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世界征服の野望を打ち砕け!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 アルダワ魔法学園の地下に広がる巨大な迷宮。その迷宮の一角に災魔の少女の声が響き渡る。
「ふふふ、我が名は世界征服を企む悪の魔操術師レニオール! 今こそ我らを封じる忌々しい迷宮を抜け、世界を我が手に収める時!」
 レニオールが手にした魔導書を掲げて呪文を唱えると、中空に現れた魔法陣から武装した骸骨たち――死霊兵の軍団が召喚された。骸の海から蘇りし骸骨の虚ろな眼窩に灯るは生者への憎しみの炎。
「さあ、我が死霊兵軍団よ! 世界征服の妨げとなるものを、すべて破壊し尽くしなさい!」
 かくして魔操術師レニオール率いる死霊兵の軍団は世界征服を目指して地上への侵攻を開始したのであった。

「前衛は僕と竜騎士が務める。ガジェッティアと精霊術士は後衛を頼む」
「わかったわ、リーダー」
 人間の少年のマジックナイトがパーティーメンバーに指示を出す。それに答えるのは少女の竜騎士。背中の翼や尻尾から、彼女が人派のドラゴニアンであることが分かる。
「周辺に罠の反応はありません、マスター」
「けど、油断は禁物だニャ」
 少女型ミレナリィドールのガジェッティアとケットシーの精霊術士が周囲を警戒しながら陣形を整える。
 彼らが足を踏み入れているのは迷宮の未踏査区画。学園から危険な領域の探索を許可されたのも、学園の一般生徒としては優秀なパーティーなためである。ここまでに仕掛けられていたトラップや現れた災魔を危なげなく突破しているのがその証拠であった。
「けど未踏査区画っていうから、どれだけ危険かと思ってたけど、もうちょっと手応えが欲しいわね」
「竜騎士様、先程、災魔の群れを一人で薙ぎ払われておられませんでしたか?」
 暴れ足りなそうに竜の尻尾を振り回す竜騎士の言葉にガジェッティアが呆れた声で返す。
「オイラは、ものすごいお宝がみつかると嬉しいニャ」
「宝よりも、この区画の探索が目的なんだけどな……」
 可愛らしく猫の尾を振る精霊術士の瞳がお金のマークになっているのを見て、マジックナイトが苦笑する。

 彼らは夢にも思っていなかった。自分たちが地上を目指す死霊兵軍団の進路上にいるなどとは。


「みなさま、集まっていただきどうもありがとうございます」
 アイ・リスパー(f07909)がグリモアベースに集まった猟兵たちに頭を下げる。
「今回、私が予知したのはアルダワ地下迷宮で起こる事件です。世界征服を目的とする魔操術師レニオールによって死霊兵の軍団が迷宮に召喚されました」
 アイがホロキーボードを操作すると、空中に迷宮の立体地図が現れた。地図上の一角に死霊兵を表す赤いマークが大量に表示されている。
「死霊兵軍団は現在、地下深い階層にいます。地上へ到達するまではまだ余裕があります。ですが……」
 赤いマークのすぐ近くに4つの青いマークが表示される。
「地下迷宮を探索していた学生のパーティーが、この死霊兵軍団と遭遇してしまいました。職業のバランスが取れた優秀なパーティーなのですが、一般学生では死霊兵軍団の物量に対抗できません。彼らは死霊兵と戦いながら撤退戦をしていますが壊滅は時間の問題でしょう」
 戦況予測と表示された地図上では、赤いマークに飲み込まれた青いマークがひとつ、またひとつと消えていく。
「でも、今ならばまだ間に合います! 私がみなさんを学生パーティーの後方に転移させますので、学生たちの撤退を支援していただけないでしょうか」
 立体地図に作戦の概要が表示される。
 まず猟兵たちは学生たちの後方に転移し、死霊兵軍団を食い止めたり、学生たちの撤退の支援をおこなう。
 そして学生たちが安全圏まで撤退したのを確認後、改めて死霊兵軍団との戦いとなる。
 死霊兵軍団を撃破すれば、魔操術師レニオールとの決戦である。
「死霊兵たちが地上に出てこないように、ここで確実に殲滅するようお願いします。そして、死霊兵を呼び出した魔操術師レニオールを撃破し、世界征服という野望を打ち砕いてください!」
 アイは猟兵たちに深々と頭を下げてから、転移の準備をおこなうのだった。


高天原御雷
 こんにちは、世界征服という言葉にロマンを感じる高天原御雷です。
 今回はアルダワ魔法学園の地下迷宮が舞台です。世界征服を企む魔操術師が呼び出した死霊兵軍団を殲滅し、世界征服の野望を打ち砕いてください。
 第一章は死霊兵軍団に遭遇した学生パーティーの救出です。敵の足止めや学生たちの支援などをおこない、撤退戦をしている学生パーティーを助け出すことが目的となります。
 第二章で、押し寄せる死霊兵軍団との集団戦となります。死霊兵一体一体は強くありませんが、数が多いので注意してください。
 第三章は敵のボス、魔操術師レニオールとの決戦となります。

 それでは、皆様からのプレイング、楽しみにお待ちしています。
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第1章 冒険 『学生たちを脱出させろ』

POW   :    我が身を盾とし、敵の集団を食い止める。敵を次々と倒し戦線を押し返す。

SPD   :    トラップなどを作り敵の集団を食い止める。脱出ルートを素早く確保する。

WIZ   :    学生たちの傷を癒す、強化をする等、自力で脱出する補助をする。指揮を執り手際よく脱出させる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「くっ、こっちの通路も死霊兵で溢れてるっ!」
「マスター、こちらの角へっ!」
 マジックナイトとガジェッティアが先導し竜騎士が殿を務める形で学生パーティーは迷宮を駆けていた。
 逃げる一行に迫るのは、地獄の底から蘇った亡者――死霊兵の群れ。手に手に剣や弓といった武器を持ち、命ある存在である学生たちへ憎しみの炎を燃え上がらせる。それは未練を残して死んだがゆえの執念か、それともオブリビオンとしての本能か――。
「上層階に戻る階段はこっちだニャ!」
 精霊術士がマッピングした地図によれば、この先の広間を抜ければ上層に続く階段にたどり着けるはずだった。だが……。
「そん……な……」
 殿として一番最後に広間に駆け込んだ竜騎士の少女が呆然とした声を漏らす。その声に、普段の勝ち気な勢いはなかった。
 学生パーティーが飛び込んだ広間。そこには数え切れないほどの死霊兵たちが待ち構えていたのだった。
セルヴィ・アウレアム
「いやはや、意気揚々と乗り込んだら死霊の群れに囲まれるなんて、兄ちゃんらも大変やなぁ。」
「殿は任せとき。ちゃんと脱出できるよう手配はしたるさかいね。…ま、その分お代ははずんで貰わな困るけどな?」

●行動【POW:我が身を盾とし、敵の集団を食い止める。敵を次々と倒し戦線を押し返す。】
転送が終わるや否や、苦戦している生徒たちの周囲を「内蔵ガトリングガン」で一掃。そのまま生徒たちの撤退を促しつつ、殿を努める。


リリスフィア・スターライト
他の猟兵達と連携をとりつつ
エレクトロレギオン達を前面に進ませて
退路を確保し学生たちの撤退を援護するね。
未来の勇者達の道を私達で作って見せるよ。
もし撤退せずに一緒に戦いたいと
学生たちが言ってきても説得し
安心して撤退してもらうようにだね。
冒険者なら状況を判断して適切な
行動をとってもらわないとだし。

「あとは私達に任せてかな」
「物量戦ならこっちだって負けないよ」



●死霊兵からの撤退戦
「きゃあっ」
 死霊兵が放った矢が二の腕に刺さり、血路を切り開こうと奮戦していた竜騎士の少女が、か弱い悲鳴を上げた。
「くっ、このっ、どけっ!」
 リーダーのマジックナイトが闇雲に剣を振りながら竜騎士に駆け寄ろうとするものの、死霊兵の群れが邪魔で助けに行くことができない。それに今、マジックナイトがガジェッティアと精霊術士から離れれば、近接戦闘が苦手な二人はすぐに死霊兵の手にかかるだろう。

 痛みと絶望のあまり迷宮の床に座り込んでしまった竜騎士の少女に、剣を振りかざした死霊兵がゆっくりと歩み寄る。そして、固く目を瞑った少女に剣が振り下ろされる瞬間。
「おっと、ウチのお客さんに手ぇ出すのはやめてもらえんやろか?」
 少女に振り下ろされる直前の死霊兵の剣を弾き飛ばしたのは、セルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)のガトリングガンから放たれた無数の銃弾。魔力が込められた弾丸は、剣の持ち主の骸骨兵を撃ち抜くだけにとどまらず、そのまま竜騎士の周囲にいる死霊兵の群れをも薙ぎ払っていく。
「いやはや、意気揚々と乗り込んだら死霊の群れに囲まれるなんて災難やったなぁ」
 ミレナリィドールであるセルヴィの腕部に仕込まれた銃から立ち昇る煙。ふっと息を吹きかけながら、彼女は竜騎士の少女に向かって快活な笑みを浮かべ。
「お礼なら宝石2、3個に負けといたるわ」
 その笑みを強欲なものに変えるのだった。

「あれは……最近噂の転校生でありましょうか?」
 セルヴィによって仲間の竜騎士が助け出されたのを見て、少女型ミレナリィドールのガジェッティアが安堵の息をつく。
 だが、彼女は自分に弓矢の狙いを付ける死霊兵に気付いていなかった。骨だけの腕によって満月のように引かれた弓から解放され、高速で飛翔する木製の矢。
「そうはさせないよ、未来の勇者は私達が守るから」
 矢がガジェッティアの少女に命中する寸前に小型の戦闘用機械兵器が割り込み少女の盾となった。リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)が召喚した100体以上もの機械兵器群【エレクトロレギオン】の一体である。
「大丈夫? 怪我はない?」
「は、はい。ありがとうございますっ」
 助けられたガジェッティアの少女は、剣を携えたリリスフィアに頭を下げる。
「あとは私達に任せてかな」
「あ、あの、僕たちも戦いますっ!」
 リリスフィアの言葉に学生パーティーのリーダー、マジックナイトの少年が勢い込んで協力を申し出る。
「それは許可できないかな。あなたたちも冒険者なら自分たちの状態がわかるでしょう? 特にパーティーのリーダーなら、仲間のコンディションにも気を配らなきゃ」
 リリスフィアが示す先には、怪我をした竜騎士や魔力を使い果たした精霊術士の姿。このまま戦闘をするのが無理なのは一目瞭然だった。
「わかり……ました……」
「よろしい。階段の方に味方がいるから、あなたたちはそっちまで撤退して」
 【エレクトロレギオン】が切り開いた道を後退していく学生パーティーを見送りながら、リリスフィアは満足げに頷く。

「殿は任せとき。兄ちゃんらが脱出する時間くらいは稼ぐさかいね。……ま、その分、あとでお代ははずんでもらわな困るけどな?」
 軽口を叩きながら学生パーティーを見送ったセルヴィが腕部のガトリングガンを死霊兵の群れに向ける。
「彼らが無事に帰還して、将来一人前の冒険者になれたら、きっと大金を払ってくれるんじゃないかな」
「出世払いゆうやつか。ま、たまにはそういうのも悪ないか」
 リリスフィアもセルヴィに声をかけつつ、正面の死霊兵の群れに向かって【エレクトロレギオン】を布陣させる。
 二人の前には、通路の奥から際限なく骸骨の兵士たちが湧き出してくる。この軍団を少しでも長く足止めするのが彼女たちの役割であった。それがどんなに困難なミッションであろうと、必ず成し遂げなければならない。なぜならば彼女たちの後ろには傷ついた学生たちがいるのだから。
「出世払いなら、受け取るためにウチも無事に帰らなあかんな!」
 セルヴィの腕部の【マギア・ガトリング】が魔力の弾丸を死霊兵の群れにばら撒き次々と打ち砕く。
「死霊兵の軍団、ね。物量戦ならこっちだって負けないよ」
 リリスフィアの操る【エレクトロレギオン】の軍団も死霊兵たちに攻撃をしかけ、骨の身体を躯の海へと還していく。
 しかし、倒しても倒しても死霊兵たちは際限なく押し寄せてくる。

「よし、これだけ時間を稼げばだいじょぶやろ。さすがに弾切れや」
「こっちのエレクトロレギオンも限界かな、階段まで戻ってみんなと合流しよう」
 激しい戦いの末、セルヴィとリリスフィアによって死霊軍団の第一波の足止めは成功し、学生たちが撤退する時間を稼ぐことに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シェラフィール・ディー
アリアと連携

「まったく間の悪い…しかし、承りました。お嬢様」

アリアお嬢様の指示に従い学生PT様方の撤退援護を行いましょう
死霊兵との間にて、邪魔をする様に瞳を桜色に燐光させ【刻印呪眼:狂瀾庭園】を発動
黒影の触手を肉壁とし、少しでも進行を遅らせます
お嬢様も多少巻き込まれましょうが。まぁ――…
「アレであれば問題ないでしょう。むしろ、巻き込まれぬように離れるが最善です」
これを発動している間は、シェフィとてまともに戦えませんので…
多少光剣に刻まれた触手は再召喚しつつ後退いたします

(…切り離し制御を離れた触手は、まぁ…任せれば問題はないでしょうしね)

小さく舌をだしつつ…ええ。もちろん信じておりますとも


アリア・ティアラリード
シェラフィールと連携

「ここはお姉ちゃん達に任せて、早く引き返してくださいっ」

交戦中の学生さん達を発見したら、念動力で手に持たないフォースセイバーを
シールドフライヤー…剣盾モードにして学生さんの前に投擲!
剣盾が攻撃を防いでいる間にダッシュで死霊軍団と学生PTの間に割って入り

学生PTの誘導・遊撃はシェフィちゃんに
私はここで壁となって死霊軍団の足止めを
剣盾状態のフォースセイバーを《虹色飛翔七連剣》で一斉発射!
7色7本の光剣は自在に宙を舞い、死霊を攻撃!
自身もピンクに煌めくフォース光の残像を引きながら
2回攻撃・衝撃波による範囲攻撃で死霊軍団を食い止め
学生さんが逃げる時間を稼ぎます!



●死霊兵の追撃
「あの転校生さんたち、大丈夫かニャ?」
「……わからない。けど、今は撤退することだけを考えよう」
 学生パーティーの4人は死霊兵たちが取り囲む広間を抜けて階段を目指していた。
「階段まで、もう少しです、マスター」
 怪我をした竜騎士に肩を貸すマジックナイトに、ガジェッティアが声を掛ける。階段のある部屋までもう少しだ。
 だが、階段を目指して細い通路を進む学生パーティーの行く手を塞ぐように、分かれ道から死霊兵の集団が現れた。無尽蔵かと思われるほどの死霊兵によって、あっという間に学生たちの行く手が塞がれてしまった。
「後ろからも死霊兵たちが迫ってきてるニャ!」
 猫耳をピンと立てたケットシーの精霊術士が慌てた声を上げる。
 このままでは挟み撃ちにされる――そう思った時。
 学生たちの行く手を阻んでいた死霊兵たちの一部が派手に吹き飛ばされた。

 死霊兵を吹き飛ばしたものの正体は、フォースセイバーと一体化した浮遊する盾だ。それが学生たちを取り囲む死霊兵の背後から高速で飛翔し、その囲みを破ったのだった。
「ここはお姉ちゃん達に任せて、早く階段に向かってくださいっ」
 浮遊する剣盾『シールドフライヤー』を念動力で操るアリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)が死霊軍団の囲みを突破し、学生たちをかばうように立つ。
「皆様、こちらです」
 アリアが開けた包囲の隙間から学生たちに声をかけるのは、瞳から桜色の燐光を放つシェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)。シェラフィールの影からは『淫虐卿の十二本の指』と『恍惚侯の八本の舌』と呼ばれる触手の群れが召喚され、死霊兵の包囲に開いた穴を押し広げる。

「た、助かったニャ! 早くあそこから逃げるニャ!」
「どうしました、マスター?」
 突然の援軍2人を見て、リーダーのマジックナイトの少年の動きが止まっていた。――否、彼の目はアリアとシェラフィールのJカップの胸に釘付けになっていた。
「ちょっと、どこ見てるのよっ!」
「い、痛っ!」
 竜騎士の少女(ぺったん娘)の踵がマジックナイトの足を勢いよく踏みつけ、ようやく学生一行は死霊兵の囲みを突破するのだった。

「アリアお嬢様、学生の皆様は無事に囲みを抜けました」
「よーし、ここはお姉ちゃんがかっこいいところを見せちゃいましょう!」
 溺愛する妹の前で張り切るアリアは、剣盾にセットされた7本のフォースセイバーを念動力で発射する。
 死霊兵の群れの中で7色の光剣たちが鮮やかな虹を描きながら乱舞し、骸骨たちを斬り裂いていく。これこそ、アリアの必殺技、【虹色飛翔七連剣(ラ・アルカンシェル)】であった。
「まだ終わらないわよっ!」
 さらに自身もピンク色のフォースの煌めきをまとい死霊たちへと突撃。衝撃波を放出しながら死霊兵の壁を突き破り、骨の残骸を撒き散らす。
「では、シェフィもお手伝いするといたしましょう。贄刻印、限定解放……」
 死霊兵を蹴散らすアリアを援護するため、シェラフィールも触手に命令を与える。学生たちの退路を確保していた触手たちが蠢き、死霊兵の群れの中へと突入していく。
「まあ、お嬢様も多少は巻き込まれるかもしれませんが、シェフィはお嬢様を信じておりますので」
 そう言って、ちゃっかりその場を離れるシェラフィールであった。触手を召喚しているときは本人は戦えないので仕方がないのである。うん。

「くっ、やっぱり、数が……多いっ……」
 衝撃波を放ちながら死霊兵の群れをなぎ倒していくアリアであるが、後から後から無尽蔵に湧いて出る死霊兵の数は減る様子がない。【虹色飛翔七連剣】も死霊兵を斬り裂き続けているが、倒した端から増援が現れる。さすがのアリアの顔にも、徐々に疲労の色が浮かんできていた。
「お嬢様、援護いたします」
「へっ?! ひゃあっ!」
 シェラフィールの声と同時に『淫虐卿の十二本の指』と『恍惚侯の八本の舌』が死霊兵に襲いかかり、無数の触手が死霊兵と、ついでにアリアに巻き付く。
「ちょっとシェフィちゃんっ?!」
「申し訳ありません、敵が多いので細かい制御が難しいものでして」
 そう言いながらも、シェラフィールはアリアの衝撃波で吹き飛ばされた触手を再召喚し再生させる。
「これ、私、抜け出せないんだけどっ!?」
「いま触手の数を減らしてしまうと、私が死霊兵に襲われてしまうのです」
 触手がぎちり、と死霊兵を締め潰す。同時にフォースに守られたアリアの身体を触手が這い回る。
「というわけで、もうしばらく耐えてください、お嬢様」
「む、無理ーっ!」
 こうして、アリアの尊い犠牲(?)のもと、死霊兵団の進軍を遅らせることに成功するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シン・ドレッドノート
連携、アドリブOK。
【SPD】で対応します。
敵の状況を把握し、要所にトラップを設置。学生の脱出ルートを確保しましょう。

「行け、チェイサー!」
【漆黒の追跡者】で召喚した漆黒の鴉を迷宮内に解き放ち、迷宮の構造と死霊兵軍団の位置を把握。必ず敵が通過するポイントで、幅が狭くなっているところに『ロープワーク』『罠使い』で足止めのワイヤートラップを設置。

さらに『破魔』の力で床に五芒星を描き、死霊兵の力を削ぎ、学生が逃げるための『時間稼ぎ』を行います。

万が一敵が接近してきたら【雷光閃く刹那の弾丸】で弾幕を張り、後退します。

女性の学生及び猟兵には特に優しく丁寧に。
地上に戻ったらお茶でもご一緒にいかがでしょう?


伊美砂・アクアノート
【SPD】【他猟兵と連携を図る】 ーーーさて、授業の時間といたしましょうか。 伊達メガネをかけて、柔和な女性人格を前に出し。 ええ、良いパーティーね。みんな優秀、連携も上々。将来に期待が持てるでしょうーーー此処で、うっかり全滅全員死亡とならなければ、だけれど。【結界糸・無風陣】【援護射撃5、見切り5、戦闘知識5、拠点防御2】 救助対象パーティーの周囲に、糸の結界を張り巡らせて
。全方位からの襲撃に対応する。……覚えておきなさい。ヒトはね、簡単に死ぬのよ。例外なく、私も貴方も。油断なんてなくても、準備が万端でも、運が悪ければボロ雑巾のように野垂れ死ぬ…。…ま、生きて帰ったら授業の続きをしてあげるわ


マスター・カオス
フハハハ…我が名は、グランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスターカオス!!

ほう…世界征服を企む災魔とは…偉大なるグランドフォースに競り合おうなどとは烏滸がましい!!

◆WIZ
言動からも凄く怪しいので、上手く言いくるめて【出師ノ鼓舞激励】の鼓舞を以って、自力で脱出の為に、戦力上昇の支援を行います。

失敗は成功の母とも言う…機会はまたある!
なればこそ、今ここで命を散らす必要もない。
粛々と速やかに撤退に全力を尽くし、後のことは、我々に任せるがいい!!
いいな? 帰るまでが迷宮探索だぞ!?



●階段へ
「あと少しで階段だ……」
 リーダーのマジックナイトの言葉を聞きながら、無言で歩を進める学生たち。その心には、自分たちを逃がすために戦ってくれている転校生たちの姿が浮かんでいた。そして彼らはようやく上層階への階段がある階段部屋に辿り着く。そこは柱が立ち並ぶ大広間となっており、多数の通路が周囲へ伸びている造りになっている。
「た、助かったニャ……」
 階段部屋に入ると同時に精霊術士が安堵の声を漏らす。
 が、その希望を嘲笑うかのように、別の通路から階段部屋に姿をあらわす存在がいた。
「ふふふ、私の死霊兵に任せておけば十分かと思っていたけれど、なかなかしぶといネズミのようね。まさか、あれだけの死霊兵の軍団から逃げ切るなんてね」
「な、何者だっ!」
 マジックナイトが突然現れた少女に警戒の声を上げる。一冊の魔導書を抱えた少女は、学生の目から見ても尋常ではない暗黒のオーラを放っていた。
「我が名は世界征服を企む悪の魔操術師レニオール! このまま地上に侵攻し、世界の覇者となる者よ!」
 適当な魔導書のページを開きながら、ポーズを決めて名乗りを上げる少女。
「というわけで、あなたたちには地上侵攻の前祝いとして、派手に散ってもらおうかしら?」
 階段は見えているというのに、目の前に現れた少女の迫力に圧倒され、学生たちは一歩も動くことができない。
 少女は眼前の空間に魔法陣を展開し、無数の死霊兵を召喚する。召喚された死霊兵は学生たちへと迫り――その足元に五芒星の魔法陣が光り輝いたかと思うと、先頭の死霊兵が灰となって消えていった。

「もうボスのご登場とは、少々気が早いのではありませんか?」
 すっと柱の影から姿を現したのは、破魔の力を持つ五芒星の魔法陣を設置した白装束姿の妖狐、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)である。彼が持つ真紅の狐が描かれたカード……破魔の魔法陣の起動符が青白い炎に包まれて燃え尽きる。
「この私の死霊兵を浄化するとは生意気ね! けど、この部屋には別働隊の死霊兵たちが……」
「ああ、あちらの通路から進軍してきている死霊兵たちなら、しばらくは来ませんよ? 私が設置しておいた罠にかかっていますから」
 迷宮に到着したシンは、【漆黒の追跡者】で呼び出した漆黒の鴉で迷宮の構造を調査し、死霊兵が進軍してきそうなルートにワイヤートラップを仕掛けていたのだ。これにより、本隊を回り込むように進軍してくる予定だった別働隊の死霊兵たちを大幅に足止めできていた。
「ならば、死霊兵を直接召喚するまでよ!」
 魔操術師レニオールの前に、さらに大量の死霊兵が召喚される。召喚された死霊兵たちは、学生たちに向かって前進を開始する。

 そのとき、階段部屋の広間に大きな声が響いた。
「フハハハ……、我が名はグランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスターカオス!! 世界征服を企む災魔とは……偉大なるグランドフォースに競り合おうなどとは烏滸がましい!!」
「なんですって? そちらこそ、この偉大なる魔操術師レニオール様に楯突くつもり?! 姿を見せなさいっ!」
 姿の見えない声の主を探すレニオール。
「ククク、いいだろう!」
 声とともに、部屋の柱の一本に横一文字の赤色の光の線が走る。フォースセイバーによって斬り裂かれた柱は、学生たちへ迫ろうとしていた死霊兵たちに向かって倒れていき……轟音とともに骸骨たちを押しつぶした。
 立ち込める土煙が晴れていくと、斬り倒された柱の後ろから白い仮面を被った人物が現れる。彼こそが声の主、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)である。

「生意気な仮面男ね! それならば、これでどうかしら!」
 カオスに自分と同じ匂いを感じたのか、苛立ったレニオールは再度魔法陣を生み出す。だが、今度の魔法陣が出現したのは学生パーティーの目の前。マジックナイト、竜騎士、ガジェッティア、精霊術士、それぞれの眼前に剣を振り上げた体勢の死霊兵が現れる。
 シンとカオスがいる場所と、死霊兵が現れた場所は、接近するには距離が離れすぎていた。かといって、死霊兵と学生の距離が近すぎるため、下手に飛び道具で攻撃することもできない。
 死霊兵の剣が一息に振り下ろされ斬り倒される――そんな光景を学生たちは想像した。
 しかし、実際にバラバラに斬り刻まれて崩れ落ちたのは死霊兵たちの方であった。

「――さて、授業の時間といたしましょうか」
 度が入っていない眼鏡をスタイリッシュに抑えながら、伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)が柱の影から現れた。そして、いまだに何が起こったのか理解していない学生たちに向かって柔和な口調で語りかける。
「あなたたちは優秀で連携も取れた良いパーティーね。将来に期待が持てるでしょう――此処でうっかり全滅なんてことにならなければ、だけれど」
 伊美砂は、学生たちを守るように張り巡らせていた極細の糸の結界【結界糸・無風陣】を操り、レニオールの魔法陣を斬り裂いて消滅させる。
「いまので実感したでしょう? ヒトはね、簡単に死ぬのよ。例外なく、ね」
 伊美砂の助けがなければ間違いなくその運命を辿っていたであろう学生たちは、その言葉を深く心に刻み、命を拾った奇跡に感謝する。
「ま、生きて帰ったら授業の続きをしてあげるわ」
「そういうことだ! 失敗は成功の母とも言う……機会はまたある!」
 カオスも学生たちに【出師ノ鼓舞激励】による演説をおこない、教えを授ける。
「なればこそ、今ここで命を散らす必要もない。粛々と速やかに撤退に全力を尽くし、あとのことは我々に任せるがいい!! いいな? 帰るまでが迷宮探索だぞ!?」

 伊美砂によって命の尊さを教えられ、カオスの言葉に激励された学生たちが、力強い足取りで階段を目指し始める。
 彼らの瞳にはもはや迷いはない。この迷宮から生きて帰る、それだけを考えていた。

「おっと、大丈夫ですか?」
 傷ついた竜騎士の少女がふらついたのを見てシンが支えようとするが、少女は自らの足で大地を踏みしめた。
「はい、大丈夫です。こんなところでは死ねませんから」
 傷だらけの身体とは思えない少女の力強い言葉に、シンは優しげな笑みを浮かべる。
「では無事に地上に戻れたら、お茶でもご一緒にいかがでしょう?」
「ええ、約束しましょう。楽しみにしてますね、あなたのおごり」
 笑みで返され、シンは一瞬言葉を失う。
「あ、おいしいお店なら知ってるニャ」
「はい、あそこの店の茶葉は一級品でございます。マスターも行かれますよね?」
「え? あ、ああ、もちろんだ! ……デートなんかさせねえからな」
 いつの間にか、学生全員におごることになったシンは、苦笑を浮かべ。

「これは、私も無事に帰らないといけませんね」
 シンはレニオールが新たに呼び出した死霊兵たちに【雷光閃く刹那の弾丸】による弾幕を張り、学生たちに近づけさせないよう牽制をおこなう。

「ヒトは油断なんてなくても、準備が万端でも、運が悪ければボロ雑巾のように野垂れ死ぬ……。けれど、貴方達が死ぬのは、少なくともここではないわ。この私が守るのだから」
 伊美砂が指先から放った糸の斬撃で死霊兵を斬り裂き。

「この私の実力、ほんの少しだけ見せてやろう……あっ、痛いっ!」
 ファンブルを振ったカオスが、死霊兵相手に苦戦していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 階段前の大広間にいる猟兵たちは、学生たちが階段の上に消えるのを見送った。それと同時に、迷宮内に散っていた猟兵たちも大広間へと戻ってきた。
 集まった猟兵たちの眼前には、魔導書を持つ少女、迷宮の主である魔操術師レニオールが立っている。

「この私の世界征服の野望を邪魔しようと言うなら、まずはあなたたちから消してあげるわ!」
 レニオールは手にした魔導書を開くと呪文を唱えて、部屋を埋め尽くさんばかりの大量の死霊兵を召喚した。

 死霊兵軍団の本隊や別働隊の足止めには成功したものの、その兵力も刻一刻と階段部屋へと向かってきつつある。もし合流されたら、いかな猟兵たちでも圧倒的な物量差を押し返すことはできないだろう。
 そうなれば、レニオールの地上侵攻を許すだけでなく、階段の上にいる学生たちの命も危ない。
 最悪の事態にならないように、召喚された死霊兵たちを倒し、魔操術師レニオールを撃破する必要がある。猟兵たちよ、まずは魔操術師レニオールを守るように布陣する死霊兵を倒すのだ!
 死霊兵の一体たりとも、階段をのぼらせてはならない!
シン・ドレッドノート
連携、アドリブOK。
【SPD】で行動します。

これ以上増えると厄介です。
急いで死霊兵を殲滅して、レニオールを撃破する必要がありますね。
「早く地上に戻って皆さんとお茶をする約束がありますし」

「数が多いだけなら、片っ端から撃ち抜いていくだけです」
【雷光閃く刹那の弾丸】を使用。
【乱舞する弾丸の嵐】で複製された右手の真紅銃と左手の精霊石の銃を周囲に展開、クイックドロウで一斉発射します。

敵とは距離をとって攻撃。接近戦を行う味方が取り囲まれないよう援護射撃を行いつつ、敵の数を減らしますね。

弓による攻撃が来た場合は左手の甲に装備した閃光の魔盾のビームを展開、受け流すと共に、カウンターの射撃を撃ち込みます。


リリスフィア・スターライト
数で押される前に護衛の死霊兵達を蹴散らす必要がありそうだね。
天体破局による炎の嵐でまとめて焼き払うようにしたいかな。
威力があるぶん、周りも巻き込みやすいし仲間が被害にあわないよう
発動のタイミングには注意して敵だけが集まっている地点を狙うよ。
突破されそうな状況なら剣で応戦して突破を阻止するね。

「今なら加減する必要はなさそうだね」
「殲滅力なら負けたりしないよ」


シェラフィール・ディー
アリアと連携

「さて、これで遠慮なく……」
もはや不要と触影を切り捨て、依然迫りくる死霊兵に相対
視線を隣のお嬢様へ向け――…なんですかそのバチコーン☆なウィンクは
…まぁ、やる気はあるのは結構で御座います

敵陣に無防と思えるような突貫。とはいえ、無策では当然御座いません
【風華剣】。お嬢様の薔薇のそれとは違う百合の花弁を模したフォース力場の乱舞
さながらの花吹雪は『生命力吸収・呪詛・誘導弾』…触れた死霊の兵を二度と蘇らせぬ塵芥へとせしめましょう


アリア・ティアラリード
シェラフィールと連携

「いくら可愛い子でも、世界征服なんてお姉ちゃん絶対許しません!」
押し寄せる死霊軍団相手に対峙すると、隣のシェフィちゃんと目配せ
可愛い可愛いシェフィちゃんと目が合っただけでお姉ちゃん幸せパワー全開
【気合い】満点やる気【鼓舞】され負ける気なんてしませんっ

周囲を取り囲む死霊の群れに【挑発】的な笑みを浮かべて二人で突撃
シェフィちゃんと背中合わせにくっつき、すぅと一呼吸
【範囲攻撃・なぎ払い・衝撃波】で放つ《風華剣》

「「切り裂け、私/シェフィの花びら達っ!!」」

最愛の義妹シェフィちゃんと踊るようにシンクロして放つ
吹き荒れるフォースの花弁は一気に周囲を殲滅!
さぁ、残るはレオニールだけです


伊美砂・アクアノート
【SPD】 【2回攻撃5、フェイント5、拠点防御2】……へっ。寡兵で大軍を相手にするのが、戦の華ってモンさ。マチェット(鉈)を腰から抜き放ちーーー宣言してやろう。此処から先は死線だぜ? 他猟兵の動きを見つつ、突破されそうな地点に移動して食い止める遊撃役になる。……オレ、ビミョーに器用貧乏な性でね。ま、手練手管をとくとご覧じろ…! 【ロープワーク2、敵を盾にする2】片手で鉈を振るいつつ、もう片方の手は分銅鎖で敵を絡め取る。…ホントは対人用の技なんだがな。オレの間合いは、見た目よりも広いぜ? レニオールには、不敵にニヤリと笑ってみせる。表情も人格も思考も武器も、可変に使い分けるのがオレだぜ。


マスター・カオス
フハハハ…世界征服の野望と言う割には、部屋を埋め尽くさんがばかりの無駄に数ばかりの配下だな…全く、近頃の若者は様式美というものがない!

どれ…私が一つ教授してやろう!!

自らの野望を魅せるならば、自らがあくまで中心であること!
最早、戦争でないにも関わらず、数の方で目立ってしまった事こそ愚策!
故に、適度な数を率いて戦うことこそ至高よ!!
さぁ、かかれ【オリュンポス戦闘員】よ!
世界征服を企む戦闘員の戦い方というやつを教えてやるのだ!!

死霊兵に戦闘員を嗾け、レニオールを護る為の布陣を崩す切っ掛けをつくります。




 大広間には、猟兵たちの視界を埋め尽くさんばかりの死霊兵たちがうごめいていた。その死霊兵の大群を呼び出した少女――魔操術師レニオールが魔導書を片手に嗜虐的な笑みを浮かべる。
「ふふふ、さあ、いったい何分耐えられるかしらね?」
 前衛の死霊兵が剣を構え、後方からは弓を引き絞る音が聞こえてくる。
 レニオールは死霊兵たちの最後方に位置取り、優雅に戦いを見物するつもりのようだった。
「せいぜい、私を楽しませてもらおうかしら」
 レニオールの合図とともに、死霊兵たちが放った矢が放物軌道を描いて雨のように猟兵たちに降り注ぐ!

 しかし、その程度の攻撃に怯む猟兵たちではなかった。
「先制の遠距離からの射撃とは、指揮官に率いられた兵は厄介ですね。……ですが、その分動きが読みやすいということです」
 死霊兵たちの射撃にいち早く反応したのは、遠距離戦の専門家であるブラスターガンナーのシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)だ。
 敵の射撃攻撃を予期していたシンは、左腕に装着した『閃光の魔盾<アトラント>』を発動。魔盾から眩く輝く光が展開され、味方の前方を覆うように不可視の障壁を形成する。
 シンが張ったフィールドによって跳ね返され、虚しく地面に突き刺さる矢。飛来した矢の雨は一本たりとも猟兵たちの身体に届くことはなかった。

「これはお返しです」
 矢の雨が降り止むと同時に、シンは『真紅銃<スカーレット・ブラスター>』と『精霊石の銃』を複製する。シンの周囲に浮かぶ50を超える銃。
「攻撃を防いでくれて助かったよ。私も手伝うね」
 銃を展開するシンの隣に並んだのは、魔法剣を構えたマジックナイトのリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)である。
 リリスフィアが緋色に輝く魔法剣を死霊兵の群れに向かって突きつけると、その切っ先に眩いばかりの魔力の光が集まっていく。
「大技を使うには、味方を巻き込む心配がない状況……乱戦になる前が一番だからね。私の殲滅力を見せてあげるよ」
「ええ、ここは一気に敵の数を減らすとしましょう」
 敵陣に向けて魔力を集中させるリリスフィアに合わせ、シンが銃の照準で敵をロックオンしていく。
 二人の行動を見て、二の矢をつがえようとしていた死霊兵たちが動きを止めるが、もはや手遅れ。
「唸れ雷光、轟け嵐、渦に飲まれ、全てを灰燼に帰せ! 【天体破局(スフィア・カタストロフィ)】!」
「ターゲット、マルチロック。【雷光閃く刹那の弾丸(ライトニング・バレット)】!」
 死霊兵が布陣する中心にリリスフィアの【天体破局】による炎の嵐が吹き荒れ、骸骨の兵士を灰にして躯の海へと還していく。そこはさながら灼熱地獄の様相を呈していた。
 【天体破局】の効果範囲から逃れた死霊兵たちも、シンの対軍技【雷光閃く刹那の弾丸】から放たれる銃弾の嵐によって精密に頭蓋骨を撃ち抜かれ、消滅していく。
 炎と銃弾の嵐が収まったあとには、死霊兵たちの陣形は完全に崩されていた。
「さすがに全部倒すのは無理だったかな」
「ええ、ですが、味方の突破口は開けました。このまま乱戦になれば敵も弓矢での遠距離攻撃をしづらくなるでしょう」
 二人の攻撃により死霊兵軍団の数を減らすことに成功し、味方の突破口を開くことに成功したのだった。

「くっ、こんな迷宮内で大規模魔法を使うなんてっ! でも、まだまだ兵はいるわよ!」
 軍勢の陣形を立て直そうとするレニオール。だが、その隙を与える歴戦の猟兵たちではない。
「フハハハ……戦いというものが数だけで決まるものではないということを教えてやろう! さぁ、掛かれ! オリュンポスが誇る優秀な戦闘員の諸君よ!!」
 マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)が高らかな笑い声を上げると、どこからともなく白い仮面と黒タイツ姿の戦闘員たちが現れる。その数は約20体。死霊兵に比べたら少数と言わざるを得ない軍勢である。
「我が戦闘員たちよ、シンとリリスフィアが大技で作ったチャンスを逃さず、敵陣に斬り込みレニオールまでの道を切り開くのだ!」
「その程度の軍団で私の死霊兵にかなうと思って?」
 カオスの指示に従い突撃してくる戦闘員を見てもレニオールは余裕の態度を崩さない。死霊兵軍団の数に絶対の自身を持っているのである。
 だが、敵陣への斬り込みに新たに加わる猟兵たちがいた。アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)とシェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)である。
 アリアが『シェフィちゃん、タイミング合わせて突撃しますよ!』と片目を瞑ってアイコンタクトを送れば、アリアの腹違いの妹でありメイドとして仕えるシェラフィールは以心伝心とばかりに『なんですか? そのバチコーン☆なウィンクは? 目にゴミでも入ったので御座いましょうか?』とアリアの意図を汲み取り……あれ?
 ともあれ、作戦が通じたと思って敵陣に突撃するアリアと、その突撃を想定して援護にまわるシェラフィールの動きは、まるで事前に打ち合わせをしていたかのような完璧な連携をみせる。二人の絆の間には、もはやアイコンタクトなどを超えたコミュニケーションが成立していた。
 愛する妹の援護を受けたアリアが振るう光剣は冴え渡り、次々と死霊兵を薙ぎ払う。
 アリアに斬りかかろうとする死霊兵はシェラフィールの持つ藤色の大太刀によって斬り裂かれて黒い霧となって消滅していく。
 躯の兵士たちの中心で舞い踊る美しい姉妹。その周辺では、カオスの指示によりツーマンセルで戦う戦闘員たちが着実に死霊兵を倒していっていた。
「ちょっと、あなたたち! あの程度の数の相手、さっさと倒しなさいっ!」
 レニオールが死霊兵たちに叫ぶが、浮足立った死霊兵たちは右往左往するのみ。レニオールに指揮官としての器があればまた違ったのであろうが、彼女は所詮はいち魔術師に過ぎなかったのである。
「ククク、レニオールよ。世界征服を企む者の先輩として、お前が犯した間違いを指摘してやろう。それは戦いは数だと勘違いし自らの指揮能力を超えた兵を呼び出してしまったことだ!」
 カオスは戦場を舞い駆けるアリアとシェラフィールを指し示し。
「見よ、あの息の合った二人を。戦場では、有象無象の雑兵の群れよりも、息の合った二人の方が……強い! 覚えておくことだ、何か掴み取りたいものがあるならば、自らが中心とならねばならんことを。あの二人のように、な!」
 言い終えたカオスは戦闘員に一時後退の指示を出す。それは、姉妹の動きから狙いを悟ったがゆえの指揮官としての洞察力。
「私の無敵の軍勢が負けるわけがないわ! あんな二人、全軍をもって押しつぶしなさいっ!」
 一方、状況の見えていないレニオールは、全軍に突撃命令を出した。
 迫りくる死霊兵を前に、背中合わせに立ったアリアとシェラフィールがお互いを見ることもなく動きをシンクロさせる。
「舞い散りなさい、紅薔薇たち!」
「舞い散れ、白百合」
 アリアの光剣がフォースの光で作られた紅薔薇の花びらに、シェラフィールの大太刀がフォースの光で作られた白百合の花びらへと変化する。
 【風華剣】――ブロッサム・ブレード・ローズとブロッサム・ブレード・リリィと名付けられた姉妹技によって生成されたフォースの花びらは、さながら花吹雪のように二人の周囲を舞い踊る。
「「切り裂け、私(シェフィ)の花びらたちっ!!」」
 背中合わせで舞うようにフォースを操る二人の周囲を花びらが吹き荒れる。紅白の嵐はその範囲を一気に広げ、周囲の死霊兵たちを切り刻み灰燼へと帰すのであった。
「さぁ、残るはレニオールだけです! 世界征服なんて、お姉ちゃん絶対許しません!」
「お嬢様の仰せのままに」
 レニオールへと剣を向けるアリアとシェラフィールであった。

「そんな……私の無敵の軍団が……!? くっ、あなたたち、私を守りなさいっ!」
 猟兵達によって壊滅的打撃を受けた死霊兵たちを手元に呼び戻そうとするレニオール。
 しかし、そのレニオールへと肉薄する猟兵がいた。階段を目指して進軍してきていた死霊兵を遊軍として撃破していた伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)である。
「おっと、ちょっと判断が遅いな、アンタ。カオスのダンナが言うように、指揮官としては三流だな」
 多重人格のうち遊撃戦に向いた人格を表層に出しているため、伊美砂の口調や表情は、先程までの柔和なものから荒々しいものに変わっていた。
 当然、戦い方も変化しており、レニオールを守る親衛隊と思しき一回り大きな死霊兵にマチェットを叩きつけて躯の海へ還すと、別の死霊兵に分銅鎖を絡ませて動きを封じつつ、飛来する弓矢からの盾とする。
「戦場の戦況ってのは、常に動くもんだ。それに臨機応変に対応できないアンタは、やっぱり世界征服の器じゃないんじゃないかね」
「くっ、ありとあらゆる魔導を習得した私が、指揮官として優秀じゃないわけがないわ! こんな女、一気に叩き潰してしまいなさいっ!」
 伊美砂の言葉に激昂したレニオールが、ついには親衛隊の死霊兵たちも総動員してきた。
「フハハハ……、だからお前は指揮官として無能だというのだ。状況を見極めずに兵を動かすなど愚の骨頂!」
 伊美砂に迫る死霊兵の一体を、カオスの振るうフォースセイバーが切り裂く。
「私のことも忘れないでほしいね」
 リリスフィアが手に持つ魔剣でレニオールを守る死霊兵を薙ぎ払う。
「くっ」
「おっと、逃しませんよ!」
 間合いを取ろうとしたレニオールの足元にシンの放った銃弾が命中し、足止めをおこなう。
 その隙を突いて伊美砂の手から分銅鎖が放たれ、レニオールがそれを回避する。だが、伊美砂の顔に浮かぶのは不敵な笑み。
「へっ、オレ、ビミョーに器用貧乏なんだけどな、手練手管には自信あるんだわ」
 引き戻されてきた分銅鎖。その尖端にはマチェットが括り付けられており……。
 レニオールが手に持つ魔導書にマチェットによる大きな傷が付けられたのだった。


「そんな、私の魔導書がっ!」
 悲鳴に近い声を上げるレニオール。その手に持った魔導書に付いた傷から青白い魔力の光が大気に零れ、拡散していく。
 それと同時に、広間に残っていた死霊兵たちが姿を消し躯の海へと還っていく。魔操術師レニオールが長い時間をかけて貯めた、死霊兵を無尽蔵に呼び出す魔力はこれで失われたのだ。
 迷宮内を進軍していた死霊兵の軍団も次々と消滅していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『魔操術師レニオール』

POW   :    コール・ザ・バウンデン・ソウル
【ダンジョンで息絶えた冒険者】の霊を召喚する。これは【噛みつき】や【羽交い絞め】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    アンロック・ザ・ダンジョン・モンスター
【開いた魔導書のページ】を向けた対象に、【ページから飛び出るモンスターの体の一部】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ブラッド・アンド・アシッド
戦闘用の、自身と同じ強さの【吸血コウモリ】と【強酸スライム】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「くっ、よくも私の死霊兵軍団を……」
 ぎりっと悔しげに顔を歪める魔操術師レニオール。
「こうなったら、私自らの手であなたたちを始末してあげるわ! 死霊兵たちよ、その未練に満ちた魂をこの私に捧げなさい!」
 魔導書を掲げたレニオールに、迷宮のフロア中から青白い光が集まり、その体内に取り込まれていく。
 膨大な光を取り込んだレニオールの身体から強烈な漆黒のオーラが吹き上がる。

「ふふふ、初めからこうしていればよかったかしら。死霊兵などに頼らず、この私が自ら地上に顕現し、支配者になるという方法で、ね」
 死霊兵の召喚に使っていた魔力を回収し、さらに死霊兵の魂を取り込むことによってパワーアップを果たしたレニオール。その力は、まさに迷宮フロアの主の名に相応しいものだった。
 だが、魔操術師を地上に行かせるわけにはいかない。なんとしても、ここで倒すのだ!
伊美砂・アクアノート
【WIZ】【囮役として敵の注意を引きつける】(……うっかり敵の魔導書に傷をつけてしまったのだから、作戦Bなのだわ。頑張って相手を怒らせるのだわ)ーーーはッ。意志もねぇ傀儡の軍団すら遣えねぇ、そんな非才が吠えてもなぁ? なぁ、お山の大将が精々の、お人形遊びが好きなお嬢ちゃん…っと!【戦闘知識5、見切り5、第六感4】とにかく、敵の初撃を自分に向けるよう挑発。鉈を肩に担ぎ、不敵な笑みすら浮かべてみせる……此処で、冷静に戻られても困るのよ。あくまで一時の激情で、一手打ち間違えてもらわないと。【投擲5】タロットカードを自在に操り、投擲。……予定調和である。貴様の運命は、既に絵札によって示された…!


シン・ドレッドノート
アドリブ連携何でもOK!
最初から死霊兵団なんて使わないで、と言うところには同意しそうな。
強そうになられたので、こちらも全力で討伐させていただきましょう。
「後で皆さんとお茶をする約束もありますからね」

死霊兵相手には派手な大技を撃たせていただいたので、今回はスナイパーで援護射撃をメインに行動します。

【真紅の狙撃手】を発動。
【乱舞する弾丸の嵐】で複製した銃で、【異次元の狙撃手】による狙撃&行動阻害を行います。

手持ちの銃でレニオールを狙撃しつつ、召喚されたモンスターや霊は複製した銃で一体ずつ迎撃。
特に霊については破魔の力を込めた光弾で五芒星を撃ち込み、成仏させます。

攻撃は閃光の魔盾で受け流しますね。


アリア・ティアラリード
シェラフィールと連携

「あ、確かに最初からそうして頂ければ楽でしたね!」
自嘲めいたレニオールのぼやきに「ぽん」と両手を合わせて同意
隣のシェフィちゃんが何だか突っ込み目線な気がしますがきっと気のせいです
…そ、そんな事より今は目の前の敵っ
しかし目前の魔女ッ子は到底侮れるような敵ではなく…

覚悟を決めると、ピンクに煌めくフォースセイバーを抜き
渦巻く死霊の魂をフォースのライトサイドで破魔し切り込みます
残像を残し華麗なステップで見切り、隙を見て《量子鍵刃:縛鎖》!
いかに強力な魔力を得ていようとこの束縛からは逃れられません
持ち前のお姉ちゃんパワーは超怪力!
シェフィちゃんの一撃への準備は万全ですっ


シェラフィール・ディー
アリアと連携

「油断なさらずに――…している訳ではないのはわかっているのですが…」
万事がこの調子なのですお嬢様
心労ご察し頂きたい所ですが、それはともかく
「切り札を切ってきたということはいよいよ追い詰めたといえましょう」
それだけに、こちらも全力で対処致します

【呪印王権:黒宝戴冠】
真の姿。呪印の『封印を解き』『呪詛』で編みこまれた…黒い(際どい)レースレオタードとヴェール。
誘われ湧き出す触影を従える花嫁姿で、刀を抜き放ち…
「参ります」
瞳にピンクの燐光を『残像』と伸ばし、一気に『ダッシュ』
死霊の残骸とフォースの花弁を舞い上げつつ
…お嬢様が作った隙。そこに防御を考えぬ『捨て身の一撃』を叩き込みます――!


リリスフィア・スターライト
他の猟兵達と協力して戦うよ。
ようやく親玉が姿を現したみたいだし、
後は全力で撃退するだけだね。
レニオールが召喚した敵をある程度
引き付けてから無色変換で透明化した
スタンナイフをレニオールに向けて投げつけて
一つでも傷を与えて召喚を解除させるよ。
透明化できる時間も限られているし動作や
物音で見破られないよう最初に
透明化していないナイフをレニオール本人または
召喚された敵に投げつけて注意を反らしてから
本命を投げつけるようにするつもりだよ。
首尾よく召喚された敵が消えたのなら仲間と連携して
一気に剣を手に接近をしかけて勝負を決めるよ。

「一瞬でもチャンスは逃さないよ」
「悪いけれど支配者には向いていないと思うよ」


マスター・カオス
フハハハ…愚かなり!
世界征服を掲げる者が自ら手を下すのは負ける前の常套句というものだ!!
お前程度の存在では、グランドフォースが出る幕までもなく…、その大幹部である私の前ですら足元にも及ばない!!

同じく、世界征服を掲げる存在感と同族嫌悪的な意味で、無視できないように敵を挑発するだけ挑発して攻撃の優先順位を誤認させつつ、同時に『法螺吹キハ全知全能』を発動し自身に敵の注意や攻撃を向けさせるようにしておきます。

さぁ、戦闘員(猟兵)たちよ!
私に代わり、其処のぽっと出の三下を見事に打ち倒すのだ!!(他力本願)




「はッ。意志もねぇ傀儡の軍団すら遣えねぇ、そんな非才が吠えてもなぁ? なぁ、お山の大将が精々の、お人形遊びが好きなお嬢ちゃん……っと!」
「ふぅん? どうやら、貴女から殺されたいようね? 私の大事な魔導書に傷を付けてくれた手品師さん?」
 魔導書を斬り裂いた鉈を見せつけるかのように片手でくるりと回しつつ、不敵な笑みを浮かべる伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)。伊美砂は荒っぽい言葉遣いでレニオールに言葉を投げかける。
 明らかに挑発とわかる言葉だが、レニオールは魔導書を傷付けられて怒り心頭である。強大な魔力を得て慢心している彼女はあっさりと焚き付けられ、殺気のこもった瞳を伊美砂に向けつつ魔導書の頁を繰る。
「ふふふ、私の吸血コウモリに血を吸われ、強酸スライムに生きながら溶かされて後悔するといいわ!」
 レニオールの前に召喚されたのは、一度刺さったら抜けないように逆棘状になった牙を持つ巨大コウモリと、迷宮の床を体液で溶かしながら這いずる不定形生命体。
(魔導書を傷付けて死霊兵を封じたのはいいけれど、それで敵を追い詰めすぎてしまったのは私のミスね。ここは作戦Bで相手を怒らせるのだわ)
 別人格を演じてまで伊美砂はレニオールを挑発する。その背中に冷たい汗が一筋流れるが、感情を完全にコントロールし不敵な笑みを崩さない。
「伊美砂さん、無茶です! ここは全員でかかりましょうっ!」
「ええ、女性だけを危険な目に遭わせるわけにはいきません。私も援護を……」
 リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)とシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)がサポートしようと前に出るが、一瞬振り向いた伊美砂の視線を受けて動きを止める。
(有り難いけれど、レニオールには何としても一時の感情で一手打ち間違えてもらわないと。それには、相手の怒りを買いやすい私が適役。あなたたちの手は次の一手に取っておいて……)
 強い意志を込めた視線から、二人は伊美砂の決意を汲み取る。
「へっ、そんなバケモンの力を借りないと何もできねぇとは、魔操術師サマが聞いて呆れらぁ。おっと、それとも、サーカスの猛獣使いサマだったかな?」
「言わせておけば、この女っ! コウモリ、スライム、やってしまいなさいっ!」
 激昂したレニオールの命令に従って、吸血コウモリと強酸スライムが伊美砂に襲いかかった。
「くっ……」
 巨大コウモリの牙が肩を掠め、強酸スライムが触れた肌を焼かれ、伊美砂は苦悶の声を上げる。
「伊美砂さんっ、今助けにっ……」
「お嬢様っ、伊美砂様のお覚悟を無駄にしてはなりません」
 コウモリとスライムに襲われる伊美砂を見ていられなくなったアリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)が光剣を抜いて駆け出そうとするのを、妹のシェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)が悲痛な顔で押し止める。
(そう、これでいいのよ……。激情に流されて私だけしか見えなくなったことが、レニオールの敗因になるのだから……)
「宣告しましょう、貴女の運命は、この絵札にて断ち切られるのだわ」
 コウモリとスライムに襲われながらも、伊美砂はレニオール本体を狙ってタロットカードを投擲する。レニオールの足元の床に突き刺さったカードに描かれるは『塔』のイラスト。
「きゃ、きゃああっ!」
 『塔』のカードから迸った雷撃がレニオール本体を撃ち、開いていた魔導書の頁を焼き尽くす。それにより現界を維持できなくなった吸血コウモリと強酸スライムが霧となって消えていった。
「ふふ、貴女の運命はその絵札によって示された……。皆さん、あとは任せたのだわ……」
 傷を負った肩を押さえながら、伊美砂は仲間に後を託したのだった。

「くっ、一度ならず二度までも、私の大事な魔導書に傷を付けるなんてっ! 消し炭にしてあげるわっ!」
「フハハハ……愚かなり!」
 止めを刺そうと伊美砂に魔導書の頁を向けるレニオールに対し、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)が哄笑を上げる。彼こそが、猟兵たちの中でもっとも正確に伊美砂の意図を汲み取っていた。
「あら、愚かとはこの天才魔操術師である私のことかしら?」
「然り。お前程度の存在では、世界征服を企む秘密結社の大幹部である私の足元にも及ばない!」
 伊美砂によって頭に血が上っているレニオールは、カオスの安い挑発にも簡単に乗ってしまう。
 レニオールが魔導書の頁を開くと、そこから青い魔力で編まれた魔法陣が浮き上がる。
「そこの女の前に、貴方が塵になりたいようね! 現れなさい、迷宮を彷徨う亡者よ! 今度は死霊兵のように数は出せないけれど、一体一体は強力な怨霊よ?」
 魔法陣から現れるは、ニ体の冒険者の霊。剣を装備した騎士と、メイスを持った戦士。
 現れた怨霊たちは、カオスに向かって剣とメイスを構える。
「フハハハ! 今の私と争うのはオススメしないぞ?」
「生意気なっ、そんなに消えたいなら望み通りにしてあげるわっ!」
 苛つくレニオールの指示により、怨霊たちは一瞬でカオスの左右を取り囲み逃げ道を塞ぐ。その洗練された動きは、彼らが生前は一流の冒険者であったことを伺わせた。一対一での戦いでも猟兵たちと互角に渡り合うことだろう。
「速いっ!?」
「カオスさんっ!」
 シンとリリスフィアが怨霊たちの実力を見て驚愕の声を上げる。
 そして、怨霊の神速の剣がカオスを斬り刻み、鈍重なメイスがカオスの立っていた場所に大きなクレーターを穿った。
「そんな……、カオスさんがっ!」
「お嬢様、カオス様の仇は必ずとりましょう」
 アリアとシェラフィールが目を伏せながら呟く。
「フハハハ……その程度の攻撃でこの私を倒せるとでも思ったか!?」
 だが、怨霊の攻撃に倒れたと思われたカオスの高笑いが部屋に響き渡った。
「なっ!? 私の怨霊たちの攻撃を耐えきったというのっ!?」
 穿たれたクレーターの中に立つカオスの無事な姿を見たレニオールが余裕の表情を崩す。
 怨霊たちによる攻撃を受ける瞬間、カオスは【法螺吹キハ全知全能(ゴッド・ゼウス・アイールティス)】を発動し、あらゆる攻撃を防ぐフォースで身を守ったのだ。
「ならば、もう一撃……」
 レニオールは怨霊たちに再度命令を下そうとする。
 身を守るフォースの輝きが消えたカオスには、もはや攻撃を防ぐ手立てはない。

「伊美砂さんとカオスさんが身体を張って作ってくれたチャンス、狙い撃たせてもらいますよ!」
 だが、レニオールが怨霊に命令を出す瞬間を狙って、シンの【真紅の狙撃手(スカーレット・スナイパー)】が発動した。
「貫け、真紅の衝撃!」
 シンの周囲に50丁以上に複製された『真紅銃<スカーレット・ブラスター>』と『精霊石の銃』が浮かび、レニオールに向かって一斉に三連発の紅い銃弾を放つ。銃口から放たれた弾丸は、計算されつくされた軌道に沿って飛翔し、銃弾同士が衝突、跳弾を繰り返し、予測不可能な弾道で弾丸の嵐を形成。レニオールに迫る。
「くっ、本の魔物よ、私を守りなさいっ」
 迫りくる銃弾の嵐に向かって、レニオールが魔導書の頁を開く。そこから現れたのは巨大な骸骨。その身が銃弾の嵐に晒され崩壊していきながらも、召喚主の身を守り抜く。
「よくもやってくれたわね……」
「まだ終わりじゃないよっ」
 シンによる銃弾の嵐の後ろからレニオールに迫っていたのはリリスフィアであった。その手に持った真紅の刀身の魔剣でレニオールの魔導書を斬り裂こうとする。
「くっ、これ以上、魔導書は傷付けさせないわっ!」
 レニオールは、とっさに後ろに飛び退き間合いを取ろうとする。
「その動きは読んでたよ!」
 リリスフィアは、その手に持ったスタンナイフをレニオールに向かって投擲。
「こんなものっ!」
 レニオールが掌から魔力弾を放つ。飛翔する魔力弾がナイフを迎撃した……かに見えた。だが、魔力弾が撃ち落としたのは、リリスフィアが囮として放ったナイフ。本命は囮に続けて放たれていた【無色変換(インブジブルシフト)】によって透明化されたナイフである。
「目に見えているモノだけが全てとは限らないよ。きちんと自分の目で現実を見極めることだね」
「なっ……!?」
 透明化されたナイフが、レニオールが持つ魔導書に吸い込まれるように突き刺さった。
 青白い炎に包まれながら、灰になっていくレニオールの魔導書。
「そんなっ、私の魔導書がっ!?」
 魔導書が消滅すると同時に、カオスを襲っていた冒険者の怨霊が光の粒子へと変じ、天に昇っていく。
「冒険者の魂も、魔操術師の戒めから解き放たれたみたいだね」
 魔導書を失ったレニオールに向かって魔剣を構えるリリスフィアであった。

「今なら分かるわ、伊美砂さんとカオスさんが身体を張ってまで、あなたを挑発した理由が!」
「ええ、全ては貴女に冷静な判断をさせず、悪手を打たせ続けるため」
 アリアとセラフィールの姉妹が剣を構えながらレニオールに言い放つ。
「まさか、すべて計算だったと……!?」
「ええ……、こんなにあっさり引っかかってくれるとは……思わなかったですけどね……」
 傷付いた身体で伊美砂がにやりと笑う。
「うむ、指揮官たるもの、配下に適切な指示を出すことこそが責務。それが満足にできぬようでは、世界征服など夢のまた夢よ!」
 カオスもまた尊大な態度でレニオールに告げる。
「伊美砂さんへの怒りの余り攻撃の要であるコウモリとスライムを失い、また守りの要である冒険者の怨霊をカオスさんが引きつけてくれたおかげで、私もあなたを狙撃しやすくなりました」
「そして、切り札である本の魔物さえいなくなれば、魔導書を破壊するのも簡単だよ。悪いけれど、あなたは支配者には向いていないと思うよ」
 シンとリリスフィアによって、レニオールは指揮官としての失敗点を指摘されるのだった。

「私の世界征服の野望が、こんなところで終わるはずがないわっ!」
 瞳を魔力で青白く輝かせながら、レニオールが叫ぶ。その手にはまるで地上に顕現した太陽の如き灼熱の球体が浮かぶ。
「私を愚弄する者たちは、塵一つ残さず消え去るがいいわっ!」
 レニオールの手から放たれた極光が猟兵たちへ迫り着弾。迷宮の床を蒸発させて下層階まで続く大きな穴を穿った。
「ふ……ふふふ……、私を虚仮にするから、こうなるのよ! 思い知ったかしら!」
 立ち込める噴煙に向かって、レニオールは勝ち誇った笑みを浮かべ……。
「ふえー、さすが、世界征服を企むというだけはありますね。すごい威力ですね!」
「お嬢様、もう少し緊張感をもっていただけませんか? 無理ですかそうですか」
「なっ……!?」
 砂埃を突っ切って姿を現したアリアとセラフィールに驚愕の表情を向けた。
「そんな、私の全力の魔法をかわしたというのっ!?」
「最初からその全力でかかってこられたら、ちょっと苦戦したかもしれませんが」
「ご自分では気付いておられないようですね。魔導書がないせいで、魔力の収束効率が甘くなっていますよ。そのような攻撃にやられる者は一人もおりません」
 シェラフィールの言葉に、レニオールが周囲を見回せば、極光の魔法をフォースによって防いだカオスが(まだフォースの加護が効いていて動けないので)微動だにせず腕を組んだまま仁王立ちし高笑いをする。
「フハハハ……その程度の攻撃が、この私に通じるとでも思ったか!」
 さらに魔力を相殺して無効化したリリスフィアがレニオールへと透明化させたスタンナイフを投擲。
「初めから全力を出さない慢心が、あなたの敗因だよ」
 不可視の短剣をなんとかかわすものの、レニオールは体勢を崩す。
 そこに伊美砂を抱えて飛び退いたシンが空中に銃を展開しながら銃弾を放った。
「皆さんとお茶をする約束を守るためにも、無事に帰らなければなりませんからね」
「その程度っ!」
 体勢を崩しているレニオールは回避が不可能と判断して魔力障壁を張り銃弾をことごとく弾いた。
 だが、想定通りという表情を浮かべるシンの笑みを見て彼女は己の失策に気付く。

 ここまでのレニオールと猟兵たちとの攻防は、伊美砂が読み切り、カオスが継ぎ、シンとリリスフィアによって展開された最後の一手へ繋ぐための布石であった。
 今こそ、猟兵たちの手によって、レニオールへのチェックメイトがかかるとき。
「みんなが繋いでくれたチャンス、逃しませんっ!」
 薄桃色のフォースの光に煌めく光剣を構え、アリアがレニオールに切り込んでいく。残像を残すほどの速度でステップを踏んで迫るアリアに対し、レニオールは両手を伸ばし、再度魔力障壁を展開した。
 だが、【量子鍵刃】へと変じたアリアの光剣は時空や次元を超越する。魔力障壁を『存在しないもの』として貫通し、光剣はレニオールを縛鎖で封じる。
「そんなっ、私の魔力障壁を破るなんてっ!?」
「ふふん、【量子鍵刃:縛鎖(クァンタム・リストレイント・チェーンリンク)】からは何者も逃れられないのですっ! いまです、シェフィちゃんっ!」
「承知いたしました、お嬢様。それではシェフィも切り札を切らせていただきましょう」
 シェラフィールが呪印の封印を解くと、その身が繊細なレースに彩られたレオタードとヴェールに包まれる。妖艶な色香を出しながら触手の群れを従える花嫁姿は、シェラフィールがこの世の理の埒外にある存在、猟兵である証たる真の姿であった。
「な、なんなの、その姿……その魔力……! 地上にこんな相手がいるなんて聞いてないわよっ!」
 シェラフィールの放つ気迫に圧されたレニオールが狼狽した声をあげる。
「参ります」
 短い一言。
 シェラフィールにとって、もはやレニオールにかけるべき言葉は存在しない。
 抜き身の刀を持ち、瞳の桜色の燐光を残像としてたなびかせながら、レニオールを一閃。
 一瞬遅れてフォースの桜吹雪が巻き起こり。
「わっ、私が負けるなんて、そんなはずはっ!」
 断末魔の叫びとともに、レニオールの姿は霧となって消えたのだった。

●エピローグ
「みんな無事かしら……」
「オイラたちには信じることしかできないニャ……」
 先に上階に撤退した学生パーティーの竜騎士の少女とケットシーの精霊術士が階段を見つめ呟いた。
 先程、階下で激しい爆音がしたのを最後にぱったりと音がやんでしまっており、転校生たちが無事なのかを確認する術がない。無事に死霊兵たちを倒すことができたのか、それとも……。
 信頼と不安がないまぜになった気持ちのまま、果たしてどれくらいの時間が経っただろうか。
 カツリ、カツリ、という硬質な響きの足音が階段を登ってきた。

「皆はいつでも撤退できるように備えていてくれ」
 パーティーリーダーのマジックナイトが剣を構えて階段を睨みつける。
「お気をつけください、マスター」
 ミレナリィドールの少女が、怪我をしている竜騎士の少女に肩を貸しつつ、後ろに下がる。
 そして、階段の暗がりからソレがゆっくりと姿を現した。
 真っ暗な階段を、真っ白な顔がふわふわと浮きながら登ってくる。その顔には表情のようなものは一切見えず、細いスリットのように開かれた目が笑みのように見えた。
「くっ、アンデッドか! よくも転校生の皆をっ!」
 マジックナイトが決死の覚悟で白い顔に斬りつけ……。

「フハハハ……、おっと、危ないではないか」
 階段から登ってきた白い仮面の人物……マスター・カオスがひょいと剣を避ける。
「こっちは疲れているというのに、手荒な歓迎ね?」
「まあまあ、学生さんたちも無事で何よりだよ」
 傷だらけの伊美砂が嘆息して追加レッスンのカリキュラムを考える一方、リリスフィアは学生たちの無事を心から喜ぶ。
「えっへん、死霊兵たちとその親玉は、お姉ちゃんたちがやっつけたから安心してね!」
「ええ、これでこの迷宮の脅威はなくなりました。ご安心を」
 アリアとシェラフィールの言葉を聞き、ようやく学生たちに安堵の表情が浮かぶ。
 そう、猟兵たちの活躍により、この迷宮の脅威は去り、学生たちが全滅する未来は防げたのだ。
「それでは、無事に戻れたことですし、地上に帰って約束通りお茶をしましょうか」
 シンがにっこりと微笑みながら学生たちに告げ……。
「地上に戻るまでが迷宮探索だということを忘れるなよ」
 カオスが釘を刺すのだった。
 そう、忘れてはいけない。慢心や油断こそが身を滅ぼす原因となることを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月08日


挿絵イラスト