三上・くぬぎ
ジャスパーさん!
くぬぎ、前にジャスパーさんが言ってたモンブランのなる木、見てみたいですー!
そんな感じの動機で、くぬぎのアリスラビリンスおでかけ話をお願いします
こちらでチラッと出てきた話題です
【 https://tw6.jp/club/thread?thread_id=112303&mode=last50 】
内容はおまかせします。スイーツが生らない時期だったから違うことをする、とかでもOK。くぬぎは何でも楽しみます
食べ物の好き嫌いはありません
人間用のサイズでもペロッと食べきります
不明点は全ておまかせします
短めでも構いません
以上でよろしくお願いします
切欠はこんな一言だった。
「ジャスパーさん! くぬぎ、前にジャスパーさんが言ってたモンブランのなる木、見てみたいですー!」
不思議の国での出来事をごく当たり前な様子で語るジャスパーの話を、三上・くぬぎはお花いろの耳をぴんと立てて聞いていたものだったから。
わくわく顔で提案してから、あっと目を丸くした。
「もしかして今は“じき”じゃないですか?」
モンブランなのだからやはり栗の時期にしか取れないだろうかと思うくぬぎに。
「うんにゃ、一年中生えてる」
ケーキ屋みたいなもんだし、と首を横に振るジャスパー。
「そうだなあ、しばらくぶりだし行ってみっか」
「やったー! 楽しみですー!」
スマートフォンの転送アプリをクリックすれば、グリモアの力があっという間に世界の垣根を超える。
辿り着いたのは小さな森。
「正確にはな、モンブランそのものがなってるわけじゃなくて、実なんだ」
「実ですか?」
「そう」
つかつかと歩いていくジャスパーにくぬぎもくっついていく。よくよく見ると、そこらの木にはみんな卵のようなころんとした実がぶら下がっていた。パステルカラーの実は、それぞれの木ごとに様々な色や模様をしている。
「なんだかイースターのたまごみたいです!」
「それそれ。最初UDCアースに来た時、こっちにもフロウの実があるんだって思ったぜ」
「フロウの実っていうんですね!」
「木ごとに色や模様が違うだろ。それぞれ中身が違うんだよ」
「中身ですか?」
「そう。たとえばこれ」
と、ジャスパーは手短な実をもいで固い殻にハンマーをぶつける。
(「本当にたまごみたいです」)
中身を覗き込むくぬぎが、途端に目を輝かせた。
「! チョコレートです!」
そう、中には小さなひとくちチョコレートがぎっしり!
「食うか?」
「いいんですか?」
「誰のものでもないからな」
「ありがとうですー!」
ひとくち食べれば甘い香りが口いっぱいに広がって、ほっぺたが落っこちてしまいそう。
ジャスパーもチョコを口に放り込んだ。
「モンブランの木まではちょっと歩くからな」
「どうやってどれがどの木って見わけてるですか?」
木ごとに色や模様が違うのはわかったが、それそのものが中身を示しているようには見えない。
「俺はこの辺は庭みたいなもんだから覚えてるけど、そうでない場合は――」
『あら、ジャスパーじゃない!』
「お、丁度いいタイミング」
どこからか聞こえる声に、くぬぎは不思議そうに辺りを見回した。
「だれもいないです……?」
『こっちよ、こっち』
声はふわふわ宙に浮くくぬぎよりもずっと下の方から。見下ろしてみるも、小さな花が風に揺れているだけ。
くぬぎが首を傾げていると、花が葉っぱをぴんと立てた。明らかに風とは無関係な“仕草”だ。
「もしかして、お花がしゃべってるです!?」
かわいい! と目を丸くするくぬぎに。
『あら、あなたこそとってもかわいいわ。あの噂は本当だったのね』
ね~、と花は隣の花と頷き合っている。
「噂ってなんだよ」
『ジャスパーがとっても可愛い子と結婚したという話よ』
ジャスパーが盛大に噴き出した。
「違う違う、こいつは仕事先の友達! それは別のヤツ!」
『という事は結婚したのは本当なのね?』
「その話は後! 俺らモンブランを食いに来たんだよ、くぬぎが初めてだから道を教えてくれよ」
『なあんだ、つまんない』
ぶすくれながらも花は葉っぱで道のりを地面に書き出した。
「サンキュ」
『帰ってきたらお話きかせてね!』
「ま~気が向いたら」
そそくさと離脱するジャスパー。
「全くあいつらの噂好きには参ったもんだぜ」
「でも、とってもやさしいお花さんたちですね!」
「あそこから動けねえから人の話に飢えてるんだよ」
うんざり顔のジャスパーにくぬぎは微笑んだ。
「たしか、このおかのてっぺんに、水色の実がなる木が――」
指差した先。
「あったですー!」
小さなくぬぎの胴体ぐらいはありそうな実を割ると、中にはクリームがはみ出そうなほどのモンブラン!
「いただきますですー!」
持参したスプーンで食べると、濃厚な甘味と栗の香りが脳天を突き抜ける。
ジャスパーも食べながらちらりとくぬぎを見た。明らかに身体が小さいのに、ジャスパーと変わらない速度で減り行くモンブラン。そして。
「ごちそうさまですー!」
ぺろりと平らげたくぬぎの見た目は何も変わっていない。
「……異次元に繋がってんのかな」
エイツア七不思議と勝手に脳内で命名した。
「折角来たし他にも食ってく?」
「他にはどんなのがあるですか?」
「スイーツも勿論だし、ラーメンとかハンバーグとか」
なんとちゃんとほかほか状態で出てくるのだという。
「どっちも大好きです!」
食べたいのも勿論だし、その不思議さを味わってみたくてくぬぎは声を弾ませる。
「じゃあ今日は食い倒れツアーって事で」
楽しい一日は、まだまだ始まったばかり!
成功
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