこかしこが溶け崩れ腐り落ち
そこから僕がニタニタ笑ってきても
「邪魔ですね」
一言で喰らいます
足遅く力失っても衰えても
僕が攻撃する間は僕の命は保たれる
僕は僕を喰う僕を喰い歩む
皆さんの足枷となる偽物も斬り伏せましょう
「この方々を騙るなんて僕が許さない」
「さぁ…あなたも喰らって見せましょう!腐敗の王!」
ここは銀の雨が降る世界とは違う――それを、己の身を以て感じる。
己の身が、溶け落ちる。
キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)はひきつりかけた呼吸を整えて、その痛みに耐えた。
己の前にいる敵――腐敗の王を討たねば、終わりはこない。
一太刀なりとも入れる事だけを、ただキアラは考える。
けれど、その青い瞳に嫌でも移ってしまう自分の身が朽ち果てる様。
恐怖――心の底から這いあがってくる感覚。
なら、今はそれをみない。今は、考えない。
ただ「今、ここ」でどうすれば良いのかだけをキアラは考える。
それに、独りではないのだ。
キアラは深く、息をする。
「己を信じよ、己の大切な仲間を信じよ……」
共に今戦う二人は、信頼できる強い方――だから、大丈夫と。
「私独りでは成し遂げられない事も、お二人とならできるっ!」
その視線を受けて凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)はふと、口端に笑みを乗せる。
これを言ったら妻は多分怒るだろう、そう思う。
相棒や仲間達は皆心配するだろう――それでも、俺は絶対に迷わないと陸井は紡ぐ。
「死なんか厭わないよ。俺達は、前に進み続けるんだからな」
共に戦う二人の事は心配だけれど、陸井は深く感謝もしていた。
この状況とこの敵は、一撃叩き込むだけでも一人では不可能に思える。
天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)もまた、敵を見据えている。
仮に死が訪れるとしても、その前に僕はこの世界の住人として刃を牙を――潤は腐敗の王へ意識を向けていた。
命を捻じ曲げ歪め弄び、超越者として半眼で見るようなモノ。そんなものが、今目の前に居ると思えば。
「反吐が出るのです昔から」
潤の口から零れたその言葉。声色も剣呑とし、そして余りあるほどの殺意が滲んでいた。
それにはと気付く。潤はキアラと陸井を引かせてしまったかもと思って。
「大丈夫です……僕は冷静です」
その言葉に陸井は己の心の中に似たものがあるのをわかっている。だからこそ――天城くんの気持ちも言葉も理解できると彼を見る陸井。
「気持ちはわかるから、大丈夫だよ」
こくと潤は頷いて、真っ直ぐ立ち向かいましょうと紡ぐ。
その二人の言葉にキアラの心はただ前を向くだけでいいと奔る。
「潤さんの気迫も陸井さんの決意もただ頼もしいですっ!」
ならば信じて往くのみ! とキアラは駆ける。
己の身がいたもうとも、朽ちようとも。そして、腐敗の王の傍らに自分と同じ姿のオブリビオンが現れようとも。
ただ、倒れ伏すその時まで。
「ゆきますよ、ケルティックミストルティン!」
光の神ルーを護る為に創られたと伝わる、父祖の代より数多の戦いで用いられた十字剣――それを手にしているだけでも心強い。
「豊穣の女神アルティオに聖別されしヤドリギよ、つらぬくものとなりて我と共に速く疾く駆けよ!」
オブリビオンの「私」が同じように構える。けれど、それよりも早く。
「全方位からの『私』の攻撃を全て避けられるか!? 「私」と「腐敗の王」よ!」
幾何学模様を描き、双腕ケルト十字型スティレット装備の分身体が連なり、ただ敵を目指して飛翔する。
死の循環を腐敗の王が放ってもおれず。己の身を突き刺す痛みが在ろうともただそれを操って貫いた。
そこに「私」はまだいるが、腐敗の王にも確実に傷を負わせている。
剣が降る。その中を潤も駆ける。
「護る為に……凡ての敵に、死を」
同じ姿をしている。いや、それは正しくないかと潤は思う。自分の身は腐って落ちていく。だが目の前の自分はそういった様相は無く、立ちふさがっているのだ。
刀身が美しい直刀は捕食するための形をとる。その命を吸い上げる力を持つものの、それより腐敗の方が僅かに早い。
「邪魔ですね」
ニタニタと笑う自分へとその刃をむけ、喰らうのみ。
足が崩れるというのは形容ではなく、本当に肉が落ちていく。歩く力が弱くなって、衰えても攻撃をすれば潤の命は保たれるのだ。
僕は僕を喰う。僕を喰い歩む――立ち向かうことが出来る限り。
それは二人のオブリビオンが相手となっても、同じ。
「この方々を騙るなんて僕が許さない」
潤が切り払う。
その間を、銃と短刀をもって陸井が抜けた。
ただ前へ、前へ――腐り落ちようと怯まずただ前へ。
一人ならば、難しかっただろう。
だがキアラの剣が貫き、潤が斬り伏せて。そして陸井がまた、機会を作る。
三人での正面突破だからこそ、今――腐敗の王の懐に踏み込めている。
腐敗の王が全身を燃え上がらせようとも、潤がその刃を向ける。
「さぁ……あなたも喰らって見せましょう! 腐敗の王!」
キアラの向ける十字剣がその身を斬る。さらに踏み込んだ潤が向ける一閃。
そして潤の影から陸井が至近距離を捉える。
腕が落ちそうだ。それでも、前へ倒れこむ様にして。
「俺の全力、喰らっとけ!」
その掌は水の術式を纏って、爆ぜる一撃を叩き込む。
その一撃で己が動けなくなろうとも、構わないと。
三人でかけた攻撃は腐敗の王へと届く。その身に大きな亀裂を走らせて――終わりへの大きな一歩を刻んだ。
大成功
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日輪・黒玉
死の循環、そして、その加速ですか……
確かに強大でしょう、その力は
ですが、痛みを伴う戦いなど何度だって乗り越えてきたのです
今度だって同じこと
お望みならば見せて上げましょう、黒玉たちがどこまで喰らい付けるのかを……!
能力は勿論危険ですが、それ以外とて十分に危険
速さで撹乱するように動き回りながら残像と共に攻撃を仕掛けます
体が腐り果てようと、激痛が体に走ろうと足が動くなら、一本でも足があるなら黒玉は駆けれます
もう一人の黒玉が居ようと眼中になし
黒玉の獲物は腐敗の王、ただ一人なのですから!
誇り高き人狼はこの程度のことで折れたりは、しません……!
ジャンプと共に蹴りを放ち、蹴り裂いてみせます
腐敗の王がそこにいる。そして死の循環は、その身を溶かして日輪・黒玉(日輪の子・f03556)を滅ぼそうとしていた。
その身に痛みが走る。頬に感じる嫌な感覚。拭えば――ずるりと皮膚がずれた。
それは腐敗の王にもたらされているもの。
「死の循環、そして、その加速ですか……」
己の腕を見れば、腐って溶けて、痛みと共に崩れていく。その様に黒玉は瞳細めて。
「確かに強大でしょう、その力は」
己の身に感じるその力。けれど、この力に圧倒されて叩き伏せられることはなかった。
今まで様々な戦いを潜り抜けていたのだから。
そしてこの力を振るうことにより腐敗の王の耐久力が落ちていることもしっている。そして積み重なった傷があることも。
「ですが、痛みを伴う戦いなど何度だって乗り越えてきたのです」
今度だって同じこと――ただ、腐敗の王に立ち向かうだけだ。
「お望みならば見せて上げましょう、黒玉たちがどこまで喰らい付けるのかを……!」
黒玉は腐敗の王へと向かう。その隣に、自分と同じ姿のオブリビオンが現れるのも承知の上で。
溶け落ちても、それを意識から追い出して走り、速さで攪乱を。
腐敗による「消滅と忘却の宿命」の力を持つ剣を腐敗の王は黒玉へと向ける。
体が腐り果てようと、激痛が体に走ろうと足が動くなら、一本でも足があるなら黒玉は駆けることができる。
「私を捉えることも、私から逃げることも……貴方には叶わない」
オブリビオンの自分。もうひとりの黒玉が居ようと眼中になく。
視界にはいってこようとしても、その向こうを見据える。なぜなら――
「黒玉の獲物は腐敗の王、ただ一人なのですから!」
その死角に一瞬で回り込む。その速さに足がついていけず片足の一部が落ち万全ではない。けれどもう一方の足は、残っている。
「誇り高き人狼はこの程度のことで折れたりは、しません……!」
跳躍し、まだ動く足を振り抜けば、それは一閃の如く。
大成功
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シキ・ジルモント
※オブリビオン化した自分については全面的にお任せ
相手の動作や立てる物音に注意を払う
視界以外の五感にも頼り、逸早く危険を察知し回避に繋げたい
体が朽ちて動きが鈍った場合でも、物音等から早めに回避行動を取り被害の軽減を期待する
腐敗によって終わりに近付くにつれて、オブリビオンとされた自身との力量差は開くと警戒
全て覚悟の上だ、痛みと共に焦燥が湧いても諦めるつもりは一切無い
牽制射撃で自身のオブリビオンの行動を妨害しつつ、拳銃の射程を活かし腐敗の王へ攻撃
掠める程度の傷であっても構わない
銃が握れなくなれば、狼の姿に変じて爪や牙を使ってでも攻撃を続ける
四足であれば動かない脚を庇いながら駆ける事も出来るだろう
腐敗の王の剣は最優先で回避を試みるが、オブリビオンの自身との同時攻撃、その上で腐敗が進む体では避けきれなくなる可能性も高い
剣を受けた場合でも、ユーベルコードを発動して反撃を試みる
銃でもナイフでも爪や牙でも
体が動く内に一撃でも多く、形振りなど構ってはいられない
痛みすら自身が生きている証、まだ戦えると考えて
敵が、腐敗の王がどう動くのか――シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)はそのすべてに注意を払う。
腐敗の王のもたらす死の循環により、この場はいるだけでも痛みをもたらし、体を削っていく。
そして、己の身が削られると同時に、もうひとつ――腐敗の王のそばに侍るものが生まれていく。
そこに生まれているのは、オブリビオンであるシキだ。
己と同じ姿であるというが、纏う雰囲気はまったく違うように思える。
どこか軽薄そうで、そして釣りあがった口端が凶悪な笑みを彩って、己との違いを現しているようだ。
シキは己の身が朽ち果てていくほどに、あのオブリビオンの自身との力量差も開くと警戒する。
今だって、体の一部が溶けてひりついて痛みが走る。まだそれは我慢できるほどだ。だがこれが深くなれば――命も危うくなってくることは想像に容易い。
けれど、それでも覚悟の上なのだ。
覚悟して、シキはこの場に立っている――どれほど、痛みを負っても、焦燥が湧いたといても諦めるつもりは一切無い。
ただ立ち続けるのみ。射程にはいれば、恩人から継いだ拳銃を向ける。
それと同時にオブリビオンの自分も動いていた。
同じように構えて、そちらは自分を狙ってくる。シキは牽制射撃を行って、オブリビオンの自分の位置を変えていく。
牽制を避ける方向を定めて、オブリビオンを自分と腐敗の王の射線上から離していく。
それをオブリビオンは気付いているのか、いないのか――銃を握る手が鈍くなる感覚をその中で得て、シキは力を込める。
引き金を引く、指先。肉が落ち始め骨が見え始める。
でもまだ動ける、動く。
けれどこれが、最後だと引き金引いた瞬間に悟った。反動が、指先から消える。その一段は腐敗の王の身を貫いた。
腐敗の王は――わずかに、うめき声を漏らす。
これは、終わりが近いのだとシキは本能で悟る。これまで他の猟兵たちがかけてきた攻撃。限界まであともう少し。
銃が握れなくなれば、人の姿でいることに利点は無いと思いシキは狼へとその身を変える。
爪先が駆けている。走るたび、体に痛みが走る。
けれど、深く踏み込んで狼の身で跳躍する。オブリビオンの己の銃弾を受けようとも、そのまま腐敗の王へと向かうのだ。
そして腐敗の王が手にある剣へと己の力を乗せる。それは腐敗による「消滅と忘却の宿命」――その一撃をくらったなら、この朽ち果てていく身は砕かれるだろうとシキは察する。
あの剣は最優先で回避しなければならないと本能が言う。だが、相手は腐敗の王だけでなくオブリビオンの自分もいる。
血を蹴った足に走る痛み。腐敗の王へと距離をつめ、その牙と爪をシキは向ける。
振り上げられたその剣を弾くように蹴り上げた。その瞬間、足が溶け落ちる様な感覚を得たが、意識の外に追いやる。
懐が開いた――体が動く内に一撃でも多く。
形振りなど構ってはいられないとシキは爆ぜるように体をしならせて腐敗の王へと一撃を向ける。
痛い。自分の身体がままならないもどかしさがある。反応が、腐っていく手足では僅かに落ちる――いや、だがこれは自分が生きている証なのだと、シキは己の全てをかけて腐敗の王へと一撃を入れる。
それはダメージの蓄積をあふれさせた。
「私の……「死の循環」を、越えていくのか……!」
腐敗の王の身が、絞るような声を零しながら崩れ去っていく。そしてまたオブリビオンの自分も、腐敗の王の終わりと共に溶けるように消えて行った。
その様をシキは瞳に捉えながら意識を落としたのだった。
大成功
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