闇の救済者戦争⑦〜闇を払う軽歌劇
●今日の演目はなあに?
「お集まりいただき、ありがとうございます」
戦時中ならではの慌ただしいグリモアベースの一角で、ディルアーク・クライン(
破軍星・f38905)は軍帽を脱いで一礼した。
「ダークセイヴァーは第四層でヴァンパイアの観客達を集めていた、生きた人間をそのまま人形として使う『人形劇場』があるそうですね」
事実のみをただ淡々と語る、ディルアークの表情は険しい。
「ただの娯楽としてそのような非道を働いていたかと思えば、その実態は大規模な魔術儀式場であり、劇場内の人間の苦悶とヴァンパイアの歓喜に応じて『
五卿六眼』に力が捧げられる――という仕組みだったようです」
苦しみの中で希望を見出した人間を、土壇場で絶望に突き落とす。
緩慢な拷問の果てに、ボロ雑巾のように捨てられる。
ヴァンパイアの口約束を信じて同胞を裏切り、果ては裏切られる。
「……要は、胸糞が悪い筋書きを好むのです」
眼鏡の奥の紫眼も鋭く、ディルアークは声音に怒りを滲ませながら語る。
「逆を言えば、ヴァンパイアが『好まない』筋書きもあります。人形に仕立て上げられた人間がそもそも頑丈で、多少のことでは苦しみさえしなかったとしたら?」
魔想紋章士の口元が、ほんの僅か意地悪く歪んだのに気付いた者はいただろうか。
どんな闇が行く手を阻もうと、乗り越える物語。
伝説の剣を持った勇者一行が、悪しきヴァンパイアを打倒する話。
不幸のどん底にいた虐げられし人々を、華麗に救う物語。
要は、不愉快極まりない演目を上演している『人形劇場』に、ちょっとやそっとのことでは死なない猟兵たちが人形役として乱入し、『ヴァンパイアが喜ばない劇』を無理矢理演じることで、儀式魔術としての役割を弱体化させれば良い、ということだ。
「手法は皆さんのやりやすいようにお任せします、無事にお帰り下さればそれに勝る喜びはありません。ブーイング、大いに上等です。気持ち良く演じてきて下さいね」
ディルアークが魔導書を開くと同時に、禍々しい劇場の景色が広がっていく。
さあ、貴方はどんな手段でヴァンパイア共をしかめっ面にさせてくれますか?
かやぬま
個人的には痛快な冒険譚や喜劇を好みます、かやぬまです。
いよいよダークセイヴァー世界に希望を穿つ時が訪れそうです、
皆様のお力で、まずは切り込んでいきましょう!
●プレイングボーナス
『ヴァンパイアが嫌いそうな内容の劇を演じる』
既に囚われて苦しんでいる一般人を救う方向で動いても良し(英雄的行動ってヴァンパイアにとっては面白くないですよね)、即興劇でヴァンパイアが絶対に嫌がりそうな物語を演じても良しです。
●このシナリオについて
1章完結の戦争シナリオとなります、上記プレイングボーナスを満たしたと判定したプレイングにはプラス評価を加味してリプレイとさせていただきます。
●プレイング受付について
断章はありませんが、プレイング受付開始に日時を設定させて下さい。
詳細はタグとMSページに記載しますので、お手数ですがご確認をお願いします。
また、省略記号や団体様向けタグを設けております。
◎:アドリブ歓迎。
×:ソロ描写希望。
団体様:【呼び名+(fで始まるID)】または【団体名+人数】をプレイング冒頭に記載して下さい。
MSページにも一度お目通し下さいますと幸いです。
それでは、皆様の英雄譚を楽しみにお待ちしております!
第1章 冒険
『あやつり人形劇・改作』
|
POW : 力ずくで「人形」の動作を別の動作に捻じ曲げる
SPD : 舞台の機構に細工し、危険を取り除く
WIZ : 即興でヴァンパイアがより嫌がる物語を作り、演じる
|
ユウ・リバーサイド
語り部の老人と
村の青年の一人二役
ローブを被り、背筋を曲げ、杖つき登場
「ほぅ、昔の話が聴きたいか」
嗄れ声を作り語る内容は
『酷い不作の年、開拓の為に青年が辺境に送り込まれる』
ローブを脱いで青年役に
「唄が、聞こえる」
頭を抱え、顔を上げる
「あんた…この地の神か?
民をヴァンパイアに殺されたのか?」
痛みに抗いつつ高らかに宣言する
「俺が仇を討つ!
代わりにこの地を貸してくれ!」
「唄が、止んだ…?」
異端の神に与えられた剣を拾い上げ
「吸血鬼殺しの剣
これを領主に…」
馬乗りになる姿勢となり
その剣を振り下ろす
再び老人役に戻り
「それがこの剣じゃ!」
剣を掲げ声を張る
「儂等人間は、この人類砦より全てを取り戻す!」
アドリブ歓迎
●反逆の物語
ガルニエ宮を思わせる劇場では、悪趣味なヴァンパイアの観衆たちが、人間たちを生きたまま人形にして、品性下劣な残酷劇で興を満たしていた。
『さあさあ、次の演目は何だ!?』
『あらまあ、人形が壊れてるじゃないの。すぐに新しいのを用意して頂戴!』
口汚い声が飛び交う舞台の上に、杖をつきローブを被った、背筋の曲がった老人――らしき姿が現れたのは、その時だった。
劇場がざわめきに包まれる中、老人役――ユウ・リバーサイド(壊れた器・f19432)はしわがれた声を作りながら、良く通る声でお芝居を開始した。
「酷い不作の年、開拓の為に青年が辺境に送り込まれる」
そう言うとユウは杖を置き、ローブを脱いで青年の出で立ちとなる。
どうやら、語り部の老人と村の青年の一人二役という立ち回りのようだ。
舞台装置がユウ一人に照明を絞る。劇場はまだざわめきが収まらない。
「唄が、聞こえる」
誰も唄ってはくれないから――けれど、何かを察した生ける人形たちが、精一杯唄に聞こえるように声を上げる。
さながらそれは怨嗟の声がごとく、劇場を包み込む。
ユウは一度頭を抱え、そして顔を上げた。
「あんた……この地の神か? 民をヴァンパイアに殺されたのか?」
――おおお、おおおお。
怨嗟の声はより大きくなっていく。ヴァンパイアに近しい者を殺された者も多かろう。
ユウは己を抱きしめる仕草をする。まるで、全身を苛む痛みに耐えるかのように。
「俺が仇を討つ! 代わりにこの地を貸してくれ!」
そう高らかに宣言すると、怨嗟の唄はそうっと遠ざかるように止んでいった。
――かららん。
金属音が響く。
「唄が、止んだ……?」
観客たちは反応に迷い、小声で近くの席の者と言葉を交わしてただざわつくばかり。
ユウはわざと音を立てて舞台に置いた、異端の神に与えられた剣を拾い上げる。
「吸血鬼殺しの剣、これを領主に……」
劇場内のざわめきが大きくなった。
どういうことだ? 人間ごときが反逆を?
誰の筋書きだ? まったくもって面白くないぞ!
ユウが馬乗りの姿勢となり、その剣を振り下ろした時、ヴァンパイアたちの不満は爆発した。
だが、それでいい。
それこそが、この芝居の狙いなのだから。
ユウは再びローブを羽織って老人の役に戻ると、杖の代わりに剣を高々と掲げる。
「それがこの剣じゃ!」
張り上げた声は力強く、希望に満ち溢れていた。
「儂ら人間は、この人類砦より全てを取り戻す!」
Boooooooooo!
狙い通り、観客席のヴァンパイアたちからはブーイングの嵐。
人間の反逆の物語は、たいそうお気に召さなかったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
榊・霊爾
周囲が言いくるめられたり買収されたりで冤罪解消ならず処刑、真犯人は逃げ切って末永く幸せに暮らすオチか
モンテ・クリスト伯を駄目にした内容だな
吸血鬼は随分捻くれているな、王道が嫌いか?
台本は『白状』で役者のオブリビオンに強引に真実を語らせる内容に改変
台本と違うという苦情が出たならば、つまらないものを小道具として使い、圧をかけて強引に黙らせる(逃亡阻止)、
席から立つな、黙って観ろ
最後の断頭刑のシーンは真犯人を付き出すのだが、首を斬られるのは演者ではなく観客の吸血鬼の誰かさんだ
(小夜啼鳥の早業・抜刀)
観客参加型だ、運の悪かった君が真犯人役だ
君たちこういうのが好きではなかったのかい?ただの演出じゃないか
●復讐とダイヤモンド
ブーイングが収まらない劇場に、今度は榊・霊爾(あなたの隣の榊不動産・f31608)が舞台の上に立つ。
口直しに劇場側が慌てて用意した台本を勝手に拝借すると、霊爾は鼻を鳴らした。
「周囲が言いくるめられたり買収されたりで冤罪解消ならず処刑、真犯人は逃げ切って末永く幸せに暮らすオチか」
台本をペラペラとめくって大筋を把握すると、クソデカため息をひとつ。
「モンテ・クリスト伯を駄目にした内容だな」
そのまま、ポイッと台本を後ろに放り投げた。
「吸血鬼は随分捻くれているな、王道が嫌いか?」
『ああっ、舞台の上で好き勝手されちゃ困るんだよ……!』
役者――は皆哀れな人間なので、これはきっと裏方のヴァンパイアなのだろう。
それを適当に捕まえると、霊爾は容赦なく峨嵋刺の類である「鵲」を投擲し、囁いた。
「お前の身の内を晒せ、黙秘権は無い」
『ヒッ……!』
哀れ、裏方のヴァンパイアは強引に真実を語らせられる存在と成り下がる。
『しゅ……主人公は実は無実の罪で捕らえられた、哀れな人間なのでぇす!』
この劇場では何度も公演が行われて台本を覚えている者も多い物語で、突然面白くもないネタバラシを始められ、再び劇場内は騒がしくなっていく。
『おい! のっけから台本と違うぞ、どうなってる!』
最前列の観客ヴァンパイアが耐えかねて立ち上がると、霊爾はすかさず本人曰く「つまらないもの」を懐から取り出し、劇の小道具のように差し出してみせた。
『クッ……な、何だ、この圧は
……!?』
「席から立つな、黙って観ろ」
つまらないものという名の超高級粗品の威力にすっかり圧されて、へなへなと席に戻る観客ヴァンパイア。
『み、皆様はこの人間の末路をご存じでしょう! 誰からも理解されぬまま無実の罪で無様にも断頭台の露と消える! ですが本当の……本当の物語はこうでぇす!』
霊爾の超常によって『語らされている』のが良く分かる、苦しげな叫びであった。
それがまたヴァンパイアにとっては面白くない。先程からブーイングがすごい。
『周囲が言いくるめに負けず、買収にも応じず、晴れて冤罪は解消される……!』
顔中に脂汗を浮かべながら、裏方ヴァンパイアは震える声で真実を語る。
「そう、そして最後の断頭刑のシーンは真犯人を突き出すのだが」
――ぽーん。
観客席の中程で、突然一人のヴァンパイアの首が飛んだ。
『ヒッ
……!?』
『キャアアアアア!』
舞台の上には、拷問具「小夜啼鳥」を振り払った霊爾がいた。
「――首を斬られるのは、演者ではなく観客の吸血鬼の誰かさんだ」
ごとん。
長い滞空時間の末に、ヴァンパイアの首が舞台に落ちてきた。
ブーイングは止み、静寂が訪れた。
「観客参加型だ、運の悪かった君が真犯人役だ」
転がってきた生首に軽く片足をかけ、悪びれもなく言い放つ霊爾。
「君たち、こういうのが好きではなかったのかい? ただの演出じゃないか」
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
◎
ヴァンパイアが嫌いそうなもの盛り盛りでいきましょう
要素1:ミュージカル調
救いの物語を満面笑顔で紡ぎながら、希望の歌を高らかに歌ってあげる
要素2:光、花、破魔
UC使うなとは言われてないですしぃ?
舞台全て、希望で満たしてあげるよ
大丈夫、僕らは1人じゃない
信じ合える仲間がいるんだから
絆の力は、奴ら如きに負けはしない
さぁ、僕の手を取って
もう一度、立ちあがろう
苦しむ人々に手を差し伸べ
寄り添うように笑顔を向ける
前を向いてもう一度歩き出せるように
もう一度立ち向かう勇気を与えるように
指定UCを発動し
舞台上を破魔の輝きと美しい花畑で埋め尽くす
僕らが目指す未来
闇が立ち入る隙も与えない
夢のままでは終わらせないよ
●天上楽土をここに
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、この陰惨な劇場をヴァンパイアが嫌いなもの盛り盛りで満たしてやろうと意気込んでいた。
舞台はミュージカル調。救いの物語を満面の笑顔で紡ぎながら、希望の歌を高らかに歌ってあげよう。
そして光と花と破魔の力を以て、舞台全てを希望で満たしてみせようと――。
澪は舞台に文字通り天使のように舞い降りると、吊るされた哀れな生ける人形たちに語りかけた。
「大丈夫、僕らは一人じゃない」
吊るされた人々一人一人の間を飛び回り、力づけるように声をかけていく。
「信じ合える仲間がいるんだから。絆の力は、奴ら如きに負けはしない」
『ぐ……ぐあああああ!』
『何だこれは……眩しすぎる……っ』
これには観客席のヴァンパイアたちもブーイングどころではない、身の危険さえ感じるレベルだ。
「さぁ、僕の手を取って」
傷だらけの生ける人形たちの手を取る澪。
「もう一度、立ち上がろう」
寄り添うように笑顔を向ければ、弱々しいながらも笑みが返ってくる。
(「前を向いて、もう一度歩き出せるように」)
彼らのことは、必ず解放してみせる。だから。
(「もう一度、立ち向かう勇気を与えるように」)
「貴方の闇に、希望の輝きを――【
心に灯す希望の輝き】!」
澪のユーベルコードが解き放たれ、この世のものとは思えぬ美しい花や破魔の光が舞台いっぱいに降り注ぐ。
それはまるで、この世の悪を浄化する、天上世界――。
『い、今すぐ止めさせろ!』
『何て不愉快な光景なの!』
観客のヴァンパイアたちは当然目も当てられないとわめき散らすが、澪は一歩も引かない。美しい花畑で埋め尽くされた舞台の中央で、毅然として言い放った。
「これは僕らが目指す未来、闇が立ち入る隙も与えない」
そう、これはただのお芝居なんかじゃない!
「――夢のままでは、終わらせないよ」
いつか、澪はこの常闇の世界にさえ、光をもたらすのだから。
大成功
🔵🔵🔵
怨燃・羅鬼
◎
きゃっはー☆擊場だー☆
擊場といえば愛奴流の出番だネ!らきちゃん☆頑張ってヴァンパイアさんを魅陵するネ!
ということでらきちゃん☆の腕慢処ー
怨・捨慈!
無論主炎はらきちゃん☆他の人は入らないので
他の役はバックダンサーによって
ご退場☆
羅射武舞逝苦を狂々と踊って
歌ってヴァンパイア惨も一死世に愉し亡ネ!
凶の炎目は自分が絶対な王様の立場が脅かされる胸糞悪いお話だネ!
くふふ☆邪、王様はこれより串刺し火あぶりの刑
ほらほら☆大好きな炎目嗤って嗤って?
ということで狂の主演のらきちゃん☆と脇役の王様ヴァンパイアさんでした!
敗々~☆
●好ましからざる地獄
「きゃっはー☆
撃場だー☆」
舞台を覆っていた一面の花畑が、一瞬にして燃えて消える。
怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)が舞台に降り立ったのだ。
この演出? には観客のヴァンパイアたちも拍手喝采。しかし、これから起きる
惨劇を考えれば、それは少々見立てが甘かった。
「撃場と言えば
愛奴流の出番だネ! らきちゃん☆頑張ってヴァンパイアさんを
魅陵するネ!」
そう言いながららきちゃん☆が取り出したのは、何故か先端が槍になっている
羅射武舞逝苦とどう見ても鈍器なライトスティック。
『我々を魅了するとは言うが、何をする気だ?』
『きっとあの槍で人形どもを弄んで楽しませてくれるのよ!』
観客のヴァンパイアたちは少々戸惑いながらも、らきちゃん☆が何をするのか見守っている。
「ということでらきちゃん☆の
腕慢処ー!」
――【
羅鬼羅鬼楽逝舞☆怨・捨慈】!!
「「「ヒャッハーーーーー
!!!」」」
奇声と共にらきちゃん☆と同じ槍型マイクとライトスティック(鈍器)で武装した
罪人の幽霊をめっちゃ載せた、燃え盛るライブステージが召喚された!
無論(?)
主炎はらきちゃん☆。他の人は入らないという理屈で、
他の役たちはバックダンサーによって次々と
救助されていく。
『な……何だ!? 何が始まるんだ!?』
『何を考えているのかさっぱり分からないわ!』
大丈夫。らきちゃん☆が何を考えて行動しているかを理解出来る方がどうかしている。
らきちゃん☆は羅射武舞逝苦を
狂々と、踊って歌って――いるのだが、誰の目からしてもクソデカ大声で喚いているとしか思えないので、観客のヴァンパイアたちはほとんどが耳をふさいで苦しそうにしていた。
「あはっ♪ ヴァンパイア
惨も
一死世に愉し
亡ネ!」
今日の演目は『自分が絶対! な王様の立場が脅かされる、たいそう胸糞悪いお話』。
らきちゃん☆はやおら炎に包まれる舞台から飛び降りると、最前列の観客ヴァンパイアを適当に一人ひっ捕まえて、舞台の上に無理やり引き上げた。
『な、何を
……!?』
「くふふ☆
邪、王様はこれより串刺し火あぶりの刑」
そう言うなり、羅射武舞逝苦でヴァンパイアの身体をどっすと下から突き上げ、煌々と燃え上がる炎の上にかざして見せた……!
観客席からは怒号と悲鳴が飛び交うが、そんなものはどこ吹く風。
「ほらほら☆ 皆が大好きな
炎目、嗤って嗤って~?」
ああ、何という観客参加型エンターテインメント!
しばらくもがいていたヴァンパイアがあっさりと息絶えたのを見て、らきちゃん☆はまるで紙ゴミを焼却炉に放り投げるがごとく、槍からヴァンパイアを振り抜き捨てた。
「ということで、
狂の主演のらきちゃん☆と、脇役の王様ヴァンパイアさんでした!」
敗々~☆ と心底明るく舞台から去って行くらきちゃん☆。
バックダンサーも去り、舞台には人形劇の糸から解放された人々だけが残された。
さあ、観衆たちは彼らをどうするのか!? 待て、次回!
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
天城さん(f08073)と
ヴァンパイアは本当に悪趣味ですね
胸が悪くなるような人形劇など
台無しにしてあげましょう
一般人に危害が加えられそうなタイミングで
舞台に乱入
白燐蟲を呼び出し
相手の攻撃を阻みます
貴方達の横暴もここまでです
これより反撃とさせて頂きます
ちょっと芝居がかった感じで口上を
隙を作る事に成功したら
ヤドリギの織姫を使用
多重詠唱で天城さんにも同時に
一般人の保護を最優先にしつつ
天城さんに合わせて植物の槍で攻撃
負傷者が出た場合は
生命の実で治療を行います
一般人に攻撃が向きそうな時は
植物の槍で妨害
間に合わなければ間に割り込みます
幸い装甲は強化されていますから
耐えて見せます
誰一人死なせはしませんからね
天城・潤
神臣さん(f35429)と
下劣。他に言いようがないですね
ですが付け入る隙があるのなら不落の鉄壁に非ず
「ええ。神臣さん。完膚なきまでに台無しにしましょう!」
神臣さんの乱入と同時に僕も舞台へ
ですが当初から黒影剣で身を隠しておきます
神臣さんの白き蟲が攻撃を阻む間に敵を一刀両断
神臣さんの口上の後一度UCを解き突然姿を現します
「我が黒き剣は白き佳人に従えり!邪なる者共に天誅を!」
言い置き黒影剣再詠唱、再び姿を隠します
神臣さんと人々が狙われるでしょう
でもそれを影の闇から現れる僕と剣が
「許すとお思いですか?」
敵を切り裂き全ての望まぬ演者を救うまで
「我が手止まる事無きと思え!」
…ち、一寸芝居気が過ぎますかね?
●迫真の演技? いいえ――
『舞台に
木偶人形がいるわよ!』
『もうそいつらに用はない! 殺せ!』
観客席のヴァンパイアたちから怒号が飛ぶ中、裏方仕事を任されていると思しきヴァンパイアたちが凶器を持って舞台の上で震える一般人たちに迫る。
――その時だった。
「ヴァンパイアは本当に悪趣味ですね」
ふわり。
白い羽織をはためかせ、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)が白燐蟲と共に舞い降りた。
白燐蟲たちは、見た目とは異なる堅牢さでヴァンパイアたちの凶器から人々を護る。
(「下劣」)
天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)は自身と武装を闇のオーラで覆い隠しながら、薙人に続いて人知れず舞台の上に降り立つ。
(「他に、言いようがないですね」)
なれど、このように付け入る隙があるのなら不落の鉄壁に非ず。
「胸が悪くなる人形劇など、台無しにしてあげましょう」
「ええ、神臣さん。完膚なきまでに台無しにしましょう!」
薙人が阻んだヴァンパイアの一人を、潤が一刀両断。
斬られた側は何が起きたのか分からず、観客席のヴァンパイアたちも騒然となる。
「貴方達の横暴もここまでです、これより反撃とさせて頂きます」
ちょっと芝居がかった感じで薙人が口上を述べると、闇のオーラを解いた潤もその姿を現す。ヴァンパイアたちからしてみれば突然の登場で、どよめきがさらに大きくなる。
「我が黒き剣は白き佳人に従えり! 邪なる者共に天誅を!」
そう言い置いて、超常【
黒影剣】を再発動させれば、再び潤の姿はかき消えた。
残された薙人は十分な隙を作れたと確信し、超常【ヤドリギの織姫】を発動。共に戦う潤と、一般人の保護を最優先に立ち回る。
(「皆で積み重ねて、ここまで手が届いたんです」)
吊り下げられていたはずの痛ましい人々は、猟兵たちの活躍でその枷を外されていた。
ならば、ここはヴァンパイアたちが最高に嫌がる展開を――人々を解放してみせねば。
『クソッ、邪魔をするな!』
『俺たちが殺されちまう!』
裏方のヴァンパイアはどうやら格下の連中なのだろう、必死の形相で凶器を振り回して襲いかかってくる。
矢面に立つのは薙人だが、それを騎士然と護るのは潤の役目。影の闇より現れ出でて、鋭い剣の一閃がヴァンパイアたちを斬り捨てる。
「
それを許すとお思いですか?」
「天城さん」
自らも植物の槍で攻撃を重ねながら、護られたことに礼を言うことは欠かさない。
だが――。
「!!」
数にモノを言わせた一斉攻撃で、潤が相手取っている方とは反対側の方向から、薙人と一般人が槍のようなリーチの長い武器で串刺しにされたのだ。
すんでの所で気付いた薙人が狙われた一般人の間に自らの身体をねじ込み、薙人は肩口を貫かれるも一般人はかすり傷程度で済んだ。
「神臣さん!!」
潤が猛然と踵を返してヴァンパイアたちを次々と斬り伏せていく。
「大丈夫、です」
幸い、ヤドリギで編んだローブによって装甲は強化されている。耐えてみせよう。
「それより、貴方は――」
自らも傷を癒やす生命の実で肩の傷を治療しつつ、一般人を気遣う。
「あ、あ――大丈夫、です」
貴方の傷に比べれば、と続けたかったのだろうか。それでも薙人は生命の実で一般人の治療もしっかりと行う。
「誰一人、死なせはしませんからね」
そう言いながら微笑む薙人に、涙ぐむ一般人。
一方の潤は二度と不覚は取るまいと、己の姿が敵からは視認されないのを今度こそ十全に活かしてばったばったとヴァンパイアたちを斬り裂いていった。
「敵を斬り裂き、全ての望まぬ演者を救うまで――」
――ざんっ!
「我が手、止まる事無きと思え!」
ちょっとばかり芝居っ気が過ぎるだろうか、なんて思わなくもない。
だが、本来求められていた役割は『演技』。それでいいのだ。
今や劇場は怒号に包まれ、哀れな裏方ヴァンパイアたちはそのほとんどが死に絶えた。
二人は見事、悪辣な吸血鬼から人類を救うという最悪にして最高の劇を演じきったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
戦犯・ぷれみ
たまには真面目に考えてみましょうか
高尚気取りの連中がとびきり不快になるような
明快で、爽快で、愉快で痛快な物語
ジャンルはやっぱり……ミュージカルよね!
たとえばぷれみは片田舎の村に生まれたオラトリオの少女
翼は
バラックスクラップを継いで造った
小道具だし
見た目はずんぐりへちゃむくれかもしれないけど
そこは心の目で見ていただくとして
少女は遠い旅をしながら
愛と勇気の歌を歌う
傷付き踏みにじられた誰かに、みんなに、希望の光が届きますように
世界侵食サーバーで舞台を書き換え
いちめんの青空を映してついでに虹も架けちゃうわ
みんなも一緒に歌わない?
あなたの身体が、人生が、あやつり糸で雁字搦めだとしても
悲鳴じゃない声をあげることはできる
下手でもいいのよこういうのは
それを誤魔化すための合唱でしょう
本当の気持ちを聴かせて
人生が上手くなくっても
行動が最適じゃなくっても
遊びが
祈りに変わるまで!
あたしは、
失敗を続けるわ
●終わらない人形劇、潰えない希望
――おかしい。
舞台の上から生ける人形たちは全て逃がしたはずなのに、観客席のヴァンパイアたちからは立ち去る気配がまるで見られない。
むしろ、次の演目を楽しみに待っているかのように大人しく席に着いている。
――じゃららららっ!
からくり仕掛けが動く音がして、再び舞台の上に大量の生きた人間がからくり人形として吊るされたのだ。
『人形の替えなどいくらでもいる』
『今までのお口直しをしてもらわないと』
何ということか、ヴァンパイアたちはまだこの悪趣味な人形劇場を堪能する気でいるのだ。高い観劇料を支払っているとか、そういう裏でもあるのだろうか。
やっぱりこの世界に安寧の地などどこにもないのか、という風に、吊るされた人々から生気はまったく失われ、ただヴァンパイアたちに弄ばれるのを待つばかりであった。
だが、何故か一緒に吊るされていた戦犯・ぷれみ(バーチャルキャラクターの屑・f18654)が猟兵パワーで自らを戒める糸をブチブチ切り離すと、舞台上にひとり舞い降りる。
『な……っ!?』
『猟兵め、まだ居たのか!』
観客席から飛んでくるブーイングもどこ吹く風、ぷれみは舞台上をゆっくりと歩き回って、一回転。
「たまには真面目に考えてみましょうか」
高尚気取りの連中がとびきり不快になるような、明快で、爽快で、愉快で痛快な物語。「ジャンルはやっぱり……ミュージカルよね!」
主人公の設定は、たとえば……そう、片田舎の村に生まれたオラトリオの少女とか!
そう思いついたぷれみの背中に生えた翼は
バラックスクラップを継いで造った
小道具だし、見た目はずんぐりへちゃむくれかも知れないけれど、そこは心の目で見ていただくとして。
『何だ何だその歪な翼は、醜くて中々じゃないか』
『飛べない鳥の哀れな劇でも始まるのかしらぁ?』
「うるせぇクソが! 黙って観てろ!!」
――こほん。続けましょう。
少女は遠い旅をしながら、愛と勇気の歌を歌う。
傷付き踏みにじられた誰かに、みんなに、希望の光が届きますようにと。
しかめっ面の観客たちを無視して、
世界侵食サーバーの力で舞台そのものを書き換え始めるぷれみ。
戦闘の痕も生々しかった舞台は、いちめんの青空を映し、ついでに虹も架かっていく。
絵に描いたような晴れ晴れとした光景に、観客たちからはブーイングが飛び出す。
しかし、吊るされた生ける人形たちはどうだろう。縛られた痛みからではない、夢にまで見た美しい光景を目の当たりにして、歓喜の涙を浮かべていた。
それを見たぷれみは、くるりと身をひるがえして生ける人形たちに告げる。
「みんなも一緒に歌わない?」
「え……」
脚本通りに演じない――勝手な台詞を発するなんて言語道断、そう思っていたのに。
「あなたの身体が、人生が、あやつり糸で雁字搦めだとしても」
表情を変えない――変えられないぷれみからは、それでも暖かい何かを感じる。
「悲鳴じゃない声をあげることはできる」
「でも……」
人形――いや、囚われた人々は躊躇する。
今更、歌声など出るだろうかと。苦痛に叫びすぎてかすれた喉で歌えるのかと。
ぷれみは再び観客席の方を向くと、わざとヴァンパイアたちに聞こえるように言った。
「下手でもいいのよ、こういうのは。それを誤魔化すための合唱でしょう」
――本当の気持ちを聴かせて。
そしてぷれみは指揮者のように両手を掲げ、それを合図とした。
「人生《ゲーム》が上手くなくっても、行動が最適じゃなくっても」
スクラップの翼が揺れる。デフォルメされた両手でクラップ。
「
遊びが
祈りに変わるまで! あたしは
失敗を続けるわ」
人々が、おずおずと、しかし徐々にはっきりとした声でコーラスを歌う。
『引っ込めー!』
『どうなってるの! 誰か止めさせて!』
ヴァンパイアたちからは大いに不興を買い、目論見は大成功に終わった。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◎
ヴァシリッサ(f09894)と同行
“人間同士を集めて殺し合いをさせる”という内容の劇に乱入
役はヴァシリッサ演じる令嬢の執事として共に場に集められた体で
「必ずお護りします、お嬢様」
と、こんな所だろうか
人形にされた人間同士の殺し合いは妨害
こんな殺し合いに意味は無いと、あくまで対話で
人形とされている者を傷付けず、かつヴァンパイア側を挑発し敵意を自分達へ引き付け攻撃されるよう仕向けたい
人間を操ってヴァシリッサを殺させようとするなら、間に入り彼女を庇って攻撃を受ける
…心配するな、大丈夫だ
ユーベルコードの発動で急所を外し、行動可能な程度に被害を抑えたい
敢えて傷を受けた上で平然と立ち上がり、惨劇を期待するヴァンパイアの思惑を裏切る事が出来れば狙い通り
「本当に刃を向けるべきはどちらだ」と、皆に問いかける台詞を添える
「俺達が戦うべき相手は他に居る」
…そうだろう、
お嬢様?
場外のヴァンパイアへ啖呵を切る普段通りの彼女に少し笑って
黒幕の吸血鬼を皆で倒しに行くハッピーエンドへと物語を誘導したい
ヴァシリッサ・フロレスク
◎
シキ(f09104)と
HA,
Noble Blood共は相変わらずケツ穴迄腐ッてやがる
見下げた性根だ
いッそ清々しいねェ
演目は舞踏会だと招待された“人形”達が、殺し合いを強いられ生き残った一人だけが館を出る事が出来るデスゲームに興じる羽目になるという、陰惨な舞台
最後の一人も結局は主催者に殺されて終幕という救いの無い筋書
で!アタシは可憐でか弱い深窓の令嬢役♪【演技】力を魅せてやるサ
「Ya♪…じゃなくて
はい…信じていますわ、シキ
襲われそうになれば
「きゃ…っ!や、やめて…お願い…
ノリノリで演じつつ、攻撃は容易く【見切り】
とは言え此方を庇い傷付くシキを見れば
「シキ……ッ!
流石に分かっちゃいても動揺もする
シキの言葉には大いに賛同し
そう
弱い者イジメなんて、つまンないじゃない?
ッて違うか
なんなら抜き身の剣を【激痛耐性】を以て握り返し
【怪力】で圧し折ってみせたり
ま、“
deus ex māchinā”は
手前ェらも好きだろ?
特別にアンコールだッて受けてやるサ
何度でもな
●武闘派令嬢と敏腕執事とフィナーレと
青空のミュージカルが怒濤のように過ぎ去ったのち、僅かに生き残った裏方ヴァンパイアが、この期に及んで観客のご機嫌取りを試みる。
『つ……次こそは皆様のお気に召す演目をご用意致しましょう!』
ぎり……っ。
人々を縛る糸が動き、意図せぬ動きを強いられた人々は苦悶の表情を浮かべる。
『舞踏会に招待された『人形』たちが、これより殺し合いを致します!』
いつの間にか人々の手には本物の剣が握らされ、話はどんどん進んでいく。
『この強いられし殺し合いの中、生き残った一人だけが館を出ることができます!』
いわゆる『デスゲーム』の類いであった。殺し合う人々の人間関係によっては、共謀、裏切り、相討ちなど、悪趣味で陰惨な群像劇がお手軽に楽しめる、ヴァンパイア好みの演目であった。
ああ、哀れ吊るされた人々は操られるままに迫真の演技を通り越して
本当に殺し合いをする羽目になるのか――。
「HA,
Noble Blood共は相変わらずケツ穴迄腐ッてやがる」
どうせ生き残った最後の一人だって、結局は主催者に殺されて終幕なんだろ? と、救いのない筋書きを見越してヴァシリッサ・フロレスク(
浄火の血胤(自称)・f09894)は吐き捨てるように言い放つ。
「見下げた性根だ、いッそ清々しいねェ」
「お嬢様、少々お口がよろしくないかと」
隣に控えたシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)が、苦笑いをしながら言う。
見ればシキの出で立ちは立派な燕尾服、ヴァシリッサの衣装も深いスリットが入った真紅のドレスという、まるで自分たちも演目に参加するかのごとき格好であった。
「――と、このように。俺はご令嬢の執事として共に場に集められたていで良いな?」
「最高だね、アタシは可憐でか弱い深窓の令嬢役♪」
鍛えに鍛えた演技力を魅せてやるサ、と笑うヴァシリッサに、表情を和らげるシキ。
レースの手袋に包まれた繊手を取って「必ずお護りします、お嬢様」と告げるシキの所作が演技か本気か見極めがたい気配を纏っているあたり、こちらも相当である。
「Ya♪ ……じゃなくて。はい……信じていますわ、シキ」
多分この演目中一番に物騒な二人組が、こうして舞台に乱入していった。
「生き残るのは俺だぁ!」
「私のために死んで頂戴!」
早速始まっていた『殺し合い』のただ中に飛び込んでいく二人。
武器は使わず、相手が振り回す武器を腕や脚で華麗に受け止めながら、あくまでも『人間の言葉』で、対話でもって「こんな殺し合いに意味は無い」と訴えるシキ。
「そうそう、弱い者イジメなんて、つまンないじゃない?」
ッてそれはちょっと違うか、なんて思いながら、ヴァシリッサも優雅に華麗に舞いながら殺し合いを阻んでいく。
そうなると、当然目を付けられるのは二人だ。
だが、それも二人は織り込み済み。
「やめてくれ……! こんなことをしたら、あんたたちも……っ」
『鬱陶しい役回りが居るわね、先にそいつから殺しなさい!』
おおよそ予想通り、人形とされている者を傷付けず、かつヴァンパイア側を挑発する言動を取っていたら、ヴァンパイアの敵意はシキとヴァシリッサへと引き付けられていった。
操られた凶刃が、いっせいにヴァシリッサを狙う。
「きゃ……っ!」
大振りな一撃をしゃがみ込むようにして躱し、
「や、やめて……お願い……」
追撃の刃は、ステップを踏むようにいとも容易く見切ってこれまた躱していく。
ニィ、と不敵な笑みを浮かべたのもつかの間。
完全に死角となっていた背後からの一撃の予感を察知し、ヴァシリッサは振り返る。
「――!」
操られて不本意ながら剣を振るった一般人とヴァシリッサとの間に、シキが身体をねじ込ませていた。
「シキ……ッ!」
「……心配するな、大丈夫だ」
ユーベルコードの発動で急所を外すのもお手の物。被害は行動可能な程度に抑え、負傷さえ演出に変えてみせる。
その全てを理解していても、ヴァシリッサだって動揺はする。思わず彼の名を呼んでしまったのも無理はない。
『もっと一斉に狙わんかい!』
『やる気あんのか!?』
身勝手な観客どもからの罵声さえ、思惑通り過ぎてここまで来ると心地良い。
敢えて傷を受けた上で平然と立ち上がり、惨劇を期待するヴァンパイアの思惑を裏切ることができた今、物語の流れは二人の狙い通り。
斬られた背中は確かに痛いが、愛する人を護り、虐げられた人々を救う一筋の光となるなら、安いもの。
「本当に、刃を向けるべきはどちらだ」
「……」
シキの言葉に、人々が息を呑む。
「俺達が戦うべき相手は他に居る」
今度はシキ目がけて斬り付けてくる一般人を、ヴァシリッサが迎撃する。
抜き身の剣の刀身を難なく片手で握り返すと、刃が指にめり込む痛みにさえ耐え、そのまま恐るべき怪力で圧し折ってみせたのだ。
「なっ……」
「……そうだろう、
お嬢様?」
「しまった、レースの手袋が切れちまったよ……じゃなかった、その通りですわ!」
もう演技のていを成していないが、そこはそれ。威圧の効果は抜群であった。
「ま、“
deus ex māchinā”は
手前ェらも好きだろ?」
血にまみれた手をぶんぶん振ってぬめりを払うと、真紅の令嬢は不敵に笑う。
「特別にアンコールだッて受けてやるサ、何度でもな」
そんな、場外のヴァンパイアたちに啖呵を切る
普段通りのヴァシリッサにシキは少し笑う。
この後の顛末を簡潔に説明して、幕引きとしよう。
結局ヴァシリッサは舞台から飛び降りて、観客席のヴァンパイアたちと隠し持っていた武器をフル活用して大乱闘を繰り広げ、その隙にあやつり糸を全てナイフで切り外したシキが「黒幕の吸血鬼を皆で倒しに行こう」と扇動し、自らもヴァシリッサに続いて観客のヴァンパイアたちと交戦。
最終的に、逃げ出したヴァンパイア以外はことごとく
鏖殺し、囚われていた人々の救出に今度こそ完全に成功したのだった。
めでたし、めでたし!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵