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【サポート優先】奇妙な主従

#シルバーレイン #戦後 #ナンバード化オブリビオン


 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●事件発生
 「なんだ、ここ?」
 さっきまで町中を歩いていたはずなのに気が付けば周辺は荒野になっている。
 というより地球じゃないような景色だがなぜか呼吸はできるし気温もさっきと変わっていない。
 頭を悩ませているとじゃりっと足音がして振り返る。
 そこには鎖を垂らした執事然とした長身の男と、その後ろで胸を張るように腰かけている一匹の虎が居た。
 「あ、すみません、ここ、どこだかわかります?」
 声をかけてみるもどちらも反応せず、いや、執事の方が円形の何かを取り出している。
 素早く身を捻るような動作を執事が見せた。
 そして、自分の視界がぐらりと傾いて地面に横たわり、近づいてきた虎の胸に数字の3と刻まれているのを見て、それが最後の記憶となった。

●子狼の招集
 「ナンバードのゴーストオブリビオンが現れたの。」
 自らのグリモアを掌の上に浮かべながらロラン・ヒュッテンブレナーが説明を始める。
 「ナンバードは『自尊心の虎』で、名前の通りに虎型だよ。ナンバーは3。そう、消滅寸前でかなり焦ってるの。
 自尊心の虎は、ヴェイグっていうオブリビオンを地縛霊化して能力者さんを襲撃しようとしてるの。今回は犠牲者が出る前に割り込めるから、能力者さんを守ってほしいの。」
 グリモアを浮かべてるのとは逆の手に魔術陣を描いて魔力で映像を投影して説明を続ける。
 「ヴェイグさんは、漆黒の糸や円月輪を使ったり土を触媒に眷属や精霊を使って攻撃してくるの。それと、地縛霊だから自分に有利な荒野になってる特殊空間を作る能力があるよ。そこに引き込むみたい。相手に有利なフィールドだから気を付けて。」
 それでも数がそれなりに居るだけで、猟兵なら苦戦するほどではなさそうと付け加える。
 「ヴェイグさんたちの主、自尊心の虎さんなんだけど、ナンバーの小ささでわかるようにそんなに強くないよ。ただし、プライドを傷つけられると強くなる力をいくつか持ってるの。急に強化されるから気を付けて。」
 説明を終えると、ロランは礼儀正しく頭を下げて「お願いするの」と言った。
 顔を上げて四角錘型のグリモアを掲げるとそれが展開して十字の紋章となり、集まってくれた猟兵たちをテレポートさせていくのだった。


HE・KA・10
 どうも、HE・KA・10へかてんです。
 純戦闘シナリオをご案内します。

●サポート優先シナリオ
 このシナリオはサポート優先となっています。
 私のペースでサポートの方々をどんどん採用していきます。
 通常参加も受け付けていますので、お気軽にご参加ください。

●第一章:集団戦
 地縛霊オブリビオンとの集団戦です。
 ヴェイグは喋れません。
 近接戦に眷属召喚、回復と割と隙がありませんが猟兵が苦戦するほどではありません。

●第二章:ボス戦
 プレイングボーナス(通常参加の人向け):焦りを助長する。
 自尊心の虎はナンバーが低く、消滅が近くて焦っています。
 そこに付け込めば罠に嵌めることは簡単です。
 また、プライドを傷付けるとユーベルコードが強力になりますが、焦りは強くなるので実質弱体化します。
 プレイングボーナスを使わない場合、虎自身が勝手に自尊心を傷付けて強化されていきます。

●その他
 断章は第二章に突入した時に投下します。
 第一章は承認後に受付開始、第二章は断章公開後に受付となります。

 良き戦いをお送りできるよう精進します。
 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『土を司る者『ヴェイグ』』

POW   :    死神の定め
自身と対象1体を、最大でレベルmまで伸びる【黒く実態のない糸】で繋ぐ。繋がれた両者は、同時に死なない限り死なない。
SPD   :    餓えた土のゴースト達
【漆黒の円月輪】を放ち、命中した敵を【不可視で無数の触手】に包み継続ダメージを与える。自身が【瀕死に近い程の負傷】していると威力アップ。
WIZ   :    土を司るモノ達
戦場全体に【砂塵(サンドストーム)】を発生させる。レベル分後まで、敵は【土の眷属(サンドワーム)達】の攻撃を、味方は【土の精霊(サンドフェアリー)達】の回復を受け続ける。
👑11
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桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにない相手に対しても無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。
オブリビオンに対しては持ってるなら『リア充ころし(焼却)』と『ガソリン』を併用して消毒という名の焼却を図ります。なんらかの原因でそれらを持っていないなら……なんとかして焼却します。



●激・桜開花
「なんだ、ここ?」
迷い込んだのは10代後半くらいの男性で、突如変わった風景に目を丸くしていた。
じゃらら、っと鎖の音を引き摺って執事然とした長身の男が現われて円形の獲物を構える。
訳もわからない男性に向かって円月輪を投擲の動作を始める長身の男ヴェイグ。
男性に向かって飛来する円月輪、絶体絶命のその時、ずどどど、という音が響いて円月輪をたたき落とす。
「間に合ったね。そこのあなた、大丈夫かな?早く逃げて。」
ふわっと桜色のツインテールを靡かせてヴェイグと向き合って銃器を構える桜の精、桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)が男性を庇うように立ちはだかる。
踏み込もうとするヴェイグに乃愛はトリガーを引き、連射、弾幕を撒いて接近を阻んで男性の逃げる時間を稼ぐ。
ヴェイグも然る者で、その弾幕を横に回り込むように走って躱しながら近づいてくる。
「これ、避けちゃうんだっ!でもこの距離ならっ。」
接近するヴェイグに銃弾を撃ち込みながら乃愛も接近、その手に桜の意匠が施された柄が優美な小型の槍を携えヴェイグの予想進路上へ投擲、見事に貫く!
「よし、当たったよ!」
油断せず銃を構えて近づくと、胸を貫かれたヴェイグが倒れた状態からドロップキックを放ち、乃愛はかろうじて受け止めてたたらを踏む。
「きゃぁっ、なんでっ!?」
ヴェイグの背から伸びる黒い糸、それに乃愛が気が付いたとき、背後から円月輪が飛来していた。

●リア充は消毒だぁぁ!!
野太い叫び声が聞えた瞬間、乃愛の背後から飛んできた円月輪が粉々に爆破される。
乃愛が視線を巡らせると、離れた所に人影が。
ぶつぶつと呟きながらやや下を見ながら歩いてくるその男は不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)。
年齢イコール彼女イナイ歴のおじ、青年である。
「……、…ア…か?」
その挙動不審で不気味な態度はその場の全員を凍り付かせ、静武の呟きだけが辺りに聞える。
「お前、リア充か?」
静武がびしっと指差した先にヴェイグが立っている。
乃愛が相手していたヴェイグではない。
その背から、先ほどまで戦っていたヴェイグの背へと黒い糸が繋がっている。
静武はヴェイグ2人を無遠慮に睨め付ける。
「イケメン、高身長、執事、オブリビオン………、こ、こんのぉ、リア充がぁ!!」
目を血走らせて2人目のヴェイグへ突進していく静武。
迫力に負けて動けなかったヴェイグをその巨体で体当たりして弾き飛ばしどこからか取り出したガソリンをばしゃっとぶっかける。
「ひひっ、リア充は汚物だ!汚物は消毒しなきゃなぁぁ!!」
その手にはまたまたどこから取り出したか究極の消毒兵器・火炎放射器のリア充ころしが握られている。
ガソリンまみれのヴェイグを容赦なく燃やす燃やす。
声一つ上げずにヴェイグはのたうち回る。
が、体を燃やしたまま立ち上がるヴェイグ。
もう一人と繋がれた黒い糸が怪しく輝いている。

●糸を断ち切る
「これは、もしかして2人いっぺんに倒さないとだめなのかな?」
目前のヴェイグへ牽制射撃を加えながら燃えているヴェイグをチラリと見る乃愛。
「2人に繋がれた糸…、要するにリア充!纏めて消毒だぁ!」
ガソリンを掲げて絶叫する静武。
乃愛はなんだか目を合わせてはいけない気配を感じつつも先ほど投擲した槍の回収に駆けだし、それを見とがめたヴェイグが円月輪を振り下ろそうとしたところで静武の強力なタックルを受けて吹き飛ぶ。
静武、本能で猟兵仲間の動きに合わせているようだ。
「お前もしょうどくしてやるぅ~!」
いや、リア充滅したいだけかもしれない…。
ともあれ乃愛は槍を回収、静武に襲いかかろうとしているヴェイグ(燃)に弾丸を浴びせてフォローを入れる。
こちらも本能的に共闘を選択したようだ。

静武は倒れたヴェイグを引き起こしてヴェイグ(燃)の方向へ放り投げる。
お互いにぶつかって体勢を崩すヴェイグ2人。
「私の槍よ、桜咲く二つの槍よ、敵を薙ぎ払いその身を切り裂け!」
乃愛の手にはもう一本、白い桜の槍が握られていて。
2本同時に天高く投擲すれば螺旋を描くように急降下し2人のヴェイグを貫いてその場に縫い止める。
「ひゃっは~、覚悟しろリア充ども~!消毒だ~~!」
動けなくなっているヴェイグに静武の怒りを具現化した灼熱の炎が降り注がれていき、ヴェイグたちはその場で同時に消え去っていった。
お互いを繋いでいた糸と共に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

龍臥崎・まきな
【SPD】
(ナンバード化したオブリビオン…「奴」では無さそうですが…厄介である事は痛い程知っていますので…)
スキッパーカラーのシャツから覗く、首に残った傷跡をさすりつつ、周囲に注意を払う

(それにしても、〈円月輪が命中した敵を〉ですか…ならば、【当たらなければ封殺出来る】と言う事、でしょうか?)

対峙と同時に両眼で静かにUC発動

(因往推来……因果を以て天眼通を成すッ!)

現在から未来を『観る』ことで、敵の攻撃を完全に『見切る』

戦闘中は言葉を発さず、戦い方は決して驕らず侮らず。詰将棋のように、冷めた感情のままヒット&アウェイでマキリ錫杖に仕込まれた刃を居合の要領で振るい、確実に敵を一体ずつ仕留めて行く



ざっざっざ、と荒野の地面を踏む音が連なる。
猟兵という闖入者が現われたことで自尊心の虎は次々に配下たる地縛霊ヴェイグを喚び出していく。
獲物を逃すまいと虎も必死なのだ。

●未来を見定める眼
逃げる男性の背にヴェイグが迫る。
後ろを振り返って閉まったところで脚をもつれさせて倒れる男性。
ざっ、と目前に立つヴェイグは天高くに円月輪を振り上げ、びくっ、と一度だけ震えて制止したかと思ったらそのまま崩れ落ちて消滅した。
頭を庇うようにして伏せていた男性は顔をおずおずと上げるとそこには、結袈裟を掛けたスーツに身を包み錫杖を地に着く女性、龍臥崎・まきな(みづかがち・f39683)が立っている。
「行きなさい。こちらは心配無用。」
有無を言わさない威厳を感じさせる言葉を男性に掛けて振り返り追ってきていたヴェイグたちと対峙する。
「あ、ありがとうございます…っ!」
言葉に気圧されていた男性がハッと思い直ってお礼を言いながら走って行く。
まきなは振り向かないままヴェイグたちに睨みを利かせていた。

ヴェイグたちの後ろに隠れるように座る虎に気が付くまきな。
その胸に「3」のナンバーを見つけて無意識に首元に指が伸びる。
そこには傷跡が残っていた。
(ナンバード化したオブリビオン…「奴」では無さそうですが…。)
一触即発の空気の中、過去の苦い経験に思いを馳せてしまった自分に気が付いて一瞬瞑目して雑念を払う。
相手は厄介な能力持ちと理解している、油断は命取りだ。
ヴェイグを一太刀で斬り伏せたその力量を見ていたヴェイグたちは各々手に円月輪を取り出して構えを取る。
周囲へと注意を払っていたまきなはその様子を見てグリモア猟兵の説明を思い出していた。
あの円月輪には命中した相手を縛る眷属を喚び出す効果があるとのことだ。
(ならば、当たらなければ封殺出来る!)
錫杖を構え指を二本揃えて掲げ印を作り、心の中で呪を唱える。
(因往推来……因果を以て天眼通を成すッ!)
今、まきなの眼には円月輪が辿る線が視えている。
それは未来視に近いが、まきなが視ているのはそんな揺蕩うものではない。

ヴェイグの一人が牽制とばかりに円月輪を投擲する。
まきなは円月輪がヴェイグの指を離れた瞬間に錫杖を左腰に溜めるように構え姿勢を低くして大きく踏み込む。
円月輪は最短距離を飛んで先ほどまでまきなが立っていた空間を通過して飛び去っていく、と同時にまきなはすでにヴェイグの懐に潜り込んでいて投擲後の姿勢で反応できていないヴェイグの胴を仕込み杖の居合斬りで一閃。
すとんと膝をついてがっくり動かなくなって消えていくヴェイグを見もしないまま、半歩右にステップ。
背後から迫っていた円月輪がやはり一瞬前にまきなの首があったところを通過して飛んでいく。
振り抜いて横に伸ばしていた右手を畳みながら仕込み杖を逆手に持ち替えて納刀しながら左足を軸に反転、円月輪を投擲した後に接近して新たな円月輪を手にし振り下ろしてくるヴェイグに向き直る。
右足を踏み出して納刀した仕込み杖を絞って溜めるように姿勢を低くしたまきなの肩すれすれを円月輪が掠めて目の前のヴェイグの方に突き刺さる。
触手に絡まれていくヴェイグを右肘で払いのけてそのまま三歩踏み込み、その場で回転。
まきなの四歩目の位置を円月輪が通り過ぎ回転したまきなの視界の端には触手に絡め取られたヴェイグを踏み越えて飛び掛かる別のヴェイグ。
まきなは迷わず腰溜めにしていた仕込み杖を抜刀、横薙ぎにヴェイグを斬り伏せながら背を反らし顎を引く。
その首元ぎりぎりを円月輪が通り過ぎる。

離れた場所で次の円月輪を手にしながらヴェイグは見ていた。
まきなのそこに来るとわかっているような動きを。
不穏なものを感じるヴェイグは出方を伺うようにじりじりと間合いを測る。
まきなも呼応するように一息吐いて静かに構える。
ヴェイグは喋ることが出来ず、まきなは寡黙。
お互いに油断なく測り、読み、睨み合っている。
まきなの眼は因果を視る強力な物だが、それ故の欠点があって先手を打てない。
どれほど未来を結果を視ようと、起こりである因が変わっては意味がないからだ。
一方、ヴェイグからは圧倒的な技量差として感じているため動けない。
奇しくも他のヴェイグはすべてやられていてこの強敵に一人で対峙している。
何かのきっかけをお互いに待っていた。

がぁぁぁぉぉぉん!!

焦れた様な獣の咆哮が鳴り響いた。
同時に二人とも地を蹴って踏み込む。
ヴェイグは右手の円月輪を投擲するモーションを取る。
まきなはその射線をずらす様に踏み込みを半歩縮める。
しかしそのモーションはフェイントで、本命は左足先に引っ掛けた円月輪の蹴り、そしてまきなはそれが見えていない様子。
必殺と思われた蹴りが振り抜かれて、ヴェイグはその場で転がった。

仕込み杖を納刀してまきなは無感動に自尊心の虎に向かって歩いていく。
投擲を避けるためのステップではなく、蹴り上がってくる脚を斬るための動きから抜刀、脚を斬り飛ばした後にそのまま上段から斬り下ろしてヴェイグを倒したのだ。
しゃりん、と錫杖を鳴らして近づいてくるまきなに自尊心の虎は後ずさり、一吠えするとまたヴェイグが呼び出される。
(厄介ですね…。)
立ちふさがる地縛霊を突破し自尊心の虎を追うため、まきなは再び構えを取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

酒井森・興和
未だにナンバードが危険なのは変わりないねえ

お行きなさい、と
標的の人間にとにかく逃げるよう促す
彼の逃走の時間稼ぎに【かばい、救助活動】としてヴェイグの妨害と討伐
遠ければ飛斬帽を【投擲し切断】殺傷狙う
近いものは三砂で足狙い【なぎ払い】機動を奪って【追撃、怪力で重量攻撃】叩き付ける

ふむ
相棒がいるようだね?【第六感と気配感知】でペアを見定め遠敵を【おびき寄せ】るか近い敵を【吹き飛ばし】
2体を接近させた上で三砂を撃ち降ろし【集中力】で【急所突き】、もう一体へは【2回攻撃】を活用し即座にUCで喉か胸元を牙で食い破ろう

敵からの攻撃は【受け流し、カウンター】でいなすが被弾しても怪我に頓着せず淡々と狩り、攻める



「ひぃっ、な、なんなんだ、いったい…っ!」
どこに逃げれば良いのか分からず、しかし必死に脚を動かす男性。
特殊空間に囚われた以上逃げ場はないのだが、この男性の元には幸運にも助っ人が現われるのだ。

●強靱なる牙
どこまで走っても荒野が続くこの空間の中、男性には疲労の色が隠せなくなってくる。
足を取られて転がり座り込んで息をする男性に、すっと近寄ってしゃがみ込む影。
男性が驚いて大きく後ずさりをしたのを見て苦笑を漏らすのは編み笠を被った酒井森・興和(朱纏・f37018)。
「敵ではないから落ち着いて。僕も助けにきた一人さ。」
腰を上げて手を広げて見せながらゆっくり近寄って手を差し出す。
男性は手と興和の顔を見比べて、おずおずと差し出された手を取って立ち上がらせてもらう。
興和は怪我がないかを確認して一息。
「大分疲れてるね。だけど、もう少しだけ頑張って欲しい。」
ちらっと視線を横に向けると歩いてくる長身の男・ヴェイグの姿が見える。
「もう少ししたら出られると思うんだけどねえ。今はとにかく、お逃げなさい。」
そっと男性の背中を押して送り出すと、一回振り返ってお辞儀をして急ぎ足で離れて行った。

男性を見送りながらゆっくりと編み笠に手を伸す興和。
そのまま身を捩るように編み笠を投げつける、と、高速回転した編み笠は意思を持ったように空中で軌道を変え、飛来してきた円月輪とぶつかり合って興和の手元に戻ってくる。
興和が飛斬帽を掴むのと同時、ヴェイグも円月輪を掴み取って構える。
ゆっくりヴェイグと向き合う興和は、手に長柄のツルハシのような武器・三砂を取り出して構える。
お互いに睨み合い、じりじりとすり足で間合いを詰め合う。
興和が飛斬帽を振りかぶって投擲、その動作を利用して大きく速く踏み込む。
反応したヴェイグは円月輪をしっかり握り、飛来する飛斬帽を弾きそのまま振り下ろす斬撃を繰り出す。
興和は両手で保持した三砂を上段に構えて円月輪を受け流し左から切り上げる様に振るう。
ヴェイグは反応良くバックステップで躱すと即座に左に転がるようにして背後から迫っていた飛斬帽も避ける。
三砂を切り上げた姿勢の興和はそのまま飛斬帽をキャッチ、切り上げた回転を利用するように体を捩って遠心力を付けて再び投擲。
飛斬帽は地面すれすれを擦り上昇するように飛び、まだ転がった後に起き上がろうとしていたヴェイグの首筋を切り裂いた。

血飛沫の放物線を描いて戻ってきた飛斬帽をキャッチして血糊をふるい落としてすっと被り直す興和は倒れ伏したヴェイグを見下ろしていた。
「時間を稼ぐまでもなかったねぇ。でも、まだ特殊空間が解除されてないところを見ると、まだまだ居そうだねぇ。」
踵を返した興和だが、背筋に走った悪寒と殺気を感じ取って咄嗟に三砂をバットのように振りかぶる。
キンッ、と硬質なもの同士がぶつかる甲高い音が響いて辛うじて弾き返した円月輪が宙を舞う。
それを確認する余裕もなく背後・・から迫り来る殺気に対して三砂の柄尻を突き出す。
柄尻を胸に受けたヴェイグは吹き飛び地面に叩き付けられるもののすぐに起き上がる。
その首には先程切り裂いた傷が生々しく残っている。
「ふむ、相棒がいるようだね?」
興和を挟んで反対側に、もう一人ヴェイグが姿を見せた。

二人のヴェイグは垂らされた鎖同士を黒い糸で結んでいるようだ。
首を切った方は致命傷だと思ったが、動けるようだ。
同時に倒す必要があるらしいと思い当たる興和だが、どのようにしようかと左右交互に睨みを利かせてゆっくり後ずさりして視界に収めようとして見る。
が、ヴェイグたちは興和の歩みに合わせて進む事で有利なポジションを維持している。
ならばと興和は傷付いたヴェイグに狙いを定めて突進する。
傷付いたヴェイグは円月輪を投擲した後に左足を引く。
円月輪を三砂で弾き、背後からも飛来してくるのに気が付いて咄嗟に右に躱す。
躱しきれずに左腕を掠って傷を作るが興和は痛みに頓着せず、正面のヴェイグが繰り出してくるハイキックを三砂で受け止めた。
そのまま脚に滑らせるようにして三砂のピック部を胴体に引っかけ脚を踏ん張って大きくスイング、ヴェイグをもう一人の方へとぶん投げる。

空中で身を捻って姿勢制御する傷付いたヴェイグと、それを受け止めるヴェイグ。
その二人の目の前に飛斬帽を取り落とすほどの速度で移動し一瞬で詰め寄った興和と目が合う。
さっと攻撃しやすいようにお互いの距離をずらす二人のヴェイグ、興和は無傷のヴェイグに狙いを定めて踏み込むのを見た傷付いたヴェイグは円月輪を振り上げる。
興和と相対したヴェイグは円月輪を握り込んで突き出す。
興和は構わず大きく口を開けるとその顎が蜘蛛のそれへと変貌していく。
そして、三人が交錯する。
傷付いたヴェイグのガラ空きになった胸に三砂が深々と突き刺さり、興和は突き出された円月輪に頬を切りつけられながらもカウンターのように太く強靱な牙を首筋に突き立てていた。

攻撃に集中したために打ち出された三砂に胸を貫かれたヴェイグは打ち据えられた衝撃のままに後ろに倒れ込み、拳を突き出した格好のまま噛みつかれたヴェイグはその手から円月輪を取り落とす。
ギチギチ、バキボキと音を立てて強力に噛み砕く興和の噛み付きに力尽きたヴェイグはそのまま消滅を始める。
「鋏角衆、と呼ばれる我らの牙はダテではないよ。」
二人のヴェイグの消滅を見届けて、蜘蛛の顎を人に戻した興和は頬から滴る血を拭い、落ちた飛斬帽を拾って被る。
周囲を見回すが、追撃はなさそうだ。
ナンバードも限界が近いのだろう。
「ずっと走らせるのも何だしねぇ。早く片付けよう。」
興和は特殊空間の元を絶つために歩みを進めていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより



●今週の「鬱るな!鬱詐偽さん」のコーナー
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん。ただいま参上…。」
ぎこちない微笑みでお決まりの口上を述べる音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)さん。
徐々に視線が下向いてトーンが下がり最後は消え入るように呟いて…。
だがしかし!鬱詐偽さんが口上を述べた事で番組の幕は開いた!
今回の相手は、こちら!
高身長に燕尾服をビシッと着こなすイケメン、ヴェイグ……がたくさん。
ばつが悪そうに立つ鬱詐偽さんの背には被害者の青年。
ゆらりと不安に陰った顔を青年に向ける鬱詐偽さん、目を合わせられなくてどこかもじもじしつつもちゃんと気遣う。
「ええっと、安心して、私が守るから…。」
青年がちょっとびびってるのは、目を逸らしてるから気付いていない鬱詐偽さん。

何はともあれ守るなら敵を討つのがアイドルだ!
くるりとイケメンの方に視線を戻すとなんだか砂嵐が起こってる。
おまけにイケメンの周りには顔を出してウネウネする土の眷属サンドワームの群れ!
鬱詐偽さん危うし!
「あぁ、番組とは言え、あんなのと戦うの?ミミズは苦手、怖い、怖い、こわいこわいこわいこわい…。」
鬱らないで!鬱詐偽さん!
そんな鬱詐偽さんのピンチを助けるのは眷属たち。
鬱詐偽さんを慰めるようにどこからか現われて身を寄せて鬱詐偽さんを慰めるバロックレギオンの群れ。
ちょっと勇気をもらった鬱詐偽さん、恐怖でふるふる震える脚でなんとか踏ん張ってイケメンとウネウネたちに目を向ける。
「か、か、覚悟して!」
鬱詐偽さんの絶叫と共に弾かれるようにサンドワームとヴェイグに襲いかかるバロックレギオンたち。
鬱詐偽さん、恐怖で足がすくんで両手を真横に開いたポーズで立ち往生。
その間にもサンドワームは次々にバロックレギオンたちに噛まれ千切られ消えていく。
イケメンにも集団で襲いかかるレギオンたち、我らの鬱詐偽さんをびびらせた罪は重いぞとばかりに執念深く群がって噛み付き、脚を突き刺し引き裂いていく。

ふるふる立ち往生してぎゅっと目を閉じている鬱詐偽さん、突然手をぎゅっと掴まれてびくっとして目を開ける。
「あ、ありがとうございます!ずっと庇ってくれて。ここに来てからずっと追われて怖かったんです!」
涙を流しながら握手する青年には、鬱詐偽さんがずっと背に庇ってくれてた様に見えていた様です。
「え、あ…、まだ危険だから、帰り道、気をつけて…。」
やっぱり目を合わせられないけど、青年は涙を拭いながらこくこくと首を縦に振っている。
「人助けするアイドルなんですね。これから応援するんでがんばってください!」
満面の笑みを見せてから手を振って去って行く青年。
ぽかんと見送る鬱詐偽さん。
握手していた手を見つめながら、心の奥底に少しばかり温かい物を感じる鬱詐偽さんでした。

今週も人助けをして、おまけにファンが増えたよ、やったね、鬱詐偽さん!
我々はこれからも鬱詐偽さんの活躍を待ち望んでいる!

成功 🔵​🔵​🔴​

ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!



●決勝点を決めろ!
「にぃちゃんにぃちゃん?よく無事やったな!」
疲労困憊で彷徨う被害者の青年にフレンドリーに話し掛けるウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)。
その人好きする明るい笑顔を向けられて青年は力が抜けたのか膝から崩れ落ちた。
「外まで案内したげるから安心してや?……、ちょっと待っとって。お客さんみたいや。」
青年が振り向いた先で、ヴェイグが腕を大きく撓らせ体を回転させるように円月輪を投擲していた。

「ご挨拶や、なっ!」
ウルスラは取り出したナイフの柄を蹴り射出、円月輪にぶつけて軌道を逸らす。
円月輪とぶつかって弾かれたナイフが不自然に動いてボロボロになり崩れていった。
「うわ、あれ触ったらあかんのか…。そっから動いたらあかんで!」
青年に言い置いてさっと離れた場所に走り込む。
戻ってきた円月輪を手にしたヴェイグはもう一度投擲体勢。
二人の得意距離は噛み合っている状態。
なら不意を突くには…、
「近寄るんでなく、引き寄せるって方法での接近もあるんやで?」
ウルスラは体を大きく使った回転からその場で蹴りを繰り出す。
それはサイキックエネルギーを生み出し空気を切り裂く斬撃波となって投擲体勢の無防備なヴェイグに襲いかかる。
「!?」
無口なヴェイグが目を見開く。
斬撃波に晒され刻まれた瞬間にウルスラが眼前にいるからだ。
「いらっしゃ~いっ!」
しゃがみ込んで足払い立ち上がりながら背中を真上に蹴り上げ利き足を大きく後ろに下げて溜めを作りサイキックエネルギーを十分に蓄えたら斬撃波を纏った必殺シュート!
あたかもボールのように扱われたヴェイグは強烈なシュートを食らって吹き飛んで岩場に激突、そのまま倒れ伏して消滅していった。

「おっしゃっ!ゴール♪」
ゴールパフォーマンスを決めるウルスラ。
「もう大丈夫や。ほら、あそこから抜けられるから気をつけて帰りや?」
ニッと笑いながらサムズアップ。
ありがとうございます、と何度も頭を下げながら特殊空間から脱出していった青年をウルスラは満足そうに見送ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『自尊心の虎』

POW   :    臆病な自尊心と尊大な羞恥心
全身を【肥大しつづける無数の虎の頭部】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【プライドを傷つけるような行為】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    個人情報特定電流
【全身に帯びた電撃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【SNSのIDとパスワード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    承認を求める虎の群れ
自身が【屈辱】を感じると、レベル×1体の【燃え盛る毛皮を持つ虎】が召喚される。燃え盛る毛皮を持つ虎は屈辱を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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●肥大化したエゴと渇望
「おいおい、やめろ、お前たち人を救うのが使命だろ?なんで俺を助けてくれない!あいつをやれないと俺が消えちまうんだっ!なぁ、だったらあんたたちでいい!俺を助けてくれよ!」
虎は焦っていた。
自分は強い、虎は強い、みんな自分のために捧げなければならない。
虎の姿になったときに忘れてしまった。
なんで強くなりたかった?なんで誰彼から尊重されたかった?
わからない、おぼえてない。
だが、俺は誰かを食わないと消える!だから、俺は食う!
俺は強い、強い、強いんだっ!
その虎は、虚勢の塊のようにしか見えないだろう…。
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします

・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います


あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇

同伴者がいる場合は同伴者を支援するよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持ちます

単独で戦う場合は敵の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
仲間達に危害を加えるような行動はまず取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選びます
任務に関わる人達の笑顔を取り戻す為に全力を尽くします

指定したUC以外への変更及び演出的なUC複数発動も可
采配はMS様にお任せします

闘気刀や精霊光照射を使用時は体への負荷が甚大
(真の姿で安定して使えるレベル)

圧勝・苦戦からの勝利等、どんな演出も可


レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
 人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
 普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。

 ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●自尊心に支配された者
「さぁ、誰でも良い、俺を助けてくれ!」
人の言葉を叫び、体のあちこちから無数の虎の顔を生やして吠える自尊心の虎。
彼はすでに「自分は絶対強者」のはずなのに「助けてくれ」と自尊心に大きなダメージを負っている。
なぜなら、消滅が迫っているからだ。
自尊心を保つ余裕がないのに、自尊心が傷付いて暴走する哀れな存在がこの自尊心の虎。

叫び散らかす自尊心の虎の前に4人の猟兵が立つ。
「あなたは罪人ですか?」
ボディスーツに身を包んだピンク色の髪が美しい人狼の女性、架空・春沙(緋の断罪・f03663)は静かに問う。
「俺が罪人?なぜ?俺は強いんだ。みんな俺に従って、俺に奉仕するのがルールだろ?」
苛立ちを露わに自尊心の虎が唸る。
「自らの姿を虎にしてまで他人に強いと見せつける。歪んだ考え方ですね。そして実際に誇示したのでしょう?」
相手が凍り付くほどの冷たい光を宿した瞳で虎を見るレイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は冷静に分析する。
「現に、狩りみたいな形で犠牲者を追い詰めていました。その一点でも断罪に値するかと思います。」
腰に下げた刀をいつでも抜けるように構えながら鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は一歩前に進み出る。
「難しい事はわからないけど、気に入らねえ奴をぶっ飛ばせばいいんだろ?だから俺は悪いやつはぶっ飛ばぜ!」
威勢良く見得を切るのは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)。
「お前ら、俺と戦うのか?俺は強いぞ?ひれ伏した方がいいぞ?ああっ?」
牙を剥きだして威嚇する虎の体にはさらに顔が増えていって醜悪さが増してくる。
だがここにそれを恐れる者はいない。
「仕方ありませんね。あなたを処刑しますね。懺悔は…死んでからどうぞ。」
断罪の緋鎌を構えた春沙の言葉を合図に、猟兵たちは各々地を蹴る。

真っ先に攻撃を仕掛けたのは柳火だ。
爆符『烈火乱れ咲き』を取り出して素早く投擲、自尊心の虎に生えている頭の一つに命中して爆裂する。
虎の苦悶の声が響く中、爆煙で視界が塞がれている間に春沙が踏み込みと同時に大釜を振るう。
切っ先から緋色の衝撃波が発生して虎を、頭たちを余さず打ち据えていく。
爆煙の中からはじき出された虎が数回転がってからバッと立ち上がり体勢を立て直す。
「よくもよくもよくもっ!」
強さに溺れる虎はやられた屈辱に目を血走らせて吠える。
その叫びに呼ばれたかのように燃え盛る毛皮を持った虎が無数に召喚される。
それらは真っ直ぐに柳火と春沙に向かって走り襲いかかろうとする。
「させませんよっ!」
燃え盛る虎たちの前にひりょが割り込む。
「幾多の精霊よ、かの者に裁きを…破邪顕正!」
ひりょが呪文を唱えるとひりょの持ち物が一斉に輝きを放ち出す。
それが束になって対魔の力を帯びた波動を拡散していく。
その波動に飲み込まれた燃え盛る虎たちは弾かれ、屈辱という名の邪気を払われて戦意を喪失して毛皮の炎が消えていく。
「それが本気ですか?消えてしまっては寒いでしょう。」
レインは手袋を外す。
すると手の甲に亀裂が走り地獄の炎が吹き上がる。
それをまるで庭園に水を撒くかのように戦意喪失した虎たちに振りかけて焼き払っていく。
喚び出した僕たちがよりにもよって炎で倒されていく姿に、自尊心の虎は怒りの咆吼を上げて顔を増やし猟兵たちに走り寄る。
飛びかかる虎の正面に躍り出て刀で押しとどめるひりょ。
すかさず脇から飛び出して緋鎌で切りつける春沙。
ひりょと春沙の息の合った蹴りが炸裂してよろめいていた虎は後方へ弾かれる。
そこにはいつの間にかレインが立っていた。
「あなたも仲間はずれはさみしいでしょう?」
地獄の炎を被せ、燃え上がる虎はのたうって消化を試みるも紅蓮の炎は身を焼き続ける。
「オラァッ!! トドメだっ! 喰らっとけよ!折角の大盤振る舞いなんだからよ!」
名刀『マタタビ丸』を大上段に構えて飛び上がる柳火。
チャンスを待ってとっておきの力を解放する。
「オラオラオラオラオラァァ!!」
オーバーロードさせた柳火の妖力を注ぎ込んだマタタビ丸で虎を滅多斬りにする。
生えていた無数の顔を切って切って斬りまくる。
そして、妖力に耐えきれなくなったマタタビ丸の刀身が砕け散ると、その隙を突いて虎は脱兎の如く逃げ出していった。
「ちぇっ、逃げられちまったぜ。…ありがとな、マタタビ丸。」
悔しげに逃げる虎を見失った柳火は柄だけになったマタタビ丸を額に掲げて感謝の祈りをした。

「処しきれませんでした。仲間のみなさんにお任せですね。」
「自尊心に呑まれた相手など、あの程度の者ですよ。」
柳火と同じく悔しさを滲ませる春沙の肩をそっと叩いて慰めるレイン。
二人は顔を見合わせてにっこり笑い合った。
「無事に討伐されれば良いですけどね。逃げ足が速い相手でしたし。」
刀を鞘に収めながらひりょが3人に向き直る。
「大丈夫大丈夫。悪は最後は滅びるってね!さ、俺たちは帰ろうぜ!」
ぶんぶん手を振る柳火に一同は笑顔を向け合ってからその場を立ち去っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。


パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。
基本は隠密行動。
空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて攻守両方に利用し、敵の行動を阻害したところに穢れを知らぬ薔薇の蕾を併用して行動を封じる、もしくはそのまま糸で切り裂くのが主な攻撃方法。
もしくは徳用折り紙で作成した折り鶴を筆頭に折り紙動物たちをけしかけてのかく乱兼攻撃を行う。
敵UCは古竜の骨のマン・ゴーシュで受け流す。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
好奇心旺盛ではあるが、行動は慎重。
お宝は勿論素材になりそうな物も出来る限り確保しエプロンのポケットに格納する。
もふもふは抵抗できないよう拘束してもふる。

アドリブはご自由に。



●他者を糧には生きられない
「なんで、なんで俺はあんな奴らに負けたっ!消える、消えるのか俺!いやだ、いやだいやだいやだっ!」
猟兵たちにやられて自尊心の虎は完全にパニックになっていた。
すでに強者としてのプライドはズタズタ、自身を爪で引き裂きたいくらいに内心はぐちゃぐちゃになっている。
そんな自尊心の虎の目に入ってくる、おいしそうな獲物があった。

「あなたがナンバードっていうオブリビオンですか?ずいぶんボロボロですね。」
火傷や切り傷、焦げた毛皮を見ながら小児科医を務める春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が眉をひそめた。
「可愛くないわねぇ。」
その背からふわりと飛び出したのはパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)。
こちらはもふもふが見る影もない上にとてつもない陰のオーラを出している虎に不満たっぷりな様子。
「うるせぇ!お前ら、ちょうど良いから俺の餌になる権利をやる。ありがたく思え!」
高圧的に吠える自尊心の虎の言葉に、遙とパルピは思わず顔を合わせてしまう。
「ええっと、すみませんが負ける気はないですよ。」
「えぇ、君なんかすぐ倒しちゃうから!」
申し訳なさそうに答える遙とその場でパンチを繰り出しながら言うパルピに自尊心の虎は激怒。
遠吠えを上げて全身に電撃を纏い始める。

「何を言うか、ちびめっ、しね!」
血走らせた目でパルピを睨み付けて吠える自尊心の虎はそのまま纏った電撃を放つ。
「そんなの届かないよ。」
ふふんと胸を張るパルピの言葉通り、電撃はパルピの遥か手前で見えない何かに当たって拡散、電流が奔った一瞬だけその全容が見えた。
姿を見せる前に仕掛けておいた雨紡ぎの風糸に電撃は落ちていたのだ。
「援護します。」
遙は手裏剣の形に折った折り紙を大量に投擲、それは回転数を増して自尊心の虎に突き刺さる。
それを見たパルピ、ちょっと目を輝かせて自分も折り紙で蝶を折って飛ばす。
折り蝶は自尊心の虎の周辺をふわりと舞って苛立たせ目を引き付ける。
そこに大量に飛来する折り鶴の群れ。
遙とパルピの二人が大量に折って飛ばしていく。
折り鶴は虎に体当たりを繰り返す。
ダメージはないが虎は折り紙に群がられてまた帯電して焼き払おうとする。

「舐めるなぁ!」
放電、虎に群がる折り紙は焼け落ちて行くが放った電撃は虎に戻ってきた。
「道具は使い方次第よね。」
遙にウィンクするパルピ、実は折り鶴に雨紡ぎの風糸を繋いで操り、密かに虎を縛っていたのだ。
「本来は補助に専念しているのですが、今回は特別です。死者を穿つ礫は天地に広く降り注げ。」
遙は拳銃を抜き放ち、雨霰と弾丸を撃ち込む。
その弾幕に動けない虎は撃ち抜かれていく。
「ぐ、きえ、る…。おれ、が、きえる…。」
自尊心の虎は信じられないというように呟きながら、消滅していったのだった。

「やったね。それに、同じ技使う人と一緒なんて思わなかったよ。」
うれしそうに飛び回ってみせるパルピ。
「えぇ、偶然ですけど、こういうご縁もいいかもしれませんね。」
すっかり元通りの街中の景色となっている事も確認して、二人は微笑み合った。

こうして、ナンバードの一体は討伐され、犠牲者も防ぎ、猟兵たちは任務に成功した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年05月02日


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#シルバーレイン
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#戦後
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#ナンバード化オブリビオン


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト