闇の救済者戦争⑲〜変身
●ただならぬロマンがあることばだなこれは
「変身ってかっこいいわね」
穏やかな笑みを浮かべて、エリューシア・カトレイン(セイレーンの冒険商人・f27125)がまったく無邪気にそう口にした。
「かっこいいって……」
「いつもと違う姿になって強くなるなんて、かっこよくないかしら」
彼のイメージするらしい変身の仕草をしてみせてから、でもねえ。と首を傾げた。
「『紋章つかい』って……情報は得ているわね? オブリビオンを強化する寄生虫、「紋章」の生みの親で、ダークセイヴァーの真なる支配者「
五卿六眼」の一柱よ」
「正しき意志の持ち主に紋章を渡し、英雄にする」という目的の為に非人道的な実験を繰り返す、正真正銘の鬼畜であり、自分の正しさを疑わず、猟兵たちは自分に賛同し検体になってくれると心から信じている。
もちろん、検体になってくれない猟兵は正義とは認めない。
「正しければ何をしていいというものなのかしら。……そうね、きっとそうであって、そうでないのでしょうね」
独白めいて口にする彼はかすかにその笑みに陰を落としたかと見え、まばたきをする間にいつもの笑みを浮かべていた。
「ええと、「欠落」、というものがあるのよね。それは健在だけれども、能力を紋章作成に特化しているから無敵能力はなくてね。とりあえず制圧すれば滅ぼせるわ」
「簡単に言うなあ」
だが、真実である。
同じ五卿六眼の『祈りの双子』が制圧されると撤退するけどね、とグリモア猟兵は言い添えて、
「紋章つかいはその場で複数の紋章を肉体に埋め込み、「装着変身」を発動するわ。この状態では紋章を各個撃破することができないの。それから、場合によっては腐敗の王やライトブリンガーをしのぐ「シンプルな強さ」を誇るんですって」
ことによっては、手練手管を尽くすよりも、そのシンプルさこそが恐ろしい。
「これに対抗するにはね。戦場に放置された「紋章の失敗作」を手に取って、こちらも「装着変身」するしかないの。ねえ、変身よ、変身。あなたたちは何に変身するのかしら?」
どうにも真剣味のない調子でころころと笑うのは、猟兵たちが決して負けることなど想像もしていないからだ。
自分たちも変身ねえ、と思案する猟兵たちへ、エリューシアは華やかな笑みを向けて告げた。
「それでは、お願いするわね。どうかよき冒険と、よき幸運を」
鈴木リョウジ
こんにちは、鈴木です。
今回お届けするのは、
変身。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●紋章つかい
オブリビオンを強化する寄生虫「紋章」の生みの親にして、ダークセイヴァーの真なる支配者「
五卿六眼」の一柱です。
「正しき意志の持ち主に紋章を渡し、英雄にする」という目的のために非人道的な実験を繰り返す、正真正銘の鬼畜です。
自分の正しさを疑わず、猟兵たちは自分に賛同し検体になってくれると心から信じています。なってくれない猟兵は正義とは認めません。
「欠落」は健在ですが、能力を紋章作成に特化しているので無敵能力はなく、制圧すれば滅ぼせます。
また、⑳五卿六眼『祈りの双子』が制圧されると撤退します。
紋章つかいはその場で複数の紋章を肉体に埋め込み、「装着変身」を発動します。この状態では紋章を各個撃破することもできず、その上、場合によっては腐敗の王やライトブリンガーをしのぐほどの「シンプルな強さ」を誇ります。
これに対抗するには、戦場に放置された「紋章の失敗作」を手に取り、こちらも「装着変身」するしかありません。
変身すると「装甲に覆われた異形の如き姿」になりますが、特に制限はありません。とりあえず普段の姿と多少もしくは大幅に変わることになります。
装甲は、なんか鎧っぽかったりトゲトゲしたりしたものでなくとも、制服だったりドレスだったりロボだったりしても「これが俺の装甲だ!」と主張すればだいたいOKです。
「紋章の失敗作」の形状や変身ポーズなど、希望があれば文字数を圧迫しない程度に記載してください。
どのようであっても判定に影響がありませんが、著作権や商標に関わる描写や、公序良俗に反する行動は描写しかねます。
また、性別の変更はできません。
●プレイングボーナス
このシナリオには、以下のプレイングボーナスがあります。
=============================
プレイングボーナス:「装着変身」を行い、敵と同等のパワーアップを得る。
=============================
なお、🔵が成功数に達すると判断して以降のプレイングの採用を見送らせていただく場合があります。
それではよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『五卿六眼『紋章つかい』』
|
POW : 紋章正拳
【「番犬の紋章」を拳に装着しての正拳突き】が命中した部位に【紋章つかいの正義】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : 紋章連脚
【「不死の紋章」を脚裏に装着しての飛び蹴り】【「辺境伯の紋章」を膝に装着しての膝蹴り】【「殺戮者の紋章」を爪先に装着しての連蹴り】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ : 紋章断罪翼
自身が装備する【「月の眼の紋章」を両翼に装着した漆黒の翼】から【細胞破壊光線】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【肉体宝石化】の状態異常を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
バーン・マーディ
…紋章使い
貴様の思想は正義だ
貴様に一切の悪意はなく善意のみあると理解できる…できてしまう
まさに正義の具現であろう
この我が最も憎む正義の在り方にな
我は
悪…正義に叛逆する者なり
装着変身
真っ黒な騎士の如き装甲の異形に変身
UC発動
【オーラ防御・属性攻撃】
炎のオーラをその身に纏い
【空中戦・二回攻撃・怪力・鎧破壊・鎧無視攻撃・切断】
超高速で飛び回りながら魔剣と車輪剣による連続斬撃を叩き込み
敵の正拳は車輪剣で受け止め魔剣によるカウンターを叩き込み
一撃一撃に装甲を貫き諸共破壊する意思を込めて
貴様の正義とは全ての迷いを捨てあらゆる行為を免罪符にする事よ!
それは最も悍ましき正義である!!
フォルク・リア
「多くの命を奪ってその形を成し。
それが使われる事で更に多くの命を奪う紋章。
それがこの数……。」
紋章を手に取りつつ生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
装着変身を行ってローブの一部に装甲を纏い
合せて鳳仙花の花びらを周囲に展開する事で敵の攻撃を防御。
防御しながら敵の動きを【見切り】、【残像】を発生させる動きで
攪乱する事で徐々に防御から回避にシフトしていく。
防御に回す花びらが少なくなったらそれを敵の周辺、特に背後に
回して隙を突く様に攻撃。出来る限り翼を狙い敵の攻撃力と
機動力を奪っていく。
敵の動きに乱れが生じたらその隙を逃さず
花びらを凝縮して槍の様な攻撃形態を形成して
敵目掛けて【呪殺弾】の力を込めて撃ち出す。
黒衣の男は、戦場のただなかだと言うのに、彼らを前にして歓喜の声を上げた。
「素晴らしい! ああ、猟兵が俺の眼の前にいる!」
これで実験が進められる。そしてそれは素晴らしい成果を上げるだろう! 彼らもそれを望んでいるのだから!
自分勝手な未来を幻視する男……五卿六眼のひとり「紋章つかい」を、しかし猟兵たちは拒絶を以て応報する。
「……紋章使い」
低く、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)が呻く。
「貴様の思想は正義だ。貴様に一切の悪意はなく善意のみあると理解できる……できてしまう」
まさに正義の具現であろう。
この男が紋章について研究するのは、他者を害するためではなく、そもそも犠牲にすることを目的としているわけではない。
結果的に犠牲者が出てしまうだけのことなのだ。
だからこそ、バーンは紋章つかいを正しく理解できてしまう。
「この我が最も憎む正義の在り方にな」
だが、その正義が生み出すものは、醜悪という他ない。
無造作とも無関心ともつかず放られている無数の紋章へ視線を落とし、魔術の徒たるフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は言葉を失った。
「多くの命を奪ってその形を成し。それが使われる事で更に多くの命を奪う紋章。それがこの数……」
作られたのは、無論これだけではあるまい。
猟兵の視線に気付いて、不満げに唇を歪める紋章つかい。
「これらはみな失敗作だ。とてもではないが実用に耐えうるとは言い難い。だが、それもすぐに解決する。なに、材料の心配はいらない。必要であればいくらでも用意できるのだからな」
すぐにでも研究に取り掛かろうと、嬉々として猟兵たちを誘う紋章つかいが、しかし猟兵たちから向けられたのは、明確な敵意。
足元に転がる紋章を爪先で蹴り上げて、バーンは握りつぶす勢いで手に取った。
「我は
悪……正義に叛逆する者なり」
その姿は、滾らせた感情で造りあげたかのように。真っ黒な騎士の如き装甲の異形に変身する猟兵を一瞥し、五卿六眼は鼻を鳴らした。
「何が不満だね。この研究がうまくいけば、正しき意志を持つ者に、相応しき力を与えることができる。俺とて好き好んでオブリビオンにくれてやっているわけではない。
我々の研究が完成すれば紋章オブリビオンを倒すことも容易で」
滔々と語る紋章つかいの言葉を遮り、バーンが炎のオーラをその身に纏い跳躍する。それを反駁と受け取った紋章つかいは、残念だと短く吐いて拳を握った。
その拳に「番犬の紋章」を装着して。
「だが、これもまた研究となり得る。経験こそは何物にも代えがたいからな」
ひとりで得心する紋章つかいに向かって、超高速で空中を飛び回り攻撃を仕掛けるバーン。魔剣と車輪剣による連続斬撃を、紋章つかいは踊るような足取りでかわすと、勢いをつけた拳打で攻撃を返す。
速さと重さを乗せた打撃を車輪剣で受け止め、滑らせて勢いを受け流しカウンターで魔剣の一撃を叩き込んだ。
漆黒の翼を打ち合わせて猟兵の攻撃を防いだ五卿六眼は、その重さに芝居がかった仕草で目を見張り、身にまとう紋章をきらめかせて笑う。
「実に惜しい。検体として申し分ないほどの力を持ちながら、何故拒絶するのかね」
これは正義のためなのだ、とうそぶく男を、猟兵はその言葉ごと否定する。
こんなものを、正義などと呼ばせるものか。
「よく見ておけ。これが、お前の命を刈り取る手向けの花だ」
静かな声が聞こえたと同時に、花が紋章つかいの視界に舞った。
ローブの一部に装甲を纏い、自身の周囲に鳳仙花の花びらを展開させる、フォルクの姿を目にした五卿六眼は破顔した。
如何様にも力を操るとは、なんと未知数か。ああ、やはり研究したい。彼らを検体とすれば素晴らしい結果が得られるだろう。力持つ正義たる彼らであれば!
感嘆を抑えられぬまま「月の眼の紋章」を装着した漆黒の両翼をぞわりと広げると、光を帯びて収束し光線となって放たれる。その「光」の本質を知るよりも先に花びらが舞い、その射線を遮りながらフォルクが残像を
摸せば、かすか惑うかに攻撃の狙いが的外れに貫いた。
手応えのなさに外れたと判断して舌打ちする紋章つかい目掛け、バーンの繰り出す斬撃が襲いかかる。避けてばかりでは情報を得られないと攻撃を受け長そうとし、そのまま斬り払われ血飛沫をこぼすことになる。
この攻撃は、並大抵には防げない。
一撃一撃に装甲を貫き諸共破壊する意思を込めて振り抜かれる剣は、避けられても防ぎきれない。加えて、フォルクの操る花びらに翻弄されて攻撃が当てられない。花びらが減ってくれば、今度は攻撃に転じて死角を狙い攻撃してくる。
余裕などさしてないはずだが、それでも紋章つかいは笑みを浮かべていた。
斬撃をかわす隙を突いて攻撃してくる花びらに紋章つかいが気を取られた瞬間、不意に周囲の花びらが消えた。
間髪入れず閃くバーンの剣撃が黒衣ごと男を斬り払ったその向こう、花びらを凝縮した槍の様な攻撃形態を形成して、フォルクが敵目掛けて呪殺弾の力を込めて撃ち出す。
防御も回避も間に合わぬ速さで貫かれ、ごばっと血を噴く紋章つかいへ、バーンは獅子吼する。
「貴様の正義とは全ての迷いを捨てあらゆる行為を免罪符にする事よ!」
咆哮に、紋章つかいは笑みを深くした。
それの何が
おかしい? 正義の前に、何を迷い悩むべきことがあろうか?
そう、これは正しいのだ。それを理解しない彼らは正義なのか? いいや、正義は我にあり。
「己の正義を果たすために、迷う必要などない!」
「それは最も悍ましき正義である!!」
五卿六眼が渾身の力を込めて突き出した拳を、猟兵は剣で受け止め吼える。
此奴は絶対に討たなければならない。絶対に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木元・祭莉
紋章探しかー。
なんか、虫が多くない?
宝石の虫。いいな、キラキラの虫♪
おや、メダル型の紋章。これは……
む、あやかし?
わー!?(周囲をぐるぐる周り始めた)
よーしよしよし、落ち着けー?
今だ、装着!
『コケー!』(ばさり)
お、雄鶏形態!
これなら(たまこにも)勝てる!!
蒼い金属の羽を羽ばたかせながら、超ダッシュ。
敵の攻撃は紅い金属の嘴で受け流し、すれ違いざまに体当たり!
距離を取ったら、すかさず金色の鶏冠を輝かせレーザービーム!
大音声の雄叫びで、敵の集中力を乱す!
へへへ、真っ向殴り合いは楽しいね!
正拳突きは片足で受け止め、カウンターで逆足キック!
ラスト、手羽先灰燼拳でフィニッシュだー!
「紋章探しかー。なんか、虫が多くない?」
戦場のそこここできらめく紋章を見やり、木元・祭莉(まつりん♪@sanhurawaaaaaa・f16554)は首を傾げた。
「宝石の虫。いいな、キラキラの虫♪」
きょときょと目移りしていると、とくべつ何かあるわけではないのになぜか目を引く輝きに気付く。
「おや、メダル型の紋章。これは……」
む、あやかし?
捕まえようと手を伸ばしたその時。
「わー!?」
周囲をぐるぐる周り始めた紋章に、祭莉の目も一緒にぐるぐるしてしまう。
「なかなか面白いことになっているようだが、大丈夫か?」
戦いのさなかでありながら、紋章つかいから気遣いの声がかけられる。手傷を負ってはいるが、行動不能と言えるほどのダメージではないようだ。
大丈夫、大丈夫。今が戦闘中ってことも大丈夫。
「よーしよしよし、落ち着けー?」
話が通じているかは分からないが、紋章をなだめすかして従わせようとする。
少しゆっくりとした動きになったところをそーっと、そーっと……。
「今だ、装着!」
『コケー!』
勇壮な鳴き声とともに、ばさりと羽ばたく彼の姿は、青い翼と赤い嘴、そして金色の鶏冠を持つ金属の鶏だった。
「……鶏?」
「お、雄鶏形態!」
訝しむ紋章つかいをよそに、目を輝かせる祭莉。
「これなら(たまこにも)勝てる!!」
勝利を確信し、蒼い金属の羽を羽ばたかせながら、超ダッシュで敵へと接近する。
ちなみにたまことは、祭莉の家の守り鶏である。毎朝たまごを与え、時にするどいくちばしが唸る、とてもすごい存在である。
「勝てると言うなら、その力を見せてもらおう!」
迎え撃つ形となった紋章つかいが、懐へ飛び込んでくる祭莉の勢いを利用して拳を突き出す。まっすぐに向かってくる打撃を紅い金属の嘴で受け流し、すれ違いざまに全身全力の体当たり!
「くっ……」
「これはキクだろ!」
直撃に思わず唸る紋章つかいへ笑って、距離を取ったら、すかさず金色の鶏冠を輝かせレーザービーム!
「っ!」
「まだまだ!」
あまりの眩しさに束の間目がくらんだところへ、畳み掛けるように大音声の雄叫びで、敵の集中力を乱す!
続けざまの攻撃に頭を抱え、ふらりと身を傾げた紋章つかいへ向かって、再び距離を詰めると、笑顔で声をかけた。
「へへへ、真っ向殴り合いは楽しいね!」
「一部例外があったように思えるがな!」
「そういうこともあるよ!」
朗らかに笑う猟兵へ向けて鋭く放った正拳突きを、祭莉は片足で受け止めてから、軽く跳ねてカウンターで逆足キック!
これはさすがに防がれたが、しかし次の手はそうはいかない。
「ラスト、手羽先灰燼拳でフィニッシュだー!」
「何だそれは!?」
何だと言われても、そういう攻撃なのである。
超至近距離から繰り出される超高速かつ大威力の一撃をまともに食らい、紋章つかいが吹き飛ぶ。
きらきらと紋章の輝きを流星の尾のように引きながら地面に落ちたのを見て、それから猟兵は笑みを引き締めた。
不機嫌そうな表情で立ち上がる敵を見据えながら。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
自分を正義だと思いこんでいる者ほど厄介なものはない……なんて事を言った人もいたっけか
その言葉、少なくともコイツには当てはまるだろうな
失敗作の紋章を手に装着。異形の全身装甲を纏って変身
手・腕の形状的に刀は持てないが、両腕は刀のように鋭くなっている
なら、それで戦える。澪式・捌の型【炎舞】の構え
両腕が刀のようになっているとはいえ、普段は一刀流
それに少しでも近い感覚で動く為に、基本的には片腕を振るうことに
序盤はまだこの状態に慣れていないので少々防御寄りに立ち回り
紋章を装着した正拳突きには気をつけつつも、相手の拳や蹴りを手刀で受け流して反撃
この感覚に十分に慣れたなら、こちらから攻め込んでいこう
日輪・黒玉
………………装着変身、ですか
いえ、別に興味などはありませんが
ええ、必要だから使うだけですとも
しかし、英雄ですか
興味はありませんし……あったとしても、お前のような輩に協力するのは真っ平です
黒玉は誇り高き人狼
英雄ではなく……お前を狩る獣です
全力の【ダッシュ】で動き回りながら、紋章の失敗作を確保
敵の攻撃に合わせて、装着変身してカウンターを狙います
纏う装甲はドレスに鎧を組み合わせたゲームキャラクターのようなアーマードレス姿
足癖の悪さなら黒玉も負けていませんよ
紋章つかいの大きな翼、死角になるその影に潜りこみながら蹴りを撃ち込みます
……研究はどうでもよいですが、この装甲の趣味だけは悪くないですね
ヘルガ・リープフラウ
※アドリブ連携歓迎
ああ、なんてこと
どれだけ立派な言葉を並べ立てようが
所詮傲慢と欺瞞にまみれた度し難き戯言
英雄とは「作られるもの」ではなく「自らの意志でなる」もの
お前たちのような人を人とも思わぬ外道を倒すために……!
助けられなくて、ごめんなさい
せめてその魂が消えゆく前に
貴方の無念を、どうか今一度わたくしに!
死せる魂に慰めを
果たせなかった願いを背負い、勇気を携え共に往く
装着変身:甲冑に身を包んだ戦乙女(ワルキューレ)を思わせる姿
翼飛行で空中戦を挑み、敵の攻撃は第六感で見切り回避
ダメージはオーラ防御と激痛耐性でしのぐ
聖奏剣「ローエングリン」に破魔と浄化の力を乗せて
邪悪を討ち滅ぼす渾身の一撃を!
埃と血にまみれた身体を手で叩いて払い、紋章つかいが首を振る。
「何故理解しない? 我々は共に正義を求める。英雄たるものを求める。ならばこそ、我々は協力しあうべきではないか?」
言葉だけは誠実に訴える男に、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は眉をひそめた。
「自分を正義だと思いこんでいる者ほど厄介なものはない……なんて事を言った人もいたっけか」
その言葉、少なくともコイツには当てはまるだろうな。
ただただひたすら己の正義を貫くために、この男は狂気を突き進む。いや、狂気だからこそ己を貫くのか。
己の正義のためにならば、すべてのものを犠牲にするのだ。
その産物である紋章を見やり、思案する日輪・黒玉(日輪の子・f03556)。
「………………装着変身、ですか」
いえ、別に興味などはありませんが。
ええ、必要だから使うだけですとも。
とっても興味津々にちらちら見ながら、誰に言い訳するでなく独りごつ。
そう、これは必要だから。必要なことだから。ええ。
「しかし、英雄ですか」
その定義はあまりにも曖昧で、だからこそ、目の前の男はそれを追い求める。正義という唯一の定義をもって。
だがそれは、黒玉には関係のないことだ。
「興味はありませんし……あったとしても、お前のような輩に協力するのは真っ平です」
「分かるとも。猟兵が英雄である必要はないだろうが、しかし、正義を果たす者は英雄となるのだ」
理解し共感していると言わんばかりの紋章つかいの言葉に、藍晶の宝玉は今度こそ冷徹に見射る。
「黒玉は誇り高き人狼。英雄ではなく……お前を狩る獣です」
その在り方が正義であるかなど、些細なことだ。
「ああ、なんてこと」
醜悪な「正義」の犠牲から生み出された紋章のきらめきに、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は静かに憤怒する。
正義。英雄。確かにそれは、時に何物にも代えがたい。だが、この男のそれは、そんなものが、何の価値があろうか。
「どれだけ立派な言葉を並べ立てようが、所詮傲慢と欺瞞にまみれた度し難き戯言」
まして、誰かの思いを踏み
躙るような悪逆無道など言語道断。
「英雄とは「作られるもの」ではなく「自らの意志でなる」もの」
そして、その力を振るうのは。
「お前たちのような人を人とも思わぬ外道を倒すために……!」
激昂する猟兵を、紋章つかいはどこか冷めた目で打ち見した。
正義。英雄。確かにそれは、正しき意志と力を持つ者こそが相応しい。だが、誰しもそうでないから動いていると言うのに。
「俺はただ無意味に消費しているわけではない。これは俺の目的のために必要な消費だ。であれば、何を批難される理由がある?」
この男が奪った命は、犠牲ですらない。ただただ消費され、顧みられることのないもの。
あまりの傲慢さに全身の血が滾るような怒りと、そしてそれすらかなわない犠牲者たちへの悲しみに、ヘルガは紋章を手に取り視線を落とした。
助けられなくて、ごめんなさい。
せめてその魂が消えゆく前に。
「貴方の無念を、どうか今一度わたくしに!」
甲冑に身を包んだ
戦乙女を思わせる姿へと変わる。
彼女は神話に記された戦乙女のように死せる英雄を導くわけではない。しかし、彼女は確かに人々の祈りに寄り添う。
死せる魂に慰めを。
果たせなかった願いを背負い、勇気を携え共に往く。
鏡介も失敗作の紋章を手に装着し、異形の全身装甲を纏って変身する。
自身の姿を確認すれば、手・腕の形状的に刀は持てないが、両腕は刀のように鋭くなっていると理解した。
なら、それで戦える。
「焔の如く――澪式・捌の型【炎舞】」
両腕が刀のようになっているとはいえ、普段は一刀流。それに少しでも近い感覚で動く為に、片腕を振るって攻撃を仕掛けた。
彼我の間合いを詰めて放つ斬撃が腕のひと薙ぎで受け流され、反撃にと紋章つかいの素早く突き込んだ拳を、手刀でいなして距離を取る鏡介と入れ替わりに、翼で舞いヘルガが斬りかかる。
空中から浴びせかけた剣閃をかわした紋章つかいが、「月の眼の紋章」を装着した黒翼を羽ばたかせて光線を躍らせる。攻撃を見切り、避けきれないと判ずればオーラ防御で防ぎ凌いだ。
鏡介とヘルガの攻撃を受け反撃する紋章つかいの攻撃の巻き添えを回避しつつ、全力のダッシュで動き回りながら、紋章の失敗作を確保した黒玉に向かって蹴撃が放たれる。づあっと風を切る脚を紙一重でかわしながら装着変身し、纏う装甲はドレスに鎧を組み合わせたゲームキャラクターのようなアーマードレス姿。
「足癖の悪さなら黒玉も負けていませんよ」
私を捉えることも、私から逃げることも……貴方には叶わない。
瀟洒な装いとは裏腹に軽妙に飛び回り、紋章つかいの大きな翼、死角になるその影に潜りこみながら、素早く蹴りを撃ち込む。一瞬ほどの速さで放たれた攻撃に、紋章つかいは初撃だけは対応してみせたが、命中力と威力を増した次の手には耐えられない。
加えて、不慣れな状態から防御寄りに立ち回っていた鏡介が十分に慣れたと判断し、積極的な攻撃に転じる。両の腕を剛の太刀と柔の太刀として、攻撃に追撃を重ねて振るう。
猟兵たちの攻撃を防ぎかわし損ね、自身の攻撃が用をなさずその身に傷を深く負い重ねても、紋章つかいは笑みを浮かべていた。
「たとえそれが実力だとしても、紋章の力をもって強化されているなら、やはり俺の研究は間違っていない!」
なればこそ、その力を手に入れなければ!
狂喜し狂奔する男を、ヘルガは真正面から睥睨する。
「これで終わりにしましょう……!」
喝破し、聖奏剣「ローエングリン」に破魔と浄化の力を乗せて、邪悪を討ち滅ぼす渾身の一撃を放つ!
細身の剣は、担い手のその細腕から放たれたと思えぬほどの鋭さで紋章つかいを討ち貫いた。間髪入れずに鏡介の斬撃が両断し、風の如き速さで黒玉が放った蹴りに穿ち飛ばされる。
そして、男がいた痕跡は跡形もなく消えていた。
ふっと息を吐きつつ周囲を確認する鏡介と、傷つけられた魂たちに祈りを捧げるヘルガから少しだけ離れて、黒玉は自身の姿を改めて眺める。
「……研究はどうでもよいですが、この装甲の趣味だけは悪くないですね」
ドレスの裾を翻して、どうでもよいですが。と、もう一度口にする。
そう。
紋章の研究など、どうでもよいのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵