記録No:f39307『冥狼の後継者』エミリヤ・ユイク
日焼した紙の埃が払われた。
一つの資料の薄れたファイルには■■研究機関の遺伝子複合クローン精製実験、および制作記録の文字。
張り付いたページの間に滑り込まれた拉げ割れかけの記録媒体が、修復再生機に投下されれば自動再生される。
被検体No:f39307資料
ベース被検体細胞No:f04458
合成被検体細胞No:f39247
戦闘記録映像解析結果
ディスク記録:破損補修成功。一部破損再生不可。
再生を開始。
黒髪の少女が苦し気に呻いている。
「――ハ、はっ……っ、ぅ」
しかし支給品なのか使い込まれた
サムライブレイドを杖代わりに震える足で立ち上がったと同時、画面に背を向けた
似た見た目の少女が無感情に飛び掛かるや眼前まで踏み込んだ瞬間に屈み、鋭く腹を打つ。
「カハッ、ぐっ……うぅっ!」
「……」
呻いた少女が、
「う、う――うぅぅぅぅ!!」
「!」
唸り居合抜いた一刀で向かい合う少女の腕を斬り飛ばした、瞬間。その瞳は右に星の如き金を。左に海の如き青を湛え、まるで
ベース被検体細胞No:f04458と
合成被検体細胞No:f39247の特徴同時顕現(後述:覚醒顕現)確認。
後、戦闘実験で生き延びた個体 被検体No:f39307が第四回訓練まで生存し弱くも危機的状況下でのみ感情を発露させながらの覚醒顕現に成功。エミリヤ・ユイクと命名。
生体反応記録より“脳内物質■■■が一定量を越えると覚醒顕現”要項を満たしている可能性を確認。
大量投与は個体に負荷を強い、成功率■■%の為今後不可とする。
以後、人格再形成の為“人”として教育と戦■訓練を並■し行う。
接触者要選定■■は不可。
マナー教育:順調。甘い物と酸味の強い物を好む傾向有。
戦闘訓練:『黒狼牙爪』に適正あり。黒狼爪牙の■■値■■%でエミリヤの覚醒成功率の上昇確認。
以後エミリヤ所持を許可すると同時にリ■■値上昇の折りに■■■を常時解析。
精神的要素(人間的:負けず嫌い精神)をベースに自己感情を引き出し、窮地において黒狼爪牙とのリンク最高値を更新。
同時に炎を纏う状態での覚醒顕現発露を確認。
以後覚醒顕現状態を
焔狼と命名■。
今は張り付き読めぬページと、焼かれ途切れ途切れの部分と黒塗りの部分解析は追々叶うことだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴