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蒸気の襲撃

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #戦後

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#アルダワ魔法学園
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#【Q】
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#戦後


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「きゅ?」
「きゅきゅ?
「こむこむこむこむ……?」
 アルダワに一つの研究室があった。
 迷宮探索を主とするその研究室であるが、それで構成される研究員たちに特徴があることで、ほんの少し、周囲では知られる存在であった。
「これ、どこかに報告した方がいいこむ?」
「きゅ! 怪しいきゅ!」
 巨大なゴーレムのようなものを取り囲んでいるのはわんこたちだ。明らかに生体ではない、鋼で作られたミレナリィドールや、明らかに生体ではない、もふもふわんこぬいぐるみや、見るからに生体で、もしかしたら賢い動物かもしれないようなわんこや、とにかくわんこだけで構成された探索部隊であった。
「近接攻撃部隊、前に出るきゅ。魔法部隊は後ろから……」
 ぶんっ!!
 指揮官らしきもふもふぬいぐるみ(大きさはレトリバーサイズ)が指令を発する前に、それが剛腕を振るった。
「こ、こむ~~~~~!!」
 研究員(リアル柴犬系)が悲鳴を上げる。
 突如その研究所(という名のわんこハウス)は、大量のゴーレム及び古代魚の姿をしたオブリビオンの襲撃により廃墟と化すのは、それより数分後のことである……。


「戦いの準備はいいだろうか? 諸君!」
 ベイゼル・フォステリー(紅蓮の天誓騎士・f39007)は高らかにそう言った。明るくであり、良く通る声をしていた。
「さほど難しい案件ではない。アルダワにて、一つの研究所が襲撃される。そこに向かい、研究員と協力するかしないかし、現れたオブリビオンをせん滅して欲しい。アルダワでは、災魔と呼ばれているのだろうが、まあ呼び方など些細なことだ!」
 細かいことは気にしない。笑顔でベイゼルはそう言い切って、一拍、置く。一呼吸ほどの間を置いた後で、ベイゼルは続けた。
「まず、研究員の生死は仕事の査定には影響がないが、可能なら助けてやって欲しい。
 次に、敵はゴーレム型のオブリビオンが多数。それより強力な古代魚型オブリビオンが一体。研究員はゴーレム型の戦闘では、諸君らとともにであれば多少の参加が可能だが、古代魚型には歯が立たない。
 最後に、戦場は研究所だが、主戦場は研究員たちの生活区域内である。室内に壊されて困るものはないので遠慮なく戦ってほしい。勿論、無意味な破壊活動はよすんだ」
 以上である! とベイゼルは話を締めくくる。それからぽんと手を振って、
「そうそう。研究員たちは些か人とは違う姿かたちではあるが、さほど重要ではない。命は命だ。故に、気にせず対処して欲しい」
 そう言って、話を締めくくった。


ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
状況は大体言った通り、純戦です。
割と軽い感じになります。
研究員がわんこなのは私の趣味であり特に深い理由はありません。
状況に難しいところはなく、
研究員と協力して戦ってもいいし、戦わなくてもいいし、救助しようとしてもいいし、しなくてもいいです。

戦闘は、敵はPOW、SPD、WIZを色々使って攻撃してきます。
シナリオ的にかっこいい描写になりそうな落選したりもするかもしれませんし、しないかもしれません。
難しいことを言ったり意地悪したりすることはありませんので、お好きにプレイングを書いてください。

※スケジュールについて
サポートも交えてかけるようなら積極的に書いていきたいと思います。
開いている限りはいつでも募集しております。
書ききれなくなった場合は、お返しする可能性はあります。
その場合、再送はありません。

以上になります。
それでは、良い一日を。
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第1章 集団戦 『スチームゴーレム』

POW   :    対猟兵捕獲ネット弾
【対象の回避行動を予測した後、両腕】から【ユーベルコードを封じる捕獲用ネット弾】を放ち、【対象をネットで捕獲する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    掘削用誘導弾ランチャー
レベル×5本の【先端が削岩用のドリルになっている、機械】属性の【、迷宮の壁や床を掘削して襲来する、誘導弾】を放つ。
WIZ   :    ニューバイパス
【迷宮を掘削して構築していた別通路を利用】【して、対象を包囲する様に別部隊が攻撃】【を行い、部隊間で連携して攻撃する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ワルター・ハント
※連携、アドリブ歓迎

何となく気になって来ちまったが
なるほどなァ、研究員が同族(?)だったからか
人形っぽいのもいるが、細けェことはいい
死なれたら寝覚めが悪ィからな、何とかしてやらァ

とはいえ、鉄の塊はオレの専門外なんだよなァ
研究員なら何か知ってるか?
「おい、そこのヤツ!この鉄のバケモンの心臓部はどこだ?」
情報を得たら
仲間も連れて退避するよう指示しとく

聴き出した心臓部の位置を『心眼』で見定めるぞ
その間、ネット弾に捕まったら
トマホークでぶった切って脱出

捕獲する側ならともかく
される側は趣味じゃねェんだよ!

コヨーテドリルで決めてやらァ
回転の勢いで狙った一体を穿つ!
周りの敵もついでにぶっ飛ばせたら僥倖だなァ


アステル・サダルスウド
※連携・アドリブ歓迎
どうぶつだいすき
必要なら[動物使い][動物と話す]を使うよ

アルダワ!わんこ研究員!と来たら…僕だね!
この場は任せてくれたまえ!
わんこ君達!僕が敵を引き付けている間に負傷した子の避難をお願いするよ
無事な子はできればちょっといて欲しい!
更に贅沢を言うなれば視界の隅にいてくれるとやる気が出ます!僕の!!
…猟兵君にももふもふさんがいると尚嬉しいな

さて、何故これだけ一気にしゃべり倒したかというと…暫く歌いっぱなしになるからさ!
[スナイパー][おびき寄せ]を活かし、【北天秤の裁き】とStaccato Rainの[貫通攻撃]で敵の気を引くよ
わんこ君達に祝歌による治癒効果が出ているといいな



 鈍い色の機体が蒸気を吐き出す。中央部、胴体のようになっている場所が徐に開いた。
「!」
 まるで杭のように吐き出されたのは小型のドリルだ。本来は削岩用であるはずのそれが、高速で回転しながら辺り一帯にまき散らされ……、
「……っらァ! 風穴開けてやらァ!」
 鋭い声とともに突入してきた身体が凄まじい回転とともに削岩機たちの前へと立ち塞がった。回転と同時に回る斧が、飛び散るそれらを的確に叩き落す。そしてそのまま竜巻のように、削岩機を吐き出した機械そのものを斧の一撃で粉砕した。
「きゅ!」
「研究員こむ? どこの部署の研究員こむ?」
「研究員じゃねェ! ……ったく、何となく気になって来ちまったが……」
 そうしてワルター・ハント(獣道・f38994)は全く体がぶれることもよろけることもなく、わんこたちを機械から守るようにして再び周囲に視線を巡らせる。
「なるほどなァ、研究員が同族(?)だったからか」
 ワルターの言葉に、わんこたちはピン! と耳をそばだてた。
「なるほど、友達わんか!」
「仲間仲間! 歓迎歓迎!」
 呟きに反応するように、わんこたちはわんわんと声をあげながらはしゃいでいる。こんな時にはしゃぐなよ。とワルターは言おうとして、やめた。やたらと目を輝かせたわんこたちが期待と尊敬の視線を向けていたからだ。……そう。ワルターはバルバ「バウワウ」の魔獣戦士……。コヨーテ獣人の獣人なのだ。
「人形っぽいのもいるが、細けェことはいい。死なれたら寝覚めが悪ィからな、何とかしてやらァ」
「はぅ!!!」
 面倒くさそうに言い切ったワルターの隣で、なぜか人間が倒れた。攻撃を喰らったか。ワルターは素早く視線を周囲に向ける。いや、そんなことはないはずだ。確かに数多くの蒸気機械に囲まれているが、そうやって喋っている間にもワルターは飛び込む削岩機を落とし、背後から迫りくる奴らを牽制しながら、目の前の機会をぶっ潰している。それは目の前にいる人間も同じはずだ。事実人間は……、
「はあ! 幸せ! もうこの空間この世界そのものが幸せだ! 運命よありがとう! ああ。このめくるめくもふもふのパラダイス、パラダイス……」
 事実人間は、ちょっと別の方向に思考が飛んでいるようだった。その名を、アステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)。ワルターの視線に気づいて満面の笑みを浮かべる。
「あっ。僕かい? 僕はただの動物好きさ!」
……ちょっと、きらきらした目でこっちを見るのはやめて欲しい。ワルターはほんのちょっぴり人間から距離をとった。
「アルダワ! わんこ研究員! と来たら……僕だね! 僕なのさ! 僕なのだよ! さあ、この場は任せてくれたまえ!」
「……鉄の塊はオレの専門外なんだよなァ。研究員なら何か知ってるか?」
 ドーン、と立ち上がって胸に手を置くアステルに、ワルターは表情を崩さないまま、極めて冷静に近くのぬいぐるみ系わんこに問いかけた。
「おい、そこのヤツ!この鉄のバケモンの心臓部はどこだ?」
 ワルターもアステルも知っているかは不明だが、古いデパートの屋上にあって子供が乗れるようなファンシーなおもちゃ系わんこが巨体を軽く揺らす。……と、
「はうっ。かわいさで倒れそう……。いやいやいや駄目だ。この子たちのために! 僕が! 立ち上がらないと!」
「そうだな。そこんとこよろしく頼む」
「勿論だとも! わんこ君達! 僕が敵を引き付けている間に負傷した子の避難をお願いするよ」
「あー……。ええとですね。心臓部おそらく胴体のあの削岩機が格納されているさらに奥辺りに、動力発生装置があるはずですワン。削岩機が出された後なら倒しやすいかと! それとあの形では、足を切断すれば動きが鈍りそうですワン!」
「よし、わかった。あのでかい腹に風穴開ければいいんだなァ。それじゃ、お前らは仲間を連れて退避しとけェ」
「そんな……! 無事な子はできればちょっといて欲しい! 更に贅沢を言うなれば視界の隅にいてくれるとやる気が出ます! 僕の!!」
 話は終わった、とばかりにひらひら手を振るワルターに、アステルが悲鳴のような声をあげた。それを遠ざけるなんてとんでもない! 両手を握りしめて主張するアステルを、ワルターが一瞥する。……一瞥しただけでふんにゃり笑顔になった。
「あ、あの、少し離れたところから、応援してるワンよ。危なくなったら逃げられるところワン。それでいいワン?」
 そのテンションに申し出たわんこたち。ぐっ。と親指立てるアステル。
「勿論ワンともさー!」
「……そうだな。頼んどく。ありがとうなァ」
 それで話はまとまった。慌てて後退していくわんこたちをワルターは横目で見やる。隣でアステルがふーっ。と何かを成し遂げたような顔で息をついた。
「さて、何故これだけ一気にしゃべり倒したかというと……」
「好きなんだろ。あァいうのが」
「それもそうだけど暫く歌いっぱなしになるからさ!」
 ワルターの面倒臭そうな呟きにきっちり返事をしつつ、アステルは弓矢にもなるハープを構える。今日は弓矢ではなく歌を歌う。
「女神の天秤よ 北の皿よ 我が友に祝福を 我が敵に終焉を」
 今までとは違う声音で、雰囲気は一転した。的を引き寄せ、そして機械の体ですら衝撃を与える哀歌が周囲に満ちる。同時に祝歌が周囲で負傷したわんこたちを癒していくが……、
「アホ面下げて寄ってくるかァ……。いいだろうわかりやすい!」
 ワルター的にはそちらの方が大事だ。お簿記寄せられる蒸気機械に向かって、ワルターは飛ぶ。
「捕獲する側ならともかく……! される側は趣味じゃねェんだよ!」
 放たれた捕獲ネットをトマホークで斬り裂く。アステルの歌で振動した機械の体。その装甲がはがれて中身の削岩機が零れだしている。……弱点は目の前だ。
「風穴開けてやらァ!」
 回転とともに体を穿つ一閃。同時にその回転を利用して周囲の機会たちも巻き込んで叩き伏せる。
「……!」
 歌うアステルが、やっぱりきらきらした目で見るので、ワルターは軽く片手を挙げた。
 吹き飛ばされた機械は蒸気を吐きながら伸びている。この程度なら……数は多いがさほど殲滅に苦労はしないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

飯綱・杏子(サポート)
あの|食材《オブリビオン》を狩ればいいっすね? 任せるっす。

とりあえず|ヒト型《ヒューマノイド》でなければ食うことを考えるっす。
宇宙船やリビングアーマーの類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるっす。
少なくともカレー味とか甘露煮にすれば食えない肉はないっす。
【毒耐性】があるので毒は利かないっすよ。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。

ヒト型なら性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ。白子も好きっす。

多少の怪我は厭わず積極的に飲み食いします。他の猟兵に迷惑をかける絡み酒はしないっす。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する絡み酒はたぶんしないっす。

よろしくおねがいするっす!


蒼月・暦(サポート)
 デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。

 普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 飯綱・杏子(飯テロリスト・f32261)が説明を受けた研究員居住区に足を踏み入れた時、すでに敵は暴れまわっているところであった。鋼でできた若干レトロな形状の機械が、蒸気をまき散らしながら暴れている。
「あの食材を狩ればいいっすね? 任せるっす」
 しかしながら杏子も慣れたものだ。ちなみに食材は《オブリビオン》と読む。そうしてちらりと周囲に視線をやると、巻き添えを喰らった研究員たちが伸びていた。研究員は総じて、犬型、もしくは犬のぬいぐるみ型、それ以外は犬人形型であると聞いてはいたが、彼らは犬型ではあるが人語を理解し人と同じように思考するので、杏子の捕食対象ではない。
「うーん。あのぬいぐるみの中身はちょっと気になるけど……治療が必要なほどの怪我じゃないようだし、やめておいた方がいいわよね」
 同じく戦場に案内された蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)が、医療用ノコギリを構えながら軽くぼやいた。彼女的には食材というより、闇医者としての治療方法という意味合いで興味を持ったのであるが……、まあ、彼らは衝撃で伸びているだけなので、大丈夫だろう。
 此度二人が訪れた戦場は、アルダワ魔法学園と呼ばれる世界であった。そこで研究所の研究員が災魔に襲撃する事件が発生しており、その解決のために呼ばれたのである。
 まずは、研究所に押し寄せるこの蒸気機械をせん滅するのが目的だ。蒸気機械は数多く押し寄せていて、一体一体はさほど強くはないが数が多いのである。
「っし、それじゃあいっちょ、可食部探してやってみるっすか!」
 敵は見るからに蒸気を吐き出す機械であるが、杏子は諦めない。否。それでこそやる気が上がると不敵に笑う。せいや、と手にするのは巨大なキッチン鋏だ。
「まずはその腹見せるっすよ! 少なくともカレー味とか甘露煮にすれば食えない肉はないっす!」
 腹が開けば食べられるものもあるはず! 杏子が真っ先に駆け込んでいく。蒸気をまき散らす機会は、胴体が筒状になっていた。そこが開くはず。杏子はそう思ったのだが……、
「危ない……の!」
 杏子の刃が腹をえぐるその一瞬前、蒸気の敵の腹が開いた。内部から一斉に何かが回転しながら迫る。即座に、暦が反応して医療用ノコギリで叩き伏せた。
「ドリル……? 虫歯の治療にも使えない大きさなの」
「いやいや。自分自身の調理法を教えてくれてるのかもしれないっすよ!」
 飛び出してきたのは回転ドリルであった。回転しながら襲い来る
「敵の弱点はそのドリルを吐き出した奥こむ! そこに動力炉があるはずこむ!」
 わんこ研究員が二人の行動を見て声をあげる。
「了解したの! ……動力炉って、どんなものか……見てみたいの!」
「そうっすね。開けてみるっすよ!」
 まずは追尾するようにグリント高度を変えるドリルたちを二人して叩き落した。そう思った瞬間、新手の蒸気機械が二人へと立ち塞がる。
「種は割れてるっすよ!」
 けれども杏子は気にも留めない。巨大で無骨な先割れスプーンをくるりと操って、新手の胴体へと差し込んだ。丁度胴体が箱の蓋のようになっていて、そこにドリルが詰まっているのだが、
「せい!」
「はいなのよ!」
 杏子が蓋をこじ開ける。しかしドリルが射出される前に、暦の医療用ノコギリが煌めいた。それは機械たちの脚部に一閃される。鋼で見るからにふとましい胴体であるが、脚部は異様に細かった。足をえぐられ、バランスを崩してしまえば、ドリルの射出がしづらくなる。その前に、
「どりゃー!」
 杏子は叫ぶ。いつの間にか頭に角が生えていた。やる気の表れである。フォークが腹の奥を突き刺す。ぶぶぶぶぶ、と悲鳴のような声を蒸気機械が上げた。仲間を助けようと、先ほどドリルを射出した個体が迫ってくる。そこに、
「さぁ」
 一瞬で暦も踏み込んでいた。すでに弱点はがら空きだ。一瞬で敵の間合いに踏み込んだ暦は、鮮血の色をしたオーラを纏い、
「これでお終いにしてあげるのよ!」
 医療用ノコギリで敵の腹の奥を斬り裂いた。素早い動きは都合四回。瞬く間に放たれたそれに、声も上げることなく機械は活動を停止した。
「さあ、おかわりいくよ!」
「どれだけいようと、大丈夫なの!」
 二人の様子に、敵が殺到する。けれども怯むことなく二人は前を見据えた。こんなの、怖くもなんともない、と胸を張って……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジュジュ・ブランロジエ
コノさん(f03130と
『』は裏声でメボンゴの台詞

お人形わんこもぬいわんこも生き物わんこも皆可愛い!
『わんこの可愛さに貴賤なし!…メボンゴも可愛いよね?』
褒められると『わーい!メボンゴ張り切っちゃうよー!』

わんこさん達も協力してね
でも無理はしないで
UCで呼んだ猫達に守らせつつ応戦
にゃんこもいっぱいで可愛いパラダイス!
こんな可愛い世界に無粋なゴーレムはいらないよね
あ、私とコノさんももちろん可愛いカテゴリーに入るよ
でもコノさんは綺麗って言ったほうが合うかな
『コノちゃは綺麗可愛い!』

弓矢やナイフで攻撃
メボンゴは手から衝撃波
敵の攻撃はオーラ防御で防ぐ

美味しそうになったね!
『いただきますしちゃう〜?』


コノハ・ライゼ
ジュジュちゃん/f01079と

あらあ、わんわんパラダイス
……っと、分かってるケドつい和んじゃうわネ
そうそ、可愛さに貴賎なし!
ふふ、心配ご無用
もちろん今日も最高に可愛くってよ

わんちゃん達に協力して貰えるならありがたいわ
今日の仕込みはチョット時間が掛かるのよ、とゴーレムに対し『貌飾』発動
あらあら可愛いコが増えてわんにゃんパラダイスになったわねぇ
一緒に遊んでいたいケド……そうね
ここら辺で無粋なコ達には可愛~くなってもらいましょ
さ、みーんな可愛らしいスイーツにな~ぁれ

まあ、アタシも可愛いに入れてくれるワケ?
じゃあもーっと張り切らなくちゃ
美味しそうなのどんどん増やして、さくっとナイフで切り分けちゃうわよ



『行くわんわんよー!』
「わんわんよー!」
「わんわんきゅよー!」
 兎の人形メボンゴがジュジュ・ブランロジエ(白薔薇の人形遣い・f01079)の頭の上から一声かけると、周囲のわんこたちが一斉に合唱した。
『よーし。メボンゴについてくるわん!』
「きゅっきゅきゅ~!! 了解ボス!」
 わんこたちは真剣そのものでキラキラした目をメボンゴに向けている。ふう、とメボンゴの繰り手、ジュジュは一息。徐にため息をついた。
「お人形わんこもぬいわんこも生き物わんこも皆可愛い……!」
「あらあ、わんわんパラダイス……」
 まるで重大案件のように言われた言葉に、思わずコノハ・ライゼ(空々・f03130)も心から、ため息のような簡単のような声が漏れた。確かに、普通のわんこもかわいければぬいぐるみにはぬいぐるみの可愛さもある。毛のない鋼のわんこだって、不思議とその目にはきらきらした輝きが宿っていて、確かに生きていることは感じさせられた。後凄くどの子も人懐っこい。
「……っと、分かってるケドつい和んじゃうわネ」
 撫でたい。思わずコノハはそう思いながらも、目の前まで蒸気機械が迫っていることは感じていた。そんなことを言ってる場合じゃないワネ。なんて言いかけて。……言いかけて。
『わんこの可愛さに貴賤なし! ……メボンゴも可愛いよね?』
 若干案じるようなメボンゴの言葉に、思わずピン! と人差し指を立てた。
「そうそ、可愛さに貴賎なし! ……ふふ、心配ご無用。もちろん今日も最高に可愛くってよ」
「ボス可愛いきゅ!」
「ぼすかわいいわん!」
「耳齧って振り回したいこむ!」
『わーい! メボンゴ張り切っちゃうよー! ……って、齧っちゃダメ―!』
 ばっ。と両耳に手を宛てるメボンゴの頭を、その手の上から優しくなでながら、コノハは敵へと向き直る。
「あの子たちも……可愛くすれば可愛くなるかもしれないけどねェ」
 すでに暴れ散らかし始めている機械類は、ぶんぶん腕を振り回しながら、胴体部の蓋を開いてドリルを発射投擲したりとやりたい放題である。すでに交戦中の猟兵から、ドリルを吐き出した後の腹の奥が弱点らしいという話は聞いているが、それにこだわらずとも倒せはする、という話も聞いていた。
「わんこさん達も協力してね。でも無理はしないで」
『行くぞみんなー!』
「おうわんよー!」
 ジュジュの声に合わせて、メボンゴとゆかいなわんこたちが鬨の声をあげる。
「じゃあ……出番だよ! みんなも、メボンゴたちに続いてね!」
 走って行くわんこたちと、いつの間にかそのわんこの背に乗っているメボンゴたちを追いかけるように、鼓笛隊の衣装を着た猫人形をジュジュは召喚した。今にも素敵な音楽をかき鳴らしそうなネコさんたちが、にゃにゃにゃ! と後を追いかける。
「にゃんこもいっぱいで可愛いパラダイス!」
『乗り込め―!』
「きゅきゅきゅ~ん」
 猫とわんことメボンゴの突撃!
『ドリル来るわん! 総員後退~!』
「了解ボス!」
 何故か一緒にわんわん言ってるメボンゴが掛け声をかけて、射出されたドリルをよけている。
「ボス! 右から新手こむ!」
『にゃんこ部隊右手に突入~!』
「あらあら可愛いコが増えてわんにゃんパラダイスになったわねぇ」
 その、なんだか子供用映画みたいなファンシーな様相に、コノハは思わず目元を緩ませた。……いけない。和んでいる場合ではない。
「コノさん、大丈夫ですか?」
 メボンゴを操りながら、ジュジュは問いかける。コノハも小さく頷いた。ここは戦場だ。二人して表情を引き締めよう……として。ほんの少し緩んでしまうのは、やっぱりちょっと、許してほしい。
「ええ。ジュジュちゃん達はモチロン、わんちゃん達に協力して貰えるならありがたいわ」
 今日の仕込みはチョット時間が掛かるのよ。
 コノハの小さな呟きに、ジュジュは「楽しみにしてる!」と嬉しそうな顔をする。なんだかその顔が周囲のわんこたちのきらきらした瞳に似ている気がして、ちょっと楽しい。そんなことを思いながらも、コノハは周囲の蒸気機械たちに向き直る。
「みんなでこんな風に一緒に遊んでいたいケド……そうね。美味しくしてアゲル」
 不意に、武骨な……ある意味そのレトロで丸みのあるフォルムは可愛いと言えなくもない……蒸気機械たちに、火の手が上がった。煙も、熱もない、炎。蒸気ではない。
「ここら辺で無粋なコ達には可愛~くなってもらいましょ」
 変化はゆっくり出会った。徐々に機械の内部化が変わり始める。攻撃ドリルがいつの間にか生クリームに。吐き出す蒸気が綿あめに……、
「さ、みーんな可愛らしいスイーツにな~ぁれ」
 パチンとコノハが指を鳴らせばあら不思議。美味しいお菓子の出来上がりだ。
『お食事た~いむ!!』
 メボンゴの宣言に、周囲のわんにゃん達も歓声を上げた。気づけばいつの間にか、周囲の機会たちがスイーツに変化していったのだからわんことにゃんこのテンションは相当なものである。
『あ! チョコレートはメボンゴ独占! みんな禁止わん!』
「きゅー! 横暴きゅ!」
「ボスの辞任を要求するわん!」
『なんと! チョコレートは危険で冒涜で危険な食べ物だからメボンゴ以外禁止―!』
 冗談めかしてはしゃぐわんにゃんメボンゴたちに、ジュジュは嬉しそうにうんうん、と見守るようにうなずく。
「ふふっ。こんな可愛い世界に無粋なゴーレムはいらないよね」
 どこか楽しげに胸を張るジュジュ。……それからふと、
「あ、私とコノさんももちろん可愛いカテゴリーに入るよ! でもコノさんは綺麗って言ったほうが合うかな!」
 はっ! としたようにコノハの方を向いてそう主張するので、思わずコノハは笑った。
「まあ、アタシも可愛いに入れてくれるワケ?」
『コノちゃは綺麗可愛い!』
 仲間! と両手を広げるメボンゴに、コノハはおかしくなる。喉の奥で思わず、笑った後。
「じゃあもーっと張り切らなくちゃ」
 どんどんお菓子を増やそう。チョコレートは控えめに。飛び切り甘くておいしいお菓子をいっぱい作ってみようじゃないか!
「さくっとナイフで切り分けちゃうわよ」
「わーい! そんなこと言われたら、なんだって美味しそうに見えちゃう!」
『いただきますしちゃう〜?』
 コノハの言葉にわくわくするジュジュとメボンゴ。そしてその後ろできらきらした目で見つめるわんこたち。
 これは、働き甲斐があるわね、なんて。心の中思うコノハは、どこか楽しそうであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
ご無事ですか!
もふもふわんこさん…な研究員さん達の状況を確認
ふっとばされて負傷してる方優先しつつ
避難させたい

負傷してない方がいたら
無理ない範囲で、避難する方の退路確保とかご協力お願いできますか?
下手に指揮をするよりは、前へはこちらが出ますので
指揮官さんの判断で応変にと

どう見てもかたい相手
攻撃仕掛けるに、装甲へちくちくは効かなそうだな
相手の攻撃の矛先が、研究員さん達に向かぬよう
薙ぎ払いを部位の接続箇所狙い仕掛け気を引き
瓜江と共に、残像残すフェイント使い狙いをぶらしつつ剛腕を避け、なるべく至近に

攻撃動作を注視、機を見切り
誘導弾放たれる時に、糸車使い受け
放ってきたたごーれむ達へ向けお返しをできたら



「ご無事です……わ!」
「きゅー!!」
 冴島・類(公孫樹・f13398)が戦場に駆け付けた時、真っ白な毛の塊が目の前に吹っ飛んできた。思わずキャッチ。……するには、ちょっと、重かった。おっきなレトリバーを抱えるように抱きしめた後、類はそっとわんこを地面におろす。
「間一髪でしたね。間に合ってよかった」
「きゅ。ありがとうきゅ……」
 今のわんこは類が止めたのでさほどの傷はないだろうが、同じように弾き飛ばされたのであろう。転がっているわんこが周囲には数人見られる。
「大丈夫ですか。怪我は」
「わん。お腹が減って力が出ないわん……」
「それは、ほんの少し我慢して」
 近くに伏せる小型のポメラニアン型ぬいぐるみがしっぽを揺らしている。どうやら体を打ってはいるが、命に別状はないようだ。類はほっとしながらも、てきぱきと周囲の様子を確認した。
「ここは?」
「ちょっと関節曲がったの。反対側に曲げてくれたら大丈夫なの」
「うぅ、毛が焦げちゃったもん……」
「それは……辛かったよね。でも、短い毛も素敵だと思いますよ」
 鋼のわんこの足を直し、焦げたぬいぐるみわんこを慰め、もふもふたちを助け起こし、
「それじゃあ、みんなで後ろの方へ……ご協力お願いできますか?」
「わん。大丈夫わん。その子はわんの背中に括り付けて欲しいわん」
 動けないわんこたちの対処をすると、類は正面の敵へと向き直る。
「負傷していない方は、無理ない範囲で、避難する方の退路確保とかご協力お願いできますか?」
「きゅ! それじゃあ僕に任せるきゅきゅ!」
「はい、お願いします」
 これで、わんこたちへの対処は大丈夫であろう。じわじわ迫る蒸気機械に目をやりながら、類は小さく頷く。
「どう見てもかたい相手だな……」
 外観はなかなかレトロで、見ようによっては可愛いと言えないこともない。
 また、すでに戦闘している猟兵たちの戦いを横目で見て、その正面、胴体は蓋のようになっていて、そこが開いてそこからドリルが投擲武器として飛び出してくるのはわかっている。その奥に弱点らしきものがあることも。……だが、
「……この位置では」
 類の背後には避難中のわんこたちがいる。避けることは可能だが、そうすると背後が些か不安であった。また、相手はあの装甲だ。ちまちまとした攻撃は効かないだろう。
 それだけ、簡単に類は算段を付ける。……つければ行動は早かった。
 絡繰人形の瓜江と共に、短刀で胴体の蓋を狙いに行くようなそぶりを見て突っ込む。
「!」
 ぎぃぃぃぃ、と錆びた機械音のような声とともに、機械もまた両腕を回転させて類の攻撃を受けて立とうと振り回した。蒸気が放たれ、蓋が開くとともにドリルが射出される。
「……今」
 その一瞬を、類は見逃さなかった。蓋が開いた瞬間、
「廻り、お還り」
 まるで無防備に、類は機械の攻撃を受けた……ように見えた。
 けれどもその一瞬、瓜江が動く。絡繰り人形は即座にそれを絡めとり、軌道を逸らせた。そのまま、それをそっくり、蒸気機械へと方向転換させる。
「!」
 ギギギ、という悲鳴のような声。そっくりそのまま返された攻撃を受けて、蒸気機械は吹き飛ばされて動かなくなる。
「さて、まずは……」
 一体。類は呟いて。
「頑張りましょう。研究員さん達の為にも」
 そうして再び、敵の群れへと向き直り走り出した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
犬がたくさんいる珍スポットと聞いて来たよ
本当に色々集まっているな
犬のミレナリィドールもいるんだ
可愛いね
僕の鴉達とも仲良くしてくれる?

誘導弾は来たら逃げ足を活かしてかわし
鉈で解体してしまおう
最近狩る方に回っているから忘れがちだけど
僕は元々ビーストマスターだったんだ
動物との連携攻撃なら慣れたものだよ

まあすこしこのオカリナの音色に
耐えてもらわないといけないんだけど
UCを発動

笛の音が止めるのは敵の動きだけだけど
きみたちがすごく頑張ってくれない限り
僕は演奏を続けることになるぞ…
やめてほしければ皆で猛攻を仕掛けるんだ
それ以外の理由で頑張ってくれてもいいけど
頑張れ

やっぱりビーストマスター向いてなかったのかも



 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)はうんうん、とどこか楽しげであった。まさにこうでなくては。
「いでよ、フライングローリングパピヨンアタック!」
「高級ぬいぐるみの底意地を見せてやれ!!」
 戦場は大混乱である。右へ左へフライングするわんこと、わんこ型のぬいぐるみと、わんこ型の鋼の機械と。古今東西わんこであればなんでもいいというかの如く集められたわんこたちが右へ左へ噛んだり蹴飛ばしたり体当たりしたりして大はしゃぎしているのだ。
「うーん。犬がたくさんいる珍スポットと聞いて来たけど」
 本当に色々集まっているなあ。と章は暢気に声をあげる。
「犬のミレナリィドールもいるんだ……。可愛いね」
 人間のことに全く興味の持てない章であるが、動物は嫌いではない。ちょうど五人(?)がかりで一帯の蒸気機械を倒してかみ砕いていたわんこたちの近くに立ち、章はしゃがみこむ。
「僕の鴉達とも仲良くしてくれる?」
 視線を合わせ、微笑む。
 くぇ~。と鳴いたか否か。章の相棒、鴉くんもまた和やか雰囲気を醸し出してわんこたちを見ていた。わんこたちはちょっと、嫌な予感がする、みたいな顔をしていた。
「ももも、助けてくれる人はみんな仲間。仲良くするもも」
「うむ。その善意に感謝を」
 陶器のダルメシアンとシャープな鋼のシェパードが、顔を見合わせてうんうん、と頷くので、章もうんうん、と頷く。
「じゃ、お近づきのしるしに……」
 こんなこともできます。とでもいうように、章はさっと振り返った。
「!」
 削岩機が飛んでくる。ドリルを飛ばすなんてなかなか面白いことをしてくるじゃないか。なんて章は心の中でちょっと笑った。ドラム缶みたいな胴体は蓋になっていたらしく、かぱっと開いてそこからドリルが飛んできたのだ。やっぱり、人間じゃない方が何をしてくるかわからなくて多分楽しい。
 そんなことを思いながらも、軽くステップを踏むようにかわして手にした鴉の羽を模した解体用の黒い鉈でドリルを切り伏せる。数度腕を振るうと溶けかけたバターみたいに綺麗にドリルが切れてくれた。それから視線を鴉たちの方にやって、
「ほら」
 行きなよ。という視線を感じたのか、鴉が突っ込む。やや遅れてわんこたちもその後を追った。
「僕は元々ビーストマスターだったんだ。動物との連携攻撃なら慣れたものだよ」
 そこでなぜか一人胸を張る章。ダルメシアンがポツリと、「犬使いが荒そうな気がするもも」と呟いていたのは聞こえないふりをした。
「ほらだってわんこって、仕事するのが好きって側面があるでしょう? だからね、これはギブ&テイクなんだ。勿論、僕だって働くよ」
 これで終わりではない、とアピールするかのように章が取り出したのはオカリナだった。こういう時はもったいつけずに拭くのがいい。章はオカリナに口をつける。一瞬、戦場を支配したのは、なんとも表現に困る音楽であった。
「……」
「……」
 わんこたちが一斉に鴉くんを見た。鴉くんは視線を逸らした。
 ついでに敵の動きも止まった。その虚無の笛を聞いた機械たちは、どこかに致命的なバグを起こしたのか急に動きを止めてしまう。それは彼らに相対していた機械たちだけではない。周囲にその虚無の音が響き渡り、バタバタと機械たちは謎の故障を起こして動きを止める。
「ほらほら、今のうちに頑張って。きみたちがすごく頑張ってくれない限り、僕は演奏を続けることになるぞ……」
 すでに鴉くんたちは動いていた。慣れたものだ。一斉に数を頼みに蒸気機械に襲い掛かり、一体、また一体と仕留めていく。章の言葉を聞いて慌てたのはわんこたちだ。
「やめてほしければ皆で猛攻を仕掛けるんだ」
「これは……大変なことになり申した!!」
 シェパードの緊張した声に、はっ、と彼等もまた顔を見合わせて走り出す。大丈夫だ。相手は動かない。数で圧せば時間はかかっても倒しきることはできるだろう。……そう、時間はかかるが!
「……やっぱりビーストマスター向いてなかったのかも」
 必死な顔をして蒸気機械に襲い掛かるわんこたちを見て、章はぽつりとつぶやいた。もちろんそうしている間にも、オカリナは止めなかった。
「むしろ今気づいたのかと聞きたいもも」
「いや、実は結構前から、気付いてたかもしれない」
 なんて、虚無の音色と共に目を細める章に、鴉くんたちがどこか遠い目をした、気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
ふわもこわんこらんど…いや何となく思い浮かんだだけなんだけど。
そんな場所がかちかちなゴーレムに廃墟にされるのは気分が悪い。
(きっと)真面目な研究員達の為にも頑張らないとね。

転移したら周囲を観察、特にピンチな研究員を護衛するよう立ち回る。
分かるなら指揮官っぽい方を優先的に。倒れると収集付かなくなりそうだし。
騎士として助けに来たよ。私が惹きつけるからフォローお願いねと要請しつつ、ゴーレム達に切り込む。
攻撃を見切り槍で受け流したり回避しつつ薔薇の香気を撒きUC発動。
別部隊がいても周りの空間ごと固めちゃえば連携し辛いよね。
鈍ったゴーレムの頭を槍で串刺しにして機能停止させちゃおう。

※アドリブ絡み等お任せ



「わんわんわんわわん!!」
「きゅんきゅんきゅんきゅんきゅん!」
事態は混迷を極めていた。
右へ左へ動き回る蒸気ロボットと、それに追いかけられるわんこたち。クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)の視線が若干、遠くなった。
「ふわもこわんこらんど……いや何となく思い浮かんだだけなんだけど」
何だろうこれ。一応まじめな研究所とまじめな研究員たちがいるはずだが、
「こむこむびーむ!」
「わわわんぱーんち!」
 どうにもコミカル。クーナは己の手をじっと見る。じっと見ながら一つ頷く。
「まあ、こんな場所がかちかちなゴーレムに廃墟にされるのは気分が悪い」
頑張ろう。クーナは小さくつぶやいて、戦場へと足を向けたのであった。

「やあちょっと失礼するよ。この中で指揮官のような方はいるかい?」
 そういうわけでクーナは戦場を走り抜けながら、手近なわんこにそう尋ねた。数人がかりで蒸気機械の敵にかみつきながらも、わんこたちが声をあげる。
「こむ? みんなのまとめ役ならあの子だこむ! あの子が一番賢いこむ!」
 柴犬わんこの視線の先では、レトリバーらしきもふもふのぬいぐるみが、一生懸命叫んでいた。後退しながら、しつこく追いかけてくる敵をみんなで撃破しているところである。
 そこに新手が現れる。新手はレトリバーぬいぐるみの前に立ち、両腕からネットを射出する。
「ぎゅぎゅぎゅ……! 動けな……」
「そうはいかないよ!」
 もがもがするわんこを見たと同時に、クーナは動いていた。白雪と白百合の銀槍を翻し、瞬く間にそのネットを斬り裂く。そして同時に、ネットを射出した蒸気機械を巻き込むように叩き伏せた。
「騎士として助けに来たよ。私が惹きつけるからフォローお願いね」
 くるりと手の中で槍をもてあそびながら、クーナは言う。君が倒れると収集つかなくなりそうだしね、とは胸の内である。
「きゅ、ありがとうきゅ!」
「いいから、後ろに下がって!」
 はーっ。と一息つきそうなわんこにクーナはそう声をかけて前に出る。敵は一帯ではない。倒れた敵を乗り越えて、また新手が顔を出す。
 胴体部がどうやら箱になっているようで、蓋のようなものがついていてそこが開いた。同時に出てくるドリルが、回転しながら一気にクーナに投げつけられる。
「実体のないものを斬るような神憑りな技はできないからね。まずは触れるようにしないと」
 それを紙一重で避け乍ら、クーナは手に不滅の薔薇を掲げた。そこから漏れだすその香りは、相手の動きを止める力があった。
「……せいっ!」
 動きを止めれば、数など関係ない。後は一体ずつ、頭をどついて止めていく。
「よーし、この調子で……!」
 守ろうパラダイス。どこか一仕事したような空気を滲ませながらも、クーナは一つ、うなずく。
 もふもふ空間を守るために、クーナは槍を休むことなく振り回すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「天元突破して至高のお猫さまを除けば、可愛くて美味しい鳥と犬は大好きです。危機とあれば是非助けに行きませんと」
ぱたぱた参加

「まあ、敵までレトロ可愛い感じです…やっている事は、可愛くありませんけれど」
まじまじ眺め

「犬さん達の意気を高めるためにも、美味しい食材になって下さいまし!」
UC「食欲の権化」敵のネット弾も敵も桜鋼扇でバシバシ叩いて食材化
敵の攻撃は第六感や見切りで躱すが、引っ掛かっても其れ自体を食材化

「皆様を笑顔にするには、やはりご飯が大事だと思うのです。皆様のもふもふ可愛いを守る為にも、さあどんどん食材になって下さいまし」
目についた周囲の敵が全て食材化する迄笑顔でばしばし叩き続ける


サラ・ノースフィールド
ええと。
なんだか良く解らない光景ですが、要救助者がいるとか?
とりあえずどっか隅っこの方で治療やら治療やら治療やらしましょう。
すり傷くらいはあるようですし、生体の人には即席の魔法薬を、
そうでない人にはUCを……

……「人」? まあ、人でいいですね見た目がどうでも。

あ、邪魔しないでくださいゴーレムの人。おいたはダメです。
怒りますよ――他の人が。と言ってそそくさと離れます。
ロッド(指揮棒型)から魔力飛ばしたって良いんですが、
面倒くさ(もとい)適材適所です。

あんまり邪魔なら自動箒の体当たりミサイル飛ばします。
私自身は戦いませんよ面倒くさ(もとい)適材適所です。
こちらはこちらで忙しいんですそれなりに。



「……ええと」
 サラ・ノースフィールド(図書館のサラ・f39225)はほんの少し困ったように、両手を組んだ。
「……なんだか良く解らない光景ですが、要救助者がいるとか?」
 戦場はすでに修羅場と化していた。右も左もわんわんきゃんきゃん。蒸気機械に負けじと声を張り上げて戦うわんこたち。これがもううるさい。そして目まぐるしい。
「いくわん! 必殺、かみ砕きー!」
「ううう。この体美味しくないわん……」
 わんこたちが蒸気を発する機会をかみ砕いたと思ったら、
「!」
 きしゃー! と声をあげて腹からドリルを発射する蒸気機械。なんだこれ。
「……とりあえずどっか隅っこの方で治療やら治療やら治療やらしましょう」
 わんこたちは機械なのか。機械でないのか。敵の方は機械だけど。とりあえずそんな混乱をしながらも、サラは周囲をきょろきょろ見回す……と、
「天元突破して至高のお猫さまを除けば、可愛くて美味しい鳥と犬は大好きです。危機とあれば是非助けに行きませんと」
 何やら派手で華やかなメイドさん、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が目に入った。彼女はぐっと手を握りしめて、わんこvs謎の機械の戦いにくぎ付けである。
「まあ、敵までレトロ可愛い感じです。……やっている事は、可愛くありませんけれど」
 見ている分にしてはめちゃ和む。しかし機械の胴体から射出されたドリルがわんこたちに降り注げば、そうもいってもいられなくなった。
「そこのひと! わんこの救助は任せて宜しいですか!」
 高らかに宣言する桜花に、サラは小さく頷く。
「はい。こちらは任せてください」
 ドリルの直撃を受けてヘタレているわんこを抱き上げながら、サラは言った。邪魔にならないよう、蒸気機械から離れて端の方へと向かっていく。
 そうして手当を始めれば、わんこたちの方から傷ついたわんこたちを運んでくるようになった。サラはその場で傷に合わせながら魔法薬を使う。打ち身に、切り傷に、蒸気による火傷に、傷に合わせて調合していく。硬い体にかみついたためにかけた陶器のわんこには……、
「慈悲の光よ、この者を癒せ……(……「人」? まあ、人でいいですね見た目がどうでも)」
 祈りをささげて回復する。陶器製のダルメシアンわんこの耳が欠けたのはちょっと困ったけれども、幸いにもそれで元に戻ってくれた。
「ありがともも! だいすきもも!」
「どういたしまして……わっ」
 なめられた。舌が冷たい。そんなことを思っていると、わんこたちに釣られたのか蒸気機械もやってくる。両腕をぶんぶん振り回して、ネットを広げようとする敵に、
「あ、邪魔しないでくださいゴーレムの人。おいたはダメです。怒りますよ――他の人が」
 サラがそう言った瞬間、ばしん! とネットを射出する手ごと、何かが大きく蒸気機械を叩いた。
「そういうわけです! それ以上の無体は許せません!」
 桜花であった。大きな声を張り上げて桜花が宣言すると同時に、ささっ。とサラは後退する。適材適所だ。面倒くさいなんてことは絶対にない。適材適所だ。端っこの方に言って治療を再開しよう。忙しいのだ。
「助かります。よろしくお願いします~」
 ササっと引く。その様子に桜花がちょっと楽しげに笑った気がした。……面倒臭くなんて思ってないですよ。とサラは心の中で繰り返すけれども、それは兎も角桜花がさらに変わって敵の前に立つ。
「こむ! なかまをきずつけるやつらはゆるさないこむ!」
「そうですね~」
 きりりとした顔をして立ちはだかった桜花であったが、左右に立つわんこたちが応援のように吠えたのでちょっと表情を緩ませた。
 自分自身、それに気づいて咳払いをする。向こうもやる気のようで、がたがた体を揺らせる蒸気機械。わんこたちが飛び掛かるより早く、トン、と桜花は地を蹴った。
「うるさいことは言わせません。犬さん達の意気を高めるためにも、美味しい食材になって下さいまし!」
 ばしん!
 桜の花びらの刻印がある鋼を連ねた鉄扇が待った。優雅に舞うそれは、射出されたドリルを叩き落とす。……その瞬間!
「!」
「きゅぅ~ん」
 思わずわんこたちから悲鳴が上がる。現われたのは大量の煮干しだ!
「まだまだ!」
 ばしんばしんばしん!
 投擲されたネットを叩く! たたいた瞬間にそれはドッグフードになる!
「つぎは?」
「次は次は?」
 「食欲の権化」。叩いたものを食材とする桜花の力である。ばしばしぺちん。本体を叩けばそれが一瞬でお菓子に変わった。
「ふっ。どんなものですか。皆様を笑顔にするには、やはりご飯が大事だと思うのです。皆様のもふもふ可愛いを守る為にも、さあどんどん食材になって下さいまし」
 笑顔。むっちゃ笑顔。清々しい表情で桜花が言い切ると、「お姉ちゃん大好き~!」とわんこたちから歓声が上がる。桜花は、ご満悦だ!
「ほらほら。これ、お姉ちゃんにもあげるもも!」
「あ、ありがとう……ございます」
 はしゃいで出ていったわんこたちが、サラの元へもお裾分けを持ってくる。美味しそうな焼き芋だ。「この魔法、面白いですね……」と呟くと、意味が分かっているのかいないのか。嬉しそうに陶器のわんこはワンと鳴いた。
「ふふーん。目につく限り美味しくしてしまいますよ!」
 ほのぼの空間に変えちゃいます! 桜花の宣言に、蒸気機械は震えあがった……かも、知れなかった。どのみち、殲滅にさほど時間はかからないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
研究員達の安全を第一に考える
オブリビオンを倒したとしても、研究員達に生き延びて貰わなければこの場を救う意味がない
彼らに向かうゴーレムへの攻撃を優先
危険が迫れば救助し、敵の攻撃範囲から離脱させる

攻撃時は敵が多く集まる場所へ向かいユーベルコードを使用
範囲内の敵をまとめて攻撃する
動力やランチャー部分、ネット弾を放つ両腕等
敵の行動を妨害出来そうな部位を狙い、手早く相手の無力化を図る

研究員の協力も得られると助かる
魔法等で遠距離攻撃が出来る者が居れば後方からの援護を頼みたい
こちらを狙うネット弾を撃ち落として貰えるなら、その分ゴーレムへの攻撃に専念出来そうだ

勿論、無理のない範囲で構わない
研究員に敵が向かいそうになれば間に割り込み、集中的に攻撃して足止めを試みる

人とは違う姿かたちという点については、こちらも似たようなものだから気にはならない
…ただ、ぬいぐるみのようだったり愛嬌のある犬の姿の彼らを見ると、どうにも守らなければならない気になってしまう
彼らが迷宮探索を行う立派な研究員だと理解してはいるのだがな



 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は頭の中で算段を立てた。
 まずは何を大事にすべきか。勿論、研究員たちだ。
 オブリビオンを倒したとしても、研究員達に生き延びて貰わなければこの場を救う意味がない。
 シキは戦いたいから戦うのではない。勿論、仕事となれば何であれ戦うし、守るべきものがいなくとも戦う。けれど、守れるのであれば守れるほうがいいに決まっているのだ。
 だから……、
「協力を頼めるか」
「勿論こむ。ビームなら任せるこむ!」
「アタシたちのからくりの凄さを見せてあげるよ!」
 あくまで対等な相手として要請したシキに、わんこたちは大きく頷く。見たまんまわんこもあれば、絡繰り人形のようなわんこもいる。思わず表情が緩むのを、シキは堪えた。……いけない。
「(……彼らが迷宮探索を行う立派な研究員だと理解してはいるのだがな)」
 どうしても、守らなければ。戦いなど気にせず逃げて欲しいと言いたくなる。そんな気持ちを完璧な無表情で押し隠しながら、シキは愛用のハンドガン、シロガネを握りこんだ。
「では危険が迫れば遠慮なく大挙してくれ。動けない場合は声をあげてくれたら離脱させる」
「了解!」
 わんこたちのいい返事を聞きながらも、シキは隠れていた物陰から飛び出し銃を構えた。
 同時に後方から魔法が放たれる。ビームや絡繰りによる矢。普通の(?)炎の弾など、その攻撃は色どり様々だが、シキが前もって言った通り、敵を引き付けたり、集めたり、はたまた前で戦っているわんこたちの援護をしたりして、敵を多く集める方向で動いてくれていた。
「……頼もしいな」
「頑張れにいちゃーん!!」
 さすがに魔法が的確だ……というより、後ろからの声援が熱い。明るい。少し気恥しいと思わなくもないが、なんとなくわんこたちの声援は……これを、かわいい、と言えばいいのだろうか。人とは違う姿かたちという点については、こちらも似たようなものだから気にはならないけれど。無邪気に目をキラキラさせながら応援してくれるのは、いいものだ……と。
「……」
 思いながら。けれども無言で。シキは視線を走らせた。守らなければ。集められた蒸気機械たちが、がたがたと蒸気を吐きながらドリルを飛ばす。それを素早く視線で拾い上げ。後方のわんこたちに放とうとされているネットやランチャーの、その射出部分をまずは叩き落す。具体的に言うと、腕などだ。
「……」
「ひゅー! かっこいいこむ!」
 次に狙うのは足だ。あの構造だと倒れたら起き上がり辛いだろう。細い足を狙って転倒させ、ついで動力部……あのドラム缶のような胴体には蓋がついていて、開いてそこからドリルが射出される。その射出された後、空になった奥のほう……に弾丸を叩き込んだ。
「ネット飛来!」
「迎撃態勢!」
 ネット弾の撃ち落としはわんこたちに頼んでいる。的確に、そして派手に撃ち落とされているネット弾にイライラしたのか、集められた蒸気機械の一部がわんこたちに駆け込もうとした……その寸前、
「させん」
 きっちりとシキはその蒸気機械の前に立ち塞がった。銃弾を数発。素早く打ち込めば蒸気機械も動かなくなる。ひゃー! とわんこたちがテンション高く歓声を上げる。
「さすがにーちゃん、強いなぁ!」
「こむもたくさん食べたらにいちゃんみたいになれるこむ?」
「俺のようになるのは、やめておけ」
 キラキラした目線に、思わず。シキはそう返した。そんな邪気のないヒーローを見つめるような目で見るのは、やめて欲しい。
「そんなこと言ってないで! 今はにーちゃんに言われたことをするんだよ!」
「はっ! そうだったこむ!」
 お仕事言われたからね! なんて言う二人に、シキも小さく頷いた。勿論、視線は正面、敵から離さない。
「……助かる。だが、無理のない範囲で構わない。危なくなったら……」
「安心して、ちゃんと逃げるから!」
 絡繰りわんこの言葉に、シキも小さく頷いた。……ならば問題はあるまい。無言で、淡々と、やるべきことをやるだけだ。……だけど。
「(……まずいな……)」
 やっぱりほんの少し。ほんの少しだが。守りたくなる。
 そんなことを思いながら、シキは引き金を引いた。雑念を心配したけれども、いつもよりも早く片付きそうな気がするので、不思議であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『骸の海のダンクルオルテウス』

POW   :    噛みつき
【噛みつき 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    尾撃
【尾っぽ 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    影化
【輪郭のぼやけた影 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠秋冬・春子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 蒸気機械は滅した。
 蒸気は乱舞し、わんこたちははしゃぎまわり、猟兵たちは活躍し、最初に蒸気が消えることで落ち着いた……かのように思われた。
「!」
 だが。きみたちは警告を発する。
 蒸気の向こう側から現れたのは……巨大な鋼の機械のような古代魚であった。
 明らかにわんこ研究員たちのかなう相手ではない。わんこくらいやすやすとそれは丸のみにしてしまうだろう。
 下がっているようにきみたちが言うと、わんこ研究員たちは各々明るい声で了承の意を返した。
「離れたところで応援してるわん!」
 ……きっとにぎやかな声援と戦場になるだろう。
 さあ。勝利まであと少しだ!
アステル・サダルスウド
どうぶつだいすき
ポジティブ鋼メンタル

ワルター(f38994)の名前を知らないがフレンドリーにぐいぐい行く

そのもふもふ、同族へ救いの手を伸ばす男気…そしてもふもふ!実に素晴らしい!
コヨーテ君、君も僕のもふ友にならないかい?
ワルター君っていうの?良い名だね!
僕はアステル
よろしくね!

次のお相手はあの固そうな魚だね
わんこ君達の応援、そして君と僕が力を合わせれば怖いものなしさ!

Staccato Rainで【星灯りの交響曲】を奏で
ダメージで敵の動きを鈍くしワルター君が攻撃しやすいようにするよ
背中はこの僕に任せてくれたまえ!

わんこ君達を気にかけろって?
任せてくれたまえよ!わんこ君達も君も、もふ友は僕が守る!


ワルター・ハント
※初対面のアステル(f04598)に
付きまとわれるが塩対応で通す

今度はデカい魚だァ?
食えそうにはねェが、放置もできねェか
オイ、研究員ども
見てんのは勝手だが近付くんじゃねェぞ!

は?もふ友?
つーかオレの名前はコヨーテじゃねェ、ワルターだ
…絶対に面倒な奴だな、放っておくか

さっきの雑魚とは違って
この敵は近接攻撃特化だな?
なら、やることは単純だ
近付いてきたとこをぶん殴ってやらァ

堂々と敵の目の前に立ち
トマホークを手に迎撃の構え…と見せかける
敵が大顎開けた時が好機
本命の一撃【テイルスイング】を叩き込んでやらァ!

あァ?さっきの銀髪野郎が何か言ってんな…チッ
おい、オレに構う暇があるなら
研究員どもを気に掛けとけ!



「今度はデカい魚だァ? 食えそうにはねェが、放置もできねェか」
 魚が浮遊している。どのように動いているのかはわからないが、内部から歯車のようなものがきしむ音がして、ワルターは目を眇め再び愛用のアックスソードを構えた。
 牽制するようにその様子を窺う。動き出した時が勝負だ。相手が突っ込んできた瞬間、こちらも……、
「オイ、研究員ども。見てんのは勝手だが近付くんじゃねェぞ!」
 まず発するのは警告であった。わんともさー! と返ってくる明るい声。ワルターはほんの少し呆れ……る、その、前に、
「ああ! そのもふもふ、同族へ救いの手を伸ばす男気……そしてもふもふ! 実に素晴らしい!」
 わんこたちよりうるさいアステルの声に、ちらりと背後に視線をやった。
「はう! その冷たい視線も素晴らしいね! コヨーテ君、君も僕のもふ友にならないかい?」
「は? もふ友?」
 魚はしばし動く気配がない。油断なく様子を窺いながらも、ワルターは顔をしかめる。堂々と顔にかかわりたくないと書いていた。
「そう、もふ友さ! この世のすべてのもふを愛し、もふと共に生き、もふとともに死ぬ。つまりは……愛さ!」
「意味わかんねェ。だいたい」
「なるほど……! そうだね。愛に意味なん必要てないよ! ヨコーテ君!」
「聞け! オレの名前はコヨーテじゃねェ、ワルターだ!」
「ワルター君っていうの? 良い名だね! 僕はアステル。よろしくね!」
 そんなときだけ聞いてんじゃねェ! 叫びたくなったのを、かろうじてワルターはこらえた。アステルは周囲を取り巻くわんこたち以上にきらきらした目でワルターを見ている。……つまり、
「……絶対に面倒な奴だな、放っておくか」
「えっ。ありがとう!」
「なんで褒めてると思ったんだ!」
 わざわざ口に出して言ったのにすさまじいポジティブぢからで返された。もう付き合っていられない。ワルターは視線をしっかりと魚に向ける。魚も、最初にこちらにかみつくことを決めたようだ。ゆらゆらと尾ひれを揺らす。
「ふふ。次のお相手はあの固そうな魚だね。でもわんこ君達の応援、そして君と僕が力を合わせれば怖いものなしさ! さあ、みんなご一緒に!」
「おにいちゃんたち、おねえちゃんたち、頑張って~!」
「もうひと声! 僕の名前はアステルで、この素敵な彼はワルター君だ! ちなみに今日の僕は男の娘だけどお姉ちゃんで頼むよ! 深い意味はない!」
「アステルおねえちゃん、ワルターおにいちゃん、頑張って~!」
「はう!!」
 自分で要求して自分でダメージを喰らっていた。そんなアステルを完璧にワルターは無視した。巨大魚が目を光らせて飛行する。まるで深海にの中に響く微かな機械音のような。そんな軌道音を立ててまっすぐにワルターに突っ込んできた!
「背中はこの僕に任せてくれたまえ!」
 やることはちゃんとやる。それを見た瞬間、アステルはハープを奏でた。願いともふへの愛をこめて奏でられた音楽は、振動を起こし巨大魚の方へと襲い掛かる!
「!」
 こぉん、と、水中に響く鐘のような音がして、巨大魚が減速する。正体不明の攻撃に一瞬、躊躇いのようなものがあるがそのまま突っ込んでくる。
「は……っ。来やがったな!」
 ワルターの頭部を丸呑みに線と巨大魚が口を開ける。速度を落とした魚なんてワルターには獲物でしかない。けれどもそのままワルターは迎撃の構えを取った。突っ込んではいかない。……待つ!
「来やがれェ!」
 獣の尾が巨大化した。巨大魚が大口を開けた瞬間、トマホークとともにワルターは口の中に逆に突っ込む。そのまま喉奥を狙って一閃。トマホークは囮で、巨大化した獣の尾を、古代魚の喉奥に突き刺した。ぎぃぃぃぃ、と、金属と獣の尾がぶつかる嫌な音が立った。
「……!」
「頑張ってワルター君!」
 うるさい! 尾を振りぬく。降りぬくと同時に蹴とばして古代魚を吹き飛ばす。喉奥の歯車が嫌な音を立てて削れたのが分かった。
「わあ……! すごいすごい!」
「……チッ」
 うるさい! 大はしゃぎのエステルにワルターは視線を向ける。
「おい、オレに構う暇があるなら、研究員どもを気に掛けとけ!」
「うんうん、任せてくれたまえよ! わんこ君達も君も、もふ友は僕が守る!」
 声をかけられたこと自体が嬉しい! みたいなオーラを漂わせながら、エステルはハープをかき鳴らすので、ワルターはガシガシと頭を掻いた。
「……なんだこいつ」
 めげない、負けない、くじけない。最強か。と言いかけて言葉を飲み込む。そんなことを言っても喜ばせるだけだというのは、この短い時間のやり取りでよくわかったからだ。
 魚がくるりと旋回する。もう一撃、来るのだろう。
「させないよ……!」
「頑張って……!」
 立ち向かうエステル。応援するわんこたち。ワルターはその一つずつに軽く視線をやって、
「あァ、面倒くせェ。狩って、食う。それでいいだろうが」
 いろいろ考えるのはやめた。面倒くさいとばかりに、走り出した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュジュ・ブランロジエ
コノさん(f03130と
『』はメボンゴ
アドリブ歓迎

なんかすごいの来た…
『メボンゴVSメカシャーク 苺の香りを添えて。もちろんジュジュとコノちゃもメインキャストだよ!』
ふふ、それは楽しそうだね

わんこ達の応援嬉しいな
元気いっぱいの楽しいショーを見せてあげる!
行こう、コノさん!
『くーちゃもキャストに追加〜!』
メカシャークには見せ場なさそうだね
ところであれはシャークなの?

UC2回攻撃
メボンゴの手から風属性衝撃波を放ち炎の勢い増加
メカっぽいから全然美味しそうにならない…
『残念!』

噛みつきはオーラ防御で防ぐ
きゃ〜!食べられちゃう〜…なんてね

『よっ、頂点捕食者!』
何その掛け声、と笑う
コノさんの言葉にまた笑う


コノハ・ライゼ
ジュジュちゃん/f01079と

う~ん、魚は魚でもちょっと美味しくなさそうねぇ
あっはは、パニックホラーグルメ映画かしら
それじゃそんなノリでいきマショ!

声援にもダケド、ジュジュちゃん達にだって負けないパフォーマンス見せるわよ~
くーちゃん、行っといで
と影狐を放ち敵を攪乱、見切りとオーラ防御で攻撃を往なしてくわね

ホント焼いても煮ても揚げても、蒸したって口当たり良くはならなさそう
……となったら丸飲みしかないわネ!
ミンナにはお裾分けできないケドごめんあそばせ
意気揚々とUCでナイフを牙に変え
ほらほら、可愛い子達に夢中になってると……自分が食べられちゃうわよ?

苺の香り添え忘れちゃったケド、まいっか



 こぉん、とまるで深海のような音がする。
 静かな海の底に響く不思議な金属音。そして……、
「なんかすごいの来た……」
 きしゃー! と歯を剥いた時の凄まじい不快な音に、ジュジュは思わず耳を抑えた。
『メボンゴVSメカシャーク 苺の香りを添えて。もちろんジュジュとコノちゃもメインキャストだよ!』
 ジュジュの頭に乗るメボンゴが声をあげると、ジュジュは笑う。
「ふふ、それは楽しそうだね!」
「あっはは、パニックホラーグルメ映画かしら」
 コノハもちょっと楽しそう。なんて言おうとした……ところに、
「あらあらまあまあ、あのお嬢さん大丈夫かしら」
「そうよねサメ映画と言われれば水着女子は食べられるわよね」
『め、メボンゴ水着にはならないもから!』
「そっちじゃないわよ」
 真っ白いプードルたちが奥様口調で話してるところに、思わずメボンゴが突っ込むと、案外鋭いツッコミ返しが来た。コノハは笑うしかない。
「あはははは。なるほどジュジュちゃんが食べられ枠なのネ」
「もー。コノさん笑いすぎ!」
「まあいいじゃない。この魚は魚でもちょっと美味しくなさそうねぇって思ってたところだったし、そんなノリでいきマショ!」
 言いながらも、コノハはそっと肩の上を撫でるような仕草をする。何もなかったはずのその場所から、いつの間にいたのか黒い狐が飛び降りた。
「くーちゃん、行っといで」
『くーちゃもキャストに追加〜!』
「ふふ。声援にもダケド、ジュジュちゃん達にだって負けないパフォーマンス見せるわよ~」
「うん! 元気いっぱいの楽しいショーを見せてあげる! ……行こう、コノさん!」
 ジュジュの言葉には笑顔で答えて、コノハは敵へと目を向ける。先行しているくーちゃんが古代魚の鼻面目指して突進した。
「いけいけわんわん!」
「がんばるこむ~!」
 声援が頼もしい……というか可愛い。コノハの表情もほんの少しだけ緩む。勿論攻撃は緩めない。鼻先をひっかくように突進したくーちゃんに合わせて、コノハも地を蹴った。
「さあ、ご注目! 炎のイリュージョンが始まるよ!」
 コノハの動きに合わせて、ジュジュが指をパチッとする。同時にメボンゴが謎の踊りを踊ったら、そこから七色に輝くド派手な魔法の炎が現れた!
「ああ、お兄ちゃん! 狐さん!」
 わんこが思わず悲鳴を上げる。炎はコノハの背中から迫り、コノハとくーちゃんを直撃……したように見せかけて、きれいにすり抜けて古代魚の正面へ。
「心配ご無用ヨ!」
 そこで肩越しに振り返ってコノハはウィンク。古代魚は炎に炙られて、金属と金属をこすり合わせるような悲鳴を上げる。
『ここで扇風機~! 火の勢いをあげるあげる!』
「メカっぽいから全然美味しそうにならない……」
『残念! また来週!』
 風属性の攻撃を交えながら炎を叩きつけるジュジュ。それに合わせるように、コノハが突っ込んだ。
「そう……れ! まずはご挨拶ヨ!」
 ぴっ。とコノハが己の指を傷つけるのは磨いだ鉱石の貌の一対のナイフ。その血を吸って柘榴はその目を醒まさせようとする。くーちゃんと一緒に魚の鼻面を掻くと、金属音を響かせて、がっぷりと魚は口を開いた。……歯が欠ける。ついでに他の猟兵の攻撃も受けて口の中は割りと傷だらけであったが、そんなものは物ともしてない。
「あら。さすがメカシャークね。ホント焼いても煮ても揚げても、蒸したって口当たり良くはならなさそう」
 メカなくせに部品が壊れても気にしないところもさすがシャークっぽい。傷に構わずくぁっ! と口を開ける巨大魚に、ジュジュが悲鳴を上げる。
「きゃ〜!食べられちゃう〜」
『美少女が食べられるのはサメ映画のお約束~!』
「……なんてね」
 ……ちょっとこれは自分で言っても恥ずかしかったかもしれない。自分で言って、自分でひっこめたジュジュに、コノハは思わず吹き出した。
「こ、コノさん……!」
「大丈夫ヨジュジュちゃんは美少女ダカラ……!」
 何もそんなに笑わなくとも。そんなジュジュの顔がコノハは面白くて堪らない。笑いながらナイフを構えなおす。そんな二人には構わないかのように、巨大魚は口を開けていた。
「もう、そういう遊びがないのはヨクナイわよ」
 柘榴を構えなおす。その口元が笑顔から、
「ほらほら、可愛い子達に夢中になってると……自分が食べられちゃうわよ?」
 不敵な笑みに変わった時、ナイフは牙へと変化した。
「ミンナにはお裾分けできないケド……ごめんあそばせ」
 そうして牙が、巨大魚の胴体へと食らいついた。
「……丸飲みしてアゲル!」
『よっ、頂点捕食者!』
 なんだそれ。笑いが上がる中、ごくりとかみ砕きながらコノハは肩を竦めた。
「苺の香り添え忘れちゃったケド……、まいっか」
「……ふふっ。メカシャークには見せ場なさそうだね!」
 そんな呑気な言葉にジュジュはまた笑う。……それから、
「ところであれはシャークなの?」
 ふとしたジュジュの言葉が、しばらく物議を醸し出すのはまた、別の話……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
おっと、これは大きい口だなぁ
皆さん無事下がって下さったし
丸のみは、避けられたが…
僕らも食べられるのはご勘弁

襲い来る巨大な顎をかわすべく
跳ねる魚の動きを見切り、跳び避け
試しに、来る相手に薙ぎ払いに衝撃波乗せ
勢いの向きを逸らせるかも試す

鋼に、傷は……
うーん、決め手にはやはりならぬか
決定打不足には、効く場所探るか

わんこさん達の声援には
ほわり気が緩みそうになるが
ぱくりされたら、悲鳴になっちゃうなと気合い入れる

瓜江、力かしておくれ

相棒の持つ風の魔力を刀に降ろし
衝撃波の威力強化
こちらに噛み付こうと、その大口を開けた瞬間
口内に向け、風刃を乗せた薙ぎ払い放つ
中を、破壊できたなら

あ…今晩の献立、魚にしようかな?


御園・桜花
「骸の海のお魚さん…此方の方が食材化向きだったでしょうか?」
首傾げ

「貴方が魚である事に拘るのは、嘗て貴方が時代の王者だったからでしょうか。自分の生きた時代を懐かしむなら、生き直しなさい。食べて、寝て、生を感じ直せる存在に生まれ変わりなさい。貴方は転生出来るのです」
UC「侵食・サクラミラージュ」
「生持つ者が、此の場でオブリビオンの転生願い。貴方も其れを願えば。今、貴方は転生に手が届く。考えられなくても、本能で。此の場で唯滅するのを良しとしないなら…転生なさい」
「強くなろうが固くなろうが、貴方達の行動が成功しない以上木偶と変わりません」
制圧射撃で敵の行動阻害
第六感や見切りで攻撃躱しながら転生促す



「おっと、これは大きい口だなぁ……」
 類は思わず巨大魚の口を見ながらそんなことを呟いた。……でかい。そしてごつい。移動時には静かに、不思議な音を立てて動くと思えば、口を開くとぎしぎしとした金切り音。せわしなく、不思議な感じがする生き物であった。
「骸の海のお魚さん……此方の方が食材化向きだったでしょうか?」
 隣で桜花が思わず、というような声をあげた。そういえば先ほどの集団戦では敵を食材化している人がいた。そんなことを言いながらも、類は思わず、考える。
「でもこれは、煮付けても美味しくはないのではないかしら」
 寧ろ熱して鉄板にする方が……なんて真面目に言う類に、なるほど、と桜花の方も大真面目に頷いた。
「確かに。器としては迫力があっていいかもしれませんね」
 寧ろ冷やして刺身を持っても……なんて考え始める桜花に、類はほんの少し、笑う。そんな二人に気付いたのか、ゆっくりと魚はこちらに目を向けた。
 桜花が小さく、少し時間をください。と言って一歩下がる。類は小さく頷いて前に出る。
「皆さん無事下がって下さったし、丸のみは、避けられたが……」
 僕らも食べられるのはご勘弁。と、言い切ると同時に魚が牙をむいて、類に突進してきた。
「!」
 目の前、すぐに巨大な歯がやってくる。即座に類は瓜江を操る。瓜江はくるりと身を翻し、その軌道を逸らすかのように鼻先を短刀で掠めた。
「そのまま……!」
 飛んで避ける。背後から桜花が機関銃を撃ち放つ。牽制だ。撃ちながら、桜花は己の力を顕現させた。
「骸の海から世界を引き入れる。此処は既にサクラミラージュ、願えば貴方にも転生が叶う地です。転生の否定は、貴方の行動を損ねますよ?」
 桜が散る。サクラミラージュの桜だ。このままオブリビオン自身が心から願えば転生可能の世界を持ってくるのだが……、
「貴方が魚である事に拘るのは、嘗て貴方が時代の王者だったからでしょうか。自分の生きた時代を懐かしむなら、生き直しなさい。食べて、寝て、生を感じ直せる存在に生まれ変わりなさい。貴方は転生出来るのです」
 桜花の言葉に、魚が牙をむく。そもそもこの敵に志向が、感情があるのか。魚の動きから二人は計ることができない。
「!」
 金属音。けたたましい音を立てて今度は桜花に魚が飛んでいこうとする。それを類が許さない。衝撃波を乗せて、類の横をすり抜けようとした、その腹を短刀で傷つけて勢いを逸らせる。
「大丈夫。抑えるから続けて」
「……はい!」
「二人とも、がんばるきゅー!!」
 背中の応援が頼もしく……というか、気が緩みそうになる。類は表情が緩むのを堪える。この魚に感情があり、説得を受け入れるかどうかは不明だが、それをしようとすることは、とても大事なことだと思ったからだ。
「とはいえ、鋼に、傷は……うーん、決め手にはやはりならぬか」
 なので抑える。可能な限り。類は短刀を握りながら、聞きそうな場所を探る。口の中、胴体、どこも猟兵たちが傷つけた跡がある。
「生持つ者が、此の場でオブリビオンの転生願い。貴方も其れを願えば。今、貴方は転生に手が届く。考えられなくても、本能で。此の場で唯滅するのを良しとしないなら……転生なさい。強くなろうが固くなろうが、貴方達の行動が成功しない以上木偶と変わりません……!」
 桜花も声をかけながら、傷を広げていく。魚は、体の走行がはがれようが牙が傷つこうが。気にするでもなく二人に牙をむく。
「ああ……!」
 牙が開くたび、わんこたちの声が上がる。これが悲鳴に変わるところなんて見たくないな、と類もまた気合を入れなおす。
「……瓜江、力かしておくれ」
 いい? とでも桃花のように、類は桜花に視線を向ける。桜花はしっかりと頷いた。
「ええ。恐らくチャンスがあるとしたら、倒れるその瞬間です……!」
 魚に近い性質を持っていそうなこの巨大魚なら、死ぬ瞬間に生きたいときっと思うだろう。……その時なら、本能のままに転生を受け入れるはずだ。桜花はそう算段つける。なので類も、大きく頷いた。
「繋いで、良いかい?」
 持つ風の魔力を刀に降ろし、類は狙いを定める。衝撃波の威力を強化して……、
「一撃で倒せずとも……つないでいくのみ!」
 今度こそ、丸のみにしようと魚が口を開く。そこにはほかの猟兵たちが何度も攻撃した跡がある。……そこを狙う!
「今だ……!」
 ほとんど丸のみにされる形で、類が刀を振りぬいた。内部を傷つけてなお、魚が類の頭をかみ砕こうとする。それを桜花の弾丸が、狙いすましたかのように歯を砕くことによって阻止した。
「あ……今晩の献立、魚にしようかな?」
 こんな場だというのに、思わず類の口からそんな言葉が漏れて。
 魚の喉奥が、強く砕けるような音がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人に見られるように見た目的にも精神的にも背伸びしている
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的

戦闘
【呪詛(腐敗)】と「棘」を組み合わせ、万物を強引に腐敗させる方法をついに編み出した
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
光や聖属性は使えません

非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも


シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
 あとはお任せします。宜しくお願いします。



 目の前の敵に、アトシュ・スカーレット(神擬の人擬・f00811)は目を眇めた。シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)はわあ……。と若干感心したような声を発している。
 まず、本日二人がやってきたのはアルダワ魔法学園の研究所の一つであった。
 そこに災魔が襲撃し、研究所を破壊し研究員を殺害するという話だったからである。
 すでに、押し寄せていた多数の敵は排除され、残りは親玉の災魔のみとなっていた。
 望むところだ、とアトシュは思う。強敵との戦いは嫌いじゃない。
 そしていいところに来た、とシフォンは思う。なんでかというと、その研究員というのが……、
「頑張るわん。……頑張るわん!」
「応援してるきゅ……!」
「わ~。素敵。わんこさんたちの研究所なのね~」
 そう。多数のわんこや、獣人や、人形系ミレナリィドールや、ぬいぐるみ系ミレナリィドールや、わんこ型絡繰り系ミレナリィドールのような、とにかくわんこを集めた研究所であったのだ。
 シフォンは笑顔で研究員たちに手を振ると、わー! と歓声を上げる。戦闘の邪魔にならないよう、危険が内容後方まで下がって、みんなを彼らは応援しているのだ。
「はっ……。若干心配はないとは言えないが……」
 応援に、アトシュはそう嘯く。なるべく人々を危険な目に合わせたくない、というのがアトシュの方針だからだ。
「まあいいか……。今すぐオレたちが、こいつをぶっ倒せばいいだけの話だな!」
「はい、頑張ろう、なのね! わんこさんの為にも!」
 気合を入れるアトシュと同時に、シフォンが両手を叩く。叩いた……と思った瞬間、敵の姿が動き出した。
「私の魔法の方が……速いわよ!」
 だが、それも予想していた。シフォンの魔法の方が……早い! 炎の魔法が敵を包む。それと同時に、アトシュも地を蹴って敵に接敵した。
「!」
 敵は、魚のような形をしていた。
 空を浮遊する魚は、鈍く、絡繰りでできた。錆びた鉄のような体を持っていた。その姿は巨大であり、わんこくらいやすやすと丸のみにしてしまうだろう。目が不思議な色に光り、異様に鋭い牙が特徴だ。
「!」
 ぎちぎちと金属がこすれるような音を立ててそれは歯を当てる。砕けたガラスがこすれるような音がしているのは、他の猟兵たちがすでに攻撃を加えているからだろう。
「は……っ」
 なのにその魚の勢いは衰えない。弾丸のように空を飛ぶ。シフォンの炎に丸のみにされ、金属が焦げるような匂いとともに体が赤く熱を持っているのが見える。だが全く構わずに、魚は突っ込んでくる!
「創世に連なる権限を持って我が斬り捨てる、汝、此岸を踏みしめる事勿れ!」
 目の前に突っ込んでくる魚はぐぁっ。と大きな口を開いて牙をむく。同時にアトシュの棘が走った。一瞬に手アトシュの手の中で、剣の形をとる。そして寧ろ自ら口の中に飛び込んでいくように、アトシュは駆けた。
「!」
「大丈夫だ。そのまま!」
「っ、わかったのよ!」
 シフォンが心配そうに怯むのが分かった。だから、アトシュがそう声を発する。アトシュがこの技を使ったとき、ある一点を除いて己の力は最小限になるけれど……。構うものか。それにシフォンもまた頷いて、
「今度は……氷の力を見せてやるわよ!」
 アトシュを紙一重で避けて、氷の弾丸を降り注がせた。熱せられた鋼の魚が、一瞬で冷却され。そしてひびが入っていくのがわかる。
「こ……の!」
 そしてアトシュは魚の口の中、棘の剣を全力で振りぬいた。口の奥、歯車が砕けるような音がする。
 悲鳴を上げるようにのたうつ魚の体が、徐々に砕けて駆けていくのが、アトシュにはよくわかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蒼月・暦(サポート)
 デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。

 普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


マグラ・ユメノミヤ(サポート)
「木戸銭は結構――貴方がたの苦痛と骸さえ頂ければ、十分ですから」
◆口調
・一人称は私、二人称は貴方。持って回ったような物言いで、敵にさえ敬語を用いるものの内容は悪辣
◆癖・習性
・コワモテに反してぬいぐるみや人形を好む
・苦痛を受ける度に気分が高まる性癖
◆行動傾向
・妻と部下をオブリビオンに殺された経験から生命の埒外に到達した悲しみの猟兵。胸中に渦巻くのは、復讐心と愛する者を護れなかった罪悪感……
・見えざる魔力のからくり糸で、凶器を仕込んだ球体関節人形を自在に操ってあらゆる試練に挑む。ダークセイヴァーを出自とするだけあって、そのスタイルは冷徹で老獪
・死霊術士であることから、魔導にもいちおう通暁している



「……成る程」
 マグラ・ユメノミヤ(堂巡魔眩の人形師・f35119)は静かに前方を見た。
「木戸銭は結構――貴方がたの苦痛と骸さえ頂ければ、十分ですから」
 淡々と。目の前の敵と対峙する。その背中に、
「頑張って……!」
 応援する者がいた。まぐらは振り向きたいと思う気持ちを強く堪えた。
 いけないのだ。今はいけないのだ。だって……、
「キュ、応援してるキュ……!」
 背後で彼らを応援しているのは、わんこと、わんこ型ミレナリィドール(人形型)と、わんこ型ミレナリィドール(ぬいぐるみ型)などの、もふもふたちであったからだ……!
「……」
 ちなみにマグラはコワモテに反してぬいぐるみや人形を好んでいる。だが、それを前面に押し出すわけにはいかない。故にマグラは無言で彼らに背を向けて、目の前の敵を見据えた。
「あれが……今回の敵の首領なのね……!」
 マグラとともに、蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)も医療用ノコギリを構えなおし、静かに前方を見つめた。

 今回の戦場は、魔法学園アルダワの研究所の一つであった。
 研究員のすべてがわんこやわんこ型ミレナリィドールで構成されたその研究所が、災魔による襲撃を受けたのだ。
 すでに大多数の際魔は殲滅され、危険であった研究員たちは救出されている。
 応援している彼らも、戦場には足を踏み込まないようにと言われているので、安全な場所で行使て声援のみを送っているのだ。
 そんな状況であるが、すべての敵が殲滅されたわけではない。
 そう。蒸気の向こう側から……巨大な機械の魚が、姿を現したのであった。

「これはこれは。随分賢そうな姿をしていますね」
 皮肉である。機械の魚は知性の欠片も宿していない、輝く目をしていた。
 胴体も鋼でできているのだろう。薄汚れた体に、鋭く巨大な牙を持つ口。口を開けば、わんこなど丸のみにしてしまいそうなくらい、大きい。
「ええ! 随分と、解体し甲斐がありそうなのだわ」
 暦も思わずそうつぶやく。なお、暦は先ほどの集団戦にも参加していた。「どっちも刃には悪そうなのだわ」なんて言うのが彼女の弁。もっともこれくらいで刃こぼれする彼女のノコギリではない。
「では」
「ええ!」
 魚も二人に気付き牙をむく。金属と金属がこすれるような。なんとも不快な音を上げて突進してきて、二人もまた、走り出した。
「さあ《ルーチェ》、とっておきのダンスを見せておやり」
 まっすぐに突っ込んでくる魚を二人で避けて散開する。まずはマグラが美しい球体関節人形を操った。愛しいものを見るように、マグラは人形に語り掛ける。人形はそんな声とは裏腹に、刃物をきらめかせながら魚に迫った。
「!」
 ぎちり。金属と金属がこすれる音がして、魚がそちらの方を向く。人形を丸呑みにせんと口を開ける。
「させないのよ!」
 魚がそれを丸呑みにする、その一瞬前。鮮血が周囲に飛び散った。……人形のものではない。
「それ……!」
 デッドマンズである暦が、己で己の片腕を潰したものだった。医療用ノコギリが旋回する。は物であるはずなのに、それは電流で輝いていた。
「その体だもの、びりびりはよくとおると思うの……!」
膨大な電流が巨大魚の片目を潰す。輝く瞳を破壊されて、おぞましい金属がこすれるような金切り声が上がった。だが聞いているマグラはものともしない。
「では」
 絡繰りが躍る。
「十三秒、十三秒さえあれば"演"れるのです……!!」
 十三秒。それはマグラの寿命が削れるまでの時間だ。見えざる魔導の糸が躍る。それに合わせるように彼の人形も躍る。まるで生きているかのように、体中からは物を、凶器を、閃かせ、傷つけ、突き刺し、壊していく。
「!」
「逃がさない……の!」
 回避しようとする魚を、電流のノコギリが抑える。凄まじい火花とともに悲鳴が上がる。それでも二人は怯まなかった。
 火花とともに体が砕かれ、傷つけられた目から光が失せていくまで。二人の攻撃はやむことがなかったのだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サラ・ノースフィールド
要救助者がいないなら、私のお仕事も終わりなんですが……。
わんこの人たちまだ戦場にいるんですね。避難すればいいのに。

どうしようかな。

とりあえず箒に乗って宙に浮き、遠くから魔法を撃って相手の注意を引きましょう。
ウィザード・ミサイルは495本。それぞれをバラバラに、大きく曲線を描くように飛ばしていたら、そちらに注意が向くでしょう。
私自身はゆっくり飛んでいればいいだけですね。あとは持久戦です。
別に倒しきらなくても良いので、わんこの人の方に行かないように吊り上げましょう。
それでも、ずーっと続けていたらいずれ倒れるんじゃないかしら。だといいですけど。


クーナ・セラフィン
でかいねぇ。私も丸のみされそう?
怖い怖い、でも引き下がるとあの子達が大変だしね。
応援も受けてる…よね?きっと。なら頑張らなきゃだ。

他の猟兵の動きを見つつ機を見計らって魚の死角から仕掛ける。
ぺっしゃんこにされるのは御免だから尾の動きに注意しておき叩きつけようとした瞬間、後方に大きくジャンプして距離を取り回避。
空振りさせたら一気に仕掛けるね。着地後地を這うように駆けて顎の更に下に潜り込みつつUC起動。
魚の横腹から背中に向けて駆け上がるようにして銀槍で連続で切り刻んであげよう。
装甲の隙間に突っ込んで剥ぎ取るように、料理してる気分かも。
まあ刺身とかとはいかないから期待しないでね。

※アドリブ絡み等お任せ



「要救助者がいないなら、私のお仕事も終わりなんですが……」
 サラは思わず、そんなことを呟くと。
「じゃあ、こむたちと一緒に応援するこむ?」
「きゅ! 嬉しいきゅ!」
「そ、それもちょっと……」
 わんこに絡まれた。思わず、サラは両手を前に出して首を横に振った。
「おや、ふふ、いいんじゃない? 応援には力が宿るものだよ」
 たまたま聞いていたクーナが拘りなくそう言って笑う。笑いながら敵へと駆け出して行ってしまうので、サラは頬を掻いた。
「……っていうかわんこの人たちまだ戦場にいるんですね。避難すればいいのに」
「こむこむ。それは深遠なる問題こむね……」
「きゅ! 応援は時に大事なのだきゅ!」
 思わず口に出したさらに、ふむふむ、と考え込むわんこたち。……いや絶対、野次馬的な何でしょう。とサラは思う。ていうかわかる。真面目な顔をしているがわんこたちの顔はどれも明るく輝いていて、猟兵たちが負けるとか、自分たちが危ないとか、そういう感情はどこにもうかがえない。
「……どうしようかな」
 一人、呟いた。呟いたころにはどういうわけか魔法の箒に乗っていた。悩んでいる口ぶりであったのに、その動きはまっすぐに敵陣の方へと向かっていた。

「……でかいねぇ。私も丸のみされそう?」
 一方クーナは、そんなことを言いながら巨大魚と対峙していた。
 ともすればわんこたちよりも小さいクーナである。丸呑みどころの騒ぎではない。
「怖い怖い、でも引き下がるとあの子達が大変だしね……」
 肩を竦める。怖いと言いながらも、さして怖そうに見えぬその仕草に、背中から声がかかる。
「がんばれにゃんさん!」
「にゃんこはわんこには勝てぬがにゃんこにはにゃんこの働きがあるということを教えてやるのだ!」
「応援も受けてる……よね? きっと。なら頑張らなきゃだ」
 それ声援? と思いながらも、クーナはしっかりと目の前の敵を見据えるのであった。
「!」
 魚が金属の軋む用の音を発する。すでに猟兵の攻撃を受けて体に傷が入っていた。動くたびにがしゃがしゃと割れたガラスがこすれるような音がする。なのにちっとも動きには不調が見られない。
「早い……!」
 一瞬で目の前に迫られる。クーナは銀の髪を翻す。尾が旋回する。その瞬間、
「気を付けてください……よっと!」
 目の前に炎が弾けた。無数の炎の矢が様々な軌道を描きながら、魚へと殺到したのだ。クーナはすかさず後方にジャンプする。ぺしゃんこにされるのはごめんだった。
「!」
 だれだ! と叫ぶかのように巨大は首を巡らせる。炎の矢は様々な、大きな軌道で以ってにあちこちから放たれているのでどこから来ているのか魚には理解できない。けれどもクーナにはわかる。
「……私自身はゆっくり飛んでいればいいだけですね。あとは持久戦です。頑張ってください」
 はるか頭上で、箒に乗るサラ。彼女の援護であることは間違いなかった。
「わんこの人たちに攻撃が行きそうなときは請け負いましょう。このまま攻撃をずーっと続ければ、そのうち倒れそうですけど……」
「大丈夫、それは、何とかするよ」
 思わず、というようなサラの呟きに、クーナが請け負う。未だ攻撃血がわからず右往左往している魚に、一瞬で肉薄した。
「さあ――クーナの槍さばき、とくと味わうといい」
 白雪と白百合の銀槍が躍る。地を這うように駆け、そして魚の下に潜り込んだ。顎の下、さらに向こう側。魚の横腹から背中に向けて、一気に駆け上がるようにして銀槍で切り刻む。
「……料理してる気分かも」
 まるで鱗を剥いでいる気分だ、なんてクーナは嘯く。その言葉に、ええっ!? と歓声を上げたのはわんこたちだ。
「お魚!」
「お魚キュ!?」
「あ、ちょっと。前に出ないでください……!」
 思わず前に出ようとしたわんこたちを、サラが声をかけて押しとどめる。炎の矢をわんこたちとは違う反対側からたくさん射出させて、敵の目をくらませる。
「……まあ刺身とかとはいかないから期待しないでね」
 そんなわんこたちに、クーナも苦笑する。
 とても食べられそうにない素材でできてそうだけれども、そのやり取りはなんだか、楽しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
何だか久々な気がする魚類との遭遇
でも会話が通じそうにないし
食用にも適していなさそう
これは残念魚類の気配

けれどさっきのメカわんこくん達には話が通じたし
一応話しかけてみようかな
こんにちは、元気?

対話を試みてはみるけれど
近づくと危ないんだったね
相手の射程30cm以内に入らないよう
常に距離を取りながら
武器を投擲して地道に攻撃するよ
歩み寄る気がないって
そうかもしれない

でも
食べられないかどうかは僕が決める
UCを発動

せっかくだし
図鑑から獰猛な猛犬達を召喚して
魚くんを食べてもらおうかな
尾が犬達に振るわれている隙に
一瞬で距離を詰め鉈で一撃

食べられそうになくても
道具の素材には使えそうだよね
研究室の子達に提供しよう



 巨大でも、鋼っぽくても、魚は魚であった。
「……何だか久々な気がする魚類との遭遇」
 空を飛ぶ魚ではあるが。章はぽつりとそう呟いた。……そう呟けば、なんだかそんな気がしてくるのはとても不思議な塩梅である、なんて章は思う。章の視線を感じたのか、ゆっくりと魚は動き出した。
「やあ。こんにちは、元気?」
 ごきげんよう、なんて手を振ってみた。それに気づいたのか、魚はぎちぎちと歯を鳴らす。なんとも不快な、ガラスをこすって嫌な音を立てているようなその音色が動作音のような、深海に響く鐘の音のような音とともに流れた。
「ああ、なるほど内部が壊れてるのか」
 度重なる攻撃を受けて、魚の喉奥辺りが破壊されているのだろう。それでも平然と動くあたりが……、
「会話は通じそうにないし、食用にも適していなさそう。そのうえ痛覚も感覚もないとなると……これは残念魚類の気配。さっきのメカわんこくん達には話が通じんだけどなあ」
「あれとは一緒にしないで欲しいのであるな」
「あ。そうかな。ごめんね?」
 思わずすんっ。ってわんこに真顔で言われたので、章はひらひらと手を振る。ごめんと言いながら全く悪びれていないのが章らしい。別にわんこもそこまで気にしているわけではないだろうけれど……、
「でも、折角だから対話は試みてみるよ。その気持ちは大事だからね」
「お兄さんは優しいこむね……!」
「あ。うん。でもそのきらきらした目はちょっと、いいかな」
 話を聞いていたわんこたちがすごく純粋な目を向けてくるのを、章は軽く片手を挙げて制した。完全に悪意がないのはある意味毒なんだよね。とまでは口に出さず思うだけにとどめ、章もまた魚へと再び目を向ける。
「!」
 魚もこちらを獲物と定めた。ぎちぎちと歯を鳴らしながら、巨大魚が突進してくる。
「おっと」
 ひらり、章は避けて後退をする。後退をしながら引き際に針を投げる。虫ピンや、メスを撫でながらひらりと交わせば、魚も旋回して再び襲い掛かってきた。
「ほら、僕は追いかけられると逃げるタイプだから」
 歩み寄る気が全くない気配で、章は一撃、もう一撃。重い攻撃ではないが、チクチクと攻撃を与え続ける。
「!」
 ぎちぎちと歯を鳴らす魚。やっぱりお喋りはできそうにないねぇ。なんて呑気に章は呟いた。……そして、
「でも」
 ふと。急に飽きたのか。それともタイミングがあったのか。わからぬような絶妙なタイミングで、章は足を止めた。
「食べられないかどうかは僕が決める」
 図鑑を広げる。記載された生物を呼べる図鑑の中で、章は犬を召喚する。「折角だし」などと言いながら呼び出された犬はこの辺りにいるのほほんなわんこたちとはわけが違う。
「!!」
 金属のこすれるような音。その間にも敵は目の前に迫っていた。……と、
「どちらでもいいよ。≪メビウスの輪≫」
 章が手を掲げる。掲げると同時に魚の体に変化が生じた。その魚を、肉の塊に変えていくのだ。それと同時に、どう猛な猛犬たちが一斉に魚へ襲い掛かる。
「わ。さすがさすが」
 軽く手を叩く。凄まじい勢いで魚に食らいつく様子はちょっと小さいわんこにはお見せできないかもしれない。もっともそんな配慮なんて章はしないけど。魚に群がられている間に、章は動く。すっとその魚の背後に回り込み、
「食べられそうになくても、道具の素材には使えそうだよね」
 一閃。その尾びれをなたで綺麗に切り離した。
「……いる?」
 機械仕掛けの、半分肉会になったその尾を手に、章はわんこたちににっこりと笑いかける。プルプルと首を横に振るわんこたち。
「そう? 面白いのに」
 残念。なんてさして残念そうでない様子で章はそう言って。手にしていた肉塊を猛犬に渡すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
研究員はもっと離れた方が良いのでは…いや、彼らに任せよう
危なくなれば逃げるとも言っていた
何より、彼らに危険が及ぶ前に片を付ければ良いだけだ

まず無理に攻めずに敵の出方を見る
拳銃での牽制射撃を挟みつつ、尾撃の回避を重視し攻撃範囲や威力を把握したい
範囲は広くないが威力は高そうだ、ますます研究員たちに近付けさせる訳にはいかない

一度距離を取りエンチャント・アタッチメント【Type:I】を装着、即座にユーベルコードを発動
尾撃の届く距離まで接近されない為、凍結による足止めが狙いだ
成功したら動きが鈍っている隙に尾撃の範囲外から射撃で反撃

相手の鋼のような体が見た目通り頑丈なら、ただ撃つだけではダメージが通らない可能性もある
同じ箇所を狙った連射を叩き込む事で火力を一点に集中させて威力を高めたい

研究員たちの声援は、やはり少し気恥ずかしい
あの真っ直ぐな視線が注がれていると思えば落ち着かなくもある
しかし彼らを意識すれば、体が軽くなり思考も冴えてくる事も自覚して

…ああ、任せておけ
戦場での応援には、戦果を以て応えよう



 シキは一度だけ、背後の方に気持ちをやった。
「……」
 背中に視線を感じる。
 いや、悪い視線ではない。寧ろきらきらした視線だ。ほんの少し居心地が悪いのは、シキがそういう視線に慣れていないからだろう。
 寧ろ戦場の殺気とか、悪意とか、そういうののほうがシキとしては手慣れたものであるが……。それは兎も角。
「……」
 視線は、猟兵たちを見守るわんこ研究員たちのものだ。
 研究員はもっと離れた方が良いのでは……。シキは言いかけて、ぐ、と言葉を飲み込む。
「(……いや、彼らに任せよう)」
 彼らも迷宮を研究する研究員だ。先ほども猟兵たちほどではなくとも、果敢に敵に立ち向かっていることろはシキも見ていた。性格は何とも子供っぽいが、能力は確かであり、危なくなれば逃げるとも言っていた。……のであれば、彼らの判断に任せても問題はないはずだ。
「それに……」
 一人、思わず言葉が漏れる。
「早めに片を付ければ良いだけだ。手古摺るような相手じゃない」
 油断でも慢心でもなく正しく状況を判断した結果シキはそう言って、
 愛用のハンドガンを構えなおした。

 上記の向こう側から、巨体が現れる。
 魚のような形をとっているが、魚ではないことは明白だ。
 巨大な鋼の体。輝く目。泳ぐように浮遊し、最初のことは深海に鐘を鳴らしたような不思議な音を立てていた。
「!」
 だが今は、ぎちぎちと動くたびに不快な音を立てている。猟兵の攻撃を受け、外部からも内部からも壊れていっているのだ。外側の攻撃は本体の装甲を剥離させ、内部がのぞいているし、口の中等への攻撃は、その破片が喉にたまっているのだろう。動くたびにガラスが砕けてこすれるような不愉快な音を立てている。
 それでも、痛覚がないのであろう。魚はシキに狙いを定めた。そうして空を飛ぶように、滑るように、それはシキへと肉薄する。
「……遅いな」
 流星のようなそれに、シキもまた手早く対抗した。ハンドガンを打ち込む。致命傷は狙っていない。牽制するような攻撃に、かまわず古代魚はシキへと突っ込んだ。
「!」
 紙一重。避ける。避けながらもシキは遠くへは飛ばない。距離を取れば次は研究員を狙うかもしれない。そんなことはさせない。
「!!」
 金属音とも方向ともとれぬ奇怪な音と同時に尾が振られる。それでもシキは冷静に対処する。弾丸を尾の付け根に畳み込みながら避ける。尾の範囲と行動パターンを調べる。範囲は広くないが威力は高そうだ。
「!」
「……」
 言葉にならない声をしきりに上げる巨大魚とは対照的に、シキは無言だ。何か言うたびに研究員が歓声を上げるからというのもあるし、シキがそもそも多弁ではないというのもある。一撃、二撃。シキの動きに苛立ったのか、それとも調子に乗ったのか。魚はシキを追いかける。幾度も尾を振るたびに、体の内部から不愉快な音を立てた。
「……こっちだ」
 こちらを向け。端的にシキはそういう。一度、強く尾を振られた瞬間に、シキは後方へと飛んだ。
「!」
「わあ……!」
「高い! 高いきゅ!」
 歓声が起こるその間。空中にいる間に手早くシキはエンチャント・アタッチメント【Type:I】を装着する。生命の水でできた、弾丸に氷の魔力を付与させるそれを流れるような動作で装着し、そうしてノータイムで、
「止まれ」
 撃った。狙いを定める必要なんてない。先ほどの観察から、魚がどう動きどのあたりにいるのかは予測がついていた。そして敵味方を識別する氷の魔力を纏った弾丸はまっすぐに巨大魚のどてっぱらに吸い込まれて、内部から敵の体を凍結させる。
「!」
 浮遊した魚の動きが止まる。いや、ぎちぎちと内部から音を立て、必死で凍結した体を動かそうとしているのはわかる。
「いや、お前はもう動けない」
 動こうとしている。それはわかる。けれども動けない。シキははっきりとその魚の終わりを宣言する。
「ふわわわわわわ。そのままやっちゃうわんー!」
「いまだ! そこだこむ!!」
 シキの言葉に反応して、ひゃー! と研究員たちが歓声を上げるので、そのまま即座に銃弾を叩き込もうとしていたシキの手が一瞬、止まった。本当に珍しいことであった。
「……」
 気恥ずかしいし落ち着かない。なんだか普通にしゃべっていても格好をつけてるんではないかという気になってしまう。まっすぐな視線と歓声は何とも……何とも、
「……ああ、任せておけ。戦場での応援には、戦果を以て応えよう」
「あっ。そんなの惚れてしまうきゅ……!」
「そんなの既に惚れてるわん!」
「……」
 なんだか気恥ずかしくて手が止まるのに高揚して力が湧いてくる。
 そんな不思議な感覚とともに、シキは静かに狙いを定めて銃弾を撃ち込む。
 決して大きくない弾丸を、驚くほど正確に同じ個所に。ダメージの大きな魚の喉奥に、何度も何度も叩き込む。
 そうして多数の攻撃を受けた古代魚が動かなくなるまで、ずっと、ずっと……。

「やった―倒した!」
 そんな歓声をシキが聞いた時。
 シキは自分が、ほんの少しだけ、口の端をあげている自分に気付くのであった……。

 そうして、研究所襲撃事件は終結した。
 あとにはわんこたちの大歓声が周囲に響き渡ったという……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年04月26日


挿絵イラスト