歌姫の祈りと鋼の軍靴
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「みなさん、本日はお集まりくださりありがとうございます」
屋外にあつらえられた特設ステージの上で、ひとりの少女がマイクを片手に話しだす。
雪のように真っ白な毛並みに、綺麗にカールした二本角。一目で多くの人を虜にする美貌を備えた、階梯4のヒツジ獣人だ。
「帝国との戦いは激しく、ここにいるみなさんの中にもつらい体験をした人が多いと思います。それでも、今日だけは戦争のことを忘れて楽しんでほしいです。わたしの歌が、少しでもその助けになれば幸いです」
穏やかで優しいその言葉に、観客は拍手で応じる。
少女の名はエイミー・フレイア。数多の戦場を巡り兵士達に歌声を届けてきた、高名な歌姫である。
兵士だけでなく市民にも彼女のファンは多い。中にはこの音楽会のために市街から訪れた者もいるほどだ。
「いつの日か、この世界が平和になりますように……」
祈るようにマイクを握りしめて、エイミーは歌い始める。しっとりとした優しい美声が会場に響き渡る。
老若男女を問わず、誰もがその歌声に聞き惚れ、自然に身体を揺らす。戦乱の絶えぬこの世界では貴重な、穏やかで幸せなひと時がここにはあった。
――だが、そんなささやかな幸福の地にも、侵略の魔の手は迫っている。
機械帝国ゾルダートグラード。その軍靴の音は、やがて歌姫の歌声もかき消すだろう。
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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「獣人戦線のヨーロッパにある地方都市に、超大国『ゾルダートグラード』の侵略部隊が迫っています」
禁軍猟書家との戦いで手に入れた「はじまりの武器」に導かれて、猟兵達が辿り着いた新世界『獣人戦線』。
そこは異世界から現れた6つの超大国の侵略を受け、100年以上に渡る世界大戦が続く地球。この世界の住人である獣人は「はじまりの猟兵」から伝授されたユーベルコードの力で、オブリビオンの侵略に抵抗している。
「敵勢力の標的となった地方都市では、とある有名な歌姫を招待して小さな音楽会が開催される予定でした。この都市はゾルダートグラードとの最前線から近く、疲弊した市民の慰問を兼ねたセレモニーのようです」
戦時中とはいえ時には娯楽もなければ兵士や民衆の士気は保てない。ささやかでもこうした祭典を行うことが人々の心の支えになっているのだ。だがゾルダートグラードはそれを侵略する好機と捉え、オブリビオン部隊を送り込んできた。
「民間人の生命ももちろん大切ですが、彼らのささやかな幸せを奪わせる訳にはいけません。皆様は至急現地に向かい、音楽会の会場で警戒活動にあたってください」
今回は予知のタイミングが早かったこともあって、まだ敵軍が都市に到達するまで時間がある。今から警戒していれば敵が都市部になだれ込んでくる前に察知できるはずだ。なるべく民間人に不安を与えないように、警戒中はそうと傍目には分からないよう音楽会の観客に紛れ込むのが良いだろう。
「敵はゾルダートグラード軍の『ガスマスク兵』部隊です。彼らが操る化学兵器はいずれも危険極まりないもので、市街地で使用されれば民間人への被害は甚大なものになるでしょう」
効率的に敵を殺戮することだけを追求した、倫理の欠片もないオブリビオンの兵士達。彼らを都市部の外で応戦し、撃退するのが今回の依頼となる。もちろんガスマスク兵の化学兵器は一般獣人だけでなく猟兵にも有効だ。一対一なら後れを取るような相手ではないが、くれぐれも油断は禁物である。
「部隊を指揮するのは『サロメサージェント』と呼ばれる女性下士官です。彼女は自分の部隊と共に傭兵として超大国間を渡り歩き、数々の作戦に参加してきました」
配下の兵士達を手足のように巧みに指揮するだけでなく、拳銃の扱いにも長けており、指揮官としても兵士としても有能なオブリビオンだ。その性格は冷酷であり、民間人を巻き込むような非道な作戦も平然と行うのは既に説明した通り。ここで見逃すには危険すぎる相手だ。
「指揮官であるサロメサージェントを撃破すれば、ゾルダートグラード軍も今回の作戦を諦め、撤退するはずです。どうか、よろしくお願いします」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、獣人戦線ヨーロッパ方面に猟兵を送り出す。
敵は鋼鉄と機械の帝国ゾルダートグラード。無慈悲なる侵略を続ける超大国を、六番目の猟兵が迎え撃つ。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
やって来ました新世界。今回のシナリオは獣人戦線にて、ヨーロッパのとある地方都市に侵攻したゾルダートグラード軍を撃退する依頼です。
1章は地方都市で開催されている音楽会に参加しつつ、敵襲の警戒を行います。
戦場の歌姫として有名な「エイミー・フレイア」という少女が招待されて来るということで、市民はこの音楽会を楽しみにしています。
彼らのささやかな幸福の妨げにならないように、皆様も音楽会を楽しみつつ敵襲に備えていただければ幸いです。
2章はゾルダートグラード軍の『ガスマスク兵』との集団戦です。
1章で警戒していれば早期に敵軍の襲来に察知でき、市街地を戦場にせずに済みます。
彼らが操る化学兵器は大量殺戮を可能とする危険な代物ですので、確実にここで撃退してください。
3章は指揮官である『サロメサージェント』との決戦です。
指揮能力も個人戦闘力も優秀なオブリビオンの傭兵隊長です。彼女を撃破すればゾルダートグラード軍は撤退します。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『歌姫来訪』
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POW : 熱くなって盛り上がる
SPD : アーティストにサインをもらう
WIZ : いっそ自分もステージに上がる
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黒影・兵庫
ここが俺達猟兵のはじまりの世界・・・
(「猟兵だらけの安全な世界かと思いきやかなり切羽詰まった世界じゃないの」と頭の中の教導虫が話しかける)
そのようです!しかしここから俺たち猟兵と獣人の皆さんによる大逆転劇が始まります!
(「そのためにも最初の仕事は完全勝利で終わりたいわね・・・さてどうする?」)
まずはUC【蝗害】で強襲兵の皆さんを召喚し敵の位置を『情報収集』していただきます!
敵の位置が分かればどの方向から攻撃を仕掛けてくるか判明するので
『トンネル堀り』と『早業』で落とし穴を作り
町の人達やエイミーさんが退避する時間稼ぎ用の罠を設置しましょう!
(「いいんじゃない?じゃ作戦開始ね!」)
はい!せんせー!
「ここが俺達猟兵のはじまりの世界……」
伝説的な「はじまりの猟兵」に伝えられたユーベルコードの力で、異世界からの侵略に対抗する『獣人戦線』。
その最前線からほど近い街に降り立った黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、辺りの様子をぐるりと見回す。景色は歴史の授業で習う世界大戦期の地球に似ているが、道行く住人がみな獣人というのが大きな違いか。
(猟兵だらけの安全な世界かと思いきやかなり切羽詰まった世界じゃないの)
「そのようです! しかしここから俺たち猟兵と獣人の皆さんによる大逆転劇が始まります!」
頭の中から話しかけるのは教導虫「スクイリア」。彼女の言うようにこの世界の現状は危機に立たされている。
しかし兵庫は力強く答えた。自分達「六番目の猟兵」がこの世界に導かれたのは、戦況を打開しオブリビオンの超大国を討ち倒すためだと。
(そのためにも最初の仕事は完全勝利で終わりたいわね……さてどうする?)
「まずは強襲兵の皆さんを召喚し、敵の位置を情報収集していただきます!」
今回の依頼は都市に接近するゾルダートグラード軍の撃退。そのための具体的な作戦を兵庫はスクイリアと一緒に考える。彼は戦闘用に作り出された特殊な蟲を使役する能力を得意としており、今回はそれらを偵察に活用するつもりのようだ。
「敵の位置が分かればどの方向から攻撃を仕掛けてくるか判明するので、落とし穴を作り、町の人達やエイミーさんが退避する時間稼ぎ用の罠を設置しましょう!」
古典的なトラップではあるが、飛ばない敵を足止めするには有効な戦術のひとつである。重要なのは敵を市街地まで入れないこと。初動の対応に成功すれば、後は猟兵達による防衛線を敷いて迎え撃つことができるだろう。
(いいんじゃない? じゃ作戦開始ね!)
「はい! せんせー!」
方針が固まると兵庫はさっそく【蝗害】を発動し、数百匹にも及ぶ羽虫の群れを大量召喚する。一匹一匹は小さいが、鋼鉄をも噛砕する顎と牙の力は侮れない。もっとも今回の偵察においては、その数と飛行能力こそが最大の強みである。
「強襲兵のみなさーん! よろしくお願いします!」
兵庫の指示に応じて強襲兵の群れは各方面に散り、ゾルダートグラード軍の部隊を探す。防衛する都市を中心に索敵範囲を広げていけば、接近する敵を発見するのはさほど難しいことでは無かった。向こうがまだ猟兵の存在を知らず、警戒が甘かったのも理由のひとつだろう。
「発見しました!」
(よし、じゃあ急いで穴掘りね)
虫達の報せにより敵の所在とおおまかな進行ルートが判明すれば、兵庫はその途上に急行して穴を掘り始める。
偵察から戻ってきた強襲兵も、自慢の顎で地面を掘るのに協力してくれる。本人のトンネル掘りの技術がそこに合わされば、あっという間に獣人1人がすっぽり落ちるサイズの穴が出来上がった。
「この調子ですね!」
あとは木の枝葉で蓋をして土で覆い隠せば落とし穴の完成。その後も兵庫達は同様の罠を次々に仕掛けていく。
この場所を通ったゾルダートグラード軍はさぞかし驚くことになるだろう。自分たちの侵攻が筒抜けであったという事実に――。
大成功
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エメラ・アーヴェスピア
始まりの猟兵の世界、ね。まぁ、その猟兵もまたどこかから現れていたみたいだけど
さて、とはいえ今は仕事の方よ。まぁやる事は変わらないけれど
…時間ね、猟兵の仕事を始めましょう
音楽会、ね?ええ、ゆっくりと聞かせてもらうわ
まぁ、バレないように仕事はするけれど
・先んじて『ここに始まるは我が戦場』を広域に展開
・周囲にバレない様にこっそりとドローンを使って【情報収集】【索敵】【偵察】
まぁ、相手も集団に加え、隠れようともしていないでしょうし、すぐに見つかるでしょう
…さて、音楽会ではどんな音楽が聞けるかしら?
※アドリブ・絡み歓迎
「始まりの猟兵の世界、ね。まぁ、その猟兵もまたどこかから現れていたみたいだけど」
獣人の民にユーベルコードを伝授し、オブリビオンの侵略に立ち向かったという「はじまりの猟兵」。その名は現在でも語り継がれているものの、エメラ・アーヴェスピア(歩く
魔導蒸気兵器庫・f03904)が聞いた話では、その出自等には謎が多いようだった。この世界の調査を進めれば、いずれ謎も明らかになるのだろうか。
「さて、とはいえ今は仕事の方よ。まぁやる事は変わらないけれど」
敵がどこから来ようが同じ事。オブリビオンの悪事を阻むのが自分達の役割だ。彼女は持っていた金の懐中時計を確認すると「……時間ね、猟兵の仕事を始めましょう」と呟き、はじまりの猟兵の世界、獣人戦線に向かった。
「音楽会、ね? ええ、ゆっくりと聞かせてもらうわ」
エメラが訪れた街では丁度音楽会が始まる所だった。規模はそれほど大きくはないが、住民はこの催しを楽しみにしていたようで、立ち見が出るほどの盛況ぶりである。他都市からの観光客の姿もちらほらと見え、彼女が紛れ込んでも気に留める者は誰もいなかった。
(まぁ、バレないように仕事はするけれど)
音楽会と敵の侵攻に先んじて、エメラは小さな缶型の機械を幾つも周辺に放っておく。それらは彼女の手を離れると偵察用の魔導蒸気ドローンに変形し、プロペラを回転させて空に飛び立った。こうした魔導蒸気兵器を制作・運用する能力こそが、彼女の最大の武器である。
(戦いは始まる前から……とはよく言ったものね)
【ここに始まるは我が戦場】によりドローンを広域に展開したエメラは、周囲にバレないようこっそりと索敵や情報収集を行う。ステルス機能も搭載されたこの小型機械は、まさにこうした用途のために開発したもの。偽装用ノートPCを使ってそれらを操作するエメラの様子も、今のところ不審がられる様子はない。
(まぁ、相手も集団に加え、隠れようともしていないでしょうし、すぐに見つかるでしょう)
敵はまだ猟兵がこの街にいることを知らない。いち地方都市の防衛戦力などたかが知れていると考えているだろうし、ましてや侵攻が予知されているとは想像もすまい。いかに彼女でも三桁数の機械を並行処理するのは流石に疲れるが、網の目が粗くならないよう索敵範囲を広げていけばいずれ見つかるはずだ。
「……さて、はどんな音楽が聞けるかしら?」
エメラが密かに情報収集に勤しむ一方で、ステージの方ではいよいよ音楽会が始まろうとしていた。部隊に立った1人の少女が、マイクを片手にはじまりの挨拶を行い――そして、流れだした楽器の演奏に合わせて歌を紡ぐ。
「いつの日か、この世界が平和になりますように……」
祈りを込めたその歌声は優しく包み込むようで、観客の心の中まですっと染み込んでくる。戦場の歌姫として名を馳せるのも納得だ。長引く戦時下で不安な生活を送る市民や兵士にとってこの歌がどれだけの支えになるのか、エメラにも理解できた。
「……いたわね」
歌姫エイミーの歌に耳を傾けていると、街の東側を索敵していたドローンの1機が、接近する不審な部隊の影を捉える。ガスマスクや武装などの特徴も事前に聞いたものと一致しており、奴らがゾルダートグラードの侵略部隊とみて間違いないだろう。
「ここに来るにはまだ距離があるみたいね。早期に発見できて良かったわ」
エメラはすぐにこの情報を他の猟兵にも伝えるべく、ドローンを連絡に向かわせる。今から対応にあたれば都市に接近される前に迎撃体制を取り、必要とあれば住民を避難させる猶予もあるだろう。獣人達のささやかな幸せを無粋なオブリビオンに壊させる訳にはいかないと、この歌を聞いた今なら一層そう感じられた。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
エイミーの音楽会に参加してひと時エイミーの歌声を楽しむ。
音楽会の様子を見て。
「これだけの人が集まるって事は相当有名な人なんだろうね。
今はこの人たちと一緒に楽しませて貰おうかな。」
音楽と歌を聞いて
「……これならファンが集まるのも納得だね。
さて。」
とひと時楽しんでから辺りの警戒を行う。
周囲の人の多い所や道路の状態等街の構造を把握しながら
高所から遠方を眺めて木々の動きや音、砂煙の立ち方に
注意して敵が近づく様子がが見えないか警戒。
警戒しながら術士の書斎を使用し
都市での防衛戦や敵軍の早期発見についてや
住民の避難方法についての書籍を取り出して調査。
来るべき戦闘に備えておく。
「これだけの人が集まるって事は相当有名な人なんだろうね。今はこの人たちと一緒に楽しませて貰おうかな」
獣人の街を訪れたフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、まず話に聞いた音楽会を見に行くことにした。
屋外に設営されたステージの上で、ヒツジの特徴を持つ年若い少女が大勢の観客に見守られながら歌っている。あの娘が噂の「エイミー・フレイア」だろう。
「ここにいる皆さんと、戦場で戦う兵士さん達のために、今日も歌います」
戦場の歌姫として名を馳せる、その歌声は評判と偽りなく。戦禍で荒んだ人々の心を癒やすように、優しい歌が会場に響き渡る。最善列でそのパフォーマンスを浴びた者や、遠方からわざわざ訪れた観光客などの中には、感極まって涙を流す者もいたほどだ。
「……これならファンが集まるのも納得だね。さて」
フォルクもまた獣人達と同じように素晴らしい音楽と歌をひと時楽しんでから、辺りの警戒を行う。ささやかな幸福を市民が甘受している間にもゾルダートグラードの侵略は迫っている。それを阻止できるのは自分達だけだ。
(この塔の頂上なんて良さそうだ)
彼は周辺を歩いて人の多い所や道路の状況等、街の構造を把握しながら索敵に向いた場所を探す。目をつけたのは街の中央区でひときわ高くそびえ立つ1本の時計塔だ。この上からなら市街地の外の様子まで見渡せるだろう。
「どれどれ……」
時計塔に登り、高所から遠方を眺めて敵が見えないか警戒するフォルク。木々の動きや音、砂煙の立ち方など、注意すべきポイントは幾つもある。また実際に敵が近付いてきているのが分かった後、どのように対処するか考える必要も合った。
「調べてみようか。歩みを進める為に」
そのために彼が頼りにするのは【術士の書斎】。都市での防衛戦や敵軍の早期発見についてや、住民の避難方法について調べるために、関連する書籍を自分の書棚から空間を超えて取り出す。魔術師としての研究の過程で入手した様々な世界の文献は、彼の知識の大きな支えとなっていた。
「この世界の文明だと、この辺りの本が役に立ちそうかな」
地球で言う所の第二次世界大戦頃の防衛戦について書かれた書籍を主な参考に、フォルクは必要な知識を学ぶ。
ここでの敵はユーベルコードを使う人外のオブリビオンであり、一般的な話をそのまま鵜呑みにはできないが、十分参考にはなるだろう。
「……見つけた。あれがそうか」
やがて視界の果てに小さな土煙と人影の集まりがこちらに近付いてくるのを見つけた彼は、ぱたんと本を閉じて書斎に戻すと、来るべき戦闘に備えて動きだす。早期に発見できたおかげで時間にはまだ余裕があるが、やるべき事はそれ以上に沢山あった。
「できる限りの事はしておこう」
いざという時に備えた避難経路の確認や、敵が通る予定地点での迎撃準備。本から学んだ知識をフォルクは即座に実行に移す。街からは今も歌声が聞こえてきており――この音楽を守るためにも、彼は尽力を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アヤネ・タチバナ
🔴REC
ハロハロビーム☆ はい、セーラー星人のアヤネだよー
いま戦場の歌姫、エイミー・フレイアの音楽祭に来ていまーす。イエイッ☆
うち続く大戦のなか、皆の心の支えになってる。それってマジ偉いよね
あたしも邪魔にならないように、皆と一緒に音楽祭を満喫しちゃおうと思います♪
と、自撮りはこれくらいであたしも会場へ
歌もだけど、折角獣人戦線に来たし(歌に夢中で落とす運命の)糧食と飲み物を買っときたい
あとなるだけエイミーの近く。あたしのコミュ力で誰かに場所取りお願いしちゃう
あたし気配感知があるけど、エイミーも何か感じ取るかもだし。注意しとこ
プロのパフォーマーは観客をよく観てるんだって
エイミーちゃん☆きゃわー♪
「ハロハロビーム☆ はい、セーラー星人のアヤネだよー。いま戦場の歌姫、エイミー・フレイアの音楽祭に来ていまーす。イエイッ☆」
録画中のスマホのカメラに向かってポーズを決め、にっこり笑顔でそう語るのはアヤネ・タチバナ(セーラー服を脱がさないで・f39709)。セーラー星からやって来たセーラー星人にして星外視察官である彼女は、こうして気ままに異星や異世界を視察(観光)するのが日常なのだ。
「うち続く大戦のなか、皆の心の支えになってる。それってマジ偉いよね」
そんな彼女も、暗い戦争ムードに歌で希望をもたらすエイミーの活動にはリスペクトを惜しまない。こと猟兵でもない普通の女の子がそれを実行するのは、並々ならぬ勇気のいることだ。そうした姿勢もまた人々を惹きつけ、人気を集める要因になっているのだろう。
「あたしも邪魔にならないように、皆と一緒に音楽祭を満喫しちゃおうと思います♪」
と、自撮りはこのくらいにして自らも会場へと向かうアヤネ。歌も聴きたいが折角新しい世界に来たことだし、ここでしか食べられない物を味わってみたい。獣人戦線では果実や穀物から作る
糧食を加工して、肉を含めた様々な料理を再現する技術があるそうだ。
「ごめーん、ちょっと場所取りお願いできない? お礼はするからさ、ネッ☆」
「え? ううん、仕方ないなあ」
さらに彼女は持ち前のコミュ力を活かし、その辺の獣人に場所取りを頼む。それもなるだけエイミーの近くを。
初対面で図々しいお願いではあるが、そう感じさせないのは天性の魅力だろうか。「サンキュー☆」と朗らかなスマイルを見せて、彼女はささっと飲食店に駆け込む。
「ふー、間に合った!」
アヤネが糧食と飲み物を購入して会場に戻ってくると、丁度エイミーの出番が来る所だった。ステージに立ったヒツジ獣人の少女が、優しい笑顔で観客に語りかけ、マイクを手に取る。そして軽快な伴奏と共に歌が始まった。
「悲しみも、苦しみも、全てこの歌に溶けてしまって……――♪」
戦場の歌姫の名声に恥じぬ、優しくも芯の通った歌唱。聞き手の心にすっと自然に沁みてくる不思議な歌声だ。
陶然と聞き惚れる者や、夢中になって手を振る者。観客の反応は様々だったが、彼女の歌に心を揺さぶられない者は1人もいなかった。
「エイミーちゃん☆きゃわー♪」
アヤネも歌に夢中になるあまり、折角買ってきた糧食を落っことしてしまうほど。とは言え、音楽会を楽しみすぎて本来のお仕事を忘れてしまった訳ではない。ゾルダートグラード軍による侵略の危機は、着実にこの都市まで迫ってきているのだから。
(あたし気配感知があるけど、エイミーも何か感じ取るかもだし。注意しとこ)
大事なのは敵襲を早期に察知することと、市民になるべくそれを気取られないこと。お祭りの最中に敵が来たと知ればパニックになりかねないし、折角の幸せなひと時が台無しだ。そして、そういう変化に一番敏感に気付くであろう相手が、今ステージに立つ少女であることもアヤネは予想していた。
(プロのパフォーマーは観客をよく観てるんだって)
故にあくまでいち観客のフリをしてエールを送りつつ、アヤネは歌姫の様子をよく観察する。今のところは異変が起きた気配はないが――いざ有事となれば彼女も猟兵として本気を出すだろう。かつてJK星域を割拠し覇を争った武闘派セーラー星人の実力が、この獣人戦線で披露される時は近い。
大成功
🔵🔵🔵
アルマ・アルカレイト
エイミィィィィちゃぁぁぁぁん!
ILOVEエイミと描かれたピンクの法被とサイリウムを持ってライブを応援する
UC発動
バジリスクタイムは踊っていた
『アルマってアイドル系好きやなぁ…ヒサ?』
慶喜が呟いた
『zzz』
緋智は寝ていた
宿まで連れて行こうか?
『…俺が連れて行くわ』
慶喜はアルマに声をかけてから緋智を宿屋へ運んだ
慶喜は緋智を宿にある部屋に寝かせる
『…アルマの蟲?』
緋智の首にアルマの蟲がくっついていた
『あいつ蟲を出しっぱやない…か…?!』
緋智の首元には紋章が浮き出ていた
『この蟲は確か隠蔽されている物を映し出すと…そういえばヒサは首元だけは見せないようにしてたな』
『…アルマは初めから気づいていたのか?』
「エイミィィィィちゃぁぁぁぁん!」
ILOVEエイミと描かれたピンクの法被を着て、サイリウムを振り回すアルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)。この世界でエイミーの歌声を聞いてもうファンになってしまったのか、その応援の熱の入りようは周囲から若干浮いてしまうほどだった。
「さあ! 出てきなさい!」
相棒の【フラスコの赤き蠍『バジリスクタイム』】も呼んで、一緒に音楽会を盛り上げさせる。歌とメロディに合わせて激しく踊り狂う赤サソリは、この世界の基準でみてもかなり奇怪な存在だったが。幸いにもアルマが猟兵であるお陰で違和感を持たれてはいなかった。
「アルマってアイドル系好きやなぁ……ヒサ?」
同行する「東・慶喜」はアルマの熱狂ぶりに呆れ半分といった顔で、隣にいる「緋智」に声をかける――だが、返事はなかった。振り返ってみるとそこには観客席の長椅子に座ったまま、こくりこくりと舟を漕ぐ少女がいる。
「zzz」
エイミーの綺麗な歌声に眠気を誘われたのだろうか、彼女はぐっすりと眠りこけたまま目を覚ます様子がない。
近くであれだけ騒いでいるファンがいても起きないのは、相当眠りが深いのだろう。そのアルマも遅れて様子に気づいたようで、サイリウムを振る手を止めた。
「宿まで連れて行こうか?」
「……俺が連れて行くわ」
アルマはこのまま音楽会を楽しめばいいと、気を遣った慶喜は緋智をそっと背負い、事前に取っておいた宿屋に向かう。他の猟兵から聞いた話では、ゾルダートグラード軍の襲来まではまだ時間があるようだし、それまで休ませても問題ないだろう。
「着いたで……よっと」
宿に到着した慶喜は部屋のベッドに緋智を横たえる。その拍子に彼女の衣服の首元がはだけ、細い首筋があらわになる。ゆっくり寝ておけばいいと、そのままシーツをかけてやろうとし――そこで彼は奇妙なものに気付いた。
「……アルマの蟲?」
緋智の首にくっついているその小さな虫に、慶喜は見覚えがあった。アルマが蟲笛『インゼクター』で使役する蟲の一種だ。普段は蟲籠の中に収納しているはずだが、呼んだ後にうっかり回収するのを忘れていたのだろうか。
「あいつ蟲を出しっぱやない……か
……?!」
そう考えて蟲を払いのけようとした慶喜は、より見過ごせない異常に気付く。緋智の首元にはいつの間にか奇妙な紋章が浮き出ていたのだ。ただの装飾や刺青ではなさそうだが、それなりに付き合いの長いにも関わらず、今になるまで彼はこんなものの存在を知らなかった。
「この蟲は確か隠蔽されている物を映し出すと……そういえばヒサは首元だけは見せないようにしてたな」
蟲の力で初めてこの紋章が見えるようになったのなら、緋智にとってこれは「隠しておきたいもの」だということになる。彼女は相変わらず眠ったままで、寝顔や呼吸等におかしな所は見られなかったが、一抹の不安が慶喜の脳裏をよぎる。
「……アルマは初めから気づいていたのか?」
なるべく早く事情を尋ねるべきかもしれない。そう考えながらも今の彼はこの場所を動くことができなかった。
超大国のオブリビオンが接近する中、見えない不安要素を抱えながら、彼らは対処を迫られることとなる――。
大成功
🔵🔵🔵
グエン・ティホァ
※アドリブ歓迎
・SPD判定
・目的
「暗殺」技能で物陰からエイミーを守るための警戒をする
・行動
ステージ脇辺りの物陰からじっとりと見つめつつ無言で歌に聞きほれる
その後は襲撃が起きたらすぐに敵へと向かえるように
人混みから離れた場所に潜み周囲を警戒し続ける
・セリフ
「……。(もふもふ可愛い、歌も素敵。あんな子を思いっきり抱きしめながら吸えたらいいのに……)」
「……」
歌姫エイミーの登場で音楽会が盛り上がる中、ステージ脇の物陰に1人の獣人が無言でじっとたたずんでいた。
彼女の名はグエン・ティホァ(
蛇紋石・f39896)。ブラックマンバの獣人にして、今回の依頼を引き受けた猟兵の1人である。
「♪~ ♫~」
「「わぁぁぁぁ!」」
会場が歌声と熱気に包まれるのとは対照的に、人混みから離れた場所で物音ひとつ立てない。軍令暗殺者として暗殺術を磨いてきた彼女の潜伏能力は、一般人に見破れるものではなかった。こうやって陰ながらエイミーを警護することが、彼女が自分に課した役割だった。
「皆さん、応援ありがとうございます。次の曲は、今日初めて発表する新曲になります」
沢山の拍手喝采を浴びながら、歌姫エイミーは笑顔で自分の歌を披露する。まだ若くてふんわりとした容貌とは打って変わって、そのパフォーマンスは堂々とした立派なもので、たおやかな歌声を会場の隅々まで届けていく。
「……」
グエンはその姿を物陰からじっとりと見つめていた。元々の美貌も相まって、そのたたずまいからは陰鬱な迫力を感じさせ、いかにも冷徹な仕事人といった風情だが――大蛇の下半身のほうに目をやれば、尻尾の先がゆらゆらとリズムに合わせて揺れているのが分かる。
「……(もふもふ可愛い、歌も素敵。あんな子を思いっきり抱きしめながら吸えたらいいのに……)」
外見や雰囲気から誤解されがちだが、実はグエンは小さくてかわいい子が大好きである。いつも愛でたいと思っているのだが、怖がられるのでなかなか機会に恵まれず、心の飢えは高まる一方。クールに沈黙を貫いているように見えても内面ではエイミーの歌に聞き惚れ、感情が昂りまくっていた。
「……(いけない、仕事仕事。でも吸いたい……)」
弱肉強食衝動の表れか、ちょっぴり独特な性癖持ちでもある彼女は、公然と言い放てば引かれそうな願望で悶々とするが――それでも我を忘れずに務めを優先できるあたり、分別を弁えた大人である。視線はステージのほうに釘付けでも、周辺の警戒を怠ってはいない。
「……(こんなに可愛い子のステージを邪魔するなんて、絶対に許せないわね……)」
たっぷりと歌姫の音楽を堪能した後で、グエンは音もなく会場の喧騒から遠ざかり、また適当な所に潜伏する。
襲撃が起きたらすぐに敵へと向かえるように警戒は継続中。他の猟兵からの情報により、ゾルダートグラード軍のおおまかな侵攻ルートも判明している。
「……(そろそろかしら)」
肌に馴染んだ戦場の空気が近付くのを感じながら、蛇の暗殺者はひっそりと時を待つ。獲物を狩るその時まで、彼女が牙を剥き出しにすることはない。ゆらりと揺れる蛇の尾は、先程とはまるで違う揺れ方を見せていた――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
うーん、わかっちゃいたけど新しい世界も戦いばっかだなあ。
……つっても、そんな中でも、或いはだからこそ、皆を慰めるために頑張ってる人がいるんも勿論わかってる。
おれもそういう人たちを助けてえって思ってるし、一肌脱ぎますか。
会場周辺で〈目立たない〉ようにユーベルコードを使いつつ、〈情報収集〉で得た情報を元にどういう段取りで敵が攻めてくんのかを〈第六感〉も交えて推測。
有益な情報があるんなら、他の仲間とも共有するようにする。
……それにしても、イイ歌だ。思わず口ずさんじまうかもな。
(小声ながらよく通る歌声が耳目を集めかけているのに気がつき)
おっと、今日の主役はあのコなんだから自重自重っと。
「うーん、わかっちゃいたけど新しい世界も戦いばっかだなあ」
異世界から来たオブリビオンとの戦いを繰り広げる「獣人戦線」の現状を知り、おっかなげに肩をすくめるのは鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)。猟兵が必要とされる世界には必然的に危機が迫っているものだが、ここまで全面戦争中の世界も珍しいかもしれない。
「……つっても、そんな中でも、或いはだからこそ、皆を慰めるために頑張ってる人がいるんも勿論わかってる」
人一倍怖がりで戦うのが苦手な彼だからこそ、自分にできることで「戦争」という惨禍に立ち向かう人には敬意を表する。戦場の歌姫として皆に歌を届け続けるエイミーのような人達がいるからこそ、この世界の住人は挫けずに戦えるのだろう。
「おれもそういう人たちを助けてえって思ってるし、一肌脱ぎますか」
人々のささやかな平穏と幸せを守るため、件の都市を訪れた嵐は音楽会場の周辺で目立たぬよう呪文を唱えた。
囁くは【時繰り糸の紡ぎ歌】。運命神の従者たる糸紡ぎの妖精が、その歌に誘われてどこからともなく現れる。
「見えざる流れを紡ぎましょ、時繰り糸を紡ぎましょ。さだめの絢を仕立てましょ。……悪ィ、ちょっと手伝い頼む」
この妖精たちには限定的ながらも過去と未来を観測する能力がある。ゾルダートグラード軍の侵略部隊がどのようなルートを辿り、いつ頃この都市にやって来るのか予知できれば迎撃プランを立てるうえで大きな参考になる。
『♫~』
妖精達はひらひらと舞いながら因果の糸を紡ぎ、観測した未来の情報を伝える。その内容はふわっとしたものが多いが、きちんと解釈すれば有益なものが混ざっている。嵐はそれを元に敵がどういう段取りで攻めてくるのかを推測する。
「攻めてくんのは日没前……風上に陣取ってガスを街に流し込むつもりみたいだな」
街から見てどの方角に布陣するかが分かれば、そこまでの移動ルートも逆算できる。第六感も交えて確度の高い情報を導きだした彼は、その方角をじっと見やる。まだここからでは敵軍の姿は見えないものの、恐らく襲来まであまり時間はない。
「ありがとな。ついでにこの情報を他の仲間に伝えてくれると助かるんだけど……」
嵐は妖精達を伝令代わりにして、自分が掴んだ情報を他の猟兵とも共有する。仲間達も独自の手段でそれぞれ情報を集めていることだろう。今から動けば敵が来る前に迎撃体制を整えられるはず。ひとまず市街地が戦場になるのは避けられそうだ。
「……それにしても、イイ歌だ」
情報収集が一段落して気持ちに余裕ができると、ステージからの歌声が耳に入ってくる。平和への希望と祈りを奏でる歌姫エイミーの歌声は、包み込むように聴取の心を癒やしており。自然と耳に残るメロディに釣られて、嵐も思わず口ずさんでしまう。
「♪~」
嵐の歌声は小声ながらよく通り、そよ風のように耳に心地いい。近くにいた者の耳目を集めるのも自然だった。
それに気付いた嵐は「おっと」と口をつぐみ、ステージのほうに視線を戻す。観客の気を散らせてはいけない。
(今日の主役はあのコなんだから自重自重っと)
迫る戦いの気配をこの場にいる者達はまだ知らず、ただ歌姫の声に聞き惚れている。それで良い、と嵐も思う。
このひと時を幸せなまま終わらせるために自分達は来たのだから。音楽会が終わる少し前に、彼はそっと会場を後にした――。
大成功
🔵🔵🔵
シプラ・ムトナント
【POW】
「今日だけは戦争を忘れて」……そんな束の間の休息さえ、ゾルダートグラードは奪おうとしているのですね。
そんなことにはさせません……ええ、させませんとも。
わたしは軍属の身ではありますが、武器や救護カバンを置いていけば非番として見てくれるでしょう。
肩肘を張った警備では、皆さんも落ち着けないでしょうからね。
とはいえ、もちろん警戒は必要です。歌姫に見惚れるばかりではなく、周りにも目を向けなければ。
けれど……この歌に耳を傾けるくらいは、きっと許されますよね。
この世界が平和になる……いつかは、そんな日が来るのかな。来させることができるのかな。
わたしにも、戦う以外の道が開けたりするのかな……なんて。
「『今日だけは戦争を忘れて』……そんな束の間の休息さえ、ゾルダートグラードは奪おうとしているのですね」
戦時中とはいえ慈悲の欠片もない超大国の侵略行為を知り、シプラ・ムトナント(鋼の衛生猟兵・f39963)は怒りに震えていた。街は音楽会により和やかなムードに包まれているが、この空気が一転して破滅へと変わる危機が迫っていることに、まだ市民は気付いていない。
「そんなことにはさせません……ええ、させませんとも」
平時においては優しくほんわかとしたヒツジの少女だが、戦場においては鋼の如き意志力を発揮する――それがフランスに居を構えし軍人一家、ムトナント家の娘の性であった。敵にこの都市の土は踏ませないという断固たる決意をもって、彼女は音楽会の警備にあたる。
(わたしは軍属の身ではありますが、武器や救護カバンを置いていけば非番として見てくれるでしょう)
幼い頃から兵士としての英才教育を受けてきたシプラも、肩の荷を下ろせば年相応の少女である。音楽会の席に混ざっていても奇妙に思う者は誰もいない。今は歌姫目当てで街の外からやって来る人間も多いのでなおさらだ。
(肩肘を張った警備では、皆さんも落ち着けないでしょうからね)
市民の様子を見てみれば、みな楽しそうでリラックスした表情をしている。ステージに立つのは本日のメインキャスト、戦場の歌姫エイミー・フレイア。会場に響き渡る澄んだ歌声は、まるで人々を包み込むように優しくて。露骨な警戒でこの雰囲気を壊してしまっては本末転倒だろう。
(とはいえ、もちろん警戒は必要です。歌姫に見惚れるばかりではなく、周りにも目を向けなければ)
どんな時でも職務を忘れるシプラではない。会場内を見渡して混雑が起きていないか注意し、いざという時は市民の避難誘導を円滑に行えるよう経路を頭に叩き込んである。いつゾルダートグラード軍がやって来ても即座に対応できる、常在戦場の鑑と言うべき心構えであった。
「けれど……この歌に耳を傾けるくらいは、きっと許されますよね」
それでも、彼女だって軍人である前に1人の獣人である。美しい歌声に心癒され、つかの間の安息を得る権利は彼女にもあった。ステージ上で祈るように歌うエイミーの姿は、観客席からは天使のように輝いていて――眩しいものを見るように、つい目を細めてしまう。
『この世界が平和になる日まで、わたしは歌い続けます。みなさんの心から平和への希望が絶えないように』
そんな想いを詞とメロディに乗せて、エイミーは自分の歌を人々に届け続ける。異世界より現れたオブリビオンとの戦いは100年以上に渡り、もはや平和だった時代を覚えている獣人はほぼ居ない。それでも平和という言葉を絵空事にしないために歌うのが、彼女の信念だった。
「この世界が平和になる……いつかは、そんな日が来るのかな。来させることができるのかな」
軍人として戦場の過酷さを経験してきたシプラは、それが言葉にするほど容易ではないのを良く理解している。
けれど歌姫が紡ぐ未来図には、ほのかに心動かされるものを感じた。もし、全ての超大国との戦いに勝利して、獣人戦線が終結すれば――。
「わたしにも、戦う以外の道が開けたりするのかな……なんて」
それはまだ空に絵を描くような曖昧な未来予想。けれどもシプラ個人の"憧れ"あるいは"希望"と呼べるもの。
武器や救護カバンを置いた自分が、一体どんな人生を歩むのかはまだ分からないが――いつか来るかもしれない未来にちょっとだけ期待しても良いのかもしれない。そう考えて、彼女はほのかに微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ガスマスク兵』
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POW : アシッドシャワー
【背中のタンクに接続されたノズル】から【強酸性液体】を放ち、レベルm半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【薬品チャージ】時間に応じて威力アップ。
SPD : ポリューションバレット
自身の【ライフル弾】を【重汚染薬】化して攻撃し、ダメージと【肉体変異】の状態異常を与える。
WIZ : オブリビオンガス
【骸の海ガス】を噴出し、吸引した全員を【オブリビオン化】化し、レベル秒間操る。使用者が製作した【ガスマスク】を装備した者は無効。
👑11
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街では歌姫による音楽会がつつがなく開催される一方で、猟兵達はゾルダートグラード軍の動向を掴んでいた。
迅速かつ綿密な調査によって敵部隊の侵攻ルートを把握した彼らは、都市部に到達される前に迎え撃つポイントを定め、準備を整えることができた。
やがて姿を現したのは、無骨なガスマスクを装着した兵士の一団だった。
背中には薬液を詰め込んだタンクを担ぎ、手にはライフルと噴射ノズル。情報にあった通りの装備だ。
『まもなく目標地点に到達……なんだ、奴らは?』
彼ら『ガスマスク兵』は都市までの途上に猟兵が待ち構えているのに気付くと、驚いた様子で進軍を停止する。
今回の作戦は完全な奇襲になるはずだった。それが察知されて迎撃体制を整えられていたのは想定外だろう。
『隊長、指示を……"障害は全て排除せよ"、了解しました』
だがその動揺はわずかな間だけで、敵兵は即座に戦闘態勢を取る。
彼らが用いる化学兵器は生物に対して重篤な汚染を引き起こす危険な代物だ。断じて市街地で使わせる訳にはいかない。この防衛ラインを突破されるか否かに、数多の市民の生命と未来がかかっていると言って良いだろう。
科学と鋼の力で武装した邪悪なる軍団を迎え撃つため、猟兵達もそれぞれの戦闘態勢に入る。
軍靴の蹂躙から歌姫の祈りを守り抜くことはできるのか。戦いの火蓋はここに切って落とされた。
黒影・兵庫
(「奇襲がばれても退く気なしか…アタシたちをなめているのか、それとも玉砕覚悟で突っ込んでくる気か…」と頭の中の教導虫が話しかける)
後者だと思います!せんせー!
(「となるとキツイ戦いになるけど大丈夫?黒影」)
はい!もちろん!
落とし穴は仕込み済みですし、何より俺は一人ではないので!
(UC【蟷螂の鋸】発動)
さぁ伐採兵の皆さん!敵のガスマスクと背中のタンクを狙って切り裂いてください!
『念動力』と『衝撃波』で風の流れを作り『オーラ防御』を応用したオーラの檻で
敵の軍勢を包み込むことで、敵だけ毒ガスを喰らうよう細工します!
さぁアンタたちが時間をかけて用意したご自慢の毒ガスをじっくり堪能させてやるよ!
(奇襲がばれても退く気なしか……アタシたちをなめているのか、それとも玉砕覚悟で突っ込んでくる気か……)
「後者だと思います! せんせー!」
前進を続けるゾルダートグラード軍を見て、スクイリアが抱いた疑問に兵庫は迷わず答えた。殺害した獣人をオブリビオン化して配下に加えられる超大国が、一兵卒に命を惜しませるとも思えない。任務遂行、さもなくば死の覚悟であの連中は向かって来ているはずだ。
(となるとキツイ戦いになるけど大丈夫? 黒影)
「はい! もちろん! 落とし穴は仕込み済みですし、何より俺は一人ではないので!」
教導虫が心配する一方で彼に不安はまったく無かった。どんな敵が来ようが必ず撃退するよう準備を整えてきたのだし、戦力だって負けてはいない。威勢のいい宣言に呼応して現れたのは、両腕が回転ノコギリになった蟷螂の群れだった。
「さぁ伐採兵の皆さん! 敵のガスマスクと背中のタンクを狙って切り裂いてください!」
兵庫の指示を受けた蟷螂立ちは【蟷螂の鋸】を振りかざし、一斉にゾルダートグラード軍の部隊に襲いかかる。
ギュインギュインと回転する彼らのノコギリの切れ味は鋭く、一切合切を伐採する。様々な種類の獣人が存在するこの世界でも、こんな相手と戦うのは連中も初めてだろう。
『ぐわぁッ?!』『くそっ、タンクが!』
切り裂かれたガスマスクの下から焦りの表情が覗く。タンクに詰まった化学兵器は連中の主武装であり、今回の任務遂行には欠かせない物だ。それをここで漏出したとあっては、たとえ生還しても上からの叱責は免れえまい。
『この虫けらめ……!』
これ以上の損害を受ける前に、ガスマスク兵は重汚染薬化したライフル弾を放つ。命中すれば単なるダメージだけではなく悪性の肉体変異を引き起こす【ポリューションバレット】だ。蟷螂達は回転ノコギリを盾にしてそれを弾くが、汚染は触れただけでも広がっていく――。
「切り離してください!」
『なにッ?!』
だが蟷螂達は兵庫の指示で汚染薬に触れたノコギリを自切し、新しいノコギリを再生させる。生体由来であることを活かした着脱が自在なのも彼らの特徴のひとつだ。新調された丸鋸はこれまでと変わらぬ切れ味で、敵の装備を次々に破損させていく。
「ここからは俺に任せてください!」
伐採兵が奮戦している間に兵庫は「誘導灯型合金破砕警棒」から衝撃波を放ち、念動力と合わせて戦場に風の流れを作りだす。さらに自分の体から「蜂蜜色の靄」を広げていけば、敵の軍勢を包み込むオーラの檻が完成する。
『なんだ、これは
……?!』
敵を閉じ込めるには一見頼りなさそうにも見える靄の檻。だが、その目的は破損したタンクより漏出したガスをその場に滞留させることにあった。都市ひとつを抹殺しうる危険な化学兵器は、ガスマスクなしでは使用者本人にも脅威となる。
「さぁアンタたちが時間をかけて用意したご自慢の毒ガスをじっくり堪能させてやるよ!」
『ま、不味い……ごほっ、げほッ!』『た、退避しろ、退避ー!』
オーラの檻の中で渦巻く毒ガスの風を浴び、血反吐を吐いて兵士達が倒れていく。伐採兵の仕業でガスマスクを失った彼らは、必死に手で口や鼻を覆いつつガスの範囲から逃れようとするが――そこには、兵庫達が事前に掘った落とし穴があった。
『うわぁッ?!』『た、助け
……!!』
空気より重いガスは落とし穴の底に溜まりやすい。言わば猛毒の壺に落ちる羽目になった敵兵は、そのまま這い上がることなく絶命する。超大国の尖兵として連中が為してきた非道の、因果応報としか呼べぬ末路であった。
大成功
🔵🔵🔵
シプラ・ムトナント
来ましたか……ここで迎撃します。
「軍用麻酔」と「軍用回復薬」を【薬品調合】し、「軍用注射器」に充填。
敵影が見えたら『用法容量の不遵守』を使用。
……ふぅ、気分が良くはありません。乱用ですし、寿命を削りますからね。
けれど。あの歌声と人々を守るためなら……この命を懸ける覚悟は出来ています。
……行きますよ、付いて来られますか。
強化されたスピードと反射速度を活かし、こちらから仕掛けます。
散弾銃のレミーを構えて敵に接近し【零距離射撃】、至近距離なら致命的威力です。
装弾数は二発ですが、再装填の時間が惜しい。
「救急カバン」の出番です、カバンを叩きつけて【気絶攻撃】を。これがムトナント家仕込みの近接戦闘術です。
「来ましたか……ここで迎撃します」
都市に接近するゾルダートグラード軍を見据えつつ、シプラは自らが調合した「軍用麻酔」と「軍用回復薬」を軍用注射器に充填する。衛生兵として各種医薬品の扱いを学んだ彼女は、それを戦闘に応用する術も知っていた。
「……ふぅ、気分が良くはありません。乱用ですし、寿命を削りますからね」
過剰な麻酔と回復薬を自らに注射することで、スピードと反応速度を爆発的に強化する【用法用量の不遵守】。
自分の体とはいえ本来は衛生兵として憚られる行為だ。言ってしまえば自分の余命を前借りしているに等しい。今は良くてもこのツケは何かしらの形で支払うことになるだろう。
「けれど。あの歌声と人々を守るためなら……この命を懸ける覚悟は出来ています」
何のために学び、何のために鍛え、何のために戦場に立ったのか。ムトナント家の娘は決して意志を曲げない。
ガスマスクを被ったゾルダートグラード軍の敵影を捉えた瞬間、シプラは無骨な散弾銃を片手に走り出した。
「……行きますよ、付いて来られますか」
薬品の力で引き出された絶大な"速さ"が、今のシプラの最大の武器だ。そのスピードは全力で駆ければオブリビオンの動体視力をも凌駕する。敵兵は慌ててライフル銃を構えたものの、指先が引き金にかかるよりも先に、彼女は敵に肉迫していた。
『疾い
……!!』
ガスマスクの視界から敵兵が最期に見たものは、目前に突きつけられる散弾銃の銃口だった。初陣の折にシプラが両親にプレゼントされたソードオフショットガン『レミー』は片手でも取り回しやすく、至近距離では致命的な威力を発揮する。
(まずは一人)
重厚な発砲音が鳴り響き、零距離射撃がガスマスク兵の頭を吹き飛ばす。周りにいた兵士達はそれを見て銃口を向けるが、運動能力だけでなく反射神経も強化された今のシプラには、彼らの動きがスローモーションに見えた。
『おのれ……ッ?!』
ガスマスク兵が【ポリューションバレット】を放った時には、シプラはもう射線上から離脱していた。重汚染薬化したライフル弾の軌道を見切ることさえ今の彼女には容易い。ヒツジと言うよりはオオカミさながらの俊敏さで敵の背後へと回り込み、もう一度トリガーを引く。
「遅いです」
『がッ!?』
これで二人目。常にひとつの場所に留まらず、自分のスピードを最大限活かす戦法で彼女は敵を翻弄していく。
しかしまだ敵兵は大勢残っている。ショットガンの装弾数は二発だが、再装填の時間が惜しい。流石に弾込めの隙を待ってくれるほど相手も悠長ではないだろう。
「救急カバンの出番です」
そこでシプラは肩にかけていたカバンの紐を掴み、勢い任せにぶんと振り回した。応急医療に使用する資材をぎっしりと詰め込んだ「救急カバン」は、戦場を想定したつくりの頑丈さもあって鈍器としても使用できるのだ。
「これがムトナント家仕込みの近接戦闘術です」
『ごはッ?!』『ぐえっ!!』
彼女が学んだ戦闘技術は銃撃戦に限らない。重たいカバンを叩きつけられた敵兵は脳震盪を起こして昏倒する。
持ちうる全ての道具と技術を用いて敵を迎撃するシプラの姿は、泥臭くも頼もしい戦場の申し子であった――。
大成功
🔵🔵🔵
グエン・ティホァ
※アドリブ歓迎、共闘可
POW判定
・行動
UCで変身、上昇した速度と隠密力で敵の攻撃範囲から逃れ
毒液を塗ったナイフで切り付けて攻撃していく
・演出
私はかつて正義のために戦っていた
戦場も家族同然の隊員たちと一緒なら辛くはなかった
だがそれはまやかしだった
ある日命令で向かった先には化け物たちが居て
自分たちの上層部も別種の化け物だった
部隊は壊滅し、私一人が生き残った
私の渇きは貴様らの命でしか満たせない
見ろ、これが貴様らが生んだ怪物の姿だ!
(拘束具が音を立てて外れ両腕が自由になる、軍服を引き裂くように体が
変異していき【
小さき蛇の王】が現れる)
恐怖しろ! 私が貴様らを殺すためだけの怪物だ!!!
(私はかつて正義のために戦っていた。戦場も家族同然の隊員たちと一緒なら辛くはなかった)
迎撃地点でゾルダートグラード軍の襲来を待ち構えながら、グエンは過去の記憶を振り返る。かつて米国の特殊部隊に所属していた彼女は、最年少の隊員として数々の任務に従事していた。己の戦いになんの迷いも抱くことの無かった、今にして思えば「幸せな愚者」だった時代。
(だがそれはまやかしだった)
ある日命令で向かった先には化け物達が居て、部隊は壊滅し、グエンだけが生き残った。それがオブリビオンという異世界からの侵略者であること、自分達の上層部もまた別種の
化け物であり、アメリカを支配する秘密結社
F.O.Nの手の者であったことを後に彼女は知る。愛すべき祖国は密かに悪に染まり、自分達は化け物同士の陰謀劇に利用されていたのだと。
「私の渇きは貴様らの命でしか満たせない」
あの日以来、グエンはオブリビオンに対して復讐を誓った。自分を欺き続け、正義を踏み躙り、何より大切な家族を奪った化け物どもを彼女は決して許さない。燃え滾る怒りと憎しみはもはや本人にさえ抑えることができず、拘束具が音を立てて外れて両腕が自由になり、軍服を引き裂くように体が変異していく。
「見ろ、これが貴様らが生んだ怪物の姿だ!」
到来した『ガスマスク兵』の前で、グエンは【
小さき蛇の王】の姿を披露した。全身に浮かび上がった眼状紋、雄鶏の様なトサカ、異常に発達した四肢――それは獣人のどの階梯にも当てはまらない異形であり、彼女は怪物を殺すために自らが怪物となることを選んだのだ。
『な、なんだ、あの化け物は……』『や、やれーッ!』
本来は冷徹に任務を遂行するガスマスク兵も、眼前に出現した異形には動揺を隠せなかった。マスクの下で顔を引きつらせながら、彼らは左手のノズルから【アシッドシャワー】の散布を開始する。タンクに充填された強酸性液体のシャワーは、どんな生物でもドロドロに溶かしてしまう危険な化学兵器だ。
「そんなもので、私を殺せるとでも……!」
しかしグエンは変異により強化された脚力をもって戦場を駆け、アシッドシャワーの攻撃範囲から逃れる。このユーベルコードは特に速度と隠密力、そして毒の威力を向上させる形態であり、一度捉え損ねれば再補足することは極めて困難となる。
『ど、どこへ行った
……?!』
音もなく高速で走り回る
小さき蛇の王の姿を見失ったガスマスク兵は、強酸を撒き散らしながら右往左往。無様に慌てている内にもグエンは彼らの背後に回り込み、拳に握り込んだカランビットナイフを突き立てようとしていた。
「死ね!」
『ぐぎゃぁッ?!』
蛇の毒液を塗られた刃で切り裂かれた敵は、激痛に悶え苦しみながら絶命する。始祖たる蛇王に由来する猛毒は最新の化学兵器にも劣らぬ殺傷力があった。倒れ込んだ拍子にガスマスクの外れた敵の死に顔は、苦痛と恐怖から凄惨に歪んでおり、それは他の兵士にも恐怖を伝播させる。
「恐怖しろ! 私が貴様らを殺すためだけの怪物だ!!!」
『ひ、ひぃいぃぃぃッ
!!?!』
あまりの恐ろしさからパニック状態に陥った敵部隊は、めちゃくちゃに薬品のノズルとライフル銃を振り回す。
流れ弾や薬液が味方に当たっても気にする余裕すらない様子。もはや烏合の衆と化したオブリビオンどもの命を、グエンはひとりひとり憎しみを込めて毒のナイフで刈り取っていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「来たか。あの装備からして通したら
人々に甚大な被害が出る事は疑いないか。」
敵を一人も通さない事を前提に進路を遮る様に立ちはだかり。
輪廻天還を発動しつつフリージングエッジで生成した氷の刃を
【範囲攻撃】で敵をまとめて攻撃。
敵からの攻撃は【残像】を伴って回避したり
【オーラ防御】を使って攻撃を防ぐ。
それでも攻撃を受けた場合でも輪廻天還で
肉体変異を状態異常は敵に反射。
呪装銃「カオスエンペラー」を使って
呪力覚醒の効果により威力を増した死霊弾を肉体変異を起こした
敵に放って止めを刺し。
敵の戦列が乱れたところを【見切り】氷の刃を纏って
敵陣に切り込み。ライフルでの攻撃を封じながら
敵を切り裂いていく。
エメラ・アーヴェスピア
ええ、市街地に着く前に補足できて本当に良かったわ
なにせ遮蔽物があるのとないのとでは、私が使える物が大分違うから
…ここまで兵器の本領を発揮する機会が来てしまうとは思っていなかったわ
・先にドローンを打ち上げ、先程の情報も含め改めて精査
・情報を元に『この場は既に我が陣地』展開、遠距離より撃滅を目指す
・【集団戦術】をもって運用、数が多い所を集中的に【砲撃】
削れる間に出来るだけ削りましょう
同僚さん達の援護も忘れないようにしないと
※アドリブ・絡み歓迎
「来たか。あの装備からして通したら、人々に甚大な被害が出る事は疑いないか」
化学兵器で武装した『ガスマスク兵』の部隊を視認し、フォルクは静かに呟く。もし猟兵がここに居なければ、奴らは都市部であのガスを使い、兵士も民間人も区別ない虐殺を行っただろう。オブリビオンの超大国にとって、人命とは羽毛よりも軽い。
「ええ、市街地に着く前に補足できて本当に良かったわ」
ドローンを上空に打ち上げて索敵を行っていたエメラも、彼の意見に強く同意する。それは民間人を戦闘に巻き込まずに済んだことに加えて、迎撃に有利な陣地を確保できたことにもあった。防衛戦の勝率を高めるには、どれだけ正確に敵の動きを把握し、事前に適切な手を打てるかが大きい。
「なにせ遮蔽物があるのとないのとでは、私が使える物が大分違うから」
そう語るエメラの周辺には、既に【この場は既に我が陣地】で召喚した魔導蒸気砲台が展開されている。事前に集めた情報を最新のものと含めて精査した上で、彼女は敵の侵攻ルートを遠距離から攻撃できる砲撃陣地を築いていた。この砲台は火力こそあれ簡単に破壊されてしまうため、反撃を受けない配置の選定が重要だったのだ。
「私はここから敵の撃滅を目指すわ。援護は任せて」
「承知した。俺は俺で好きにやらせてもらおうか」
万全の火力支援体制を整えたエメラにそう答えて、フォルクは敵の進路を遮るように前線に出る。この戦いではとにかく敵を1人も通さないことが前提だ。数では勝る相手だが、この状況と彼ら猟兵の実力なら不可能はない。
「その戒めの力。我に届く事叶わず。輪廻の道を巡り裁きの天命となり還るだろう」
敵軍の前に立ちはだかったフォルクは【輪廻天還】を発動しつつ、冷気の死霊が宿るサファイア「フリージングエッジ」の力を使用する。妖しげに輝く宝石から生成された氷の刃は、ひとりでに宙を舞って標的に襲いかかる。
『敵だ!』『応戦しろ!』
降り注ぐ氷の刃から身を低くしつつ、敵のガスマスク兵はライフル銃を構える。装填されているのは肉体変異を引き起こす重汚染薬化した特殊弾頭だ。この【ポリューションショット】を喰らえば猟兵とて無事では住むまい。
『撃て……ッ?!』
だが。彼らが銃撃戦を仕掛けるより先に、今度は大量の砲弾の雨が戦場に降り注ぐ。エメラの準備した魔導蒸気砲台が、遠方の陣地より一斉に火を噴いたのだ。総勢600を超える兵器の大量召喚と同時運用は、彼女の代名詞にして真骨頂と言える。
「ここは既に、私の砲撃陣地よ」
上空に浮かぶ魔導蒸気ドローンの観測により照準も完璧。宝石型超高度コンピューター「エメラルドユニット」から空間投影されたモニターを操作して、エメラは敵の数が多いポイントを集中的に砲撃する。知らぬ間に死地に踏み込んでいたとガスマスク兵が気付いたのは、もうとっくに手遅れになった時だった。
『砲撃?! まさか、我々がここを通ることが分かって……』『こんな事がありえるのか?!』
襲撃の情報が漏れていただけではなく、ここまで完璧に準備を整えられていたことにガスマスク兵は動揺する。
だが現実に起きている事実は否定しようがない。降りかかる氷の刃も砲弾も全てが脅威であり、ここに留まっていては全滅は免れない。
『血路を開け! 前進あるのみだ!』
敵の選択は強引に戦線を押し上げることだった。多少の犠牲は承知の上で、進路を塞ぐ邪魔者に【ポリューションショット】を集中させる。狙われたフォルクは呪力のオーラを纏って身を守りつつ、即座に回避行動を取った。
「これでも戦意は挫けないか。流石に訓練されているな」
残像を伴う動きで射線から逃れようとするフォルク。それでも今や決死の覚悟で攻めてくるガスマスク兵の攻撃を全て躱しきるのは困難だった。断続的な発砲音とともに飛来するライフル弾の1発が、ついに彼の体を掠める。
「当てられたか……だが」
『うっ、ぐぅっ?!』
オーラで直撃は防いだものの、確かに汚染薬の弾丸はフォルクに命中したはず。だが苦しみだしたのはその弾を撃ったガスマスク兵のほうだった。彼が最初に発動した【輪廻天還】は受けた状態異常や行動制限を反射する呪詛返しのユーベルコード――それが化学兵器による肉体変異にも効果を発揮したのだ。
『な、何故……がはっ!』
「残念だったな」
フォルクは肉体変異を起こしたガスマスク兵に呪装銃「カオスエンペラー」を向け、トリガーを引く。その銃口より放たれた死霊弾は、呪詛返しと同時に覚醒した呪力により威力を増しており、一撃にて標的に引導を渡した。
『くっ。奴には銃弾が通じないのか?!』『だったらコイツを……!』
焦った敵部隊は虎の子の【オブリビオンガス】を使用し、邪魔者を強制的にオブリビオン化させようとする――が、連中が怪しい動きをすればエメラが黙ってはいない。戦場に再び降り注いだ砲弾が、ガスの散布を妨害する。
「削れる間に出来るだけ削りましょう」
砲弾や魔力の出し惜しみはなしで、魔導蒸気砲台の指揮を取るエメラ。彼女のいる陣地は遮蔽物を挟んだ風上にあり、ガスも銃弾も届かない。放物線を描いて飛来する砲弾だけが、一方的にガスマスク兵に襲いかかる布陣だ。
「止めは任せるわ、同僚さん」
「ああ、感謝する」
魔導蒸気ヘッドセットから前線の猟兵に通信を送ると、フォルクは微笑とともにこくりと頷いて走り出す。呪詛返しと砲撃で敵の戦列が乱れている今が切り込むチャンスだ。氷の刃を纏った魔術師の青年が、一陣の風となって戦場を駆け抜ける。
「この距離でライフルは使えまい」
『よ、よくも……ぐわぁッ!!』
射撃を封じられる至近距離から繰り出される氷の刃が、次々と敵を切り裂いていく。血に染まったガスマスク兵の亡骸が地面と重なり、骸の海へと還っていく。この激戦の最中に前線を突破できた兵士は誰一人としていない。
「迎撃を続けましょう」
ドローンによる索敵と状況把握を継続したまま、エメラもまた別の地点に砲撃を行う。戦況は今のところこちらが有利だが、完全に撃破するまで油断できない――この部隊を率いる指揮官も、まだ姿を現していないのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鏡島・嵐
ここからが本番だな。……まったく、イヤな本番もあったもんだ。
正直すげえ怖いけど、肚括ってやるしかねえ、よな……!
それにしても、またおっかねえ兵器を持ち出してきやがったな。オブリビオン化するとか、ゾッとしねえ。
最初のうちは〈逃げ足〉を活かして防御に徹する。〈オーラ防御〉〈毒耐性〉も併用して、まともにガスを受けるのだけは避ける。
一度ガス攻撃を見たら、後はユーベルコードで相殺、無力化する。勿論、失敗する可能性もあるから油断はしねーけどな。
上手くいったら、〈スナイパー〉ばりの〈鎧無視攻撃〉で反撃開始。
他に味方がいるなら〈援護射撃〉や〈マヒ攻撃〉〈武器落とし〉で支援もする。
※連携・アドリブ可
「ここからが本番だな。……まったく、イヤな本番もあったもんだ」
歌姫の音楽会から血なまぐさい戦場へ。それが依頼とはいえ現実の落差に嵐でなくても顔をしかめたくなろう。
前方にはゾルダートグラード軍の『ガスマスク兵』部隊。あれを街まで通せば悪辣な化学兵器によって、市民は地獄を味わうことになる。
「正直すげえ怖いけど、肚括ってやるしかねえ、よな……!」
戦うのは苦手で怖がりな嵐だが、逃げてはいけない時は絶対に逃げない芯の強さも持っている。震えそうになる体を抑えて迎撃ポイントにやって来た彼は、不気味なガスマスクを被った兵士たちを正面から睨み付けた。あの街の人々のささやかな幸せを、奪わせはしない。
『骸の海ガス、準備完了』『散布開始!』
猟兵の妨害に業を煮やしたガスマスク兵は、いよいよ切り札の【オブリビオンガス】を使用しようとしていた。
その名のとおり骸の海を凝縮したような禍々しい色のガスが、噴射ノズルからゆっくりと戦場に広がっていく。
「それにしても、またおっかねえ兵器を持ち出してきやがったな。オブリビオン化するとか、ゾッとしねえ」
こんなものを喰らって連中のお仲間にされるのは絶対に御免だと、嵐は逃げ足を活かして骸の海ガスの範囲から飛び退く。毒を遮断するオーラの膜を身に纏うなど、とにかくガスをまともに吸引するのだけは避けるつもりだ。
『逃げ切れると思うな』
元々都市ひとつを滅ぼすつもりで来たガスマスク兵の準備は万全。タンクのガス欠を期待するのは無理だろう。
本人らはマスクのお陰で影響を受けないのを良い事に、敵兵は戦場にどんどん骸の海ガスを撒き散らす。このままでは捕まるのも時間の問題だ。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず」
しかし嵐は一度見たユーベルコードなら【逆転結界・魔鏡幻像】で無効化できる。防御に徹しながら呪文を唱えると一枚の鏡が召喚され、映したガスと正反対の性質を持つガス――言わば「未来」のガスを放ち、骸の海ガスを相殺し始めた。
「……幻遊びはお終いだ」
『なにッ?!』
毒には薬があるように、化学兵器の殺傷力も絶対ではない。とはいえ流石にこのガスを無効化されるのは敵兵も予想外だっただろう。対する嵐のほうも失敗する可能性は勿論あったため、平然としたフリをしても内心は緊張していたが。
(上手くいってもまだ油断はしねえ)
すぐさま彼はお手製のスリングショットを構えて反撃を開始。ゴム紐で撃ち出された弾丸は相手の防具の隙間に正確にヒットし、敵を呻かせる。あまり殺傷力はなさそうな武器だと侮るなかれ、恐怖に耐えながら幾度も実戦を経験してきた彼の射撃技術はプロのスナイパーばりの腕前だ。
『クッ。だったら別のガスを……!』
「させるかよ」
さらに嵐はガスマスク兵の持つノズルやホースを狙い撃ち、ガスの噴出をできなくさせる。連中の最大の武器である化学兵器が使用不能になれば脅威度は半減する。装備が故障し『しまった?!』と慌てる敵の表情は、マスク越しでも容易に想像ができた。
(こうすれば味方の援護にもなるはずだ)
他にもこめかみに弾丸を当てて一時的に相手の動きをマヒさせるなど、彼の戦闘スタイルは基本的に支援寄り。
その効果は敵味方入り乱れる戦場においては目立たないものの、優勢を保つうえで堅実な結果を果たしていた。恐怖を堪え務めに徹する、その眼差しに迷いはない――。
大成功
🔵🔵🔵
アルマ・アルカレイト
錬金術…ライブの前にマヒ攻撃と凍結攻撃の弾丸を錬成済み
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
属性攻撃…刹那の無限回転発動
爆破+蟲使い+迷彩…見えない爆破する蟲
緋智の悪夢…https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=48297
『うわぁぁぁぁ!』
緋智が目覚める
『ヒサ!大丈夫か?かなりうなされていたで?』
慶喜が心配したように言う
『だ…大丈夫何でもないから』
緋智がシャワールームへ向かう
『…何かあったらすぐに言うんやで』
慶喜が呟いた
エイミちゃんのライブは邪魔させない!
敵がUCを使う前に蟲達に当たって爆発する
爆発から逃れた敵がUCを使うが視力で動きを見切っていたので回避する
かかったなアホが!
UC発動と同時発動UCの錬金術士『神速の射撃者』を発動して反撃
バジリスクタイムも踊りながらUCフラスコの赤き蠍『バジリスクタイム』を発動して増殖しながら俊敏に動き自身に刹那の回転をかけながら敵を貫いていった逃げる敵には執拗に追いかけていた
こいつ拾った時に弱っていたとは思えないわね…
「うわぁぁぁぁ!」
それはゾルダートグラード軍との戦いが始まる少し前。宿屋のベッドで緋智は悲鳴を上げながら目を覚ました。
その体は汗でびっしょりになっており、隣で様子を見ていた慶喜が心配そうな顔で落ち着くように話しかける。
「ヒサ! 大丈夫か? かなりうなされていたで?」
おそらくは悪夢を見ていたのだろう、という事くらいしか彼には分からない。首元に浮かんだ謎の紋章の正体についても不明のままだ。勝手に見られたくないものだろうと思って衣服は整えておいたが――どこまで踏み込んで良いものか、距離感を掴みかねていた。
「だ……大丈夫何でもないから」
とてもそうは見えない顔色でそう言うと、緋智はベッドから起き上がってシャワールームに向かう。悪夢で見た忌まわしい記憶――デビルキングワールドでオブリビオンの悪魔に敗れ、奴隷として囚われていた絶望の日々を。
「……何かあったらすぐに言うんやで」
流石にシャワーまで付いていく訳にもいかず、慶喜は彼女の背中に不安げに声をかけることしかできなかった。
このタイミングで彼女の精神状態が不安定なのはあまり良い事とはいえない。こちらの事情などお構いなしに、超大国の軍勢は迫ってくるのだから。
「エイミちゃんのライブは邪魔させない!」
そして現在。葛藤や心配を抱える二人とは別に、アルマは最前線にてゾルダートグラード軍を迎え撃っていた。
その手に携えるのはアルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』。推しへの愛と歌声を守るために闘志をめらめらと燃やし、押し寄せる『ガスマスク兵』めがけてトリガーを引く。
『ぐあッ?!』『ぎゃっ!』
撃ち込まれる銃弾はライブ前に錬成しておいた、マヒと凍結効果を付与した錬金弾。命中すれば敵は一時的に動けなくなり、当たりどころによってはそのまま氷像と化す。単なるアイドルファンではなく熟達した錬金術士でもあるアルマの技量は、この獣人戦線でも冴え渡っていた。
『くっ、だったらこいつで……うっ、なんだ?』
ガスマスク兵はライフルに重汚染薬化した【ポリューションバレット】を装填するが、それを発射する前に見えない"何か"の群れが押し寄せる。それはアルマが蟲笛『インゼクター』で呼び出した蟲達であり、敵の目に映らない迷彩効果と、自爆能力を備えていた。
「爆ぜろ!」
『ぐわぁッ!!』『よ、よくも……!』
空飛ぶ小型爆弾と化した蟲達は、標的に触れると次々に爆発して敵部隊を混乱に陥れる。運良く難を逃れた兵士はガスマスク越しに怒りの眼差しを向け、ライフルの銃口を向けるが――優れた視力を持つアルマは、既に連中の動きを見切っていた。
「かかったなアホが!」
ひらりと銃撃を避けながら、アルマは【神秘殺しの次元撃】と【錬金術士奥義『神速の射撃者』】を同時発動。
鍛錬によって磨き上げた神業級の射撃技能をもって、超高度科学技術の産物である次元貫通弾を放つ。一兵卒に過ぎない連中にこれを凌ぐ術はなく、次々に撃ち倒されていった。
『つ、強い……』
「まだ終わりじゃないわよ!」
さらに彼女は【フラスコの赤き蠍『バジリスクタイム』】を外界に解き放ち、敵部隊への追撃を仕掛けさせる。
ユーベルコードで増殖能力を与えられたそれらは踊りながら俊敏に動き、刹那の回転をかけた尾針で敵を貫いていった。
「こいつ拾った時に弱っていたとは思えないわね……」
『うわぁぁぁっ!』『助けてくれぇっ!?』
逃げる敵も執拗に追いかけては踊り狂うバジリスクタイムを見て、アルマは感心とも呆れともつかぬ顔で呟く。
ともあれ今は頼れる味方であることは間違いない。錬金術士の攻撃に加えて未知の生物に襲われたガスマスク兵は、算を乱して瓦解しつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
アヤネ・タチバナ
【アドリブ◎】
この感じ、久し振り。また戦場に戻って来ちゃったんだね
あーあ。殺し合いなんてもう古い、文明開化だよー! って星を出てきたのになー
ま、いっか。放っとくと街がとんでもないことになっちゃうし。そーゆーこと
今のあたしは、冷然としたガスマスクの異形とか向けられる殺意とか
そういった怖いはずの全てにワクワクして胸を熱くしちゃってるよ
それが口の端に咥えた武器:学徒武装「耽溺」の力。つまり戦いたくてうずうずしてるってこと
武器:フォースセイバーを構えて、UC:光翼の高速(ダッシュ、ジャンプ、推力)移動で切り込むよ
敵の予備動作を高速移動による先制攻撃で制す、放たれた強酸性液体を方向転換で避ける
その突進力を生かして、敵を貫く、すれ違いざまに複数をまとめて切り捨てる
仕留め損ねた敵を当て身で速やかに気絶させる
武器:サイコチェーンやグラップルで絡め捕った敵を盾にする
敵にもフレンドリーに接するけど容赦しない
そんな戦い方で、戦場に武器:宇宙理心の波動を轟かせるよ
「この感じ、久し振り。また戦場に戻って来ちゃったんだね」
乾いた風に混じった硝煙の匂いを感じて、そう呟いたのはアヤネ。血でセーラーを洗う動乱のJK星域、戦国学徒として覇を争っていた頃の故郷に比べれば、この獣人戦線はまだマシだろうか。比べるだけ不毛な話ではあるが。
「あーあ。殺し合いなんてもう古い、文明開化だよー! って星を出てきたのになー」
星を飛び出して宇宙を超えて、異世界までやって来て待っていたのはまた戦場。彼女も猟兵である以上、オブリビオンがいる限りは戦いの宿命から逃れられないのだろうか。やれやれと肩をすくめる少女の表情はしかし、あまり嫌がっているようには見えなかった。
「ま、いっか。放っとくと街がとんでもないことになっちゃうし。そーゆーこと」
街や人々を守りたい気持ちに嘘はない。だが今のアヤネは冷然としたガスマスクの異形や向けられる殺意とか、そういった怖いはずの全てにワクワクして胸を熱くしてしまっていた。それが口の端にくわえた棒付きキャンディ状の武器――学徒武装「耽溺」の力だった。
「そんじゃ、行きますかー」
戦いたくてうずうずする気持ちを抑えられずに、彼女はフォースセイバーを構えて【光翼】を発動。背中から放出されるサイキックエナジーが光の翼となって、猛烈な加速と推進力を生み出す。放たれた矢の如く敵陣に切り込んでいくその姿は、一羽の猛禽のようでもあった。
『あれは学生か…?』『構わん、やるぞ!』
セーラー服に身を包んだ謎の美少女の急速接近に対して、ガスマスク兵は【アシッドシャワー】で応戦。背中のタンクに接続されたノズルから、人体を骨まで溶かす強酸性液体を放とうとする――が、それよりもアヤネの速さが機先を制する。
「気をつけて、あたしは急に止まれない」
『ぐわぁッ!』『ぎゃあっ!?』
その突進力を活かしたフォースセイバーの斬撃が、正面にいた敵を貫き、すれ違いざまに複数をまとめて切り捨てる。遅れてノズルから噴き出した強酸性液体は、即座に方向転換して回避。水飛沫の1滴も浴びぬまま、彼女は天衣無縫に戦場を翔ける。
「そんなの浴びたら肌荒れしちゃうからね」
『ふ、ふざけたことを……ぐはッ!』
仕留めそこねた敵を当て身で速やかに気絶させつつ、アヤネは移動しながら敵の動きを見る。乱戦状態でも周りの状況を把握できるのは故郷の戦乱で磨かれた資質か。逆に敵部隊は想定外の反撃を受けて混乱しているようだ。
「ちょーっとごめんね☆」
『うおッ?! は、放せっ!』
この隙にアヤネは近くにいた敵兵を「サイコチェーン」で絡め捕り、弾除けの盾にする。見えないサイキックの鎖で拘束された兵士は慌ててもがくが逃げられない。敵に対してもフレンドリーに接しながら、彼女の戦い方には一切容赦がなかった。
「それじゃ、みんなばいばーい☆」
『『ぐわぁぁぁぁぁーーッ
?!!』』
再び方向転換して"盾"ごと突っ込んできたアヤネの剣と拳が、閃光となってガスマスク兵どもをなぎ倒す。切込専心の心意気を必殺のサイキックエナジーに変えて武装拳脚に込める、「宇宙理心拳」の波動が戦場に轟いた。
広大な宇宙には超大国も知らないような未知の種族や流派がある。可憐な容姿に見合わぬ猛烈な攻勢によって、敵部隊は壊滅状態に陥りつつあった――。
大成功
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第3章 ボス戦
『サロメサージェント』
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POW : サージェントグレネード
【軍服】から【手榴弾】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD : ツインガン
レベル分の1秒で【2丁拳銃】を発射できる。
WIZ : デス・レイ
自身の【拳銃】から、戦場の仲間が受けた【負傷】に比例した威力と攻撃範囲の【殺人レーザー】を放つ。
👑11
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「まさか、こんな所で猟兵に出くわすとはな」
ゾルダートグラード軍の想定にはなかった、作戦計画の漏洩と猟兵の出現。これにより『ガスマスク兵』部隊は壊滅状態に陥りつつあった。この状況にあたって前線に姿を現したのは、長い赤髪をなびかせた女性士官である。
全身に染み付いた硝煙の匂いと、殺意の宿る冷たい眼光。彼女こそがこの部隊を率いる『サロメサージェント』とみて間違いあるまい。
「これではもう部隊の立て直しは厳しいな。本来なら撤退すべきところだが……残念ながら私は傭兵だ。報酬分の働きはしなければ今後に差し支える」
オブリビオンの傭兵部隊を率いて超大国を渡り歩く彼女は、ゾルダートグラード軍に忠誠心がある訳ではない。
だが傭兵には傭兵のしがらみがある。それに彼女自身も人命に欠片も重きを置かぬ非道なオブリビオンの1人。出会ったからには衝突は不可避である。
「貴様らを排除すればまだ作戦継続は可能だ。これだけの損害を出した以上、せめて街1つは落とさなければな」
そう言ってサロメサージェントは黄金に塗られた2丁拳銃を構える。
指揮能力だけではなく、個人の戦闘技術も一流。これまでの兵士達と同じように考えれば痛い目を見るだろう。
たとえ化学兵器がなくとも彼女が健在であれば、時間をかけて街を滅ぼすこともできる、そのレベルの強敵だ。
街ではそろそろ音楽会も終わる頃だろうか。
歌姫の祈りと人々の命を守るため、猟兵達の戦いはいよいよクライマックスに突入する――。
シプラ・ムトナント
わたしには、軍人として街を守る義務と意志がある。
あの歌声も、暖かな光景も……貴女には、渡せません。
『催眠の羊眼』を使いますが、直接の催眠はまず弾かれるはず。
貴女は強い。この一手だけで貴女を抑えられるとは思っていません。
拳銃の引き金に指を掛けた瞬間……視線を銃の方に向けます。この魔眼は獣呪術師の血の産物、無機物すら催眠する。
この一瞬だけで構いません、
弾やレーザーをわたしに発射しないで下さい。
通じないであろう獣呪術を通し、作った隙に全てをかけます。
吸着手榴弾を【投擲】し、爆発を隠れ蓑に接近。
そして
散弾銃による【零距離射撃】、二発とも受け取りなさい……!
「わたしには、軍人として街を守る義務と意志がある」
敵部隊の指揮官と対峙したシプラは、銃把を握りしめながら己の信念を語る。守らねばならぬと思う訳は、そこにかけがえの無い大切なものがあると知っているからだ。戦争の最中に開かれたささやかな音楽会の思い出は、今もはっきりと心に焼き付いている。
「あの歌声も、暖かな光景も……貴女には、渡せません」
「高尚だな。肩肘を張って御苦労なことだ」
シプラの覚悟は傭兵たる『サロメサージェント』とは相容れぬものだ。報酬に応じて超大国の侵略に加担する、そこに葛藤も慈悲もない。ただの"仕事"として敵を殺す彼女の引き金は軽く、されど銃弾の重みは変わらぬのが戦場の理であった。
「わたし達は友軍、でしょう?」
先手を取ったのはシプラ。かっと見開かれた彼女の赤い瞳は、ムトナント家の者に稀に発現するという【催眠の羊眼】だ。睡眠・催眠等の効果をもたらすこの魔眼は、並の兵士やオブリビオンであればそれだけで無力化できる代物だが――。
「まやかしだな」
サロメサージェントはまるで心を乱した様子もなく、黄金の拳銃を構える。傭兵の純粋な殺意と冷徹な意志が、魔眼の支配力さえも上回ったようだ。直接の催眠はまず弾かれる筈だろうという、シプラの危惧は当たっていた。
(貴女は強い。この一手だけで貴女を抑えられるとは思っていません)
シプラの瞳はまだ敵をまっすぐに見つめている。その表情は戦いを諦めた者のそれではない。徹底抗戦の意志はサロメサージェントも感じるだろう。だからこそ傭兵は油断せず、次の手を打たれる前に標的を始末せんとする。
「これ以上長引かせる気はない」
彼女の拳銃から放たれる【デス・レイ】は、仲間が受けた負傷に比例して強化される殺人レーザー。これまでに猟兵が撃破したガスマスク兵の数が、そのまま威力に上乗せされている。これを喰らって無事で済む者はいない。
(……今!)
だが。サロメサージェントが拳銃の引き金に指を掛けた瞬間、シプラは視線を銃の方に向けた。彼女の魔眼は獣呪術師の血の産物、その標的は生命体に限らず無機物すら催眠する。使い手には効果の無かったユーベルコードでも、その武器ならばどうか。
「この一瞬だけで構いません、
弾やレーザーをわたしに発射しないで下さい」
「……なんだと?」
果たしてサロメサージェントがトリガーを引いても、黄金の拳銃はカチンと乾いた音を立てるだけだった。このタイミングで起こった不自然な弾詰まりは、催眠の羊眼が効果を発揮した証だ。これは流石に予想外だったのか、仏頂面だった女傭兵の顔色がかすかに変わる。
(この隙に全てをかけます)
通じないであろう獣呪術を通してみせたシプラは、即座に
吸着手榴弾のピンを抜いて投擲。呪力による吸着性能で目標に張り付くため、着弾すれば高い破壊力を発揮する兵装だが、今回はこれを目くらましのためだけに使う。
「ッ……!」
爆風と爆煙がサロメサージェントの視界を塞ぎ、シプラはそれを隠れ蓑に接近。あっという間に至近距離まで迫ると、
散弾銃の銃口を敵に押し付ける。この間合いから食らわされる散弾なら、指揮官級のオブリビオンでもただでは済まないはず。
「二発とも受け取りなさい……!」
「しま、ッ!!」
思いの丈を指先に込めてトリガーを引き絞れば、二発分の銃声が連なって戦場に響く。シプラ渾身の零距離射撃は過たずにサロメサージェントを撃ち抜き、後方に吹き飛ばした。かすかなうめき声と共に血飛沫と硝煙が舞う。
ムトナント家の娘の義務と意志は、非道な侵略者には決して屈しない。受け継いだ力と技をもって、己の信念を証明してみせたシプラであった。
大成功
🔵🔵🔵
花咲・月華
『油断するなよ…月華』
朱雀が警戒したように私に言う
うん…こいつを倒せないと街の皆が…
私は頬を叩いて気合を入れる
うわ?!危ないよ!
敵が私達に2丁拳銃を発射してきたのでオーラ防御を使って身を守る
『ちぃ!…はあ!』
朱雀は視力で敵が撃つ瞬間に推力移動で銃弾を回避した後に焼却の斬撃波を放ち回避されるが攻撃を中止させた
行くよ!虹華万暁!
私がUC発動して敵に吹き飛ばした
『本気で行くぞ…?!ちぃっ!』
朱雀が同時に鳳凰烈火を発動して爆焔怒号術で敵を焼き尽くそうとするが2丁拳銃の攻撃が挟まれたので回避するはめになった
いっけー!
私が素早く矢弾の雨を放ち敵の動きを止める
『よし…!』
朱雀が今度こそ爆焔怒号術を敵に当てた
『油断するなよ……月華』
「うん……こいつを倒せないと街の皆が……」
警戒心のこもった赤鬼「朱雀」の言葉に、花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)はこくりと頷き、頬を叩いて気合を入れる。ガスマスク兵の部隊は壊滅しても、強力なオブリビオンならば単独でも街ひとつを陥落させることは可能。目前の『サロメサージェント』を倒さない限り、危機は去ったとは言えない。
「よくそこまであの街の人間に義理立てするものだ。理解に苦しむ」
義理人情ではなく報酬で働く傭兵には、彼女らの心情は分かるまい。サロメサージェントはただ任務の障害を排除すべく、無造作に【ツインガン】を構えてトリガーを引いた。その一連の動作は目で追えないほどに速く、高い練度を窺わせる。
「うわ?! 危ないよ!」
『ちぃ!』
月華は慌ててオーラで全身を覆い、2丁拳銃の射撃から身を守る。同時に朱雀は敵が撃つ瞬間を見極めてジェット噴射のように炎を放ち、その推力を利用して銃弾を避けた。初手を凌がれるのは予想の範疇だったか、サロメサージェントはすぐさま次弾発射の構えを取るが――。
『……はあ!』
「ほう。やるな」
間髪入れずに朱雀が焼却の斬撃波を放ち、敵の射撃を妨害する。それ自体は回避されるものの、攻撃を中止させることはできた。これまでに殺してきた獣人とは違う能力や戦法を見て、サロメサージェントも評価を改めたようだ。
「行くよ! 虹華万暁!」
今度はこちらが攻める番だと、月華が【虹華万暁】を発動。この世の条理を超える炎の槍が投げ放たれ、サロメサージェントに襲いかかる。相手は「ちっ」と舌打ちしつつ両腕をクロスしてダメージを軽減するが、それでも堪えきれず宙に吹き飛ばされた。
『本気で行くぞ……?! ちぃっ!』
同時に朱雀も【鳳凰烈火】を発動し、焔の術で敵を焼き尽くそうとするが、サロメサージェントは空中ですぐさま体勢を立て直して【ツインガン】の射撃を挟み込んできた。やむを得ず回避する羽目になった彼は必勝のチャンスを逃してしまう。
「いっけー!」
しかしまだ猟兵達のターンは終わっていない。朱雀の隙を埋めるように、月華が矢弾の雨を素早く放つ。焔の槍に比べれは威力は落ちるが、手数を増やせばあちらも対処に手を割かざるをえまい。少しでも動きが止まれば僥倖だ。
「この程度……!」
サロメサージェントは2丁拳銃の連射で矢弾を撃ち落とすが、その表情にはかすかな焦りが浮かぶ。手数の差でじりじりと押されているのが分かるのだろう。幽世より訪れた鬼の姫君とその従者の連携は、一手ずつでも確実に敵を追い詰めていく。
『よし……!』
「ぐ、ぁッ?!」
月華の攻撃が敵の動きを止めた直後、朱雀が今度こそ【爆焔怒号術】を命中させた。あらゆる防御耐性を無視する鬼の大将の焔は、敵対者を容赦なく燃やし尽くす――骨の髄まで焼かれるような灼熱にサロメサージェントも堪らず悲鳴を上げ、地面を転げまわりながら後退していった。
大成功
🔵🔵🔵
エリュファシオン・アルティウス
『何だ、貴様?』
ミナルアさんが敵を睨みつけながら蒸気爆発魔法を放つ
どうだ!
私がガンナイフから素早く呪殺弾を放つ(クイックドロウ)
オーさん!『オォォー!』
敵が攻撃を放って来たのでオーラ防御を纏ったオーさんに乗り込み攻撃範囲から逃げながら反撃に生命力吸収の矢弾の雨を放つ
『ふん…これはどうだ?』
ミナルアさんが蒸気の盾を召喚術で呼び出し拳銃の攻撃を防ぎUCを発動して斬撃波を放ち敵の動きが止まったら魔法を放ち敵を吹き飛ばした
敵のUCを封じたので私がUC黒陰龍ジョブラッドを発動して炎と氷を放った敵を吹き飛んだので追撃する
空中に投げ出された敵に殴打のラッシュをかける
ごらららららららぁ!ごらぁ!
敵を吹き飛んだ
『何だ、貴様?』
エリュファシオン・アルティウス(“やんきー”を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)と契約を交わした「星霊ミナルア」は、出会い頭の不躾な物言いが気に食わなかったのか、敵を睨み付けながら蒸気爆発魔法を放つ。礼儀のなっていない戦場の狗が相手なら、こちらも情けは無用だ。
「どうだ!」
「フン。次から次に妙な連中ばかり来る」
さらにエリュファシオンも「シャドウ・ガンナイフ」から呪殺弾を放ってミナルアを援護。二人の同時攻撃に晒された『サロメサージェント』は、面倒だと言わんばかりに眉をひそめつつ姿勢を下げる。蒸気の爆風も呪いの弾丸も彼女の身には届かなかった。
「まあいい。弾はまだ残っている」
サロメサージェントはそのまま反撃の態勢に移行し、黄金に塗られた【ツインガン】を構える。ユーベルコードの域に達した彼女の早撃ちは見てから対処するのは難しい。対するエリュファシオンは急いでオオサンショウウオ型バイクの「オーさん」に乗り込む。
「オーさん!」
『オォォー!』
雄叫びを上げながらオーラを身に纏い、銃弾を弾きつつ攻撃範囲から遠ざかるオーさん。敵は逃すまいと走りながら拳銃を連射するが、エリュファシオンも弾丸の雨をばらまいて反撃し、戦いは熾烈な銃撃戦の様相を呈してきた。
「この銃弾、ただの鉛玉ではないな……面倒だ」
エリュファシオンの放つ弾には生命力吸収効果があり、当たれば物理的なダメージだけでなく力を吸い取られる。
それを察したサロメサージェントは回避を重視しつつも射撃を切らさないようにし、慎重に敵を追い詰める戦法を取る。歴戦の傭兵らしい冷静さと対応力の高さが、あるいは彼女の最大の武器なのかもしれない。
『ふん……これはどうだ?』
そこでミナルアは蒸気の盾で身を守りつつ、【精霊魔導・ヴァイオレンス・パラドックス】を発動。敵がリロードを行うわずかな隙を突いて斬撃波を放つ。星霊の力を宿したその一撃には、命中した相手のユーベルコードや能力を封じる効果があった。
「なんだ……ッ!?」
星霊の斬撃波はサロメサージェントの肩を少し掠めただけだったが、それにより【ツインガン】の連射は止まる。
すかさずミナルアはもう一度呪文を唱えて星霊魔法を発動。高温高圧の蒸気の爆発が今度こそ標的を吹き飛ばす。
「黒陰龍ジョブラッド……変身!」
仲間が作ったこのチャンスを活かすべく、エリュファシオンも【逆行奥義・黒陰龍ジョブラッド】を発動。黒い翼に龍の鉤爪、頭部は槍形の鼻骨がある髑髏となった異形に変身を遂げる。この姿はとある邪龍の魂を宿したもので、炎と氷のふたつの力を操る。
「ごらぁ!」
「ぐっ……!」
黒陰龍の炎と氷を浴びたサロメサージェントは、火傷と凍傷の両方を受けながら空中に投げ出される。すぐさまエリュファシオンは翼を羽ばたかせ、無防備な状態となった敵に急速接近すると、殴打のラッシュで追撃を仕掛けた。
「ごらららららららぁ! ごらぁ!」
「ぐ、がはぁッ!!」
空中から今度は地上へと吹き飛ばされ、大地に叩きつけられて血反吐を吐くサロメサージェント。獣人戦線においても明らかなる異形と未知の能力に、流石の彼女も対応が追いつかないようだ。それでもまだ、女傭兵の瞳から戦闘の意志は消えていない――。
大成功
🔵🔵🔵
アルマ・アルカレイト
錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃の弾丸を錬成
属性攻撃…刹那の無限回転発動、今回は地面に潜る
クイックドロウ…素早く放つ
電話だ、慶喜じゃないの…ヒサ大丈夫?
『ヒサは少し気分が悪そうや、ヒサを休ませて大丈夫か?』
大丈夫よ〜ヒサを守ってあげて!私は大丈夫だから!
さあ…勝負よ!エイミちゃんのライブを邪魔するなら…消えろ
ヘルパーとディアブロから錬成弾を放つ
敵が回避した後2丁拳銃で反撃してきたので自身に無限回転を打ち込み地面に潜って回避して地面から錬成弾を敵に放つ
同時発動UC錬金術士奥義『破壊の弾丸』を発動後にUCを敵に放ち吹き飛んだ先に地面の中で待ち伏せした私は出てきて敵にラッシュをかける
オラオラオラオラオラ!
「電話だ、慶喜じゃないの……ヒサ大丈夫?」
迎撃ポイントにてゾルダートグラード軍と戦っていたアルマは、通信がかかってきたのに気付いてスマートフォンを取る。相手はまだ街にいる慶喜。宿屋で緋智のことを任せたきりだったが、どうやらそちらの様子があまり芳しくないようだ。
『ヒサは少し気分が悪そうや、ヒサを休ませて大丈夫か?』
「大丈夫よ~ヒサを守ってあげて! 私は大丈夫だから!」
最後まで1人で戦わざるを得なくなった訳だが、彼女は不満などまったく見せない。緋智のことが心配な気持ちは同じだし、慶喜が看病に付いていると分かれば安心して戦える。裏を返せば、それは「自分1人でも大丈夫」という強固な自信の現れでもあった。
「さあ……勝負よ! エイミーちゃんのライブを邪魔するなら……消えろ」
私怨混じりの殺意がこもった形相で、アルマは二丁のガンナイフ『ヘルパー』『ディアブロ』から錬成弾を放つ。
目にも留まらぬクイックドロウで撃ち出される弾丸には、ガスマスク兵に使ったものと同じマヒと凍結効果が付与されており、まずは相手の動きを鈍らせる作戦のようだ。
「随分と余裕だな。舐められたものだ」
対する『サロメサージェント』は無駄のない身のこなしで錬成弾を回避した後、こちらも二丁拳銃で反撃を行う。
彼女の【ツインガン】の早撃ちはスピードではアルマに勝る。稲妻の如き速射は標的の心臓を正確に狙っていた。
「危なっ!」
アルマは【錬金術士奥義・神速の無限回転弾】を自分に打ち込み、ドリルのように回転しながら地面に潜り込む。
この回避手段は予想できなかったか、敵の銃弾は空を切り。そのまま彼女は地面から二丁のガンナイフを突き出して錬成弾を放つ。
「お返しよ!」
「くっ……!」
地面から飛び出した弾丸がサロメサージェントを捉え、四肢の末端が凍りつく。マヒの程度はほんの少し動きを鈍らせる程度だが、戦場ではワンテンポの遅れが敗北に繋がる。それを承知しているからこそ彼女はすぐに体勢を整えようとするが、それを待つようなアルマではなかった。
「この回転は……あらゆる抵抗を無視するわ!」
【錬金術士奥義『破壊の弾丸』】を同時発動した神速の無限回転弾が、地面と空気の抵抗を無視して超加速する。
回避も防御も許さない、技能と鍛錬の極致がサロメサージェントを捉え――「ぐあッ!?」と敵が吹き飛ばされた先には、地面の中で待ち伏せするアルマがいた。
「オラオラオラオラオラ!」
「がっ、ぐっ、おのれ、ッ!」
全身全霊の気迫を拳にこめて猛ラッシュを叩き込めば、サロメサージェントはまたもや吹き飛ばされて宙を舞い。
苦渋に満ちたその表情は、最初に会った時の平然としたものとは大違いであり。その脳裏には「敗北」の二文字がちらつき始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
凄まじい気迫です!部隊が壊滅してもなおここまで強気なのは自身の強さに絶対の信頼があるからなんでしょうね…強敵です!
(「格好も凄まじいわね。戦闘に影響が無いように黒影の脳に働きかけて雑念を遮断させてもらったわ」と頭の中の教導虫が返事する)
ありがとうございます!せんせー!
(「で、どう戦う?」)
敵は戦闘技術に加えて戦場での経験が豊富!
囮で奇襲の搦手も逆襲の恐れがあって逆に危険!
となると…数の暴力ですね!
(「その場合真っ先に黒影が狙われるけど大丈夫なの?」)
平気です!むしろ俺からぶつかりにいってやりますよ!
(UC【一寸鋒矢】を発動すると{蜂蜜色の靄}を纏い巨大な矢となって敵に向かって突撃する)
「凄まじい気迫です! 部隊が壊滅してもなおここまで強気なのは自身の強さに絶対の信頼があるからなんでしょうね……強敵です!」
軍事的には既に勝敗は決したと言っていい状況でなお、退く気を見せない『サロメサージェント』。常識では測れないオブリビオンの力はここからでも盤面をひっくり返しうることを、兵庫はこれまでの戦闘経験から学んでいた。
(格好も凄まじいわね。戦闘に影響が無いように黒影の脳に働きかけて雑念を遮断させてもらったわ)
「ありがとうございます! せんせー!」
こんな時でも教え子のメンタル面を気にするスクイリアは流石だった。お陰で彼は余計なことを考えず、まっすぐに相手から目を逸らさず警棒を構える。この距離からでもひしひしと感じる、敵のプレッシャーを身に浴びながら。
「敵は戦闘技術に加えて戦場での経験が豊富! 囮で奇襲の搦手も逆襲の恐れがあって逆に危険! となると……数の暴力ですね!」
いつものように二人は頭の中で素早く作戦会議を行う。純粋な力比べや奇策に訴えかけても勝算は低いと判断した兵庫は、これまでと同様に虫達の力を頼ることを提案した。統率された群れの力は強大な個の力を凌駕する、それは歴史も証明してきた事実だ。
(その場合真っ先に黒影が狙われるけど大丈夫なの?)
「平気です! むしろ俺からぶつかりにいってやりますよ!」
もう覚悟が決まっているのなら、スクイリアにも止めることはできない。彼が警棒を指揮杖として地面を叩けば、共に戦ってきた伐採兵や強襲兵たちが一斉に動きだし、羽音を響かせながらサロメサージェントに襲い掛かった。
「虫の軍隊か。変わった戦力を率いているな」
サロメサージェントは冷静な様子で軍服から手榴弾を出し、戦闘虫の群れに投げ込んだ。使い手の寿命を削って威力を増した【サージェントグレネード】は、炸裂と同時に爆炎を撒き散らし、敵群及び周辺地形を爆発炎上させた。
「……止まらないか。やはり指揮官を潰すべきだな」
この一撃で戦闘蟲達は相当の損害を被ったが、主の指揮に忠実な彼らが進軍を止めることはない。毛ほどの動揺すらも誘えなかったのを確認した女傭兵は、二発目の手榴弾の狙いを今度は兵庫に定め、大きく腕を振りかぶる――。
「避けられるか?」
「来るなら来い!」
敵が投擲のモーションを見せても、兵庫は避けようとはしなかった。虫達にだけ戦わせて自分は逃げ回るような、恥もプライドもない戦い方をするつもりはない。挑戦的な目つきで敵を睨み返しながら、敵に接近するよう走りだす――今まで共に戦ってきた虫たちのオーラを、その身に纏って。
「そんな爆弾ひとつで、俺を……俺たちを倒せるかよ!」
「なにっ
……!?」
培ってきた虫達への信頼と絆を力に変える【一寸鋒矢】。それが具現化した蜂蜜色の靄は、まるで燃え盛る黄金の炎のようだった。敵の【サージェントグレネード】は過たず標的を爆発の圏内に捉えたが、彼は爆風にも炎にも怯まず、オーラに守られながら前進を続ける。
「何兆! いやそれ以上の虫さんたちの思いを込めたこの一撃! 止められるものなら止めてみやがれ!」
自分だけではなく仲間の虫たち全ての全身全霊を賭けて、一本の矢と化した兵庫は不退転の決意で敵に突撃する。
この一撃、この一瞬、彼の力はサロメサージェントの想定を完全に凌駕しており――避ける間もなく直撃を食らった女傭兵は「なん、だと……ッ!」と驚愕を露わにしながら、血飛沫と共に吹き飛ばされていった。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「このまま帰ってくれれば楽だったんだけどね。
しかし、勝算無く玉砕覚悟という眼じゃないな。」
(厄介な事だ)と思い。
敵の銃の間合いを測りつつ【残像】で攪乱しながら
隙を窺い敵の周囲を周回。攻撃を受ければ
【オーラ防御】でそれを軽減。
「流石と言うべきか。このままじゃ傷を増やすばかりか。
なら、仕掛けるべきか。」
冥府への誘い【鎖焼散花】を発動。
遠方から黒鎖を放って敵を縛り、その隙に距離を詰めながら
視線を敵に合わせて蒼炎で包み。
デモニックロッドを黒い鳳仙花の無数の花びらに変えて
敵の生命を喰らわせる。
敵が攻撃しようとすれば縛る鎖を強めて妨害しながら
花びらを盾として防御。
蒼炎を【カウンター】で連続で放ち仕留める。
「このまま帰ってくれれば楽だったんだけどね。しかし、勝算無く玉砕覚悟という眼じゃないな」
正規の軍人ではなく傭兵ならば配色濃厚となった時点で撤退してもおかしくないはず。それをしないという事はこちらを侮っているか、あるいはまだ勝つ見込みがあるかだ。内心口にせずとも(厄介な事だ)と思いつつ、フォルクは敵部隊長『サロメサージェント』と対峙する。
「貴様らとて逃がす気はないのだろう? どの道生き延びるのは一方だけだ」
一方の敵も猟兵がオブリビオンの脅威を見逃さない事を知っている。激戦による負傷で軍服を血に染めながらも、あくまで徹底抗戦の意思で【ツインガン】を構える。その銃さばきは今だに精彩を欠くことはなく、放たれる銃弾の威力もそのままだ。
(なんとか隙を突きたいところだが)
フォルクは残像を出しながら敵の周囲を周回し、銃の間合いを測りつつ仕掛けるチャンスを探る。だが、この程度で撹乱されるほど甘い相手では無かったようで、黄金の二丁拳銃より放たれる弾丸は残像ではなく本体を的確に狙ってくる。
「流石と言うべきか。このままじゃ傷を増やすばかりか」
オーラの護りでダメージを軽減しても、いずれは動けなくなるのは目に見えていた。守勢に回って隙を窺っているだけではサロメサージェントを動揺させることは出来そうにない。超大国間を渡り歩く歴戦の傭兵という肩書きは伊達ではないようだ。
「なら、仕掛けるべきか」
ジリ貧になる前にフォルクは方針を転換し、冥府への誘い【鎖焼散花】を発動。呪文を唱えながら敵を指させば、その指先より闇の黒鎖が放たれる。強力な呪いと魔力を編み込まれたそれは生き物のようにうねり、獲物を捕らえんと襲い掛かる。
「指先辿る影の鎖は魂の磔架」
「……ほう。貴様、魔術師か」
サロメサージェントは銃撃で鎖を撃ち落とそうとするが一手間に合わず、片腕を縛り上げられる。この隙にフォルクは距離を詰めるとフード越しに視線を合わせる。すると今度は蒼い炎がめらめらと燃え上がり、敵を包み込んだ。
「囚えし魂焼くは冥府の蒼炎」
魂を縛る黒鎖と魂を焼く蒼炎。冥府の力を我がものとしたフォルクの呪術は、これまで数多のオブリビオンを葬ってきた。さらに彼が「デモニックロッド」を掲げると、呪われし黒杖は無数の鳳仙花の花びらとなって戦場に散る。
「蒼き炎を以て尚、死出の旅を拒むなら生命喰らう黒花の欠片を冥府への手形と成せ」
「くっ……!」
命を喰らう冥界の鳳仙花に触れるたび、サロメサージェントの表情が険しいものとなっていく。術の発動を止めようと彼女が銃口を向ければ、フォルクは縛る鎖を強めて妨害しながら花びらを盾として防御の構え。照準を狂わされた銃弾は花を散らすだけで術者には届かなかった。
「まだ倒れないか。なら追撃といこう」
反撃とばかりにフォルクが敵を凝視すると、蒼い炎が連続で放たれ標的を焼く。それぞれの術の威力は単独で行使する時よりも劣っているが、連続発動による手数でそれを補うのが【鎖焼散花】の真髄だ。息も吐かせぬ呪術の連携を浴びせられ、サロメサージェントもたまらず悲鳴を上げる。
「ぐ、おのれ……ぐああああッ!!」
肉体的には軽い火傷のように見えても魂を焼かれる苦痛は相当だろう。そして彼の呪術はまだこの程度ではない。
独力でも作戦目標を達成できるという見込みは、どうやら甘かったらしい。女傭兵はそれを認めざるを得ない状況に追い込まれつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
まぁここまでやったのだから、最後まで手を出させる訳にはいかないわね
貴方が傭兵の様にこちらも猟兵としての仕事なの、損害無しでやらせてもらうわよ
ま、最後まで私は後ろから色々やらせてもらうわ
ここで一人でも通すなんて事はさせないわよ
・ドローンを始めとした機器から『CODE:Observer』発動、相手の位置を【情報収集】、【索敵】
・続いて同時使用可能な物として『出撃の時だ我が精兵達よ』を選択
・【集団戦術】にて運用、魔導蒸気ライフルにより確実に相手にダメージを狙う
・念の為、敵の残敵も対象に
軍を使えるのは、何もあなた達だけじゃないのよ?
※アドリブ・絡み歓迎
「まぁここまでやったのだから、最後まで手を出させる訳にはいかないわね」
戦場に立ちはだかる最後にして最大の敵、『サロメサージェント』の姿を機器越しに観測しながらエメラは呟く。
この期に及んでも撤退しない敵も往生際が悪いが、こちらも索敵や準備に相応の時間とコストをかけたのだ。詰めを誤って逆転されるような隙を見せるつもりはない。
「貴方が傭兵の様にこちらも猟兵としての仕事なの、損害無しでやらせてもらうわよ」
「そう上手くいくと思っているのなら、私も舐められたものだな」
戦争においては誰もが犠牲を払うのが常。完全無欠の勝利など許すものかと、サロメサージェントは皮肉げな笑みを浮かべた。数々の猟兵を相手取ってなおそこに立っている辺り、発言に違わぬ自信と実力は備えているのだろう。
「ま、最後まで私は後ろから色々やらせてもらうわ。ここで一人でも通すなんて事はさせないわよ」
一方のエメラにも猟兵として、そして技術者としての矜持がある。手始めに【CODE:Observer】を起動させた彼女はドローンを始めとした機器から情報収集用プログラムを放ち、迅速に敵の位置情報の収集、並びに解析を行う。
「さぁ出番よ、私の勝利の為に出撃なさい」
続いて同時発動するのは【出撃の時だ我が精兵達よ】。肩に数字の刻印された魔導蒸気兵の軍団が、完全武装した状態で召喚される。戦場に揺らめくモノアイの光、捧げ銃の姿勢で構えられた蒸気ライフル、一寸の乱れもない隊列――この局面で投入されるにふさわしい精鋭部隊だ。
「軍を使えるのは、何もあなた達だけじゃないのよ?」
「
機械兵士に似ているが、技術的にはクロックワーク・ヴィクトリアの代物に近いか。面白い」
ゾルダートグラードも機械化改造を施した獣人兵士を戦力として運用しているが、自律行動を行える完全な機械の兵隊は珍しい。エメラの指揮下で射撃体勢に入り、一斉攻撃を開始する魔導蒸気兵に対して、サロメサージェントは【ツインガン】の連射で応じた。
「人形風情に遅れを取ると思うな!」
数百分の一秒の早業で発射される彼女の二丁拳銃さばきは、降りしきる銃弾の雨と拮抗しうる。ただプログラム通りに動くだけの人形相手なら、何百体いようが相手にならなかっただろう。だが、無機質な機械兵の行動を掌握するのは、多くの経験を重ねてきた熟練のオペレーターである。
「中央の部隊は合体して私や同僚さん達の盾に。両翼はその隙に回り込みなさい」
【CODE:Observer】によって敵の詳細な情報を掴んでいるエメラは、それを元にして的確な集団戦術を実行する。
兵力の損耗に焦って決着を急ぎはしない。ライフルの射程と数的優位を活かし、有利な陣形とポジションを取って確実に相手にダメージを狙う気だ。
(念の為、敵の斬撃も対象に含めておきましょう)
残党が再編される可能性も考慮に入れるなど、彼女の作戦は綿密だった。戦場の全てを観測する目と、手足の如く動く兵士達。このふたつをフルスペックで運用すれば必ず勝利の方程式は導き出される。その手並みはさながらチェスの駒を操るプレイヤーのようだった。
「そろそろ詰めにかかりましょう」
「チッ……思ったよりも、やるな」
やがてエメラの蒸気魔導兵団はサロメサージェントを完全に包囲し、四方八方からライフルの弾を浴びせかける。
いかに卓越した戦士であっても、これだけ完全に統率された攻勢を凌ぎきることはできない。苦渋に顔を歪める女傭兵の体に、銃撃の傷痕が増えていく――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
やっぱ最後の奴は手強いって相場が決まってんのな。
震えが今までより酷ぇ。正直、逃げていいならとっとと逃げてえくらい。
……けど、ここまでの頑張りを台無しにするんもイヤだ。
だから、力を貸してくれ……クゥ!
あの目にも留まらぬ早業……撃ち合いじゃ分が悪ィけど、機動力はこっちが上だ。接近戦の方が勝算があるから、まずは間合いを詰めねえと。
つっても単純に近づくだけじゃイイ的になるから〈第六感〉をフルに活かして攻撃を躱し、間合いを詰める機を窺う。〈オーラ防御〉も展開して、損耗は抑える。
僅かでもいい。隙を〈見切り〉で見出したら、〈ダッシュ〉で一気に間合い詰めて〈限界突破〉した一撃を叩き込む。
――やっちまえ、クゥ!
「やっぱ最後の奴は手強いって相場が決まってんのな」
お約束と言えばそれまでだが、現実に強敵と対峙する時のプレッシャーはいつだって想像を超えてくる。傭兵隊長『サロメサージェント』が戦場に姿を現してからというもの、嵐の体の震えは今までより酷く、正直逃げていいならとっとと逃げたいくらいだった。
「……けど、ここまでの頑張りを台無しにするんもイヤだ」
ここで逃げ出してしまえば、皆で準備したことや歯を食いしばって戦った結果がすべて無駄になる。あの素敵な歌がもう二度と聞けなくなってしまったら、後で絶対に悔やむだろう。どんなに戦いが怖くても、逃げて後悔はしたくない――それが、彼の両足を支える信念だった。
「だから、力を貸してくれ……クゥ!」
その呼びかけに応えて姿を現すのは、焔を纏った黄金のライオン。【我が涅槃に到れ獣】により幼体から成獣の姿に成長を遂げた嵐のバディは、その背に相棒を乗せて雄々しく戦場を駆ける。彼らは光と影、共に歩み、共に生き、共に戦うものだ。
「軍馬でも戦車でもなく、獅子に跨る騎兵とはな。変わり種もいたものだ」
サロメサージェントは皮肉げに呟きながら二丁の黄金拳銃【ツインガン】の射撃を彼らに放つ。銃の構えから発射までの時間は百分の一秒にも満たない神速であり、照準も的確。だが黄金の獅子もそれに対応して真横に飛び退き、弾道から身を躱してのけた。
(あの目にも留まらぬ早業……撃ち合いじゃ分が悪ィけど、機動力はこっちが上だ。接近戦の方が勝算があるから、まずは間合いを詰めねえと)
嵐も射撃戦の素人ではないからこそ、敵の卓越した技量がよく分かる。同じ土俵で戦っても勝ち目は薄いことも。
かと言って単純に近づくだけでは良い的になるだけだ。間合いを詰める機を窺うために、彼は第六感をフルに活かして獅子と共に攻撃を躱し続ける。
「素早い奴だ。だがいつまで走れるかな」
獅子の俊敏さと乗り手の勘の良さが合わされば、サロメサージェントであっても射撃を当てるのは簡単ではない。
しかし彼女は動じることなく連射を継続する。接近戦を狙っているのはお見通しなのだろう。攻撃を絶やさずに近付けさせないことを意識した立ち回りだ。
(僅かでもいい。ほんの一瞬でも隙があれば……)
戦いが長引くにつれて敵も速さに慣れてきたのか、やがて弾丸が嵐達を掠めるようになる。オーラで身を守って損耗を抑えてはいるが、もうあまり逃げ続けることはできまい――焦る気持ちをぐっと堪え、嵐は敵の挙動に全感覚を集中させる。
「……そこだ!」
見出したのは敵が拳銃のリロードを行う瞬間。その間隙に全てを賭けるつもりで、青年は獅子を全力で走らせた。
紅蓮の軌跡を描きながら黄金の獣は一気に間合いを詰める。その瞬発力がサロメサージェントの予測を狂わせた。
「――やっちまえ、クゥ!」
「しまっ……ぐあッ!!」
銃を構え直す暇を与えず、嵐の号令とともに獅子の爪が獲物を抉る。人騎一体となることで限界を突破したふたりの全力を叩き込まれれば、サロメサージェントも無事では済まなかった。引き裂かれた体から真っ赤な鮮血が散る。
たまらず銃を取り落とした彼女の表情に、もはや余裕の色は見えず。徐々に戦いは終局へと迫りつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
エミリヤ・ユイク
※アドリブ歓迎 途中参加失礼します
ほう?随分と自分に自信があるようですね。まぁ、そこは私もですが。お互い軍服を身に纏う者同士。私とて過去に多くの命を、研究所からの任務で関係のない民間人を殺めてきました。さて、どちらがより冷酷に任務を果たせるか試してみましょうか。キレた冥狼に嗅ぎつけられ目をつけられたことを運の尽きと思いなさい。ではいきますよ?覚悟はいいですか?
ユーベルコード、発動。冥狼疾奏。
そして迦具土零式、発動。リミッター解除、更に限界突破。右手に黒狼牙爪を持ち、心に覚悟、気合い、根性を持ち、突撃。ツインガン?そんなものは見切りつつ回避し、当たっても全て消滅させます。消滅しきれなかったとしても、物理攻撃ならTPMCによりほぼ無効化される。その程度の攻撃なんて覚悟、気合い、根性があれば突破できるのです。
そして貴方には貫通攻撃と焼却が付与されて青紫の炎を纏った黒狼牙爪で切断します。慈悲も容赦もなく、冥狼の爪は獲物を斬り裂き、牙は獲物の首を食い千切る。言葉はいらない、ただ無意味に死になさい。
「ほう?随分と自分に自信があるようですね。まぁ、そこは私もですが」
自軍が既に壊滅状態にありながら堂々と姿を現した『サロメサージェント』を、エミリヤ・ユイク
(
冥狼の後継者・f39307)は鋭い眼差しで見やる。窮地にあっても敵が落ち着きを崩さないのは重ねてきた場数の多さ、経験に基づいた自信の現れだろう。彼女もそれは同じだった。
「お互い軍服を身に纏う者同士。私とて過去に多くの命を、研究所からの任務で関係のない民間人を殺めてきました」
たとえ非道と罵られようと任務を遂行する意志力。綺麗事だけでは済まない戦場ではそれもまた必要な力となる。
だからとて肯定するつもりは微塵もないが。こうして敵同士として対峙したからには全力を以って滅ぼすのみだ。
「さて、どちらがより冷酷に任務を果たせるか試してみましょうか。キレた冥狼に嗅ぎつけられ目をつけられたことを運の尽きと思いなさい」
「御託が多いな。狼なら舌よりも牙で語るがいい」
威風堂々としたエミリヤの口上に、サロメサージェントは皮肉げな態度で返す。立ちはだかる相手が人であれ獣であれ、傭兵は報酬と命令に従って殺すだけ。黄金の二丁拳銃を向けられれば冥狼も「これは失礼しました」と笑い。
「ではいきますよ? 覚悟はいいですか?」
発動するは【冥狼疾奏】。敵が【ツインガン】のトリガーを引き絞るのとほぼ同時に、漆黒のオーラを身に纏う。
其は冥狼が裡に秘めし闇が具現化したもの。比類なき速さと鋭き牙を彼女に与えるもの。その状態で地を踏みしめれば、少女は一陣の疾風となって戦場を駆けた。
「天滅せよ、堕天の奈落の幕開けだ」
右手には愛刀「黒狼牙爪」を持ち、心には覚悟と気合いと根性を携え、さらに心臓の融合炉「迦具土零式」を起動させることで刀身は青紫の炎を纏う。攻撃力と速度の強化に全てを費やした、エミリヤのリミッター解除モードだ。
「速い――だが!」
とても視力では追いきれない程のスピードでも、サロメサージェントは即座に対応してくる。0.01秒にも満たない超高速の射撃技術は、こちらも人外の域にあるもの。見切られようとも次弾ではすぐに射線を修正し、徐々に合わせるようになってくる。
「狼狩りなら慣れたものだ」
一撃で仕留めようとするのではなく弾丸を撒き餌にして獲物を追い込むように。冷静さを崩さないサロメサージェントの銃撃は、ついにエミリヤの速度を捉え始めた。黄金拳銃より放たれる致死の弾丸が、冥狼の少女を撃ち抜く。
「そんなもの、全て消滅させます」
しかし銃弾は彼女が纏う漆黒のオーラに触れた瞬間、まるで焼き尽くされるように消し去られた。【冥狼疾奏】の要となるこの力場は強化だけでなく防御の役割も担っている。生半可な攻撃を瞬時に消滅させることで、被ダメージに弱くなった本体を守っているのだ。
「まだだ」
サロメサージェントは立て続けに銃撃を行い、オーラによる消滅を上回る手数で強引に攻撃を通そうとしてきた。
しかしエミリヤにはもう1つ「
トランスフェイズメタルセル」という防御手段がある。金属細胞と融合した彼女の皮膚は、攻撃を受けた際に自動的に硬化することで物理的なダメージをほぼ無効化するのだ。
「その程度の攻撃なんて覚悟、気合い、根性があれば突破できるのです」
たとえ避けきれなくなっても彼女の足は止まらない。二重の護りで銃弾を浴びながら猛進し、刀の間合いまで一気に踏み込む。元は普通の人間でありながら、純粋なる意志力で己の限界を超え怪物と化した少女の、これが真髄だ。
「言葉はいらない、ただ無意味に死になさい」
「――
……!!」
瞬きにも満たない刹那の間隙に、青紫の炎を纏った黒狼爪牙が振るわれる。慈悲も容赦もなく、冥狼の爪は獲物を斬り裂き、牙は獲物の首を食い千切る――その鋭さはただの一太刀で、敵が放った全ての銃弾を上回るものだった。
漆黒の闇とともにエミリヤが駆け抜けていった後、サロメサージェントは血飛沫を上げてゆっくりと膝を付いた。
大成功
🔵🔵🔵
アヤネ・タチバナ
【アドリブ◎】
あの気配の主、みーっけ♪ おねーさん、軍人さん?
武器:学徒武装「耽溺」を口の端に咥え直して、まっしぐらにボスに向かってく
いっぱい殺してきたでしょ 『わかる』よ
銃口が向けばトリガーの辺りを周囲の空気ごと念動力で身体部位封じ
狙いが不安定な内にダッシュで懐に切り込む
ふーん、2丁拳銃か。ま、長く伸びる腕だって思えば
過去の戦闘知識から見切って捌いて逸らす
その捌きと一体の踏み込みから、武器:闘気と武器:宇宙理心の波動を込めた打撃や当て身の連続コンボを繰り出してく
密接して離れない事で、相手に自由に武器を使わせない戦いをする
『わかる』人同士、これからどっかお店にでもいこーよ って言いたい所だけど
上半身での攻防とみるや、足の踏み付けや膝蹴りとかも織り交ぜたり
武器:サイコチェーンで互いの腕を捕縛、そのまま念動力ジャンプで背後を取ってグラップルで関節を極めたりする
おねーさんも街に入れるわけにはいかない。ここで終わりだよ
UCにはUCで。瞬きする間に放たれた手榴弾ごと武器:フォースセイバーで微塵切り
「あの気配の主、みーっけ♪ おねーさん、軍人さん?」
敵部隊のボスと思しき相手の姿を見つけた途端、アヤネは学徒武装「耽溺」を口の端に咥え直して、まっしぐらに向かっていく。口ぶりは朗らかで親しげだが、声音には若干の緊張がある。ここまでに倒してきた兵士とはひと味もふた味も違う相手だと、直感的に気付いているようだ。
「いっぱい殺してきたでしょ 『わかる』よ」
「さて、数えてはいないな。試してみるか?」
対する『サロメサージェント』はそう言うや否や、黄金拳銃の銃口を彼女に向ける。抜いて構えるまでの動作が眼で追えないほどの早業だ。しかし歴戦の女子高校生は反応してみせた――トリガーの辺りを周囲の空気ごと念動力で固め、狙いを狂わせたのだ。
「それはちょーっと遠慮したいかな」
「なるほど。貴様も『こちら側』の人間か」
相手の照準が定まらない内に、アヤネはダッシュで懐に切り込む。だが近付かれたところでサロメサージェントに動揺はなかった。空いている方の手でもう一丁の拳銃を抜き、即座に撃つ。この距離なら念動力で銃口をずらすのも間に合わない。
「ふーん、2丁拳銃か。ま、長く伸びる腕だって思えば」
アヤネはその動作を過去に戦ったライバル達の動きに重ね、経験に基づいて捌き逸らす。闘気と宇宙理心の波動を纏った四肢は銃弾すらも受け流すのだ。さらにその捌きと一体の踏み込みから拳を握り込み、鋭い打撃を叩き込む。
「こっちも行くよ」
「ぐっ……!」
拳打をヒットさせた直後に当て身を食らわせ、体勢を崩した所にまた次の打撃へ繋ぐ。息も吐かせぬ連続コンボ、切込専心を謳う一気呵成の
攻撃偏重スタイルこそが【宇宙理心拳】の極意だ。速攻即断の心意気で密接したまま攻撃を繋げれば、相手は自由に武器を使えない。
「見たことの無い武術だ……ぐおッ!」
「まだまだ、こんなもんじゃないよ」
上半身での攻防に相手の目が慣れてきたとみるや、足の踏みつけや膝蹴りなども織り交ぜ。相手が仰け反ったら腕の先から「サイコチェーン」を射出して拘束。互いに腕を捕縛しあった状態からまた密着状態に戻り、蹴って蹴って蹴りまくる。
「この……いい加減に離れろ!」
サロメサージェントもCQCの心得はあるのか、蹴りを腹筋で受け止めつつ反撃を繰り出してきた。しかしアヤネはそれを読んでいたかのように念動力を使ってジャンプ。敵を跳び越して背後を取ると、チェーンを利用したグラップリングに移行する。
「貰っちゃうよ」
「しま……ッ!!」
ゴキンと嫌な音を立てて、関節を極められた腕があらぬ方向に折れる。直後にサロメサージェントは組み付きから逃れたものの、その片腕はもう満足に動かないようで肩からだらりと垂れ下がるだけ。お得意の二丁拳銃スタイルもこれで脅威は半減だ。
「『わかる』人同士、これからどっかお店にでもいこーよ って言いたい所だけど」
次は腕一本では済まさないと、再び間合いに切り込んでいくアヤネ。その瞳に宿る光は冷たい学徒戦士のそれだ。
サロメサージェントは「ちっ……!」と舌打ちしつつ、隠し玉の【サージェントグレネード】を取り出すが――。
「おねーさんも街に入れるわけにはいかない。ここで終わりだよ」
「が、ぁ……ッ
!!?!」
宇宙理心拳は徒手のみに非ず。瞬きする間に抜き放たれたフォースセイバーの斬撃が、手榴弾ごと敵を斬り刻む。
あの街にいる平凡で普通の人達に手は出させない。殺し合いなら『わかる』者同士でやっていればいい。そんな意志を感じさせるサイキックの輝きを前に、超大国の女傭兵は膝を屈したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
グエン・ティホァ
※アドリブ歓迎、共闘可
WIZ判定
・行動
UCを使用して自分の両手の武器を捨てながら相手を挑発、
2丁拳銃を捨てた素手状態の敵と格闘戦でケリをつける
(挑発、グラップル、怪力、急所突き、毒使い)
・戦闘
挑発した後に相手に肉薄して蛇体で脚と胴体をホールド、
さらに両腕をこちらも両手で押さえつけ
動けない所を首筋に噛みついて毒牙で仕留める
・セリフ
部隊を壊滅させられておいて何が「報酬分の働き」だ、
そんな奴が一人で私達をどうにかできると思っているの?
もしもその自信があるなら来なさい、サロメエージェント
(大声で)銃なんか捨てて素手でかかってこい!
恥をかかせた相手を無残に殺してやりたいんでしょう、
私がもがき苦しんで死ぬさまを見たいんじゃないの?
(先に自分の武器を捨てて見せながらUC発動)
さあ来なさい、それとも……怖いの?(挑発の笑みを浮かべる)
(素手でタイマンを始める)
私も貴様らにはこの手で直接、復讐の牙を突き立てるのが何よりの喜びだ
そうすることでしか、この飢えは満たされはしないのだから!!
「やれやれ……せめて報酬分はと粘ってみたが、失敗だったか」
猟兵達との激闘の末、窮地へと追い込まれた『サロメサージェント』は、血の滲む口元からふうと溜息を吐いた。
都市1つを奇襲するだけの簡単な任務のはずが、まさかこんな事態になるとはまるで予想だにしなかっただろう。
「部隊を壊滅させられておいて何が『報酬分の働き』だ、そんな奴が一人で私達をどうにかできると思っているの?」
そんな彼女に挑発的な言葉を浴びせるのはグエン、確かにこれだけの被害を出した時点で、当初の作戦目的を果たしたとて報酬に見合う埋め合わせとは言えない。この事態に追い込まれたこと自体が指揮官としての無能の証明だ。敗残の傭兵如きにこの状況が覆せるとでも言うのか。
「もしもその自信があるなら来なさい、サロメエージェント。銃なんか捨てて素手でかかってこい!」
そう言ってグエンは持っていたナイフを捨てて手招きする。露骨なまでの挑発だが、無視できない迫力があった。
大声で格闘勝負を要求されたサロメサージェントは、すぐには応じず拳銃を握ったまま眉をひそめたものの――。
「恥をかかせた相手を無残に殺してやりたいんでしょう、私がもがき苦しんで死ぬさまを見たいんじゃないの?」
「……やれやれ。貴様の言葉はやけに癇に障るな」
【部隊長の挑発】を受けたサロメサージェントは、とうとう自らも銃を捨てて身構えた。今の負傷状態では本来の二丁拳銃スタイルが十分に使えないのもあるが、一番の理由はやはりプライドだろう。ドライに見えた彼女にも、身一つで戦場を渡り歩いてきた傭兵の矜持があったのだ。
「さあ来なさい、それとも……怖いの?」
「毒蛇め。そこまで言ったからには覚悟はできてるだろうな」
グエンが挑発の笑みを浮かべると、サロメサージェントもニヤリと笑って殴り掛かる。銃を捨てたとはいえ構えは素人のそれではなく、格闘術の練度も相応に高いと分かる。並の兵士が相手ならば素手でも遅れは取らないだろう。
「そう、それでいい」
だが自分からこの勝負を持ちかけた事から想像は付くだろう、グエンの格闘技術は卓越していた。階梯3のコブラ獣人である彼女の体さばきは二足歩行の他種とは異なり、ぬるりと地を這うように攻撃を躱し、敵の懐に肉薄する。
「感謝するわ、サロメサージェント」
獣の闘争心と殺意を隠すことなく、グエンは下半身の蛇体を敵に巻きつける。脚と胴体をホールドし、密着状態から逃げられないようにするつもりだ。そうなる前にサロメサージェントは尾を振り解こうとするが、コブラの締め付ける力は人間の腕力よりも遥かに強い。
「私も貴様らにはこの手で直接、復讐の牙を突き立てるのが何よりの喜びだ」
「ッ、放せ……!」
さらに両腕をこちらも両手で押さえつけ、がっしりと組み合う形になれば、もう相手は身動きが取れない。それは拘束する側も似たようなものだが――彼女には尾と拳の他にもうひとつ生来備わった武器が。猛毒を秘めたコブラの牙がある。
「そうすることでしか、この飢えは満たされはしないのだから!!」
愛する仲間を、信じていた正義を、誇るべき勲を奪い去ったオブリビオンへの怨讐を込めて、グエンは獲物の首筋に齧り付いた。肉を抉り裂く感触と口の中に溢れ出す鮮血、そして喉の奥から絞り出すような敵の絶叫が響き渡る。
「が、っ、ぁぁぁぁぁぁッ
!!!?!」
サロメサージェントは必死の形相でもがくものの、突き立てられたコブラの牙は1ミリも動かず拘束も緩まない。
やがて頸動脈から蛇の毒が全身を巡り、神経と細胞を破壊する。こうなればもはや生命体に助かる術はない――。
「……が、は。ここまで、か。私もヤキが回ったものだな……いや、お前達の力が、私を上回っただけか」
最期の瞬間、サロメサージェントはどこか清々しい表情で「見事だ」と呟き、猟兵への賛辞を残して息絶えた。
平和な都市に襲来したゾルダートグラード軍の部隊は、これをもって完全壊滅となり、戦場には静寂が訪れた。
かくして、猟兵達は悪しき超大国の侵略から獣人達の街を救い、ささやかな平穏と多くの人命を守り抜いた。
平和を祈る歌姫エイミーの歌声は、その後も音楽会のラストまで響き渡り。この日芽生えた小さな希望を、いつか戦いが終わる時まで繋ぐため、猟兵達はまた次の戦場に向かうのだ――。
大成功
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