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闇の救済者戦争⑪〜救える魂は片手一つ

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #みなさわタイマンシリーズ

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●永劫が如く剣を振るい
 右手より肉の感触が伝わった時、魔獣は事切れた。
 直後に聞こえたのは同胞の悲鳴。
 また一人……魂すらも朽ち果てたのだろう。
 虜囚となり、見世物となり、それでも私達は生きている。
 思い出はほとんどない。
 ただ、胸を刺す見えない痛みが残るだけだ。
 でも、なお……私達は剣を握るのを止めないだろう。

 いつの日か。
 いつの時か。

 ここを出て、もう一度苦難にまみれた自由を勝ち取るために。

 だから私は剣の草原の上に立つ。
 この闘技場の上に立つ。

 ……生きるために。

●グリモアベース
 大量の資料を机に並べ、グリモア猟兵である氏家・禄郎(探偵屋・f22632)が煙草を咥えると先端が赤く灯った。
「まず最初に説明しておかないといけない。助けられるのは一人、一名だ。それ以外の方法だと対戦相手にして助けるべき女闘士が出てこない」
 どうにか、言葉を選んで口にしたのがそれだった。
 まるでこれが興業のルールだと言わんばかりに。
「呑み込めたかい? じゃあ、話を始めよう。今回の戦場はグラディウス・アリーナ。無数の剣の草原の上に建築された建造物だ。そして君達が対戦する相手は――隷属を強いられし魂人の女闘士」
 差し出す資料には女闘士の姿と首輪、そして紋章が一つ。
「この奴隷の紋章と融合した首輪を嵌められているために彼女達は隷属を強いられている。君達は一対一の勝負にて戦い、そして首輪を破壊するのが今回の目的だ――とは言え、相手も生き残りたいが故か首輪のせいか全力で挑んでくる。手は抜けない」
 更にグリモア猟兵は資料を出す。
「もう一つ注意してほしいのが闘技場だ。フィールドから出たら剣の草原に真っ逆さま。敵もそれを狙ってくるだろうから、|上手く立ち回ってくれ《・・・・・・・・・・》」

 探偵屋がタイプライターのレバーを倒せば闘技場への道が開かれる。

「君達にも思うところはあるだろうが、今、やれることを全力で行ってくれ。最終的に戦争に勝てば道は開けるのだから」
 開かれた門を見るグリモア猟兵の目は眼鏡が反射してみることは叶わなかった。
 けれど、考えていることは分かるような気がした。


みなさわ
 隷属を強いられし女闘士。
 助けられるのは一人、一名。
 何故なら始まるのは猟兵と女闘士の一対一の戦いなのだから。
 名も知れぬ興行主を倒すのはこの戦いの後だ。

 こんにちは、みなさわです。

 今回は恒例の一対一バトル。
 魂壊れつつも生き残るために戦う者と剣を交え、そして勝ち、救わねばなりません。

●対戦相手
 隷属を強いられし魂人の女闘士。
 奴隷の紋章が融合した首輪によって隷属を強いられています。
 初っ端からの首輪狙いは肉と骨を切らせたカウンターによって迎え撃たれるか、肉弾を以って剣の草原へ共に落下となりうるかと思います。
 正面から戦って、勝ち、戒めから解き放ってください。

●戦場
 グラディウス・アリーナと呼ばれる自生する無数の剣の草原の上に建造された闘技場となります。
 フィールドから押し出されると剣の草原へと落ちていきますのでお気を付け下さい。

●プレイングボーナス
『剣の草原に落ちないように立ち回る』

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 では皆様、右手に剣を左手は誰かのために空けておいてください。
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第1章 集団戦 『隷属を強いられし魂人の女闘士』

POW   :    退くことも斃れることも許されぬ奴隷
自身と装備を【如何なる状況状態でも闘わされ続ける呪い】で覆い、攻撃・防御をX倍、命中・回避・移動をX分の1にする。
SPD   :    滅殺刃
【気が狂うような激痛】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【滅殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ   :    無謀なる突撃の呪い
【呪いの首輪】に封じた【奴隷の紋章の化身】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リューイン・ランサード
相手からは必死に生き延びようとする意志を感じます。
甘く見たらやられるなあ<汗>。
なので全力でお相手します。

右手にエーテルソード、左手に流水剣、フローティングビームシールドを滞空。
(攻撃力強化のケースに備えて)相手の攻撃は第六感と瞬間思考力で読み、見切りで回避。
最終防御にオーラ防御を展開。

回避の際には、功夫の足さばきによる”円を描くように相手を回り込む移動”を行い、フィールドの端に追いやられないように動く。

攻撃では両手の剣による2回攻撃を繰り出して剣に注意を引き付ける。
で、剣を弾き飛ばされたように見せかけ、次の瞬間、功夫による踏み込みで懐に飛び込み、UC:震龍波を首輪の紋章に叩き込んで破壊する!



●一人目

「甘く見たらやられるなあ」
 リューイン・ランサード(|波濤踏破せし若龍《でもヘタレ》・f13950)は冷や汗をかきつつ闘技場へと降り立つ。
 目の前には強敵。
 けれども、そこで踏みとどまる理由は無い。
 相手からは必死に生き延びようとする意志を感じるのだから。
 故に――。
「全力でお相手します」
 若龍は覚悟を決めた。

 見世物として故か、女闘士の服装は必要最低限。
 だが、その手に持つ剣は分厚く、重い。
 首輪に紋章が浮かび上がり、闘士の身を何かが覆うと女は剣を肩に担ぐように構えゆっくりと近づいていく。

 退くことも斃れることも許されぬが故の|呪い《闘法》

 ただ前に進み、全力で振り下ろす。
 防御はその攻勢が代わりとなり、代償として素早さと確実に当てる事を捨てる。
 そんな剣を振るう相手にリューインはエーテルソードと流水剣を構え、若龍を守るビームシールドを浮遊させ、攻防を両立させていく。
 互いに歩を進める。
 女はゆっくりと、龍は少しだけ速めに。
 双方の間合いが交わった時、振り下ろされるは闘士の一撃。
 火花が文字通り散り、金属の焼ける臭いが鼻を突く中、たたらを踏むのはリューイン・ランサード。
 幾度の経験が感を動かし、思考を防御に向けさせ、致命に至る軌道を避けても、威を殺し切るには女の剣は重かった。
 だからリューインは体勢を立て直し鍛錬の賜物である足さばきにて弧を描き回り込む。
 横薙ぎの流水剣。
 流れるような動作で繰り出す一撃を闘士は剣で受け止め、膂力で跳ね飛ばす。
 後ろに崩れるような姿勢の中、若龍は盾を動かすが剣の勢いは止まらず。
 だが、その一撃はリューインを避けるように闘技場の床に刺さった。

 エーテルソードに纏わせたオーラにて受け流したのだ。

 スナップを効かした深淵の刃が女の首を刎ねにかからん。
 直後、聞こえる叫び。
 咆哮を伴った蹴りで無理矢理に剣を浮かせた闘士は刃を握り鍔迫り合いに持ち込もうとし、対する龍は逆手に持った流水が煌めくと女は体当たりにてリューインとの距離を取った。

 互いの息遣いが聞こえる。
 いや、それ以外の雑音が無くなった。
 ビームシールドを飛ばし、同時に走り込む若龍。
 女は蹴りにて盾を弾き、そのままの勢いで踏み込み袈裟に刃を振り落とす。
 金属がぶつかり合う音が響き、リューインの剣が一振り飛んだ。

 戦いは決したか――いや、まだだ!

 若龍が更なる間合いへと踏み込んだのだから。
 剣は囮、本命は拳、魔力を震わせた一撃を首輪へと浸透させた。

 震龍波!

 振動が首輪を伝い、紋章ごと破砕する。
 女はそこで意識を失い。
 リューイン・ランサードは握った拳を開き、女闘士を受け止めた。

 ――まずは一人!

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
なるほど、真っ向勝負をしてこいと。
ええ、そういうのは得意だわ。
任せて頂戴。

大したパワーとタフネスのようだけど、その分大振りだし動きも鈍い
となれば、こちらは回避とパリィを重視しつつ、拳の距離での超接近戦で立ち回る
(剣の振りを封じ、纏わりつくように動くことで場外リスクを減らす)

コードは【鉄塊拳】を使用
敵の攻撃を拳で弾きその隙に拳を叩き込む
或いは躱して死角に回り込み、連撃を入れていく
あらゆる体術に持ち前の「怪力」を乗せ、確実に堅実にダメージを積み重ねての勝利を目指す
もし可能であればパリィ時に剣を弾き飛ばして寝技に持ち込み、「怪力」で拘束してからの首輪破壊も狙う



●二人目

 一人は救われ、次はもう一人。
 如何に救うかと問われれば、真っ向勝負で受け止めるのが荒谷・つかさ(|逸鬼闘閃《Irregular》・f02032)。
 理由は明白、そういう事が得意な人間なのだから。
「任せて頂戴」
 一言、告げて闘技場へと降り立つ。

 視線が交わされて、二人の女は構える。
 言葉は要らない、やるべきことは決まっていたのだから。

 闘士は剣を構え、摺り足で近づいていく。
 その膝は折れるかのように曲がり重心を低く、発条を溜める。
 羅刹は両の掌を軽く握り、荷重を前に。
 フットワークを刻むでなく、かつ必要以上に重心は落とさない。
 敵は猟兵の意図を察し、それを上回る一撃を。
 そしてつかさは一撃を上回る連撃を狙うべく、間合いを詰める。

 二人の|距離《レンジ》が混ざり。
 剣と拳が同時に動いた。

 退くことも斃れることも許されぬ剣技に挑むは鉄塊が如き拳。
 振り下ろされた刃にパンチを叩き込み、流れるように腰の捻転を解放、鋭い直拳が闘士の肩へと突き刺さった。
 距離を離さんと女闘士が蹴れば、女羅刹の拳が返り裏拳を以って叩き落とし半身をねじ込み順足での突き。
 同時につかさの目の奥に火花が散った。
 相打ち覚悟の柄尻の一撃が羅刹のこめかみを打ちぬいたのだ。
 合わせたかのように離れ、二人の呼吸が響く。
 荒い息遣いが静かになれば、再び戦いは始まった。

 一撃と連撃、剣と拳。
 体力と神経をすり減らし、呼吸の中に動きを組み込み、技を以って隙を穿ち、戦いのピースを埋め込む。
 一人は生き残るために刃を振るい、それを強いられ。
 もう一人は救うために拳を振るい、それを貫く。
 けれど戦いの天秤は常に釣り合う事は無く、やがて傾きを見せる。
 つかさの振るう|鉄塊拳《ユーベルコード》には錬磨を重ねた膂力が乗せられているのだ。
 どんなに戦いを強いられ威力と防御を高めたとしても、それを穿つ一撃が何度も重なれば、呪いで動かされたとしても身体はついていけない。
 女闘士の動きは鈍くなり、ただでさえ荒っぽい技は焦りと粗雑さが目立ち女羅刹のカウンターの的となる。
 その一瞬に――つかさは威を解き放った。
 刀身の腹に叩き込まれた一発。
 闘士は腕を持っていかれ、それ以上に剣を握り続けることが出来なかった。
 闘技場に刃が転がると同時に誰かが床に組み伏せられた。
 つかさが女闘士を引き倒し、寝技に持ち込んだのだ。
 グラウンドでの攻防は体力を消耗する。首裏に片腕を回すともう片方の前腕で気管を押さえつける羅刹の動きに敵は対応が出来なかった。
 ギロチンチョーク。
 首に回した手が気管を圧迫している側の肘を掴めばこの技からは脱出不可能。
 体重と梃子の原理、そして羅刹の怪力が首を……首輪を圧迫する!

 例え、紋章の魔力があったとしても。
 例え、|魔法の品《アーティファクト》であったとしても。
 それ以上の物理を防ぐことは叶わない。
 首輪は女闘士を守るものではない上に、人外たる領域へ達した腕力は魔法と変わらないのだから。
 何かが砕ける音がして、女は意識を失い、羅刹は立ちあがりつつ自由になった闘士を肩に担いだ。

 二人目は物理で解放された。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヤーガリ・セサル
一人救える、と誰も助からない。全然違いますからね。ならばなすべきことをなす、それだけです。
魔導書占いであらかじめ飛翔の呪文をかけておきましょう。ずっと地面に足をつけながら、相手の攻撃を誘って劣勢のふりをしながら闘技場のヘリ側へとおびき寄せます。そのまま無様に落ちると見せかけ飛翔! 背後を取って抱きかかえ、短剣で首輪を破壊。

そのまま飛行しながら退場としましょうかね。

大丈夫です、あたしはやつれちゃいますが、あなたを生かす気しかない男です。もう戦わなくて大丈夫です。

信じて。
なんて言ってもすぐは信じられないですよね。
ま、メンタルケアも治療の一環です。心を縛る輪も、おいおいゆるめていきましょうか。



●三人目

 二人は自由を得て、また一人。
 首輪の戒めは有れども、生きたいという気持ちに変わりなく、その上で最良の選択を選ぶために猟兵と言えども手にかけよう。
 女闘士はやつれた男の枯れ木のような手に未来を感じることは出来なかった。
 剣を通して伝わる感触だけが人生の結果だったから。

「一人救える、と誰も助からない」
 ヤーガリ・セサル(鼠喰らい・f36474)の歩に迷いはない。
「全然違いますからね」
 自らの言葉の意味を知っているからこそ、自らも人の歩みを踏み外しかけたからこそ。
「ならばなすべきことをなす、それだけです」
 その歩みには重みがあり、対峙する闘士は何故か一歩たじろいだ。

「さて、あなたは如何に?」
 短剣を抜くヤーガリの目は赤い血だまりのよう。
 けれど、その赤に隠された焔の揺らぎを見た女闘士は再び歩を後ろへ。

 ――気圧されている?

 虜囚の闘士は考える。
 けれど、あの細腕が、口元に見える犬歯が、|思考《希望》を打ち消した。
 |吸血鬼《あいつらと同じ》じゃないか!
 あんな腕で何を救えるか。
 私は生きたい――何もかもを捨ててでも!
 女の身体を激痛が支配し、思考を捨てた時、剣はサメのような牙を刃に纏った。

 滅殺刃

 ただ相手を殺すだけの剣が振るわれ、ヤーガリがたたらを踏む。
 そのまま勢いに圧され、まるで素人が如く、真後ろへと鼠喰らいが下がる。
 痛みが増す。
 彼は救ってくれないから。
 痛みが伝わる。
 彼女の苦しみと痛みを生み出す紋章の光を見たから。
 だからこそ|魔術師《ビブリオマンサー》は左手の魔導書を開くのだ。

 呪文が響く、咆哮が打ち消す、床を砕く剣撃が全てを霧散する。
 闘技場の縁へと追い詰められたヤーガリに女闘士は一撃を振るう。
 肉を断つ感触は伝わらず、代わりに落ちていく鼠喰らい。
 安堵と何故か分からない失望が胸を刺した時、女の身体は空に舞った。
「失礼」
 ヤーガリ・セサルの声であった。

 |魔導書占い《ビブリオマンシー》

 現状打破に役立つ簡単な呪文、それを見つけるだけのユーベルコード。
 使いこなすは鼠喰らい自身。
 魔法とて万能でないのは知っている。
 ヤーガリが選んだ飛翔の呪文もその程度。
 だが剣の草原に埋まるのを防ぎ、女一人を抱きかかえる事は出来る。
 後は簡単だ。
 首輪を短剣で破壊し、そのまま闘技場から退場してしまえばいい。

「大丈夫です、あたしはやつれちゃいますが、あなたを生かす気しかない男です」
 男は自身が何たるかを知る人間で、それ以上に自分の中にある何かを重んじていた。
「もう戦わなくて大丈夫です」
 それが戦いの終わりを告げさせたのだ。
「信じて。なんて言ってもすぐは信じられないですよね」
 不器用に鼠喰らいが苦笑した。
 笑うのが下手な男、と女は思った。
「ま、メンタルケアも治療の一環です。心を縛る輪も、おいおいゆるめていきましょうか」
 そんなヤーガリの声が妙に心地よく、抱きかかえられたその手の力強さに女闘士は身を委ねた。

 三人目の心は、今、安寧を得た。

成功 🔵​🔵​🔴​

六條・司
報告書で分かってたつもりだが、やっぱりクソな世界だよな

ぶっちゃけ戦闘経験は向こうの方が多いはずだし、真面目に戦っても勝てないだろうな
という訳で俺もお得意の捨て身戦法を行うんですが

相手の攻撃タイミングを見てダメージを受ける前提で懐に潜り込む
UC【ブーステッド・オーヴァード】使用
邪神のオーラで腕が切り落とされないように耐えつつ、相手の剣を持つ手を掴みにいく。
掌に|棘《ソーン》を突き刺し、互いの手を繋ぎ止める
相手を引き寄せて抱き着き、必要に応じて自身の骨や神経を破壊し追加行動で更に身体を棘で繋ぎ止め、相手の攻撃を封じる

頑張ったのは知ってるから、そろそろ休んでもいいだろ
空いた手で首輪を破壊しにいきます



●四人目

 一人、二人、三人。
 救われるものが増えて来た。
 けれど、全員を救えるわけがない。
 それが分かっているからこそ、六條・司(棘の磔台・f40366)の怒りは収まることはない。

 ――報告書で分かってたつもりだが、やっぱりクソな世界だよな。

 文字で知るのと実際に経験するのは違っていた。
 そこあるのは魂を弄ぶ世界、そして目の前に立つのはそんな絶望の世界の中に生きる魂であった。
「真面目に戦っても勝てないだろうな」
 正直な話、戦闘経験は向こうの方が多いはずと司は考える。
 だからこそ、得意の捨て身戦法を行うのだ。

 それは退くことも斃れることも許されぬ虜囚の剣

 そこに飛びこむのはブーステッド。
 司は左腕で刃を受け止めんとしつつ――超えるのだ。

 |ブーステッド・オーヴァード《限界という壁を》

 それは埒外への道、またの名を真の姿。
 故郷を滅ぼした邪神と相打ち、その結果一つとなった、なれの果て。
 生きているのか、生かされているのか、答えは分からない。
 だが、戦い続けることは止めることは出来なかった。
 纏いし邪神のオーラにて剣を受け止め空いた右腕を伸ばし、掌から伸ばした|棘《ソーン》にて互いの手を繋ぐ。
 そのまま引き寄せれば、さらに生まれた棘によって女闘士を絡めとっていった。

 ……痛みが身体を走る。

 骨が砕け、神経が切れ焼けるような何かが身体に伝わっていく。
 もう立つ力は無く、棘によって絡み取って助けるべき相手にもたれかかるのがやっとだ。
 けれど、痛いのはあっちだって変わらない。
 命を失い魂人となり、そして囚われ、生きるために強いられたとはいえ手を汚していった。
 それで普通で居られるなら、もう人では無かったろうに。
 力を求めた結果、今の姿になった司にはその意志と痛みは尊いものに思えたからこそ――。
「頑張ったのは知ってるから、そろそろ休んでもいいだろ」
 まだ動く右腕を相手の首輪へと伸ばした。

 奴隷の紋章を宿した首輪はあっけなく砕け。
 そして六條・司もその場に倒れる。

 四人目は傷つきながらも助け出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
言うなれば、彼女等は手負いの獣。
油断を誘うような戦いは通用しない、
ある意味力に勝るボス級よりも厄介な相手です。
全力で狩らねば。

剣の草原に落ちない程度に距離を開け、
UCで複製した精霊猟銃で弾幕を張り、
自分は関節等動きを鈍らせるような部位を狙います。
痛みを物ともしないのは織り込み済み。

接近され滅殺刃を発動されたら、見切りに集中し回避に専念。
威力は上がっても、気が狂う激痛を伴っては
精度の高い攻撃は難しいでしょう。

回避の合間に脚を攻撃。彼女が膝をついたら即、距離を開けます。
頭上には合体を終え、直下への発射準備を整えた精霊砲。
「あなたは、私の獲物」

私の全力の攻撃を贈ります。貴女達への敬意を込めて。



●最後

 これまで救われたのは数人。
 そしてこれが最後なのだろう。
 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は心のざわめきを鎮めていく。
 元々は狩人たるシリンにとって、それは培われた性分でもあろう。
 獲物を狩るには時に自然と一体となる必要もあるのだから。
 だがそれだけではない
 救うべきものは手負いの獣も同然に傷つき、生きようとしている。
 全力で狩らねばならなかった。

 戦いが始まると同時にシリンは間合いを取りユーベルコードを展開する。
 複製された精霊猟銃。
 百丁を超えるそれが火を吹き、女闘士の前進を阻む。
 勿論、闘士もやられたままではない。
 銃弾を剣を打ち払い、射線からその身を逃すと――何かに気づいたかのように大きくバックステップ!
 直後、空を切る一射。
 それは狩人が狙った関節狙いの射撃だった。
 弾丸を躱した女闘士が床を蹴って接敵、即座に複製された精霊銃が足元を銃撃し動きを止め、シリンが弾丸を薬室に送り込む。
 銃口から炎が吐き出され、遅れて闘士の目の前で火花が散り、そして熱を帯び二つに割れた弾丸が足元に転がった。
 互いに息を吐く。
 そして二人の戦いが、生きるための闘争と救うための狩りが再開された。

 空気がひりつく感じがした。
 女闘士の生きようとする意志と殺意が、対する女狩人の獲物を狩らんとする無の意識が、二人の間で探り合い、誰も近寄らせない。
 この状況の中で先に覚悟を決めたのは闘士の方。
 弾幕の中、かすり傷やシリンの狙撃をすら受け、さらに気が狂わんほどの痛みを以ってその剣を重厚な大剣へと変えていく。

 滅殺の刃にてここに決着を着けん!

 殺意溢れる空気の中、対する狩人は退く事は無く、むしろ前へと進む。
 威力は上がっても、気が狂う激痛を伴っては精度の高い攻撃は難しい。
 猟師として生きていたからこそシリン・カービンはその手負いの一撃を待っていた!
 すれ違うように滅殺の一撃を見切ると同時に狩人が引鉄を引けば女闘士の膝を撃ち抜き、その場に留める。
 更にシリンが距離を取ると、虜囚の闘士を覆う影一つ。
 見上げれば百丁を超える精霊銃が一つとなり、砲へと変わっていった。
「あなたは、私の獲物」

 |貴女達への敬意を込めたこの全力の一撃にて狩らん《ピクシー・シューター・ギガント》

 光の柱が如き銃撃が闘技場の床を撃ち抜いた。
 その威力になす術も無く吹き飛ばされた闘士。
 虜囚の身はシリンが作った穴へと落ちんとし、女の魂が自由を得ようとしたその時――手は掴まれた。
 もう女闘士の首に奴隷たる首輪は無く、戦い終わったエルフが引き上げながら笑みを見せた時、魂人の女は本当の自由を手に入れたことを、此処に悟った。

 ここに5人目が救われ、戦いは終わった。

 けれど、猟兵はまたここに訪れるだろう。
 今度は全てを――救うために!!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月10日


挿絵イラスト