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猟書家決戦~生み育むもの

#アルダワ魔法学園 #戦後 #ミスター・グース #大魔王『ウームー・ダブルートゥ』


ガチョウグース農夫呪いより解放され、
 月を覆う『骸』が解けていく。『還って』いく。
 僅かに残っていた影すら失われ、アルダワ世界の月は元の輝きを完全に取り戻した。

 見よ。この世界の『骸の月』は潰えたのだ。
 見よ。我が可能性こたえは――。

「……時は満ちた」
 八つの黒きガチョウの首を持つ異形。それが彼の形であった。
 形を得たばかりの頃、彼は強く呪われていた。意思疎通に支障を来すほどに『ガチョウ』であることを強いられたのだ。
 ガチョウグースとは『黄金災魔の卵を生むもの』。その生産こそが重要視される存在だった。
 魔王ウームーではないガチョウグースでは、この世界を書き換えるに足る災魔を直接創り出すことはできない。その娘の魔女ハンプティでもないガチョウグースでは、災魔を「蒸気獣」へ作り替えて利用することもできない。
 人造物をいずれ災魔へと成長させる『災魔の卵』さえ、ガチョウグースが創り出せるのは一日に、一つの首が、一つずつが限度だった。

 ゆえに、計画の完成には膨大な時間が必要だった。
 途中で猟兵に『骸の月』を阻まれれば、その時点で可能性が潰えてしまっていた。
 猟書家が各世界への侵略を開始してから、日にして888。仕込んだ『災魔の卵』の数は888×8=7104。
 大魔王無限災群ウームー・インフィニット・ホードを可能にするほどの卵が孵化を始めることで、ガチョウグースは『ガチョウ』であることを強いられる呪いからついに解き放たれたのだ。

 これよりは、猟書家にしてオウガ・フォーミュラ、真の意味での『ミスター・グース』として。
 この魔法蒸気世界への君臨を開始する。

災魔の卵を生むもの
 グリモア猟兵の出水宮・カガリは、かつてアルダワ世界で起きた戦争『アルダワ魔王戦争』について簡単に説明していた。
「ええと、確か。かつて、あの世界でオブリビオン・フォーミュラとして君臨していたのが、地下迷宮から外に出ようとしていた大魔王でな。六つの形態を持っていたのだが。まあ、猟兵達が頑張って、勝利することができた戦いだ」
 ほとんど情報のない、簡単にも程がある説明である――。
「まあ、まあ。だが、その世界でも長らく、猟書家が活動していて。今回、ついに動き出したのがアルダワの猟書家の王、『ミスター・グース』だ。
 『アルダワ魔王戦争』では、大魔王によって地下迷宮から無限に災魔が解き放たれようとしていたが。今回は、『ミスター・グース』が、それに近いことをしようとしている」
 災魔とは、アルダワにおけるオブリビオンを指す。『ミスター・グース』は人造物へ仕込むことでいずれ災魔へと変わる『災魔の卵』を生み出す猟書家であり、長い時間をかけた侵略によってついにその卵が孵化しようとしているのだ。しかも今回は、文明都市ひとつを丸ごと強力な災魔――かつての『大魔王』の複製として孵化させようとしているのだから、見過ごすわけにはいかない。
 そんな事になれば、遅かれ早かれアルダワ世界はカタストロフを迎え、滅んでしまうだろう。
「今回、皆に向かって欲しいのはアルダワ魔法学園になる。学園の施設に仕込まれた『災魔の卵』がな、既に災魔として孵化を始めている。この災魔、元は実験として生み出され、失敗作として廃棄されたミレナリィドールだったようだが……同情は、無用だ。骸の海あるべき場所へ、戻してくれ」
 建物の災魔化を防ぐ内に、恐らく『大魔王』の複製とも対峙するかもしれないとグリモア猟兵は言う。かつて実際に『大魔王』と立ち会った経験がある者も、無い者もいるだろう。
「強敵には違いないが。今の猟兵であれば、打ち倒せる相手ではある。
 このような言葉は……『勇者』を厭うカガリとしては、少しばかり不本意ではあるが」
 カガリは黄金の門のグリモアを展開しながら、猟兵達へ言葉を贈る。
「……恐れなくていい。そして、恐れを広げさせるな。あの世界を、頼んだぞ」

●名前もない誰か、にすらなれなかった何か
 ここは、どこ。わたしは、だれ。ぼくは、なに。
 ああ、ああ。しってる。おぼえてる。ここでうまれた。
 ……うまれた? いつ? うまれるまえに、すてられた。
 あたしは、だれ。なまえもないの。
 おれは、なに。もくてきがない。
 かごにはとりもいないし、このけんだってつかうたびにパーツがとれていく。
 なんだっけ。なんでしたっけ。なんだろうな。
 なにも、わからないけど。たぶん、たたかって、こわさないと、いけないのだ。

 おまえのことを。


旭吉
 旭吉あさきちです。
 ガァガァが……ガァガァしてないの……(´;ω;`)
 オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』戦をお送りします。
 (彼を全種類合わせて20シナリオで倒せれば、「大魔王無限災群ウームー・インフィニット・ホード」を止めることができます。『ミスター・グース』を完全に滅ぼせるかどうかは予知できなかったようです)

●状況
 アルダワ魔法学園、旧実験棟。
 旧実験棟に仕込まれた『災魔の卵』が孵化し、『名もなきミレナリィ・ドール』が災魔として生まれました。
 生前に悲しい経緯がある彼らですが、彼らに同情していては更なる悲劇が生まれてしまいます。
 彼らを撃破してください。
 災魔達がある程度数を減らすと、施設の奥で孵化しつつある『大魔王』への路が開けます。

 演出や台詞は盛っていきたいと思います(特にフォーミュラ戦)
 あんまり派手な怪我はしたくないとか、装備に万が一にも傷を付けたくないとか、そういう方には参加をお勧めできないかもしれません(判定次第では軽傷・無傷で済む場合もあります)
 ご参加の前に、ご一考くださいませ。

 どなたかとご一緒に参加される場合、お相手のIDか【】で括ったチーム名をお願いします。特殊な呼び名などあれば書いて頂けると助かります。

●プレイング受付
 1章は【オープニング公開後すぐ~11日(土)25:00の受付予定】です(以降の章は都度ご案内します)
 期間を過ぎても成功度が足りない場合、システム的に受付可能な限り受け付けます。
 なお、問題が無いプレイングでも流してしまう事があるかもしれません。
 また、執筆可能な期間が限られるため、サポートも積極採用予定です。
 (サポート以外のプレイングが多い場合はその限りではありません)
 ご了承ください。

●オーバーロード
 必要に応じてご利用ください。失効日の関係上、通常プレイングを先に採用することがあります。
 (採用/不採用の判断には無関係です。意図された行動が難しい場合、不採用とすることもあります)

●プレイングボーナス
 1章は特にありません。
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第1章 集団戦 『名もなきミレナリィ・ドール』

POW   :    失敗作の怨嗟
【世界に対する憎しみに支配された状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    壊れた人形の唄
【大剣】による素早い一撃を放つ。また、【壊れてパーツを失う】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    閉じられた未来と世界
【鳥籠】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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●がらがら、ぐらぐら
 アルダワ魔法学園、旧実験棟。
 『旧』が付くとはいえ、今は「実験に使っていない」だけだ。
 かつての魔法実験に耐えうるほどの頑丈な施設は、今は保管庫としての用途に用いられている。
 経験の浅い学生が触れては危険なものなどを中心に、厳重に保管されていたのだ。

 その壁が崩れる。卵の殻のようにぱらぱらと崩れたかと思うと、壁はミレナリィドールへと変化した。
 ひとつ、またひとつ。ふたつ、みっつ――災魔は、際限なく増えていく。

 自分が誰なのか。何故生まれたのかもわからない。
 悲しいのか、憎いのかもわからない。
 殺すことしか知らない災魔達だ。
中村・裕美


「……888日……よくまぁ……そんな時間をかけてコツコツと」
感心はしても、所業を認める訳にはいかないわね

「……捨てられた……ね。……私も……そう思っていたことはあったわ」
自分は世界から要らない存在。誰からも拒絶され、疎まれている。結局は厨二病的な被害妄想ではあったのだけれど
「……何とかしてあげたい気持ちは……あるけど……ね」
敵の大剣の攻撃はドラゴンランスでの【武器受け】で防ぎつつ周囲の空間を電脳魔術で【早業】【ハッキング】
「……名前が欲しければ……いくらでもつけてあげるわよ」
【ステルスボム】で相手が来るであろう座標を見切って爆破
識別番号とか服飾品からヒントを得てそれらしい名前をつけてあげるわ



●あなたのなまえ
 888日。オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』が今回の事件のために準備していたとされる日数である。
「……よくまぁ……そんな時間をかけてコツコツと」
 中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は途方も無い数字を思って溜息を吐く。
 毎日、一日たりとも欠かさず、8個の『災魔の卵』を作り続けたのであろう888日である。
 その継続の精神だけは感心もするが、生憎これからその7104個全てを完全に潰さねばならない。
 例えその卵から生まれてくる命が、どのような存在であろうと。
「あなたはだれ。わたしはなに」
 災魔の一人と目が合った。左手に鳥籠、右手に大剣を持った、長いスカートの女性型ミレナリィドールだ。
「おれは、わからない。すてられた。そんざいしない。おまえをころすよ」
 自我も定まらない内に廃棄されたミレナリィドールは、裕美の返事を待つことなく大剣を振りかぶって突進してくる。
「……捨てられた……ね。……私も……そう思っていたことはあったわ」
 大剣を前に、覇空竜スカイフォールがその身をドラゴンランスへと返事させ受け止める。
「あ」
 受け止められた衝撃か、ミレナリィドールの片方の脚が崩れ落ちる。しかしそれで倒れることはなく、大剣を更に振り回した反動で宙を跳んだ。
(パーツを失って身軽になるって、そういうこと……!)
 相手の技を受け続けていれば、いずれ完全にパーツを失い動けなくなるだろう。
 しかし、その頃の技の速さは。何より、自滅で勝手に壊れさせていくのは。
「……あなたは、『あなた』として……ちゃんと倒してあげる」
 自分は世界から要らない存在。誰からも拒絶され、疎まれている。裕美にもそう思っていた時期があった。結局は厨二病的な被害妄想ではあったのだが、このミレナリィドールは本当の意味で失敗作とされ、廃棄されたのだ。
 もはやオブリビオンであり、遡って何かしてやることはできない。
 だからせめて、目の前で裕美と出会ったこの個体だけは。
「……設置……完了。……起爆」
 もはや腹も失われたミレナリィドールが次に移動するであろう空間を、電脳魔法で『ハッキング』する。
 仕込んだのは不可視の爆弾。そしてそれは、『起爆』の一言で発動した。

 ばらばらと崩れ落ちてくる機体。自我も定着していなかった個体には識別番号もなかったが、外見は女性らしさがあった。スカートの大きな薔薇飾りが印象的だ。
「……ローザ、とか。どうかしら。……もう、感想は聞けないけど……」
 消えていく薔薇飾りに、裕美は呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マシュマローネ・アラモード


お可哀想に……世界を憎む心と魂……ここで鎮めましょう。

UC優雅なる射突エレガント・インパルス

モワ、魂に積もる憎しみも、原動力となる怒りも……この一撃で拭い去りましょう!
皇女として、時に憤怒とも対峙せねばならない時もありましょう、恐れはしません……ただ安らかに……今はお眠りになって……。

相手の機動力、向かいくる動きに合わせた最低限のインパルスで魂を打ち据えますわ。
数を減らし、突破可能なら先に進みましょう。
この世界に降りかかる理不尽と災いに対峙せねばなりませんわ。



●あなたのこころ
「あ。しってる。おぼえてる。ここで、うまれた」
 マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)が出会った災魔は、一部が崩れた旧実験棟の施設をぼんやりと見上げていた。
「うまれて、それから。とうさん。とうさま。ぱぱ。おやじ。ぼくは、だめなのか。そんなわけない。おれは、あたし、なにもしてない、できてないのにどうして」
 ゆっくりと、災魔の目がこちらを見る。愛らしい造型をしているのに、その瞳は虚ろで――そこに、憎しみが宿った。
「あなたをころせば。ううん、せかいごとなくしちゃえば。おとうさん、いいよって、いうよな」
 マシュマローネを憎しみで以て見つめているのは1体ではない。気が付けば、大剣を背負ったミレナリィドール達が何体も集まってきていた。
(これだけの皆様が……。お可哀想に……世界を憎む心と魂……ここで鎮めましょう)
 皇女として、これから理不尽と向き合うときもあるだろう。時には憤怒を集めてしまうこともきっと。
 災魔達の憎しみを恐れはしない。向けられる攻撃も受け止めるのでなく、拭い去る!
優雅なる射突エレガント・インパルス――!」
 彼らの機動力に合わせ、キネティック・リバルサーを振り抜く。
 自我すら乏しかった災魔達を動かすのは、ユーベルコードによって宿った世界への憎しみの心。その心さえ消し飛ばしてしまえば、過剰な機体の損壊はしなくていいはずだ。
 ああ、けれど。どんなに力を弱めても、彼ら彼女らは己の武器の重さで体が崩れてしまう。
(この世界に降りかかる理不尽と災いに、わたくしは対峙せねばなりませんの。ですから、今は……)
 別の方向から襲いかかる災魔へも、できるだけ出力を抑えてインパルスを放つ。
 1体だけ、インパルスの出力が弱かったせいか突破してきた個体がいた。ただし、その個体には胸から下がない。
 対応したのは衛星機構グレイス・フルムーン。皇女を護衛する白銀の刃が、偶然生き延びてしまった命にとどめを刺した。

(モワ……ただ安らかに……今はお眠りになって……)
 静かに祈って、マシュマローネは先を急ぐ。
 この世界は、壊してはいけないと。憎まなくていい世界なのだと。
 打ち払った彼女らに対しても、正面から胸を張れる皇女であれるよう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィナ・アンエノン
うーん、にぃなちゃん的にはこう言うミレナリィドールの子と戦うのってちょっと抵抗あるんだけど……仕方ないか、大魔王を倒す為だもんね。
メカニックとしても悔しいけどさ、なるべく痛くないようにしてあげるからね。

さて、そうなるとここは最大火力で行こう。
ユーベルコードで複製したガジェッティアレーザーを【一斉発射】!
敵は剣で攻撃する為に近寄ってくるから、これだけの数のレーザーでの【貫通攻撃】なら複数体一気に倒せたりできるはず。
外れた分も【地形破壊】して敵の動きを鈍らせるくらいの役には立つと思う。
それで倒せればよし、生き残ってたらブラスターで速やかにトドメだね。
パーツが破損するより先にやっつけちゃおう!



●あなたのつよさ
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は、悲しかった。悔しかった。
 体に不具合を起こしているミレナリィドールなら、本来はメカニックとして即メンテナンス、修理対象だ。こんな重そうな剣を持たせて戦わせている場合ではない。
 メカニックとしてでなくとも、こういうタイプと戦うのは少し抵抗があるのだ。
(……でも仕方ないか、大魔王を倒す為だもんね)
「あ」
 こちらを認識し、剣を背に振りかぶったところで片腕が落ちてしまったらしい相手。
 落ちたのか、落としたのか。あれでは身軽になってもバランスが悪いだろうに。
 更には、一人が振り向くとじぶんもぼくもわたしもと、次々に集まってきて戦闘態勢に入っていく。
「……なるべく痛くないようにしてあげるからね」
 まるで、注射を嫌がる子供にでも諭すように。
 最大火力の一撃で、痛みを感じる間もない一瞬で。なるべくパーツを破損させないうちに。
 それがせめてもの優しさだ。
「わたし、わからない。いたいって、なんだ。おしえてよ」
 腕の取れた1体が駆け出すと、他の個体もこれに続く。
 彼らは剣を投げて攻撃することはできない以上、どうしても間合いを詰める必要がある。
「せー……の!」
 迎え撃つニィナは一基でも建造物を破壊できる大型のガジェッティアレーザーを、ずらりと133基展開させる。
 1体に1発ずつ当ててもレーザー砲の方が多いだろう。
 それを。
「ばぁん!」
 トリガーとなる彼女自身の声が掻き消される勢いで、レーザーが一斉掃射される。
 攻撃が始まると何体かは直撃を受けてレーザーに貫通され倒れたが、更に速さを上げて回避しようと敢えてレーザーを受けた部位を放棄して迫る個体もいる。
 しかし、そのような個体がニィナまで辿り着くのは難しいだろう。外れたレーザーが地上を抉り取り、均衡の取れない機体では却って機動力が落ちてしまう。
「一発で倒してあげられなくてごめんね。痛い?」
 ニィナが尋ねた相手は残った脚で立ち上がろうとしていたが、背骨のような部位にある発条仕掛けがうまく噛み合わず何度もその場でこけていた。
「いたい、わからない。たてねぇ。なんで。あし、ある。ころさないと、きみ」
「ごめんね。今度こそ終わらせてあげる」
 光線銃ニィナブラスター。分解して潜ませていたそれを組み立てると、未だ立とうと足掻いている災魔へ向けた。
 正面から額を撃ち抜けば、光線が頭部を貫通して災魔が倒れる。再び起き上がることは、なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜


ではあなた方に存在意義を与えてあげましょう
揺るぎないたった一つの意味、この世に生まれてきた意味をね
それは──

ここで私に殺されるためです

良かったですね、自分の価値が理解できて
それで満足なのでしょう?

呪詛に満ちたオーラを「相手に」纏わせることで
行動を阻害し速度を低下させます
ねっとりとした泥の中に首まで嵌ったかのようにね
これにより動きが鈍くなるだけでなく
あなた方は自分の体も破壊できません

身動きできないのならお人形というよりもはや置物ですね、ふふ
UCを発動し破壊します
悪夢の中で果てなさい

……自分たちが生を、命を謳歌している夢を見ながらね

あなた方は戦った
それこそが生きるということの意味だったのです



●あなたのいみ
 なんで、どうして。
 わからないけど、たたかわないと。ころさないと。

 戦う理由も生きる意味もわからないまま、ただ殺しに来ている災魔達を黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は哀れんだ。
「命としても、道具としても、意義も価値もわからないのはあまりにも哀れです。
 ですから、あなた方に存在意義を与えてあげましょう」
「そんざい、いぎ。なんだそれ」
「あなた方にとって揺るぎないたった一つの意味、この世に生まれてきた意味のことです」
 それは――と、どこか勿体ぶるようにも見える緩慢な動きで鎖の絡む腕を上げ、真っ直ぐ災魔を指差す。

「ここで私に殺されるためです」

 その言葉と同時に、魅夜から禍々しいオーラが放たれ災魔達に纏わり付く。呪詛に満ちたオーラは重い鎖のように、粘つく泥沼のように、彼ら彼女らの動きを鈍く阻んだ。
「良かったですね、自分の価値が理解できて。それで満足なのでしょう?」
「からだ。あれ。はずせない。はずれねえ。けんが、ふれないよぉ」
「身動きできないのなら、お人形というよりもはや置物ですね。ふふ」
 思うように動けずのろのろともがく災魔達。魅夜にとってそのような標的を狙うのは、あまりにも容易かった。
悪夢の中で果てなさいデスドリーム・オブ・ユアセルフ
 自我が定まらずとも、意思があるならば魂はある。
 その魂に悪なる夢を見せるのだ。
 夢見るもの自身を喰らい尽くす夢を。

 ――過去の存在である災魔オブリビオンは、有り得なかった夢を見るのだろうか。
 自我も定まらぬ内に廃棄された彼らは、希望を持ち得るのだろうか。
 生とはなにか。謳歌とはなにか。夢とはなにか。
 現実に存在した時間よりも、遥かに長い時間を災魔として存在してきた彼らにとって――最後に認識したものが『命を謳歌する夢』とは、あまりに残酷で、美しい悪夢だったに違いない。

 災魔の1体が残した剣がやがて消えていくのを、魅夜は見届けていた。
(あなた方はここで私と出会い、戦った。
 それこそが生きるということの意味だったのです)
 最後の1片が消えるのを見送って、魅夜は旧実験棟内部へと足を進めることにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリスフィーナ・シェフィールド
負傷とか装備破損は問題なし

何のために生まれたのか、何のために生きてるのか。
そもそも必要ない存在ではないのか……痛い程良く分かりますわ。
何故ならわたくしも自分の事をそう思っているから。
それでも生きていたいのだけれど。

助けられなくて御免なさい、せめて辛くて苦しい生から開放して差し上げますわっ。
それが貴方達に贈れる唯一の贈り物だからっ。

超攻撃力と超耐久を得るなこちらはスパイラル・インパクトで超高速大威力で先手を取って打ち貫きますわ。

……貴方達は頑張りました、ゆっくり休むと良いのですわ。



●あなたがいきたあかし
 未だ生まれ続けながら、生まれた意味もわからないまま剣を振りかざす災魔達。猟兵の活躍により徐々に減りつつはあるがもうひと押しが必要だろう。
「あなたを、こわすよ。わからねえけど、たぶんそう。めいれいは……うけたかどうか、わからないですけど。おぼえてない。すてられたからな」
 一人が話す間も口調が定まらないのは、自我が定まる前に廃棄されたから。ならばなぜ生み出されたのか。失敗作だとしても、何かに活かせなかったのか――イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は、悲しかった。
「何のために生まれたのか、何のために生きてるのか。
 そもそも必要ない存在ではないのか……その問いかけ、痛い程良く分かりますわ」
 イリスフィーナもまた、『使えるかどうかが全て』という世界で幼少を過ごしてきた。どれ程活躍しても褒められず自分に価値が見出せない日々は、彼女の自己肯定力を地の底まで下げてしまった。
 幼少の折に刻まれた価値観は今でも根強く、無条件に自分を肯定することは難しい。

 それでも、イリスフィーナは死にたくはない。生きていたい。
 そのために歩めることだけは、あの災魔達と比べても救われていただろう。

「わたしをすてたぱぱ。ぼくをすてたとうさん。わるいのはなに? おやじ? このばしょ? せかい? このせかいごとこわせば、おれたちはすてられないんだ!」
 何もわからない災魔達に世界への憎しみが宿る。元はなかった感情を、宛のないものへぶつけなければならないという状態は、どのような苦しみだろうか。
 理性を失った災魔は、崩れる瓦礫にさえ無差別に反応して剣を叩きつけていた。
「助けられなくて御免なさい、せめて辛くて苦しいその生から、解放して差し上げますわっ。
 それが貴方達に贈れる唯一の贈り物だからっ!」
 輝く意志の光が、螺旋の渦を描いて拳を覆い強化する。
 その拳を打ち込むべく間合いを詰めればすぐに反応した災魔も向かってくる。
「螺旋貫通っ、スパイラル……インパクト! ですわっ!」
 剣を振り下ろされるより速く、超高速の重い拳を叩き込む。それでも振り下ろされた慣性と重力により振り下ろされ、イリスフィーナの額に振れて――災魔と共に消えた。

 気付けば、災魔達が生じていた旧実験棟の壁からさらに奥へ進めるようになっていた。
 この先は更なる危険が待ち受けることだろう。無事に戻れるかはわからないが、今はその前に。

「……貴方達は頑張りました、ゆっくり休むと良いのですわ」
 振り返り、消えた災魔達を労う言葉を贈って。
 彼らの行動に、意味はあったのだと伝えて。
 イリスフィーナは次の地を目指した。

 旧実験棟の中。今も外では災魔が緩やかに生まれる中、巨大な魔法陣が描かれた大部屋があった。
 これこそは、かつて打ち倒されたはずの大魔王――その複製を生む場所なのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『ウームー・ダブルートゥ』』

POW   :    ホープイーター
【敵対者の願い】【敵対者の望み】【敵対者の祈り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ホープブレイカー
【敵が恐れる大魔王形態(恐れなければ全て)】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    ホープテイカー
戦場全体に、【触れると急速に若返る『産み直しの繭』】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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●最強の大魔王、再臨
 災魔達の孵化する勢いが収まり、旧実験棟の内部を進む猟兵達。
 本来の旧実験棟とは構造が一変しており、そこはアルダワ地下迷宮のような異様な姿へと変化していた。
 あるはずのない毒沼や宝箱の間、高熱のマグマが噴き出す部屋を駆け抜けて行く内、猟兵は更におかしなことに気付くだろう。
 ――変化したそれらの迷宮が、魔力の粒子となってどこかへ流れていることに。

 明らかに外から見た旧実験棟の大きさではない広さを進んで、辿り着いた『迷宮』の最奥。
 魔力の粒子が集まっている巨大な魔法陣が眩い光を放つと、それはかつての大魔王の姿を取った。
 獅子の下半身に怪魚の尾。
 人の上半身に、山羊の角。
 悪魔の翼に、天使の翼。
 悪なる炎に、聖なる炎。
『これは……記憶が定かならば、我は……、……否』
 大魔王『ウームー・ダブルートゥ』。禍々しくも神々しいその姿はかつての本人ではなく、この場に生み出された『複製災魔』である。
 自らもそれを認識しながら、大魔王はその目に猟兵を映した。
『我は複製。再現のかたち。なれど本体に劣ることもなし。
 知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て。
 我はこの世の全てを喰らうもの。
 すべての希望を聞き届け、我が糧とするものである』
 大魔王の炎が猛り、肉体が輝きを放つ。
 かつての魔王戦争の再現を、ここに。

===============
 第2章のプレイング募集は【この断章投稿後~21日25:00頃】とします。
 トドメ狙いなどの参考になさってください。
 また、期間内に成功度を達成できなかった場合は追加でサポートを採用致します。
 (執筆までに間に合えばプレイングの送信も可能です)

 かつてアルダワ地下迷宮にいた大魔王の内、最強の形態がこの『ウームー・ダブルートゥ』です。
 大魔王の複製にあたり旧実験棟内は次元が歪み、ほぼアルダワ地下迷宮と同様の空間となっています。
 (校舎内の教室的な空間は消え去っています)
 『アルダワ魔王戦争』でのことも僅かに覚えています。
 複製であるため戦争当時のような先制攻撃は行いませんが、それでも十分に強力です。
 この大魔王を撃破すれば、この地のオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』への道が開けます。

 第2章のプレイングボーナスは【敵のユーベルコードへの対処法を編み出す】ことです。
 ご参加お待ちしてます。
イリスフィーナ・シェフィールド
っ、これが最強の大魔王ですかっ。
震えが……臆するなわたくし、過去に倒された存在ですのよ、恐れる必要などありませんわっ。

わたくしの願いは名もなきミレナリィ・ドールのような存在がまた生まれるのを防ぐこと。
その為にも先に進ませていただきますわっ。

っつ、硬い……防御力を強化して先に進ませないということですか。
それならそれ以上の攻撃力で持って打ち貫くのみですわっ。
全力全開っ、アルティメットモードですわっ、こうなったわたくしは優しくありませんわよ。
一気呵成に決めさせてもらいますっ……ダメージもらうと耐えられないでしょうし。



●意志の光、願いの壁
 その威容を前に、イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は思わず立ち竦んだ。
「……っ、これが最強の大魔王ですかっ」
 この世ならざるもの。その最上位の一角に座していたであろうもの。
 張り詰める空気は同じ場所に立っているだけで指先から感覚を奪い、呼吸しようとした喉は震えて声を詰まらせる。
 唯一人で立ち向かえる相手なのかと、ただ恐れ、見上げ――気付く。

 これは、複製災魔。どれほど強かろうと、過去に倒された存在の再現に過ぎない。
 つまり、打ち倒すことは――不可能ではない!

「大魔王、ウームー・ダブルートゥー……ええ、わたくしは願いますわ。
 名もなきミレナリィ・ドールのような、悲しき存在がまた生まれるのを防ぎたい。
 ……その為にも、先に進ませていただきますわっ」
 自分が何者なのか、なぜ生まれたのかもわからないまま戦い、滅ぼされるしかなかった悲しきミレナリィドール達だった。死んだ後になってまで、そのような苦しみを味わう存在が現れなくていいように。過去より滲み出るオブリビオンが、この世界に現れないように。
 後ろへは退かず、前へ。
 見下ろす大魔王へ駆け出し、強い意志の力を正面から叩き付ける――!
「っつ……!」
 しかし、イリスフィーナの一撃は外見からは想像も付かない硬度の障壁に阻まれてしまった。方向を変えても、背後を取っても、魔王は微動だにしていないのに攻撃が全く通らない。
『我は汝の願いを喰らう。望みを、祈りを喰らう。
 口にしようと、せずと。総ての希望は、そこに在ることが我が糧となる。
 より強く願うがいい、知的生命体よ』
「防御力を強化されましたか……けれどこれしきっ!
 それ以上の攻撃力で以て打ち貫くのみですわっ!」
 イリスフィーナが纏う光り輝くオーラの色が変化する。身を守る力も総て攻撃力へと転じ、不屈の意志は黄金に彩られた。
「全力全開っ、アルティメットモードですわっ! こうなったわたくしは優しくありませんわよ……!」
『より強き意志とは、即ちより強き希望である。希望とは我が糧である。
 その力もまた、我が力としよう』
 泰然自若として動かぬ大魔王相手に、全身を目映い黄金に輝かせたイリスフィーナは羽衣をはためかせながら宙へ飛ぶ。
 今は『身を守る力も総て』攻撃へと変換している。一般人と同じかそれにも劣る程度の守りでは、大魔王の攻撃を食らえば一撃で沈んでしまうだろう。命があるかもわからない。
 ゆえに、反撃を許してはならない。これで、決めねばならないのだ――!
「一気呵成に、決めさせてもらいますっ……!!」
 火球のごとき光源と化したイリスフィーナは、閃光の軌跡を残しながら大魔王へ攻め込む。
 まず一撃。先ほどより手応えはあるが、確かに強くなった意志の分障壁も強くなっているように感じる。
 しかし、それは一撃で終わった場合の話。
「はぁ――――っ!!」
 隙を与えず、一挙に攻め込む。
 何度も打ち続ければ、大魔王の障壁とて――――
『……何だと』
「そこですっ!!」

 ――――打ち貫く!!

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィナ・アンエノン
うーん、複製とは言え相変わらず困っちゃう能力……意志がある限りは誰だって願いや望みくらいあるもんね。
とゆー事で、今回は機械の皆に相手して貰おうかな!
命令に従って動く自律型キャバリアなら、そーゆーのあんまり無いと思うんだよね。
にぃなちゃんも攻撃命令だけして【砲撃】させて、後は観戦してよう。
キャバリアに乗って、ユーベルコードで召喚したキャバリアの後ろで待機。
完全に願いを持たないなんて無理だろうけど、なるべくフラットな目線で見てチャンスを伺うぞ!
そんな中で大魔王の隙を見つけたら後は【瞬間思考力】頼り!
一瞬の判断で、条件反射の勢いで撃ち込んじゃうぞ!


黒城・魅夜
そうですか、コピーながらも猟兵との戦いを朧げに覚えていると
ならば私のことも多少は覚えているのではありませんか?
なにしろ私はあなた……いえ、あなたのホンモノを
14回にもわたって叩きのめしたのですからね、ふふ

繭の迷路には触れなければいいだけの話
オーラと結界を二重に展開し防御

…ほう、結界でさえ蝕んでくるのですか
しかしそれは同時に
結界に触れた繭もまた腐っていくということ
結界には呪詛が満たしてあったのですからね、ふふ

敵の気配を察知する心眼と見切りで迷路の出口へ向かいましょう

魔王を見つけたのならUCを発動
あなたに相応しい悪夢は
14回にわたって私に殺され続けた
本物と同じ死の瞬間を繰り返し味わうことです、ふふ



●呪いの再現、凪の弾丸
「うーん、複製とは言え相変わらず困っちゃう能力……意志がある限りは誰だって願いや望みくらいあるもんね」
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は、かつての魔王戦争を戦った当事者だ。実際に対峙したのは異なる形態だったとは言え、この『ウームー・ダブルートゥー』の脅威も伝え聞くところではあった。
「そして、コピーながらも猟兵との戦いを朧げに覚えていると……」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)もまた、当事者の一人である。
 そして彼女はその唇に弧を描いた。興味が湧いたのだ。猟兵との戦いを覚えているとは、つまりどういうことなのか。
「ならば、私のことも多少は覚えているのではありませんか?
 なにしろ私はあなた……いえ、あなたのホンモノを14回にもわたって叩きのめしたのですからね、ふふ」
『嘗ての我を破壊した猟兵は数知れず。幾度にも渡り我を破壊した者もいたのであろう。
 破壊を望む意志もまた希望である。今の汝が姿もまた、我は喰らおう』
 14回殺したと告げる相手に対しても、大魔王はあくまでその意志すら糧とする姿勢を崩さなかった。
 その姿勢ゆえに滅ぼされたことを覚えていないのか、滅ぼされること自体を意に介していないのか。
 いずれにせよ。
「つまり喰らう意志がなければ、キミの糧にできるものは無いよね? とゆー事で……集合! にぃなちゃん軍団!」
 意志持つ人が直接戦わなければいいと判断したニィナは、130体を越える自律型キャバリアの軍団をユーベルコードで召喚すると、自身は高機動キャバリアに搭乗し軍団の後方から砲撃指示を出す。
「いっけぇー!」
 ニィナの指示の元に、キャバリア軍団は一斉射撃を仕掛ける。さすがの大魔王もこれだけの射撃を前に無傷でいる事は不可能なはずだ。
『……戦闘とは意思表示である。敵対とは願いを持つ者の行動である。
 これだけの攻撃を浴びせる汝の強き願いを、我は確かに認めた』
 大魔王の白い体には、ほとんど傷がない。ニィナ自身は大魔王から認識されないよう、キャバリア軍団の背後へ隠れていたにも拘わらずである。
「にぃなちゃん軍団で撃破できるとは思ってなかったけど……にぃなちゃん達に意思は無かったはずだよね?」
「『召喚ユーベルコードを使った術者』の意思を喰らって防御力を得たのでしょう。複製とは言え大魔王の最終形態……次が来ますよ」
 魅夜が黒いオーラと結界で自身とニィナを囲った次の瞬間、大魔王の肉体が光り空間全体へ糸を発した。糸は迷宮を創り出し、内にいる者を繭のように包み込む。
「これは『産み直しの繭』。触れれば急速に若返り、赤子にまで至る迷路です」
「やばいね……でもキャバリアには関係ないはず、あれ? にぃなちゃん……パーツに戻ってるー!?」
 魅夜とニィナは結界で直接触れていないため影響は無いが、直接繭に触れたキャバリア達は急速に『若返った』結果部品に戻ってしまったのだ。
「産み直しどころか、これじゃ再生産だよ~! にぃなちゃんがリサイクルされちゃう!」
「……ほう、この結界さえ蝕んでくるようですね」
 二重に囲われた黒い結界も、繭が触れた場所から徐々に薄れてきていた。このままでは結界が壊れ、その内の魅夜達も――となるところであるが。結界を張っている魅夜は余裕の表情だ。
 なぜなら。
「あれ……ちょっとずつだけど、繭が黒くなってない?」
「この結界は『敵への悪意』と呪詛でできているものです。悪意も願いの一つではあるでしょうが、呪詛に触れてしまっては腐ってしまうでしょう」
「それじゃあ、今の内にこの迷宮を抜けちゃお! 迷宮ごと壊せたら楽なのにね~!」
 魅夜は魔王の強い存在を感じる方向を感じながら、ニィナは結界内から迷宮の構造を調べながら、迷宮の出口を目指していく。
 隠しようもない、圧倒的な存在感。それはもはや、迷宮における道標となっていた。
「ただ立っているだけで猟兵と戦えるとは……ですが、それもここまでです」
 迷宮内から、出口にいる大魔王を見据える魅夜。彼女は真紅の胡蝶の群れを召喚すると、大魔王へ向けて放った。
 その群れは、ただ対象の肉体を蝕むだけではない。
「あなたに相応しい悪夢は――14回に渡って私に殺され続けた、本物と同じ死の瞬間を繰り返し味わうことです。ふふ」
 胡蝶の群れが鱗粉を撒き散らしながら、大魔王を覆う。今頃かの大魔王は悪夢の中で空虚の光を浴び、呪詛を浴び、肉体の内外から鎖に貪られ――14通りの死に方を再現されているはずだ。
 それでも微動だにしない大魔王。悪夢に意識が集中しているのか、それほどまでに強固な防御なのか。

 ニィナの判断は一瞬だった。
 極限まで精神を凪に近付け、悪夢に支配された大魔王の頭部を――キャバリアの主砲で貫いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

中村・裕美

「……願い、望み、祈り……あなたに捧げている暇なんてないわ」
雑多な思いなどは多少あるかもしれないが、今は目の前の敵を倒す。それが任務であり仕事だから。
「……だから……想いは封印する」
【魔竜転身】で理性を封印し、大魔王に襲いかかる。爪による【早業】で相手を【切断】し、相手の肉体を【ハッキング】し電子データ化させる【ブレス攻撃】で肉体を削り取ってゆく。周りの被害を考えなくて済むから色々都合はいい

できれば味方は巻き込みたくはないけど、巻き込んで電子データ化させてしまった場合は、正気に戻った後で電脳魔術で治します
「……願いは……自分で叶える。……少なくとも……あなたの手は必要ないわ」



●本能の爪、理性の願い
 願いも。望みも、祈りも。
 人間として生きている以上、それらを全く持たないでいることは不可能だ。
 この大魔王の糧にしたくないと思うことすら、願望として成立してしまうのだから。

 それでも、大魔王に何も捧げたくない場合はどうするか。
 中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が選んだ答えは――。
「……想い理性は、封印する」
 少女の肉体は見る間に形を変え、巨大な迷宮と化した空間ですら手狭に感じさせるほどの巨躯の魔竜へと変じる。あらゆる感情を、感情を覚える理性を掻き消した姿だ。
 この魔竜の行動は単純である。ただ、素早く動くものを無差別に、本能のままに攻撃し続けるだけだ。
『変身によって理性を捨てるか。感情も、快も不快もなきものは、確かに知的生命体とは呼べぬ』
「■■■■■■――――!!!」
 理性なき魔竜は、言葉を解さない。大魔王の反応など意に介さず、鋭い爪で素早く襲いかかった。巨大な魔竜の爪は、それだけで大鎌の一振りよりも勝る。
『……なれど猟兵よ。それもまた願いである。
 知的生命体としての汝が願った、我を打ち破らんとする願いの形であるならば。
 この世に生きる汝がそれを望んだのであれば。
 それは我に届く願いである』
 大魔王の肉体を両断しているはずだった爪の一撃は、金属か岩にでも衝突したような鈍い音を立てていた。
 ともすれば、魔竜自身の爪が欠けかねないほどの衝撃をもたらしていた。
 しかし、今の魔竜には大魔王の言葉を理解する理性が無い。己の負傷すらその行動を止める理由たり得ない。
「■■!!! ■■■■――――!!!」
 魔竜は吼え、絶えず爪で大魔王の肉を抉ろうとする。腹が駄目なら首を、頭を、腕を、翼を、尾を。
 願いを受け鉄壁の防御力を備えた大魔王の肉体は、それでも容易には傷付かなかった。
 ――かの王が距離を置き、攻勢に出るまでは。
『己が願いにて滅ぶが良い』
「■■■!!!」
 後光が破壊の光線となって発せられるのと同時、魔竜は大魔王へと迫る。光線は魔竜の堅牢な鱗で受けきり、ついにその爪が大魔王の肉体を裂いたのだ。
「■■■■■■■■■――――!!!」」
 魔竜の口が開かれ、ブレスが放たれる。それは炎の吐息でもなければ、氷でも雷でも、風でもない。
 衝撃波のように広がり、触れたもの全てを0と1の情報電子データへと分解する電子ブレスなのである。
 ブレスは傷口から大魔王の内へと侵食し、その肉体を『情報』へと分解していった。

「……願いは……自分で叶える。……少なくとも……あなたの手は必要ないわ。聞くだけで、叶えるつもりがない……あなたなんか」
 魔竜の変身が解けた裕美が言い残した言葉は、まさに知的生命体が持つ当然の願いであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マウザー・ハイネン
〇☆
魔王戦争は存じませんが…蘇ってきたのですね。
ギルタブリルやムシュマフの復活も警戒した方がよさそうですが…再現体、複製が何度現れようと、都度地に這わせて差し上げましょう。

UC起動、魔の吹雪を呼びます。
迷路各所の繭に触れぬように凍らせ氷雪で覆い、その上で避けながら駆け抜け大魔王の元へ。
途中雪に紛れ飛来した聖剣を拾い気合を入れつつ、何かに触れて身体に影響が現れたら即座に離れ気合で今の年齢に戻します。
まあ多用はできないでしょうが…討つまでの間なら。
氷を滑り滑走突撃、氷槍で胸の赤き宝石を貫き砕きましょう。
…願いは少しは叶いました。けれど、それ以上は私が叶えないとならないもの。
だから、貴方は不要です。



●終の王、再現の終焉
 エンドブレイカー世界から猟兵達の世界へ辿り着いたマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は、魔王戦争を直接は知らない。この姿の大魔王『ウームー・ダブルートゥー』を目にするのも初めてのことである。
 しかし、かの世界にもギルタブリルやムシュマフなど、大いなる脅威は数多くあった。魔王戦争においても『エリクシルの妖精』が蘇っていたと聞く。
「……同じことです。
 魔王であろうと、妖精であろうと。再現体であろうと、複製であろうと。
 何度現れようと」
 その度に、地に這わせて差し上げましょう――アイスレイピアを構えると、マウザーはその場で魔力を帯びた吹雪を呼び出した。凍てつく雪は、大魔王であろうとその四肢の動きを鈍らせてゆく。
『終焉を願う者。終焉の終焉を望む者。
 望みを抱くことこそ知的生命体の証。願うことはまさに希望を抱く証。
 大いなる希望を持つがいい――何度産まれ直そうとも』
 大魔王は微動だにしないまま、氷の下から糸を繰り出す。繭の迷路を紡ぐ糸は鋭くも柔らかく、殺す意志を持ちながら優しさもあった。
 その優しさとは――柔らかな褥の中で若返り、幼子となり、赤子となってもなお外へは出さぬ、母のゆりかごに見せかけた致死の監獄である。
 繭の糸は迷路の構成を終えてなお、内にいる者を捕えようと糸を伸ばしてくる。
「私にも願望はあります。しかしそれは……貴方に与えられ、叶えるものではありません」
 繭の内にも氷雪が渦巻き、糸を凍り付かせてゆく。柔らかくも鋭い糸は、この氷もすぐに貫いてくるだろう。地を強く蹴り体重を移動させれば、マウザーの体はするすると氷の上を滑っていく。
 繭の外の方で金属の音がするのは、雪に紛れて飛来している聖剣だろうか――と思いを馳せていると、マウザーの行く先にも聖剣ディアボロスブレイドが突き刺さっていた。擦れ違いざまにその一振りを引き抜くと、しっかと握り締めて迷路の出口を目指した。
 立ち止まれば糸に捕らわれる。その前に急いで脱出し、大魔王を打ち倒さねば。

 風を切り、ようやく迷路の出口へと辿り着く。
 繭へ捕らわれる前より大魔王が大きく見えるような――否、逆だ。マウザーが道中で少しずつ糸に掠ってきたのだ。
 糸に触れる感覚がする度、剣を握り直して自分の本来の年齢を思い出してはいたが、大魔王の繭は個人の意志を無視してその時間を巻き戻しつつあったのだ。
 もう少し時間がかかっていたらどうなっていたことか――だが、そうはならなかった。
「いま一度、地へ伏しなさい」
『その体で我に立ち向かうか、猟兵よ』
 マウザーが氷を蹴り、勢いを付ける。
 大魔王は獅子の後ろ脚で立ち、翼を羽ばたかせようとする。

 ――そこまでだった。
 雪と共に飛来する聖剣の群れが、大魔王の自由を奪い床へ縫い付ける。
 その胸の赤い宝石を、少し小さくなったマウザーがアイスランスで過たず貫き、打ち砕いた。

「……願いは少しは叶いました。けれど、それ以上は私が叶えないとならないもの。
 だから、貴方は不要です」
『……愚かな。知的生命体が希望を抱く限り、我は……――――』
 訣別の言葉へ最後に返されたのは、不滅を匂わせる言葉。
 しかし、この場に複製された大魔王『ウームー・ダブルートゥー』は今、事実として魔力の粒子へ分解され消滅したのである。
 この地における大魔王無限災群ウームー・インフィニット・ホードは、ほぼ停止したのだ。

 ――最後の一つ。この地でそれを再開できる術者を除いては。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『ミスター・グース』』

POW   :    マキナマギカ・ジェノサイド
レベルm半径内の対象全員を、装備した【魔導蒸気機械】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    メテオシャワー・ラッシュ
レベル分の1秒で【8本の首からそれぞれ異なる属性の攻撃魔法】を発射できる。
WIZ   :    インフィニット・インキュベイション
【災魔の卵】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を急速に災魔化し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

黄金災魔の卵を生み育むもの
 複製災魔として現れた最強の大魔王『ウームー・ダブルートゥー』をついに打ち破った猟兵達は、彼が君臨していたこのフロアが最奥ではないことに気付いた。
 厳密には、この『アルダワ地下迷宮のような空間』は確かにここが最奥なのだが、その『裏側』のようなものがあるようなのだ。
 歪みに歪んだ次元の裂け目。しかし現実世界ではない空間。その場所こそが、この舞台を整えた黒幕――オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の『巣』であるならば。

 機械の駆動音がして、次元の裂け目から鳥の足のような部位が出てくると、やがて異形が全身を現わした。
 蒸気をあげる魔導機械と黒いガチョウの肉体を組み合わせたような姿。そしてそのガチョウは8本の長い首を持つ。
 黄金災魔の卵を生むもの、猟書家『ミスター・グース』だ。
「……よくぞ辿り着いた。よくも止めてくれたな、猟兵よ」
 賞賛と怒りを隠さずに送る8本の首が、一斉にこちらを見る。
「俺達は魔王にあらず。魔女にもあらず。ガチョウグースは卵を生み出すことしかできなかった」
「888日。ようやく揃った卵も、これで潰れてしまった」
 別々の口が話すが、その話は綺麗に繋がっている。首によって異なる意志を持つというよりは、一つの意志を異なる首で分担している構造のようだ。
「卵は生み直せばいい」
「俺達さえ生きていればできる」
「時間さえあれば可能だ」
「止められるか猟兵。俺達を縛っていた呪いはもうない」
「俺達は必ず生き残る」
 彼の肉体を構成する魔導蒸気機械の義肢が、蒸気をあげて展開する。

 オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』。
 その計画を砕く時だ。

===============
 第3章のプレイング募集は【27日8:31~30日25:00頃】とします。
 トドメ狙いなどの参考になさってください。
 また、期間内に成功度を達成できなかった場合は追加でサポートを採用致します。
 (執筆までに間に合えばプレイングの送信も可能です)

 大魔王『ウームー・ダブルートゥ』の複製と同じ場所での戦闘になります。
 アルダワ地下迷宮とほぼ同様の空間となったこの場所で、オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』を打ち破りましょう。
 『ミスター・グース』はその8本の首で全方位を見ることが可能なので、『まず』死角がありません。意志はひとつなので首同士で『仲間割れ』をすることもありません。一見機動や防御に乏しそうな外見ですが、そこは『魔導蒸気機械で』カバーしています。
 『ミスター・グース』を倒せば、ひとまずこの地域での「大魔王無限災群ウームー・インフィニット・ホード」は完全に停止します。ただし、『ミスター・グース』を完全に滅ぼせるかはわかりません。

 第3章のプレイングボーナスは【『ミスター・グース』の弱点を見つける】ことです。
 ご参加お待ちしてます。
イリスフィーナ・シェフィールド
先程の大魔王は畏怖を抱かせる存在でしたがミスター・グースに抱くのは醜悪ですわね。
首だけ生物で何故か八本もあって残りが機械とか気持ち悪いですわ。
気長に努力された所悪いですがさっさとご退場願いますわねっ。

魔導蒸気機械は攻撃してる時は他の事にすぐ使えないようですわね。
ならゴルディオン・オーラで強化した状態で速度は抑えてミスターグースの足元や周りを飛び回りますわ。
それで移動や防御に使う部位、足や腕で攻撃をし始めたら最大速度に加速して一気に接近します。
ミスターグースが攻撃を止めて対処し始める前に生身の部分の首の根本を全力攻撃ですわ、一本でも落とせればよろしいのですけれど。



●その醜悪、生理的嫌悪につき
 ただそこに在るだけで命の危機を感じるほどの、圧倒的な畏怖と恐怖があるとすれば。
 イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)にとってのそれは、目の前のミスター・グースではなく先ほど撃破した大魔王の方だった。
 しかし、それはミスター・グースを軽視できるということではない。
 このオウガ・フォーミュラはそれとは全く別種の、生理的嫌悪から来る恐怖の対象だった。
(首だけが生物なのに、8本もあって絡み合っていて……残りの機械も歪で……見ているだけで気持ち悪いですわ)
 詳細に認識しようとすればするほど嫌悪は増す。
 計画のため長きにわたって彼が努力を積み重ねていたことは認めるが、本音を言えば一刻も早く退場してもらいたかった。

魔導蒸気機械マキナマギカ、展開を開始する」
 首のひとつが宣言すると共に魔導蒸気機械が蒸気を激しくあげると、ミスター・グースの両脇へ管で繋がれた銃のようなものが構えられる。それらの先端へ魔力が集まり発光すると、ビーム銃のように発射してきた。
「はっ!」
 その直撃を紙一重で避ける。イリスフィーナが避けた地面は抉れ焼け焦げており、あの銃の威力が侮れないものであることは一目瞭然だ。当たれば当然無傷では済まないだろう。
「いつまで避けられるか、猟兵」
「動いていないのに……! これが全自動攻撃ですのねっ!」
 別の首が話す間に、次のビームが来る。その後も、ミスター・グース本人は微動だにしないまま攻撃は全自動で展開され続け、攻め入る隙が見つけられなかった。
 しかし、弱点もある。あの機械は、ひとつの装備で攻撃している間は『それしか』できないのだ。移動も、換装もできない。できるとしても時間がかかるのだろう。
「でしたら、こうしますわっ!」
 全身に黄金のゴルディオン・オーラを纏うと、敢えて速度を抑えて距離を保ちながらミスター・グースの周囲を飛ぶ。
「小癪な」
 死角のない8本の首でイリスフィーナを捉えると、ミスター・グースは全自動で射撃を続けていた双銃を他の近接装備へ変えようとする。そのタイミングを、イリスフィーナは決して見逃さない。
 急加速してミスター・グースの頭上へ飛び上がると、その首が集まる頭部へオーラを放つ。
「その首、せめて1本――頂きます!」
「おのれ猟兵――!!」
 換装を急いで済ませたミスター・グースが頭上へ銃を向けるが間に合わない。
 黄金に光り輝くオーラに、動けぬ黒いグースが醜悪な鳴き声と共に飲まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中村・裕美
「……888日……大体7672万3200秒と言ったところかしら。……どれだけ準備しようと……潰えるのは一瞬ということを……身を以て知りなさい」

ミスター・グースの弱点…というより蒸気機械の弱点をつく戦法に出る
「……なぜこの世界の属性魔法で……火水風が優先的に教えられているか……あなたなら知っているわよね」
蒸気機械と相性がいいから。ならば、逆に相性の悪い属性は上記を停滞させるもの
「……パラメータ調整完了……現象改竄」
【早業】で空間を【ハッキング】し、UCで氷の嵐を起こし、蒸気機械の動きを鈍らせつつ攻撃。敵達の攻撃は温度差や氷で【残像】を産み回避
更には嵐に土属性(砂)も混ぜ、機械の隙間に巻き込ませる



●その体、機械につき
 ミスター・グースのガチョウの首が集まる頭部から、異様な煙が上がっている。装備の通気管から出ているものではなさそうだが、よく見ると首の1本がプラグかベルトのように力なくぶら下がっており、頭部の煙はそこから上がっているようだ。あの首は、先の猟兵により無力化されたのだろう。
「……8本の首も……既に7本……」
 その様子を確認した中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が呟くと、それを聞いたミスター・グースの数本の首が裕美を見る。
「首の1本程度、残る首と魔導蒸気機械で十分に補える」
「……それも……今だけ。……どれだけ準備しようと……潰えるのは一瞬ということを……身を以て知りなさい」
「その言葉、お前に返してやろう猟兵」
 魔導蒸気機械が蒸気をあげ稼働を始めると、アームのような部位の発条が回転して首の集まりの下部から何かを探している。やがて取り出された黄金に輝く卵こそは。人造物を災魔へと変えて孵化させる災魔の卵だ。しかもひとつではなく、複数の卵が銃弾の弾倉のように装填されていく。
大魔王無限災群ウームー・インフィニット・ホードほどの破壊は起こせないが。対人攻撃の『弾丸』程度なら、いくらでも生み出せる。俺達は呪いから解き放たれたのだから」
「……888日……大体7672万3200秒と言ったところかしら……。……長い間ご苦労様……」
 でもね、と。裕美は眼鏡を押さえながら、敢えて問いを投げかけた。
「……ミスター・グース……なぜこの世界の属性魔法で……火水風が優先的に教えられているか……あなたなら知っているわよね」
「知る必要は無い。だが推測は可能だ。その属性は蒸気を生み出し制御するもの。この世界の文明の根幹である」
「……流石ね……そしてそれは……あなたの魔導蒸気機械マキナマギカも同じこと……」
 思考の速さで展開されるマテリアルクラッカー。電脳魔術による『ハッキング』での現実世界への干渉を可能とする補助ツールだ。
 この捻れ狂った迷宮空間のパラメータを素早いハッキングによって取得、ツールに入力すると、ユーベルコードにより取得パラメータを異なる属性で上書きする。
「……パラメータ調整完了……現象改竄」
 空間を満たすのは氷と土属性による嵐。蒸気機械にとっての最適環境に整えられていた空間は、嵐によって撒き散らされた砂が機械の隙間へ入り込み、氷によって蒸気と駆動部が凍らされた。
「……どうかしら。自慢の魔導蒸気機械は」
「物理的に機械を止めるか。蒸気機械である以上は確かに土と氷が弱点。――しかし、これは魔導マギカだ」
 黄金の卵はその場で地面に次々と落ちると、地面からスライム状の災魔達が孵り魔法の光弾を発射してきた。
(それくらいなら、これで……)
 再び空間をハッキングし、光弾と自分の間に氷を集めて残像を創り出すことで直撃を避ける。
 生み出された卵が地面を災魔化することで繰り出されるミスター・グースの攻撃と、嵐の継続による裕美の攻撃は決定打が生まれにくく、耐久戦となる――かに見えた。
(……卵を生み出す速度が落ちてきた……今なら)
 卵の装填に時間がかかっている隙に、裕美が攻勢に出る。嵐をハッキングにより機械の一部へ集中させると、その部位を氷と土の重量によりパージさせたのだ。
「おのれ、猟兵……!」
「……その機体で、どこまでもつかしらね……」
 フロアへ転がった部位を、裕美は眼鏡の下で目を細めて見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィナ・アンエノン
さぁ、親玉も出て来たしそろそろフィナーレだぞ☆
にぃなちゃんの得意分野はやっぱりガジェット部分!
でもバイクを【操縦】しつつ自動攻撃を避けながら【メカニック】知識を【瞬間思考力】で総動員して敵の弱点を探す……うーん、これは中々難問だね!
そんな訳でピット君、手伝って☆
【視力】全開で【偵察】した敵の情報をピット君に解析してもらって、脆そうな所とか壊れたら攻撃を止められそうな所とかを相談して、狙う所を決めたら後はにぃなちゃんの【スナイパー】技術にかける!
その時は狙撃に集中するから、バイクの操縦もピット君に任せちゃおう。
さぁ、ガジェッティアレーザーの【貫通攻撃】を受けてみろー☆


黒城・魅夜
ふふ、怖い怖い
全ての首を使うことで死角を持たないとはね

では私が前にいても後ろにいても右にいても左にいても上にいても
「すべて」見られてしまうということですね、ふふ
ええ、あなたの周囲すべてに私が存在します
視界が多いからこそすべてが「見えてしまい」困惑するでしょう

無論、早業で展開した結界にオーラを投影し
誘惑の残像を映し出しているのですけれどね
そう、なまじ見えるからこそ視覚に頼ってしまう、そこがあなたの弱点

ですがそれは全て虚像です
真なる私は衝撃波を使い地中に潜り
あなたの視線の届かぬ真下からあなたを撃ち砕くのですから

UC発動
あなたの存在全てが塵に還るまでほんの僅か
そのつまらぬ野望もろとも消え失せなさい


マウザー・ハイネン
〇☆
…奇妙な姿ですね。
ミスターなのに卵を生み出しているのには突っ込まないとして、複数の頭は少々厄介。
ですがまた大魔王を孵化させられる訳には参りませんので…卵のままに潰させて頂きます。

他の猟兵と可能なら連携、攻撃タイミング合わせます。
UC起動、戦場の地形を滑走に適した滑り易さの氷で覆い敵周囲を滑走しつつ凍結攻撃で足元を徐々に凍らせていきましょう。
この速度では8つの頭の視界から逃れる事は出来ないでしょうが…
高速で放たれる属性魔法をフェイント交え躱しつつ、魔力を弾く氷の特性とそれに覆われた地形を利用して魔法を無効化し切り込みます。
頭は沢山でも足は二つ、足を固められれば認識できても避けられませんよね?



●その猟書家、『グース』につき
 ミスター・グースの肉体を構成しているガチョウの首の1本はだらりと垂れ下がり、魔導蒸気機械も一部のパーツがパージされている。
 対するこちらは、万全の猟兵が3人。
 それも、それぞれに得意分野が異なる猟兵達だ。
「親玉はダメージ負ってるし、こっちはつよつよ猟兵揃いだし、そろそろフィナーレだぞ☆」
「(ミスターなのに卵を生み出しているのには突っ込まないとして、)また大魔王を孵化させられる訳には参りませんので……卵のままに潰させて頂きます」
 蒸気エンジンを噴かすバイクに跨がるニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)と、アイスレイピア『ジュデッカ』を構えつつ素朴な疑問は巧みに押し殺したマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)。例えこちらが有利な状況であろうと、相手はオブリビオン・フォーミュラ亡き後の世界を簒奪せんとするオウガ・フォーミュラ。油断は禁物だ。
「1本減っているとは言え、複数の頭で死角がないのは少々厄介ですね」
「ふふ。ええ、怖い怖い。仲違いもしない、一つの意志でまとまった首なんて」
 マウザーの懸念を認識はしていても、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は余裕を感じさせる含み笑いを浮かべていた。
「……何か策が?」
「ええ。『全て見えている』からこその『盲点』がね」
「首への対策があるなら、にぃなちゃんはやっぱりガジェット部分を担当するね!」
 マウザーと魅夜の話から本体を任せて問題ないと判断し、ニィナは得意な機械部分の弱点を探る。
 とはいえ。
(バイクを操縦しつつ自動攻撃を避けながら同時に瞬間思考して弱点を探すー……のは、うーん……なかなか難問だね!)
 一般人なら注意散漫による危険運転待ったなしである。逸般人であってもなかなかの技術を必要とする技だ。一瞬の気の緩みから自動攻撃で蜂の巣にされてしまうだろう。
「そんな訳でピット君、手伝って☆」
『はいお嬢様』
 ニィナがユーベルコードで起動したのは、サポートAI『ピット・パーン』。使用者により執事口調で話すことを強要されている端末はバイクへ組み込まれると、いよいよ主と共にミスター・グースへ仕掛ける。
「いっくよー☆」
 エンジンが唸りを上げ、バイクが発進すると蒸気の煙がたなびく。
「愚かな。蒸気バイクごときで俺達の魔導蒸気機械マキナマギカを破れるか」
 迎え撃つミスター・グースは瞬時に蒸気機械を展開し複数の銃身を構成すると、走り抜けるニィナ目がけて魔法の光弾を発射する。銃身は回転式で、弾の補充は魔力で行われるため、術者の魔力が尽きるまで全自動攻撃が止むことは無い。
「あの回転銃の動き、少しでも鈍らせることができれば……星霊クリンよ!」
 銃の射程は戦場全域に及ぶため、当然ニィナ以外にも攻撃が及ぶ。
 マウザーは地を蹴り巧みに光弾を躱した後、『ジュデッカ』を地面へ突き刺す。するとフロアの床が星霊の力を帯びた不融氷で覆われ、その上に立つ者の安定を奪った。
 その影響は、バイクで攻めかかっているニィナにも及ぶのだが――。
『お嬢様、路面が滑りやすくなっております。タイヤ交換をお勧めいたします』
「この状況で!? 止まったら当たるし、走りながら交換なんて無理☆ ピット君やって☆」
『承知致しました。タイヤ走行から蒸気飛行へ切り替えます』
 タイヤが格納され、飛行モードになったバイクは宙空へと飛ぶ。あちらは問題無さそうだ。
 一方、ミスター・グースは。
「凍らせたところで俺達の攻撃に影響はない」
「不融氷には魔炎を」
「融けぬなら鉄と岩を」
 残っている首が一瞬で攻撃魔法を吐き出すと、命中した箇所から氷が破壊されていく。氷が残っている場所をマウザーは滑走しミスター・グースへ近付くが、彼の属性魔法と相性が悪いのか不融氷は完全には魔法を弾けない。
 加えて、7本の首の視界からは完全に隠れる事ができない。斬り込もうと間合いを詰めれば、その瞬間に目にも留まらぬ速さで魔法に襲われてしまう。
(思ったようにはいきませんね……しかし)
 ――手も足も出ない、というわけではない。
 自動攻撃とはいえ魔導蒸気機械でニィナを含む戦場全体を掃射しながら、マウザーを寄せ付けないよう7本の首の意識は集中している。
 そして、この首は7本でありながら、意志はひとつなのである。
「そこにもいたか」
「そこにもいるな」
「どういうことだ。残像か」
「いや、残り続けている」
「問題ない。全て一瞬で消し去れば良いだけのこと」
 マウザーを狙っていた7本の首がばらけて、7方向へばらばらに魔法を放ち始めたのだ。マウザーが分身したのではない。そこにいたのは、もう一人の猟兵――。

「あなたには全て見えている」
「私が前にいても後ろにいても、右にいても左にいても」
「上にいても」
 一瞬で放たれたミスター・グースの魔法が全て消えても、声は止まない。
「――『すべて』見られてしまうということですね、ふふ」
 気が付けば、あらゆる方向に魅夜が『分身』していたのだ。
「ええ、あなたの周囲すべてに私が存在します。
 視界が多いからこそすべてが『見えてしまい』、困惑するでしょう」
 『見えるから死角がない』という過信――それはそのまま、『視覚への依存』という弱点へ繋がる。
 魅夜が見出したのはそれであった。

「本体はどれだ」
「隠れても無駄だ。魔導蒸気機械は全域が対象だ」
「見えている必要は無い。俺達は魔力の限り自動で狙える」
 視覚という弱点を突かれても、ミスター・グースはまだ余裕を見せていた。
 この猟書家はまだ己の力を過信していたのだ。
 何をしようと、全域に自動で攻撃が続いているのだから逃すはずがない、と。
「エンドブレイカーを……猟兵を、その程度で落とせると思いましたか」
 狙いも定めない全自動攻撃は不完全ながらでも氷で弾くことができる。
 首からの直接攻撃は、魅夜の分身と狙いがばらけて避けやすくなっている。
 それだけの隙があれば、マウザーは氷を滑ってミスター・グースへ肉迫できた。
「覚悟!」
 ついに捉えたミスター・グースを、アイスレイピアで斬り付ける。
「ガァッ! おのれ……!」
「やっぱり首が1本少ないだけでも、完全にカバーできなくなるんだね☆」
 それまでバイクで走り回っていたニィナが、首が機能しなくなっていた方向の空中から回り込む。ミスター・グースに大きな隙が生まれるこのタイミングを待っていたのだ。
 バイクの操縦もピットに任せ、ニィナは大型のガジェッティアレーザーを構えた。
「対物レーザー砲、受けてみろー☆」
 発射音が空気を震わせると、高火力のレーザーが蒸気機械ごと焼き尽くさんとする。
 それでも、ミスター・グースはまだ生きていた。
「ガァ……だがこれ以上のダメージは通るまい……魔導蒸気機械マキナマギカ、シールド展開――」
 しかし、ミスター・グースの蒸気機械が新たな形態へ変化することはない。
 それどころか、彼の足元から鎖が伸びて絡まり、更にその鎖が触れたところから塵になって崩れていくのだ。
「な……にが、起きている……!?」
「あなたが分身だと思っていたものは全て、私が展開した結界の内側へ投影された虚像に過ぎなかったのです」
 ミスター・グースがマウザーやニィナに気を取られている隙に衝撃波で氷の下の地中へ潜っていた魅夜が、彼が大きなダメージを受けた頃合いを見計らいその真下からユーベルコードを発したのだ。
 数にして136連撃を、彼の唯一の死角であろう真下から2種類の鎖で浴びせることで、彼の意志と自由を縛りながら消滅させたのだ。
 その全身が塵と消えるまで、瞬きほどの時間しかかからなかった。

「……そのつまらぬ野望もろとも消え失せなさい」
 最後にミスター・グースがいた場所を一瞥すると。魅夜は漆黒の髪を払う。
 彼の消滅と共に、地下迷宮じみた場所は旧実験棟の景色へと戻っていった。

 この地でのオウガ・フォーミュラに、三人は勝利したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年05月03日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト