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記録No:f39307『黒き悪評高き狼』管理教育記録

#サイバーザナドゥ #ノベル

エミリヤ・ユイク
今回はエミリヤの過去についてお願い致します。
エミリヤは自分を造った研究所からの任務で数多くの民間人を殺めてきました。無論、ある程度の基本的な教育も受けてきたエミリヤですが、戦闘面でどの程度使えるか、また自分達にどれだけ従うかを確認する必要が研究所にとって必要だったのです。その為にエミリヤの首には首輪が着けられました。勿論、断ればエミリヤはつけた首輪が爆発して殺されますし、任務失敗の場合殺されはしないけど強力な電流で痛めつけられます。なので、生かさず殺さず完全成功体であるエミリヤをコントロールできるか、それが研究所にとっての課題でした。
とはいえ、いつまでもそれらが続くわけでもなく、データを取り終えたら、今度は逆に野放しにして観測データを取ろう、というのが今のエミリヤです。
エミリヤに軍服を着させてるのも、「お前はあくまで猟犬に過ぎない存在だからな?そこ忘れるなよ?」という意味も込められており、エミリヤが黒狼牙爪のことを「スヴァット・フローズヴィトニル」…黒き悪評高き狼(フローズヴィトニルの意味は、フェンリルの通称で悪評高き狼という意味です)、と皮肉を込めて呼んでいるのもそのためです。
エミリヤの過去については以上になりますが、アレンジ、設定などありましたら大歓迎です。
また、ご不明な点などありましたら、マスター様にお任せします。
それでは、よろしくお願い致します。



 これはとある■■研究機関跡地より採取された記録ファイルの一つの解析結果の一部である。
 遺伝子複合クローン精製実験、および制作記録は解析すべき内容が多いと見られる。

 被検体No:f39307資料
 ベース被検体細胞No:f04458
 合成被検体細胞No:f39247

 戦闘記録映像解析結果
 ディスク記録:破損補修成功。一部破損再生不可。

 再生を開始。

 ■■月■日
 被験体No:f39307精神支配処置レベルの確認指導記録。
『No:f39307、何故第三票敵を捕縛、尋問に成功しながら処理を行わなかった』
 軍服の男が俯きながら椅子に座る未だあどけなさの残る華奢な黒髪の少女相手に、酷く高圧的に問いかける。
「しかし教官……あの人間が妻と、赤ん坊がもう時期生まれる、っ、と?!」
 少女が言い切る前に部屋に響いたのは電流が弾ける様な音。
『話にならん』
「っ、ぐっ!あ゛ぁ゛っ!」
 教官と呼ばれた男が無機質に吐き捨てれば、“No:f39307”と呼ばれた少女が首輪に勢いよく手を伸ばし握り身悶え悲鳴を上げる度、パチパチ走る電流は首輪から放たれている。
『お前はこちらの指示よりアレ邪魔な男を優先するのか』
「すみっ、ま゛っぜん゛!」
『……今回の指導はここまで。判断を誤るなNo:f39307』
 冷たく告げた男が踵を返し真白い部屋を退室する。
 残された少女は一筋の涙を溢しながら、帯刀していた刀を抱くと囁いた。
「……次は、間違えない」


 被験体No:f39307は“人情”に訴える標的の言葉に判断を誤る確率アリ。担当教官■■オ管理の下、“最優先事項”への再教育を行う。


 ■月■■日
 被験体No:f39307精神支配処置レベルの確認指導記録。
 先の映像より経った月日に比例し少女の表情は数段無機質になり、ギラつく瞳は荒んだ色を宿していた。
『■■■コーポレーション■電開発研究室襲撃ご苦労。だが食い散らかすな、スヴァット・フローズヴィトニル』
「は」
 スヴァット・フローズヴィトニル黒き悪評高き狼と口にした男が舌打ち一つ。
『――惜しいな人間味が薄れた。まぁいい。“らしく”引き続き熟せ』
「はっ」


 被験体No:f39307の管理は良好。
 担当教官■■オ管理実験の成功を確認。
 結果多少の人間味を無意識に封じるのは被験体No:f39307の自己判断と思われる。
 結果、残忍性と伴うストレス値上昇への管理対処が求められる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年03月29日


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