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闇の救済者戦争⑮~世の中勝ったもん勝ち

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #第五の貴族



「よぉ、来てくれてありがとうよ。早速だが、ダークセイヴァーの「闇の救済者戦争」の予知をした。皆に行ってもらいてぇところがある」
 忌塚・御門(RAIMEI・f03484)は自らの呼びかけに応えた猟兵にそう礼を述べると、見る者が見ればいつも通りにべったりと隈の貼り付いた陰鬱な顔でそう言った。
「場所はダークセイヴァー第五層、「紋章の祭壇」。ダークセイヴァーの「第五の貴族」たちの中でも限られた者だけが運用を許されていた、生体実験室群だ。知っての通り、オブリビオンを加工して作られる「紋章」はヴァンパイアたちやオブリビオンに多大な力と異形の攻撃手段を与える」
 御門によれば、猟兵たちが戦うことになるのは祭壇を管理し紋章を作り出していた「第五の貴族」。敵は『追撃』の紋章を装備しており、一撃、どんなものでも一撃、攻撃を当てさえすればさらにもう一度、敵対者の知覚の外からあらゆる防護を貫通し、避けることも出来ない攻撃を敵対者に与えるという厄介な紋章を装備している。
「だが、この紋章には「弱点」がある。その初撃を防御・回避されると、与えようとしたその初撃のダメージがそのままが装備者に返ってくるという弱点だ。……最も、この紋章を装備している第五の貴族はこの弱点を理解している。だから、初撃は「自分が喰らったとしてもさして痛手にならない攻撃」を放ってくる可能性が高い」
 ――例え石ころや砂粒であっても当てればそれは「攻撃」だ。それを初撃とし、追撃の紋章の力による知覚できない防護貫通回避不可の攻撃を食らわせる――それが第五の貴族の戦い方であるという。
「……ならばどうすればいいか? まあ、手練手管口先三寸、使える物は何でも使って敵に大技を誘発させて、それを完全に防ぐことができりゃあそれに越したことはねえ。他にもまあ、猟兵ってのはそれぞれに持ち技が違うんだ。色々とやらかしてくれることを期待してるぜ」
 そう言うと御門はグリモアである万年筆を取り出し、空中に何ごとか書きつける。そうすればインクはその場に留まり、転移の門が描き出されてその場に開かれた。
「現地までの転送は俺が引き受けた。準備ができたら、俺に声をかけてくれ」


遊津
 遊津です。ダークセイヴァーの戦争シナリオをお届けします。
 ボス戦一章構成となっております。
 当シナリオにはプレイングボーナスが存在します。
 ※プレイングボーナス:紋章の「弱点」を突いて戦う。

 「戦場について」
 一見石造りの神殿か何かのようにも見える、生体実験室群です。屋内であり、空中戦には向きません(空中戦を行っても特にペナルティはありません)が、実験室のため開けています。太陽の光は差していませんが、炎によるものではない灯りによって光源が確保されており、十分に隅々まで見渡すことができます。暗闇ではありません。
 戦闘を邪魔するものは何もありません。特に戦闘に利用できるものもありませんが、「こんな場所ならこういうものがある筈だ!」というようななにか利用できるものを思いついたら「何を」「どうやって」使うか明記してくだされば出来る限り採用いたします。
 リプレイ開始後すぐに戦闘が始まります。その為、体の「パフォーマンス」を良くしておくと言ったような事前準備行動は行うことができません。何らかの準備行動が必要な場合は、戦闘と並行して行う事となります。
 上記の注意事項を読んでいないと判断されるプレイングは申し訳ありませんが不採用とさせていただきます。

 「ボス敵『魔槍ににすべてを喰われた男』について」
 かつて強大な力を手にすることができるという武器を手にし、その武器に肉体を乗っ取られた男です。
 武器は知的生命体全てを殺すことを望んでおり、オブリビオンになった後もヒトに害を為す存在としてあり続けています。
 自らが手にする紋章の弱点についてよく理解している為、防御や回避されて跳ね返ってきても痛手にならないような軽い「初撃」を与えた後で、「追撃」の紋章の力で敵を始末するという戦法を取ります。
 もし、猟兵がユーベルコードを一切用いず、技能とアイテムのみで戦った場合でも、上記の戦法に加え、自我の本体である魔槍によって戦闘を行います。

 当シナリオのプレイング受付開始は、このシナリオが公開され次第即時となります。
 諸注意はマスターページに書いてありますので、必ずマスターページを一読の上、プレイングを送信してください。
 また、送られてきたプレイングの数によっては全員採用をお約束できません。戦争中の為、特に必要成功数に達した後一定のプレイングが来た時点でプレイングを締め切らせていただいております。(上記タグにて判断ください)あらかじめご了承ください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『魔槍ににすべてを喰われた男』

POW   :    美味しく喰ってやるから安心しな
【魔力】を籠めた【魔槍】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD   :    ちょいと味見をさせてもらうぜ
【魔槍】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【魂から読み取った気質】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    いい表情(カオ)見せてくれよ?
自身からレベルm半径内の無機物を【自分の分身】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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レクス・マグヌス
【心情】
強大な力を宿した武器を手にし、武器に肉体を乗っ取られた人物か
僕も妖剣「災厄」を手にして猟兵になった身
彼に対してどうこう言える訳ではない
だが、同じ運命を辿るかもしれなかった人物だ
僕が命を奪ってやる

【戦闘】
「恐怖を与える」「催眠術」で、隙だらけで強大な敵の幻覚を見せることで、攻撃を誘発する
僕の戦う武器には魔法もある

攻撃に対しては、「残像」で回避

攻撃が跳ね返ったら、UCによって「生命力吸収」「属性攻撃」「範囲攻撃」で周囲全てを焼き払う
周囲に分身に出来るものがなくなるまで、威力を上げる
「これが魔剣と共に戦うことを選んだ、僕の覚悟だ!」

改めて、これからも力にのまれないように戦わないことを誓おう




『はッ、テメェが猟兵か。来いよ、そんで……死ね!』
 そう言って槍を構える魔槍使いの第五の貴族。しかし、その肉体は既にがらんどう。魔槍使いを操るのは、その手に握られた魔槍の方だ。
(強大な力を宿した武器を手にし、武器に肉体を乗っ取られた人物か……)
 自らも妖剣「災厄」を手にして猟兵になった身であるレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)は、その血に飢えた眼差しにごくりと息を呑む。
(彼に対して、自分がどうこう言える訳ではない。だが、同じ運命を辿るかもしれなかった人物だ)
 ――僕が命を、奪ってやる。
『オラァッ!!』
 魔槍使いがレクスに向かって砂礫を投げつける。単なる目潰しに見えて、それは立派な「初撃」だ。これに当たってしまえば、紋章の力により回避不能防御不可能な追撃に襲われることは必至。しかし、砂礫はレクスの身体をすり抜ける。
『んだとォ……!?』
 ばらばらと砂礫がぶつかった程度のダメージを浴びながら、魔槍使いはレクスを見る、しかしそこに既にレクスはいない、魔槍使いは気づいていたか、最初に砂礫を浴びせかけた時点で彼が目にしていたレクスは高速移動が残した残像であったという事を。――そして、魔槍使いは目にする。先に立っていたレクスよりも更に強大な敵を。
『ははッ、おもしれえ……ぶち抜いてやらァ……!』
 その敵は魔槍使いにとって隙だらけに見えた。砂礫を浴びせかければ、舐められたのか何の抵抗もせずに当たってくれる。しかしそれこそ「追撃」の紋章の効果の真骨頂、避けられもせず、どんな硬い防御もすり抜けて肉体を砕く「追撃」が敵を襲う――半身が抉れるほどの強力なモノ、が、入った筈だった。
しかし、敵は何事もなかったかのようにそこに立っている。
魔槍使いは砂礫を自らの分身に変え、四方八方十六方三十二方から敵へと槍を突き立てる。それにも敵は避けも防ぎもする様子はない。
『……獲った!!』
 追撃の紋章の力が今度こそ敵を穿ち殺すはずであった。しかし、その瞬間にあれほど強大であった敵の姿はたちどころに消え失せ――。
「僕の戦う武器には、魔法もある。あなたには軽い催眠術をかけさせてもらいましたよ」
 今まで敵がいた、そう思っていた場所からは遠く離れた場所に、レクスが立っていた。
そう、すべて虚偽。魔槍使いが見ていた強大な敵とは、レクスの魔法で作られたはりぼてに過ぎない。それでも魔槍使いは攻撃を繰り出してしまった。幻覚の敵に突き立てたはずの刺突が彼の肉体に返ってくる。
「ガアァッ……く、そ、がァッ……!!」
 そして、そうしてできた隙を見逃すレクスでもない。
「これが魔剣と共に戦うことを選んだ、僕の覚悟だ!」
 【暴食の炎刃フランマ・エデッセ】。レクスの持つ妖刀「災厄ハザード」から闇の炎が噴き上がった。炎はレクスの魔法の補助によってあっという間に広がり、魔槍使いの分身をことごとく焼き尽くしていく。
炎の海にのまれる魔槍使いを睨みつけながら、レクスは誓った。これからも、力にのまれずに戦い続けることを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェルム・シャッヘ
ほーん。いつもならすぐさま打ち返してやるところなんやけどなー……。
ダメ? あ、そう。

じゃあUC【雷龍降臨】で爆速で走って回避し続けなアカンなあ。
当たらない相手に攻撃し続けるの、どう? どう?
心底めんどくさい思ってるやろな~!
ほらほら、大技使わんと当たらんで~! 大技使われても当たる気はないけど!

で、ある程度回避し続けたらこっちも反撃開始。
言うても俺が出来るのって、吹き飛ばしを併用した打ち返しなんやけどね。
回避し続けたらどれが弱い攻撃でどれが強い攻撃かぐらいは瞬時に判断がつくようになるやろ。知らんけど。

あ、もしすれ違うようであればレッグギロチンで首狙ったるわ。
息出来んようにしたる。




(ほーん、追撃の紋章なぁ……いつもならすぐさま打ち返してやるところやねんけどなー……ダメ? あ、そう)
 シェルム・シャッヘ(姿見えぬ処刑人Scharfrichter・f37977)は、心の中でダメ出しをしてきた幼馴染に後でケツバットすることを誓った。
 魔槍使いと相対するや否や、ユーベルコード【雷龍降臨ブリッツ・ドラッヘ】を発動し、黄金の雷光を纏う。時速1000キロで疾走するシェルムの回避力は今や四倍。魔槍使いはシェルムに紋章の弱点である「跳ね返ってきても痛手にならない攻撃」――砂礫を投げつけようと試みるが、爆速で走り回るシェルムには当たらない。
「当たらない相手に攻撃し続けるの、どう? どう? 心底めんどくさい思っとるんやろな~!!」
 けらけらと笑いながら相手を煽りまくるシェルム。魔槍使いは血管が切れそうだった。
「ほらほら、大技使わんと当たらんで~! 大技使われても当たる気はないけど!」
 縦横無尽に走り続けるシェルム。彼の煽り技能の能力値たるや114514ある。もはや如何なる手練れの猟兵であっても、たとえユーベルコードで何とかしようとしても到れない境地にある。魔槍使いの血管が二、三本ぶち切れたが魔槍使いは武器こそが本体のタイプであったのであんまり痛手ではなかったし、シェルムも気にしない、むしろ血管ぶち切れてぶっ倒れてくれれば楽なことこの上なかった。
 ある程度回避し続けていれば、敵の攻撃の弱さ強さも瞬時に判断がつくようになってくる。
投げつけられた砂礫の中でも大振りの石ころに向かって、バットを構えて豪速で打ち返し、ぶっ飛ばす。
『……~~ッッ痛ぇなこのクソが、ぶっ殺す!!』
 魔槍使いはついにブチ切れ槍を構えた。そのまま魔槍で突きかかってくる。逃げ回っていたシェルムは途中で思い切り急ブレーキをかけ、スピンからの高速回転で魔槍使いの首をレッグギロチンで斬り裂いた。赤い血が飛沫き、そして攻撃を躱された魔槍使いの紋章はその弱点――彼の必殺の槍の突きのダメージを、そのまま魔槍使いに与える!
 血の海に沈む魔槍使いに向けて、シェルムは邪悪な顔で笑って中指を突き立てた――
「雑魚、乙!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐藤・和鏡子
と、いうことは、一発目の攻撃が当たる前に轢き殺せば追撃は来ない、ということですね。
救急車のライトを点け、V8エンジンを思い切り空ぶかしして『これからあなたを轢き殺しますね』と思い切りアピールします。(演技+恐怖を与える)
恐怖に駆られた相手の殺される前に殺してやる、という必死の攻撃を誘い、ユーベルコードで上昇させた運転技術で躱して自爆させます。
いくら槍でも意思があるのなら恐怖も感じるはずですから。




「なるほど、話は理解しました」
 佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)はグリモア猟兵の説明を聞いたあと、そう言って真っ直ぐにここに来た。
彼女が装備――いや、搭乗? 運転するのは、その称号に相応しく「救急車」である。そこ、ナースは救急車に乗らないとかあまつさえ運転しないとか言わない。看護師だって必要に駆られれば救急車の一つや二つ運転するだろう。ちゃんと運転免許も持っている。
「そう、追撃の紋章が「一撃目」を放たれた後に効果を発揮するものなら……一発目の攻撃が当たる前に轢き殺せば追撃は来ない、ということですね」
 こんな話がある。UDCアースにてかつて小陸軍省とすら呼ばれた看護師の祖たる女性の話だ。遠い昔の話であったから、女性が病院とはいえ軍事の場に出てくることを男たちはナメていた。そもそも大昔、まだ看護と言う仕事が下賤な仕事であった頃の話である。看護師の祖たるその女性はいいところのお嬢様であった。そんなお嬢様がいきなり病院ででかい顔し始めたのだから男たちはこのアマ舐めやがってと思って嫌がらせをした。ありていに言えば、薬や包帯の入った箱を「これは鍵が必要だが鍵はお偉方の許可がないと手に入らない」とかなんとか理屈をこねて彼女に薬を渡そうとしなかったのである。さて、看護師の祖たるその女性はその時どうしたかと言うと、「鍵ならここにあります」と言っていきなり手斧を振りかざして箱をぶっ壊し、中身の薬や包帯を取り出してさっさと用を済ませたという話だ。
 つまり何が言いたいかと言うと、看護師ナースってやつはみんなぶっ飛んで頭バーサークしてんのか? と言うことだ。和鏡子は救急車のライトをつけ、V8エンジンを思い切り空ぶかしして『これからアナタを轢き殺しますよ』と思い切りアピールしたのである。
 ここはダークセイヴァーだ。相手がオブリビオンでなかったらワンチャン、敵の魔槍使いは救急車と言うものを知らなかったかも知れない。だが、魔槍使いはオブリビオンなのだ。骸の海で異なる世界の知識を知ってしまっている。あの女が乗っているあれに轢き潰されたら死ぬ、という知識を得てしまっているのだ。
『クソがァァ!!殺られる前に殺ってやんよこのアマぁぁ!!』
 魔槍使いは恐慌した。実のところ和鏡子の蛮行は恐怖をあおる演技であったのでその効果は抜群だったと言えよう。魔槍使いも勿論定石となった攻撃、「特に跳ね返ってきても痛くない砂礫をぶつけて回避不能防御不可能な大ダメージの追撃を与える」は試した。試した上だがこの攻撃を食らうのは和鏡子ではない、救急車であるのだ。救急車の後方に大穴が開いたが、そもこの救急車は年代物のアメ車である、ちょっと傷が増えた程度だった。
「見えますか、そこに描かれているマーク。それですね、今までオブリビオンを轢き潰してきた数だけ刻まれたキルマークです」
 そんな和鏡子の声がスピーカーから聞こえてくる。完全に「お前もこのタイヤの染みの一つにしてやんよ」だ。
魔槍使いは魔槍を構えて突撃し、フロントガラスをぶち抜いて中にいる和鏡子を穿ち抜こうとした。それが救急車と言う鎧に守られた和鏡子を直に攻撃する唯一の手段であったからだ。救急車と言う鎧ってなに? さぁ……。
さて、和鏡子は既にユーベルコードを展開していた。【運転マスタードライバー】。自分の持つ運転技術を思い切り上昇するというものだ。魔槍使いの槍が救急車内部にいる和鏡子を狙ってフロントガラスを貫こうとした瞬間、和鏡子は思い切りアクセルをベタ踏みする。急発進した救急車は魔槍使いを文字通りね飛ばした。槍が吹っ飛び、魔槍使いの身体が屋根に叩きつけられる。その上で、魔槍使いは紋章の弱点である自らの刺突をその体に受ける。ついでに魔槍使いの本体であるところの槍も救急車のタイヤに轢かれてバキバキと音を立てた。
文字通り宣告通り、和鏡子は敵を轢き潰したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…闇深きこの世界に生きるヒトなれば、呪具と知りながら力を求めるも致し方無し。
或いは、其れは己がよすがとなる何かを護らんと欲したが故であったのでしょう。
されど今は呪具に呑まれ唯命殺めるモノと変じたとあらば是非も無し。
その魂を、骸の海へと還しましょう。


UC発動、怪力、グラップルの無手格闘にて相対
残像で攪乱しつつ野生の勘、見切りで初撃を感知し回避
『余分な所作』が増えた事による隙を狙いカウンター
本命の攻撃を振らせれば上記技能で殺気を読み取り槍そのものへのカウンター攻撃にて打ち払う


…武具とは使い手の心技と共に在らばこそ。
或いは殺意のみに縛られぬ『彼』が振るった槍なれば、結果は違ったことでしょう。




『クッソ……クソどもがァ……舐めやがって、ぶっ殺す、絶対ェぶっ殺してやっからなァ……!!』
 魔槍使いは血みどろの姿で吠える。最も、その肉体はただの手足。彼の本体は、その手にしている魔槍の方であるのだが。
「……闇深きこの世界に生きるヒトなれば、呪具と知りながら力を求めるも致し方無し……か……」
 そんな魔槍使いに相対し、月白・雪音(月輪氷華月影の獣・f29413)はもはや自我など擦り切れて消え失せたかつての「男」に思いを馳せる。
「或いは、其れは己がよすがとなる何かを護らんと欲したが故でもあったのでしょう」
 ――されど今は、呪具に吞まれ唯命殺めるモノと変じたとあらば是非も無し。
「その魂を、骸の海へと返しましょう」
『アァン!? テメェ、俺を憐れんだのか!!ふざけやがってクソがッ……誰にも!俺をォ!!わらわせねェぞォ!!……ッッオラぁ!!』
 雪音の言葉が癇に障ったのか、魔槍使いはそう言って――しかし、その戦い方は変えぬまま、定石である「跳ね返ってきてもさしたるダメージにならない」砂礫を投げつける。雪音は即座に戦技の型を取る。【拳武ひとなるいくさ】によって、自身の徒手格闘能力を上昇させ、雪原育ちの身体能力と野生の勘を駆使して砂粒の一つ一つを見切って躱す。そのまま高速移動によって残像を残せば、砂礫はその残像をすり抜けていった。回避されたことにより砂礫をぶつけられたダメージは魔槍使いに跳ね返るが、それは魔槍使いも見越してのことだ。しかし、それにより『余分な所作』が増える。その隙を狙って――雪音は魔槍使いへと拳を叩きつける。強かに腹を打たれ、魔槍使いの身体が後方へ吹っ飛んだ。
『がァッ……!!こ、の、アマぁぁッ……!!』
 魔槍使いが再び砂礫を投げつける、しかしそれだけでは雪音に叶わぬと理解したのであろう、豪速の槍の突きを織り交ぜてくる。だが雪音も伊達に戦技を極めてはいない。魔槍使いから発される怒気に挟まれる殺気を読み取って、突きかかってくる槍を紙一重で避けると、体をぐるんと一回転させて、槍を掴み――二撃目に放った怪力無双の蹴りでもってそのきっさきから刃をべきべきと砕き割り、そのまま勢いに任せて柄を真っ二つに叩き折った。
『テメェ……ッ……!!クソッ!!畜生畜生畜生!!この、俺がァァァァァッ……!!』
 折られた槍は瞬時に粉微塵になって消え去り、魔槍使いの身体も黒い砂へと変じて消えていく。
呪詛を吐きながら消えゆく魔槍使いに、雪音は静かに言った。
「……武具とは、使い手の心技と共にあらばこそ。或いは――」
 殺意のみに縛られぬ『彼』が振るった槍なれば、結果は違ったことでしょう。
 雪音の静かな声が、聞く者のいなくなった生体実験室群へと響く。
紋章を護る者は、ついに、ここに誰もいなくなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月16日


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#闇の救済者戦争
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサンディ・ノックスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト