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闇の救済者戦争⑧〜その瞳に映る未来のために

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #人類砦


●希望を教えてくれた人
「ねえ、おそとであそんじゃだめなのかな?」
「アンネおねえちゃんがあぶないないからダメだって」
 まだ小さな子どもたちが建物の中で身を寄せ合って、不安げにしている。
「ここどこなのかな?」
 第四層の人類砦でもある修道院で暮らしていた少年は辺りを見回す。そんな少年の元に、一回り年上の少年がやってきては励ますように告げる。
「今、大変なことになってるみたいだけど、僕たちは希望を持ち続けないといけないんだ。強くなって、次に会う時まで元気でいるって……モニカおねえちゃんにまた会える日まで」
 かつて猟兵たちに助けられた少年は人類砦でした約束を思い出していた。
「うん……」
 その言葉だけで不安がぬぐえないのはわかっている。それでも絶望はただ闇を深くするだけで。
(「昔一緒に遊んでくれた頼もしいおにいちゃんやおねえちゃんがまた来てくれたら、きっとみんな勇気づけられるだろうな……」)
 少年はそう思いながら、かつて自分がしてもらったように、年下の少年の頭を優しく撫でるのだった。

●グリモアベースにて
「ダークセイヴァーの第三層以下が、『鮮血の洪水』で満たされようとしているわ」
 グリモアベースに集まった猟兵たちへと語り掛けるエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)の表情にいつもの笑顔はなく、真剣な眼差しが事態が緊迫していることを物語っていた。
「もちろん、そんなことをさせるわけにはいかない。おそらく今までにない大変な戦いになることでしょうね……でも何とか力を合わせてこの危機を乗り越えましょう」
 そうしてエリシャは今回猟兵たちに向かって欲しい場所の説明を始める。
「第四層の各地に拠点を築き、この暗闇に満ちた世界に希望の灯をもたらそうと活動をしていた存在……人類砦を築いた『闇の救済者ダークセイヴァー』。彼らはこの世界の希望でもあるの」
 今、第三層にある人類砦には闇の救済者たちがヴァンパイアの支配から救出してきた戦う力を持たない人々が多数匿われているのだ。
「昔あたしが関わった人類砦で暮らしていた子どもたちも今は第三層にいるみたいなの」
 修道院を補修した人類砦で暮らしていた子どもの多くは、ヴァンパイアに家族を奪われた孤児たち。その身を守るためとはいえ、見知らぬ場所に連れてこられ、多くの者が不安を抱えているのだ。
「みんなにお願いしたいのは、この子どもたちを元気づけてあげること。一緒に遊んであげたり、話を聞かせてあげたり、美味しいものを食べさせてあげたり……方法は何でもいいの」
 かつて猟兵が訪れた時は、鬼ごっこをしたり、将来の夢を聞いたり、一緒に人形遊びをしたり、おもちゃを作ってあげたのだとエリシャは当時を思い出して語る。
「大切なのは希望。彼らが希望を持ち続けられるように、どうかみんなの力を貸してほしいの」
 エリシャは胸に手を当て、かつて子どもたちの明るい未来を願っていた心優しき修道女のことを想う。
「闇夜を照らす希望の光は必要だから……どうかよろしくお願いするわ」


湊ゆうき
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「闇の救済者戦争」における「⑧人類砦〜希望の灯火」のシナリオとなります。

 こんにちは。湊ゆうきです。
 ダクセの戦争は本当にえげつない……。
 闇夜を照らす光となるべく頑張っていきましょう。

 このシナリオに出てくるのは、下記のシナリオに登場した子どもとなりますが、未読で全く問題ありません。当時猟兵に遊んでもらった子どもも少し大きくなっていますし、過去に遊んでもらったことを覚えています。
 子どもの年齢は様々ですが、ヴァンパイアに家族を奪われた孤児ばかりです。
 砦の外は危険かもしれませんが、砦内部にある建物の外は猟兵が一緒なら大丈夫です。走り回れるような庭のような場所はあります。
 こういう子どもと接したいという希望があれば書いていただければそのようにさせていただきます。
 フラグメントは気にせず、自由に関わって寄り添ってあげてください。

『それは闇夜を照らす希望の光』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22372

 プレイングボーナスは「戦う力を持たない人々に寄り添い、勇気付ける」です。

 受付期間はタグやMSページでお知らせします。
 皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『闇に光を、温もりを』

POW   :    傷の手当てをしよう

SPD   :    料理を作ろう

WIZ   :    これまで、これからを語らおう

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
栗花落・澪
どうせなら僕にしか出来ない事を
綺麗な景色
細やかな奇跡の力を

ちょっとだけ場所を借りて
聖痕、どこにでもある花園の力とUCの効果を組み合わせ
空間を光と花で満たす
ここの子達には、見たこと無い花もあるかもしれない
だからこその思い出に

皆、気に入った花を摘んでごらん
押し花を作ろう

花園は、今は僕の魔力を養分としてる
正しいお世話で普通の花と同じくらいには長持ちさせられるけど…
残したいかどうかの判断は委ねようかな
必要なら、この世界でも育つ花だけの花畑を別途作って
お世話の仕方も教えるね

あとは、後で飴も配ってあげる
魔法で増やせるから一人いくつでも
一応入れ物もあげようか
ここに沢山入れておけば好きな時に食べれるよ



●奇跡の花園と魔法のキャンディ
 夜と闇に覆われたダークセイヴァー。猟兵たちの戦いと調査の結果、実は地底世界であるとわかり、なおかつ上層にはヴァンパイアさえも従える「闇の種族」がいることが判明した。
 猟兵が彼らの弱点である欠落の謎に至ったことで、第三層以下を血の海に沈めようとする『五卿六眼ごきょうろくがん』。彼らを倒すため、この世界と人々に平和をもたらすための『闇の救済者戦争』が始まっていた。
 第三層の人類砦に匿われている子どもたちも、知らない場所に来ることになり、また戦いの気配に怯えては不安な日々を送っていた。
 けれど、その子どもたちも今日ばかりは明るい表情でそわそわとしていた。
 そう、今日は以前一緒に遊んでくれた頼もしいおにいちゃんとおねえちゃんの仲間が来てくれるというのだから……!

「来てくださってありがとうございます。ずっと暗い顔をしていた子どもたちでしたが、皆さんが来られると知ったらとても喜んで……」
 第四層にあった人類砦で孤児たちの面倒を見ていたという修道女アンネが子どもたちの元へと栗花落・澪(泡沫の花・f03165)を案内する。
「この状況じゃ不安に思って当然だよね」
 そのことを当然と受け取った澪は頷き、このひとときを彼らの心に希望の輝きを灯すものにしようと決意するのだった。
 アンネに案内された場所では期待に胸を膨らませた子どもたちの視線が一斉に澪に注がれる。
(「どうせなら僕にしか出来ない事を」)
 彼らを楽しませる方法はきっとたくさんあるけれど、澪にしか出来ない方法を取れば、きっと記憶にも残り希望を抱き続ける力になると思うから。
「ちょっと場所を借りるね」
 アンネにそう言い置いて、子どもを連れてやってきたのは、建物の外の一角。
「みんな、見ててね」
 そう言って澪が左の二の腕にある花のブレスレットのような形の聖痕を魔力を込めてかざしながらユーベルコードを展開すると、この世のものとは思えないような美しい花と破魔の光が降りしきり、この一角を満たしていく。
「わー、おはなだ!」
「明るいよ!」
「きれいー」
 子どもたちは口々に歓声を上げ、舞い散る花びらや地面に咲く花に興味津々。
「このお花は何ていうの?」
 こういった生活を続けている子どもたちなので見たことのない花も多いのだろう。澪はそれらに丁寧に応え、頬を紅潮させて笑顔を見せる子どもたちへと声をかける。
「皆、気に入った花を摘んでごらん」
「わたし、これ!」
「僕はこっちがいいな」
 それぞれが摘んだ花を形と思い出に残せるようにと澪は押し花にする方法を教える。
 澪が教えたことを年長の子どもが年少の子どもに教えてあげる様子を微笑ましく見守りながら、すっかりこの花園が気に入った様子の子どもたちを見て思いを巡らせる。
(「花園は、今は僕の魔力を養分としてる。正しいお世話で普通の花と同じくらいには長持ちさせられるけど……」)
 気に入ったのならそうやって残すこともできる。だから、残したいかどうかは子どもたちの判断に委ねることにして。
「お花、毎日見たい!」
「ちゃんとお世話するよ!」
 その言葉に、澪は優しく微笑んで頷くと、この世界でも育つ花だけの花畑を別に作ってあげては、世話の仕方も丁寧に教えるのだった。
「うん、みんなばっちりだね。さあ、頑張ったみんなには……」
 澪は可愛らしい飴玉が入った小瓶を取り出すと、その飴を一人一人に配っていく。
「食べていいの?」
「もちろんだよ。一人いくつでもいいからね。魔法で増やせるから」
 それでも子どもたちは行儀よく一人ひとつもらってから、もっと欲しい子は澪の元へと手を差し出して。
「甘くて美味しいね」
「ありがとう!」
 その笑顔には紛れもなく希望が浮かんでいて。
「そうだ、容れ物もプレゼントするね。ここに沢山入れておけば好きな時に食べれるよ」
 別の瓶を取り出して、そこに蓋を叩いて増えていくキャンディを入れて子どもたちに手渡して。
「ちゃんとお花のお世話をしたら食べることにするね!」
 そんな未来の約束は、明日を生きるための確かな希望。
「うん、みんながお世話したら、花もそれに応えてくれると思うよ」
 奇跡の力が生んだ美しい景色と花園は、この先もずっと彼らの心に生き続けることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
修道院ね
思い出してイヤになってくるわ
家畜として飼われてた事も知らぬまま修道女の真似事して、安穏と過ごしていたあの頃
彼処もガキどもが煩かったっけ……そこまで同じじゃなくてもいいじゃない
はぁ、で、料理場は何処?

メシ作るジャマだからあっちで遊んでなさい

纏わりつく子供を躰から湧き出す「飢渇」で運んで遊び相手にさせる
そこらへんの不要なモノを「飢渇」が呑み込む
咀嚼して吐き出すとあら不思議、ソレが肉や野菜に変わっているではないか

久しぶりにスープでも作ってあげるわ
「料理」はお世辞にも得意とは言えないから味は並だけど
温かいし腹には溜まる

……いや、ここまで同じじゃなくてもいいでしょ

自分の分のスープが無くなっていた



●かつてと違わぬ風景は
「修道院ね……思い出してイヤになってくるわ」
 やってきた人類砦に匿われているのは、元は修道院だった建物を補修した人類砦で暮らしていた子どもたちなのだという。そのせいか、子どもたちの面倒を見ているのはアンネという修道女で、その教えに従い、子どもたちの世話をしているようだ。
 そのことで自身の過去を思い出したメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は苦い表情を浮かべるのだった。
 メフィスは人間をより効率的な家畜に改良する研究の下、死肉を繋ぎ合わされて造られた人型の屍なのだ。
 だが猟兵として覚醒する前、自身が家畜として飼われていたことも知らなかった頃は修道女の真似事をして安穏と過ごしていた時期があったのだ。
「いらっしゃい、おねえちゃん!」
「おねえちゃんは何してくれるの?」
 猟兵が来ることを知らされていた子どもたちは期待に胸を膨らませ、もちろんメフィスも彼らに囲まれることになる。
(「彼処もガキどもが煩かったっけ……そこまで同じじゃなくてもいいじゃない」)
 修道院とはどこもそんなものだと思いながらもため息をつきつつ、けれど実は面倒見の良いメフィスはぶっきらぼうながら近くの子どもに問いかける。
「……で、料理場は何処?」
「あっちだよ、案内するね!」
 子どもに手を引かれ、調理場へと案内されるも、子どもたちはメフィスが何を作ってくれるのか楽しみでならないようで、調理場から離れようとしない。
「メシ作るジャマだからあっちで遊んでなさい」
 何なら身体に纏わりついてくる子どもまでいるので、メフィスはそう言いながら『遊び相手』を生み出すことにした。
 メフィスに植え付けられた衝動は『飢餓』。その衝動より躰から染み出すのは変幻自在に形を変える眷属だ。
「わ、なにこれ?」
「おもしろーい!」
 未知なるものにも恐れよりも好奇心が勝った子どもたちはきゃっきゃと飢渇たちと遊んでいる。
 だが、飢渇の働きはそれだけではなかった。飢渇が辺りにある薪などを吞み込むと、ユーベルコードの力で肉や野菜などに変化して食材となっていくのだ。
 貴重な食材を使わないようにとメフィスは自前で食材を作り出すと、早速調理に取り掛かる。
「久しぶりにスープでも作ってあげるわ」
 飢渇と遊ぶ子どもたちを時折目で追いながら、メフィスは野菜と肉を一口大に切り、鍋で煮込んでいく。
(「料理はお世辞にも得意とは言えないから味は並だけど……」)
 それでもこの状況なら温かいスープは癒しを与え、腹にもしっかりたまることだろう。
「さあ、出来たわよ。ほらほら、順番にね」
 スープを皿によそってあげては子どもたちに配っていく。行儀よく順番を守るのは、それでも修道院育ちだからなのだろうか。
「みんな行き渡ったわね。それじゃ私も……」
 味見も兼ねて自分用にとっておいたスープがあったのだが、気がつけばその皿は空になっていて。
「……いや、ここまで同じじゃなくてもいいでしょ」
 かつての修道院での経験をここまでなぞることになるとは思わなかった。
「あまってるのかと思って……おいしかったから……」
 食べてしまった少女がしゅんとしているのを見て、メフィスは首を振る。
「よくあることよ」
 子どもは煩くて、突拍子もないことをして、それでも――純粋なのもかつてと同じなのだ。
 よく食べ、いつも飢えているメフィスではあるけれど。
 実は子どもが好きという一面を持つのも、メフィスなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
俺はここの砦の子供達とは初見だけれど…力になれるように頑張るよ

動物が好きな子、思いっきり遊びまわりたい子、もふもふが好きな子
そんな子達が接するのに良さそうな方法がある
さて、皆、出ておいで!もふもふの動物達を沢山召喚だ!
猟兵が一緒なら安全な広い所があるのなら、そこをお借りしよう

ダークセイヴァーの世界の状況的に、外で思いっきり元気よく遊ぶ、なんていう機会はほとんどないだろうし…
さ、皆で遊ぼう!

もし。こうして動物達と触れ合う機会もなかったなら、貴重な体験になるのかな?
動物達と一緒に駆け回ったり、一緒にお昼寝したり、俺も一緒になって遊ぶよ!
つかの間の時間かもしれないけれど、楽しい時間を過ごしてほしいな



●もふもふなお友達
「来てくださってありがとうございます」
 猟兵たちが子どもたちに会いに来てくれるということで、人類砦はいつになく明るく賑やかな空気に満ちていた。
「ここにいる子たちは、ヴァンパイアに家族を奪われた孤児たちばかりと聞きました」
 子どもたちの元へと案内してくれる修道女アンネに、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)はそう声をかけた。
「はい……こちらに来る前は、修道院を修復した人類砦で暮らしていました。そういった孤児たちを見つけては引き取っていたのです」
「そうですか……」
 ひりょがここの子どもたちに会うのは初めて。けれどひりょ自身も孤児であり、育ての親が他界した時に、名実ともに天涯孤独の身となったのだ。彼らの境遇が他人事とは思えない。力になりたいと思うのだ。
「それでは、お願いしますね」
 そう言ってにこやかに去っていくアンネにぺこりと頭を下げ、ひりょは集まった子どもたちに問いかける。
「みんな、動物は好きかな?」
「動物……? 狼は怖いよ」
「小さな鳥はいいけど、大きな鳥はちょっと……」
(「ああ、この子たちは動物と触れ合うという習慣がないんだな」)
 癒しを求めるために動物を触れ合うということがないのだろう。けれど、どの世界においても子どもの好きなものは共通に違いない。ならば怖くない動物と接する楽しみや触れ合い方を教えてあげることも彼らのためにできることだと思うのだ。
「そっか、わかったよ。それじゃあ思いっきり遊びまわりたい子はいる? 一緒に遊ぶお友達を呼んでくるよ」
「お友達?」
「おもいっきりあそびたい!」
 ひりょの言葉にわあわあと盛り上がり、期待に目を輝かせる子どもたち。予想通りの反応に、ひりょは広い場所に行こうか、と子どもたちを建物の外に誘う。
「じゃあ、行くよ……さて、皆、出ておいで!」
 ひりょの言葉に応え、現れたのは多種多様な動物たち。子どもたちが怖がらないように、まずはうさぎやリスなどの小動物を召喚して様子を見る。
「わ、これが友達?」
「そうだよ。優しく接したら動物たちも優しく応えてくれるからね」
 そうしてひりょが触れ合い方を教えれば、一人、また一人ともふもふ動物に癒され、その顔に笑顔が浮かぶ。
「元気に動き回りたい子は……わんちゃんとボール遊びはどうかな?」
 手本を見せるようにひりょがボールを投げれば、犬は嬉しそうにそれを追いかけ、くわえては戻ってくる。
「わあ、すごい!」
「ぼくもぼくも!」
 そんな風に色々な動物との触れ合い体験はとても貴重なようで、元気に走り回ったり、優しく触れ合ったりとそれぞれの子どもにあった接し方で楽しい時間を過ごしているようだ。
「おにいちゃんにはいっぱい友達がいるんだね」
「そうだね。みんなも優しい気持ちで接したらお友達は応えてくれるよ」
 もちろん危険な動物もいるからね、と付け加えつつも、子どもたちのきらきらと輝く瞳にひりょもまた目を細めるのだった。
「疲れた子は一緒にお昼寝しようか」
 大型犬といっしょに丸くなって眠る子どもにそっとブランケットをかけておく。
(「つかの間の時間かもしれないけれど……楽しい時間を過ごしてもらえたなら嬉しいよ」)
 この世界の状況を考えれば、外で思いっきり元気に遊ぶ機会も、動物と触れ合う機会も少ないだろうから。せめて今を精一杯楽しみ、そしてそれを思い出にして、明日を生きる活力になればいいなと心から思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
【なめろう茸】
今も驚異に晒されつつも砦で暮らしているとなれば、出来る事は一つ
鮪を始め魚介類や他食材を持って来たのでアメリさんと一緒に

子供達にUC『パフォーマンス&料理』を作って楽しんで貰いつつ元気付ける事、鮪の食効能的にも子供達の助けになる筈です

ええ、鯵のなめろうの味噌汁に
鮪のなめろう、そこから
ソレを使ったカツを勝利の験担ぎに

アメリさんは椎茸をカツに
ですが旬的にも良いですね
あっ、衣尽きたなら椎茸に
鮪なめろうの肉詰めも良いですよ?

そこの貴方もどうぞ、不安なのは
解ります…わたしも小さな頃から
極限状態を色々体験しましたから

でも、美味しい料理は立ち向かう
勇気をくれますからね

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


アメリ・ハーベスティア
【なめろう茸】
不安に苛まれても無理ないと思うですし、ダークセイヴァーも色々理不尽処じゃなかった聞きますし、元気付けなくては……なのはアメリも同感なのです

『アメリ、僕はこの鮪を空を飛んで持ち加えてビスマスの補助をすれば良いんだね』

はい、ランちゃん宜しくお願いします

ふぇ、鮪には精神を落ち着かせたり前向きにしたりと、魚介類も凄いのです、カツと勝つ……こう言う時座布団?子供達白けてるですよ!?

あっ、アメリもハルシメジは味噌汁に
椎茸も旬ですし、バッター液とパン粉付けて揚げ『料理』するです

作ってる内に液とパン粉が
あっ、肉詰め椎茸の要領なのですね
詰め詰めしてフライパンで揚げ焼きと

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●🐟と🍄の食育~生きる力を育んで
「ここが子どもたちが暮らしている人類砦ですね」
 元は第四層で暮らしていたという子どもたちが、闇の救済者ダークセイヴァーたちによって守られているというその場所にやってきたビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の手にはたくさんの食材。
「今も脅威に晒されつつも砦で暮らしているとなれば、出来る事は一つ……ですよね、アメリさん?」
 ビスマスに問いかけられたアメリ・ハーベスティア(キノコ好きの「よいこ」な地竜の末裔・f38550)も手にたくさんの旬のきのこを携えて、やってきた闇に覆われた世界を見渡しては、はいです、と力強く頷いた。
「突然知らない場所に連れてこられたのでは、不安に苛まれても無理ないと思うですし……ダークセイヴァーも色々理不尽処じゃなかったと聞いたのです」
 闇の救済者のような存在もいるが、ダークセイヴァーはヴァンパイアに完全に支配された世界。その中で暮らすということがどれほど大変なことなのか。故郷であるスーパーよいこランドもマグナ聖帝国に侵略されていたけれど、猟兵たちの活躍でその危機が去った今、こうしてまだ苦しんでいる存在をアメリが放っておけるはずがなかった。
「なので、元気付けなくては……なのは、アメリも同感なのです」 
 通りすがりのなめろう猟兵を自称する超級料理人でもあるビスマスに、キノコ料理が大好きで、その研究が趣味でもある猟理師のアメリの二人が集まれば、もちろん美味しくて元気の出る料理を子どもたちに振舞うという案が一番に上がるというもの。
『アメリ、ここの子たち、僕を見て驚かないかな?』
 二人と一緒にやってきたのは、アメリがユーベルコードで召喚した小型サイズの自我と人格を持つグリフォン型特機【ラングリフ】。他の世界では大人気であろうその姿も機械などの概念がなさそうなこの世界で受け入れられるのか不安そうに問いかける。
「ランちゃん、大丈夫なのです。ランちゃんのようなロボを見たことなくてもきっと受け入れてくれると思うのです」
 だってその姿のランちゃんは可愛いですから、とアメリは得意げに丸眼鏡をくいっと押し上げるのだった。
「ランさん、わたしもアメリさんの言う通りだと思いますよ」
『そっか……わかったよ、アメリ、ビスマス! 僕はお手伝いをすればいいんだよね?』
「はい、ランちゃん宜しくお願いしますね」
 そうして二人と一機は料理をしたいと申し出ると、砦内の調理場へと案内される。出来ることなら調理工程も見て楽しんで欲しいので、興味のある子どもへは見学できることを伝えれば、たくさんの子どもが集まってくれた。
「おねえちゃんたち、何を作ってくれるの?」
 きっと昨日までは不安で翳っていたその表情が、今は猟兵の来訪と共に生き生きと輝き、何が出来上がるのか期待に胸を膨らませている。
「皆さんはお魚は好きですか?」
「おさかな? きいたことはあるけど食べたことないかな」
「干したやつなら食べたことあるよ」
 ビスマスの問いに子どもたちからそれぞれ返答があるも、どうやら魚にはあまり馴染みがなさそうだ。
「では、今日はお魚の料理を楽しんでもらいますね。まずは捌くところから……これがマグロです」
「わ、大きい!」
「魚にはいろいろな大きさがあるんですよ。こっちはアジですね」
「へー」
 なんだか学校みたいな雰囲気になっているのをにこにこと見守っていたアメリはまだ子どもたちの注目を浴びていないラングリフへと言葉をかけて。
「ではランちゃん。出番なのです」
『わかったよ、アメリ。僕はこの鮪を空を飛んで持ちあげて、それでビスマスの補助をすれば良いんだね』
 そうしてラングリフはビスマスが持っていたマグロを小さな機械の体でなんなく持ち上げると、ビスマスが捌きやすいように位置取りする。
「わ、なになに? 鳥?」
『グリフォン型特機のラングリフだよ。みんな、よろしくね!』
「わ、しゃべったー!」
 わいわいと盛り上がるも、誰も怖がる子どもはおらず、その瞳はますますきらきらと輝き始める。
「それではいきますよ」
 そう言うとビスマスはユーベルコードも駆使して鮮やかにマグロを捌くと、次々と料理を仕上げていく。
「新鮮なお刺身も味わってもらいたいですね。それからなめろうと、ソレを使ったカツを勝利の験担ぎに」
「アメリは旬のキノコを料理していくです。ハルシメジは味噌汁に。椎茸も旬なのです」
 子どもたちはそれぞれ興味津々。色々な質問も飛び交う中、二人は丁寧に答えていく。
「マグロはタンパク質や鉄分が多く栄養もありますが、その他にも心の不安や緊張を取り除く効果もあるんですよ」
「ふぇ、鮪には精神を落ち着かせたり前向きにしたりする効果もあるのですか……! 魚介類も凄いのです」
「そうです。そのうえ揚げてカツにしますからね。勝利の験担ぎにぴったりです」
「カツと勝つ……こう言う時、座布団をあげるのですか? ……って子供達白けてるですよ!?」
 洒落のきいた上手いことを言うと座布団が一枚もらえるということを聞いたアメリはそう首を傾げて見せるが、子どもたちはよくわからないのか、ぽかんと不思議そうな顔をしている。
「ふふ、まあいいじゃないですか。あ、アメリさんも椎茸をカツにしているんですね」
「はいです。椎茸も旬ですから」
 そのまま焼いて食べても充分美味しい肉厚な椎茸に小麦粉と溶き卵を牛乳で合わせたバッター液とパン粉を付けて、アメリはからっと揚げていく。
「あ、たくさん作っていたら、液とパン粉が足りなくなったのです」
 まだ椎茸はあるのに、とアメリが呟ければ、すぐさまビスマスが助け舟を出す。
「衣が尽きたのなら、こういうのはどうですか?」
 そう言って差し出したのはマグロのなめろう。
「椎茸に鮪なめろうの肉詰めも良いですよ?」
「はわ、それは良いのです! 肉詰め椎茸の要領なのですね。では……」
 椎茸のかさの部分になめろうを詰めて、それをフライパンで揚げ焼きすれば完成だ。
「いい匂いがするよ!」
「早く食べたいなあ」
「お待たせなのです!」
 出来上がった料理をテーブルへと運んで、それをラングリフが手伝う様子も子どもたちの心を掴む。
「こちらが鯵のなめろうの味噌汁です。熱いので気を付けて食べてくださいね」
 新鮮なお刺身やなめろう、さくっと揚がったカツなど、魚をほとんど知らなかった子どもたちが美味しいねと笑顔を浮かべて食べてくれる。
「こちらはハルシメジの味噌汁なのです。食べ比べてみるのも楽しいのですよ」
 きのこと魚という食材の違いを食べ比べるのもきっとなかなか出来ないことだろうから。
 多くの子どもたちは喜んで食べていたが、その輪に入れず、隅っこで小さくなって俯いている子どもを見つけ、ビスマスは料理を手に優しく声をかける。
「そこの貴方もどうぞ」
「うん、でもね……不安で食欲がわかないんだ」
「解ります……わたしも小さな頃から極限状態を色々体験しましたから」
「おねえちゃんも?」
「はい。でも、それを救ってくれたのも料理でした。ほんの一口でいいから、口にしてみませんか?」
 そう言ってなめろうの味噌汁を差し出す。汁物なら喉に通りやすいだろうと思ったからだ。
「うん……わあ、美味しいね……」
 その表情がぱっと輝く。過去の自分と重なったようでなんだか懐かしく思いながら。
「良かったら他にも食べてみてくださいね。美味しい料理は立ち向かう勇気をくれますから」
「うん、ありがとう!」
 料理を口に運ぶ子どもたちの顔には眩しい笑顔。そしてその瞳は明日を生きるために必要な希望の輝きが宿っている。
『たくさん喜んでもらえて良かったね、アメリ、ビスマス』
「はいです。みんなの笑顔が毎日輝くために、アメリも頑張るですよ」
「おねえちゃん、おかわり!」
 人類砦に元気な声が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

新山・陽
私としっぽとりゲームをしませんか?
私のポケットから垂れたハンカチを引き抜けば勝ちです
何人がかりでも構いません。私は足運びだけでなんとかしましょう
あら、体当たりでこちらの両手を使わせる作戦には参りましたね。お怪我はありませんか?
子ども達の勝利にハンバーグ、角煮、各種ロースト、ナゲットなどの調理肉を『良き隣人』で出してお祝いましょう。おまけの『浄水(軟水)』で、手を洗ったり、汚れを拭ったり、喉を潤してくださいね

さて、おかわり自由権は第2戦、今度は体当たり禁止です
保存のきく干し肉たっぷりお土産賞は第3戦、片腕のみですが作戦会議はOKです
奮ってご参加くださいな
その創意工夫こそ明日の糧になれば幸いです



●子どもたちに明日の糧を
 ダークセイヴァーの第三層にある人類砦に颯爽と姿を現したのは、仕立ての良い高価なスーツを一分の隙もなく着こなした美しい女性。
「皆さん、初めまして」
 家族をヴァンパイアに奪われた年齢も様々な孤児たちは、この美女――新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)の姿を眩しそうに見つめる。
 彼らの世話をしてくれるのは、一緒に砦に住まう優しい修道女。清廉潔白で優しく、時に厳しさも見せるその修道女ともまた違う洗練された身のこなしと所作に、子どもたちはこの女性が何か自分たちにためになることでも教えてくれるのかと思って見ていたのだが。
「私としっぽとりゲームをしませんか?」
 陽の口から出たのは、みんなで遊べる遊戯へのお誘いだった。
「しっぽとりゲーム?」
 聞いたことがないのだろう、子どもたちはおうむ返しにそう問い返す。
「はい。簡単な遊びですよ。私のポケットから垂れたハンカチを引き抜けば、皆さんの勝ちです」
 パンツスーツの後ろポケットから覗くハンカチを指差しながら、陽はルールを説明する。
「何人がかりでも構いません。私からこのハンカチを引き抜いてください。私は足運びだけでなんとかしましょう」
「何人でも?」
 ここに集まった子どもは10人ほど。いくら何でもそれは陽が不利ではないかと思う子どもたちだが、陽は大丈夫ですよ、と頷いている。
「やってみるのが早いでしょうか。あとは動ける範囲を決めておきましょう」
 ここは砦内にある建物の外にあるちょっとした広場。陽は木の枝を使って線を引いて、動ける範囲を示しておく。
「さあ、では始めましょうか」
「おねえちゃんからハンカチを取るんだね!」
 わっと子どもたちが陽へと向かうが、上質なスーツに相応しいヒールのあるパンプスを履いた陽が華麗な足運びでそれをさらりとかわす。子どもたちは後ろに回ろうとするのだが、それを見越して陽がなんなくかわしていくのだ。
「うーん、取れないよ」
「ほら、前もやった『ドロケイ』でも協力が大事だったよね」
「じゃあ、こうしたら……」
 そうして子どもたちは呼吸を合わせて、陽へと体当たりでぶつかっていく。
「おっと……」
 避けることも出来るが、そうすることで子どもが転んでしまっては危ないとその身体を支える。
 その後も体当たりを繰り返してくる子どもたちを支えるうちに、陽のハンカチは奪われてしまう。
「この作戦には参りましたね……お怪我はありませんか?」
「だいじょうぶだよ!」
 それよりもゲームに勝てたことが嬉しいと喜ぶ様子は、どこの世界の子どもも同じようだ。
「それでは皆さんの勝利を祝して……」
 そう言って陽が暗号を描き、【良き隣人】から取り出したのは、子どもが大好きなハンバーグに角煮、ローストビーフにローストポークやナゲットなど各種肉料理。
「さ、遊んだ後はこれで手を洗いましょうか」
 携帯容器から溢れる浄水を手洗いやうがい、飲料用にと用意して。
「これ美味しいね」
「こっちもおいしいよ!」
 子どもたちは勝利のご褒美に舌鼓を打っていた。
「さて、おかわり自由権は第2戦へと移ります。今度は体当たり禁止ですよ?」
 危ないですからね、と付け加えた陽からおかわりの言葉を聞いた子どもたちは目を輝かせる。
「その次に、保存のきく干し肉たっぷりお土産賞つきの第3戦も準備していますよ。こちらは使えるのは片腕のみのルールにしましょう。ですが、作戦会議はOKです」
 もちろんやる、と子どもたちは元気に手を挙げ、どうすればいいかと考えを巡らせる。
 ゲームはもちろん子どもにとって楽しい遊びではあるが、ルールを守ることや、友達と一緒に遊ぶ楽しみ、協力して遊ぶという力を養うことにもなるのだ。
「おねえちゃん、いくよ!」
 体当たりを使わずにいかに陽からハンカチを奪うか。仲間と協力して囲い込むように動いたり、陽の動きをよく観察したり。
(「その創意工夫こそ明日の糧になれば幸いです」)
 元気に動き回る子どもたちを見て、陽はそっと目を細めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 急にこんな世界に来たんじゃ、子供たちは不安よね。こんなときは、昔わたしが村の神父様にしてもらったみたいに、お話と歌で励ますわね。

 年少さんと、その子たちをまとめている年長さんのところに行って、お話するわ。そばに座って、昔わたしが小さいとき、村の神父様から教えてもらった【生命の歌】の話をするわ。どんなに暗くて怖くても、大切な人や信じるものがそばにあるなら、道は拓けて希望は実るって。わたしが口ずさむのに合わせて、だんだん皆で合唱になっていくわね。

 これはみんなが笑顔になれるおまじない。大人も子供も、この歌ひとつで元気いっぱいよ。他の皆にも教えてあげてね。

(WIZで挑戦、アドリブ等々大歓迎)



●笑顔のおまじない
(「急にこんな世界に来たんじゃ、子供たちは不安よね」)
 第四層の人類砦にいた子どもたちが、猟兵でさえも苦戦する闇の種族が跋扈するこの第三層に突然来ることになったのだ。その戸惑いと不安は想像に余りあると、ダークセイヴァーを故郷とするゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は子どもたちの心情を慮るのだった。
「わたしも育った村が滅ぼされてしまったの……だから、ここにいる子どもたちの気持ちはよくわかるわ」
「まあ、そうだったんですか……」
 ゾーヤを案内してくれていた修道女アンネが気遣うような視線を送るが、ゾーヤは大丈夫と言うように首を振って見せた。
「だからこそわたしは自分の力で人々を癒し守りたいと思って猟兵として活動しているの」
 同じような境遇を体験したからこそ、寄り添えると思うのだ。
 既にこの戦争中に同じような人類砦に向かい、花飾りを作ったり、料理を振舞ったりして人々を癒してきたゾーヤ。
「それでは、子どもたちはここにいますので、どうかよろしくおねがいします」
 そう言って去っていったアンネを見送ると、ゾーヤはまだ不安そうな表情を浮かべている子どもたちを見渡し、そうして明るい笑顔を浮かべてみせる。
「みんな、初めまして。わたしはゾーヤって言うの。気軽にゾーヤさんって呼んでくれていいからね」
 子どもたちと視線が合うように屈んで目線を低くして。年少の子どもをまとめている年長と思われる少年がにっこりと笑ってくれたので、みんなでお話しができるようにと円になって座るようにお願いして。
「ゾーヤさんもね、みんなと同じで小さい頃は不安になることもあったわ。そんな時にね、村の神父様が教えてくれたのよ。心癒す温かい歌を」
 まずは歌ってみせるわね、と言い置いてゾーヤは優しい歌声で【生命の歌】を口ずさむ。
 その歌詞は、どんなに今が暗くて怖くても、大切な人や信じるものがそばにあるなら、道は拓けて希望は実る――というもの。ゾーヤの全てを抱擁するような優しい歌声が闇を照らす光のように、子どもたちの心を震わせ、不安を払拭していく。
「どう、一緒に歌ってみる?」
 ゾーヤが口ずさむのに合わせて、子どもたちも少しずつ歌いだすと、やがてはみんなで一緒に歌う合唱になっていく。
「おねえちゃんは今は不安じゃないの?」
「ええ、たとえ不安に思うことがあってもね、きっと大丈夫……そう思えるの。信じるものがあれば強くなれるのよ」
「うん……!」
「僕たちは約束したんだ。強くなるって」
 年長の少年が力強く頷けば、年少の子どもたちも安心したように笑顔を浮かべる。
「ええ、その気持ちが大切。これはね、みんなが笑顔になれるおまじない」
 ひとりひとりの目を見て優しく語り掛けるゾーヤに、子どもたちも真剣な目で応える。
「大人も子供も、この歌ひとつで元気いっぱいよ。他の皆にも教えてあげてね」
「うん、わかったよ! この歌、大切にするね」
 子どもたちの元気のよい返事に、ゾーヤの心もほんわかと温かくなり、その顔に満面の笑みが浮かぶのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冬原・イロハ
【🎀⚙】

ニイヅキさんと一緒に、子供たちへ挨拶をしましょう
私はイロハです
こっちはグリフォンのラクスくん
怖がらせない様にラクスくんを紹介してみます
ブラッシングをして可愛らしくしてきたけど……大丈夫かしら?(どきどき)

子供たちと一緒にお茶を
ニイヅキさんの紅茶、美味しいですねぇ
お菓子もクッキーなどを
あ、これはお花の形ですね。真ん中はジャム♪
お菓子の花畑ですね
摘み取って(?)食べましょう
ニイヅキさんと一緒に見た桜のお話をしてみます

ラクスくんをもふもふしてもらったり、よじ登って遊んだり
ウフフ、眠くなったらそのまま寝ても大丈夫ですよ
ちょっとだけお昼寝しましょう
ドンガッキをゆったりテンポで奏でて
良い夢を


尾花・ニイヅキ
【🎀⚙】
イロハと一緒に子供達に会いに行こう。
僕はニイヅキ。よろしくね。
ラクスがいつも以上にふわふわ。
きっと子供達も安心して接してくれるよ。
子供達が遠慮してしまうようなら「僕が先にもふっちゃうぞ?」って言えば皆興味を持ってくれないかな。

温かい食べ物や飲み物は心を落ち着かせてくれる。
僕は最近友達と一緒に出かけて、何かを食べて話すのが楽しかったから……その楽しさ、子供達にも知って欲しいな。
皆は桜、知ってるかな?写真見てみる?
皆も楽しかった思い出を話してくれると嬉しいな。

ふふ、食後は少し眠くなるよな。
イロハの音楽も穏やかで……なんだか安心するような気持ち。
緊張していた心が、少しでも安らぎますように。



●花咲くティータイム
「急に知らない場所に連れてこられたら、子供達が不安に思うのは当然だよね」
 ヴァンパイアに家族を奪われた孤児たちがたくさんいるという人類砦にやってきた尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)は、共に訪れた冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)へと語り掛ける。
「はい、大人だってきっとそれは同じです。なら小さい子供たちならなおさら。少しでも元気になってもらいたいですね」
「うん、僕達も元気を届けよう」
 何か力になれるならと、二人はそれぞれ子どもたちに笑顔になってもらえるように準備してここにやってきたのだ。
 子どもたちの元へと案内されると、二人は早速挨拶をする。
「僕はニイヅキ。よろしくね」
「私はイロハです。こっちはグリフォンのラクスくん。とても賢いんですよ」
 既に猟兵と遊んでもらった後なのか、子どもたちの表情は柔らかい。イロハが騎乗できる大きさのグリフォンに興味津々のようで、ラクスくんは子どもたちの視線を一身に集めていた。
(「ブラッシングをして可愛らしくしてきたけど……大丈夫かしら?」)
 やはり子どもたちからしてみると大きいので、怖がられないようにとイロハが丹精込めてブラッシングをして毛並みをふわふわにしてきたのだ。そして胸の辺りにイロハが大切に集めているリボンを飾っておめかしすれば、賢くて可愛いラクスくんの完成だ。
「大きいね」
「え、飛べるの?」
「はい、私を乗せてお空も飛べちゃいます。もしよかったら触ってみませんか?」
 子どもたちの言葉にイロハはにこにこと答え、どうですか? とふれあいを勧めてみる。
 だが、やはり大きさのせいか少しためらいがあるらしく、もじもじとしている子どもたちを見て、ニイヅキが進み出た。
「みんな、遠慮してるのかな? 僕が先にもふっちゃうぞ?」
 そうして子どもたちの見本となるように、優しくその毛並みを撫でる。
(「ラクスがいつも以上にふわふわ」)
 その手触りはとても柔らかくて。子どもたちへの見本として触っているニイヅキだが、こういったふわふわもふもふな動物は大好きなのだ。前に友達と一緒に乗った巨大アンゴラウサギのもふもふを思い出しては笑顔になる。きっと子どもたちだってもふもふに癒されるに違いない。それに賢いラクスくんなので、子どもたちも安心して接してくれるだろうとニイヅキは確信した。
「こうして優しく撫でてあげたらお友達になれるからね」
 撫でられて気持ちよさそうに目を細めるラクスくんの様子に、ようやく子どもたちもおずおずと手を伸ばす。
「わ、ふわふわしてる!」
「大人しいね」
「あたしもさわってみたい」
 少しずつふれあいの輪が広がって。イロハがラクスくんに対する子どもたちの質問に答えているうちに人気者になっていったのだった。
「皆さん、お菓子とお茶はいかがですか?」
 子どもたちの気持ちがほぐれたところで、イロハはお茶会の準備を始める。
「珈琲……は子供達には苦いかな。紅茶を用意するからそれを飲みながらお菓子を食べてお話ししよう」
 ニイヅキが淹れてくれた紅茶は子どもたちの心を安らかにする。けれどユーベルコードの力がなくとも、温かい飲み物と美味しいお菓子に子どもたちの心は充分に癒されたことだろう。
「食べていいの?」
「はい、どうぞ。クッキーやビスケットなどを用意してみました」
 子どもたちは嬉しそうに手を伸ばし、可愛い形のクッキーを手に取ると、イロハに見せてくれた。
「あ、これはお花の形ですね。真ん中はジャム♪」
 まるでお菓子の花畑のようなクッキーたちに子どもたちも大喜び。
「さっきね、お花をたくさん見せてもらったんだよ。きれいだったなあ」
 別の猟兵に見せてもらったという花の話を楽しそうに語る子どもたち。
「花と言えばね、皆は桜、知ってるかな?」
 話題が花に移ったところで、ニイヅキがそう切り出す。こうして最近友人と出掛けては何かを食べながら話す機会が多くて、そしてそれが楽しかったから、子どもたちに知って欲しいと積極的に話題を振る。
「サクラ? どんな花かな?」
「写真見てみる?」
 そうしてニイヅキが先日撮ったアスリートアースでの海と桜の写真や夜桜の写真などを見せれば子どもたちは目を輝かせて喜んだ。
「こんなきれいな花があるんだね」
「はい、桜はとても綺麗なのですよ」
「みんなはどんな花が好き?」
 そしてそれぞれに自分の好きな花を口にして。
「それではみなさん、このお菓子の花畑から好きなのを摘み取って食べましょう」
 イロハの呼びかけに、様々な花の形をしたクッキーを手に取りながらおしゃべりも弾んでいく。
 子どもたちはお茶会を楽しみながら楽しかった思い出話をしたり、ラクスくんとふれあったり、時によじ登って遊んだりして、笑顔溢れる楽しい時間を過ごすのだった。
 ただ、お腹も膨れたところで遊び疲れたのか眠そうに目をこする子どももいて。
「ふふ、食後は少し眠くなるよな」
 それは大人だって一緒だよ、とニイヅキは優しく微笑み、イロハはラクスくんに抱きついたままうとうとする子どもに優しく声をかける。
「ウフフ、眠くなったらそのまま寝ても大丈夫ですよ」
 ちょっとだけお昼寝しましょう、と子どもたちに声をかけ、星型のクッションを枕代わりに配ると、金属製の竪琴【ドンガッキ】をゆったりとしたテンポで奏で始める。
 そのメロディに子どもたちがみんなとろんとした表情を浮かべるのは、やはり安心感なのだろうとニイヅキは思う。ニイヅキ自身もイロハの演奏に耳を傾ければ、穏やかな気持ちになり、心に安堵感が広がっていくのだった。
「おやすみなさい、良い夢を」
 楽しい思い出を胸に、それらがまた明日を生きる希望となるように。
 この安らかな笑顔を守るために、猟兵としても頑張らないといけないと、二人にとっても力が湧いてくるようだった。
「緊張していた心が、少しでも安らぎますように」
 すやすやと寝息を立てる子どもにブランケットをかけたニイヅキは祈るようにそう囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
【明花】アドリブ◎
アレス、ボク達で子供達の不安な気持ちをパーって晴らしちゃおうね!
子供達に元気にご挨拶
「初めまして、ボクはカデル!この子はアーシェっていうんだよ。よろしくね」

クック(初めて会ったけど、とっても可愛いね!)と一緒に隠処に入って子供達をお出迎え
とってもとっても綺麗な世界…きっとここなら子供達も喜んでくれそうだね
ねぇアレス、ここでボクとアーシェに踊らせて!
こんなに綺麗な世界なんだもの、長く楽しんでもらえるように、子供達に心にボクの祈りを届けるんだよ
さあアーシェ、ボクと一緒に踊ろうね!

幸せ色の祝祭
素敵な世界や音楽と一緒に
どうかキミたちに祝福よ、あれ!
寂しい時はどうかここを思い出してね


アレクシス・ミラ
【明花】アドリブ◎

勿論だ、カデルさん
子供達の心に光を届けよう

先ずはご挨拶
僕はアレクシス。それと…
【星灯の隠処】から黒猫を呼び出す
この子はクック
今日は僕のとっておきの場所へ君達を招待させてほしいんだ
カデルさん。クックと先に行って皆を迎えてくれるかい?
見送ったら次は子供達に手を
大丈夫。この先は安全だ
皆と共に僕も隠処へ

カデルさん達に目を細める、と
ふたりで踊りを?
素敵だね!僕も音楽で手伝わせてほしい
さえずり星に雛菊と茉莉花を入れ
陽光と光雨の旋律を奏でる
ふたりに拍手を
子供達にはレコードを贈ろう
今度は皆で好きな花を入れてみようか

どうかこの思い出が君達の心の暗雲を晴らし
明日への希望を支える光となりますように



●星灯と幸福の祝祭
 突然闇の種族が跋扈する第三層へと引きずり出された戦う力を持たない人々。闇の救済者ダークセイヴァーたちが彼らを守っているとはいえ、見知らぬ場所で過ごす日々は心細いことだろう。
「アレス、ボク達で子供達の不安な気持ちをパーって晴らしちゃおうね!」
 そんな第三層にある人類砦のひとつを訪れた瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)は、この夜と闇に覆われた世界を照らす光のような明るい声を上げた。
「勿論だ、カデルさん。子供達の心に光を届けよう」
 カデルと共にやってきたのは、その風貌から金色の夜明けを思わせる騎士のアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)。
 この砦に匿われている子どもたちは、家族をヴァンパイアに奪われた孤児たちばかりなのだと聞いた。アレクシスもまた、十五の時に家族を失っているのだ。子どもたちの気持ちは痛いほどにわかるというもの。
「せっかくだもん、楽しい時間を過ごしてほしいよね」
「ああ、楽しいひと時を思い出にして、明日を生きる力になるように……」
 そうして二人は砦で子どもたちの世話をしているという修道女アンネに案内され、子どもたちとの面会を果たすのだった。
「初めまして、ボクはカデル! この子はアーシェっていうんだよ。よろしくね」
 まずはカデルが元気に挨拶をして、そして亡き友人の名と面影を引き継いでいる大切な人形を子どもたちにも紹介する。
「わ、お人形さん? 可愛い!」
 黒い髪に青い目の可愛らしいお洋服を着たアーシェは女の子にも人気のようだ。
「僕はアレクシス。それと……この子はクック」
 ユーベルコードで呼び出した黒猫は子どもたちに挨拶するようににゃあと鳴いた。料理の手伝いも出来るほど、賢い猫なのだ。
「わあ、この子もかわいいね」
 既に他の猟兵たちに遊んでもらったのか、子どもたちの顔から緊張は感じられない。これなら二人が準備したものもすんなり受け入れてくれるだろう。
「今日は僕のとっておきの場所へ君達を招待させてほしいんだ。どんな場所だと思う?」
 そんな風に子どもたちに問いかけている間に、アレクシスはカデルへ準備のお願いをする。
「カデルさん。クックと先に行って皆を迎えてくれるかい?」
「うん、わかったよ。クック、一緒に行こう!」
 初めて会うクックをとっても可愛いと思いながら、カデルはアレクシスのペンダントトップに触れると、黒猫と共に星灯の隠処の中へと吸い込まれる。
「わ、おねえちゃんが消えちゃったよ!」
「そう、とっておきの場所へ向かったんだ……大丈夫、怖くないよ」
 子どもたちの目線に合うように屈んで、安心させるようにアレクシスが微笑む。その笑顔につられるように、子どもたちも笑うと、うん、と元気よく頷いた。
「それじゃあ一緒に行こうか」
 そっと手を差し伸べて子どもの手を取る。他の子も別の子と手を繋いだところで、アレクシスは子どもたちを連れて、カデルたちが先に向かった星灯の隠処へと吸い込まれていく。
「大丈夫。この先は安全だ」
 子どもたちはその言葉を身をもって知ることになる。
「うわあ、きれい~」
「すごい、明るいよ。緑もたくさん!」
 明るい陽光と生命力に満ちた森が目の前に広がっていた。ダークセイヴァーで暮らしている子どもたちにとっては、まさに夢のような世界だ。
「みんな、いらっしゃい! ねえ、とってもとっても綺麗な世界でしょ?」
 子どもたちを出迎えたカデル自身がこの美しい世界を気に入ってるようで、うきうきと軽やかにステップを踏む。
「ねぇアレス、ここでボクとアーシェに踊らせて!」
 楽し気なカデルの様子を目を細めて見ていたアレクシスはその言葉に少し驚いたように問い返して。
「ふたりで踊りを?」
「こんなに綺麗な世界なんだもの、長く楽しんでもらえるように、子供達の心にボクの祈りを届けるんだよ」
 確かにそれは子どもたちにも楽しんでもらえそうだとアレクシスも大きく頷いて。
「素敵だね! 僕も音楽で手伝わせてほしい」
 可愛らしい小さな蓄音機【さえずり星】の引き出しに、辺りに咲いている雛菊と茉莉花を入れれば、入れたものに合ったレコードが作られ、音楽を奏で始める。
 それは陽光と光雨の旋律。その音色に合わせ、カデルが楽し気にステップを踏む。
「さあアーシェ、ボクと一緒に踊ろうね!」
 奏でられる優しい音色に乗って、カデルとアーシェが楽し気に舞う。お揃いの金の宝石とジャスミンのアンクレットが揺れ、二人の息の合ったダンスに子どもたちも目が釘付けだ。
「素敵なダンス……」
 アレクシスが二人に拍手を送れば、子どもたちもそれにならい、やがて大きくなった拍手にカデルとアーシェがスカートを摘まんでお辞儀をする。
「良ければこのレコードもどうぞ」
 アレクシスは先程奏でた雛菊と茉莉花のメロディのレコードを子どもたちに贈り、そうして他の曲も奏でてみないかと誘う。
「今度は皆で好きな花を入れてみようか」
「わあ、楽しそう!」
 どんな音が鳴るのだろうと、期待に胸を膨らませる子どもたちが集めてきた花を順番に入れて。
 移り変わるメロディの中、森の中を走り回る子どもやクックと一緒に遊ぶ子ども、花冠を作って遊ぶ子どもなどいろいろで。それぞれが好きなことをしては楽しんでいる姿をアレクシスは笑顔を浮かべ優しく見守るのだった。
(「どうかこの思い出が君達の心の暗雲を晴らし、明日への希望を支える光となりますように」)
「おねえちゃん、もう一度踊って!」
「うん、わかったよ……アーシェ、また一緒に躍ろうか!」
 子どもたちの言葉に応え、カデルがまた楽しくアーシェと踊り出す。それは幸せ色をした祝祭。
「どうかキミたちに祝福よ、あれ! 寂しい時はどうかここを思い出してね」
 この素敵な世界や音楽を一緒に楽しんだ時間が、子どもたちの心にいつまでも温かく息づきますようにと、願いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
ここは本当に厳しい世界だね
UDCアースの暮らしが恵まれてる事を痛感するよ

敵を倒す方がある意味では簡単かもしれない
大した事はできないけど力になりたいね

外見的には大して年上に見てくれなさそうだし
言う事聞いてくれるか少し不安かな
純粋な眼差しでお姉ちゃんと呼ばれるのも
地味にダメージあるんだけどね

気の利いた励ましや遊びはできないから
炊き出しをして元気づけようか
暖かいもの食べてゆっくり寝たら
少しは気持ちが前向きになるかもしれないし

持ち込んだ玉ねぎやじゃがいもとかを使ってシチューを作ろう
大きい子達にも手伝って貰おうかな
できる事があるっていうのも大事だしね
多少具の大きさが不揃いでもしっかり火を通せば大丈夫だよ



●温かな食卓を
(「ここは本当に厳しい世界だね」)
 夜と闇に覆われたダークセイヴァーの世界。ヴァンパイアに支配されたこの地で人々は圧政に耐えながらも何とか生きてきたが、さらに上層というものがあるとわかり、そこでは猟兵でも簡単に倒すことのできない闇の種族の存在が確認された。
 人類砦のひとつにやってきた佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、自らが暮らすUDCアースでの生活が恵まれてることを痛感するのだった。
 ここで暮らす子どもたちの年頃ならば、幼稚園や小学校などに通い、友達や学びも得ているのだろうと考えると、その落差にやはり気持ちが重くなる。
 そんな彼らに希望を与えることができるのか。
(「敵を倒す方がある意味では簡単かもしれないね」)
 それでも、何か力になりたいと、晶はここを訪れたのだ。
「皆さん、猟兵の方があなたたちに会いに来てくれましたよ」
 ここの子どもたちのお世話をしているという修道女に紹介され、晶が自己紹介すると、子どもたちは純粋な眼差しをこちらに向けてくる。
(「ああ、でも……やっぱり子供はどこの世界でも純真なんだろうな」)
 他の猟兵に遊んでもらったのか、暗い表情の子どもはおらず、晶が何をしてくれるのかわくわくと期待している様子。
 晶は立派な成人男性だが、邪神に融合された結果、見た目が中学生くらいの少女の姿となったので、彼らにとっては友達の範疇に入るのだろうか。
「おねえちゃん、遊んでくれるの?」
「ねえ、お歌うたって」
「お人形あそびしよう」
 女の子を中心にして、晶を遊びに誘う子どもたち。その純粋な眼差しで「おねえちゃん」と呼ばれるのは、外見がそうだとはいえ、地味にダメージを受ける晶だった。
「ええと……料理を作ろうと思うよ」
「わあ、ごはんだ!」
「おねえちゃん、料理とくいなの?」
「何を作るの?」
 彼らが求めるようなことが上手にできそうもないし、気の利いた励ましや遊びもできないと思った晶は炊き出しを行うことにしたのだが、子どもたちに予想外の質問攻撃を受けてしまう。
「作るのはシチューだよ。ほら、材料も持ってきたんだ。良かったら手伝ってくれるかな」
「わたし、やる!」
「ぼくもできるよ」
 年長の子どもたちが元気に声をあげて、そうして子どもたちに教えてもらって調理場へとやってきた晶は早速シチュー作りに取り掛かる。
「玉ねぎの皮を剥くのを手伝ってくれる? そう、上手だね」
 大きな子には野菜の皮むきやカットを手伝ってもらい。怪我をしないように見守っていると、上手にできれば達成感で子どもたちはいい笑顔を見せる。
(「できる事があるっていうのも大事だよね」)
 具の大きさが不揃いなのはご愛敬。しっかり火を通せば問題ないと晶は鍋でぐつぐつと具材を煮込んでいく。
「さあ、みんなで作ったシチューができたよ」
 年長の子どもが率先して小さな子どもにシチューの皿を配る様子を微笑ましく見守りながら、晶はみんなと一緒に手を合わせていただく。
「おいしいね」
「あったまるね」
(「うん、味は大丈夫そうだね」)
 子どもたちが喜んで食べる姿に晶も安堵して。食事はどの世界においても心休まるひとときであってほしいと思うのだ。
「おねえちゃん、あとでお話聞かせて」
 気の利いたことは出来ないと思っていたけれど、晶が経験して来たことを話すことで何か楽しい気持ちになるのならと、後でおしゃべりをする約束をして。
(「こんな状況でも、暖かいものを食べてゆっくり寝たら、少しは気持ちが前向きになるかもしれないよね」)
 先程よりも口数が多くなった子どもたちに、おねえちゃんと呼ばれる回数も増えたけれど、それでもそれが彼らの前向きさや希望を表しているようで、晶はその様子に目を細めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
闇に満ちたこの世界にも希望の灯火はある
その灯火を絶やさぬように
その胸に宿る希望が煌々と輝き続けるように
今ここに生きる子供たちに勇気と祝福を

子供たちのために絵本を持って来たの
勇敢な王子様が怪物と戦う物語
聡明な少女が敵の卑劣な罠を跳ね除け幸せを掴む物語
成長した子には、偉業を成した英雄の伝記を

小さな子と共に灯りを囲んで
時に希望の歌を紡ぎながら、愛と勇気の物語を語り聞かせる
これは本の中の物語
過酷な現実とは違う世界
だけどその物語に救われ、勇気をもらう人がいる
弛まぬ努力の末に、夢を現実に変える人がいる

だから、その胸にある光を忘れないで
わたくしたちはいつもみんなを見守っているから



●その胸にある光明
「ここに家族を亡くした子どもたちがたくさん暮らしているのね……」
 第三層にある人類砦のひとつを訪れたヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は、いつもは穏やかで柔和な表情をほんの少し翳らせると、ここで暮らす子どもたちの心情を思う。
 家族をヴァンパイアに奪われ、それだけでも辛いというのに、今は見知らぬ場所に来て不安な日々を送っているのだろう。
 ヘルガもまたオブリビオンに領土を滅ぼされ追われた身であるからこそ、その気持ちが痛いほどよくわかるのだ。
 けれど、何も全てが闇に閉ざされたわけではないのだから。
(「闇に満ちたこの世界にも希望の灯火はある」)
 人類砦を築いた闇の救済者ダークセイヴァーや、闇の種族に立ち向かう猟兵がその灯火を絶やさぬようにと、ダークセイヴァーの解放に向けて動いている。
 ヘルガもまた、この大きな戦いの中、いくつもの戦場を駆け、希望の光を届けて来たのだ。
(「その胸に宿る希望が煌々と輝き続けるように、今ここに生きる子供たちに勇気と祝福を」)
 祈りと決意を胸に、ヘルガは子どもたちの元へ向かうのだった。
「りょうへいさん、いらっしゃい!」
「わあ、きれいなおねえちゃんだ……」
 ヘルガの来訪に、子どもたちは心から喜んだ様子できらきらとした純粋な瞳を向けてくる。
(「良かった。子どもたちから希望は失われていないのね。なら、その灯火が絶えないように……」)
 ヘルガは挨拶を済ませると、子どもたちに見えるように持参したものを掲げる。
「今日はみんなのために絵本を持って来たの」
「えほん?」
「おはなしを聞かせてくれるんだね」
 絵本を見たこともない子どももいるのだろう。ヘルガはそうよ、と頷いてはどれから読みましょうかと子どもたちに選択を委ね、多数決で多かった本から読んでいくことにして。
 それは、勇敢な王子様が怪物と戦う物語。
 また、聡明な少女が敵の卑劣な罠を跳ね除け幸せを掴む物語もある。
 知恵と勇気で危機を乗り越えた少年の物語には、固唾を飲んで見守っていて。
 闇に覆われたこの世界で、小さな子どもたちと灯りを囲んで絵本を読み聞かせ、時には歌を交えながら、ヘルガは美しい歌声で希望の歌を紡いでいく。
 その愛と勇気の物語は子どもたちに確かな希望を抱かせる。
(「これは本の中の物語……過酷な現実とは違う世界。……それでも」)
 その物語に救われ、勇気をもらう人がいる。
 弛まぬ努力の末に、夢を現実に変える人がいる。
 現に目の前の子どもたちの瞳は生き生きと輝き、明日への希望に満ちている。
「他にもこんな物語もあるわ」
 年長の子どもたちには、偉業を成した英雄の伝記を。
「すごいなあ。ぼくたちもこんな風になれるかな?」
「こんな勇気、あたしもほしいな」
 憧れと理想を宿したその純粋な瞳を見つめ、ヘルガは大丈夫よ、と優しく頷いて。
「だから、その胸にある光を忘れないで」
 胸に手を当て、希望という輝きを心に抱くことの大切さを優しく説く。
「わたくしたちはいつもみんなを見守っているから」
 困難に直面しても、ヘルガが聞かせてくれた物語や歌声をきっと思い出すだろう。
 たとえ辺りが闇に覆われていても、子どもたちは自分の心にある大切な光を見失うことはないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アミリア・ウィスタリア
【小夜の藤筏】
きっと辛い思いをしてきたはずの子達。
知らぬ場所に連れてこられても希望を失わないのは、本当に立派なことです。

まずは皆さんのお話を聞いてみたいです。
大丈夫、ミラ達は悲しみも怒りもちゃんと聞きますよ。
勿論嬉しいことだって!
秘密のお話はこっそり教えてくださいな。ちゃんと内緒にしますから。

皆さん、お腹は空いてませんか?
本当はこういう時はごはんが良いのでしょうけれど、私はお菓子作りの方が好きでして……。
ケーキを作るのをお手伝いしてくれませんか?
一緒に作ればきっと素敵に出来上がるはずです!
リコさんも手伝ってくれますよね!

子供達が興味を持ったところは少し難しいところでもやらせてあげたいです。私達がサポートするからきっと大丈夫なはず。

デコレーションは子供達にお任せしちゃいましょう!
きっと賑やかで素敵に仕上がりますもの!
出来上がったケーキは予想より大きくなっていたけれど、皆で分けるから丁度いいですね。

子供達の笑顔が見れて少しほっとしました。
この笑顔を絶やさない為にも、頑張らないといけませんね。


リコ・リスカード
【小夜の藤筏】
……ほーんと、上層のヤツらって勝手だよねェ。
そのとばっちりがこんな小さな生命にくるなんて最悪だよ。
……でも、子供達が希望を捨ててないのは本当に良かった。

何もしないでいると、段々気が滅入ってくるのは子供もそうだと思うんだよね。
しゃがんで子供達と目線を合わせて、話を聞いてみたいな。
「ねェ、たとえば、こっちに来てから自分で頑張ったなーって思うこととかあったかなァ?」
多分ね、皆、俺が思うよりずーっと頑張ってると思う。それって凄いことだよ。
喜んで貰えそうならその場で折り紙でメダルも作るよ。
頑張り屋さんはいっぱい褒めてあげようねェ!

ん、少しお腹空いてきた?
それなら俺達と一緒にお菓子作ろっかァ!
言われなくても手伝うに決まってるじゃん!

ちょっと背の高いケーキになっちゃったって大丈夫、俺が持ち上げたげるねェ。
皆が好きにデコレーションした方がきっと楽しいし、美味しく感じると思うからさ。遠慮なんかしなくていいんだよォ。

……この子達が安心して過ごせる日が来るように、頑張らないとね、主。



●素敵な未来を紡ぐため
「ここに子供達がいるのですね。突然、見知らぬ場所に来ることになってしまった子達が……」
 ダークセイヴァーで始まった大きな戦いに巻き込まれたのは、第三層で暮らす魂人たちだけではなかった。解き放たれた禁獣が持つ『歓喜の門』の力は、第四層と第五層をも巻き込むこととなったのだ。
 そのことを憂えたアミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)は、美しい顔を悲し気に歪めた。
 アミリアは魂人。このダークセイヴァーで一度死を迎え、そして転生した存在。だからこそ、この世界で生きる辛さを知っている。
「……ほーんと、上層のヤツらって勝手だよねェ」
 アミリアと共にこの場所へとやってきたリコ・リスカード(異星の死神・f39357)もそう言っては、ここに来ることになった子どもたちのことを気遣う。
 上層のオブリビオンは魂人を迫害し、玩具のように弄ぶ。第四層以下に暮らす人々も彼らにとってはモノや道具程度でしかないのだろう。
「そのとばっちりがこんな小さな生命にくるなんて最悪だよ」
 異星の死神でもあったリコだが、生命を刈ることよりも生命の持つ輝きに興味を持った彼だからこそ、そう憤慨するのだろう。
 砦へと近づけば、子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくる。きっと先に到着した猟兵たちが子どもたちと遊んでいるのだろう。
「それでも、知らぬ場所に連れてこられても希望を失わないのは、本当に立派なことです」
 聞いた話では、年長の子どもが年少の子どもを支えたり、励まし合ったりしているそうだ。一度は心が壊れ、絶望を知ったアミリアはきっと心からそう思ったのだろう。
「……うん、子供達が希望を捨ててないのは本当に良かった」
 その気持ちこそが明日を生き抜くために必要なものだから。
「リコさん、ミラ達に出来ることをしましょうね」
「もちろん、そのために来たんだからねェ」
 頷きあうと、二人は子どもたちが待つ場所へと向かうのだった。
「皆さんが来てくださって、子どもたちは全員喜んでいるのです。まだまだ遊んでほしいみたいで……よろしくお願いしますね」
 ここの子どもたちの面倒を見ているという修道女アンネがアミリアとリコを子どもたちの元へと案内しては、お辞儀をして去っていく。
「おねえちゃん、おにいちゃん、いらっしゃーい!」
 その姿を見つけるや、子どもたちは元気いっぱいに二人に駆け寄っていく。
「お人形さんみたいにきれいなおねえちゃん!」
「こっちのおにいちゃんはとっても背がたかいね!」
 心が塞いでる様子がないのは一安心。二人は自己紹介を済ませると、まずはゆっくりと子どもたちの話を聞くことにする。
「皆さんのお話を聞かせてくれますか?」
 アミリアが優しく微笑みかければ、子どもたちは順番に名前を名乗るが、何を話していいかわからない様子で、えーっとを繰り返している。
「ふふ、大丈夫。何でもいいんですよ。好きな食べ物でも、今日あったことを話してくれても」
 アミリアの優しい笑顔と言葉に、子どもたちは安心したように口を開く。
「普段は話せないようなことでも……ミラ達は悲しみも怒りもちゃんと聞きますよ」
 勿論嬉しいことだって! と言い添えれば、一人の少女は家族を失った悲しみを口に出して。
「それは辛かったでしょうね……」
 アミリアも幸せを喪ったから、痛みも悲しみも深く共感できるのだろう。
「ミラに聞かせてくれてありがとうございます。辛いことを乗り越えてここにいるだけで立派なことだと思いますよ」
 小さな身体では受け止めきれない悲しみがきっとたくさんあったのだろう。けれど、希望を失わずにいてくれる。それだけで充分なのだとアミリアは優しく伝えるのだった。
 アミリアが子どもたちと話している傍らで、リコもまた子どもたちと話をしようと辺りを見渡す。
 子どもたちはここでは匿われる存在であり、外で遊ぶようなことも出来ず、これまできっと塞ぎ込んでいたはずだ。
(「何もしないでいると、段々気が滅入ってくるのは子供もそうだと思うんだよね」)
 だから少しでも話を聞いてその気持ちを晴らしてやりたいと、リコは小さな子どもたちと目線が合うようにしゃがみこんで話しかける。
「皆、俺にも話聞かせてくれる?」
「えっとね、えっとね……うーんでもそんなすごいお話はできないし……」
 遠慮しているのか、もじもじしている子どもを見かね、リコはこう切り出す。
「ねェ、たとえば、こっちに来てから自分で頑張ったなーって思うこととかあったかなァ?」
 その言葉に、少年はぱっと顔を輝かせて胸を張ってこう告げる。
「えっとね、年下の子の靴下に穴があいてたからぼくがぬってあげたよ」
「ぼくはおそうじを手伝ったよ!」
「あたしはアンネおねえちゃんとの約束をちゃんと守ってる」
 そう口々に言う子どもたち一人一人に頷きを返し、リコはこう断言する。
「多分ね、皆、俺が思うよりずーっと頑張ってると思う。それって凄いことだよ」
「すごい?」
「ほんとに?」
「うん、凄いことだよ。頑張り屋さんはいっぱい褒めてあげようねェ!」
 そう言ってリコは持参した折り紙で、その場でメダルを作っていく。
「これは皆が頑張った証。いつだって胸を張っていればいいんだよォ」
 折り紙メダルに紐をつけて、首にかけてあげれば子どもたちは大喜び。
「ぼくがんばったよ!」
「あたしのも見てみて」
 その後も次々と頑張ったことを報告してくる子どもたちに、リコはたくさんの手作りメダルを贈呈する。
「まあ、そうなんですか。ふふ、大丈夫。秘密の話はちゃんと内緒にしますから」
 一人の女の子から、好きな男の子の話を打ち明けられたアミリアは、大丈夫と人差し指を口元に立てて、にっこりと微笑む。
 そうしてすっかり打ち解けた頃合いに、アミリアは子どもたちへと問いかける。
「皆さん、お腹は空いてませんか?」
「いっぱいお話したら少し空いてきたかも」
「ん、少しお腹空いてきた?」
 子どもたちの返答にリコはアミリアをちらりと見る。
「でしたら、ケーキを作るのをお手伝いしてくれませんか?」
「よし、俺達と一緒にお菓子作ろっかァ!」
 その言葉に、子どもたちの目はまた違う輝きを見せる。
「うわあ、お菓子!?」
「本当はこういう時はごはんが良いのでしょうけれど、私はお菓子作りの方が好きでして……」
「お菓子嬉しいよ! あんまり食べれないし……」
 この状況では確かにそうだろうと思いながら、お菓子で喜んでくれる子どもたちをさらに笑顔にすべくアミリアは微笑みかける。
「一緒に作ればきっと素敵に出来上がるはずです! もちろん、リコさんも手伝ってくれますよね!」
 穏やかながらも有無を言わせぬアミリアの言葉に、リコはすぐに頷いて。
「言われなくても手伝うに決まってるじゃん!」
 そのために来たのだからと子どもたちに調理場の場所を聞いて。みんなで仲良く連れ立って歩いて行く。
「やり方を説明していきますので、やりたいところがあれば遠慮なく言ってくださいね」
 調理場へとやってきては、道具と材料を用意したアミリアは、サポートしますから、と言い添えては優しく子どもたちに語り掛ける。
「そう、そうやって分量を量って……上手だねェ」
「混ぜるのが難しければお手伝いしますよ」
 そうしてわいわいと皆で力を合わせてケーキを焼き上げていく。
「デコレーションは皆さんにお任せしちゃいましょう! 好きに飾ってくださいね」
「え、いいの?」
 用意されたクリームやデコレーション用のお菓子や果物を前に目を輝かせる子どもたち。
「はい、皆さんで飾れば、きっと賑やかで素敵に仕上がりますもの!」
 アミリアの力添えでふっくら焼けたケーキを何段にも重ねれば、なんとも豪華な様相。
「高い所は届かない? 大丈夫、俺が持ち上げたげるねェ」
 抱っこや肩車で子どもたちの手が届くようにサポートしたリコに対し、目線がぐっと高くなった子どもたちは大はしゃぎ。
「ここにこれを乗せたいけど……おかしいかな?」
「遠慮なんかしなくていいんだよォ。皆が好きにデコレーションした方がきっと楽しいし、美味しく感じると思うからさ」
「うん、じゃあこうする!」
 そうして子どもたちの自由な発想でデコレーションされたケーキは想像より大きくなってしまったけれど。
「皆で分けるから丁度いいですね」
 そうしてアミリアが順番に切り分けて配れば、年長の子どもが年少の子どもに先に渡したり、全員に行き渡るまで食べ始めるのを待っていたりと、子どもたちはこんな中でも行儀よく素直に育っているようだ。
「皆、偉いねェ。いっぱい褒めてあげないとねェ!」
 褒められ、嬉しそうな子どもたちの目には誇りと自信。その純粋な瞳は翳ることなくきらきらと輝いていて。
 そうして出来上がったケーキを美味しそうに楽しそうに頬張る子どもたちは、手伝ってくれた二人にも感謝の気持ちをきちんと伝えて。
「おにいちゃん、おねえちゃん、今日はありがとう!」
 子どもたちは自分たちが思うよりもこの状況でも前を向いて暮らしているのだとわかると、アミリアの胸に熱いものがよぎり、そうして安堵の気持ちで満たされる。
「……この子達が安心して過ごせる日が来るように、頑張らないとね、主」
「はい、リコさん。この笑顔を絶やさない為にも、頑張らないといけませんね」
 喪った幸せは、新しい幸せで補う。アミリアは、それが正しくないと知っていてもそうして生きていくしかなかった。
 けれど、目の前の子どもたちの瞳には、希望の未来が映っているのだと思えるから。
 子どもたちがこれ以上幸せを喪わないように。そのために自分たちにも出来ることがあるのだから。
 アミリアは胸に手を当てそっと瞳を閉じると、子どもたちの未来が素敵なものであるようにと願うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
私は砦の壁に脆い部分や十分に補強されているか確認する。
それからついでだから砦周囲の安全確保をしておこうか。

「抱き着くんじゃない露。うっとおし…い?」
不意に背後から抱きしめられ初めは露かと振り返ると違う。
この子は…いや。この子達は誰だ?知り合いはいないはずだが。
彼女たちは口々に『レーちゃん』と言ってくるが…はて?

人形遊びで合点がいった。ああ。あの時の少女達か。なるほど。
改めて少女達の顔を眺めると確かにあの時人形遊びをした子達だ。
私より背が高くなっているせいか頭を撫でられたり頬に触れられる。
…子供は成長速度が速いな…。そして成長すると露化が促進されるのか。

また何か出してという発言に考えを巡らす。…ふむ。何がいいか…。
今回は【小さい援軍】の子達を呼んでみよう。話し相手になるはず。
「ん? この子達の名前? …ちま、かな」
適当なのを思いつかずに露が呼んでいた名前を言ってしまう。
子供は『ちま』達と会話をしたり遊んだりして楽しんでいるようだ。
さて。私は見回りに…いや。膝や背に乗るな。


神坂・露
レーちゃん(f14377)
怪我人さんが多いみたいだからあたしは治療するわね。
レーちゃんにも手伝って貰いたいけどすることがあるみたい。
…むぅ。すっごく褒めて貰いたかったのに…。むぅ…。
リミッター解除と限界突破した全力魔法で【月華】を発動♪
一気に終わらせてレーちゃんを探しに行くわ。行くわ♪
あ。でもでも手を握ったり患部に触れながら声かけながらね。

「レーちゃんどこかしら? …砦の外壁?」
レーちゃんが行きそうな…調べてそうな区画へダッシュで行くわ。
行動なんて長年ずーっと一緒にいたあたしにはお見通しなんだから♪
でも外壁の内側周辺で見つけられないし外には出た形跡ないし。あれ?

どこどこーって捜してたら…子供の集団の中で見つけて。ふふ♪かわい。
「あたしも混ぜて~♪」って輪の中に入っちゃったわ。わーい♪
あ。ちまレーちゃんを呼んだのね。あたしにも呼んでほしいわ~。
子供達はあたしのことも覚えてくれててとっても嬉しかったわ。
やっぱりどこでもレーちゃんとちまちゃんは人気者よね。
あたしも抱きしめながら子供達と遊ぶわ。



●希望が芽吹く時
「レーちゃん、この砦には前にお仕事で行った時に会った子供達も匿われてるんだって」
 ダークセイヴァー第三層にある人類砦のひとつにやってきた神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は、三年前の依頼のことを思い出しながら、当時も一緒だったシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)へと語り掛けた。
「ああ、そのようだな」
 けれどシビラは懐かしさに耽る様子はなく、今現在第三層で続く戦いの最中に危険に晒されている砦の状況を気にしているようで、その表情は真剣そのもの。
「まずは砦そのものの安全を確認しておくべきか」
 砦を守る闇の救済者ダークセイヴァーたちへとその旨を伝え、シビラは忙しそうに砦の外壁の点検を始める。
 砦の中には、オブリビオンの脅威から身をもって砦の子どもたちや戦う力を持たない人々を守ったのだろう、身体に傷を負った者も少なくないようだった。
「うん、怪我人さんが多いみたいね。だったらあたしは治療するわね」
 数も多いようだし、シビラにも手伝ってもらおうと露は思ったのだが、当のシビラは真剣な表情で砦の外壁を確認している。
「レーちゃんは他にすることがあるみたいね」
 それなら仕方ないとは思うのだが、露としては頑張ってたくさんの人を癒して、よくやったとシビラに褒めてほしかったのだ。
(「……むぅ。すっごく褒めて貰いたかったのに……。むぅ……」)
 しかしシビラはこちらを見ようともせず自分の仕事に没頭しているようだ。
 自分の成果はあとでいっぱい報告することにして、露も自分の仕事に集中することにした。
「痛かったでしょう? もう大丈夫よ~」
 露は一人一人に声をかけては、魔力を最大限に高め、制限なしに解放しては月光のごとき青白い光を放つと、救護室に運ばれた人々を癒していく。
「みんなのために頑張ってすごいわ。すぐに良くなるからね」
 手を握ったり、時に患部に優しく触れながら、露が声をかけ、癒しの光を与えれば、柔らかなまどろみとともに傷が癒されていく。
 怪我を負った人々の安らかな寝息を聞きながら、露はふう、と息を吐き出す。魔力を最大限に使ったのだ。疲れていないわけではないが、目的を成し終えた心地よい疲労感。その甲斐あって救護室にいる人たちの傷は全員癒えたことだろう。
「えへん、頑張ったんだから。じゃあじゃあ、レーちゃん探しに行くわ。行くわ♪」 
 るんるんと足取りも軽やかに、露はシビラを見つけに行くのだった。

「うむ、砦の壁の脆い部分はきちんと補強されているようだな」
 シビラが見て回ったところ、砦の外壁は外敵から身を守れるように修繕や維持がされているようだった。
「よい砦だ……あとは、砦周囲の安全確保をしておこうか」
 第三層は、吸血鬼よりも強大な闇の種族が跋扈する世界。魂人たちを戯れに迫害する悪趣味な連中の標的にならないように、砦を目立たないようにするなどできれば良いだろうか。
 ひとまず今日は危険が近づいている様子もないので、シビラがさらに砦の守りを強固にする方法はないかと思案しながら見回っていれば、ふいに背後から抱きつかれ動きを止める。
「抱き着くんじゃない露。うっとおし……い?」
 やれやれと振り返ったシビラが見たのはいつも傍にいる陽だまりのような仔犬娘ではなかった。
「あ、ご、ごめんなさい! なつかしくなってつい!」
 露よりも背が高い少女はそう言ってシビラから離れるとぺこりと頭を下げた。
「懐かしい……?」
 そう言われ、シビラは訝し気に首を傾げる。抱き着いてきた少女以外にも、何人かの年齢も様々な女の子がこちらを見ている。その表情はどこか旧友に再会したような懐かしそうな様子で。
(「この子は……いや。この子達は誰だ? 知り合いはいないはずだが」)
「レーちゃん!」
「ちびレーちゃん」
「……む?」
 そんな風に呼ぶのは露だけだ。それに背は確かに高くないが、ちびと呼ばれるのも不思議な感じがしてさらにシビラは不思議そうな顔をするのだった。
「あの、覚えてないかな? 前にお人形遊びをしてくれたこと」
「人形遊び……ああ」
 その単語でシビラもようやく合点がいったという表情を浮かべる。そういえば、この砦には数年前に依頼で行った子どもたちが匿われていると露も先ほど言っていた。砦の安全面を確保することに集中していたので、シビラの頭の中からすっかりそのことが抜け落ちていたのだろう。
「久しぶりになるか。元気そうで何よりだ」
 そう思って改めて集まった少女たちの顔を眺めれば、確かにあの時一緒に遊んだ子どもたちだった。
 三年の月日は少女たちをすっかり大きくして。背丈などはシビラや露よりも大きくなってしまっている子もいて、シビラは子どもの成長速度の速さに驚くのだった。
「おねえちゃんはあの時のままだね」
「うん、かわいいまま!」
 きゃっきゃっと言いながら、シビラに抱きついたり頭を撫でたりする少女たち。
(「成長すると露化が促進されるのか……」)
 なんとも言えない気持ちで相手の再会の喜びを受け入れていれば、少女たちが期待に満ちた目で見てくる。
「おねえちゃん、また何か出して」
「一緒に遊ぼう!」
「ふむ。そうだな……何がいいか……」
 確か以前は戦闘用人形を召喚し、子どもたちはおままごとをして遊んでいた。
(「では、今回は【小さい援軍】の子達を呼んでみよう」)
 おままごとをするだけでなく、話し相手にもなるはずだと、シビラは早速黒ヴェールを被った手乗りサイズのシビラにそっくりな少女たちを召喚する。
「わ、かわいい」
「おねえちゃんがいっぱい」
「うむ、少しなら話などもできる」
 小さなシビラたちは耳打ちするように少女たちの耳元に囁いたり、一体一体が意思を持って動いているようだ。
「前のちびレーちゃんともまた違って可愛いね。この子たちの名前は?」
「ん? この子達の名前?」
 改めて聞かれると困ってしまう。何かいい名前がないかと少しの間考えを巡らせたシビラだが、口から出たのは、いつも露が呼んでいた名前だった。
「……ちま、かな」
「ちま! たしかにちびレーちゃんよりさらにちっちゃくてかわいいもんね」
「ちまちゃん、一緒に遊ぼう♪」
 子どもたちが『ちま』たちと遊んでいる様子を眺めつつも、シビラは先程の見回りを続けようと立ち上がろうとしたのだが。
(「……いや。膝や背に乗るな」)
 少女たちはお構いなしにシビラに甘えるようにじゃれてきて。
(「子どもは大きくなる過程でみんな露化するのか……?」)
 そんなことを思いながらも動けずじっとしているのだった。

「レーちゃんどこかしら? ……砦の外壁?」
 シビラが少女たちに出会う少し前。露は怪我人の治療を終え、シビラの姿を探していた。
 先程熱心に砦の外壁を調べていたので、きっと安全確認を行っているのだろうと、シビラが調べていそうな区画へと急ぎ向かう露。
(「レーちゃんの行動なんて長年ずーっと一緒にいたあたしにはお見通しなんだから♪」)
 ふふん、とちょっと得意げに露は胸を張ってはシビラを探す。シビラが行きそうな場所は大体の見当がつくというもの。
 しかしあちこち探せど、思い当たるところにシビラの姿はなかった。
「あれ? 外壁の内側周辺で見つけられないし外には出た形跡ないし……あれあれ?」
 うーんと首を傾げながら、砦の中をあちこち歩いていれば、女の子たちが集まっている様子を見つけ露は近づいていく。
「あれ、あの輪の中にいるのレーちゃん? ふふ、女の子たちに囲まれて……あ、ちまレーちゃんもいる! ふふ♪ かわい❤」
 その輪の中へ、露も一緒に飛び込んでいく。
「あたしも混ぜて~♪」
「あ、露おねえちゃんも来てくれたよ!」
「まあ、あの時の。元気そうで良かったわ~」
 懐かしい顔との再会に、露もにっこり微笑んで。
「レーちゃん、探したのよ。あ、あたしいっぱい怪我を癒してきたのよ。褒めて褒めて~」
(「露みたいな少女だけでも賑やかなのに、露も来たのか……」)
 早速少女たちに負けじと抱き着いてくる露の頭をとりあえずよしよしと撫でてやる。そうでなくては、きっと離れないだろうから。
「ちまレーちゃんを呼んだのね。あたしにも呼んでほしいわ~」
 子どもたちも、ちまちゃんと呼んで可愛がっている様子に露はふふふと笑って、シビラにおねだり。
「呼ぶのは良いが……」
 あんまり抱きしめたりしないで欲しいというシビラの言葉が聞こえているのかいないのか、露はうきうきとちまたちを抱きしめる。
「やっぱりどこでもレーちゃんとちまちゃんは人気者よね」
「うん、可愛いね。おねえちゃん、また一緒に遊べてうれしいよ」
「あたしも嬉しいわ~」
 大きくなった少女たちに露は満面の笑みを浮かべる。
「ね、レーちゃんも遊ぶのよ? みんな楽しみにしてくれてるんだから」
「遊ぶ……」
 何をすればいいのかと前回も思ったものだが、こんな自分と一緒にいて楽しいと言ってくれたのだから、ちまたちと同じように話相手ぐらいにならなるだろうか。
「おねえちゃんたちのことはね、時々思い出してたんだよ」
「人形遊びしてた時は必ず!」
「そうか……」
「だからね、また一緒に遊べるかもって、ちゃんといい子にしてたんだよ」
 この世界で生きることがどれほど大変か、シビラは身をもって知っている。
「みんなは忘れなかったのね。諦めないで未来を信じること」
 えらいわね、と露は少女たちの頭を撫でてその勇気を労う。
 現実がどれだけ困難に満ちていても、自分たちがしてきたことがこの子どもたちに勇気と希望を与えたのだと、今となって知る思いだった。
 不安に思うことも寂しく思う時もあるだろう。
 けれど確かに、この子どもたちの胸には希望の光が宿っている。
 ――夜明けは、そう遠くないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月29日


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🔒
#ダークセイヴァー
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#闇の救済者戦争
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#人類砦


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト