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闇の救済者戦争⑳〜memories in blood

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #五卿六眼『祈りの双子』



「「……鮮血の大地に潜り、猟兵達を迎え撃つ……」」
「「……この大地は、これまでこの世界で流された『全ての血液』……」」
「「……『腐敗の王』が生と死の循環を断った為、全てはここに蓄えられている……」」
「「……そして、わたしたちが操るは『生贄魔術』……」」
「「……無限の鮮血を贄としたとき、わたしたちは最強……」」

 双子は地をその剣で切り裂いた。
 溢れだした鮮血が忽ち彼女たちの白い肌を、黒く可愛らしい服を染めていく。
 それ自体に躊躇はない。何故ならこの鮮血を生贄とする『生贄魔術』こそ彼女らの得意技、即ち血にまみれることに何を躊躇することがあろうか。
 ……それに此度使うのは己への強化。可愛さなぞ、純白さなぞ捨てて赤く染まれば、人々の憎悪の記憶が彼女たちを蝕み強化させる。

「「……つまり、これでようやく猟兵と五分……」」
「「……わたしたちは最も古き『はじまりのフォーミュラ』として……」」
「「……ライトブリンガー、かつてあなた達と戦った時のように……」」
「「……六番目の猟兵達との戦いに、死力を尽くしましょう……」」

 今一度双子は剣を合わせ、硬い音を鳴らした。


「いよいよ祈りの双子との戦いだ、覚悟はできてるかな」
 水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)は語りだす。
「祈りの双子も勿論欠落は健在だ、だけどどうも無敵の力はないみたいで倒せるみたい」
 ここで倒せなかったら最早詰みだったのでそれはありがたいが。
「彼女たちは『最も古く、故に最も弱きフォーミュラ』と自称してる……これまでのフォーミュラと比べてもそんなに強いわけじゃない。けど一応この依頼は高難度依頼と認定されてる。舐めてかかると痛い目に合うから気をつけて」
 では祈りの双子が何をしてるかと言うと、鮮血に満ち溢れた大地で血に塗れながら戦ってくるらしい。
「これが彼女たちの戦い方らしくてね。この血はこれまで世界で流れたすべての血液……そこからオブリビオンに対する憎しみの記憶を糧に強化されるみたい、そんな生贄魔術とかいうのを使うらしい」
 真正面から戦えばこの強化状態にそのまま向き合うので苦戦必至というわけだ。ならばどうすればいいか。
「簡単なことだ。向こうが強化されるならこっちも強化されればいい」
 ――つまり。
「君達にも血に塗れてもらう……ううん、最早『浴びたり』『潜ったり』するくらいが必要なのかもしれない」
 そうすることでこちらも『生贄魔術』の力を受け、強化されて戦えるので五分に持ち込めるというわけだ。
「とはいえただ浴びればいいわけじゃない。今祈りの双子の強化の源はオブリビオンに対する憎悪と言ったよね」
 つまり血の中に刻まれた記憶を力としているわけだ。だったら猟兵が逆利用しようにもそれが必要なのは自然。
「自分を助けてくれる『血の記憶』……どこにあるかはわからないけど、それを見つけ出せばきっと強くなれるはず……ううん」

 可奈はそこで言葉を区切った。
「――そんなことをして、正気でいられるわけがない」
 即ち、猟兵たちにとっての防衛本能ともいえる、そう。
「――『真の姿』が強制的に出る……というか隠すことはもはやできないだろうね」
 それは強化なのか、それとも犠牲コストなのか、そこまではわからないが。

「正直、こいつを倒せば戦争は終了して他の有力敵は撤退しちゃうけど、日数的にそろそろ余裕がないのも事実だ」
 加えていくつかの有力敵は『倒しきれない』のがわかっている。なら祈りの双子をここで一気に倒してしまうのも手ではあるだろう。
「ちょっと吐き気するような決戦だけど、よろしく頼むよ」
 開かれたグリモアの先はすでに鮮血が満ちていた。


結衣謙太郎
 ちょっと設定強化混ざってるかも?
 結衣(最終決戦モード)です。祈りの双子可愛い。
 でも倒さないといけないんだよなぁ祈りの双子。
 以下詳細。

●メイン目標
『五卿六眼『祈りの双子』』を討滅せよ!

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「闇の救済者戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ロケーションとなるダークセイヴァー第二層は現在祈りの双子が大地を切り裂いたことで血が溢れだしています。バイオレンスなゲームもびっくりなほど。
 祈りの双子はこの鮮血を浴び、かつて血を流した人々の『オブリビオンに対する憎しみの記憶』を糧に超強化して襲いかかってきます。これに対抗するには可奈の言う通り猟兵達も鮮血に潜り、自分を助けてくれる『血の記憶』を見つけ出して力とするしかありません(特別プレイングボーナスです)。
 しかしそれに成功した時、もはや「真の姿」を隠す事はできないでしょう。なので🔴なしで自動的に「真の姿」が現れます、というかほぼ強制です。頑張って普通の姿保ってもどこか出てしまいます。漏れちゃいます。そこだけはお気をつけください。

●備考
 プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
 ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
 オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
 あと戦争の戦況次第では執筆遅れる可能性があります。再送案件にはならないよう頑張りますが。

 このシナリオは戦争最終決戦依頼、かつ高難度依頼です。
 判定がいつもより格段に辛くなります。ご注意ください。

 さあ、魅せて。貴方の血の記憶を、貴方の封じられし姿を。
 以上、プレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『五卿六眼『祈りの双子』』

POW   :    化身の祈り
自身の【支配するダークセイヴァーに溢れる鮮血】を代償に、1〜12体の【血管獣】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    鮮血の祈り
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【支配するダークセイヴァーに溢れる鮮血】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    双刃の祈り
自身の【支配するダークセイヴァーに溢れる鮮血】を代償に【血戦兵装】を創造する。[血戦兵装]の効果や威力は、代償により自身が負うリスクに比例する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
スピネル・クローバルド
アドリブ・連携歓迎

■心情
遂に最終決戦ですか、頑張りましょう。

■行動
血の中に潜って、『血の記憶』を見つけますね。
【瞬間思考力】で上手く記憶の中を探り出し、記憶を見つけます。
私の記憶は、家族と暮らしていた頃の平和な記憶ですね、
今は戦いの渦中で家族と会えないですが、いずれは再び平和に暮らしたいです。

記憶を見つけたら、真の姿に変身。
真の姿は、見た目はあまり変わらないですが、髪の先端が赤み掛った
グラデーションになります。

戦闘ではステルス・ハンティングを使用。
【迷彩】で背景に擬態しつつ【目立たない】事で敵の攻撃を逸らし
強化された『フォレストスナイパー』で攻撃。

敵の血戦兵装は優先的に倒す様にします。



 祈りの双子は待ちわびていた。
 猟兵達が現れるのを。
 それはライトブリンガーに全力で戦えと言われたからだろうか? 否。
 それはただの死にたがりだろうか? 否。
 では一体なにゆえに、といえば。『自分達でも猟兵に敵う』ことを示したいのだろう。他者に、そして他ならぬ自分自身に。
 そう信じる双子の前にようやく猟兵達が現れる。
「「……待ちわびた、六番目の猟兵……」」
 双子はスピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)の前で己が得物を再び鳴らした。
「「……さぁ、全力で戦いましょう……」」
「ええ、全力で、ね。でも、ちょっと待ってね」
 スピネルは祈りの双子に応えつつも血の中へと潜っていった。こんな堂々とやって双子は警戒しないのかと言えば、
「「……鮮血の大地に紛れて接近する気ですか……」」
 どうやらスニーキングに使う気だと思い過剰な警戒はしなかったようだ。

 暗い、暗い、鮮血の中。
 スピネルは必死に記憶を探っていた。
 やもすれば飲まれてしまうかもしれないような怨嗟の中を、思考を張り巡らすことで弾こうとし。
 そうして一つ、見つけたのは家族を持つダークセイヴァーの一般人の記憶。
 オブリビオンに、ヴァンパイアに蹂躙された怨みの記憶、その程度であり自分を助ける記憶じゃない。
 ……だが、記憶とは連想で思い出すこともあるものだ。スピネルははっとしたようにかき分けていく。すると一つ、自分に関係ありそうな記憶を見つけた。
 ――それはスピネルがまだ家族と暮らしていた頃の平和な記憶。マリンや弟も含めた己が家族たち。戦いの渦中で家族と会えない現状だが、いずれは再び平和に暮らしたい、そういう強い想いがスピネルに呼応していく。

「「……?」」
 祈りの双子は不気味がっていた。
 飛び込んだスピネルが、一向に出てこない。
 もしスニーキングしながら接近してくるとすればそろそろ出てきてもいい頃なのだが。
「「……鮮血の大地に溺れた……?」」
 警戒しながら双子が鮮血の大地に少し近づいた、その瞬間。
「!」
 双子の片割れが、もう片方を突き飛ばした。瞬間、突き飛ばした方の双子の胸を矢が貫く。
「「……どこから……!?」」
 突然のアンブッシュに血戦兵装を創造しつつ周りを見渡す双子。見渡してみれば、この暗い背景に、溶け込むようにしながら、ゆっくりと動く赤い『髪』が!
「「……そこか……!」」
「気づいたみたいね、でももう遅いです」
 双子が赤い髪に迫りくる! そしてその赤い髪は再び矢を放ち、双子の血戦兵装を弾いた!
 ――そう、この赤い髪の主はスピネル。髪の先端がグラデーションで赤くなったスピネルはコードで同系色の存在となり見えづらいようにしながら鮮血の大地から浮上、そのままいいポジションを取って弓矢で双子を狙い撃ちしたのだ。
 勿論この作戦はアンブッシュありきだ、迫ってきてる今となってはただ距離を取りながら隠れるしかない。
「あとは任せますね」
 後続の猟兵に後を託すように双子のもう片方の胸を狙い撃ちすれば溶け込むように隠れた。弓矢使いはこういう卑怯な戦法が割と得意だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜刀神・鏡介
世界を支配して、散々人を苦しめて。それにより流れてきた血……しかも、自分達に対する憎しみの記憶で自らを強化する
ひたすらに歪んでいるとしか言いようがないな

鮮血に潜り、血の記憶を宿す
ここで俺が見つけたのは――血に含まれる、オブリビオンへの憎しみの記憶
だが、その憎しみに飲まれはしない。憎しみの中にもある、未来を望む想い――それを引き出して真の姿に変身

神刀の封印を解除。一気に双子の元まで接近しながら陸の秘剣【緋洸閃】を発動
緋色の刀を無数に降り注がせる事で双子を攻撃
尤も、強化されている以上簡単にはあたらないだろうが、神気で周辺の血を浄化する事でその力を奪ってやる
そこからは一手ずつ、確実に追い込もう



 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)もまた鮮血の海に飛び込んでいた。
 ――鮮血の海に含まれるのは、オブリビオンへの憎しみの記憶だ。猟兵にもそれを持つ者はいるし、なんなら利害は一致している、とはいえ……あまりにその記憶が濃すぎるが故、憎悪に飲まれてしまう、あるいは狂ってしまう危険性がある。それがこの鮮血の海というものだった。
 ――だが、憎しみの中にも、未来を望む想いがあるのは事実だ――フォーミュラもオブリビオンも何もいない、平和な未来というものが。あらゆる世界でそうであったように、絶望に満ちたダークセイヴァーでも――否、絶望に満ちた世界だからこそ――それは強い。
 鏡介が宿したのはそういう記憶だった。神刀を解放し鮮血の海を斬り裂けば、別の方向を警戒していた祈りの双子に血が当たる。
「「……こっちからも……」」
 視線の先にいたのはオーラを宿した神刀を構え、髪を銀色に染めた鏡介だった。
「世界を支配して、散々人を苦しめて。それにより流れてきた血……しかも、自分達に対する憎しみの記憶で自らを強化する……」
 鏡介は足を踏み込み、一気に双子に肉薄する。
「ひたすらに歪んでいるとしか言いようがないな」
 そのまま突きを仕掛ける先制攻撃。だが双子には【なぜか】当たらない。双子の間の空間を通り抜けてしまう。
 ……だが少し鮮血の海の量が気持ち減っていた気がした。そう、回避成功は祈りの双子のユーベルコードの力によるものであり、鮮血の海の血を代償としたのだ。
「「……人々の『祈り』こそわたしたちの力の一つ……」」
「「……そこにわたしたちに対するものか否かは関係ない……」」
「そうか。斬り穿て、千の刃――陸の秘剣【緋洸閃】」
 神気で編まれた緋色の巨大な刀が何度も何度も振るわれる。それは確実に祈りの双子を捉えられるはずだ、が、双子は幾度もこの地の血を犠牲にそれの回避に成功していた。
 ……が、ジリ貧になる速度は想定よりも早かった。
「「……もう、血がない……?」」
「甘いな、回避に集中するあまり状況もわからないとは」
 実は鏡介は刃を振るいながらも周囲を浄化しており、その影響で血は浄化されて減っていた。その影響により、双子がコストとする血が浄化された分も合わさることで減りが速く進んだのだ。想定よりも早い枯渇、もちろんもう犠牲にする血はない。
「覚悟しろ!」
「「……!……」」
 緋色の刀は、ついに双子を捉えた。感覚を忘れないように、一手一閃ずつ確実に放っていく。その刃は確実に双子の生命力を削っていた。
 ……とはいえこのままやられる双子じゃない。双子は力を振り絞り、流れた血を犠牲にあるものを成功させた。
 ――新しい鮮血の海を作るために再び地を剣で切り裂く事。
 それは果たして成功し、犠牲にした血以上に儲けるように鮮血の海が溢れだす。その光景を見て鏡介は頃合いか、とばかりに刃を止め慎重に双子を見据えた。逃がさないとでも言うように。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリー・スペルティナ
(※真の姿:黒い翼を持つ戦乙女っぽい感じ)
ふふん、血に濡れるのは慣れてますわ!
躊躇いなくダイブしますわ
探るのは怒り、嘆き、哀しみ、憎しみ……そういった負の想いの記憶
UCを使い、呪血の竜鎧を纏い周囲の負の感情や呪詛を奪い呪血に取り込んでいく事で敵の強化を削りながら、自己強化と生命力吸収でゴリ押していきますわ!おまけでわたくしの血を流すことで周囲の鮮血に「呪詛」を混ぜ込み邪魔もしますわ!

例えこの世界全ての憎しみや呪いであろうと構いませんわ、
全部抱えて背負って引き受けて、貴方達の無念も未練も、わたくしが代わりにこの刃にのせ、この世界に理不尽を強いてきた支配者へと一太刀浴びせてやりますわよ!



 血に塗れるのは慣れているとばかりにメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)も鮮血の海に躊躇なく飛び込んでいく。怒り、嘆き、哀しみ、憎しみ……そういった負の想いの記憶が彼女を染め上げていく。しかしそんな中でも自我は忘れない。背中に何かが突き出して飛び出そうとしているようなムズムズ感を己が自我を保つ楔とし、鮮血の海から出る瞬間にコードを使う。
「汝死者の想いを貪り、そして終末の刻までその呪いを背負う者……さあ起きるのですわ」

 ――告死呪装:血の底に澱む冥呪ニーズへグ

 鮮血の海から上がってきたのは、赤黒い呪血の竜鎧を身につけたメリー。顔は何かに耐えるように上を向いていたが、足が海から上がり切る次の瞬間、背中を突き破って黒い翼が解き放たれた。それこそが最後の変身段階にして苦しみだったかのように顔が下がり祈りの双子を見つめるメリー。
「いかがです、これがわたくしの全力ですわ」
 黒い剣をひと薙ぎしながら構える鎧姿はまさに黒き翼の戦乙女。そしてこの姿になったことによるイニシアチブはこれだけではなかった。
「「……力が、削られて……いや、吸収されている……!?」」
 周囲の負の感情や呪詛が彼女の鎧に取り込まれていく。もとよりこの鎧はコードで編まれた物ではあれど、呪詛と怨嗟を貪り、己が内、メリーの内へと溜め込み続ける力を持つ。これにより祈りの双子に肉薄すればするほど双子の強化ソースである生贄魔術の力を削り取れる。
「例えこの世界全ての憎しみや呪いであろうと構いませんわ」
 剣で斬りかかるメリーに血戦兵装を創造して対抗する双子。
「全部抱えて背負って引き受けて、貴方達の無念も未練も、わたくしが代わりにこの刃にのせ」
 それはまさに剣と剣のぶつかり合い、戦士同士の戦い。
「この世界に理不尽を強いてきた支配者へと一太刀浴びせてやりますわよ!」
 そして支配者たる存在への挑戦でもあった。

 とはいえ流石に1対2、数の差は否めない。鎧の隙間からメリーが少し血を流す。痛みはあるが、それで止まるメリーじゃない。何なら――これも作戦通りだ。
「「……新たな贄が必要……」」
 双子がまた地面を斬り裂き、鮮血が噴き出す。だが――双子は違和感を感じていた。
「「……何か異分子が混ざっている……」」
「お分かりになりまして、さすがは『生贄魔術』の使い手」
 メリーがわざとらしくカーテシーをしてみせる。余裕たっぷりに種明かしをするように。
「今のわたくしの血は呪詛に満ちておりますわ……その呪詛の力が強ければ、あなたにとって苦痛となる呪詛ならば、安易に血を使えなくなるのではなくて?」
 ニヤリ顔で言ってみせたが、祈りの双子は顔を変えない。
「「……ここが呪詛に汚染されても、別の場所を斬り裂けばいい……」」
「「……もとよりこの鮮血の海はこれまでこの世界で流された『全ての血液』……」」
「「……替えなどいくらでもある……」」
 そう、たかだか猟兵一人の強い呪詛で汚染できる血液にも限りはある。時間をかけたりすればそれもできるだろうが、刻一刻を争う状況でそこまで悠長に待っていられなかった。とはいえ、程度の効果があるのは事実のようで祈りの双子は剣戟の音を響かせながらも若干歯噛みしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サク・ベルンカステル
鮮血など半魔半人となって以来、切っても切れぬ関係だ

躊躇いなく鮮血の海に潜る
失われた故郷よ…
家族よ…
友も…
恋人よ…
私と共に不条理を振り撒く化物に復讐を、、、!!!
ダンピールとしての感覚が自身に縁のある血液の力を感じると、鮮血の海から真の姿となり飛び上がる。
その姿は体内の闇の血と、力を与えてくれる血を装甲や刃として全身に纏った魔人としての姿。
「忌まわしい姿だが、、、故郷の皆となら悪くはない」
血管獣と双子に向かい突撃する
使用するUCは概念斬断。

概念斬りのUCを纏った随行大剣4本で血管獣を押し込み道を切り開き、周囲の血に宿る憎しみを斬る

遂に辿り着いたサクは黒剣に必殺の想いを込め双子へと剣閃を走らせる



 鮮血など半魔半人となって以来、切っても切れぬ関係だ、とばかりにサク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)は躊躇なく鮮血の海に潜っていった。
 彼は故郷を吸血鬼と異端の神の争いにより滅ぼされ、唯一生き残った自身は半魔半人とされ、復讐を誓い戦場を彷徨い渡る、そんな剣鬼。ならば求め、呼応するのは何かは至極当たり前の者だった。
「失われた故郷よ……
 家族よ……
 友も……
 恋人よ……
 私と共に不条理を振り撒く化物に復讐を……!!!」
 果たしてその呼応には強く強く応えられ、サクのもとに強い力と憎しみが宿ってくる。そしてサクのダンピールとしての感覚はその血液の力を感じたと共に、その姿を真の姿へと変じさせて鮮血の海より勢いよく飛び上がった。
 ――その姿は体内の闇の血と、力を与えてくれる血を装甲や刃として全身に纏った魔人としての姿。
「忌まわしい姿だが……故郷の皆となら悪くはない!」
 概念斬りのUCを纏った随行大剣4本が祈りの双子の放ってくる血管獣を押し込み道を切り開いていく。祈りの双子の方が無尽蔵に出していける分――否、最大でも12体くらいまでだが――有利なはずなのだが、サクの強い憎しみと概念斬りの力が周囲の血に宿る憎しみごと血管獣を切り裂いていく。
「「……これほどの力……」」
 祈りの双子もこの力と憎悪には驚愕した。肉薄してきた鬼気迫るサクの剣を己の剣で受け止めるが、流石にすぐに力押しされて祈りの双子から激しい血が噴き出す。それはまさに必殺の思い。なんとしても祈りの双子はここで倒すという意志の表れだった。

 ……だがそれもいつまでも続かない。
 祈りの双子2人、対してサクは1人。片方を必殺することはできてももう片方は疎かになる。
 双子別れての戦法に、今度はサクの方が翻弄されることになってしまった。こうなっては必殺の一撃もあまり届けにくい……

成功 🔵​🔵​🔴​

シズホ・トヒソズマ
※連携・アドリブ歓迎

やれやれ、真の姿を隠せないなら仕方ないですね

本体マスクとからくり人形で血の海に飛び込み
『オブリビオンの欲望への憎しみや怒り』を力とします
そう、欲望を解放するなど愚行
律し縛り拘束(リストリクト)しなければ!

頭までの全身を紫のぴっちりスーツで包んだ真の姿を晒す
「ライトブリンガーの呼称に合わせて『終災終賦(しゅうさいしゅうぶ)』の姿としましょうか。折角猟兵としてヒーローとして自分を縛っていたのに…こうなったらもう知りませんよ?フフフフ」

UC発動
聖杯剣揺籠の君の力を使用
神の左手からいんよくのたつまきを発射
これは成功効果で回避されるでしょうが私の狙いは別
双子ではなく133m半径内の血を全て私の後ろへ引き寄せ
宙に球状に合体
貴方達が鮮血を使うには近距離でないといけない筈
つまり貴方達の周りに血がない以上もう成功効果は使えませんね?
淫欲に満ちた思念を込めた視線で双子の動きを束縛

もう貴方方は動かなくていいのです
束縛されその喜びに震えながら
死になさい

毒を含んだリリスの槍を双子に突き刺します


スティーナ・フキハル
ルネさん(f30677)と
真の姿:スティーナ側は九尾の妖狐・ミエリ側は民族衣装の鬼

記憶を探しにルネさんと鮮血の海にダイブ
っと、あれかルネさんが助けた彼女さんと死んだ彼氏ってのは
悪いねお二人さん、アタシにも力貸してくれ!

戻ったらルネさんがUC使うまでアタシが囮ね
二人に結界貼って氷の属性乗せた護符の誘導弾を投擲して時間稼ぎだ
鮮血を使うのさえ拒ませれば!頼むよルネさん!

って……かつて無い程ルネさんがエグいことしてる、相当キレてたんだろな……
早めに終わらせてやろ、こっちもUC使用だ、いくぞミエリ!
分裂したアタシとミエリでそれぞれの双子に直接攻撃、更に双子がぶつかり合うようにダブル衝撃波で吹っ飛ばす!


ルネ・シュヴァリエ
スティーナちゃん(f30415)と
真の姿:普段以上に扇情的なドレスに黒い翼の夢魔

探す記憶は今の戦争中に太陽の繭で出会った……
犠牲になった彼氏と救われた彼女が襲われたときに流した血
二人共お願い、ルネとスティーナちゃん達に力を貸して!

血の海から戻って来たら翼の空中機動力で双子の攻撃が届かない程度に距離を取ってUC使用
与える命令は
【血を流した持ち主の同意を得ず鮮血を代償にするのは許可しない】
貴女達は絶対に許可もらえないよね
快感の弱体化どころか狂う程の不快感を得るよう催眠術かけてあげる
そして誘惑、『自分達の血なら同意も必要ないよね?』
快感を求めて傷付け合う双子の完成だよ
あとはお願いね、スティーナちゃん



「ルネ、この中に……」
「うん、きっといるはず」
 スティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)とルネ・シュヴァリエ(リリスの友想い・f30677)は鮮血の海の前で頷き合う。しっかりと手を繋ぎはぐれないようにしながら、せーので鮮血の海へと潜っていった。
 ……鮮血の海の中に眠る幾つもの血の記憶。ルネはその中に1つ、力を貸してくれそうな心当たりがあるものがあった。それはルネが悪魔のような誘惑と優しい言葉、そして同情で救ってあげようとした存在。太陽の繭で出会った一人の救われた女と、なれの果てとなったが故に謝りながら焼くしかなかった彼氏。あの時は自分も辛かった。でも記憶の世界ならば、きっと彼も彼女もそんな運命に縛られないはず。そして縁ができた今なら、見つけて力を借りるのは容易なはず。
「いた……姿少し変わってるけどあの人たちだ!」
 ルネが指さした先には1組のカップルがいた。
「あれかルネさんが助けた彼女さんと死んだ彼氏ってのは」
『『あなた達は……』』
「二人共お願い、ルネとスティーナちゃん達に力を貸して!」
「悪いねお二人さん、アタシにも力貸してくれ!」
 
 縁の力、強い想い、そして血の力が2人を『進化』させていく。
 女の方の力を受け取ったルネはより煽情的なドレスを纏いながら目を瞑り出てくればバサァッと黒い翼が出てくると同時に双眸が開かれる。
 男の方の力を受け取ったスティーナは羽織をはためかせより立派な体格の女性となり黒い九尾を生やした妖狐となり跳び出すように鮮血の海から出てきた。
「すげぇ、力が湧いてくる……これが」
「うん、あの人たちがくれた力……いくよ、スティーナちゃん」
 アイコンタクトすればルネは黒き翼で双子の攻撃も届かない位置へと飛んでいく。それを目で追いかけようとする祈りの双子だが。
「おおっと、こっちを相手してもらおうか!」
「私も忘れては困る!」
 魔人のような男と慌ててルネに自分と同じ結界を張ったスティーナが双子を1人ずつ攻撃していく。魔人のような男は先ほどまで1対2に圧されていたが、今は違う。2体2、イーブンだ。魔人のような男が双子の片割れを強い力を込めて攻撃していけばもう片方の双子にはスティーナが護符の誘導弾で足止めする。
(鮮血を使うのさえ拒ませれば! 頼むよルネさん!)

「ルネは望む……黒い月の夢を……」
 ルネは上空で祈るように手を合わせ、その手を前へと出し、開いた。すると謎の空間が広がっていき、あっという間にこの場を包んでいく。
「ルネは命令する……『血を流した持ち主の同意を得ず鮮血を代償にするのは許可しない』……!」
 ……果たしてこの鮮血の海にどれだけの持ち主がいるのだろうか。よしんば祈りの双子が逐一それを許可を取りに行ったとして果たして許してくれるだろうか? 否! 断じて否!
「「……これは……」」
 祈りの双子は何も快楽を感じられなくなった。戦闘欲はまだあるため2人との戦いこそ続くが、もはや快感を感じられなくなってきた。それこそがルネの齎す黒い月の夢の効果。
「快感の弱体化どころか狂う程の不快感を得るよう催眠術かけてあげる……それに……」
 続く言葉は悪魔のささやき。

「自分達の血なら同意も必要ないよね?」

 その言葉に、剣を下ろす双子。向き合い、そして剣を突き刺しあう。
「「……そうだ、わたしたちの血であれば、同意など必要ない……」」
「「……わたしたちはわたしたちのために、傷つけ合おう……」」
 かくして、快感を求めて傷つけあう双子は完成した。
「かつて無い程ルネさんがエグいことしてる、相当キレてたんだろな……」
 これにはスティーナも唖然。魔人のような存在は呆れたように嘆息してる。
「早めに終わらせてやろう、こっちもUC使用だ、いくぞミエリ!」
「ええ!」 
 スティーナが分裂し彼女の妹であるミオリが出てくる。こちらも真の姿であり、民族衣装のような服装に黒い鬼の角を生やし爪は長く伸び尖っている。まるで氷のように。
 スティーナとミエリは双子のそれぞれに攻撃していったが双子はなおも自分を傷つけることをやめない。なんならこいつら血戦兵装まで取り出してやがる。そうまでして傷つけたいか。もうとっとと終わらせてやろう。スティーナとミオリは目を合わせた。
「私が音を込めるのは右の拳!」
「アタシは左の掌打に込める!」
「いくよお姉ちゃん、レゾナンス!」
「インパクトォ!!」
 ミオリとスティーナの浄化と音の拳が双子をサンドイッチにして双子を激突させあった! これには双子もたまらずダブルノックアウト!
「ようしもういっちょ――」

「その辺にしておきなさい」

 突如、鮮血の海――否、それはもはや祈りの双子の制御を離れた内にいつのまにか球状の月のようなモノとなっていた――から声が響いた。見ればその傍にいるのは、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)、だが――いつもの姿とは違い、全身を紫のスーツで包み、あの『聖杯剣揺籠の君』の幻影を纏っていた。
「そのままでは万が一目覚めた時に催眠術のようなのが解けていた時面倒でしょう」
「だ、誰だお前は!?」
「誰!?」
 スティーナだけじゃなく上空のルネも警戒する。
「私ですか……そうですね、ライトブリンガーの呼称に合わせて『終災終賦しゅうさいしゅうぶ』の姿としましょうか」
 シズホはどこ吹く風とばかりに祈りの双子に近づいていく。
「折角猟兵としてヒーローとして自分を縛っていたのに……こうなったらもう知りませんよ? フフフフ」

 少し時は遡る。
 シズホは祈りの双子が自らを傷つけあうのを遠めに見ながら己の本体たるマスクと人形だけで鮮血の海に飛び込んでいた。嘆息しながら。そしてそこから引っ張ってきたのは――とりわけ『欲望』に関するもの。シズホ自体ドMだからか――否、ドMだからこそなのか――それと強く呼応し合い、『オブリビオンの欲望への憎しみや怒り』を力としていった。
「ああ――そう、この感覚! そう、欲望を解放するなど愚行! 律し縛り拘束リストリクトしなければ!」
 その強い想いはシズホを紫のぴっちりスーツで覆われた姿として鮮血の海から出るに至った。そして出るとすぐにコードを使う。
「人形が吸いし聖杯剣揺籠の君の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!」
 シズホの纏う幻影により紛い物の『神の左手』が創造され、シズホがそれを軽く振れば『いんよくのたつまき』が巻き起こる。しかしそれの狙いは祈りの双子ではなく――鮮血の海。この時ルネにより祈りの双子が鮮血の海への支配力をなくしたのをいいことに、この一帯の血をすべてシズホのもとへ引き寄せ、さらに球状に合体させた。
 ――それはまさに、赤い月ブラッドムーンだった。

 そして今に至る。
「祈りの双子、貴方達が鮮血を使うには近距離でないといけない筈……つまり貴方達の周りに血がない以上もう成功効果は使えませんね?」
 淫欲に満ちた思念を込めた視線を合わせながら放つ言葉が祈りの双子を束縛する。ルネはそのシズホにかつて戦った聖杯剣揺籠の君のそれを感じた。……恐らく自分の黒い月の夢がなければ、祈りの双子だけじゃなく、この場の皆が汚染されていただろう……そういう意味では自身のファインプレーにホッとしていた。
 シズホは祈りの双子に近寄ると、毒を含んだリリスの槍で双子の片方を突き刺し――そのまま串刺しにするようにもう1人も突き刺した。
「もう貴方方は動かなくていいのです。
 束縛されその喜びに震えながら――死になさい」
 祈りの双子は暫く不快感と毒に振るえていたが――それは気絶した中で生命としての無意識、本能による生存本能によるものだったか――が、やがて動かなくなった。それは祈りの双子の命がこと切れたことを意味していた。
「……すいませんね、ハイエナするような形で。ですが、催眠術のようなのがいつ切れるかわかりませんでしたからね。それに」
 シズホはスティーナ達とルネを交互に見つめた。
「皆さんのおかげでずいぶん楽にあれが作れましたから」
 後ろ指で鮮血の海の球体を刺した。

 ――ルネが地上に降りてくる。気づけばみんなシズホのもとに集まっていた。
「皆さんお揃いで。私の仕事は完璧でしたで――あいたっ!?」
 スティーナがシズホを殴った。
「こんにゃろいいところ持って行きやがって! アタシがトドメ刺したかったぞ!」
「お姉ちゃんが言うなら私も! お姉ちゃんとの合体技だったし!」
「ルネなんて祈りの双子を惑わすくらいしかしてなかったから焼いたりとかしたかった!」
「斬らせろ! せめて不条理を振りまくあの支配者に最後の一閃を! この身は、記憶は、それを求めていた!」
「いたたたた、なんで私がフルボッコにあうんです!? あ、でもこれ割と快か――いやダメダメ拘束リストリクトしなくては……!」
 黒い月の夢が覚め、赤い月が力をなくすように溶けて血に落ちた暁に、猟兵たちはある意味一つになっていた。
 ――槍が仲良く突き刺さり、団子状態のように串刺しとなった祈りの双子を、傍らに置きながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月30日


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#五卿六眼『祈りの双子』


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト