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バレンタインに想い出を

#UDCアース #ノベル #バレンタインノベル2023 #数宮・多喜 #高岩・凛

数宮・多喜
高岩・凛(f17279)さんと一緒のノベルをリクエストいたします。
お相手の方は、友人の中でも殊更気が合う一人です。
どんな申し出も笑って、できる限り応えようと考えています。
お願いしたいのは今年のバレンタインで、突発イベントとしていつもと違う服装でチョコを配布する様子の描写です。
UDCアースで銀誓館の制服を着る故に、周囲からは架空の制服でのイベントと捉えられているけれども、
多喜当人は年甲斐がないんじゃないかと気が気でない状況です。
そんなややコミカルな感じの様子を諸々お任せで、ご検討お願いします。


高岩・凛
お世話になっております。
数宮・多喜(f03004)様と共同のノベルをリクエストさせて頂きます。

【概要】
依頼者二人で作成した、ふたりのバレンタイン2023イラスト(https://tw6.jp/gallery/?id=178224)のノベル化をお願いします。

【詳細】
舞台はUDCアースの日本、2023年2月14日のバレンタインデー当日とします。
銀誓館学園高等部の制服を着て、そのリアクションや感想を言い合う二人のシーンや、その恰好で人々にチョコレートを配る二人のシーンなど、コミカルな雰囲気で描写をお願いします。
細かい場所や経緯についてはお任せいたします。バイトとして、もしくはコスプレイベントとしてなのか、どちらから参加しようと言い出したかなどは作品の流れや構成に合わせて設定いただければ幸いです。


【人物像】
・高岩凛
このノベル時点で28歳(その一ヶ月後には29歳)の女性です。
口調はガラの悪いやさぐれ女で、本人が意図して男っぽい話し方をしていますが「〜だぜ」「〜ぜ」は使いません。
制服を着ることに関しては学生時代にあんまり青春っぽいことをしてこなかった(できていなかった)人物なので本気で楽しんでやっています。いい歳して制服を着ることについてもあんまり抵抗のない、ノリで生きてる生き物です。

また、自分の高校生当時にも顔を含め体全体の傷痕はありましたが、その頃は傷痕を隠したがってほぼ肌を出すことがなかったため、その分余計に露出度を増やしています。(高校3年頭まで根暗で、警察学校デビューみたいな感じで今の雰囲気になったため)

【相手のキャラについて】
本人目線で、一番仲のいい親友です。
4年来の仲で、もっと昔から知り合いだったらよかったのになと思っているところがあるため、今回のノベルでは特にテンションが高いです。

以上、何卒よろしくお願いいたします。



「おーい、さっさと出てこいよ」
「ま、待った待った……やっぱキツいんじゃないかってこれ……」
 固くカーテンの閉ざされた更衣室、その前で高岩・凛(ヒーローのなりそこない・f17279)はやれやれと言うように肩をすくめる。相方の数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が更衣室に引き込もって十数分、我慢の限界というわけではないがこれ以上グダグダと時間を消費するのも良い事とは言えない。
「反応からしてもう着てんだろ、スタートラインに立っておきながら踵返してトンズラなんてライダー失格だぜ?」
「言ってくれるじゃないか……ああもう、笑うなよ!?」
 凛の言葉に発破をかけられたか、更衣室のカーテンが勢いよく開かれる。
 そうして姿を現した多喜が着ているのは襟に緑のラインが入った白のセーラー服、頬を赤らめどこか腰が引けた様子でそれを着る多喜を見て凛は。
「……ブハッ!!ハーッハハハッ!!!」
 指を指して思いっきり笑った。
「おまっ、速攻で笑ってるじゃないか!!そもそも手伝うとは言ったけどこんな服を着るなんて聞いてないしさ……」
「いや、わるっ、ヒィー……ヒッ、ハハッ……」
「ああいやこんななんてのは失礼だね、服は良いと思うよ。銀誓館の制服だっけ、シンプルだけどお洒落で凛にはよく似合ってる、改造もしてビシッと決めてるしさ」
「ヒッ、ハヒッ、ヒッ……………………」
「でもアタシはそういう工夫もしてないし、年甲斐も無いというかなんというか……」
「……………………」
「腹の空気全部絞り出すほど笑ってんじゃないよ大丈夫か!?」
 腹を抱えて床に伏せる凛の背中をさすりつつ彼女が落ち着くまで多喜はどうしてこうなったかを回想する、思い出すのは二週間ほど前──。


 それはある飲み屋での事、ジョッキ持ち上げた凛がふと思い出したように言ったのだ。
「そういえばこの前美味いチョコレートを食ったんだ」
「チョコレートぉ?なんだ渡したい奴でもいるのかい?」
「ハハハハ、違えよ!!依頼の帰りに適当なバーに寄ったら酒のあてに出てきたんだよ」
 お互い顔は赤く、テーブルには空のジョッキがいくつも並んでいる。出来上がっているのは誰の目に見ても明らかだが、今更酔った醜態を曝して恥ずかしがる関係でもない。
 手にしたジョッキを横に置いた凛は自分の顔の前で手を組むと、真剣な表情で語り始める。
「酒の周りをチョコで固めた菓子があるんだ、不味いわけがないとは思ったが……いやあ、想像以上だったよ」
「へえ、どんなんだったんだい?」
「甘味の少ない、だが香り高いビターチョコレートだ、遠くの方にジンジャーもあったかな?まあともかく上質なチョコの味が口ん中に広がって、そいつを残したままストレートのウィスキーをグッといくんだ。そうすると酒の強さが加わって……いや違うな、ただ加わってくるだけじゃない……そう調和だ、酒の強さがチョコの甘さと調和して新たな扉を開いてくる、それはもう筆舌しがたい……」
「お前そんなソムリエみたいなキャラだったっけ?」
「ソムリエみたいに語っちまうくらい美味かったってことさ」
 そこで凛は一度口を閉じると、置いていたジョッキを一息に煽る。その様子を見て多喜は大分酔ってるなと思いながらも、それを加味しても親友をここまで饒舌にさせるチョコというものに興味がわいた。
「んで、なんて店だい?そこまで話して内緒にするもんでもないだろう?」
「リトルソング、小さな個人店さ。しかも出来てまだ半年のホヤホヤ」
 凛の話を聞いて、多喜の口から思わずほうと感嘆の声が出る。自分の店を持つ、それは簡単なことではない。
 しかも菓子の分野だ、テレビや人伝に見聞きした程度の話しか知らないがそれでもやれ外国云々修行に何年と気の遠くなるような単語が聞こえてくる。それらを乗り越えて店を構えたとなれば、きっと重ねた努力は並大抵のものではなかっただろう。
「泣ける話だねえ、アタシも何か手伝ってやりたいよ」
「お前ならそう言うと思ったからさ、今度のバレンタインにダチつれて売り子やるって言ったんだ」
「……うん?」
「あ、なんか予定あった?」
「いや無いけどさ…………まあいいか!」
 それ今のタイミングで言わなかったらどうしていたのだろうと思わなくは無いが、まあ凛の申し出なら断る理由の方が無いというものだ。
「そんじゃあ景気づけだ!ガンガン盃干していいこうじゃないか!」
「おうよ、すいませーん!ジョッキお代わりお願いしまーす!!!」
 そうして二人は来るべきバレンタインに向けて英気を養うようにジョッキを空け続け──



 ──そして、今に至る。
「ハー…フー…………あー、落ち着いた」
 ひとしきり笑った凛はスッと立ち上がると、服に付いた汚れを軽く払う。彼女が着ているのも多喜と同じ銀誓館学園の制服、しかしこちらは丈を短く改造しており引き締まった足や腹筋を惜し気もなく曝している。
「随分長く笑ってくれたね、どうしてやろうか……?」
「悪い悪い、似合ってるって。ただお前が腰引けて恥ずかしがってる姿が……クッ」
「この前のアルコールまだ頭に残ってるんじゃないかい?」
「残念完璧に素面だ……とは言え笑いすぎて時間もないな、さっさと始めようか!」
 可愛らしい籠にピンクの袋、袋の中には絶品のチョコレート、それを抱えた二人──主に多喜──は意を決して表通りに出る。
 そう、自分の店を持つ時と同じ、着替える所は通過点に過ぎない。全てはこれから、リトルソングの成功は彼女達二人の双肩にかかっているのだ……。

「リトルソングでーす、バレンタインフェアで試供品配布してまーす」
「そこの道行くお兄さんお姉さん、大切な相手に渡すチョコは決まってるかい?決まってないならこのリトルソングで決めていきな!なんと開店してまだ半年、それでいて半世紀続く老舗にも引けを取らない味の深み!今買えば製菓業界の先端を知るものとして一目置かれること間違いなしだ!」
「なあテンションそれであってる?」
「結構受け取ってもらえてるし、店にも人行ってるし、あってるだろ多分」
「あってんのかなぁ……ただでさえ格好が格好なのにさぁ……」
 自分の格好を見て自信なさげに背を丸める多喜だが、実際のところバレンタインという季節もあり制服を着ている二人を見てもそういうイベントだと思われているのか奇異の目で見るものはいない。
 むしろ二人ともプロポーションが良く、銀誓館の制服も素材がしっかりとして安っぽさを感じさせないため雑誌か何かの撮影かと勘違いしている人も居たほどだ、通りすがりの女子高生から「いつ本が出るんですか?」と三回ほど聞かれた。
 とは言え人からの評価されても自己評価というものは中々変えられないもので、笑顔でチョコを配りながらも多喜は何かを警戒するようしきりに周囲を観察している。
 その様子を見て凛が笑いを堪えるように上空を見上げると……良いものが見えた。
「おい多喜、こちらのお嬢さんがチョコをお待ちだぞ。早く渡してやれ」
「と、すいません。リトルソングをよろしくお願いしま」
 交差点の向こうを注視していた多喜は凛の呼び掛けですぐに振り返り、そこに居た人物を見て精神的な何かにビシッと皹が入った。
 そこに居たのは同じ旅団のアンノット・リアルハート、知り合いとの遭遇一番警戒していたことであった。
「よう久しぶり、元気にしてたか?」
「まあまあ、二人はアルバイト?」
「そんなとこだな。ほい試供品、ついでに店で何か買うと店主が喜び俺も嬉しい」
 凛から試供品を受け取り店の方に向かうアンノットを多喜は見ない、見ることができない、どんな顔をしているのか確認したくない。彫刻のように固まってしまった多喜を見て、凛は慈悲の笑顔を浮かべながらその肩に優しく手を乗せた。
「似合ってるってよ、目で言ってた」
「信じるからな!!?」
 涙目になりながら絶叫する多喜だったか、最大の難所を越えたためか以降はまだ照れこそ残っているものの背筋が伸び笑顔も自然なものとなった。凛はそんな彼女の様子を腕組みしながら見守りつつ自らもチョコを配り続け、正午を過ぎる頃には二人が持っていた籠は空になってしまっていた。
「と、アタシは終わりだ。どうする、新しいの貰いに行くかい?」
「いや、大丈夫だろ。店に行った人数と用途を考えると……」
 そう言いながら凛が店の方を見ると同時に、店主が「本日完売」という看板を店の扉に下げる。つまり、二人の宣伝は大成功だったということだ。
「良かったぁ~、アタシのせいで客離れたらどうしようかと……」
「んなわけねえって、似合ってるって言っただろう俺は?」
 安心して息を吐く多喜に向かって凛は自分の掌を向ける、それを見た多喜が笑顔を浮かべると、リトルソングの前で軽快な音が響き渡った。
「……うっし完売を祝して記念撮影だ!ヘイ店主カメラ!あと籠が空じゃ寂しいからダミーも頼む!」
「まだなんかやんの!?というかお前なんかずっとテンションおかしくないか!?」
 多喜の言葉に凛はああ?と睨むように彼女の方を向くと、すぐにその表情を晴れ渡るような笑顔に変えた。
「そりゃあ、お前と二人でこんなイベントができて?しかも結果は大成功なんだ、楽しくってテンションが変にならない方が変ってやつだろう?」
「凛……はぁ~、しょうがない!一枚だけだからね!」
「うーし知り合い全員に送ってやろ」
「ぶっ飛ばすよ!!!」
 口では喧嘩しているが、その表情は互いに笑い合っている。そんな二人の様子を見て店主は静かにシャッターを切った。
「あ、店主さん今撮影した!?」
「テストなのでお気になさらず、本番行きますよー」
 店主の言葉に凛は自信に満ちた笑顔を、多喜は慌てたせいかどこかぎこちない笑顔を浮かべる。そして二人がその手にチョコの袋を持ったのを見て、店主は再びシャッターを切るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年03月22日


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