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みかん狩り?いいえ、邪神狩りです。

#UDCアース


「すみません、UDCアースで邪神召喚儀式を予知したので、皆さんのお力を貸していただけないでしょうか?」

 簡潔に猟兵達に力を貸すよう頼んだのは、クリスタリアンのグリモア猟兵、ネオン・エルバイトであった。予知の内容と現場の情報をまとめた手帳を開きつつ、自身の声に反応した猟兵達に頭を下げる。

「最大の目的は邪神の召喚儀式の阻止ならびに、不完全な儀式で形作られる邪神の排除です。
 召喚儀式がどこで行われるのかは見ることができなかったのですが……この召喚儀式の生贄を獲るため、邪教の教団員がとあるイベントで呪物をばらまこうとしているのがわかりました」

 ネオンは手帳にはさんでいた一枚の紙を広げる。
 A4サイズの、薄ピンク色をしたコピー用紙。そこに印刷された物は、日常を一歩抜け出しただけの微笑ましい祭りの告知だった。

『わくわく オオグマみかん農園 みかん祭り!
 (みかんにデフォルメされた目と、棒のような手足を付けたキャラクターが一つだけ描かれて、その横に吹き出しが付いている)
 「みんなで ぼくを たべに きてネ!」
 にちじ:12月*日 ばしょ:オオグマみかん農園』

 全体的にゴシック体と太い線で構成された告知に生温い表情になる者もいる中、ネオンは詳細の説明に移る。
 狙われるのはみかん農園がこの時期に開催するみかん狩りイベントだ。この告知は初回開催からずっと変わらず、見てわかるとおり元々は小規模なものだった。
 しかし、年々近隣地域での知名度は高まり、去年は100人以上もの動員を記録。増える動員数に農園のみでは人手が足りなくなってしまい、今年からは規模をいくらか拡大してスポンサーを募ったり、イベント用人材派遣会社も動いているという。
 それでも大規模イベントほどの大きさではない。今回のイベントの会場となる主な場所は、みかん畑1ヘクタール。それと受付ならびに鋏などの道具返却場所として、小さな土産物屋が使用されている。

「問題は、このイベントにどのようにして教団員がかかわるかという点ですね。
 スポンサー会社の試供品をイベント会場内で配ることになっているのですが……その試供品のいくつかが呪物に変えられているみたいです。
 あまりに違うものを渡すとすぐにばれるので元々の試供品を改造して制作しています。しかし、手を加えた以上は通常のものとは何らかの違いがあるはずです。
 ……こちらが、通常の試供品の現物です。召喚時にお一人に一つづつお渡ししますので、呪物の発見にお役立てください」

 ネオンはそう言いながら試供品のウェットティッシュを取り出した。水色の光沢があるパッケージで、表面には商品名とメーカー名のみ。裏面には成分表が白く抜いた四角の中に納まっている。取り出し口は圧着された部分に切れ込みが一つ入っているだけで、一度開けたら保存は効かなさそうだ。

「呪物には生贄に適した人物が手に取りやすくなる誘惑と、連れ出すための催眠が仕組まれているようです。
 つまり呪物を回収してしまえば生贄で犠牲になる人は出ず、敢えて呪物の示す方に向かいさえすれば儀式を行っている場所まで連れて行ってくれるという事ですね。
 今回の事件の解決のため、UDC組織に協力を依頼しています。皆さんがイベント内で自然に紛れるために、参加者用の鋏と持ち帰り用の袋、スタッフ用の腕章、このあたりを主催の農園とかけあって用意してくれたみたいです。農園側に対する偽装説明も行ってくれましたので、多少強引な手法になっても誤魔化せます。思いついた方法を自由に試してくださいね。
 僕はUDC職員さんと農園内の入り口付近にいますので、追加で何か必要な時はお声かけください」

 ネオンは手帳を閉じて、猟兵達に向き直る。

「改めて……邪神の召喚を阻止するため、ひいては楽しい時間を過ごしているはずのたくさんの方々を守るためにも、皆さんの力を貸してください。どうか、よろしくお願いします」


碧依
 こんにちは。碧依と申します、よろしくお願いします。

 今回はUDCアースでの邪神の召喚阻止シナリオです。序盤は呪物を回収して生贄が出るのを阻止するという内容になっています。
 割とどのような内容でもOKですので、思いついたことをどんどん送っていただけると嬉しいです。
 皆様の自由な発想をお待ちしています。
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第1章 冒険 『イベント会場での生贄剪定を阻止せよ』

POW   :    怪しいやつに力づくで話を聞く。理由をでっちあげて持っている人から回収する。

SPD   :    会場内を細かく探す。周囲のようすを見て怪しい部分を探る。

WIZ   :    出所や渡されていそうな人を推理する。会話により警戒心を解く 。

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ヘンリエッタ・モリアーティ
【SPD】
……みかん狩り……。
なんだか、こんな平和なお祭りで邪神が本当に出てくるのかな……。
え、えーと……【自我重複】で【ルビー】を呼ぼう。人手はあるほうがいいし……。
『――あら?随分とおだやかな――そうでもなさそうですね』
……とりあえず、私とルビーで細かく探そう。ええと、じゃあ――
『私は、会場内のごみを拾ったりいたしましょうか。職員さんっぽく。営業スマイルなら得意ですし。何かあれば腐ってもUDCエージェント、【記憶消去銃】も持っていますしね』
う、うん……じゃあ、わたしは、ごみ箱を見てみようかな、もしかしたら誰かが使用した後とかも、あるかもしれないし。
ないといいけど……。
(アレンジ歓迎です。)



空は冬の空気に染まった薄青。目の前には枝を広げて実をつけるみかんの木々。そして時折聞こえる嬉しそうな子供の声。たまに聞こえる「畑の中でみかんを食べないでください!」という注意の声。
 あまりの平和な空気に、ヘンリエッタ・モリアーティは少々戸惑っていた。

「……みかん狩り……こんな平和なお祭りで本当に邪神が出てくるのかな?……まずは、人手が必要だよね」

 ヘンリエッタはユーベルコード、自我重複を発動して援護特化の人格であるルビーを呼び出す。
 呼び出されたルビーは、周囲を見渡してから、何をしたいか問うようにヘンリエッタを見た。

「……とりあえず、私とルビーで手がかりを細かく探そうと思って……えーと……」
『私は、会場内のごみを拾ったりいたしましょうか。スタッフ用の腕章はありましたよね?それをつかえば職員と思われて警戒も抱かせないでしょう。営業スマイルも得意ですし、何か起きたとしても記憶消去銃で何とかなりますしね』

 内容を即座に思いつけないヘンリエッタを促すように、ルビーはハキハキと自身の行動を伝えると軽快に立ち去ってしまった。
 ヘンリエッタは自分のついていけない自分の姿をちょっとしょんぼりと見送りながらも、ゴミに呪物がまぎれていないかと、ゴミ箱を探すことに決めた。
 ――数分後、農園内のいくつか目のゴミ箱を探っていると、背中を小さな手がポンポンとたたくのに気付く。ヘンリエッタが振り返ると、一人の老婆が慈しむような目で彼女を見ていた。

「えっ?な、なんでしょうか?」
「お嬢さん、さっきもゴミ拾い頑張っていたでしょう?きれいなのにずっと頑張っててすごいなと思ってねぇ……ほら、つかれていない?汗ふくかい?」

 そういって差し出された老婆の手にあるウェットティッシュは、ヘンリエッタが召喚時に渡されたものとの差異が明確に見て取れた。裏面側にあるのは成分表だけのはずだが、奇怪なマークがそこに沿えられるように書き記されているのだ

「あ、ありがとうございます。ごめんなさい、使わせてもらいますね」
「いいのよぉ~あ、そのカラはおばちゃんがもっとくからねぇ」
「いえ、いえ!回収が私の仕事ですから」

 その後もしばらく続いた老婆との押し問答は続いたが、最終的には相手も納得の上で呪物となったウェットティッシュを回収できた。
 思っていなかった方向ではあったが無事に事が進み、ヘンリエッタはほっと息を吐く。

「ルビーと二人で動いたから、だよね……うん、よかった、かな?」

成功 🔵​🔵​🔴​

ライカ・モンジ
まー配っちゃってる分は仕方ないとして、まだこれからの配布分は回収しちゃいたいよねェ。

普通の試供品の在庫と混ぜてる可能性は超薄いだろーなあ、と思いつつ今ウェットティッシュ配ってる人に接触~。(スタッフ腕章装着ぅ)
あ、なるべく人目少ないとこ意識してさり気なく連れ出しちゃう。

「試供品の配布場所と配布スタッフ、変更になったって伝達聞きましたあ?交代要員で~す。」
素直に応じてくれるならシロっぽいけど、露骨に「なんで?」って訝しまれたり拒否・相手が露骨にアヤシ~場合のみ、ちょい力ワザだけど『謎を喰らう触手の群れ』使っちゃう!ごめ~ん、持ち物検査させてもらいまァ~す♪

口調の緩いギャル言葉使用、アドリブ歓迎



「配っちゃってる分はしょーが無いとして、これからの配布分は回収しちゃいたいよねェ」

 ライカ・モンジはスタッフ腕章を付けながら、思考を回す。
 やる気なさげにウェットティッシュの入っている小さ目の段ボールを客に向ける男性と、そこから最も近い目立たない場所を頭の中でつなぎ終わってから、男の元に足を運んだ。

「ちょっと~、そこのおにーさん?」
「あ、はい。なんです?」
「ちょっと"コッチ"側の話があるんだけど、ついてきてもらってイイかなー?」

 ライカはつけた腕章をちょっとつまんで、男に暗に『運営上の話がある』と示す。男は首をかしげながらも、素直にライカについてきた。あまり女性経験がないのか、若干舞い上がっているのがわかる。
 そして、ライカは少々人目に付きづらい土産物屋の倉庫裏手に男性を連れてきて、一対一で向き合った。

「そ、それ、で?なんですか?」
「実はね~、試供品の配布場所と配布スタッフ、変更になったの~。伝達聞きましたあ?あっ、アタシは交代要員で~す♪」
「えっ?流石に変更多すぎじゃないか?」

 男性の言葉に、ライカは手がかりの糸口を得る感触をつかんだ。

「それが変わっちゃったんだってば!ね、給料は一日やるのと同じだけ出すし……あんま気にせず、変わってくんないかな?」

 ライカは、少し真剣そうな表情を作って、男性に問う。男性も、ライカの態度が軽いものから真剣なものになったことで、何か理由があるのだと察することができた。

「わかった、交代しよう」
「ありがとー!あと、この試供品の事で気になった事とかある?」
「ああ……俺は前日に配るものと配る時のマニュアルをよんでたんだが、今朝になって急に渡すマニュアルが変更になったんだ。本当は一つづつ差し出すはずが、段ボールに入ったまま客に選ばせるようになった。しかも急に数が増えるし……全部捌けっていうし……」

 急激な変更による荒みを思い出したのか、男性の気持ちが沈むのがわかった。
 ライカはそれを慰めながらも、配られていなかった多くの呪物を一気に回収できたことに内心ガッツポーズをとっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天使・灯夜
みかん祭りか…祭りなんていつ振りだろう、懐かしい響きだ。
楽しいイベントを邪神召喚に利用するなんて許せない…生贄を出さないように、事を荒立てず速やかに呪物を回収したいな。
目的【SPD】
参加者としてみかん狩りをしつつ、辺りを観察して、ハサミを戻す時に土産物屋の中も何か無いか確認する。
もし怪しまれた場合は、話すのはあまり得意じゃないから多少こじ付けでも理由を付けてその場から立ち去る。
呪物を発見した場合は、速やかに回収を試みる。
おれは力も知恵も無い…自分の出来る事だと判断すれば、手段は厭わない性格だ。
手掛かりに繋がりそうな事なら自らを顧みず行動に出るかもしれない。


神原・響
イベント警備として潜り込み、試供品保管場所などで怪しい人物がいないか観察する。
怪しそうな人がいれば積極的にコミュニケーションをとっていく。
SPD+コミュ力5+催眠術1


ライカ・モンジ
受け取っちゃった人の炙り出ししなきゃ!
あんまし広い会場じゃなくて助かるぅ…一緒に参加中の猟兵にも情報共有〜!

会場内に放送用スピーカーか目立てそうなイベントステージとか有れば最高だけど、もしそゆのが全然無ければネオンくんにマイクとスピーカー使えるようにオネガイ!
目立てそうな場所に即席ステージ作って(施設・設備ある場合はそれつかう〜)
来場客なるべく多くの人に向けてマーク付き試供品はサプライズイベントの当選の印である旨、持ってるラッキーな人は今すぐ受付で景品(みかん1年分とか!フォロー求!)貰える旨伝えて誘導
アドリブ司会おねーさん頑張っちゃう〜イェー!

みかん畑の方行っちゃってるお客さんのフォロー求!


バジル・サラザール
なんでミカン狩り……人を集めるのにはもってこいなのかしら。

既に回収した猟兵の人たちからも情報を集めつつ、分析と少しの「野生の勘」で渡されてそうな人を推理するわ。
……もっとも、どんな人に渡されるかって今のところ見当つかないわね。明らかに催眠かかってるなって人はともかく。

UDCからスタッフの腕章と普通の試供品をいくつか用意してもらって、
「すいません、配送の関係でちょっと開いちゃったみたいで、新品と交換してもらってます。」
みたいな感じで説得しつつ、回収していくわ。
どうしても渡してくれなさそうな人には「記憶消去銃」を使うことになるかもね。

楽しいイベントだもの、何か起こる前に解決したいわね。


琶咲・真琴
皆で楽しむイベントに水を差すのは良くないです

ボクも可能な限り、呪物の回収をするのですよ


スタッフの腕章を付けて
コミュ力全開で困っている人やイベントスタッフの皆さんのお手伝いをするのです

ウェットティッシュ以外の呪物があるかもしれないですね
そこも注意しなくては

お手伝いする中で怪しい人がいたら
その顔をしっかりと覚えて
要注意人物のリストに加えます

怪しい人が去ったら
関わっていた人に怪しまれないように声を掛けてみるのです

「こんにちはです。何をしているのですか?」

呪物を持っているようなら
譲ってもらえるように交渉

無理だったら
持っている人の顔を覚えて
こちらも要注意人物のリストに加えておくのです

アドリブ歓迎


當良邑・祈
機械の身体とは便利なものだ。
【サイバーアイ】を利用し、配られている試供品のデータをただただ蓄積していく。
試供品と呪物の差を見つけるためそれらの視覚情報を統計処理し、差異を見出す、-解析中 71%-
はずだったが人間部分に限界が来たらしい。
電子回路が結論を出す前に疲労で分析が鈍る。
最後の3割は人間としての主観で怪しいモノを決定する。

怪しい試供品を見つけたら腕章をつけ、それに対応するスタッフに声をかけ、在庫置き場に向かうこととする。
外部の犯行者がすり替えた、主催者側の悪意、スポンサー会社に黒幕がいる。
さまざまな可能性に頭を悩ませる。並列処理と多様性は人間のならではだなと苦笑いし機械の脚で歩を進める。



一人の老婆が、手提げ袋に入るだけの数個のみかんを持ってニコニコと農園を後にしようとしている。駐車場に差し掛かったところで、今日のイベントのために配属された警備員が彼女を呼び止めた。

「すみません、配布されたウェットティッシュはお持ちですか?」
「いいえー。人にあげちゃったのよ」
「ああ……なるほど。特徴的にもヘンリエッタさんの会った方ですね。ならばこちらをどうぞ」

 警備員が老婆に差し出したのは、土産屋に置いてある少々お高めの根付であった。老婆はそれに困惑し、警備員の顔とそれを見比べる。

「実は、サプライズイベントの一環だったのですけれど……イベント屋と農園側に齟齬があって一部の準備が終わっていなかったんです。なので、こうやって出てくるときに、ウェットティッシュを見せてもらったり、あるいはイベントスタッフが持っている人を見つけたら直接交換という形にしていたんですよ。もうしばらくしたら仮設ステージで呼びかけるので、その時居る方はそれでよいのですけれどね」

 普通であれば首をかしげてもおかしくはない話だが、警備員の明るく親しみやすい口調と、不思議な感覚を受ける目を見ているうちに、老婆はすっかりその話を信じてしまった。

「あらぁぁ~……そうだったの」
「そうだったんです」
「わかったわ。わざわざありがとうねぇ」

 根付を手提げ袋にしまい、手を振って外に向かっていく老婆。警備員のふりをしていた猟兵、神原・響も、そちらに軽く手を振って見送った。
 午後3時ごろ、猟兵達は響が老婆に語ったカバーストーリーに沿って行動していた。
 イベントの一部にして回収してしまうという内容の提案はライカによるもので、彼女とスタッフに扮したUDC職員、それからこれまで別に行動していた猟兵の一部が、土産物屋の近くで仮設ステージを設置していた。

「こちらに移るまでの、あなた方の行動はどのような感じだったのですか?」

 當良邑・祈は設置を行いながら共に行動している猟兵達に話を振る。しかし、何から話そうと少し黙ってしまった彼らの空気を鑑みて、己の行ったことを語り始める。

「問うた私から言うのが正しいですね。私は、サイバーアイで試供品のデータを蓄積することで呪物と通常品の差異を発見しようとしていたのです」

 祈は、当初は来客が手に持っているものを優先して見ていたのだが、スタッフが箱ごと差し出しているのを見つけたので、選ぶふりをしてその中にある呪物の調査を行った。
 とはいえ、ウォーマシンのような完全機械ではない彼女の人間部分がサイバーアイからの情報全てを認識しきれずにいたため、最終的にはカンも手伝ったのだが……明確な情報を得ていたことにより発生した違和感で、箱の内部に呪物があるのを発見したのだ。
 
「呪物の実物があれば、後は見比べるだけで在庫内の呪物の確認が可能です。なので、隠し持っていた腕章をみせて『実は追加スタッフであり、製造ミス品が紛れていたためそれを探している』との説明を行いました。他の在庫内のチェックをしたいと申し出て倉庫に案内して貰い、ここに呼ばれるまではずっと試供品のチェックを行っていました」

 結果としては確実に呪物を配り切る為か、ライカも聞いた通り配布のスタッフが持つ最初の箱にしか呪物は無かったのだが、それでも倉庫内の他の試供品は安全である事の確認は彼女によって取れたのだ。

「……ボクは、ウェットティッシュじゃない形の呪物があるかもとおもって、注意してスタッフにまじっていたのです。でも、そういったものを発見するより先に、スタッフにも呪物を持っている人が居るのに気付いたのです。だから、そちらを回収していました」

 琶咲・真琴はスタッフとして働くことで、来客だけでなく同僚のスタッフの様子も見ていた。スタッフの中でも、生贄の適性がある者が、配る物であるとわかっていながら呪物を手に取ってしまっていた。真琴は呪物に惹かれて配るはずの試供品を手にしたという後ろめたさを、あやしい挙動として見抜き、にこやかに話しかけて警戒心を解くことで無事回収したのだ。

「本当はそんなことする人じゃなくても"手に取らせる"という誘惑とか催眠とかが働くみたいです。楽しみに来たお客さんだけじゃなくって、真面目にお仕事している人も変な気持ちにさせるなんて!」

 少々怒っているように見えるのは、彼の優しさからくるものだろう。
 小さい子供である真琴のお手伝いに、イベント会社から派遣された人々は優しくしてくれていた。子供を大切に扱える人達が利用され巻き込まれているという事が、彼に悔しい思いをさせたようだ。

「本当に、皆で楽しむイベントに水を差すのはよくないです」
「ええ、そうね。本格的に何か起こる前に、解決したいわね」

 バジル・サラザールも頷く。彼女は、来客への声掛けを行いつつ呪物を回収するつもりでいた。召喚時にカバーストーリーが出来たことを聞き、通常品と呪物の交換時に景品も渡そうと、景品となるものを預かりに来ていたのだ。
 他の猟兵との情報交換も行おうと考えた彼女は、真琴に気になったことを問う。

「ねえ、真琴ちゃん?もしかして、呪物を持ってた人って特別優しい人だったかしら?」
「はい、そうです。だからこそ利用されたことが悔しくて」
「優しい人や善良な人がターゲットになっているのかもしれないわね。早いうちに回収できたというのも、おばあさんが頑張っている猟兵をみて気遣ったからって話だったから……私は、そういう感じの人を探してみることにするわ」

 実際に呪物を持っているかどうか見抜くのは自身の野生の感頼りになるが……それでも方針を得たバジルは交換用の試供品と景品を持って、みかん畑の方へと移動した。
 みかん畑に出た彼女は、スタッフにまぎれて来客たちを観察する。そうしているうち、一人の少年に声を掛けている男性を発見した。

「しゃがんでいたけど、気分でも悪いのかい?大丈夫?」
「大丈夫……です」
「そうかい?無理はしないようにね?」
「……ありがとう、ございます」

 バジルは目当ての人物を見つけたと感じて、男性に声を掛ける。彼はやはり呪物を手にしていたが、それはみかん狩りの最中に落ちていたものを拾ったということであった。

「すみません、実はそちらはですね……」
「いえ、拾っただけですから」
「それでもラッキーはラッキーですよ。景品が捌けないと困るのはスタッフですし、もらってくれませんか?」

 そう言われてしまったら、と男性は景品と交換分の試供品を持って、みかん狩りに戻っていった。見送ったバジルは、少年こと天使・灯夜に尋ねる。

「……それで、なんで灯夜ちゃんはしゃがんでいたの?」
「呪物、さっきの人が言ってたみたいに割と落ちてるんだ……おれは来てからずっとみかん狩りしながら巡回してたから、みかんの木の下におちてるやつに気づいて……」

 灯夜は、気になって観察したことで小さな子供がその原因だと気付いた。親に渡さず呪物をそのまま握って行動するが、みかん狩りの時はテンションがあがって手を離し、テンションが上がってみかんの方しか見ないまま移動するので呪物が取り残される……という流れを見かけたのだ。

「子供はいろんなとこに潜りこむ……木の枝にも引っかかっていることがあったし、低い位置とその少し上ぐらいを中心に調べてた」
「呪物の誘惑、みかんに負けるのね」
「それは、おれもしょっぱい気持ちになった……けど、ある意味誘惑のおかげで手放してくれてる。物の管理がまだうまくない子供が、親には渡したがらないからこその現象だ」

 小声ながらに灯夜が話終えた時、土産物屋の方から声が響く。

『こんにちは~!帰る前に、少しお話聞いていってくださいね~♪みんな、くばられていたウェットティッシュか、そのカラはもってる~?裏側に印がついてたら超ラッキー!サプライズプレゼントと、かわりの普通のウェットティッシュとの交換をしまーす!』

 ライカによる、交換受付のステージがはじまったらしい。土産物屋の付近で休憩していた来客から早速申し出があったのか、彼女の明るい声で『おめでとうございまーす!』という声が響いているのが聞こえた。

「私は、交換じゃなくてステージに行くように呼びかける方に切り替えるわ。灯夜ちゃんは?」
「おれは……落ちてるやつが無いか、続けて探す」
「わかったわ。手が余っている子に、その手伝いできないかどうか聞いておくわね」

 頷きあい、別行動を開始する猟兵達。
 しばらくするとみかん畑の方に呪物のサーチを行える祈が応援に来たため、イベントの終了時刻までには堕ちている呪物が無いかの確認を完全に終えることができた。
 かくして、役割を分担した猟兵達は、イベントの終了時刻までに全ての呪物を回収することに成功したのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
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午後5時頃。
 イベントが終わり、その関連の後始末をUDC職員に任せた猟兵達は呪物を持っていると行きたくなる方向へと足を運んでいた。猟兵にとってはなんとなくそちらへ行きたいという程度のものだが、狙われていた一般人が持っていたら、強力に作用していた可能性が高い。
 彼らが敢えてその導きに従って移動すると、かつては防空壕だったと思わしき場所に到達した。
 冷えた空気に少しだけ乗る血の匂い。おそらく、術者は既に自身を生贄にして儀式を起動したのだろう。

 ずるり ずるり

 何かが這う音がしたかと思うと、無数の触手が防空壕の中から這い出てきた。それらは猟兵の存在に敵意を示し、彼等に向かって襲い掛かってきたのだった。
當良邑・祈
音を聞きつけ素早く防空壕から距離を取り高所に位置どる。
相手の全容を把握するために凝視する。

しばしの観察、時間にして数秒、それでも戦場では長すぎる時間、

触手、触手、触手 見えるのはそれだけ

イカやイソギンチャクのような形態であれば基部を狙うつもりであった、
いまだ見えぬということはそれほど巨大なのか、
あるいはヘビやヒルのような生き物の群体なのかもしれない。

そうこうしているうちに他の猟兵たちは攻撃を開始している、
いつまでも見ているわけにもいかず、手近な仲間の元に駆け付ける。

-システム戦闘モード起動-
脚部を変形させ、自身は触手を切り払いサポートに徹する。

防空壕のその奥からは注意をそらさないままに
 


バジル・サラザール
ミカン狩りに全くと言っていいほど不釣り合いな触手ね。
平和な時間を守るためにここで倒させてもらうわ。

数が多いうえに増殖するのは面倒ね……。
弱ってそうな相手から各個撃破しつつ、極力敵の攻撃範囲外から攻撃。
主に「ウィザード・ミサイル」で援護射撃ね。
小型触手が出現したら優先して攻撃、敵の頭数を減らしていきましょう。
命中したら厄介な攻撃が多いわね。当たらなければどうということは無いの精神で「野生の勘」も使いつつ、回避や相殺をしていくわ。

敵がこの触手たちだけならいいけど……。
まだまだ気を引き締めておかないと。


ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】(真の姿解放します)
くッッそ……触手の塊!――だめだ、落ち着かないと、いけない……。
集中、集中して……召喚を阻止できなかったなら殲滅する、まで。
……手を貸してくれるでしょう?『私たち』。――【愛しき我が隣人たちよ】。
『お呼びになりましたか?あら――、我が主(マダム)』『よォ、シャキッとした顔してんじゃねェか――主様(マダム)?』
ええ、今はね。今の私が【真の姿】ってところかな?
……では、【ルビー】は、【パラサイト・フレンド】で迎え撃ちなさい。【ヘイゼル】は【ロックブレイク】で。二人とも、私に攻撃が当たらないようにね。
――いい目覚めの闘いにしましょう。
『『イエス・マダム』』


天使・灯夜
気持ち悪い…あまり直視したくないな。
触手はおれたちの存在に気付いている、
それも数が多い…厄介だな。一刻も早く片付けよう。
・戦闘中の行動
【目立たない】ように物陰に身を隠しつつ、SPDの高さを生かして触手との距離を縮め攻撃が届く範囲内に入り込む。
毒の入った瓶【ポーション】を投げ付け中身をぶちまけて攻撃し、じわじわとダメージを与えていく。
自分が攻撃を受けそうになれば【ジャンプ】で回避する。
必要であればUCで戦闘力を強化。
戦闘には自信が無い…から、もし他の猟兵に協力を要請されたら力になりたい。



うぞり うぞり

 気味の悪い触手の群れが猟兵達に向かい来る中、當良邑・祈は後方に飛びのき、高所から敵と戦場の観察を開始した。

「イカやタコ、あるいはイソギンチャクのような存在であれば根元を狙えるのですが」

 しかし、祈が見る限りそのようなものは見当たらない。この触手達、パープル・テンタクルズは触手そのものの群れとして顕現していた。
 祈りが観察を行っている間にも、他の猟兵達が次々と触手の群れとの戦闘を開始していくのが見える。

「いつまでも見ているわけにはいかないですね」

 そういうと、祈は外縁部、猟兵が数多く居る側へと駆けた。
 祈が他の猟兵達の元へと駆けつけた時、一つの違和感を感じた。その原因となるヘンリエッタ・モリアーティは緩やかに腕を組み、他の猟兵達の後を付いて行っている……ヘンリエッタの佇まいは、みかん狩りイベントの最中に見かけた物と大きく異なっていた。

「二人とも?努々、私に攻撃が当たらないようにね――良い、目覚めの戦いにしましょう」
『『イエス・マダム』』

 ヘンリエッタの内心は、大きく、そして強力に変化を起こしていた。
 猟兵が持ちうる真の姿、その解放である。見目が変化する猟兵も多いが、彼女の場合は多重人格者という事も相まってか、人格としてその真なるものが現れているのだ。

「ルビーはパラサイト・フレンドで、ヘイゼルはロックブレイクで、この痴れ者たちを迎え撃ちなさい。当然、手を貸してくれるでしょう?我が愛しき隣人たちよ」

 彼女の前方に展開している猟兵は、猟兵個人ではなくヘンリエッタによって召喚された彼女の二人の副人格であった。剣を携え触手を滅多打ちにする戦闘人格ヘイゼルに、召喚されて得た肉体にUDCを移し従える援護人格ルビー。通常時では従順とはと言いきれなかったはずの彼らが、今は上官の命を忠実にこなす兵のようにヘンリエッタを守りながら触手達に立ち向かっているのだ。

「援護します――戦闘システム、起動」

 状況を把握した祈が、ヘンリエッタに近づく触手の一つを脚部に内蔵していた武器で切り払うのに加わった。

「おや、祈。見たいものは見れたのかい?」
「気付いていましたか。少なくとも、本体があるわけではないようです」
「となると、引っ込んでいっているのは単純に内部に退避しているようだね」
「はい。ですが、内側に潜りこんだ猟兵も居ます。また、バジルさんの遠距離攻撃でも内部にいる触手を狙っています。安易に回復されるという事は無いです」

 端的に返す祈に、ヘンリエッタは楽しげに唇の端を持ち上げて問うた。

「そう……でももう内にこもられるのはおしまい。そうだろう?」
「ええ、私が加わりますから。ヘンリエッタさんの戦力とあわせれば、もう内に逃げられることはありません」

 喋りながらも、祈の鋭い切り払いは触手に襲い掛かる。二人の副人格と祈によって、逃げる触手は数を減らしていった。
 一方、触手の群れの内側に入り込む攻撃的な手法を取っていたのは天使・灯夜だった。彼は戦闘に向かないと自認していたが、存在感を消しつつその機動力をもって触手達の中を進むという、大胆な手法を取っていたのだ。

「敵意があるから、内側から弱らせる気だったけど……そもそも、弱っているのが内側に来てるのか」

 毒液のポーションを撒く事での不意打ちに、触手に触れないための高いジャンプ。それらを駆使して群れの内に潜りこんで以降は、召喚した大きな白猫に乗りつつその爪で触手を引き裂いていた。
 自認の通り本来なら決定力は低いのだろうが、弱った触手との遭遇が多い事もあり無数と思える敵を確実に減らしていた。

「……それでも、少し張り切り過ぎたな。できるだけ敵に被害を出しながら引き返そう。いいか?」
『にゃん』

 白猫が一つ声を返すと、灯夜は弱っている触手が来る方向、すなわち外縁部で戦うヘンリエッタと祈の方向へと白猫を駆る。
 外縁部へと向かいながらも、中身の残っていたポーションを振り撒き、白猫には鋭い爪を振りまわさせる事で触手をどんどんと弱らせていった。
 移動によってトドメを刺せなくともよかった。灯夜は別に一人で戦っているわけではない。そもそも内部の触手だって、灯夜だけで何とかしていたわけではないのだ。

「また、バジルさんの矢がくる。姿勢を低くして」
『にゃん!』

 駆ける白猫の姿勢がぐっと低くなり、灯夜も頭を下げその毛皮に身を埋める。次の瞬間、バジル・サラザールの赤く輝く炎属性の矢が、彼らの残した触手を狙い降り注いできた。
 鋭い魔法の矢が突き刺さった場所から、ゴゥと音を立てて炎が吹き上がる。弱っている触手だけではなく、一見元気そうな小さい触手も炎に呑まれて消失していくのを、灯夜は白猫の背から見届けた。

「あら?目立っていないけれど、小型触手も発生しているわね。近場にいる誰の攻撃でもすぐに倒れるけど、元気だけはあるから次はそっち狙いね」

 バジルは一歩引いて支援を中心に動いていたのもあり、現状は他の猟兵よりも広く視界を保てていた。その広い視界に野生の勘を働かせることで、弱った触手と召喚された小型触手にウィザード・ミサイルをお見舞いする。
 灯夜の通った後を中心に着弾する炎属性の矢のおかげか、攻撃の最中は薄暗くなってきた中でも周囲の様子を明確に確認できた。

「防空壕から出てくる触手が少なくなってきている……もうひと踏ん張り、というところかしら?」

 防空壕の奥の邪神は、まだ猟兵達に気づいていないのか沈黙を保っている。
 この隙に触手達を全滅させてしまおうと、バジルは再びウィザード・ミサイルを放った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

琶咲・真琴
術者さんが呼び出した邪神さんはかくれんぼの最中ですか?

なら、鬼のボクたちが見つけてみせますよ


まずは敵の攻撃範囲外からサイキックブラストを防空壕の入り口辺りに範囲攻撃で仕掛けます
動きが止まったところをfamilia pupaから光線を出してなぎ払っていきます

近接戦闘は烈槍葵牙で応戦です
2回攻撃とフェイントも使って
被弾を少なくできるよう工夫します

防空壕の中に突っ込み過ぎないように
目の前の敵を確実に倒しながら

聞き耳を立て
第六感も働かせて警戒するのです

暗視もあるので
防空壕の中の様子を詳しく見れそうなら
痛手にならない範囲で見て
他の皆さんに情報共有できるようにします



アドリブ歓迎


神原・響
周囲と協力しながら、対UDC50口径改造二丁拳銃を使い、衝撃波を纏った銃弾で触手を殲滅していく。

WIZ判定
2回攻撃3+クイックドロウ1+戦闘知識3+怪力1+衝撃波2+見切り1


當良邑・祈
「存外に手ごわい、出し惜しみは無しです。」

降魔化身法 -ワレイノリヲササゲル-

全身を甲殻で覆い、敵の中枢へと切り込む、
自身への負担も少なくはない。
速攻でけりをつけにかかる。

近寄る触手を払い、刻み、削ぎ、裂く

「くたばれ触手ども」
すでに弱っている相手、一番に危惧すべきは仲間との同士討ちであろう。
「気持ち悪いんだよ」
他の猟兵との位置取りを意識し、
「数が多いだけで」
こちらの位置がわかるように、
「使い物にならんゲロカスが」
わざと声を荒げて暴れまわる
「●●●●----」

周囲にいる者に誤解を招きそうな罵詈雑言を叫びながら戦う
これには戦術的な意味があるとわかってもらえるのだろうか



「俺も協力します!」

 神原・響は周囲の猟兵に声を掛けると、対UDC用の改造2丁拳銃を駆使して触手の殲滅に加わる。
 着弾時に衝撃波を発生させることで広範囲を牽制しながらも、彼の繰り出す銃弾は途切れることがない。二丁拳銃による手数と早撃ちの技術に、そして衝撃波による効率の良い範囲攻撃。驚くべきことに、響はこれらを積み上げてきた戦闘知識によって制御しきっていた。
 這い回る触手を効率的に抑える響の行動により、外縁部の対処に余裕ができる。そこに、今こそ機があると見た祈が次の行動へと移った。

「ここまで戦った率直な感想です。認めましょう。存外に、手強い」

 これまでは協力体制で戦っていた祈は、減ってこそきているものの未だ数が多い触手の群を一掃するつもりで動き出した。

「出し惜しみは無しです……ワレイノリヲササゲル」

 祈は胸元で両手を結び祈るような姿勢を取る。呟いた言葉が幽かに空気を揺らすや否や、まるで祈りを聞き届けられたかのように、彼女の全身は甲殻で覆われた。感覚だけでそれを確認した彼女は、一陣の風のように敵陣へと突撃したのだ。
 触手の群れを潰してゆく祈の様子は、これまでの彼女とはまるで何もかもが違っていた。祈の特徴的な戦闘時の脚部が無ければ、その声は似ていても別人のものとして認識されただろう。

「くたばれ!くたばれ触手ども!!気持ち悪さとっ数の多さだけのっ!!!使い物にならんっゲロカスどもが!!!!私のっ行く手をっ……阻むなっ!!!!!この――」

 言葉を発すれば発するほどにひどくなってゆく内容。大きな強い声で聞くに耐えない罵詈雑言を吐くほど、彼女は強く激昂するような人物だったのか?それとも宿した化生に乗っ取られでもしたのだろうか?……いや、そうではない。彼女の行動には、明確な戦術的意図があった。

「なるほど、あちらは祈さんの担当ということですか」

 響が二丁拳銃のリロードの最中、祈の行動を即座に解して言葉にする。言葉選びの基準は祈本人以外にとっては不明なままであるが、罵詈雑言を叫びながら戦うような人物が他には居ない。故に明確に、祈の声は祈の位置を示しているのだ。

「この暗さで場所を示してくれるとは、有り難いです。祈さんの進行方向から考えるなら、俺は防空壕付近を……っ、あれは」

 響はすぐに他の攻撃目標を設定して行動を起こしつつも、防空壕の出入り口付近を観察する。間違いなく戦闘が発生している。そこで動いているのは、小さく幼い人影だった。
 外縁部を辿るようにしながらひそかに防空壕の方に近づき、触手達を一人倒し続けていたのは琶咲・真琴だった。真琴は今潜んでいる真の目標、儀式の目的とされた邪神を確認しようとしていたのだ。
 サイキックブラストによる激しい電気の攻撃により麻痺した触手達を、一見人形にしか見えない真琴の武器が一体一体光線で焼き払っていく。人形遣いの人形とはまた別の理論によって動く彼等だけではなく、蒼い刃の薙刀も使いこなし真琴は防空壕をのぞきこめる位置まで到達した。

「邪神さんは、かくれんぼの最中ですか?鬼のボクたちがみつけてあげますよ」

 聞き耳と第六感で、見てしまう前に何があるのかを推察しようとする。邪神の召喚が不完全というのは、確かなようだ。触手は既にすべて防空壕の外に出て来てしまったらしい、防空壕の中側から這い回る音は聞こえない。
 意を決して真琴が防空壕の中をのぞくと、火が焚かれているだけで一見はなにもないように見えた。妙に防空壕の中を満たす黒い灰塵。焚かれた炎の火の子だろうか、赤が血しぶきのように舞っている。床には血の跡……術者の姿も無い。

「――ひっ」

 とあることに気づき、真琴は息をのむ。
 邪神はいた。そこにいた。焚かれた火と思ったものも、まるで霧のようにもみえる灰燼も、邪神だった。黒と灰と赤で構成されたそれに不釣り合いな妙に青い目らしきものが、覗きこんでいる真琴も含めて外側をじっと見ていた。

「真琴さん!!」

 呼びかけられて、不意にそちらを見る。声の主は響だが、彼が声を上げた理由も即座に分かった。
 観察の最中に、サイキックブラストによる麻痺状態から脱した触手が真琴に這いよっていたのだ。そして、その触手は響の銃弾と衝撃波によって吹き飛ばされた。

「残る触手も、全体的に防空壕側へ向かっています!」
「わかりました!」
「切り分ける!!切り刻む!!!裂き捨て――あぁ、もうよさそうですね。了解です。逃がしません、一匹も」

 残った触手がまとまったため、3名の猟兵も戦力を集中させる。数で押してきていた厄介な触手達も、残り数体となっては猟兵達に敵うはずがなかった。
 召喚された存在だったためか不気味なほどに存在を残さず消えた触手達に対して何かを思う猶予も無く、真琴が叫ぶように皆に伝える。

「油断はできません!不完全とはいえ、邪神は召喚されています!こっちをみていました、周辺を守る触手が居なくなったから、たぶん――」

 真琴が言い終えるよりも早く、パチパチと焔を焚くような音が猟兵達の耳に届いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

それは、本来人を愛するものだった。
 いまは、発狂し人を喰らうものだった。
 防空壕の中から現れた、煙と炎そのもののような姿の邪神。それが猟兵をどのように感じているのかは窺い知れない。しかし、友好的とはとても言えぬことだけは確かだった。
 ほおっておけば、この存在は自らの食欲を満たしに人を食いに行く。そして、人を食らえば食らうほど強く発狂ながら存在を確立してゆく。
 躯の海から強引に呼び出された『焔を焚く者』あるいは『灰霞の剣』を打ち倒すチャンスは今しかない。
ヘンリエッタ・モリアーティ
【POW】
(真の姿で行います)
……情緒というものには疎くてね。荒れ狂うアレを理解し難いが――興味がわかないといえば嘘になる。うん、『私』が食らうには相応しい醜さだ。悦すら憶えるよ!
では……【刻印】を作動し、【ロックブレイク】で相手をする。【ブラッドガイスト】で首尾よく味わいたいが……何せ寝起きでね、一人では上手くいきそうにない。が、心強い同士も居る。私が傷を負ったとしても――、この任務さえ完遂できれば『私たちの勝利』だ。
さあ、『マダム・ヘンリエッタ・モリアーティ』が相手をしよう。
――、君の心を心無い私に教えておくれ。
(アレンジ歓迎です)


當良邑・祈
-バイタルに異常があります-

機械的なヘルスチェックが思考に割り込むまで、
魂が抜けたように立ち尽くしていた、
視界がかすむ、心の臓が警鐘を鳴らす、歯の根が合わない。

自身より大きな竜と相対したこともある、悪意ある人間の再臨と刃を交わしたこともある。
しかし、今目の前にしているのはそれらを前にした時とは根本的に異なるものがあった。

今、自身を貫きくぎ付けにしているのは未知への恐怖、蕪雑・不合理・支離滅裂、見ること・知ること・考えることを破壊する暴力

「わたしが猟兵になった理由を思い出せ」

言葉として出たかはわからない意志の力

全速、全力、全知を尽くして臨む。

(メタ:負けロール・緊急脱出可)


バジル・サラザール
みかんだけ食べて帰ってくれるって訳には……いかないわよね。

真の姿を解放、全力で立ち向かうわ。
主に「バジリスク・ブラッド」を使って、私のポーションを強化、じわじわと苦しめてる暇は無さそうだし、猛毒で一気に決めるわ。
相手は煙や炎、ポーションがうまくかかれば、消火……少しは弱体化できないかしら。
敵の攻撃は「野生の勘」で回避や防御ね。

呼び出されてすぐに申し訳ないけど、平和なみかん狩りのために、ご退場願うわ。



精神的に確立された者からはそうと意識されないことも多いが、UDCは説明がつかない存在であったり、或いは理解することで人間としての識を歪めうる存在だ。意識、生命、心、洞察……それらを歪めにかかるような太古の強大な存在に対しての耐性は、人それぞれどころか、状況ごとに大きな差が生まれる。

 ‐バイタルに異常があります‐

 機械部分からのヘルスチェック音声が割り込んだことで、當良邑・祈の身体はようやくここが現実だと理解したかのように恐怖反応を返しはじめた。

「……っ」

 食いしばろうとするも歯の根が合わない。視界がかすむ程度では存在を見失わせてくれない邪神のその姿に、心臓が警鐘を鳴らしている。降魔化身法を維持している代償のせいか、祈は強く認識してしまっていた。――今見ているものが、身に宿しているはずの化生どもの理屈すら通らない異常であると。

「わた、しが……猟兵になった、理由、を……おもい、だせ」

 自身を鼓舞するためか、祈はかすれた声をあげて先陣を切った。代償として受けた呪縛が思考に作用して邪神に向けられている事を、彼女は理解しているのかいないのか。邪神が祈になげつけた灰霞の剣を最小の動きで躱しながらも、恐怖の対象に突っ込んでいった。

「祈ちゃん?!ああ、もう!」

 呆然としていた祈に声を掛けるべきかと気を揉んでいたバジル・サラザールは、祈が駆けだしたことでその後を追う。
 追いながら真の姿を解放し、その肌を裂き血を支払うと、バジルの持つポーションが鮮やか且つ禍々しい色合いへと変わった。

「呼び出されてすぐに申し訳ないけれど、ご退場願うわ!」

 祈の避けた剣から発生した、邪神と同じような不確定な炎を躱してバジルも邪神の懐へと潜りこみ、手中の瓶の中身をぶちまけた。
 邪神のゆらめく姿に、凶悪な毒性へと変質したポーションがかかった飛沫で大穴があく。穴をふさぐように動く、黒煙にも見えるそれを、続けて祈の脚部から展開された刃が一閃した。
 邪神は、悲鳴を上げることも身をよじることもしなかった。斬られた部分はポーションがかかった時と同様に、色を失い空気に戻っていたが、まるで煙が寄りあうかのようにすぐに埋められてしまう。

「復帰が早い?!無限に復活するだなんて事は、まさか――」
「無いとも。安心するといい、こいつは食えると、まさに君達が証明した!」

 ダメージを与えているかどうかという不安が襲ったバジルの後方から、ヘンリエッタが邪神に飛び込んできた。

「少し引くとわかる。この邪神が、最初よりずっと縮んでいるとね!
 ――さて、興味深くも醜い、荒れ狂う君。私が、『マダム・ヘンリエッタ・モリアーティ』がお相手しよう」

 真の姿を保ったままのヘンリエッタは、刻印を起動した状態で武器を邪神に突き刺す。パチパチと火の子が爆ぜる音も気にせず、捕食状態の武器で揺らめく濁った焔を大きくかき混ぜた。
 流石に食い尽くさせる気はないのか、拒むような抵抗を感じる。ヘンリエッタは武器を握る手にぐっと力を籠め、そのまま怪力に任せて大きくそれを振りぬいた。

「~~~~~っ!!!!」
「もう少し畳み掛けていくわ!」

 恐慌状態に近い所にいながらも戦闘に全てを振り絞る祈の斬撃。そして、バジルによる猛毒。邪神は色を失い、その隙間を繋ぐように埋める以外の行動をする暇がないようであった。

「私だけでは寝起きという事もあり厳しいかと思っていたが……ふふ、心強い同士達だ。さあ!もっと心無い私に、君の心を教えておくれ!」

 ヘンリエッタが再び武器を邪神に向けた瞬間、バジルの勘が働いた。

「退いて!」

 言うが早いか、バジルは祈に手を強引に引いて飛びのく。ヘンリエッタも、その声に従い距離を取った。
 刹那、邪神は削られたその身を取り戻すように、灰色の焔を噴出する。仮に傍に居たままであれば、あの灰色の焔に呑まれていただろう。
 だが、そのことによって猟兵達の目にはもう一つ別の事が明らかになった。邪神の姿は、灰色の焔を含めても当初防空壕から出てきた大きさとさして変わらないか、下手をすれば少し小さいぐらいになっていたのだ。

「私が傷を負ったとしても、この任務さえ完遂できれば『私たちの勝利』だと思っていたが――ふふ、ここまでできたというのであれば、完全勝利と行きたいところだ。そうだろう、同士達?」

 ヘンリエッタの問いが、焚かれる焔の音にかき消されることなく猟兵達の耳に届いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライカ・モンジ
後衛で味方の回復支援優先に行動
第二形態的なぁ?パワー上がったりってこと万一無いよねェ

「フロアめちゃ盛り上がってんね〜、テンションブチ上げてくっきゃないでしょ〜!」
真の姿開放時、お団子にまとめていた髪を解く
鮮やかなシアンの宝石質の髪が更に光を放って聖者っぽい雰囲気に一瞬見え…いや、よく見るとやっぱ露出度の高いギャルだわ

体力消耗激しい仲間から優先的に生まれながらの光を使用、複数人いる時は自身の体力3割保つ程度まで同時回復
、体力3割切ってもあと一息でとどめ刺せそうなら味方の回復優先
回復が足りてる時は装備品の光線銃「Skipjack」で弱点探る的な感じで色んな部位にビーム光線撃ってみる〜!

アドリブ歓迎


天使・灯夜
炎と煙を振り撒き複数の目がこちらを凝視して来るような感覚に、視界思考がぐにゃりと歪む。
全身から汗が吹き出し、震え、足が竦んでしまう…。
猟兵の声に自身を奮い立たせ拳をグッと握り締め、倒すべき邪神の方へと駆け出す。
「おれも…全力で行く!」
分厚い服に覆い隠していた、過去の凄惨な記憶を…感情を、腕に受けた古い傷跡から目に見える現象として噴出させ真の姿を解放。
敵の位置を【聞き耳】で予測、【ジャンプ】や【逃げ足】で回避。
力が弱まってる部分を目掛け、UCを使用してそのまま一気に突っ込む。

「おれたちがやらなきゃ…祭に来てたみんなを守れないんだ、絶対に倒す!!」
祭で見た光景を思い出し、慣れない大声を上げる。


琶咲・真琴
他の猟兵の皆さんとの連携を密に行う

先ほどは思わず怯んでしまいましたが
ボクには頼もしい皆さんがいます

あなたを滅させていただきます!


familia pupaの光線でサイキックブラストを使用
フェイントを織り交ぜた2回攻撃で確実にダメージを入れさせてもらいます!

可能であれば
烈槍葵牙で戦場の地形を利用した先制攻撃も

接近攻撃をした後は
光線の射撃攻撃で牽制しつつ
灰霞の剣の攻撃範囲内からできる限り離れます

第六感や視力で敵の攻撃を防ぎます
少しでも相手の攻撃の前触れがあったら
周りの味方に警告を


ボクは、護る為にここにいるんです
邪神さん
起きたばかりで申し訳ないですが
また寝てください!



アレンジ歓迎



「ええ!先ほどは思わずひるんでしまいましたが、ボクには頼もしい皆さんがいます!連携を取っていきましょう!」
「おっけーおっけー!このフロアの盛り上がりはさぁ、テンションブチ上げてくっきゃないでしょ~!」
「おれも……全力で行く!」

 琶咲・真琴の声に、ライカ・モンジと天使・灯夜が応えた。
 邪神の存在に恐怖を感じていた灯夜は覚悟を決め、真の姿を解放する。分厚い袖で隠されていた傷痕から、か

つての感情が事象として噴出する。普段は曖昧になっている凄惨な記憶が力として現れる、覚悟を決めなければ

解放できない姿であった。

「おっ、いーじゃん!アタシも本気、出しちゃおーっと」

 軽い口調ではあるものの、ライカも真の姿を解放する。お団子に結っていた鮮やかな青の髪が自身の光を反射

し周囲に放ってゆく。聖者と見紛う神々しさであるが、ライカはいつ何時も自身の好きな物に正直なライカに違いは

ない。光に惑わされずに彼女を見る事の出来る者であれば、露出とヒョウ柄を愛するギャルファッションのライカで

あると認識できた。

「弱点ぽいとこあったら集中で、それ以外は勢いまかせにいっくよー!」
「了解です!」

 ライカが、デコっぷりにより既に原型が見当たらないほどカワイイにあふれた銃で邪神に光線を連射してゆく。灰

色の焔は焔でしかないようで当たっても邪神に反応は見られない。やはり赤と黒で構成された部分が本体らしい。

「でも目っぽいとこも特に穴でかくなるとかじゃないんだけど?!」
「なるほど、焔以外は同列ということですね!さぁ、いきますよ!」

 片翼の人形達が邪神に接近させ、光線を放つことで真琴がサイキックブラストを発動させる。ほんのわずかでも

この世界に立ち現れた以上何らかの原子を姿の代替として使用しているはず。それを、邪神の構成物としてユー

ベルコードの高圧電流が縛りつけてみせた。

「いまなら……!」

 灯夜は触手の群れをともに駆け抜けた白猫とともに、邪神を構成する部分に突進攻撃をしかける。しかし、攻撃

力を高めたその一撃を、邪神は避けもせず受け止めようとする。
 近づきながら、灯夜は気づいた。邪神はこれ以上触れられぬようにとユーベルコードを発動している。その身の

焔に触れたら、きっとただでは済まない。

「それでも、おれたちがやらなきゃ……昼に見たような光景を、人達を守れないんだ、絶対に倒す!!」
『マ゛オォォーーーーーン!!』

 灯夜が慣れぬ大声を出し力を振り絞る。白猫が応え、邪神に食らいつくかのように大穴を開けて突っ切った。開

けられた大穴を、邪神は埋めようとする。猟兵達の目にも、その黒い姿が縮んで行くのが見える。
 邪神の焔に触れた白猫と灯夜はその表皮を切り裂かれていたが、スピードに任せた一撃であることが幸いした

のだろう。敵に与えた損害に対して、その傷はけして深いものではなかった。

「でも……帰りにもう一度、はムリそうだな」
「灯夜さん!きます!」

 真琴の声によって、灯夜は白猫とともに飛び退く。邪神がまるで取り落とすように生成した灰塵の剣は地面にあ

たり、ゴゥと音を立てて邪神の姿と似た焔を生み出した。

「まこまこー、アンタは牽制お願いね!そっちのアンタはこっち来てー!」

 ライカの指示に従い、真琴は邪神が再び灰塵の剣で灯夜を狙おうとするのを光線で阻害する。邪神はすぐ傍に

対象が居た時は剣をそこに落とせたが、未だ残る感電の影響と、真琴の確実かつ手数の多い攻撃によって攻撃

を飛ばすようなことができないようだ。

「マジ頑張ったじゃーん!ケガしちゃったけど治せばチャラよ、チャラ!つーわけで、避けちゃダメだからね~!」

 灯夜が接近したのを見て、ライカは自身を輝かせる光を彼に向けた。光を受けた灯夜と、彼と傷を共にする白猫

の傷がまるで巻き戻るかのように塞がって行く。

「……ありがとう」
『にゃぁん』
「ふっふ~ん、もっとほめてもいいよ?……さて、邪神の方はあとちょっとってとこかな?」

 彼らは視線を邪神へと向けなおす。ライカによる治療の最中も真琴の攻撃で牽制を受けていた邪神の姿は、も

はや恐怖を感じるほどのものではない。

「あとすこしです!邪神さん、起きたばかりで申し訳ないですが……平和を護るために、また寝てもらいます!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神原・響
「さあ、姫様終わりにしましょう」
女王の真の姿を解放。
黄泉の奈落は全てを等しく呑み込む。
『終わりじゃ、堕ちたる神よ。童が引導を渡してやろう』
影の茨は炎に構わず燃えながら絡み付き、黒の剣は邪神の核を切り刻む。


クレア・フォースフェンサー
目標
 邪神を倒し、教団の情報を集める。
判断
 村から離れた場所に現れたことは好都合。気兼ねなく全力で戦える。
 今回は被害が出る前に予知できたが、次もそうとは限らない。少しでも教団の情報が欲しい。
手段
 姿形が変わる敵は狙いにくいため、念動の檻で封じ込める(サイコキネシス)。
 刀にサイキックエナジーを纏わせ、煙と炎の身体全体を攻撃する(破魔、捨て身の一撃、範囲攻撃、剣刃一閃)。
 敵の攻撃は空を駆けて躱す(エアステップ、残像)。
台詞
 「遅れてみかん狩りに行けませんでしたからね。みかんパフェが待っていますので、すぐに片をつけさせて貰います」
 「何か教団のことが分かる資料は……全部消し炭ですね」



『ふふふ……そろそろ、仕舞いの時じゃな?』

 神原・響の契約しているUDC、黒の女王がその姿を現す。彼女の赤い瞳は間違いなく邪神を捉え、影の茨でからめとろうとした。
 しかし、おそらくは女王とこの邪神の相性が良くないのだろう。契約者であり、彼女に力を与える響の能力と女王の使役の相性は間違いなく良い。捉えられないことはないが、邪神の焔・灰・剣のどれかに触れれば切断されるというユーベルコードが女王の攻撃を阻むのだ。

『ほぅ。敵をもてなしてやるはずだったのじゃが、なかなか往生際が悪い』
「援護します!」

 声をあげたクレア・フォースフェンサーが、念動力の檻で邪神一瞬捉える。本命のユーベルコードではない彼女のサイコキネシスを、邪神はわずかに行動を止めて振り払おうとする。しかし、クレアにとってはそれで十分であった。
 邪神がもたつくその隙に、その手にもつ刀にサイキックエナジーを纏わせ踏み込んでいった。

「斬ります!響さんたちがつづけば、そのまま倒しきれるはずです!!」
「わかりました!さぁ姫様、終わりにしましょう」

 クレアの刀が、邪神の焔と身体を一閃し大きく削り取る。当たりさえすればすべてを切断する剣刃一閃で、刀にまとわせたサイキックエナジーを効率的に邪神にくらわせたのだ。
 さらに、邪神に行動を挟み込む隙を与えず、邪神の姿よりなお暗い影の茨が邪神を飲みこむように覆いきった。
 捕らえられた邪神は灰色の焔を焚くが、そのために切断までは力を回せなくなっていた。

『燃やしはするが、斬りかかるのは終りのようじゃな?堕ちたる神よ、このまま引導を渡してやろう』

 影の茨は燃えることを厭わず、全てを呑む奈落のように邪神を捉え続ける。そして、その茨のうちに残された邪神を、女王は自在に操る黒の剣、その八本すべてで串刺しにした。
 断末魔のように灰色の焔がひときわ大きく燃え上がり、周囲に暗い光が投げかけられる。
 闇と光が混じったような焔が消えると同時に、『焔を焚く者』あるいは『灰霞の剣』と呼ばれる狂気に堕ちた古き者は消え去ったのだった。

「姫様、ありがとうございました」
『うむ、苦しゅうないぞ』

 響と女王の声に他の猟兵達も戦闘の終了を意識したようで、各々帰還の準備をととのえだした。
 UDC職員も連絡を受け、事後調査とそのための近隣封鎖のためにかけつけてきた。みかん狩りで取れたみかんと、スタッフにおやつがわりに配布されたみかんも彼らが預かっていたらしく、帰る直前の猟兵達が持ち帰りやすいようにしてくれていた。
 みかん狩りに遅れたため、後で私的にみかんパフェを食べようと思っていたクレアにも、余裕があるから持って帰ってほしいと声がかかる。

「ありがとうございます……ですが、その前に少し調べても良いでしょうか?」

 そう言ってクレアが指し示したのは、儀式が行われた防空壕の中。これ以上の犠牲を出さないため、或いは今回の件の詳細調査はUDC組織の領分であるが、似たような案件が起こるのを防ぐ情報があるなら得たいと考えたのだ。
 職員側としても、人手があるに越したことはないらしい。了承を得たクレアと調査担当者らは、帰る猟兵達とは逆に防空壕の中へと向かっていった。

 太陽が沈み、月が上りだした夜半。何も行動を起こさなければ、きっと今頃この近辺は焔と灰塵に包まれていたのだろう。
 猟兵達の手によって何も起こらなかった夜が、静かに人々を包み眠りへと誘っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月30日


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🔒
#UDCアース


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト