猟書家決戦~我が闘争
●争いがあればこそ、
月を覆う『骸』が解けていく。『還って』いく。
僅かに残っていた影すら失われ、アリスラビリンスの月は元の輝きを完全に取り戻した。
見よ。この世界の『骸の月』は潰えたのだ。
見よ。我が
可能性は――。
「ようやくか。待ちくたびれたぞ」
『鉤爪の男』は、その左腕の巨大な鉤爪を鳴らした。
猟書家として動き出すまでの時間に比べれば、迷宮災厄戦からこれまでの時間など微々たるものではある。しかし、『愉しい』時間を待つのは一日千秋の思いになってしまうというもの。
男は、戦いの果てに崇高な目標を持たない。
男は、戦わねばならない理由はない。
さりとて男は、惰性で生きてきたわけではなく。
けれども男は、守るべきものも持たない。
男はオブリビオンマシンである。ユミルの純粋な直系である機体はレプリカントと紛うほどの人間らしさがあるが、人間大のキャバリアなのである。
そこに超弩級の闘争がなければ、ただ朽ちるだけのものなのである。
「私の侵略蔵書は特別なものではない。『世界を本の内容に取り込み書き換える』以外の特筆すべき能力を持たない、量産型に過ぎない。
それだけは、私にはない
機能だからな」
さあ……
帳を落とせ、不思議の国。
そして
炎の破滅の幕を開けろ。
殲禍炎剣をここに。私は我が至高の闘争を求めよう!
●鉤爪の人機
グリモア猟兵の出水宮・カガリは、穏やかな性格の割に慌てていた。
「アリスラビリンスが、滅んでしまう。大変だ」
聞けば、アリスラビリンスで長く活動していた猟書家の王によって、アリスラビリンス全体がクロムキャバリアに書き換えられつつあるという。
王――オウガ・フォーミュラの名は『鉤爪の男』。名前らしくない名なのは、彼が人間ではなくオブリビオンマシンそのものであることも関係しているのだろうか。
「世界の書き換えが完了してしまうと、アリスラビリンスはカタストロフとなって、滅んでしまう。
『鉤爪の男』はその後に、オブリビオンマシンと共に獣人戦線へ向かうつもりのようだが……あの世界で、そんなものが使われたら」
獣人戦線には、キャバリアを扱う大帝国ゾルダートグラードがある。超戦力であるオブリビオンマシンを与えれば圧倒的有利になるだろうが、やがて対抗技術が生まれ、戦いは激化し、更に犠牲を生み――そのような地獄は、ここで止めねばならない。
「既に、アリスラビリンスには、書き換えられた部分からオブリビオンマシンが来ている。これから向かう場所の住人は、ほとんどが愉快な仲間達だが。今のところはまだ、彼らがマシンと戦って書き換えに抗っている。
それも、いつまでもつかはわからないが……」
彼らの勇気ある抗戦に報いるためにも、そして彼らの命を助けるためにも。
まずはオブリビオンマシンの軍団を退けることが重要になるだろう。
猟兵もキャバリアで戦うか、愉快な仲間達の力を借りて戦うことができる。
不思議の国を滅亡から救うため。再び戦え、猟兵。
●炎の獅子機とおとぎの住人
炎を纏った四足のオブリビオンマシンが群れで飛び込んでくる。彼らが走るだけで、おとぎの国はいとも簡単に火の海へ包まれてしまう。
きのこの森も、ウサギ穴も、終わらないお茶会のテーブルも既に焼け落ちた。
しかし、愉快な仲間達もただ愉快なだけの弱い存在ではない。日々オウガ相手に戦っていた彼らもまた、戦いをある程度心得ているのだ。
「『なみだのうみ』まできたわ!」
「ここならもえないわ!」
「これるもんならきてみなさいよ、おばけライオン!」
根でできた二本脚でここまで走ってきたおしゃべり花達。逃げ回るどころか挑発さえすると、オブリビオンマシンが焼夷弾を一斉に放つ。
花達は躊躇わず『涙の海』へ飛び込むと、海に住む亀が助ける。
入れ替わるように人魚達が陸へ泳ぎ寄ると、海に激しい白波がたってマシンを丸ごと飲み込んだ。オブリビオンマシンが押されると、クロムキャバリアに書き換わっていた景色の一部がアリスラビリンスに戻る。
しかし、オブリビオンマシンもすぐに体勢を直すと、侵攻を再開させるのだった。
侵略者との戦いは、一進一退の様相だ。
しかし、長引けばいずれ――。
旭吉
旭吉(あさきち)です。
情報が……情報が多い……!!
オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』戦をお送りします。
(彼を20シナリオ全てで倒せれば、完全に滅ぼすことができます)
●状況
アリスラビリンス、おとぎの国。
オブリビオンマシン『バスターレオ』の群れに、おとぎの国の住人達が抗戦しています。
住人達に加勢して、オブリビオンマシンを撃破しましょう。
キャバリアは使用しても、しなくてもOKです。
群れを撃破すると、『鉤爪の男』への路が開けます。
演出や台詞は盛っていきたいと思います(特にフォーミュラ戦)
あんまり派手な怪我はしたくないとか、装備に万が一にも傷を付けたくないとか、そういう方には参加をお勧めできないかもしれません(判定次第では軽傷・無傷で済む場合もあります)
ご参加の前に、ご一考くださいませ。
どなたかとご一緒に参加される場合、お相手のIDか【】で括ったチーム名をお願いします。特殊な呼び名などあれば書いて頂けると助かります。
●プレイング受付
1章は【オープニング公開後すぐ~11日(土)25:00の受付予定】です(以降の章は都度ご案内します)
期間を過ぎても成功度が足りない場合、システム的に受付可能な限り受け付けます。
なお、問題が無いプレイングでも流してしまう事があるかもしれません。
また、執筆可能な期間が限られるため、サポートも積極採用予定です。
(サポート以外のプレイングが多い場合はその限りではありません)
ご了承ください。
●オーバーロード
必要に応じてご利用ください。失効日の関係上、通常プレイングを先に採用することがあります。
(採用/不採用の判断には無関係です。意図された行動が難しい場合、不採用とすることもあります)
●プレイングボーナス
1章は【おとぎの国の住人と協力する】です。
第1章 集団戦
『バスターレオ』
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POW : ストレートタックル
【ブースターによる直線的突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : インセンディアリー
レベル×1個の【焼夷弾】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ : ブーステッドブレイズ
自身に【インゴットを燃焼させて生み出した炎】をまとい、高速移動と【高熱の炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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●ちょっと賢いおしゃべりお花のだいさくせん
正直、あのおばけライオンは長くはもたないと思うの。
よくわからないけど、ああいう鉄のおばけが動くには、燃える水がいるんでしょう?
いつだったか、少し仲良くなったアリスが言っていたわ。
でも、このおとぎの国にはそんな水はないもの。
だから、なんとか時間をかせげたら、わたしたちでも何とかなると思うの。
時間をかせぐ前に、全部もえちゃったら……、えっと、その……。
きのこの森も、ウサギ穴も、お茶会のテーブルも……うん。そうだけど……。
う、うるさいわ! わたしたちはオウガにだって負けなかったもの!
あんなおばけライオン、こわくないんだから!
神臣・薙人
鉤爪の男が討たれれば
この世界に真の平和が訪れるのであれば
迷う理由はありませんね
転送後に愉快な仲間達と合流
猟兵である事を告げ
助力に来たと伝えます
可能であれば私も涙の海付近で戦わせて頂きます
走るだけで周囲を燃やすとは厄介ですね
炎を消したいところですが
短期決戦を目指しましょう
涙の海から離れ過ぎない位置で
可能な限り多くのバスターレオを巻き込んで
白燐桜花合奏を使用
周りに負傷者が出れば
その治療を優先して動きます
皆さんに注意等を受けた際は素直に聞き入れます
蟲笛の演奏が途切れないよう留意しますが
攻撃の予兆等があれば
声を上げて注意喚起を
その後速やかに演奏へ戻ります
まだ戦いは序盤
ここで躓いている訳には行きませんね
ミア・ミュラー
なんとか間に合って、よかった。わたしも一緒に戦うから、この国を守るためにもうちょっと、頑張ろう?
せっかくみんなが有利なところにおびき寄せてくれたから、このまま涙の海で、戦おう。わたしが時間を稼ぐから、もう一回あの波を起こして、ほしいな。
ひとまず海岸線を走り回って焼夷弾を避けながら敵を、引きつける。炎が広がって足場がなくなっても、魔法の傘で空に逃げればそう簡単には届かない、よね。
みんなの準備ができたら反撃、だよ。波に流されてる隙に、空から【氷弾】を降らせて、あげる。水で冷やしたところを凍らせて、さらに弾を連射して砕いて、壊す。ここを争いの国には、させないよ。必ず食い止めて、みせる……!
●
Happily Ever Afterへ向かうため
「皆さん、私達は猟兵です」
転移するなり、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は現地で合流したミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)と共に愉快な仲間達の元へ向かった。猟兵が彼らの味方であることを知る愉快な仲間達は、それぞれに笑顔を浮かべたり歓声をあげて出迎えてくれた。
「おきゃくさまだわー!」
「いえーがーだわー!」
「なんとか間に合って、よかった。わたしも一緒に戦うから、この国を守るためにもうちょっと、頑張ろう?」
ミアが励ますと、おしゃべり花も人魚も、ウミガメ達も賛成する。彼ら彼女ら(?)の戦意が衰えていないことにまずは安堵しつつ、すぐにでもこちらへ攻め込んできそうなバスターレオの群れへの対策を考える。
「走るだけで周囲を燃やすとは厄介ですね。まずは炎を消したいところですが」
「せっかくみんなが有利なところにおびき寄せてくれたから、このまま涙の海で、戦おう。
人魚さん、もう一回あの波を起こして、ほしいな」
人魚たちが集まって白波を起こせば、あのバスターレオを飲み込めるほどの水を浴びせることができる。炎を抑えることができるのだ。
「なるほど、それはいいですね。しかし、あの波は何度も使えるものなのですか?」
薙人が集まっていた人魚の一人に尋ねると、少し準備が必要だという話だった。先程使ったときも、おしゃべり花達にバスターレオの誘導を頼んだのだと。
「それなら、大丈夫。わたしが時間を稼ぐから」
言うが速いか、ミアは『涙の海』の海岸線付近を駆け出した。わかりやすく動く獲物をバスターレオ達が焼夷弾の雨で乱れ撃つと、彼女の姿はあっというまに煙幕の向こうへ隠れてしまった。
「たいへん! いえーがー!」
「みえなくなっちゃった! いえーがー!」
「今は彼女を信じましょう。人魚さんは波の準備を、皆さんのことは私が守ります」
ミアを狙わず、こちらへ迫るバスターレオも残っている。薙人は愉快な仲間達の前へ出ると、おもむろに蟲笛へと息を送る。
奏でられる調べに呼び出されたのは無数の桜の花びらと、無数の白燐蟲。花と蟲は互いに調和し共演しながら、蟲達が傷付いた愉快な仲間達を癒すのと同時に桜吹雪が敵を鋭く切り刻んでいく。
しかし、花びらは炎によって燃える。バスターレオが自身のインゴットを燃焼させるとその炎を全身に纏い、まるで燃料を得たかのように高速で桜吹雪を突っ切り火炎放射で攻撃してくる。
「皆さん、物陰か海に隠れて!」
咄嗟に蟲笛から口を放し、薙人自身も逃げ遅れたおしゃべり花を抱えて庇おうとする。
「人魚さん、お願い……!」
その時、火炎放射を押し返すように海から大きな白波が押し寄せる。
魔法の傘で焼夷弾を防ぎ空を飛んでいたミアが、人魚達と加勢に来たのだ。
ミアの攻撃は更に続く。
「ここを争いの国には、させないよ」
波の中で濡れ鼠になった炎の獅子へ、空から氷の弾を連射する。水で温度が下がった機体を更に冷やして、凍らせて、最後には――。
「♪――――」
薙人の桜吹雪が氷像ごとマシンを一斉に砕いていく。
「まだ戦いは序盤。ここで躓いている訳には行きませんね」
「必ず食い止めて、みせる……!」
二人は、更に攻撃の手を強めていく。
オウガ・オリジンを討っても何も変わらなかったこの世界。
オウガ・フォーミュラとなった『鉤爪の男』を討つことで、今度こそ真の平和が訪れるのであれば。
迷い込んでしまうアリスがいなくなるのであれば。
手を休める理由は、ない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
不思議の世界がまさかの展開じゃねぇか。
こんなんじゃ、最初のアリスを気遣うどころじゃねぇだろ!
アタシも助太刀するよ!
しっかし燃える水なぁ。ガソリンみたいなもんかね?
って事は、愉快な仲間たちの狙いはガス欠……ガス欠?
ああ、そうか。燃費は悪いけどアレで援護できそうだね!
【人機一体・天】で宇宙カブを纏い、サイキックの『衝撃波』でおばけライオンどもを攻撃しつつ『挑発』するよ。
けれどもそれは『フェイント』、本命じゃない。
高速飛行で奴らの突進を躱して、涙の海に突っ込ませるよ!
そしたら海の水を掛けとくれ、そこに『電撃』の一撃をぶち込むからさ。
さあ、あとどれくらい残ってる……?
七那原・望
果実変性・ウィッシーズアリスを発動した状態でアマービレでねこさんを更に大量召喚してから戦場へ。
到着と同時にねこさん達の全力魔法範囲攻撃の幻覚で、わたしやねこさんやゆかいな仲間達を認識出来なくし、更にバスターレオ同士を目眩ましの閃光の幻覚の後、わたし達に見えるようにして同士討ちを狙います。
そしてバスターレオ達を隔離するようにねこさん達の多重詠唱全力魔法で水属性の結界を展開し、焼夷弾の延焼を防ぎます。
これで時間稼ぎも出来るし敵の数も減るはず。消化活動するなら今です。わたし達も水の魔法で手伝いますから。みんなで森の火を消しましょう。
消化活動が終わったら水属性全力魔法一斉発射で残った敵を蹂躙します。
●しょーかかつどうよー
アリスラビリンスが他の世界に書き換えられて終わってしまうという未曾有の危機に、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は仰天した。
「こんなんじゃ、最初のアリスを気遣うどころじゃねぇだろ! アタシも助太刀するよ!」
「この世界を焼き払ってしまう炎を消火したいですが、その前にあのバスターレオ達をできるだけ減らしたいのです……」
既にユーベルコードで4匹の猫達を連れていた七那原・望(封印されし果実・f04836)が白いタクトを一振りすれば、更に多くの魔法猫達がどこからともなく現れる。
望には作戦があったが、ひとつ懸念があった。ここが戦場になることで、湖以外が焼夷弾によって更に延焼してしまう危険である。
「すると、あのおばけライオンどもを燃えにくい場所に連れ出して……そう言えば燃える水で動くって言ってたか。
燃える水なぁ。ガソリンみたいなもんかね?」
少し賢いおしゃべり花が話していた作戦を思い出す多喜。「このおとぎの国には燃える水がないから、時間さえ稼げれば自分達で何とかなる」と言っていた話だ。
つまり、彼ら彼女ら(?)の狙いとは燃料切れによる『ガス欠』なのではなかろうか。
「ああ、そうか。燃費は悪いけどアレで援護できそうだね!
できるだけ引っかき回して連れ出してやるから、それならいけるかい?」
「はい、助かるのです」
望の返事を聞き届けると、多喜は乗っていた宇宙カブを変形合体させたパワードアーマーを纏い、けたたましいエンジン音と共にバスターレオの群れへと向かいながら衝撃波を飛ばす。突然攻撃を浴びたバスターレオは一斉に多喜を見るが、その注目こそが多喜の狙いだった。
「さあ、ここまで追いかけてきな!」
高速飛行で逃げるのを、バスターレオ達が一気に突進して追い付く。完全に掴まる前にエンジンの回転数を更に上げて飛行速度を上げると、涙の海の手前で急停止する。
止まりきれず涙の海へ突っ込んでいくバスターレオの群れ。後方にいた何体かは引き返したようだが、そちらは望に任せよう。
「さあ人魚たち! こいつらに海の水を掛けとくれ。あと、ちょっと離れといた方がいいと思うよ」
呼ばれた人魚達は、水底に足が付かないレオ達へ一斉に水を掛けた後、すばやく退避する。人魚達が退いたのを確認してから、多喜は溺れているレオ達へ雷撃を浴びせた。
(こっちはこれでいいか……向こうはどうなったかな)
多喜が振り向いた先。そこでは望が残りのバスターレオを相手取っているはずだったが、一瞬の閃光の後には肝心の彼女の姿はおろか、連れていた猫達も、愉快な仲間達の姿も無かった。
そこにあったのは、なぜかバスターレオ同士で争い、噛みつき、体当たりをし、焼夷弾をぶつけ合っている姿だけだったのだ。
更に、彼らの同士討ち現場は巨大な泡のような結界で囲われた。あれだけの数しか残っていないのであれば、結界もそう大きくはない。焼夷弾を飛ばしあっても水の結界の中ならば、すぐに消火できるだろう。
「彼らは、お互いが私達の姿に見えているのです。私や、ゆかいな皆さんだと思って攻撃しているのでしょう」
多喜の近くに来て透明化を解き、姿を現した望達。当面はこれで時間稼ぎをして、消火活動にあたるつもりらしい。
「わたしも猫さん達と一緒に水の魔法で手伝いますから。みんなで森の火を消しましょう」
「ひをけすわー」
「あっちっちなのよー」
「アタシも手伝うよ。涙の海から水をくんできていいかい?」
おしゃべり花は小さな葉に少しずつ水を汲み、多喜もバケツ型のゆかいな仲間に海の水を汲み入れ、辺りの火を消していく。火が徐々に収まり、煙が目立つようになったところで、望は頃合いかと水の結界を解除した。
「大人しくしてくださってありがとうござます。では」
言葉は感謝していても、そこに感謝の気持ちは全くなさそうな、敵対者へ向ける声で。
望は全力の水魔法で、残りのレオ達を押し流した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
有州院・こりす
愉快な仲間達ちゃん達はほんま最高の仲間や!
猟兵がこの世界にたどり着くずっとずっと前からこりすちゃん達アリスの優しい味方
おとぎの国は絶対に負けへんで
残念やったな
どんなにがんばってもアリスおるかぎりおとぎ話は終わらないお約束なんやで
と、おばけライオンちゃんを挑発
これ以上この国を燃やさせないという優しさと情熱を胸に
めいっぱい存在感を発揮して唯一炎を放射しないタックル攻撃を一身に集める
にっこり笑って祈りのおひめさまポーズで結界術+カウンター+UC発動
ぜんぶ逃さずまとめてハート弾幕でノックアウトや!
みんなのこの頼もしさは闘争なんて虚しいもののためじゃなくて
のんきなお茶会とか楽しい冒険とかのためにあるんや
●おとぎの国の
プリンセス
有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)が到着したとき、バスターレオの機体はそこここで涙の海に突っ込んだり、水浸しにされていたり、同士討ちで撃破されていたりでかなりの数を減らしていた。ここまでの猟兵の活躍はもちろん、愉快な仲間達も大いに頑張ったのだろう。
「さっすが愉快な仲間達ちゃん達! ほんま最高の仲間や!」
彼らの単数形とは……複数形とは……となった筆者はさておき、こりすはまずここまで粘ってくれた人魚やウミガメ、おしゃべり花達を大いに労った。
「猟兵がこの世界にたどり着くずっとずっと前から、こりすちゃん達アリスの優しい味方やもんな。おとぎの国は絶対に負けへんで」
「あたしたちやさしいのよ!」
「さいこーのなかまなのよ!」
「あんなのにまけないのよ!」
陸にいるおしゃべり花達は足になっている根でぴょんこぴょんこと跳ね、海の人魚やウミガメ達はそれぞれヒレを叩いて盛り上がる。
しかし、戦いは終わってはいない。数が減ったとは言え、まだバスターレオは数機残っているのだ。
愉快な仲間達を背にその中の一機へ向けて、こりすは指差す。
「残念やったな。どんなにがんばってもアリスおるかぎりおとぎ話は終わらないお約束なんやで」
こりすちゃんはいつだってみんなの
姫。
主人公がいる限り、姫のおとぎ話も終わらない。
おとぎ国の物語にないまる焼けはそろそろおしまい。
優しく愉快な皆と、いつまでも終わらない楽しいラビリンスを――こりすの優しさと情熱に呼応したプリンセスハートが、七色に輝いてバスターレオの注目を浴びた。
「ありす、きれい!」
「ありす、かわいい!」
「でもありす、あぶないのよ!」
おしゃべり花達が忠告するのとほぼ同時、バスターレオが轟と風音を響かせて突っ込んでくる。ただの全速前進でなくブースターにより速度を増した突進は、視認してから避けたのでは到底間に合わない。
「「「ありすー!」」」
花達が悲痛な声を上げ、次々とバスターレオの突進を浴びるこりすを案じる。
ひと通りの突進攻撃が終わった後、海からも恐る恐る人魚達が覗き込むと――こりすは、ハートプリンセスのドレス姿へコスチュームチェンジしていた。
ハートプリンセスのこりすは傷ひとつ無く、静かに微笑んだまま祈っていた。
「皆心配してくれてありがとう。今のこりすちゃんはな……絶対無敵☆エターナルハートプリンセスなんや!」
その宣言と共に、様々なハートが弾幕となって瞬時に広がっていく。これまでに受けた突進のダメージを、ベリィベリィラブリィなハート弾幕に変えてお返しするユーベルコードだったのだ!
プリンセスハート(物理)を雨のように浴び、ついに最後のバスターレオが沈黙する。おしゃべり花が根でつついても動かないどころか、その姿を風化させ消えていくと、愉快な仲間達は飛び上がって喜んでいた。
(みんなのこの頼もしさは闘争なんて虚しいもののためじゃなくて、のんきなお茶会とか楽しい冒険とかのためにあるんや)
既に焼けてしまったらしいおとぎの世界のことを思うと悲しいが、彼らならきっとやり直せるだろう。
それに、おとぎの国はまだまだ広いのだ。
「なあ皆、あのおばけライオン達の親玉ってどこにおるん?」
「おしろにいるのよありす!」
「いばらのおしろよありす!」
「いっしょにいきましょありす!」
ありす、ありす、と次々に呼び合いながら、こりすは彼ら(?)に導かれるまま『いばらのおしろ』を目指すことになるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『薔薇の迷宮』
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POW : 生垣を燃やす、あるいは妨害をものともせず強行突破
SPD : 隙間や穴を見つけてそこから進む
WIZ : 意思を持つかのように……ってことはもしかしたら話通じるのでは? 道を開けてくれるようにお願いする。
👑7
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●ひとばしらの森
『涙の海』でオブリビオンマシン・バスターレオの群れを撃破した猟兵達。
バスターレオの炎で焼かれたところから書き換わっていた世界は、火元が少なくなった影響か書き換えが止まっているように見える。
「いま、いちばんわるいオウガはね、いばらのおしろにいるの」
「いばらのおしろ、いっしょにいきましょ!」
「ばらのむこうの、いばらのおしろよ!」
一緒に戦ってくれていた愉快な仲間達が、猟兵を『いばらのおしろ』へと誘う。しかし、それらしい城の手前には行く手を阻むように不気味な薔薇の森があった。
森に生い茂る薔薇の木の幹には、今にも喋りそうな髑髏の模様。
その髑髏を貫くように張り巡らされた枝には鋭い棘と、様々な色の薔薇が咲いていた。
そのまま進もうとすると、進む者を枝で絡め取って森へ閉じ込めてしまうようだ。
「アリス……アリス……アリスをちょうだい……」
「勇敢なアリスをちょうだい……」
「大人しいアリスをちょうだい……」
「かわいいアリスを……」
幹によって異なるが、概ね髑髏達はアリスを求めていた。しかし、要求通りにアリスをあげてしまえばアリスを犠牲に進むことになる。
物理的に道を切り拓くか、髑髏を説き伏せるか、案内してくれた愉快な仲間達と協力するか――何らかの方法で、この森を越えねばならないだろう。
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第2章のプレイング募集は【この断章投稿後~22日25:00頃】とします。
(執筆期間が26日~29日にかかりそうな日程でのプレイング送信は流してしまう可能性があります。オーバーロードはOKです)
トドメ狙いなどの参考になさってください。
また、期間内に成功度を達成できなかった場合は追加でサポートを採用致します。
(執筆までに間に合えばプレイングの送信も可能です)
ひとばしらの森にはいくつもの薔薇の木があり、それぞれの幹に喋る髑髏がついています。
髑髏を説得する場合、一本を説得できればその木が他の木から守ってくれます。
木同士で喧嘩させてる内に……というのもありでしょう。
物理的に枝を焼き払ったり切り払っても進めます。
ひとばしらの森を越えて、『鉤爪の男』のいる「いばらのおしろ」を目指しましょう。
第2章のプレイングボーナスは特にありません。
ご参加お待ちしてます。
神臣・薙人
いかにアリスを求められようと
応じる訳には行きません
何とか説き伏せられれば…
一番近くの髑髏に話し掛けます
貴方はどうしてアリスが欲しいのですか
私はアリスを助けたくてここまで来ました
貴方がもし同じ気持ちでアリスを欲しているのなら
今は私達に任せて頂けませんか
アリス達は必ず助けます
もし髑髏達がアリスを害するために欲しているのなら
仕方がありません
戦って道を切り開く事にします
戦闘時は仲間達を守れる位置に立ち
枝が絡みそうになった際は
割り込んで庇います
それ以外の時はなるべく多くの髑髏を巻き込んで
白燐蟲で攻撃
その後
桜花燐光撃を使用します
前に進めばその都度
髑髏を白燐蟲で傷付け再使用
今は少しでも早く
この世界を救いたい
●蟲食いの樹
この森の先へ進むには、髑髏の要求通りアリスを差し出すのが近道ではあるのだろう。
しかし、今アリスが同行していないという事情を抜きにしても、少なくとも神臣・薙人(落花幻夢・f35429)はその要求には応じられなかった。
(何とか髑髏を説き伏せられれば……どう言葉をかけましょうか)
森を進もうとすれば、薔薇の木が道を阻むように枝を伸ばしてくる。薙人はひとまず一番近くにある髑髏と話してみることにした。
「アリス……アリス……アリスをちょうだい……」
「貴方はどうしてアリスが欲しいのですか。私はアリスを助けたくてここまで来ました。
貴方がもし同じ気持ちでアリスを欲しているのなら、今は私達に任せて頂けませんか?
アリス達は必ず助けます」
「…………」
髑髏は黙る。
しかし、少しの間の後に再び口を開いた髑髏はケタケタと骨を鳴らして笑うのだった。
「アリス……アリス……勇ましいアリスをちょうだい……真っ赤な薔薇にしてあげる……枯れない薔薇にしてあげる……」
「枯れない、ということは……一応、死なずに済むということではあるのでしょうが。
ここの薔薇になっても、アリスにとっては助かったことにはならないでしょうね」
そういうことならば仕方ない。
薙人はそれ以上交渉を粘ることをせず、実力行使に出た。
話していた髑髏から少し離れると、できるだけ他の髑髏も巻き込める位置まで引いて蟲笛を吹いたのだ。
すると、呼び寄せられた白燐蟲達が瞬く間に薔薇の幹に群がり、髑髏に食らいついていく。
「ああ……アリス……アリス……」
髑髏は最後までアリスを求めながら、白燐蟲に食われていく。髑髏が食われると、その樹の薔薇も全て枯れてしまった。
『その傷は、もう消えない』
更に、通行中に髑髏が復活してしまわないよう桜花燐光撃で桜花の刻印を残し、それを目印に白燐蟲が集まり続ける。これで自分がこの森を抜けるまでは一定の通り道を維持できそうだ。
(もう少し話をする余地はあったのかもしれませんが……今は少しでも早くこの世界を救いませんと)
世界の書き換えが止まっているのは一時的なもの。再び書き換えが始まってしまう前に、新たなオブリビオンマシンとの戦いが始まってしまう前に、この森を急いで抜けなければならない。
道を確保した薙人は、『いばらのおしろ』への道を急ぐのだった。
成功
🔵🔵🔴
七那原・望
ひとまず愉快な仲間達と協力する方針でいきましょうか。彼らなら髑髏達にも詳しいはず。
彼らはなぜアリスを求めてるのです?理由はオウガと同じですか?それとも違う理由ですか?
もしも話し合いが可能な理由なら説得を。アリスを狙うよりもみんなで仲良く遊んだ方が楽しいと思いますよ?あの愉快な彼らのようにね。
アリスも楽しい人、多いと思いますし。
くだらない理由なら果実変性・ウィッシーズアリスに変身。ねこさん達の多重詠唱全力魔法の幻覚で髑髏同士がアリスに見え、わたし達を視認出来ないようにして、風の魔法の斬撃波で道を切り拓きます。
燃やしてもいいのですけど、愉快な仲間達のトラウマを突くかもですし、それはやめておきます。
●鏡合わせの樹
七那原・望(封印されし果実・f04836)は、一緒に来ていたおしゃべり花に森の髑髏について尋ねてみた。
「彼らはなぜアリスを求めてるのです? 理由はオウガと同じですか? それとも違う理由ですか?」
「ばらはねー、アリスといっしょにいたいのよー」
「アリスをばらにかえて、ずうっといっしょにいたいのよー」
「あたしももとはアリスだったのかしらー?」
「「それはないわー」」
きゃっきゃとはしゃぐおしゃべり花達。
一緒にいたいということは、殺すつもりではないということ。しかし、薔薇に変えてしまうなら元のアリスのままではいられないわけで、結局はオウガと大して変わらない存在というのが望の解釈だった。
「ちなみに、どうして薔薇に変えてしまうのかはわかります?」
「アリスはー、アリスのままだとどこかいっちゃうのー」
「まいごのアリスなのー」
「ばらにしちゃえば、ずっといっしょなのー」
またはしゃぐ花達。
これは何としてもアリスをこの森へ留め置くことが目的の薔薇であり、話し合いは通じなそうだ。
「ありがとうございます。おかげでやるべきことがわかりました」
必要な情報を聞き終えると、望は4匹の猫を連れた果実変性・ウィッシーズアリスに変身する。猫達が幻覚の魔法を使うと、髑髏同士が互いに枝を伸ばし合うようになった。
「アリス……アリス……かわいいアリス……!」
「大人しいアリス……いいアリス……」
お互いがそれぞれの好みのアリスに見えている今なら望や愉快な仲間達から注意も逸れ、更に実際に姿を消してしまえば姿が見つかることはない。あとは堂々と進めばいいだけだ。
「では、行きましょうか」
風魔法で枝や幹を物理的に切り拓き、道を作って進む。流石にこの衝撃で幻覚から覚める危険もあるため、望はおしゃべり花達を促して先を急いだ。
(燃やしてもよかったのですけど……先程まで炎と戦っていた皆さんですしね)
振り返れば、風で薔薇の花を散らしながらまだ枝を伸ばし合っている髑髏の幹たち。この道は、もうしばらくもちそうだ。
成功
🔵🔵🔴
ミア・ミュラー
この期に及んでアリスを求めるなんて、やれやれね。この国を傷つけるのは気が引けるけど、こんな悪い木なら別に、いいかな。
【火剣】で炎の剣を、作るよ。これだけ数があれば邪魔する枝もどんどん、斬って、燃やせる。幹もこま切れにしてまるごと焼き尽くしたら、安全に進める、ね。あなたたちに負けるアリスばっかりじゃ、ないんだよ。
一応説得もしておこう、かな。わたしたちは、急いでるの。もし道を開けてくれたらこんな風に消し炭にはしないであげるけど、どう?だめならそのまま焼き尽くすだけ、言うことを聞いてくれても剣は出したままに、しておくよ。不意打ちしてくるかも、だし。これで少しは大人しくなってくれたら、いいんだけど。
●火あぶりの樹
アリスラビリンスが滅ぶか否かの瀬戸際という一大事にあっても、ここの木達は相変わらずアリスを求めるらしい。
こんな時くらい協力できないのか、アリスさえくれれば何でもいいのか、何も考えていないのか――いずれにしろ面倒くさい木だとミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は思ってしまった。
(この国を傷つけるのは気が引けるけど、時間もかけてられないしね)
聞き分けのない悪い木なら、燃やしてしまってもいいだろう。そう考えて炎の剣を大量に創り出し、進路を遮る枝を次々と切り払い、焼き払った。
「アリスが燃やした……アリスが殺した……」
「アリスと一緒にいたいのに……」
「一緒にいたら、薔薇にされてしまうんでしょ。わたしは、いや。あなたたちに負けるアリスばっかりじゃ、ないんだよ」
恨み言を言う幹も細切れに刻んで、丸ごと焼き尽くす。これで不意打ちの心配も無い。
もちろんユーベルコードの炎であるため、悪い薔薇の木以外は燃やさないよう丁寧にコントロールした。
一本の木が焼き尽くされて灰になり、少し見通しがよくなると、ミアは一応他の木へ声をかけてみる。
「あのね。わたしたちは、急いでるの。もし道を開けてくれたらこんな風に消し炭にはしないであげるけど、どう?」
「アリス……アリス……こわいアリス……」
「でも勇敢なアリス……勇敢なアリスはほしい……」
「けれどわたしは燃えてしまう……アリスに殺されてしまう……」
ざわざわと枝を揺らしながら、話がまとまらない木達。
(本当にやれやれ、ね)
もうこのまま通ってしまおう。その方が早いと思って、ミアは木達の話を脇目に歩き出す。
万が一の不意打ちに備えて、念のため炎の剣だけは出したまま、枝を揺らす木の間を通っていく。
道中の木達は時々枝を伸ばしてくることもあったが、そんな木はまた幹まで細切れにして灰にした。
通り抜けてみれば、森は少しばかり木が減って、風通しが良くなったように思う。
「……さて、お城へいそがないと」
『いばらのおしろ』は、もうすぐそこだ。
成功
🔵🔵🔴
有州院・こりす
戻したら戻したで相変わらずアリスに厳しい国やなあココは(嫌な慣れ感)
でも求められればアリスで姫なこりすちゃんは即おこたえや
やっぱり大人しいアリスを欲しがってるドクロちゃんのトコへ…えー、勇敢?
ま、そっちはそっちで光栄やしOKや♪
守ってくれるならドクロちゃん改めナイトちゃんやね
棘は気にせんから手を(枝?)繋いでいっしょに行こーな♪
UCでナイトちゃんを治癒したりおそろいピンクにパワーアップさせたりで援護
おしろに着いたらドクロ頭のてっぺんにキスして約束してからお別れや
こりすちゃんはみんなの姫やけど
この森の中ではナイトちゃんだけのこりすちゃん
そのかわり
他のアリスちゃん欲しがるのはもうあかんで?
●薔薇の騎士
これまでに森を突破していった猟兵達の影響だろう。
髑髏を食われて薔薇が枯れてしまったり、木同士で仲違いしていたり、切り刻まれ燃やし尽くされてしまったりと、枝が生い茂って薄暗かった「ひとばしらの森」は少し風通しがよくなっていた。
「アリス……アリス……アリスをちょうだい……」
しかし、それでも残っている木は枝を伸ばしてアリスを求め続けていた。
「戻したら戻したで、相変わらずアリスに厳しい国やなあココは……」
そんな理不尽にもアリスとして慣れてしまっている有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)。そしてこりすは、アリスで姫なので求められれば即おこたえしてしまうのだ。
「はいはーい、こりすちゃんがアリスやで! 大人しいアリスがほしい子はどこやー?」
手を挙げて自らアピールすると、別の木が枝を伸ばしてこりすを招く。
「アリス……アリス……勇敢なアリス……」
「こりすちゃんは大人しい姫のつもりやってんけどな……ま、そっちはそっちで光栄やしOKや♪」
枝に赤い薔薇を咲かせた木は、こりすが近寄ってくると更に枝で囲い込んで他の木から隠し、閉じ込めてしまうようだった。
ところがこりすは、あくまでポジティブに考える。
「こりすちゃんを守ってくれるん? 守ってくれるならドクロちゃん改めナイトちゃんやね!」
「アリス……アリス……わたしのアリス……他の木にもわたさない……わたしの薔薇になって……」
「ナイトちゃんの薔薇になったらずーっと一緒におれるかもやけど、こりすちゃんが薔薇になったらこーやって手繋げへんよ?」
こりすを包み込んでしまいそうな枝の中で、その先端を見付けて手を伸ばす。枝には鋭い棘があったが、あまり気にせずそっと握って『手』を『繋いだ』。
「ナイトちゃん、いっしょに行こ!」
握った『手』にプリンセスハートを飛ばすと、髑髏の薔薇の木が人型、それもこりすとおそろいのピンクの騎士のような形へ変形する。まるで姫のキスで魔法が解ける御伽噺のようだ。
「アリス……アリス……!」
「おしろに着くまでよろしくな♪」
それからは二人で手を繋いだまま、ひとばしらの森を進んだ。枯れた他の木、木同士の喧嘩、木が焼けた灰の道を見ながら、時に襲いかかる他の木は『ナイトちゃん』が枝を伸ばして払い除けてくれた。枝や花が傷付けば、こりすがまたプリンセスハートで癒す。
アリスが人柱に捧げられるはずだった森の薔薇は、一人のプリンセスとその騎士として、互いを助けながら森の出口を目指したのだ。
ひとばしらの森が終わる。
行く手に見える『いばらのおしろ』には、機械仕掛けの髑髏が口を開けたような城門が見えた。
「ここまでやな。ありがとうナイトちゃん」
「アリス……わたしのアリス……行かないで……森から出ないで……」
御伽噺の魔法が解ける。こりすと一緒に歩けた人の脚は、薔薇の木の根となって根を下ろしてしまう。人の肉体は、薔薇の幹となって歩けなくなってしまう。
繋いでいた手は、棘で武装された木の枝へと戻ってしまった。
「こりすちゃんはみんなの姫やけど、この森の中ではナイトちゃんだけのこりすちゃんや」
全てが戻ってしまう前に、こりすは髑髏の頭へキスと約束を落とす。
「そのかわり、他のアリスちゃん欲しがるのはもうあかんで?」
「アリス……わたしだけのアリス……行かないで……あなただけを守る……行かせない……」
悲しむような声が響いた後、薔薇の枝が広がってこりすを取り込もうとする。
その時、薔薇の木はこりすの背後から飛んできた真空波によって切り刻まれてしまった。
「ア…………リ、ス
…………」
最後まで手を握ろうとするかのように、薔薇の枝が伸びる。それが最期だった。
「このような森に食われるようでは私が困る。私はお前達を待っていたというのに」
真空波を放った巨大な鉤爪が、重厚な音を立てて向きを変える。
「ようこそ猟兵。アリスラビリンスの終演へ。
この世界の終わりに相応しい、超弩級の戦いを始めるとしよう」
――猟書家にしてオウガ・フォーミュラ。『鉤爪の男』だった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『猟書家『鉤爪の男』』
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POW : プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD : インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
👑11
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●いばらの // World is Over, Curtain Call
――ようやくこの時が来た。
書架牢獄へのオウガ・オリジン幽閉。現実改編ユーベルコードの簒奪。
オウガ・オリジンなきアリスラビリンスの一時統率。
猟兵に捕捉されるまでに獣人戦線における各通商ルートを確保。
同時進行計画としてクロムキャバリアから『切り札』の持ち帰り。
どれも、途中で捕捉されれば頓挫しかねなかった計画だ。それはそれで私は予想外の闘争を楽しめはするが、やはり闘争とは十全の力による衝突でなければ。
命火を散らし合う、超弩級にして刹那の火花でなければ。
「まずは、ここまでご苦労だった。最後におとぎの国は楽しめたか?」
男が持つ侵略蔵書には、薔薇の生えた髑髏の意匠がある。ここまでの道中に広がっていた『ひとばしらの森』を彷彿とさせる表紙がケタタ、と音を立てて嗤うと、鎖で封をされていた侵略蔵書が開かれた。
「この侵略蔵書は量産型に過ぎない。他の世界のオウガ・フォーミュラが持つ書のような特別な能力を持たず、『普通の侵略蔵書』の範囲のことしかできない。それ以上の能力は、却って『私には邪魔になる』のでな」
男がそう言った時、突如大地が揺れた。彼の背後の『いばらのおしろ』が揺れによって崩れる中、現れたのは内部から書き換えられた『発射台』だ。『発射台』には既に何かが設置されており、発射準備がほぼ整っているようだった。
「あれは我が故郷、クロムキャバリアの誇る大量殺戮兵器のひとつ……攻撃衛星『
九竜神火罩』と言えば、聞き覚えのある猟兵もいよう。
これこそは世界を焼き尽くす
殲禍炎剣。
炎の破滅を完成させるものだ」
『発射台』から猛烈な噴煙が巻き起こる。設置されていた攻撃衛星がいよいよ発射するのだ。
「今から止めてももう遅い。『九竜神火罩』は空高く打ち上がり、遙か彼方より炎の雨を降らせるだろう。それがこの世界の幕引きだ!」
男が言う通り、『九竜神火罩』は目の前で打ち上げられ、あっという間に空の彼方へ見えなくなる。更に男自身も帽子から噴き上がる炎を猛らせると、そのまま宙へ浮遊した。
「今からでもこの世界を救いたいのであれば、私と『九竜神火罩』に追い付いて破壊するがいい。
もっとも、あの高度で無事に戦える保証まではしないがな」
そして男は急旋回し、見る間に高度を上げて見えなくなる。恐らくは『九竜神火罩』と同じ場所へ向かったのだろう。この地上にいては、この世界の滅びと運命を共にするだけだ。
しかし――衛星が打ち上がる場所とは、衛星軌道上である。宇宙そのものとまではいかずとも、高度400kmで地上と同じ行動を取るには大きな問題がある。
空気や気圧だ。
スペースシップワールドやスペースオペラワールドと異なり、この世界での宇宙服はない。
「なーにがえーせーよ」
「ここはねー、おとぎのくになのー」
「おとぎのくには、ありすのくになの!」
ここまで付いてきていたおしゃべり花達がその場で何かの儀式を始めると、あっという間に花畑規模の数に増えていく。
「ありす……ありす……ここにいるの、わたしたち……」
「もとのせかいには、もどれないけど……もえてしまうのは、いや……」
「ごめんね……ごめんね……ちからをかすから、もやさないで……きらないで……」
花畑の中で、先程までは通るものを取り込もうとしていた「ひとばしらの森」の薔薇達が光り始める。木はアリスを取り込もうとしていたが、枝に咲く薔薇は今も生きている「アリス」なのだ。
色とりどりの花々が、祝福のように降り注ぐ。おしゃべり花はここがアリスの国だと言い、そのアリスが力を貸してくれると言っていた。
その国の空であれば――恐らく、今なら。
猟兵よ。遙か空の彼方にて、侵略の物語に終演を。
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第3章のプレイング募集は【28日8:31~31日25:00頃】とします。
(オーバーロードは期間外でも送信可能です)
トドメ狙いなどの参考になさってください。
また、期間内に成功度を達成できなかった場合は追加でサポートを採用致します。
サポートによる完結前に間に合えば、手書きのプレイング送信も可能です。
既に『九竜神火罩』と『鉤爪の男』が飛び立った地上からスタートです。
『鉤爪の男』だけを撃破しても『九竜神火罩』は攻撃を開始してしまいますので、両方の撃破が必要です。
花の祝福をどのように利用するかはお任せします。
使わずに勝利できる方法があるのであれば、花びらや花のひとつを持ち帰っても構いません。
使用する場合、「猟兵が有利になるアイテムひとつ」へと姿を変えます。プレイング冒頭へ希望するアイテムを書いてください。
何も書かれていなかった場合は「数分間だけ地上と同じ速さで動ける魔法の宇宙服」として使用するものとします。
(特にアイテム発行などは行いません)
第3章のプレイングボーナスは【高度400kmの『九竜神火罩』と『鉤爪の男』を捕捉する】ことです。
ご参加お待ちしてます。
七那原・望
自分達以外の周囲の敵の動きを著しく停滞させダメージを与える電磁フィールド発生装置
……そう、わかりました。力を貸してください、アリスさん。
天詩・エレクトロニカを発動したら、これまでにアマービレで呼んだねこさん達の全力魔法で自身の身体能力とスピードを限界突破。
第六感と心眼と気配感知、そして超感覚のセンサーを用いて九竜神火罩と鉤爪の男の位置を見切り、飛翔を。
アリスさん、フィールド展開お願いします。
展開が完了したらまずはユーベルコードを使われる前に鉤爪の男をプレストで握り潰し、全力魔法で消し飛ばします。。間に合わなければ太陽も巻き込みましょう。
その後は九竜神火罩を同様に全力魔法と斬撃波で砕きましょう。
神臣・薙人
この世界が滅ぶ幕引きなど許さない
鉤爪の男にも九竜神火罩にも
すぐに追い付いて見せましょう
血風紅桜を使用
すぐに飛び乗って飛翔し
高度400kmまで上昇します
花達が力を貸してくれるのが救いですね…
鉤爪の男・九竜神火罩を視認したら
桜花を飛ばして攻撃
可能であれば蟲笛を使い
白燐蟲を呼び出して
双方を同時に攻撃するようにします
桜花での攻撃は鉤爪の男・九竜神火罩が
交互になるように調節します
負傷時は桜花で回復
近くに負傷した他の猟兵がいた場合も
桜花を使用します
捕縛の鎖出現時には
UCを再使用して位置を移動する事で回避
白燐蟲に腕や足を噛ませて動きも阻害
足場を狙われた際も
同じくUC再使用
落下する前に新たな桜花へと移動します
●花舞う
宙で
花が降る中、七那原・望(封印されし果実・f04836)の手には青の、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の手には薄紅の薔薇の花が落ちるとふわりと花嵐に包まれた。
彼女らの身を守るように舞う花びら達からは、確かに『力』を感じられる。
「……わかりました。力をお借りしますね、アリスさん」
「この世界が滅ぶ幕引きなど許さない。鉤爪の男にも九竜神火罩にも、すぐに追い付いて見せましょう」
二人はすぐに
宙へ飛び立つ準備を整える。
望の肉体は装甲を纏った天翔ける鋼鉄の天使、天使型キャバリアの天詩・エレクトロニカへと変化。薙人は掌から溢れるほどの桜花を召喚すると、足元へ絨毯状に広げる。
そして。
「お先に失礼します、……翔べ!」
まず桜の精が、一足先に遠くの
宙へと飛んだ。
それを見送る間に、望の周りにはこれまでに呼び出してきた魔法猫達が次々に集まってくる。優れた魔法猫である彼らは、望を更に全力で強化した。
「ありがとうございます、ねこさん達。……行ってきます!」
遅れて、望も花びらを散らして超速で飛び立っていく。
おとぎの国をどこまでも、どこまでも空高く。
塗り替えられつつある空を上へと進み続けると、上空が藍色へ染まり始めた頃に望が告げる。
「アリスさん、フィールド展開お願いします」
望の呼びかけに応えるように、彼女の周囲を舞っていた花びらが旋風になって辺りへ広く広がった。
「薙人さん、11時の方向へ気を付けて」
「ありがとう。方向がわかってるなら……見えた。あれですね!」
九竜神火罩と『鉤爪の男』の位置をいち早く把握すると、薙人は蟲笛を吹き始める。
当然、その音は『鉤爪の男』達にも聞こえる事となる。
「追い付いたか。だが、追い付いただけでは――」
男がそこまで口にしたとき、辺りへおとぎの国の花嵐が一瞬吹き荒れた。
望が花の「アリス」達へ頼んだ、敵の動きだけを著しく停滞させダメージも与える電磁フィールドだ。
「……なるほど。流石はアリスが主役のおとぎの国というわけか」
九竜神火罩の駆動音が見る間に落ち、『鉤爪の男』も自身の鉤爪の重量が増すような感覚を覚えたようだ。
(それだけではありません――)
薙人が吹く蟲笛に呼び出された白燐蟲の群れが、男と九竜神火罩へ同時に襲いかかる。
更に彼の足場から桜花が吹き荒れると、九竜神火罩を包み込むように集中攻撃を始めた。
「ならばその幻想を焼き尽くそう!」
「できると思いますか? このフィールドで」
侵略蔵書を開こうとした男の動きよりも速く、彼の背後に一対の機械の掌が現れる。
実際は機械の速さはそこまで速くはなかったが、男の動きが大幅に制限されていたのだ。
「これがわたしの望み……この世界の平和を!」
巨大化した機掌は、一瞬で男をその内へ捕えると隙間なく握り合った。掌の内から魔法の光が放射状に放たれれば、そこにはもはや何も残っていなかった。
欠片も残さず、男は消し飛ばされてしまったのだ。
「九竜神火罩はどうなりましたか」
尋ねる望の声に返答はない。代わりに、蟲笛を吹き続けている薙人が彼女へ場所を譲るように足場の桜ごと移動した。
傷だらけになりながらも、攻撃衛星はまだその姿を保っている。本来の機能を発揮することはもう無いだろうが、制御を失って墜落でもすればことだ。
「わたしもお手伝いしますね」
手にしたキャバリア装備のツインブレードを振りかぶると、最大限に魔力を乗せた斬撃波として放つ。
桜花と斬撃波の膨大なエネルギーを浴びた九竜神火罩は、その動きを停止させるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミア・ミュラー
アイテム:召喚ロボット用の魔法の翼
何だか脅してるみたいな感じだけど、協力してくれるってことで、いいのね?じゃあ総力戦のはじまり、だよ。
【プリンセス・シルバー】で呼んだロボットに乗って空を、目指すよ。翼はみんなが貸してくれたし、これなら宇宙に近くても、平気。高速移動はやっかいだけど、こっちの一撃は痛いから近づいてはこない、はず。飛び回って九竜神火罩の狙いを外しながら、真空波は翼に当たらないよう腕で、防ぐよ。
九竜神火罩の近くまで来たら、ロボットの手を槍みたいにして、突き刺す。そのまま振り回してあのひとにぶつけて、あげる。おとぎの国の、不思議な力。戦うためだけの力じゃない、けど。だからこそ、強いの。
●
もやさないで、きらないでと懇願されると、木ごと切り刻んで燃やすことで森を突破したミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)としては自分が彼女達を虐めて脅しているような感覚を覚えた。
(でも、さっきはそれくらいしないとこっちが迫られてたし……)
つまり、不可抗力というものである。不当な脅しなどではなく、あれは正当防衛だったのだ。
「おとぎの国の、アリス達。つまり、協力してくれるってことで、いいのね?」
舞い落ちる花々に尋ねると、ミアの手に白い薔薇が落ちてきて花びらを散らし、彼女を包む。恐らく、そういうことでいいのだろう。
「じゃあ、総力戦のはじまり、だよ」
このおとぎの国で出会った全ての仲間達と共に、この世界を守るために。
ミアはユーベルコードでおもちゃのような魔法金属ロボットを呼び出すと、「アリス」達へ翼になってくれるよう頼んだ。すると、白薔薇の花弁がロボットの背に集まり白い翼となる。
「いくよ」
「アリス」達によって強力な翼を授かったロボットなら、今からでも追いつけるはず。ミアは男達が飛び立った
宙の彼方を見上げると、翼の生えたロボに乗り込み自分も
宙を目指すのだった。
宙へ到着したとき、『鉤爪の男』の姿はなかった。九竜神火罩もない。
しばらく周囲を警戒していると、『力』が撚り寄り始まり――男の形を取った。
「はっはっは! 先の猟兵にはユーベルコードを出す間もなくやられたわ! 一生の不覚。しかしまさに予想外にして埒外!」
不覚とは言いつつ、文字通りその身を以て猟兵達の強さを実感し、彼はご満悦の様子だった。
「その力……ますます破りたくなってきた」
言うがはやいか、『鉤爪の男』は瞬時にミアの元へ移動し真空波を放つ。
「!!」
間一髪で飛んで回避したが、すぐに追い付かれる。またこれをぎりぎりで飛んで躱し、また追い付かれる。
「こ、の!」
逃げてばかりではキリが無い。乗っているロボットに拳を握らせてパンチを見舞えば、鉤爪と相殺した衝撃で男は大きく後方へ弾かれた。
「ふ、ふふふ……! 我が鉤爪の1本が失われた程度ではなぁ!」
(やっかいだなぁ……痛いからとか、殺されるかもとか、考えない人だ。この人)
こうなればもう脇目も振らずに九竜神火罩を目指すのみ。只管にあの衛星を目指して、ロボットの手を限界まで伸ばした槍として突き刺す。『槍さえ届けば』こちらのものだ。
「あの、ね。教えてあげる。おとぎの国の、不思議な力。戦うためだけの力じゃない、けど。だからこそ、強いの……!」
攻撃衛星の、最大火力のまま。痛みも死も恐れぬオブリビオンマシンの男へと叩き付けた。
大成功
🔵🔵🔵
有州院・こりす
…ごめんな…ありがとうな
UCで纏う花びらは倒されたナイトちゃんの薔薇と混じって天翔ける翼に
崩れたいばらのお城の力を取り込む
九竜神火罩は氷の属性攻撃といばらのお城の力で氷の茨に閉じ込めて落としたる!
アリス狩りオウガの鎖がこりすちゃん自身に向けられるなら空中戦で応戦して見切り
カウンターで鎖ごと生命吸収
奴隷やのうておひめさまでアリスやもん!
鉤爪ちゃんだってユミルの純粋な直系、つまりはユミルの王子様やん
なんで王様なんて名ばかりの奴隷に自分から成り下がってるねん…
哀しみのせて限界突破でハートをぶっつける
おとぎ話に終わりなんてあらへん
何度でも何度だってめでたしめでたしのハッピーエンドを繰り返すんや!
●花舞う
宙で // Tale is Never Over, Happily Ever After
優しい花が降り注ぐ花畑。
有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)は、手に落ちたピンクの薔薇を大切に両手で包み込んだ。
(……ごめんな……ありがとうな)
森から出られなかったこりすの『ナイトちゃん』。ほんの短い間だったが、こりすを守る薔薇の
騎士でいてくれた。
最後にはやはりこりすを閉じ込めようとしてしまったが、切り刻まれても伸ばされた枝は手を握ろうとしてくれた。
「……一緒に行こな、ピンクのナイトちゃん!」
この花は髑髏の幹の『ナイトちゃん』ではなく、『ナイトちゃん』に囚われていた過去の「アリス」かもしれない。
それでもピンクの薔薇に笑ってみせれば、薔薇は花びらを散らしてこりすのドレスに翼を生んだ。
「いばらのおしろちゃんも一緒においで!」
『発射台』へ内側から書き換えられて崩れた本来の『いばらのおしろ』の力も吸収して、こりすは彼方の
宙へと飛び立った。
別れの哀しみと苦しみを、その翼へ送る風として。どこまでも高く、ピンクのプリンセスは飛び立っていく。
暗い
宙に、九竜神火罩と『鉤爪の男』がいた。
九竜神火罩は何度も破壊される度自律機能で修復されていたが、度重なる損傷により制御が難しい状態にあるようだった。
「見つけたで鉤爪ちゃん! まずはその九竜神火罩――」
九竜神火罩は、あろうことか暴走を始めたのだ。その場で平衡を崩し始めたかと思えば、地上へ降らせるはずのエネルギーを蓄えたまま膨張を始めたのだ。
そのような危険物を背にしても全く焦る様子のない『鉤爪の男』は、自身が何度でも蘇るオブリビオンだからだろうか。
「これの破壊が目的なのだろう? 今ならば僅かな刺激で木っ端微塵に爆ぜるであろうよ。
この熱量がここで爆ぜればお前はおろか、地上も無事ではすまんだろうがな」
「それはあっかーん! 爆発があかんのやったら……!」
ドレスの周りを舞っていた花びらに願うと、花びらは九竜神火罩へと吹きつけ『いばらのおしろ』の氷像を作り始める。元々これを格納できていた城なら、このまま落としてもおとぎの国への被害は少ないはずだと考えたのだ。
「成程。おとぎの国ならばそれも不可能ではあるまいよ。――私がそれを許せばな!」
男の侵略蔵書が開かれ、『不思議の国』の太陽が氷の城を溶かすように
宙へ浮かぶ。
更にその灼熱の太陽から鎖を絡ませたオウガが召喚されたのだ。
「オウガよ、そのアリスはお前に任せよう。お前の好きに捕えるがいい」
「うう……こっちの手も緩めたないけど、今はしゃーない……!」
鎖を振り回すオウガの攻撃を、翼で飛んで避ける。中断した氷の城の『建設』は、時間が経てば経っただけ太陽に溶かされてしまう。一刻も早くこのオウガを、『鉤爪の男』を倒さなければ!
どれほど避けても、鎖は執拗に追いかけてくる。距離を縮めようとすれば間違いなくオウガに捕まる。
捕まればどうなるか。オウガに奴隷として捕まるのだ。アリスラビリンスのアリスとは、そうしてオウガに捕らわれて食らわれてきたのだ。
「……こりすちゃんはなぁ、おひめさまなんや」
伸びてきた鎖から逃げるのを止める。代わりにドレスからカウンターの光を放つと、光に触れた鎖からオウガが形を失って取り込まれていった。
「奴隷やのうて、おひめさまでアリスやもん!
鉤爪ちゃんだってユミルの純粋な直系、つまりはユミルの王子様やん!」
「王子様?」
「そやで! せやのに、なんで王様なんて名ばかりの奴隷に自分から成り下がってるねん……」
向けられる哀しみに『ユミルの王子様』は多少眉を動かしはしたが、男はすぐに鉤爪を開き襲いかかる。
「確かに今のアリスラビリンスでは、私はオウガを統率する王かもしれないな。
国に束縛される王という名の奴隷……そのような概念の上書きを試みたのだろうが、私には通用しない」
「じゃあ何で、この鎖が効いてるんや!」
オウガから吸収した『奴隷を縛る鎖』をぶつけると、男の鉤爪に絡みついて離さない。動かない鉤爪に今度こそ男は驚いて目を見開いた後、小さく嗤った。
「……ああ、認めよう。『奴隷』には違いないのだろう。ただしこの世界の、ではない」
超弩級の戦いの場にしか生きられない、オブリビオンマシンの性。
巨人ユミルの末裔として生まれ落ちた性。
その『奴隷』ではあった、かも知れない。
その哀しみを、花びらの嵐に変えて――こりすは九竜神火罩ごと包み込んだ。
花嵐の後に奴隷の男はなく、灼熱の太陽が消えた
宙には九竜神火罩を封じ込めた氷の城があった。
城は花びらに包まれて落ちていくと、元の『いばらのおしろ』があった辺りへ収まったようだ。
「……おとぎ話に終わりなんてあらへん。
何度でも、何度だって、めでたしめでたしのハッピーエンドを繰り返すんや!」
花に満ちたおとぎの国へ、最後にピンクの薔薇が吹かれて散っていく。
ハッピーエンドに涙は似合わない。
ラクリモサ・バイバイ・ララバイは、
笑顔を届ける魔法なのだから。
大成功
🔵🔵🔵