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闇の救済者戦争⑤〜Wither Feather

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争

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#闇の救済者戦争


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「皆ももう知ってる通り、今ダークセイヴァーが大変なコトになってるわ」
 グリモア猟兵、マグノリア・ステルニティ(亡き創世の七重奏・f30807)は、改めてかの世界の現状を語る。
「解放された禁獣『歓喜のデスギガス』の力で、第四層と第五層の大地がそこに住んでた人やオブリビオンごと第三層に吐き出されて、今あそこは三つの層が入り混じった混沌そのものの状況になってるの」
 曰く、マグノリアが治めていた領地も当然の如く巻き込まれたとのこと。
「まあ、あの世界の支配者にとっては最終的には全部滅ぼすんだし、そもそも自分達のモノをどう扱おうが勝手ってコトなんでしょうけど」
 呆れたようなマグノリアの口調にはしかし、確かな怒りが滲み出る。小領主としてある程度の自由を有するとはいえ、彼女もまたかの世界の理不尽を耐え忍んできた一人であるのだ。
「あんまり人をナメてるとどうなるか……あの支配者達に、教えてあげるとしましょう?」
 即ち、奴らの計画を打ち壊す。マグノリアの呼びかけるに、猟兵達もまた応を返す。

「という訳で。私から皆にお願いしたいのは、『鉄と病の森』に集まってる魂人達の救助よ」
 其処は、無数の凄惨なる拷問器具や狩猟罠が自生する常闇の森。迂闊に踏み込めば猟兵と言えども只では済まぬ程の危険地帯だが、現在、何故か元オラトリオの魂人達が此処に集まっているのだという。
「彼ら、どうやら『ケルベロス・フェノメノン』のところを目指しているみたいなのよね。無意識の本能とでも言える部分で、あれを殺さなきゃいけないって思っちゃったみたい」
 デスギガスと共に解き放たれたかの禁獣、危険極まりない存在であることは疑いようが無いが。しかし何ゆえに、魂人達がそのような反応を示してしまったのだろうか。
「何でそうなったかは分からないけど、良からぬ影響だってのは間違いないわね。彼ら、それをきっかけに『翼圧症』って病気を発症しちゃったみたいだから」
 それは、全身至るところ──体内からすら無数の翼が生え、激痛と幻覚を齎す奇病。それは正気を著しく損ねる程の代物である。
「皆には、そんな魂人達を助けて欲しいのだけど……気を付けて。彼ら、幻覚に苛まれるまま皆にも襲いかかってくるわ」
 元々が強い魂人達である、その力は集団性のオブリビオンとほぼ同等だ。
「治療するにも何するにも、まずは大人しくさせなきゃいけないけど……やり過ぎないようには気をつけてね」
 魂人達はオブリビオンではない。故に殺害は避けねばならない。魂人ゆえに永劫回帰を行使すれば死は避けられるが、それが深刻な代償を伴う行いであることは、猟兵達も知るところだろう。
 手加減が過ぎれば彼らを止められず、やり過ぎれば彼らの心に不可逆の傷を刻むことになる。ある意味において、強大なオブリビオンを相手にするより厳しい戦いとはなるが。
「でも、彼らを助けられるのは皆以外に居ないわ。どうにかして、彼らの心を傷つけないままに助けてあげてね」
 放っておけば、恐らくそれ以上の惨事となるだろう。其を食い止められるのは、猟兵達をおいて他には無いのだ。

「と、私からはこんなところね。それじゃ、皆よろしくお願いね!」
 そう結び、マグノリアはグリモアを起動。
 向かう先は凄惨なる森、其処を彷徨う病める者達の元。


五条新一郎
 夢を着飾る。
 五条です。

 闇の救済者戦争、次なるシナリオは、よもやの奇病に侵された魂人達の救助作戦。
 彼らをうまく無力化し、病を癒す道筋をつけると致しましょう。

●目的
『翼圧症患者』と化した魂人達の制圧、救助。

●戦場
 ダークセイヴァー、鉄と病の森。
 鬱蒼と暗く、深い森です。拷問器具や狩猟罠があちこちに自生してます。

●プレイングについて
 OP公開と同時にプレイング受付開始、ある程度の参加者様が集まられたところで締切予定。募集状況はタグにて。
「なるべく魂人に「永劫回帰」を使わせず、戦闘不能に追い込む」ことでプレイングボーナスがつきます。あまり大きなダメージを与えてしまうと永劫回帰を使わざるを得なくなりますので、加減が重要となります。

 それでは、皆様のボタンを掛け違えないプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『翼圧症患者』

POW   :    おぞましく伸びる翼
【全身から伸びる翼】が命中した敵を【さらに伸びる翼】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[さらに伸びる翼]で受け止め[全身から伸びる翼]で反撃する。
SPD   :    痛苦の叫び
【体内に生えた羽で塞がれた喉】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【肉体の羽毛化】の状態異常を与える【痛苦の叫び】を放つ。
WIZ   :    時空凍結翼
【全身に生える翼】から【オーロラのような光】を放ち、【時を凍らせる現象】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:ろきと

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メフィス・フェイスレス
趣味の悪い病ね、ああもう鬱陶しい
(「骨身」を振るい伸ばされる翼を払う。叫びと幻覚を「精神耐性」で流し、自身に生え始めた羽毛を毟る)

要は傷つけなきゃいいわけ?さっさと済ますわよ


体外に出した「飢渇」の群れを展開して罠を「捕食」で「地形破壊」しつつ魂人に纏わり付かせて足止めする。致命的な傷はつけないようにね
その間腕を「肉体改造」で巨大な『顎門』に変容させて――無造作に横薙ぎ
視界に入る魂人達を纏めて『顎門』の中に丸呑みにする
UCの力で肉体は傷つけないままに咀嚼する
魂人達の「翼圧症」を発症したという過去を喰らう
そしてその原因となる過去の記憶、ついでに発症中の最中の痛苦の記憶もね
終わり次第吐き出していくわ


ハロ・シエラ
これはまた厄介な状況ですね。
自生する罠などは斬り捨てればそれで済みますが、魂人にはそうも行きません。
若干は傷付けてしまう事を覚悟しなければなりませんね。

さて、襲い来る罠等は【咄嗟の一撃】で対処するとして……魂人達にはユーベルコードで動けなくなって貰いましょう。
大丈夫、一時的に凍るだけです。
命に別状はありません。
冷たさで彼らの痛みが少しでも鈍ると良いのですが……。
奇しくも彼らのユーベルコードも動きを止めるもの。
【敵を盾にする】要領で、他の患者達の動きも止められれば効率が良いでしょうか。
とは言えこれは一時的なもの。
毒を纏うサーペントベインで少しだけ傷付けて【マヒ攻撃】し、戦闘不能としましょう。


ベロニカ・サインボード
オラトリオの魂人を暴走させる奇病!?闇の連中はこの現象を知っていたの!?
いずれにせよ人々の苦しみを止めなければ!

『ワーニン・フォレスト』!私のフォースオーラの腕力なら、拷問器具を壊すのはわけない
翼圧症の患者を殺さずに押さえこむ精密性も持ち合わせる…

何ッ…いつの間にか食いつかれている!これが『時を凍らせる現象』か!
だけど関係ない。『ワーニン・フォレスト』に触れたなら看板が生える

患者の体にゴム製の看板をつけた
看板は患者に巻き付き、柔らかく包み込んで捕縛するわ
私にできるのはここまで…あとは一刻も早く、ケルベロス・フェノメノンをブチのめすしかないッ!



 鉄と病の森に到達した猟兵達が見たものは、異様としか表現のしようの無い魂人の集団であった。
 本来有する背中の一対のみならず、手足、胴、首、頭部――全身から翼を無秩序に生やした、半ば翼に侵食されているかの如き姿。これが『翼圧症』か。
「ウウウ……アア……」
「アア……アレヲ……アレヲ……」
「コロセ……コロサネバ……!」
 猟兵達の存在に気付いた魂人達が、呻きを上げながら、或いは譫言を呟きながら地を駆け迫る。半ばゾンビじみた有様でありながら、その駆け足は速く。
「これは……闇の連中はこの現象を知っていたの!?」
 其を前としてベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)は愕然と声を上げる。元より人々の希望の芽を摘み取るを愉しむが如き彼の者達の行いは許し難いが、これを狙ってあの獣を解き放ったとしたら。
「アアアアア……!!」
 だが思案の時間は無かった。真っ先に猟兵達を間合いに捉えた患者達が、その身より生える翼を伸ばしながら振るってきたためだ。
「趣味の悪い病ね……ああもう鬱陶しい」
 なれど翼は振るわれたる骨刃に払われる。メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)の腕より皮膚を裂いて生え出た骨の武装である。
「これはまた厄介な状況ですね……っと!」
 己の顔目掛け突き出される翼を躱したハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)はその動きのまま、携えたレイピアを攻撃してきた魂人の足元目掛け繰り出す。鋭い剣閃が弾き飛ばしたのは、分厚く鋭い歯を備えたトラバサミ――この森に自生する罠の一つだ。
 罠はこうして斬り飛ばせば良いが、魂人はこうはいかぬ。傷つけたくはないが、確と止めるには多少の傷はやむを得ないだろうか。
「何にせよ、人々の苦しみを止めなければ……!」
「そうね、さっさと済ますわよ」
 焦燥の滲む声音でベロニカが言うに応えるメフィス、その足元から影めいた闇が広がってゆく。幾つもの眼や口吻が無秩序に散らばるそれは、彼女の飢餓衝動によって滲み出る眷属。広がった先の地面に並ぶ拷問器具が次々と影に呑まれるかの如く沈みいき、砕けてゆく。同時に、魂人達の何人かが足を取られその動きを鈍らせる。
「ワーニン・フォレストッ!」
 樹からぶら下がる鋼鉄の処女を、ベロニカの背後から現れた狼獣人型のエネルギー体が拳を繰り出し叩き壊す。『ワーニン・フォレスト』の腕力はオブリビオンにも脅威を与え得る程の代物。拷問器具を破壊する程度はわけもない。
「ウアア……アア、アア……!」
 己らが無為に傷つくのを避けるべく拷問危惧を壊して回る猟兵達へ、しかし魂人達はそれすら認識叶わず襲いかかってゆく。
「少し、冷えますよ……!」
 其に対してはハロが動く。突き出した掌から放たれた赤い風が己ら向けて迫る魂人達に吹き付けると。彼らの身は凍ったように動かなくなる。否、実際に凍り付いていた。彼女の掌より放たれる赤い風は、凍てつく冷気であるのだ。
「アア、トマレ、トマレ……!」
 だがそれを見た魂人達の一部が、喚くように声を上げる。その直後、身体の至る処へ生えた翼がオーロラめいた光を放ち――
「……ぐっ!?」
 次の瞬間、ベロニカは己の肩に痛みが走るのを自覚する。見れば、先程までかなり離れていた筈の翼圧症患者の一人が、己の肩へと噛みついていた。
「これは……これが『時を凍らせる現象』か!」
 これこそ事前情報にあった、翼圧症患者のユーベルコードであるとベロニカは確信する。此方の時を凍らせ、身動きどころか意識すら封じるとは恐るべき業だ。だが。
「――だけど、関係ない」
「アグ……ッグ、アァ……!?」
 直後、噛みついてきた魂人の身体が、何やらゴムめいた物体に巻きつかれ拘束される。その肩には、ワーニン・フォレストの手が乗せられている。
『触れた相手の身体から様々な材質や性質の看板を生やす』、それがワーニン・フォレストの最も特徴的な能力。触れられたとしても発動するその能力は、時間に干渉する敵にこそ有効な代物と言えよう。
「けれど、何人かずつ制圧するだけじゃやっぱり効率が悪いわね」
 眷属群を用いて捕縛を行っていたメフィスが呟く。ここは纏めて制圧する手段が必要だ。幸い、メフィスにはその為の業が備わっている。ならば後は。
「二人とも、動きの止まった敵を出来るだけ一箇所に集めて貰える?」
 其を実行するべく、ベロニカとハロに協力を求める。何らかの策ありと見て是を返す二人は、其々に実行の為に動きだす。
 ハロは交戦する翼圧症患者の一人がその身の翼よりオーロラの光を放たんとしているのを見て、咄嗟に別の魂人の影へ隠れる。もしや、との予測は正しく。かの患者が放ったユーベルコードの影響は、ハロではなく彼女が身を守るべく利用した魂人に出ているようだった。
「狙い通りでしたね」
 時を凍らすユーベルコードと言えど、オーロラ光を起点としているのならば対処は可能なのではないか。ハロの推測は正しかった。
 だが、己のユーベルコードもだが、これは一時的な対処に過ぎない。確と制圧を成すならばしっかりした手段で無力化せねばならない。抜き放った短剣を振るい、翼圧症患者達の四肢を軽く斬る。仕込んだ麻痺毒によって、彼らは悉くが身動き侭ならず。次々とその場へ倒れていった。
「成程、こうすれば……こうッ!」
 ハロのその動きに倣い、ベロニカもまた同様にユーベルコードを躱してゆく。そしてユーベルコードを空振った魂人へとワーニン・フォレストが掴みかかり、ゴム看板と共にその動きを封じてゆく。
「充分よ。じゃあ、一気にカタをつけましょうか」
 動きを封じられた翼圧症患者が増えてきたところで、メフィスは片腕を掲げる。己の肉体を改造し、自身の身の丈よりも巨大な顎門――そう称される捕食器官へと変じた片腕を。
「――喰らえ!」
 そして顎を以て無造作に、患者達を薙ぎ払う。顎門に捕らえられた患者達は、あっという間にその内へと吞み込まれてゆく――丸呑みである。
 なれど、それは単純な捕食ではない。メフィスもまた人の世界に生きる者、喰うモノは選ぶ。驚いた様子のハロやベロニカに対し「まあ見ていなさい」と窘め、それから数分後。
 開かれた顎の内からは、何人ものオラトリオ――であった魂人達の姿。先程まで翼圧症に苦しんでいた者達と同一人物である筈だが、何故突然にその怪我が治ったのか。
「私のこの顎は、私が食べると決めたモノを何でも食べるわ。過去の概念を含んでさえいればね」
 浮かんだ疑問にメフィスが応える。即ち、翼圧症を発症したという過去と、その原因と目される過去、更には発症中の痛苦の過去まで。
 ともあれ、患者達の捕縛に加え、治療にも成功した。この上なき結果と言えるだろう。
 この場における己の役割は終わった。ベロニカは空を見上げ睨む。彼らの向かっていた先の方向、かの禁獣が在るのであろう領域を。
「けれど、元凶を止めなきゃ同じこと。後は一刻も早く、ケルベロス・フェノメノンをブチのめすしかないッ!」
 決然と言い放つ。己にその役割を、自ら任じるかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
わたしもオラトリオなので、自分の身に起きたらと想像すると人事とは思えません。
この戦争が終結したら治ればいいのですけど……。

加減が利く手段となると、ある程度限られますか。
森にある拷問器具などの中から鎖かロープを探し、【サイコキネシス】で操作して相手を絞首します。
加減を誤らなければ、命を奪う前に気絶させられるはずです。
相手の反撃はサイキック【オーラで防御】、防ぎきれなくても構いません。
翼圧症の苦痛に比べたら、この程度の【痛みに耐える】のなんて大したことではないでしょうから。

首を絞められることは何度もありましたけど、自分がするのは初めてでした。
わかっていたとはいえ、気持ちのいいものではありませんね。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ああ、これは大変ですねぇ。
早目に何とかした方が良さそうですぅ。

『FAS』を使用し飛行、『FLS』の空間歪曲障壁と『FMS』のバリアで攻撃に備えまして。
【膺劃】を発動し『威』を放射、周囲の空間から殺傷力が低い拘束用の『鎖』を放ち、魂人さん達を捕縛しましょう。
【伸びる翼】による攻撃や反撃は障壁で逸らし、数が多い場合は『FIS』の転移で躱せば防げますぅ。
魂人さん達も個別に耐久力は異なるでしょうから、まずは『鎖』で締め上げて失神させることを優先、なお意識を保つ個体には『FCS』により『FRS』『FSS』の『暴徒鎮圧用ゴム弾』に換装し、[砲撃]による[追撃]で意識を奪いますねぇ。


フォルク・リア
「翼圧症の患者か。何とか助けて帰りたいけど。
相手は魂人。一筋縄では行かなそうか。」

拷問器具や罠に注意しつつ森の中で木々の陰等に隠れ
魂人に先に発見されない様に潜伏。
周囲の物音や声、月明かりを頼りに魂人の姿にも注意し
魂人の物と思しき羽根が落ちて居たら近くにいると思い警戒を強める。
魂人を発見したら【先制攻撃】を狙い拘鎖塞牢を使用して
永劫回帰の力を封じた後【2回攻撃】で拘束する闇の黒鎖を使い
魂を拘束してそのまま魂を縛り続ける【気絶攻撃】を行って
戦闘不能まで追い込む。
「もう少し頑張って正気を取り戻してくれ。
君は此処で終わって良い命じゃないはずだ。
此処から出られれば助けられる。」
と呼びかけつつ。



 昼夜もなく暗いダークセイヴァー、その中でも一際暗い鉄と病の森。その闇に紛れるように、三人の猟兵達が森を駆ける。
「話に聞くだに大変そうな病気ですよねぇ……」
 罠にかからぬよう注意深く草を掻き分けながら夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は呟く。流石に、この深い森で祭器を用いた飛翔は却って移動が困難となる処であった。
「ええ、私としては他人事と思えません」
 応えるレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)の表情は硬い。彼女もまたオラトリオであるが故、己もまたかの病に罹る可能性があるのでは――そんな想像が容易にできてしまうのだ。幸い、今の処そのような兆候は無い。
「何とか助けて帰りたいところではあるけれど――」
 二人に先行する形で森を進むフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は応えながらも思案する。その間にも視線は注意深く周囲を探り、罠や翼圧症患者達の気配に対し警戒を怠らない。
「――相手は魂人。一筋縄では行かなさそうか」
 やがて足元に一枚の羽根を見出し、拾い上げる。それは恐らくオラトリオの翼から抜け落ちたと思われる代物。なれどその形状は自然なるものとは思えぬ歪なもの。となると、翼圧症患者のものだろうか。彼らの在る場所までは然程遠くなさそうだ。フォルクは警戒を強める。
 元よりこの過酷な第三層で必死に生を繋いできた魂人達だ。それが理性を失い襲ってくるとなれば、その脅威は生半なオブリビオンを上回るだろう。故に、確実に先手を取って一気に制圧したい。そんなフォルクの提案に応じ、三人はこうして隠密裏に魂人達の捜索を行っているのだ。
「ええ、しっかりと準備しておきましょう」
 応えるレナータは、何本ものロープや鎖を抱えていた。此処まで来る過程で解除した吊り罠や振り子斧など、罠や拷問器具の一部を回収してきたのだ。
「――いましたよぉ」
 周辺を警戒していたるこるが視線を向けた、その先に。よろめき歩く、全身から翼を生やした人々の姿が認められた。
「よし、それでは仕掛けるとしよう。準備は良いか?」
 フォルクの確認に、るこるとレナータが其々に頷けば。三人は翼圧症患者の側面から飛び出し、其々に行動を開始する。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『懲戒の加護』をお与えくださいませ」
 るこるが祈りを捧げると共に、その身からは『威』が放射され、空間を支配下に置くと共に、猟兵達に気付いた翼圧症患者達の行動を牽制。その間に。
「地より出でよ御業の霊柩、彼の者達に一時の枷を」
 フォルクの呪文に応えて地面から飛び出した棺が開き、放たれる幾つもの枷が魂人達を捕らえ――そして消え去る。其は肉体を拘束するものに非ず。
「すみませんが、少し手荒にいきますよ……!」
 レナータは此処まで回収してきたロープや鎖を一斉にバラ撒く。それらはユーベルコードにて励起される念動力によって操られ、真っ直ぐに魂人達のもとへと飛び付き。首へと巻き付き絞め上げる。
 サイキックエナジーを以て絞首の力を制御するレナータの表情は険しい。適切な加減のもとで首を絞めれば気絶で留められるが、強すぎれば無論のこと。
「……! ……!!」
 首を絞められ口を金魚じみて震わせる魂人達、だが肉体の自由は未だに効く。腕より生えたる翼を振るい、レナータの身を貫かんと――
「……っ!」
 レナータの表情が苦悶に歪む。繰り出された翼の一撃はレナータの身体随所を捉え、そこから少なくない出血を齎す。オーラを以て防ぎ止めようとしたが、間に合わなかった。
 なれど、念動制御による絞首攻撃を仕掛けている対象への首絞めの力は緩まず、強まらず。苦悶に呻くとも、変わらぬ力で絞め上げ続ける。
(この程度の痛み。翼圧症の苦痛に比べたら……!)
 その想いが故に、レナータは彼らからの傷を恐れず、受け止める。尤も、魂人達からの攻撃が来た回数は、そう多いものではなかった。
「少々手荒ですが、一気に仕掛けさせて頂きますぅ」
 るこるは『威』によって支配下に収めた空間から無数の鎖を放ち、範囲内の魂人達の全身を締め上げる。数が多い故に殺傷力は高くないが、拘束力は十二分。
「アアアアア……!」
 魂人達は翼を伸ばしるこるを貫かんとするが、祭器によって展開されたバリアと空間歪曲障壁を貫くには至らず。彼女の身には一点の傷もつけること叶わない。
 そのまま首までも絞め上げられれば、最早耐えることは長く続かず。やがて一人、また一人と崩れ落ちてゆく。
「影より現れし漆黒の鎖よ、その魂を闇へと堕とせ」
 フォルクは先の棺に続けて詠唱、突き出した十指から影の鎖を放つ。其は前方の魂人達の身を貫き、だが肉体には一切の傷をつけず。
「ウア……アガ……!」
 苦悶に呻く魂人達。放たれたその鎖は、彼らの魂を捕らえ、絞め上げる代物。翼圧症のそれとは、また別種の痛みを齎す。
「もう少し頑張って正気を取り戻してくれ。君達は、此処で終わって良い命じゃないはずだ」
 此処から出られれば助けられる、と。呼びかけるフォルクの声に揺れながら、魂人達は次々と意識を失ってゆく。

 そうして、全員の制圧が完了。レナータも、己の持ち込んだロープや鎖で首を絞められた魂人達の気絶と、生存を確認した。
 己の手を見つめ、軽く握っては広げを繰り返すレナータ。首を絞めるという行為は幾度もされたが、する側になるのは此度が初めてだったのだ。
 そして、その感想はといえば。
「……分かってはいましたが、気持ちのいいものではありませんね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
あの生えて来た翼自体が
力の源になっているのかな
時空凍結させないといけないものとか
一体何が起きているのか
疑問は尽きないけれど
まずは魂人を鎮めないとね

ダメージを与えすぎると良くないなら
状態異常で戦闘できない状態にするのが良いかな

相手が叫びで攻撃してくるのなら
こちらは静寂領域のUCを使用しようか
音を媒介にする攻撃とは相性が良さそうだからね

静寂領域のダメージは抑えつつ
彫像化の状態異常で行動不能にしてしまおう
時間停止の方が影響は薄そうだけど
相手も時間に干渉するUC使うみたいだし

行動不能にできたなら
彼女ら?を運びだす事を考えようか
その場で治療できそうなら邪神の施しで癒し
無理そうなら邪神の聖域で吸い込もうか


戒道・蔵乃祐
『神殺しの獣』の抹殺…

第三層・禁獣禁域。
ケルベロス・フェノメノンは歓喜のデスギガスと遜色無い圧倒的な衝動と重圧を発揮しながらも、その存在は『欠落』の様に秘匿されていました

デスギガスの振る舞いは五卿六眼にとって不利益では無く、ケルベロスは解き放つまでの理由が存在しない程に不都合があったのでしょうか?

因果の鎖が複雑に絡まり合っている
しかし先ずは魂人の解放から始めましょう

◆闘法黄金律
非オブリビオン故に人体の法則が通用する
ならば

痛苦の叫びの予備動作を見切りで読み、攻撃動作の個体から優先対処
ダッシュ+切り込みで接近し、スナイパー+グラップルで正確に顎を撃ち抜き脳を揺らす
気絶攻撃で次々と昏倒させていきます


フィッダ・ヨクセム
傷み、痛み
……其の物理的な類は共感が難しいな
激痛耐性には少しだけ自信があるからなあ
物理的な痛みには、強いほうだと思う……誰かがピンチだッつーんなら、俺様がそれに割り込んでもいい。UCは、ピンチの誰が居るときだけだ。
お前が他者を傷つけていい理由にはならない。バス停はな、ヒトが集まる場所にこそ在るべきだ、それくらいなら任せな。
幸福な記憶が心的外傷に改竄されるなら、俺は……友達に貰ッた耳が翼の羽耳兎の飼い主である事を手放すだろう。色々あッて今や遠ざけている兎だ。……約束は守ッた。俺が管理するのは、それで終わりだ。

戦闘は素手での怪力のみ
化術で手をハイエナ化した爪擊でもいい
俺様たちは、そう…敵じャねえ



『神殺しの獣』の抹殺。翼圧症に侵された魂人達は、一様に其を目的とするかのように行動しているらしい。
「ケルベロス・フェノメノン……五卿六眼にとっても、解放には不都合があったのでしょうか」
 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は無骨な指を顎に当て思案する。かの禁獣は、同じ禁獣たる歓喜のデスギガスと比して、決して見劣りせぬ圧倒的な衝動と重圧を発揮していたが、彼方と異なりその存在はこの戦の始まりまで秘匿されていた。
 魂人達はおろか猟兵達にとってすら理不尽と言える力と精神性を併せ持つデスギガス、その振る舞いは五卿六眼にとり不利益はなく、ケルベロスはそうではなかったのだろうか。思えば、当のデスギガスもまた、ケルベロスの解放を危険と見なしていたように思われる。
 因果の鎖は複雑に絡み合っている。――だが。
「まずは、この人達を鎮めないとね」
 現れたる、翼圧症に侵されし魂人達の集団を見回し佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が促すに、蔵乃祐もまた頷く。其を確かめた晶、改めて患者達を見据えれば、着目するは病によって生えたる翼。
「あの生えて来た翼自体が、力の源になっているのかな」
 魂人達は元々、猟兵でもオブリビオンでもない存在としては強い方だが、それとしても現状の力の程は普段と一線を画す。時間を凍結させるという途方もない力を有する点といい、何が起きているのか疑問は尽きないが。ただ、一つ確かなのは。
「見た目からして痛そうではあるよね」
「あー……まァ、そんな感じはするな」
 肉体のあらゆる部位から翼を生やした姿は、見目にも痛々しい。晶のそんな所感に、フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は曖昧な反応を示す。というのも。
「……物理的な感覚には共感が難しいんだよなあ」
 なまじ、シルバーレインから数多の世界を漂流したバス停のヤドリガミ、という出自からか、物理的な痛みには強いほう故に。とはいえ、共感は鈍くとも、為すべきは分かる。
「だがまァ、痛ェのは任せておきな」
 腰を落とし、肉弾戦の構えを取る。以て、かの患者達を制圧するという意志を示す。
「ア……アア……ア……」
 そんな猟兵達を認めた魂人達は、譫言めいた呻き声を上げる。その声は徐々に高く、鋭く、今にも叫び出さんばかりの様相。
「やらせませんよ」
 故に蔵乃祐は先手を打って仕掛ける。一歩踏み込んだかと思えば、その身は瞬時に最前の魂人の前へ。繰り出す拳は、魂人の胸元で空を切る――否。魂人は崩れ落ちた。
 その拳は、顎を掠めて衝撃を脳にまで伝播させていた。以て脳を揺らし、意識を刈り取ったのである。未知の病に侵され戦闘力が向上している魂人とて、オブリビオンでないなら人体の法則が通用する。そう踏んだ蔵乃祐の推測は正しかった。
 推測が確信へと至れば、その後の攻撃は更に迅速。手近な魂人、声を上げんとする動き――ユーベルコード発動の予備動作を見せた魂人から、同様に顎を撃ち抜き意識を刈り取ってゆく。
 その背を狙い、翼を振るおうとする魂人も在る。だが、その動きは横合いから割り込んだ影に防がれる。
「――そいつァ、お前が他者を傷つけていい理由にはならない」
 フィッダである。掲げた腕が、振るわれた翼を受け止めている。肌が裂け血が滲むも、痛がる様子は見せない。それは|己《バス停》の役割――ヒトが集まる場所にこそ在るべきモノと自認するが故に。
「俺様たちは、そう……敵じャねえ」
 無造作に振るう拳を、魂人の腹へと叩き込む。鳩尾を撃ち抜かれた魂人は呻き、崩れ落ちる。
 誰かのピンチに割り込むことを考慮に入れたフィッダの動きは結果として、蔵乃祐の背を守るかのような形となる。そのたびに細かい傷が増えるが、自認の通り、堪える様子は無い。
(これぐらいなら、奥の手は要らねェかね)
 万一の時は、己の幸福を|心的外傷《トラウマ》に改竄してでも危機を退ける覚悟では居た。かつて友人より引き受けた羽耳兎を飼っていた記憶を捧げるつもりでいた。色々あって今は遠ざけている兎。約束は果たした今、己が管理する義務も最早無いが故に。
 だが、そこまで行わぬに越したことはない。好き好んで記憶を放棄する趣向など、フィッダにも無い。
 ともあれ、蔵乃祐とフィッダとの立ち回りによって、魂人達は次々と無力化されていく。だが。
「「「アア……アアア……!」」」
「しまった……!」
 苦悶混じりの声を上げる魂人達。今にもユーベルコードを発動せんとする姿。蔵乃祐は呻く。予備動作を見せた個体から優先的に対処してきたが、現状の位置関係では今から仕掛けても恐らく間に合わぬ。
『――皆様を、優しい微睡みにご招待致しますの』
 だが。それより早く響く声がある。晶が開放せし力の発露。彼の中に在る邪神の意思と、その権能の顕現。戦場に静謐が満ち、森羅万象に停滞を齎す神気が吹きつける。
「「「ア……」」」
 今にも叫び出さんとしていた魂人達が、凍り付いたように動かなくなる。否、実際に凍り付いている。彫像と化すことで。
「大丈夫、治せるようになったら元に戻すつもりだから」
 それは決して不可逆な変化ではない。フォローめいて晶は語りかけた。
「あ、でも運び出すのは手伝って欲しいかも」
 治療が叶うにしても、この場では厳しいだろう。晶の願うに、蔵乃祐とフィッダは其々の言葉で是を返したとか。
 いずれにせよ、残る翼圧症患者は後僅か。まずは、これらの制圧を成すことだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月08日


挿絵イラスト