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ある日の彼らの交戦記録

#クロムキャバリア #ノベル

火翅・ナナ
・旅団『新世界学園』でのキャバリア任務の様子をお願いします
玉響・飛桜さんと同じノベル希望、可能であれば南・七七三さんも出演してほしいです
任務は戦闘系で、詳細はお任せします。

ナナは小生意気な所謂メスガキ系の性格。『~だよぉ、~かなぁ?』などと語尾を伸ばす癖と、『にはは』という笑い方が口癖です
愛機のマクガフィンエクスマキナは、高機動低装甲が売りの近接格闘機です

クラスメイトの事は飛桜、ななみんと呼び、普段の一人称はナナちゃん。シリアスな場面ではあたしと言います。


玉響・飛桜
・旅団『新世界学園』でのキャバリア任務の様子をお願いします
火翅・ナナさんと同じノベル希望、可能であれば南・七七三さんも出演してほしいです
・任務のシチュエーションは飛桜、ナナ、七七三の三人連携により敵を追い払うイメージです詳細はお任せします
アドリブ歓迎です!

飛桜は普段忍者風の性格。一人称は『拙者』語尾は『~ござる、~ござらんか?』
キレると一人称は『オレ』
語尾は『〜だ、だろ、〜か?』
乗機のトランペッターは分身を扱う忍者型の機体 
サイキックキャバリアでAI有
トランペッターの一人称は『当機』
トランペッターの口調は敬語で『〜です、〜ですか?』で堅苦しい話し方
使い魔のような存在の悪霊《オロチ》と共犯関係を結んでおり
《オロチ》が接触した物体データをトランペッターでコピー可能
《オロチ》の一人称は『オレ』
語尾は『〜だ、だろ、〜か?』
飛桜は学園の生徒の事は〜殿呼び。役職付きは役職+殿。
ナナのみ呼び捨て。



●ある日の彼らの交戦記録
「おぉっと! ――鬼さんこちら、とか言った方が良いでござるかな!」

 轟音、砂煙。

 クロムキャバリア、放棄された工事現場。
 一機の巨大なオブリビオンマシンと、二機のキャバリアが交戦していた。

 ――交戦、といっても。高速で逃げ回る二つの昏い影を、鈍重なオブリビオンマシンが追い回している、といった方が正確だろうか。

 オブリビオンマシンの特徴は、なんといってもその巨躯。
 通常規格よりも一回り大きな機体は、更に歪つに膨れ上がった装甲に覆われ、振るう巨腕は鉄筋コンクリートを容易く打ち崩す。
 そして、特徴的なのは――機体各部から姿を現し寄生虫めいて蠢く、銀色の金属パーツ。

(「……これ、やっぱりアレでござるよなぁ」)

 二機のうち一機。忍者めいたサイキックキャバリアの搭乗者……玉響・飛桜(カゲロウ・f30674)は、数分の観察の結果、そう断定した。

 その「銀色」は、身内……同級生であり、戦歴としてはある意味では後輩で、現在は図書委員会の副委員長にまで駆け上がっていったからして、ある意味では上役とも言える、そんな生き急いだ誰かの機体が纏う「鎧」に、あまりに似通っていた。
 それが特殊なオブリビオンマシンであることは、既に委員間には周知されている。そして、敵機がそれだと断定できる理由は――

また・・例の寄生型……、で、決まりでござるかな」
『そだねぇ。生体反応もないし、パイロットはいなさそ?』
 半ば独り言のような呟きに、共に逃げ回ってみせながら敵機の様子を探っていた友軍機――マクガフィンエクスマキナの搭乗者からの通信が答えた。

 そう、簡単な話、初めてではないからだ。
 時に偶然小競り合いをした敵勢力の中に混じって。時にこうして、偶々寄港した港の近隣で妙な機体反応があったと確認に来てみれば単体で。頻繁に、とは言わずとも、数件の交戦記録が報告されている。
 機体を汚染し、オブリビオンマシン化する寄生型のオブリビオンマシン。その定期的な出現が、単なる感染拡大を示すのか、ネバーランドへの何らかの偵察行為なのかまでは断定出来ないが。

 元になった機体は――民生品として払い下げられ、重機として使用されていた量産型キャバリア。大半の武装はオミットされており、鈍重な動きはトランペッターとマクガフィンデウスエクスマキナからすれば止まって見える。
 ――ただ、恐らくはオブリビオンマシン化に伴って肥大化した装甲が厄介だ。

 偵察用の兵装を選択していたこともあり、トランペッターもマクガフィンも、単純にデカくてカタい相手を蹴散らすのが得意な方ではない。
 無論、自分にせよナナにせよ、手段を選ばなければ対処は難しくないのだが――、

『どうするぅ? ゴリ押しできなくはないけどぉ』
「あちらも偵察だとするなら尚のこと、派手な切り札を見せても馬鹿を見るでござるよなぁ」

 そう、苦笑する。
 偽神讃美式プラント複製なんてもってのほかだ。とはいえ、これ以上暴れさせて騒ぎが拡大しても面倒である。

「足止めしつつ、一発で急所をぶち抜きたいところでござるが――」
『――りょ!』
「お」『お?』
 ――答えたのは、会話の相手ではなく。唐突に割り込んできた、三人目の声だった。

 発信源は戦場上空――「自分たちの常識」からすれば警戒が薄れがちな、人の手には未だ戻らぬ方角から。
 丁度、先程脳裏に浮かべた、三機目の友軍機。付近の哨戒に当たっていた、機体名Bladder Cherry-Sphenic。
 黒い翼を広げた緋色のキャバリアが飛翔する高度は、きっと他世界の空軍からすればお遊びのように低いのだろう。けれど自分から見ればとうに、ほんの少し位置取りを間違えれば天なる光に貫かれる狂気の沙汰だ。

「七七三殿……!」

 口にする。 
 上空の「鬼灯の楔」を取り巻くように、きら、と、光が煌めいて――何かしらの金属塊が、尋常でない速度で投げ落とされる。

 その正体をはっきり認識する前にはもう、飛桜操るトランペッターが、落下予測軌道に重なるように跳ねていた。
 飛桜は、思わず笑みを浮かべ、呼びかけの続き、

「まぁーーーた手裏剣みたいなノリで! その手品、拙者よりよっぽど忍者でござらんかなぁ!」
『うっっっせ! アンタと違ってアタシは自腹だっつーの! 文句言うなら実費取るよ!』
「あーあーあー何も言ってないでござる!」

 煽り煽られ、軽口を叩きながら、

 高速で飛来した質量に、触れる。
 投げ落とされた「手裏剣」の正体は――人間の身長よりも長い刀身の、巨大な実体剣RS。トランペッターの手首が軋む。掴むのは流石に無理だ。一瞬で解析を終えながら、叩いて軌道を変える。
(「いやこれ……ユースの“ドアノッカー”にござるな!? アホでござるか!?」)
 剣というより大盾めいた、凶悪なシルエット。間違っても高速飛行する機体からパスされるような代物ではない質量と、無茶な機動に文句めいた思考を伝えてくるサイキックキャバリアトランペッターに少々頬を引きつらせながら、

倍音ハーモニクスッッ!」
 不可視の悪霊オロチを這わせたそれを、増やす・・・

 一振りを二振りに。二振りを四振りに。四振りは八振りに。
 無骨な刃は高速落下の運動エネルギーすらも複製し、爆撃めいて敵機の周囲に突き刺さり、瞬きの間に鋼の檻と化す。
 巻き上がる砂塵と瓦礫は実際のところ、忍術ぶるには少々無骨で粗暴に過ぎる。けれど確かに魔法めいた突然の展開に、巨躯のオブリビオンマシンは明らかにたじろぎ、動きを止めて。

 直撃はあえて避けた。
 動きが止まるのは一瞬だけだろう。

 けれど、

「ナナッ!」

 その一瞬を作れば十分過ぎるということを、飛桜は誰より知っている。



「……にはは。ナナちゃんはどっちもどっちだと思うんだけどにゃぁ」
 軽口めいて煽り合う二人のやりとりを聞きながら、ほんの数秒、マイクをオフに。火翅・ナナ(空得・f30145)の口許に、ちょっぴり苦笑が漏れる。

 島内に個人で借り受けた倉庫に保管するキャバリア用兵装から、戦況に必要なものを選択し、超能力アポートで引っ張り出すななみん。
 それを受け取り、サイキックキャバリアの演算能力と、それからちょっぴり秘密の隠し味を加えて解析・複製してみせる飛桜。
 アンサーヒューマンのナナとて全くもって常人ではないけれど、それにしたって、あの同級生二人の裏技っぷりは、もはや自分たち委員の中でも大概な部類で――、……ついでに言えば、二人揃えばコンボじみている。
 地味に相性良いんだからもぉ。なんて、思考も一瞬ちらついて。

(「ま、でもぉ?」)

『――ナナッ!』
「あいよぅ!」

 呼ばれて、本当は応えるまでもない。
 刃の檻が地面をぶち抜いた時にはもう、マクガフィンエクスマキナは彼が求める場所に跳ねている。
 もう短くない付き合いだ。上空の彼女が何をして、傍らの彼がどう受けるか、それくらいお互い、声に出さずとも分かり切っている。……ちょっと想定より無茶をして文句言い合うことくらいはあるかもしれないけれど。

 それでもあえて呼びかけられたのは、
 わざわざマイクを入れ直して応えたのは、

(「――なーんでだと思う? なんてねぇ!」)

 ぐるぅりと。敵機の――否、或いは戦場の誰の目にも留まらぬほどの速さで、空中のマクガフィンエクスマキナの機体が上下に・・・に回転する。
 前転めいて頭部を前に振り、機体をねじりながら振り上げるように振り下ろす脚部。

 つまるところは、オーバーヘッドキック。
 サッカーボールの代わりは、ななみんが投げ下ろし、飛桜が触れたことでただ一本だけ檻とならずに軌道を跳ねさせた、一振り目オリジナル

 飛桜がどう動くかなんて分かり切っている。なら、その全てを計算し切ってここに控えておくなんて、ナナの速さなら容易いことだ。
 思い切り柄頭を蹴り込んで、僅かに軌道を調整しながら落下の運動エネルギーに最後のひと押し。

 ごしゃり、と、およそ剣を突き刺した音とは思えない金属音が響いて、オブリビオンマシンの動力部と無人のコクピットを、正確にぶち抜いた。
 びくん、と、機体が跳ねて――――

「――おぉーっとぉ。ダー、メ」

 当然、曲芸一つで満足はしない。
 剣を足場に、マクガフィンはもう一跳び。足元に逃げようとした銀色の「寄生型」を、伸ばしたクローで両断する。

 そこまで終えて、やっと残心。
 ゆっくりと機体を起こし、振り仰ぐのはこちらにアイカメラを向ける忍者と、彼方に浮かぶ鬼灯。

 ぱちんと悪戯ぽくウィンク、したって見えはしないのだけど。

 でも、うん。きっと二人には伝わったよねぇ?

 にはは。


(「…………あ〜」)

 戦闘の終わりを、カメラ越しに見下ろして。ギャルめいた少女は、ちょっぴり苦笑する。
 ほんとは素直に、お見事、と、雑な振りに応えてくれた二人に拍手したい気持ちなのだけれど。

(「ま、でもぉ?」「――ナナちゃんが一番うまく合わせちゃうけどねぇ、息」)

 なんて言いたげなクラスメイトのウィンクが見えたような気がしたのは、果たして穿ちすぎなのかどうか――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年04月20日


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