夏に向かってアイス盛れ!
●アイス始まる~?
穏やかな陽気が漂うこの季節。春深まり、夏には少々気が早そうか。しかしキマイラフューチャーの住人達にそんなことは関係なかった。最先端を行くのであれば、先取りしたって構わない。そんなわけで街に突如現れたのはアイス屋さんの屋台だった。
ボリューム、味、トッピング、何から何までとにかく映えを重視したデコ盛り仕様で噂は瞬く間に広まった。街に現れてからというものの、行列が毎日のようにできている。
店主は嬉しい悲鳴だろう。だがそれが、本当に悲鳴になるとは露にも思わず――。
「ふふっ、いいじゃん映えじゃーん、あげみざわしてあげるからさぁ、混ぜてよね~」
奇抜な少女が行列となった住人達を薙ぎ払っていくと、辺りは壮絶な血のデコレーションに包まれるのだった。
●キマイラフューチャー・12thラウンド
季節が変わると食も変わる。何やら定番の麺類を始めたなどというのぼりがどこかの店先に立つのもそう遠くないはずだ。
「アイスは意外と冬でもいけたりするのですが……さておき、事件です!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)の元気な声がグリモアベースに響く。巷で起こる事件の一つとあって些細なものであるが、怪人が暴れる以上は放っておけない。
「キマイラフューチャーで、何やら噂のアイス屋さんなるものがあるようです。それは全く怪しくなくて、ただ超人気になったというだけのアイス屋台なのですが、それに目を付けた怪人がいたわけですね。10111・606『め皿め』という、なんか暗号みたいな名前の怪人ですが、性質は凶悪。自らの映えの為には他者の犠牲など歯牙にもかけない怪人です。それで住人の皆さんが巻き込まれてしまいますので、め皿めを倒して住人の皆さんを助けてあげてください!」
紋切り型の事件と言ってよかった。怪人を一体、倒せばいいという何てことの無い事件のはずだ。ただ、気掛かりな点があるとすれば。
「……きっと皆さんも、アイス屋さんのことは気になりますよね? なので、大急ぎで支度しまして、今から向かえばめ皿めが出現するまでに少し時間があるはずです。良ければ噂のアイスを楽しんでみては如何でしょうか? キマイラフューチャーですから、思ってもみないことができちゃうかもしれません! 一足早い夏の風物詩を目一杯楽しみましょう! それではよろしくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
休日は心を豊かにします。というわけでGW張り切って遊ぶぞ!
●フラグメント詳細
第1章:『街で噂のアイス屋さん』
甘味が続きましたね。今回はアイス屋さんです。
色々な意味で盛れるようですので遠慮なく盛りましょう。
第2章:『10111・606『め皿め』』
如何にも盛りまくりそうな怪人です。
そんな彼女の心を折るには、盛り勝ってぶち倒すしかないですね!
第1章 日常
『街で噂のアイス屋さん』
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POW : 超キングサイズのアイスに挑戦!
SPD : 何段も重ねて限界に挑戦だ!
WIZ : アイスを自分好みにデコろう!
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セルジュ・フォートリエ
■アドリブ歓迎です。
「…これ、好きなだけのせていいんですか?」
甘い物、かわいらしい物も大好き。せっかくなら、トッピングをのせてデコレーションしてみましょう。
カラフルなチョコスプレー、フルーツ、動物の形のクッキー…好きな物を好きなだけのせていきます。
「か……」
言うまでもなくかわいらしいアイスができあがり、目を輝かせます。
とにかく好きなだけ盛ったので、アイスがほとんど見えないほどに。
見た目がどうであれ、好きな物をのせたのだからかわいいに決まっているのです。
持って帰りたいくらいですが…今日の任務を忘れてはいけませんね。食べ終わったら、気持ちを切りかえて戦場へ向かいましょう。
●この上なく愛しきアイスクリーム
順番待ちをしている時からセルジュ・フォートリエ(魔剣使い・f39315)は気になっていた。遠目に見えるカラフルなトッピングアイテムの数々。定番中の定番、チョコスプレーに瑞々しさが輝くフルーツの類、それから動物を象ったクッキーに――挙げだしたらキリがない。
客達は皆、好き好きにアイスクリームへトッピングを施して、跳ねるような足取りでアイス屋台を後にする。自分だけの、世界に一つだけのアイスクリームだ、自然と心躍るのも頷ける。
「……これ、好きなだけのせていいんですか?」
「えぇ、どうぞどうぞ」
セルジュの順番が回ってきたところで、一応、念のため。セルジュは改めて店主に確認し、そして人知れず目を輝かせた。甘いものには目がなく、可愛らしい物も大好きで堪らない。
ベースとなるアイスクリームの味はバニラを選んだ。オーソドックスでありながらあらゆるトッピングと調和するオールマイティーな味。それを銀色のアイスディッシャーで半球状に盛り付けて、いよいよトッピングの出番だ。下地になるチョコスプレーをざらざらとふんだんにアイスクリームの上へとまぶし、それから一口サイズのフルーツ達をぐるりと囲ませるように盛っていく。イチゴにバナナにメロンにキウイ――チョコスプレーに負けず劣らずで色鮮やかにディッシュが飾られていく。
そして動物型のクッキーはアイスクリームとフルーツを支えにしてそっと立てていく。そうすると動物達がまるで生きているかのようにアイスクリームの山を駆け回る光景が広がった。
「か……」
完成した一品がセルジュの両手に乗っており、あまりの可愛らしさ、愛らしさにセルジュは絶句してしまうほど。言葉では言い尽くせない、キュンと心をときめかせてくれる、ある種の芸術作品がそこにはあった。
アイス屋台を離れ、近くのベンチに腰掛ける。魅入られるように出来上がったアイスクリームを見つめながら、緩んだ表情でため息を漏らす。下地のアイスクリームは溢れんばかりのデコレーションでほとんど見えなくなっているが、それを補って余りあるファンシーな世界観がセルジュの心に満ちていく。
持ち帰って飾ってみたいとすら思う。アイスクリームであるから常温では長持ちしないのだが――それでも、という気持ちを抱かせるに十分な出来栄え。
(……忘れてはいけませんね、今日は任務がありますから……)
怪人の襲撃という近未来は頭の片隅に置いてある。セルジュはじっくりとアイスクリームを目に焼き付けてから、ゆっくりと味わって来る戦いに備えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クオ・メアン
アドリブ歓迎
【SPD】
アイス大好き!いっぱい重ねてい~っぱい食べちゃおう!
頭キーンってなったり食べ過ぎてお腹冷えちゃうのはぼくには無縁だから、思いっきり楽しむよ♪
(※クリオネの深海人だから【寒冷適応】とか【氷結耐性】⋯寒さ冷たさに強いよ)
バニラもチョコもチョコミントもソーダも。ストロベリーとかオレンジソルベを挟んだり。
カラフルにして、甘いの爽やかなの、味も色々。
何段積めるかな?倒れそうだったら、氷の魔法で固めよう。
仕上げにトッピング。アラザンやチョコスプレーとかクッキーやグミとかで賑やかにデコって⋯
写真を撮ったら、楽しく美味しく食べるよ。
ガレくん、レクスくんも一緒に食べよう。
美味しいね!
●アイスクリームの金字塔
大人も子供も虜にしてしまうアイスクリームだが、油断は禁物。冷たい物を一気に食すと頭が痛くなるのはかき氷等々で経験済みの者もいるだろう。それでも誘惑に抗えないのが困ったところなのだが。
「どれだけ乗せてもいいんだね!? じゃあ、いっぱい重ねてい~っぱい食べちゃおう!」
アイス好きを公言するクオ・メアン(氷雪の精霊術士/天使で悪魔・f30569)が並んでいた位置は子供達のグループが多いようで、皆競うようにアイスクリームを盛り付けて駆けていく。
彼らは果たして頭が痛くなることなく食べきれるのだろうか――さておき、当のクオは深海人で、冷たさから来る頭痛には無縁とあってアイスクリームには楽しみしかない。いよいよ目の前にしたケースの中、様々な味のアイスクリームとトッピングの数々が輝いて見える。
アイスクリームを乗せるディッシュは一番大きいサイズを選んだ。そこへまずは定番のバニラ味を敷き、それからあちこち目移りしつつ、カカオの甘さのチョコレート、爽快感が癖になるチョコミント、シュワッと弾けるソーダ味、フルーツフレーバーも当然完備されており、ストロベリーやらオレンジやら、まるで夢の世界を生み出すようにカラフルに盛り付けていく。
形を丁寧に整えたそれはまさにピラミッド。それだけでも後ろに並ぶ子供達の目を惹いていたが、クオのアイスメイクはそれだけでは終わらない。
お待ちかねのトッピングタイム。銀色に光るアラザン、アイスクリームに負けず劣らずカラフルな彩りのチョコスプレー、サクサクとした触感が楽しめるクッキーに、ぷるぷると弾力のあるグミをこれでもかと乗せる。見た目にも二回りほど大きくなって、デコレーションを極めたアイスクリームがついに完成した。
「やったー!」
思わずクオは頭上に掲げた。王冠よりも豪華なアイスクリームピラミッド。溶けないうちにと近くにあった空きテーブルにディッシュを置いて、すかさずパチリと写真を撮る。全ての味、全てのデコレーションの魅力を余すことなく写真に収めると、
「ガレくん! レクスくん! 一緒に食べよー!」
空中遊泳で待機させていたクオの旅のおとも「ガレくん」と「レクスくん」を呼んで、クオもちょこんと椅子に座る。取り出したるはスプーン、ピラミッドの頂上から差し込んで贅沢な一掬い。
「いただきまーす!」
口を大きく開けてぱくり。おともの二体もがじっとアイスに噛り付いて、濃厚な甘さの中にフルーツの程よい酸味が調和するのを感じながら、
「美味しいね!」
クオは満面の笑顔を見せるのだった。
大成功
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ミリアリア・アーデルハイム
最近、急速に暑くなって来ましたよね。つまりアイスの季節が本格的に始まったって事です!きっと既に誰かがおっしゃっていると思いますが「アイスをこよなく愛す」者にとって、我の季節キターって感じの初夏なのです。
るんるんと定番のチョコ・バナナ・ストロベリーに珍しめの醤油・わさびと盛って雪だるまや雪の結晶をトッピング、スプーンがわりのウエハースにのせのせしていただきます。
ああ、プリン味もマンゴー味も気になるっ、ソルベ系も捨てがたい。
戦闘前にお腹をこわしてはお話になりませんので、自前のお茶で体を暖めて食べる方も気持ち控えめにしておきましょう。
それにしても怪人さん、アイス屋さんを襲おうなんて許すまじですね!
●通も唸る品揃え
今時期はいわゆる季節の変わり目で、天候によって急激に暑くなったり、そうかと思えば冬に逆戻りしたかのように寒くなったりと天の気まぐれが多い。
それでも日は少しずつ長くなっているのであり、着実に夏へと変わりつつあることを見据えてのアイス屋台は、ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)にとってもアイスクリームの季節が本格的に始まったことを予感させていた。
「既に誰かが仰っていると思いますが……念のため、言っておきましょう。『アイスをこよなく愛す』者にとって、我の季節キターって感じで、もう初夏ですね」
それは例えるなら「冷やし中華始めました」くらいに王道のジョーク。言わなきゃ夏が始まらない、そんな面持ちでミリアリアは一人呟いていた。
列はそうこうしているうちに進んでいき、ミリアリアが屋台の前に辿り着いた。愛想良い店主はあれこれ説明してくれていたが、とどのつまりバイキング形式でどんなアイスクリームでも作ってよいとのことだった。
「まあまあこの辺りはフレーバーの定番でしょう」
チョコレート、バナナ、ストロベリーと三色、バランスが良い。それらをディッシュに乗せていくと、トッピングの中では端に近い位置に用意されていた通好みのトッピング、醤油とわさびに手を付ける。とろりと透明感のある褐色の液体がアイスクリームの山を伝っていき、それからツンとした辛みが特徴のわさびをちょんちょんと盛っていく。
味を調えた後は見た目の飾りに取り掛かる。雪だるまや雪の結晶をあしらった砂糖菓子を添え、スプーン代わりにウエハースを乗せてできた完成品をまじまじと眺める。
「我ながら良い出来栄えですね。さてさて……いただきます」
空きベンチに腰掛けて、いよいよ実食。ウエハースで掬ってアイスごとさくっと齧る。最初はアイスクリームの甘味が広がり、次いで塩味が舌に触る。甘じょっぱいという風味はアイスクリームの概念を良い意味で破っていく新感覚で、その後襲ってくるわさびの刺激を引き立てる。
舌から鼻へと抜けていく爽快な辛さはわさびとアイスクリームという和洋の絶妙な融合を表現していた。一度で三度美味しいアイスクリーム、さくさくとウエハースが無くなる頃にすっかり食べ終えて、満足そうに顔を緩める。
「ああ、一つで終わりにしてしまうのがもったいないですね……プリン味もマンゴー味も気になるっ、ソルベ系も捨てがたい……」
アイスはそれこそ山のように用意されており、ミリアリアはその一角を食したに過ぎない。二回目、三回目と並んでアイスクリームをこれでもかと食べている住人達も恐らくはいるのだろう。
だが、ミリアリアにはこれからやるべき任務があった。アイスクリームの食べ過ぎでお腹を壊してはならないとこの場は自重して、自前の温かいお茶を啜って冷えを防ぐ。
「それにしても怪人さん、アイス屋さんを襲おうなんて許すまじですね!」
ほっと一息、落ち着いたところに沸々と湧き上がる怒りがあった。怪人はミリアリアとは相容れぬ存在なのかもしれない。ミリアリアは二杯目のお茶を注ぎつつ、来たるべき戦いに備えるのだった。
大成功
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第2章 ボス戦
『10111・606『め皿め』』
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POW : コッチ見て? ファンサしてあげる♡
【盛り盛りのデカ目 】から【きゅ~となウィンク】を放ち、【魅了状態の心酔感】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : オロナミン~?
【映える自撮りを撮る 】事で【あげみざわモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ラビちゃんに埋もれちゃえ!
自身が装備する【🐰ちゃん人形 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
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●デコり怪人め皿めちゃん
アイス屋台の行列は街中でもよく目立っていた。それに目をつけたのが怪人、め皿め。
「ふふっ、いいじゃん映えじゃーん」
彼女自身、相当奇抜な格好をしている。不気味にデコったスマートフォンを掲げ、カラフルに染め上げた長髪を流して住人達の前に現れる。住人達は一瞬、彼女も客の一人かと思ったが、め皿めがあくどい笑みを浮かべたことでその場に絶叫が轟くのだった。
セルジュ・フォートリエ
なるほど、とにかく「盛る」のがお好きなのですね。
ではこちらも少し…盛ってみましょうか。
UCで翼が生えたトカゲをたくさん召喚して対抗します。
もちもちでかわいらしい見た目ですが、あなどってはいけません。動く物には素早く反応し、暴れれば噛み付きます。
ぬいぐるみは僕も大好きですが、そのかわいい見た目で人を襲うのは……いえ、それはこちらも同じかもしれませんね。
●可愛き力は翳すべきか
その姿を見るだけでも明らかに「盛りたがり」であると分かった。アイス屋を襲いにやってきたのもある種の運命のようなものなのか――。
(……では、こちらも少し盛ってみましょうか)
対峙するセルジュにふと考えが湧く。め皿めの土俵に踏み入っての戦い、即ち盛り対決。
盛りとは言わば物量だ。セルジュが召喚するのは翼の生えたもちもちのトカゲ達。本来地を這うための足でぱたぱたと空中を掻き分けて飛び交う様は実に愛らしく、質感も思わず触ってしまいたくなるような愛くるしさがあった。
「あ、ラビちゃんとバトるぅ~? やっちゃえラビちゃん🐰」
め皿めがセルジュの意図に気付き、自らも装備するラビちゃん人形を複製して宙に浮かべる。互いに可愛さてんこ盛りの大バトルは両者が攻撃意思を示したことで始まった。翼で羽ばたき一直線にラビちゃん人形へ噛み付きにいくトカゲ達。ラビちゃん人形達もまた柔らかな腕を振り回して応戦してくる。
トカゲとラビちゃん人形は似ているようで一点だけ、明らかに異なっていた。ラビちゃん人形がめ皿めによって操作されているのに対し、トカゲ達は自立的に行動する。多対多の様相を呈していてもその実は一対多なのであり、め皿めの人形操作に対しトカゲ達は各々の判断で急速転回して回避を繰り出す。パンチやキックが空中で乱れ飛んでいたが、どれもがあと一歩のところでトカゲ達に届かず、機動力で上回っていたトカゲ達は逆襲してラビちゃん人形達に食らいついた。
ペンキの飛び散ったような、継ぎ接ぎのようなものも見られるラビちゃん人形が次々に食い破られて落下する。見た目に反して闘争本能が高く、トカゲ達は狙った獲物を逃さない。標的の数は時を追うごとに減り続けてトカゲ達はめ皿めまでも獲物とした。
「ラビちゃんで……吹っ飛べっ☆」
め皿めが手にしたラビちゃん人形本体が鈍器の如く振り回されてトカゲ達を迎撃する。素早くも掠めて弾かれるトカゲ達もあった。だが本体が狙われるという構図で既に勝負はついており、め皿めの攻撃の隙を突いたトカゲ達が腕や足に齧りつく。
「いたっ!? マジさげみざわなんだけどー!」
「ぬいぐるみで襲った報いです……が」
セルジュが言葉を中断する。ラビちゃん人形とトカゲ達、違いはあれど可愛いものには違いなく――自らを戒めるかのようにセルジュは口を閉ざすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミリアリア・アーデルハイム
わぁ、素敵!キマイラフューチャーならではって感じの鮮やかな色合いのお洋服にちょっと悪い子な表情、とってもお可愛らしいです。
でも、アイスを愛する人たちを襲撃するのはいただけませんね。残念ですが、お相手いたします。
人々とアイス屋さんに被害が出ないよう、屏氷万里鏡を使用して結界でバトルフィールドを形成、自身はオーラ防御。
箒、頼みます!
うさちゃん人形と『め皿め』さんに【蒼焔花嵐舞】
ローラちゃんにも、うさちゃんをもぎゅもぎゅしてもらいましょう。
ふふん、箒さんの侘び寂び感とローラちゃんの愛らしさは、貴女のデコphoneと痛うさぬいに負けてませんから!アイスもデコもただ盛れば良いってものじゃ無いんですよ?
●盛りの何たるやを語る
め皿めも「デコる」道では一流に値するのだろう。闇雲に色を乗せまくっているのではなく、映える配色、映えるデザインを意識して今の姿に至っている。
「わぁ、素敵! キマイラフューチャーならではって感じの鮮やかな色合いのお洋服にちょっと悪い子な表情、とってもお可愛らしいです」
ミリアリアが一目置くほどである。褒め殺して隙を伺おうというわけでなく、純粋に思ったままを口にしていた。
「わかるぅ~? だったらぁ……お礼にラビちゃん人形あげちゃう~!」
「それは結構です――アイスを愛する人たちを襲撃するのはいただけませんから、残念ですが、お相手いたします」
絶妙な駆け引き。決して相手のペースに呑まれることのないよう、ミリアリアは警戒心を常に傍に置き対応する。大量に召喚されるラビちゃん人形を前にしてミリアリアは屏氷万里鏡を使い結界を生成、戦場を封鎖しアイス屋を含めた無関係の者達を退避させた。
「行っちゃえラビちゃん!」
宙に浮かべられたラビちゃん人形が一斉に撃ち出されてミリアリアに殺到する。ふわふわした見た目に反して弾丸の如き破壊力を秘めたるラビちゃん人形に応戦すべくミリアリアが手にしたのは職人謹製棕櫚箒だ。
「箒、頼みます!」
手にした箒が蒼く輝き、散って氷塵蒼焔花の花びらに変わる。一片一片は小さいものの、蒼焔は鋭き刃の如き熱量を持つ。それらが飛来するラビちゃん人形と空中で衝突して激しく爆ぜ、まさに蒼焔花と言うべき花火が咲いていた。
攻防は五分、どちらも譲らない。根競べの様相を呈してきた中でミリアリアは第二の手を打った。
「ローラちゃん!」
それは、ともすれば深海魚を思わせるような外見ながら可愛らしいピンクのリボンがついており、ラビちゃん人形に勝る愛らしさを誇るとミリアリアは確信している。正体としては掃除機であり、花びらとラビちゃん人形の衝突に加勢すると吸引力でラビちゃん人形を吸い寄せてもぎゅもぎゅと齧りついた。
戦況が動く。徐々にラビちゃん人形が数を減らし押し戻されて、め皿めが新たにラビちゃん人形を複製しようとしても数に限りがあった。そして、強烈な熱と光がめ皿めに降り注ぎ――。
「んぎゃっ!?」
ついに花びらがめ皿めに着弾した。耳付きパーカーがざくざくと斬り裂かれて燃え始める。装備していたラビちゃん人形本体でばさばさ叩き消そうとするも、焔はしつこくへばりついてめ皿めを焼き焦がした。
「ふふん、箒さんの侘び寂び感とローラちゃんの愛らしさは、貴女のデコphoneと痛うさぬいに負けてませんから! アイスもデコもただ盛れば良いってものじゃ無いんですよ?」
「うぅ……敵に盛りを語られるなんてサイアク……」
燻ぶる煙を体から昇らせているめ皿めは、心底恨めしそうにミリアリアの勝ち誇った表情を睨みつけていた。
大成功
🔵🔵🔵
クオ・メアン
アドリブ歓迎
【POW】
「そこまでだよ!」って、精霊杖を振って、地面から生やした氷の鉄槌(【指定UC】)で防御とウィンクの目線を遮るよ。
ガレくん、レクスくんも一緒に戦ってくれるよ。
ガレくんは噛み付いたり、レクスくんは尾びれで攻撃(【なぎ払い】)してくれるんだよ。
その間にお客さんや店員さんを避難させないとね。
みんなもお店も守るから、安心してね!
美味しいアイスいっぱい食べたから、氷の魔力も満タンだよ。
怪人さんなら【全力】で遊んでも怒られないから、元気いっぱい遊ぼう♪
さっきのアイスみたいにキラキラした氷魔法で【凍結攻撃】。
●アイスクリームは力の源
猟兵達との「盛り対決」で苦杯を舐めため皿めだが、それで彼女のアイデンティティが全て失われたわけではない。め皿めはある種のカリスマ、故に一挙手一投足が彼女の攻撃になり得るのだ。
「こうなったら……とっておきの、ファンサ~」
「そこまでだよ!」
これまた盛りまくったデカ目を見開き、ぱちりとキュートなウインクを放つ、その現場へ割って入ったのがクオだった。永久凍土の精霊杖『UpasRup』を振り下ろし巨大な氷の塊をめ皿めの正面に叩きつけると、氷はぱりぱりと破砕片を撒き散らしながらめ皿めの姿を反射する。
「ちっ……」
魅了は自身には効かないものの、視線を遮られて不発に終わる。め皿めは氷塊を迂回しなければならず、その隙にクオは味方が張った障壁の外でたじろいでいた住人達に万が一の被害も及ばぬよう離れさせておいた。
「美味しいアイスをいっぱい食べたから、氷の魔力も満タンだよ! 行こう! ガレくん! レクスくん!」
クオの呼び掛けに両者とも気合十分に吼えている。クオの飛び出しに合わせて空中遊泳していた二体が左右から挟み込むようにめ皿めへ襲い掛かり、め皿めは対応を迫られる。
「――こっちっしょ!」
視野というものがまだはっきり読み取れそうなサメ、ガレくんへ視線を飛ばそうとしため皿めだったが、直後、選択の誤りを悟ることになった。逆の、リュウグウノツカイ、レクスくんだったか――それも違う。
距離を補って余りある射程。クオが全力で生成した氷塊は巨大鎚の如くめ皿めの側方へぶつかっていく。咄嗟に両腕でガードしようとしため皿めを根こそぎ殴りつけて吹き飛ばし、障壁に衝突して跳ね返ったところをレクスくんが尾びれで薙ぎ払うと、最後はガレくんがめ皿めの胴体に噛みついて地面へ叩き落としフィニッシュを決めた。
「――がふっ!?」
背から落ちて一度水平に大きくバウンドしため皿めは小刻みに跳ねて倒れ落ちる。体力を削られた上、小刻みに与えられていたダメージが突如牙を剥いて、息を詰まらせため皿めはすぐに起き上がることができなかった。
大成功
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中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します
あと、虫が苦手
●非情な現実
パーカーもソックスも厚底シューズもボロボロになって仰向けに倒れているめ皿めの姿は、彼女のプライドもまたズタボロにされていることを彷彿とさせた。怪人らしさを発揮できずに打ちのめされて、天を仰いでも酷く翳っている印象を受ける。
「……ラビちゃん……」
そんな時に、傍らの人形の名を呼んだ。眼帯をつけて、今のめ皿めと同じように傷つき寝そべる。仲間意識のようなものがふと湧いて、め皿めはその気持ちを支えにまた立ち上がる。
「あら、大人しく斬られる気はなさそうですわね。ですが……散り際を見誤らないのも大切なことですわよ?」
障壁を抜けて中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)、もとい副人格シルヴァーナが戦場に現れたのは丁度め皿めが決断した時だ。今のめ皿めにはカリスマの欠片もなかったが、怪人としての意地がまだ残されている。
「ラビちゃん……行くよ!」
三度、め皿めはラビちゃん人形を空中へ複製すると、シルヴァーナの頭上へ殺到させた。不意の強襲にはならないが持てる力の全てを出した。諦めることなく最後まで足掻く。敗れ去ることなど微塵も考えていなかった。
「良い心掛けですわね……ですけど、わたくしから逃げられるとでも思いまして?」
全力には全力で相手をするだとか、相手のプライドを尊重するだとかいう騎士道精神のようなものでは決してなく、シルヴァーナにあったのは殺戮本能のみだった。それを増強して攻撃速度、移動速度、反応速度といった戦闘に関わる能力を6倍に跳ね上げて惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』を手にラビちゃん人形の嵐の中を駆け抜けていく。
ふわふわの腕やら足やらが顔目掛けて襲い掛かる。一撃でも当たれば一気に畳みかけられてしまうところをシルヴァーナは切れのある重心移動、身体操作ですり抜けていく。迫り来るシルヴァーナの姿にめ皿めは退かない。最後の最後まで、ラビちゃん人形を信じ続けて――。
「終わりですわね」
きゅん、と風が鳴った。め皿めの視界の端を掠めていったシルヴァーナから放たれた一陣の斬撃がめ皿めの首筋を抜けて掻っ捌く。め皿めは体が軽くなるのを感じていたが、それはめ皿めの体が脳の制御から外れていってしまっているということ。
意識はやがてぷつりと切れる。ラビちゃん人形と共に倒れため皿めが消えゆくのを、シルヴァーナは振り返りもせずに戦場を去っていくのだった。
成功
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