誰かが言った。最も優れた球技は野球であると。ピッチャーとバッターの攻防。セカンドとショートの素晴らしいチームワーク。ホームランを打ちダイヤモンドを駆け巡る姿はまさに英雄そのもの。
誰かが言った。最も優れた球技は
蹴球であると。ボールを追って走る選手の素早いこと。鋭角に放たれるシュートの鋭いこと。球を防ぐゴールを守るキーパーの勇ましいこと。
誰かが言った。最も優れた球技は
庭球であると。 誰かが言った。最も優れた球技は卓球であると。
鎧球であると。水球であると。
打球であると。
避球であると。
籠球であると……。
誰かが言った。
「じゃあ、全部の球技を合わせたら本当に“究極の球技”ができるんじゃないの?」
●お前は何を言ってるんだ
「これが、究極の球技“野蹴庭卓鎧(中略)球”の成り立ちというわけだ!!!押忍!!!」
本田・強志(応援団長・f39250)は固く拳を握りしめ背を反らし、声を張り上げた。
今はまだ“(中略)球”はマイナースポーツだ。しかしその奇抜さにアスリートアースでは次にくるスポーツランキングに入っているだとかいないだとか。
「この“(中略)球”が行われる県営グラウンドにダークリーガーが現れ!!!選手達がダーク化されてしまう!!!猟兵諸君には!!!これを打ち倒してほしい!!!」
押忍!!!と気合いの籠った予知内容を猟兵達へ語った所で、強志はビシッとグリモアベースに設置された大きなプリンターを指した。
「これが!!!(中略)球の公式ルールだ!!!」
ピピーッ、ガガガー。グリモアベースにプリンターの音が響く。何百、何千枚の紙が刷られているのだろうか。紙の束がそのプリンターの周りを囲み、プリンターは未だに紙を吐き出し続けている。その紙1枚1枚に細かい字がびっしりと。
「説明!!!(中略)球のルールは!!!全球技のルールを統合したものだァァァ!!!」
猟兵達の中に嫌な沈黙が流れる。それを全部覚えろと?と言わんばかりの静寂だった。
プリンターはまた1枚紙を吐き出した。
慌てた様子で強志は慌てて言葉を発する。
「俺も!!!昨日!!!徹夜で読み込んだが、全く読み終わらず!!!意味も理解できなかった!!!」
そう言う強志の目の下にはくっきりと隈が刻まれていた。
「アスリートアースでも!!!どうやら誰もルールを理解出来ていないらしい!!!」
プレイヤーも、監督も、観客も、悲しいかな審判も。誰も(中略)球のルールを理解出来ていないのだ。
全ての球技のルールを組み合わせたらどうやら組み合わなかったらしい。
「結果!!!『勝ったと観客や審判に思わせたチームの勝ち!相手に負けを認めさせたら勝ち!』というかなりざっくりとしたルールで開催されている!!!」
どんな球を使ってもいいし、何球使ってもいい。
打っても、蹴っても、投げてもいい。ゴールに入れてもいいし、たくさんカゴに集めても、相手にぶつけてもいい。なんなら破壊してもいい。
とにかく『自分たちの勝ち!相手の負け!』を証明出来て盛り上がればそれで良し。それが今の(中略)球だ。
「今回の対戦相手は“羽琉Duck・Me!”というチームだ!!!競技人口の少ないマイナースポーツの全てを牛耳ることで裏の世界からアスリートアースを支配しようとしている!!!小細工やラフプレーを堂々と仕掛けてくるから気をつけろ!!!ちなみマスコットキャラクターは黒いアヒルのダッくんだ!!!」
今回ルールなんてものは無いから特に注意だ!!!と大きい声を更に大にして猟兵達へ呼びかけた。
「再三言うが!!!このスポーツは勝ったチームが勝ちだ!!!あらゆる敵を打ち倒してきた猟兵諸君!!!君たちの健闘を祈ってエールを送るゥゥゥァァァ!!!押忍!!!」
ミヒツ・ウランバナ
オープニングをご覧頂きありがとうございました。ミヒツ・ウランバナです。(中略)球なんてスポーツ無いです。
でもアスリートアースにはあるようなので、勝ちにいきましょう。
ボールを使って自らがいかに勝っているかを演出すれば勝ちです。それ以外のルールは無いです。
●第一章:(中略)球の練習をしたり、試合の準備をしたりしましょう。
グラウンドには観客が集まりだしているので、アップついでに勝ちムーブを見せたら湧いてくれたりファンになってくれたりするかもしれません。
道具をそろえに行ったり、グラウンド付近に出店してるキッチンカーで腹ごしらえするのもいいかもしれませんね。
●第二章:集団戦
どうやら主に野球を元にした演出で勝ちを演出してくるようです。
●第三章:ボス戦
赤と白の球を扱う事が得意なようです。自身の勝ちムーブを手玉に取られないように気をつけましょう。
グループ参加は2名までとさせていただきます。ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけるとありがたいです。
受付開始は【断章追加後】です。
皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『その他スポーツを練習しよう』
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POW : 体当たりで果敢にチャレンジする
SPD : 器用にコツを掴みながら練習する
WIZ : ルールや戦術の理解を深める
イラスト:十姉妹
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●嗚呼、素晴らしき(中略)球日和
今日の天気は雲一つない晴天。なんて素晴らしい(中略)球日和だろう。
県営グラウンドには試合開始まで余裕があるというのにポツリポツリと人が集まり始めた。
観客の多くは“(中略)球”なんてマイナースポーツを初めて観戦するものばかりだ。
“そもそもなんで中略する必要があるんだ?”
“ルールブックの厚さが世界記録級って本当?”
“で、結局どんなルールなの?”
日焼けして色褪せた合成樹脂製の長椅子に座り、やいのやいのと騒ぎ出す。
誰も本当のことなんて知らないけれど、こうやって知らない人同士で、ただの観客同士でスポーツについて議論することもアスリートアースでの醍醐味なのだ。
近くのスポーツ用品店もこの騒ぎに乗じて(中略)球記念セールを開始した。
しかし店員も、一体(中略)とは果たして何を使う球技なのか見当がつかない。
“入荷したルールブックが辞書サイズの挙句、十巻以上あるって何?”
そう思ってしまった瞬間からページをめくる手が止まってしまった。
とにかくスポーツなんだろ、と大盤振る舞いの全品30%オフ!
値札の張り替えやレジでの対応が逆に楽になった。
グラウンドの駐車場ではポップコーンの弾ける音。
味は塩?キャラメル?それともチーズ?
どの味にするか決めたらサービスのバターを絡めてしまおう。
ホットドッグとコーラのコンボはスポーツ観戦には欠かせない。
ママが呆れるくらいにオニオンとケチャップ、マスタードをトッピングして、口元が汚れるなんて気にせず齧り付く。コーラの炭酸が塩味を喉奥へ流し込む。
(中略)球がなんなのか、結局誰もわからないけど今日は最高のスポーツ日和。
(中略)球とはなんなのか。それをしっかりと見届けるためにも、試合開始前に準備は万全に整えておこう。
野蹴庭・球
いや、私にこんなにもぴったりなスポーツある?
逆に、私以上にこのスポーツにぴったりな猟兵が他にいる?
はい!という事で…………野球選手のサッカー選手にしてテニスプレイヤーの野蹴庭・球でっすッ
!!!!(ヤケクソ)
道具揃えにって言っても
野球バット、蹴球シューズ、庭球ラケットは超人ウェポンが
野球ボール、蹴球ボール、庭球ボールは超人ボールが
全部自前のがあるんだよねぇ……なんであるの?バカじゃないの私?
とりあえず、テニスプレイヤーのUC【テニスの世界】でテニスボールにサッカー選手のUC【ライトニングシュート】を宿し射出したり
バットとラケットの二刀流+両足のシューズで打ち返したり蹴り返したりしてみようかな!
●誰が為の(中略)球か
(中略)球。
それは球を操り、自身の勝利を演出する競技。
その自由度の高さから逆説的に考えると、より多くの球技に精通していた方が有利なのかもしれない。
そして競技の持つ自由度にどこまでついてこれるか、どこまでそれを発揮できるかも勝利の鍵かもしれない。
県営グラウンドに身長100センチほどの小さな少女が現れる。
彼女はバッターボックスに立つとポツリ、呟く。
「いや、私にこんなにもぴったりなスポーツある?逆に、私以上にこのスポーツにぴったりな猟兵が他にいる?」
そう、彼女の名前は野蹴庭・球(野球選手のサッカー選手にしてテニスプレイヤー・f37807)
名は体を表す。
彼女は野球・サッカー・テニスのトリプルジョブアスリートだ。
そのプレイスタイルは、ピッチャーが投げた硬球をテニスのラケットで打ち返したり、自らの足でその球をバックスクリーンへと直撃させるなどあまりにも“自由”過ぎることで有名である。
(中略)球と野蹴庭・球。
出会ってしまったのは運命か、それとも神のイタズラか。
どちらにせよ、二つは出会ってしまった。
こうなったらもうヤケクソになるしかない。
「はい!という事で…………野球選手のサッカー選手にしてテニスプレイヤーの野蹴庭・球でっすッ
!!!!」
バットとラケットを二刀流に構え予告ホームランの如く外野の奥を指し、観客席へ声を張り上げた。
『今なんていった???』
最初こそ観客たちは戸惑っていたが、理解したのかしていないのかとにかく(中略)球を楽しめればそれでいいのか、最初にマウンドに上がった彼女へ歓声を送った。
───────────────────
時を戻して数時間前。
彼女はスポーツ用品店へと足を運び(中略)球に必要そうなアイテムを物色していた。
やっぱり野球用品、蹴球用品、庭球用品はそろえておきたい、と思い店内を見て回ったが、よく良く考えれば彼女は既に野球バット、蹴球シューズ、庭球ラケットの
超人ウェポン、野球ボール、蹴球ボール、庭球ボールは
超人ボールが手元に揃っていた。
「全部自前のがあるんだよねぇ……なんであるの?バカじゃないの私?」
これも野蹴庭・球という名を冠して生を受けた者としての
運命か。
思わず自分でつっこんでしまうほど完璧に準備は既に済んでいたのだった。
店主のおっちゃんの大盤振る舞いには申し訳ないが、完璧に準備が整っているのだからしょうがない。
何も買わずに店から出るともう一度だけ
「なんであるの…」
と虚空に呟いた。
───────────────────
時は戻ってマウンドの上。
彼女の正面、つまり本来ピッチャーがいるべき位置には球を射出するマシンが設置されている。
試合前の肩慣らしだ。
ユーベルコード:テニスの世界
マシンによって射出される黄色いボールにユーベルコードを込める。
そして、威力は2倍になって飛んでいく。
他でもない、バッターボックスに立つ彼女のストライクゾーンへ。
「うりゃあ!」
テニスボールが木製バットに食い込んでカキーンと良い音を立てて飛んでいく。
おぉ、と観客が視線でボールを追うが黄色のテニスボールは瞬く間に青空の彼方に飛んでいってしまった。
ピッチャーマシンは続けざまに二球目を射出する。
またバットでホームランを見せるのか。それともラケットで打ち返すのか。
観客は彼女の二球目のプレーを固唾を飲んで見守った。
彼女は不敵にニヤリと微笑む。
「最初に言ったよね?私は野蹴庭・球。野球選手の“サッカー選手”にしてテニスプレイヤーなんだよねぇ!」
彼女は足を高く振り上げ、ギャリギャリと勢いよく回転するテニスボールを蹴球シューズで受け止める。
ユーベルコードによって威力の高まったボールの勢いと彼女の脚力によって生じた圧力によってテニスボールは楕円につぶれる。
そして、ボールが蹴り飛ばされるまでのほんのわずかな一瞬。
「もう一発!」
彼女は目で追いきれないほどの速度でもう片方の足を同じように振り上げ、ボールに二回目の蹴りを入れる。
ボールはプロ野球選手の打球よりも高く、テニスプレイヤーのスマッシュよりも素早く、そしてサッカー選手のシュートよりも鋭く飛んでいく。
当然、ボールが外に出ないようにグラウンドの外周に貼ってある緑色の網など突き破り、遥か彼方へと流星の如く飛んで、どこかへと消えていった。
試合開始前だと言うのに、スタンドがわぁっと沸き立つ。
それに彼女は手を振って応える。
「いやー、やっぱり私にぴったりなスポーツだね。(中略)球って。」
アップから二刀流とその足を華麗に捌いて何発もの打球を場外に飛ばしまくり、会場を沸かせる野蹴庭・球。
実況と解説がいればきっと
「実戦でその実力がどこまで生かされるか、期待したいところですね」
と言うのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
川村・育代
球技なら何やっても良いみたいだから、今回は小学生らしくドッジボールで行くわね。
降参させれば勝ちのルールとも相性が良いしね。
体操着に着替えてドッジボールのボールを用意してエントリーするわ。
グッドナイスブレイヴァーで配信しながらウォームアップやデモンストレーションをやって場を盛り上げるようにするわ。
●スポーツはみんなのもの
赤いランドセルを空いている客席に置いて川村・育代(模範的児童・f28016)はてくてくとグラウンドに設営された簡易更衣室へと向かう。
普段通りのレトロ感漂う女児服が動きにくいというわけではないけれど、ここからは“体育”の時間。
汚れ一つない真っ白な体育着と紺色のブルマに着替えて、最後に紅白帽を被ればどこからどう見てもその姿は“模範的児童”だ。
「1、2、さんしっ!」
怪我をしないようにグラウンドの隅で入念に腕や足を伸ばして準備体操をする。
その様子を見ていた観客たちがざわめきだす。
「あれって…子供よね」
「アスリートには見えないけど、大丈夫かな。さっきの子なんかすごい球を打ってたし…危ないんじゃないか?」
女児である彼女を心配する声がぽつりぽつりと出始めたのだ。
その声は彼女にはしっかりと届いていた。
猟兵であり、バーチャルキャラクターの悪霊 にしてゴーストキャプテンの彼女は普通の女児よりも強く、この競技を行う上で不安などはなかった。
何よりも自分が元気に運動することで少しでもいろんな事情があり学校へ行けず運動の機会に恵まれない子供たちを元気付けられたらいいな、と思っていた。
不安の声をあげる大人達にはオッケーのハンドサインを送り、彼女は動画撮影用のドローンをランドセルから取り出した。
ユーベルコード:グッドナイスブレイヴァー
ドローンは羽の音を微かに響かせて宙を舞い、そのカメラで彼女を捉え配信を始めた。
「こんにちは!今日はグラウンドでボール遊びをするよ!」
カメラの向こうにいる子供達に向かって挨拶をすると、早速貸出用の道具倉庫へと足を運んだ。
「球技なら何をやっても良いのよね?だったら今回は小学生らしくドッジボールで行くわね。降参させれば勝ちのルールとも相性が良いしね。」
カラフルで、柔らかい。彼女の顔の大きさほどのボールを倉庫から取り出した時だった。
「いいなぁ、私も遊びたい」
「かーちゃん、俺もあっち行って遊んでくる!」
そんな声が観客席から聞こえてきた。
そちらへ目をやると何人かの少年少女が退屈そうにグラウンドや育代の方を眺めている。
未だ開始時刻にならないことに飽きてしまったのか。それとも育代の姿を見て遊びたくなってしまったのか。
そんな子供達へ向かって、育代は手を振った。
「一緒に遊ばない?こっちにおいでよ!」
わぁっと歓声をあげて退屈そうにしていた子供達は目を輝かせ、駆け足でグラウンドに降りてくる。
「ドッジボールは一人で出来ないものね。それにみんなで遊んだほうがきっと楽しいよ」
あっという間に彼女は子供達に囲まれた。
そこにはざっと数えて一クラス分の人数が集まり、人数はこれで十分そうだ。
グラウンドに用意されたドッジボール専用コートへ移動し、グーとパーで二チームに別れたら早速デモンストレーションの試合の開始だ。
きゃあきゃあと声を上げてボールから逃げ回る女の子。
あえて手前に陣取って、敵チームから投げられたボールをキャッチする男の子。
その様子を育代はドッジボールに参加しながらも微笑ましく見ていた。
教育支援用バーチャルキャラクターとして沢山の子供と接する中で、いじめへの悲しみや怒り、病気への恐怖から自我が芽生え猟兵になった育代。
子供が楽しそうに遊んでいる姿を見るとやっぱり嬉しい気持ちで胸がいっぱいになる。
しかし、彼女はそんな子供たちを見守るだけではない。
明るく元気、そして面白いことが大好き。そしてほんのりとSな彼女は積極的にボールをキャッチし、敵チームの子供達に狙いを定めてそのボールを投げた。
逃げる子の背中を捉え、またある時はこちらを挑発しボールをキャッチしようと線のギリギリで声を上げる少年をフェイントを駆使して討ち取った。
教育支援用バーチャルキャラクターである彼女はこうやって子供達と遊んでいると、他の子供と同じように子供らしく愛らしかった。
いつしか観客席から彼女の出場を不安視する声は止んで、応援の声へと変わっていた。
「頑張れ嬢ちゃん!あと数人だ!」
「他の子も頑張ってー!」
誰しもが暖かな眼差しを向けてそのドッジボールの試合を観戦し、その光景から観客席の大人や配信を見ている子供達は元気と“自分も身体を動かしたい!”という気持ちをもらえたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ドッジボール・プレイヤー
ミヒツ・ウランバナマスターにおまかせします。かっこいいドッジボール・プレイヤーをお願いします!
「このボクが
闘球選手代表だあーっ!!」
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、アイテムもご自由に!多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●魅せろ!ドッジボール魂!
アスリートアースには野球や超人プロレスなどのメジャースポーツ以外にもカバディやぐるぐるバッドなど、いつかメジャースポーツの仲間入りを目指している“その他”スポーツと呼ばれるマイナースポーツが数多く存在する。
とある県営グラウンド
ここでは(中略)球と呼ばれるその他スポーツの試合開始が刻々と迫っていた。
猟兵チームに対するのはマイナースポーツ専門チーム“羽流Duck・Me!”
グリモア猟兵の予知によると、羽流Duck・Me!は競技人口の少ないマイナースポーツの全てを牛耳ることで裏の世界からアスリートアースを支配しようとしている。
さらに、道具の改造などの小細工や足をかけるなどのラフプレーを堂々と仕掛けてくるダークリーガーが来るまでもないほどダークなスポーツチームだ。
そんな羽流Duck・Me!がダークリーガー化してしまえば、(中略)球だけではなく多くのその他スポーツが被害を受けてしまうだろう。
「うおおおおお!!!そんなことは正義の
闘球選手!!!その他スポーツ
闘球代表のボクが許さないぞ!!!」
闘志をメラメラと燃やしながら県営グラウンドのドッジボール専用コートへと降り立ったのはドッジボール・プレイヤー(正義の超熱血ドッジボールヒーロー・f39223)だ!!!
6歳のその小さな身体に観客はみな驚愕し
「あの子が選手なのか?」
「何かの間違いじゃないのか」
「流石に無理があるんじゃないか」
とヒソヒソと不安を口にした。
ドッジボール・プレイヤーはコートの上で拳を握り締め、すぅっと息を吸った。
「このボクが
闘球選手代表だあーっ!!!」
周囲に、観客席に、晴天の青空に、ビリビリと声が響く。
ほんの一瞬の静寂が観客席を包む。
彼女の雄叫びと同じ程の歓声がワァっと湧き上がる。
スポーツに熱いアスリートアース。
堂々と自分がアスリートだと宣言する彼女を応援しない人はいない。
「やってやれぇ!」
「頑張ってー!」
「負けるなー!」
それぞれが思い思いの歓声をドッジボール・プレイヤーに送る。
彼女はぐっと両手を握り締め、みんなの声援を一身に受ける。
「応援ありがとう!ボク頑張るぞ!勝ってこの世界にドッジボールを広めるんだあぁぁぁ!!!」
両腕をばっと広げると観客一人一人に向かって大きく大きく手を振るのだった。
────────────────────────────────
「さて、ドッジコートに来たけど試合はまだ始まらないしどうしようかな!」
もちろんのことだが、ドッジボールは一人でできる競技ではない。
客席近くの壁にボールを投げて一人キャッチボールでもしようかとドッジボール・プレイヤーが思案していた時。
地面が扉のようにパカっと開き、ウィーンと音を立てて下から人の形をした風船型の的が九個、ドッジボール・プレイヤーの目の前、左右そして奥に出現した。
「なるほど!ストラックアウトみたいな感じだね!」
ポンポンと持参したドッジボール用のボールをドリブルのように扱いながら、一から九の番号がふられたバルーンを眺める。
指先でボールをくるくると回しながら、にぃっと笑いユーベルコード:
ドッジの世界を発動する。
指先で回るボールの速度がギュンギュンと加速していく。
威力は約1000倍。超音速を今にも越えそうな勢いでぐるぐると回っている。
一方で、風船型の的は先ほどまで風にゆらめき動くだけだったが急にまるで本物の人間のように縦横無尽に動き始めた。
ドッジの世界の効果でルールがドッジボールに変更された風船達は自由自在にコートを動き始めたのだ。
「ストラックアウトは野球!!!ボクがやりたいのはドッジボールなんだあぁぁぁ!!!」
超音速に達したボールを彼女は大きく振りかぶり、一番の的を目掛けて投擲した。
彼女の手から放たれたボールはさらにギュンギュンと加速していき、超音速のボールを風船が避けることは不可能でパァンと音を立てて的は破裂した。
そのまま後方へ向けて飛んでいくと思われたボールはギュルンっと軌道を変えて二番の的へ勢いを緩めることなく飛んでいき、二番の的を、そのまま三番四番…九番の的まで連続して命中した。
そしてボールは勢いをつけたまま彼女の元に戻ってくると、ドッジボール・プレイヤーはグローブでそれをガシッと受け止めてボールを頭上に掲げた。
「これが超人ドッジボールだあぁぁぁぁ
!!!!!!」
観客席から拍手の嵐が巻き起こる。
彼女は満足そうな顔でその割れんばかりの拍手を聞いていた。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
(ルールを真面目に読もうとして)
…これは、考え過ぎちゃ、だめ、ですね。
シンプルに、自分の球技で、勝つか、相手の球技で、負けを、認めさせるかで、考えないと、ですね。
とりあえず、野球の人が、いるようですし、それを想定して、練習して、みましょう。
ピッチングマシンから、出てくる、野球ボールを、打ち返して、みます。
感触の、違いに、苦戦しながら、相手(マシン)の、足元、狙ってみます。飛ばしすぎると、アウトに、なっちゃいますし。(テニス的に)
ネットが、ないので、まっすぐ、狙えますね。
…やれば、やるほど、直接当てるのが、一番いい気が、してきます、ね。
最終手段として、考えておくことに、しますね。
●(中略)球の攻略法
(中略)球のルールは非常に難解だ。
アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)はグリモアベースでグリモア猟兵がプリントしたルールの一枚を拾い上げる。
まるでアリの隊列だ。細かい文字がびっしりと神の両面に印字されている。
アニカはなんとかその内容を把握しようとするが、理解しようとするほど頭の中ではてなが踊る。
野球のボークのルールを見ていたはずが、気がついたらアメリカンフットボールのフィールドの解説に移っている。
「…これは、考え過ぎちゃ、だめ、ですね。」
ようやく一枚目を読み終えたところで、彼女はふぅ、と息をついた。
目の前には紙の束、いまだに印刷を続けるプリンター。
全て読み終わる頃にはきっと(中略)球の試合は終わっているだろう。
「シンプルに、自分の球技で、勝つか、相手の球技で、負けを、認めさせるかで、考えないと、ですね。」
みんなが共通して認識しているルール“勝ったら勝ち”
自分の球技で勝ちを認めさせるか、それとも相手に負けを認めさせるか
そのシンプルかつ難しいルールに彼女は頭を悩ませていた。
──────────────────────────────────────
時は流れ、アスリートアースに到着した彼女はガットにハートマークの描かれた可愛らしいテニスラケットを手に持ちグラウンドに現れた。
「次はテニスプレイヤーが現れたぞ!」
観客はアニカがそのようなテニスを見せてくれるのか興味津々だった。
しかし、彼女が立ったのはテニス用に線が引かれた簡易テニスコートではなくバッターボックスだった。
目の前にはピッチングマシン。
野球の硬球ボールを射出する、言うまでもなく野球用の設備だった。
「とりあえず、野球の人が、いるようですし、それを想定して、練習して、みましょう。」
アニカは真っ直ぐにピッチングマシンを見据える。
ウィィィィンと音を立ててマシンが稼働を始めた。
約150キロの硬球が彼女のストライクゾーンに向かって放たれる。
ストレートで放たれたボールをアニカのラケットは真ん中で捉えた。
普段受けるテニスボールと球速に大きな差はない。
しかし、手に掛かる衝撃が明らかに違う。重いのだ。
気を抜いてしまえばテニスラケットごと弾かれてしまうだろう。
打ち返したボールは大きく左側に逸れ、野球では確実にファールボールとなってしまう位置に着地した。
「やっぱり、普通の、テニスとは、感覚が違い、ますね。」
ボールの衝撃によってビリビリと痺れる手を手首からクルクルと回した。
ピッチングマシンはすぐに次のボールを射出する。
球速は変わらず150キロ。
彼女はストレートに飛んできたボールをラケットで受け止め、上腕に力を込めて正面に打ち返す。
何度も何度も、感覚を覚えるように繰り返して練習を続ける。
普段は絶対にあり得ない、テニスラケットで野球ボールを打つ感覚にアニカは苦戦する。
(飛ばしすぎると、アウトに、なっちゃいますし。)
テニスでは背後の線を過ぎて飛ばしすぎるとアウトになってしまう。
勝ったら勝ち、負けたら負けの(中略)球で自分のスポーツのルールで負けることは絶対にできない。
しばらく練習を続けていると、彼女はあることに気づく。
(ネットが、ないので、まっすぐ、狙えますね。)
それに気づくと上達は早かった。
普通のテニスではネットに当たってしまうような鋭角なボールをピッチングマシンへ打ち返す。
「これなら、どう、でしょう。」
ボールはマシンの足元に着地する。
ポーンポン、コロコロとそのまま転がっていく。
一度感覚を覚えて仕舞えば、次の球も、その次の球も。
飛ばしすぎることもなく、マシンに当たることもない絶妙な位置に球を打ち返していく。
「…練習は、このくらいで、十分、ですかね」
何球か思い通りの位置に球を当てることができるようになったアニカはラケットを下ろし、バッターボックスから離れる。息をついて汗を拭う。
「…やれば、やるほど、直接当てるのが、一番いい気が、してきます、ね。」
真面目に球技のルールに従うのではなく、ドッジボールの如く相手チームにボールを直接。
「最終手段として、考えておくことに、しますね」
あくまで最終手段。
なんでもありというルールの上でテニスはどこまで通じるだろうか。
そして相手の羽琉Duck・Me!は小細工やラフプレーを堂々と行ってくる極悪チームらしい。
「…あくまで、最終手段、ですが」
最後に一球、彼女は再びバッターボックスへと戻りピッチングマシンから吐き出された硬球ボールを打ち返す。
そのボールは、カン、と音を立ててピッチングマシンに当たった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ダークフィールダー』
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POW : 秘打ミラクルハリケーン
【その場での一本足高速回転】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD : レーザービーム投法
速度マッハ5.0以上の【殺人レーザー】で攻撃する。軌跡にはしばらく【質量を持つ光】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : 球場大乱闘
攻撃が命中した対象に【狂乱の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【狂乱した周囲の人々の乱闘】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:皿田
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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ウーーーーーーーーーーーッ!!!!
サイレンの音。
試合開始の合図だ。
ダークフィールダー達が遂にマウンドに上がる。
その人数は9人ではない。
9人のダークフィールダーと色違いのダークフィールダーが9人。
18人。そう、二チーム分の人数だ。
ピッチャーが球を投げ、バッターが打つ。
一本足打法で打った球は軽々とフェンスを越える。
次のバッターが打った球はグラウンド後方へ落ちる。
ライトがボールを拾い、速度マッハの殺人レーザーでセカンドへ走る打者を差そうと球を投げる。
ちょうどよく見応えのある野球が県営グラウンドで繰り広げられる。
明らかな談合野球だが、これは(中略)球。
観客はまるでフィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングの名演を見ているようだ、と湧いている。
ビールが飛ぶように売れていく。
貸出用の野球用具は全て使われ、その他球技の用品は“何者か”によって破壊されている。
もしも自分達の完璧な談合野球を邪魔する人が現れれば、速度マッハのデッドボール、もしくは場内乱闘も辞さないだろう。
川村・育代
マジカル・チェンジで変身して乱闘勝負に持ち込むのも悪くないけど、今回はあくまでもドッジボールで勝負するわ。
突っ込んで来る相手めがけて全力でボールを投げつけるわ。
(呪詛+呪殺弾で呪いの塊にしたボールをカウンター気味に叩きつけて更に威力を上げるわ)
かわしきれない相手はギリギリでかわしたり、手近な敵を捕まえて盾にして防ぐわ。
更に連鎖する呪いでデッドボールやすっぽ抜けたバット、ピッチャー返しの直撃、殺人スライディングの誤爆などの同士討ちを多発させて自滅させるわね。
今回は観客も大勢いるから、観客受けが良いように派手にやるようにするわね。
●乱闘騒ぎと連鎖する不幸
不気味に光るダークフィールダーの目。
いや、目だけではない。
紫色のオーラに包まれた彼らは、マウンドに上がる異端分子を許さない。
幼い女児の姿をしたバーチャルキャラクターの川村・育代(模範的児童・f28016)も例外ではない。
彼女がマウンドに上がった瞬間、選手達は眉間に皺を寄せてベースボールキャップを地面に叩きつけた。
「ガキが俺たちの球場に勝手に入ってきやがったな…場内乱闘上等だ!」
一人の選手がまるで盗塁のように血走った目を彼女に向けて走り出し、スライディングをして土埃をあげながら彼女に迫った。
しかし、育代はただのか弱い小学生ではない。
彼女はいじめへの怒り、病気への恐怖心など負の感情を両手の間に呪殺弾として込める。呪詛をその周りに纏わせて丸く丸く、ドッジボールのようにかたどっていく。
「マジカル・チェンジで変身して乱闘勝負に持ち込むのも悪くないけど、今回はあくまでもドッジボールで勝負するわ。」
なんてったってこれは(中略)球。
勝つならばボールを使わないといけない。
ルールも何もかもが曖昧なこの競技において数少ない共通認識のルール。
それは“ボールを使う”ということ。
ボールを使うだけで、目下彼女の元へスライディング中のダークフィールダーよりも彼女の方が優位に立つことができる。
「それだけ勢いがいいなら、逆に利用してあげるわね」
土を巻き上げながら滑り込む選手の勢いを逆手に取る。
彼女は勢いを殺さないようにギリギリまでダークフィールダーを引き付け、スライディングが当たるギリギリのところで飛び退きながらカウンター気味に黒い感情の籠ったお手製ドッジボールを彼の顔面めがけて投げつけた。
ポーンッとボールの当たる軽い音。
しかし、実際には数多の子供達が背負う負の感情が籠った一撃。
その悲しく黒い感情は到底一人で受け切れるものではない。
スライディングは彼女に当たることなく柔らかいはずのドッジボールによって勢いを殺され、ダークフィールダーはそのまま赤いボール痕の残った顔を天に向かって晒しながら気絶した。
会場がその光景に歓声をあげる。
「ドッジボールが野球に勝ったぞ!」
「そうか!(中略)球ってこういうのなんだ!」
歓声の内容は人それぞれだが、その多くが幼くも強かな育代が野球選手をドッジボールで討ち取ったことへの賞賛の声だった。
ルールをイマイチ理解していない主審もこれには、大きくホイッスルの音を響かせ
「アウトォ!!!」
と元気な声でにジャッジを下し、気絶しているダークフィールダーを外野送りにした。
「待って、あなたにはまだ役割が残っているわ」
育代は気絶から目を覚まし、ふらつく頭で立ち上がり外野に行こうとしたダークフィールダーの肩を押して再びその場に座らせた。
「いい気になってるのも今のうちだぜ!」
不幸な事にそこには二発目のスライディングが迫っていた。
彼女の足元を狩ろうとしたスライディングはもちろん哀れなチームメイトに命中。
同士討ちとなって、気絶する選手が二人に増えた。
“不慮の事故”は決まって立て続けに起こるものだ。
彼女のペースに飲まれてはいけないと自分達の野球を続けようとするピッチャー。
振りかぶって投げる瞬間に、ほんの少しだけ手元で硬球が滑った。
ど真ん中のストレートのつもりで投げた球は、バットに当たる直前で角度を変えてバッターの腹部へとストライク。
デッドボールの衝撃でバッターの手元からすっぽ抜けたバットは綺麗にくるくると円をかいて飛んでいく。
スライディングでは埒が開かないと直接その手で育代を始末しようとグラウンドを駆けていた選手の視界の外だった。
不幸にも、すっぽ抜けたバットは選手に直撃する。
そこにまた殺人スライディングが誤爆するのだから、やはり不幸とは連鎖するものだ。
育代の放つ“連鎖する呪い”は18人のダークフィールダー全員に降り掛かり、誤爆に次ぐ誤爆、同士討ちに次ぐ同士討ちを引き起こしていた。
見る人が見ればグラウンドを使ったコントと見間違えたかもしれない。
そんな荒々しくもダイナミックな(中略)球に、観客席からは歓声と笑いが止まらない。
自滅していくダークフィールダー達。
彼らに向かって育代は言い放った。
「まだ、私の手元にボールは残っているわ」
再びドッジボール型呪殺弾をその手の中に作り上げる。
育代の宣言に会場はさらに沸き立つ。
ピッチャー返しの球を顔面にくらって、ぐらり、体勢を崩したピッチャーにトドメと言わんばかりの呪殺弾の一撃。
「少し派手にやりすぎちゃったかもしれないわね」
最後の一撃をくらって吹き飛ぶピッチャーとあたりの惨状を見て育代は呟く。
しかし、その表情は笑顔であった。
未だグラウンドに響く彼女への熱い声援と拍手の嵐に、そのままの笑顔で彼女は元気いっぱいに手を振った。
大成功
🔵🔵🔵
白嶺・踊子
マイナースポーツを牛耳るなんて言われたら見過ごせないわね。
新体操にだってボールの種目があるんだから
当・然!この(中略)球にも含まれているわよね★
打席に乱入してにこやかに一方的にバッター交代を宣言。
怒った敵がUC球場大乱闘を使ってきたらあえて刻印を受けて。
「女の子を大勢で襲うような悪い人達はお仕置きよ★」
狂乱した周囲の人々を新体操のリズミカルなステップで翻弄しつつ
全員をUC寵姫の瞳で魅了。
骨抜きにした敵の群れを新体操のボールを武器に弾き飛ばしたり
柔軟性を生かした変幻自在な蹴り技などで撃退していくわ。
その(中略)新体操の華麗な演技を観客や審判に笑顔でアピール♪
会場を盛り上げて勝ちを証明してあげる☆
●(中略)新体操
羽琉Duck・Me!の“競技人口の少ないマイナースポーツの全てを牛耳る”という野望を聞いて黙っていられるマイナースポーツアスリートはいるだろうか。
否、そんなアスリートはここアスリートアースには存在しないだろう。
「マイナースポーツを牛耳るなんて言われたら見過ごせないわね。」
白嶺・踊子(舞闘雪姫・f36103)も羽琉Duck・Me!の野望に黙ってはいられないアスリートの一人だった。
「新体操にだってボールの種目があるんだから、当・然!この(中略)球にも含まれているわよね★」
そう言って一人の審判に微笑む。
新体操用のボールを持つ手の爪の艶やかさ。日本人形のような美貌。抜群のプロポーション。絹のような色白の肌。
そんな彼女にニコリと微笑まれた審判はギリギリ覚えていたルールもポロッと頭から抜け落ちて、ただただコクコクと真っ赤に染まった顔を縦に振ることしかできなかった。
────────────────────────────────────
グラウンドではダークフィールダーの談合野球が淡々と進んでいる。
淡々とは言うものの、談合しているだけあって普通に面白い野球の試合として観客には受け入れられていた。
ネクストバッターサークルから次の選手がバッターボックスへと歩みを進める。
「あら、バッター交代よ★」
踊子は強引に選手とバッターボックスの間に割って入り、選手の交代を宣言する。
予想外の事が起こってこその(中略)球。
しかも唐突に美女が打席に割り込んできたとあれば観客の中には誰一人として咎めるものはいない。
だが、面白くないのは割り込まれた次の打者であったダークフィールダーだ。
「どけ女!次のバッターは俺だ!」
次の打順のはずだった彼は荒々しく彼女の肩に掴みかかった。
狂乱の刻印が踊子に付与される。
彼女は強引に肩を掴んできたダークフィールダーにニコッと微笑む。
まるで天女のような笑みを間近で見た彼は、ポッと顔を赤らめてまさに骨抜きにされてしまった。
「はい、これは没収ね★」
ぼんやりと全身から力が抜けたバッターから簡単にバットを奪い取ると、彼女は暴動が起こる前にポイッと簡単には手が届かないように投げ捨てた。
「俺たちの野球、勝手に邪魔されちゃ困るんだけどなァ!」
ピッチャーのその声に、内野にいた選手も外野にいた選手もゾロゾロと彼女の元へ集まり始める。
彼女の周囲をぐるりと囲み、今にも乱闘が起こりそうな雰囲気がグラウンドを包み込んだ。
乱闘開始の合図とでも言おうか。
「オラァ!」
ピッチャーが先陣を切って彼女に殴りかかった。投手に続いて他の選手陣も彼女へ拳を振るおうとした。
彼女は新体操のリズミカルなステップで、一人、また一人と拳を避けていく。
子鹿のような軽やかな足捌きに観客達は、おぉと息を飲んだ。
くるりくるりと舞いながらダークフィールダー達の攻撃をかわしていく。
ついにその暴徒達の間を通り抜け、ピッチャーマウンドへと躍り出た。
「女の子を大勢で襲うような悪い人達はお仕置きよ★」
そう言って、踊子は真っ赤なボールを片手に掲げてダークフィールダー達にウィンクしてみせる。
きゅんっ、という音が聞こえてきそうだった。
選手達の胸に射抜かれたハートが見えそうだった。
踊子の寵姫の瞳に魅入られたダークフィールダー達は、彼女を追いかけ掴みかかろうとした格好や拳を握りしめたまま固まってしまった。
先程の審判やバッターと同様に徐々に顔を朱に染めていき、一人また一人と固く握った拳をだらりと下におろしていった。
骨抜きにされたダークフィールダーの群れへと彼女は再び軽やかなステップで向かっていき、華麗なジャンプとともに彼らに蹴りを入れる。
ボールを高く高く放り投げると、その軌道に合わせてターンとジャンプ、そして敵への蹴りを織り交ぜた素晴らしいステップでグラウンドを駆けた。
その新体操の演技の一つ一つ、敵への攻撃の一つ一つが美しいことはもちろんな事、演技中の彼女の笑顔の美しさに会場中は虜になっていた。
ボールを完璧な位置で受け止めると、彼女は再び華麗な足技でダークフィールダー達を蹂躙し、赤いボールで彼らを弾き飛ばした。
元々骨抜きにされていた彼らはふにゃりととろける様に倒れ地に伏していった。
「私の(中略)新体操、ご覧いただきありがとうございました★」
手のひらの上にボールを掲げ、彼女は柔軟性を駆使した美しいY字バランスで(中略)新体操の演技の最後を飾った。
演技中彼女は笑顔を崩さず、最後はとびきりの満開の笑顔を観客と審判に向けた。
その美貌に人々は魅了され、観客は拍手を忘れ、審判は判定を忘れるほどだった。
しばらくすると、観客は一人また一人と観客席から立ち上がり割れんばかりの拍手と歓声を彼女におくった。
審判も自分の役割を忘れて、彼女、そして彼女の(中略)新体操へ拍手を捧げた。
(中略)新体操が公式競技化するのもそう遠くはない未来かもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
…あちらだけで、完結されちゃうと、どうすればいいか、困ります、ね…。
なので、とりあえず、こっちを見てもらうことに、しましょう。
テニスボールで、サーブを、タイミングよく、叩き込み、ます。
キャッチャーさんの構えたミットや、野手さんの近く、ピッチャーさんには、足元狙っても、いいかも、ですね。
高速デッドボールは、ラケットでボレーショットで返していって…
場内乱闘に、来てくれれば、あとはこちらのもの、です。
わたしは、「テニスプレイヤー」にして、「プロレスラー」、です。
そっちが、仕掛けて、来たんですから、お返ししたって、いいです、よねっ
(乱闘に来たところをカウンターでばったばった投げ飛ばし)
★
●テニスプレイヤー×プロレスラー
アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)はグラウンドの隅で困ったように眉を下げていた。
「…あちらだけで、完結されちゃうと、どうすればいいか、困ります、ね…。」
急にどやどやと沢山のダークフィールダー達がグラウンドに入ってきたかと思えば、アニカを押し退け各々がポジションについた。そうして色違いのユニフォームだから別チームなんて名乗りだして、そのまま彼らだけで試合が完結する“談合野球”を始めたのだった。
たとえデッドボールでも、ホームラン級の打球でも、こちら対あちらであれば何とでも対処することができるのだが…このままではいけない。
「とりあえず、こっちを見てもらうことに、しましょう。」
レモンイエローの
庭球ボールを真っ直ぐに高く放り投げ、タイミングよくサーブを放った。
そのボールは、時にキャッチャーの構えたミットにピッチャーのストライクが収まる寸前に。時に、ライト方面に飛んだ硬球を追う野手を遮るように目の前に。またある時にはピッチャーがボールを投げようと足を踏み出そうとした、その足元へ。
パコンッといい音を鳴らしながら何球も何球も、ダークフィールダー達がこちらを無視して試合を進めることが不可能になるまでサーブを放った。
ピッチャーがセットポジションにつきキャッチャーにボールを投げようとしたその時、踏み出した足がテニスボールを踏みつけ身体のバランスが崩れそうになる。
転ぶには至らなかったが、投げようとした硬球がその手を離れることはなかった。
途端に主審が声を張り上げる。
「ボーク!」
ダークフィールダー達が動揺しざわめきだす。
野球では、セットポジションについた後ピッチャーが不自然な動きをしたり、ボールを投げなかったりした際にボークが宣言される。
ルールのほとんどないこの(中略)球において自ら招く失点やプレーミスは絶対に避けなくてはいけない。
この談合野球では自分達が思い描くプレー以外が起こることなどあってはならないのだ。
「…やってくれたな、そこのテニスプレイヤー!」
「ようやく、こっちを、見て、くれましたね」
ピッチャーはチッと舌打ちをすると、アニカに向かって高速のデッドボールを投げた。
アニカは横に飛び退き、そのボールをラケットで捕らえてそのままの勢いでピッチャーに返す。
何球ピッチャーがデッドボールを投げようと、彼女は身軽なフットワークで避けてボレーショットでお返しする。
テニスは野球に比べると明らかに打率の高い球技だ。
むしろこのデッドボールとの戦いはテニスプレイヤーにとって武がある勝負と言っていいだろう。
さらに、まだ年端のいかない少女が豪速球を返しまくる姿に観客達が味方につき始めた。
彼女を応援する声や、大人気ないぞ!などのダークフィールダーへのブーイングが起こり始めたのだ。
どんどん、ダークフィールダー達の談合野球が思い描く方向から外れ始めた。
「クソッ…こんなガキ、さっさとやっちまおうぜ!」
ピッチャーのその声を合図にしてアニカの元へダークフィールダー達が集まり始める。
場内乱闘の時間だ!
ダークフィールダー達は思い思いの怒声を彼女に浴びせる。
それに対して観客達のブーイングは激しくなっていくが、狂乱した彼らにはもう届かない。
ダークフィールダーが一人、彼女の前に躍り出ると拳を固め勢いよく彼女に殴りかかろうとした。
しかし、ここまでは全てアニカの計算通りだった。
鋭い拳を掻い潜り、選手の襟首を掴むと背負い投げの要領で選手を投げ飛ばす。
投げ飛ばされたダークフィールダー、そして彼女の周りにいたダークフィールダーはポカンと呆気に取られている。
「 わたしは、『テニスプレイヤー』にして、『プロレスラー』、です。そっちが、仕掛けて、来たんですから、お返ししたって、いいです、よねっ」
「プロレスラーだとォ!?」
ダークフィールダーと観客席から同時に驚嘆の声が上がった。
テニスプレイヤーにしてプロレスラー、聞いたことがない響きだった。
それにこんなに幼い子が?
「何がプロレスラーだ!適当抜かしやがって!」
そう言ってまた何人もの選手が拳を握りしめ、彼女に襲い掛かる。
「適当じゃ、ないです、よっ。そこで、寝ていて、くださいっ」
彼女に乱闘を仕掛けたダークフィールダーはバッタバッタと投げ飛ばされ、グラウンドの上で気絶する羽目になった。
彼女のそのたくましさと、合気道のような、防衛術のようなダイナミックな乱闘に会場はさらに沸きたった。
「次は、誰が、来ますかっ。いくらでも、お返し、しますよ」
そう言って構えをとる彼女の目にはプロレスラー特有の、熱き闘魂が宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵
松井・一朗
ガハハッ!!野球と言えばこのオレだっ!!
人呼んで、野球選手界のスーパーヒーローッ!!
そうだッ!!オレだぜ!第六学園野球部主将……マツローだぜッ!!
行くぜッ!!
炎の巨人軍ッ!!
炎の巨人軍を8人になるまで合体させ、追加UCの必殺打法「フレイムブリンガー」でどんどんカッ飛ばしてやるぜぇーッ!!!!
●燃やせ!野球魂!
「ガハハッ!!野球と言えばこのオレだっ!!」
その声に観客席はハッと息を飲み、その声の主を探す。
ビリビリと鼓膜に響くような声量。
5メートル越えの巨体。
燃えるような野球魂を纏った巨人バットには“一球入魂”の文字。
胸には“第六学園”の刺繍。
「人呼んで、野球選手界のスーパーヒーローッ!!」
8月9日(野球の日)生まれの高校球児。
アスリートアースで知らぬ人はいない、第六学園の野球部
主将。
人々は次々に彼の愛称を口にする。
「マツローだ!!」
「マツローが(中略)球グラウンドに来たぞ!!」
「マツロー!!」
「そうだッ!!オレだぜ!第六学園野球部主将……マツローだぜッ!!」
わぁっと観客席から歓声が上がる。
巨人の闘魂の炎が宿るその瞳は太陽のように光っていた。
肩に担いだ巨人バット。
肩慣らしに一振りすれば強風が吹き、ダークフィールダーの帽子を遠くへと吹き飛ばした。
「(中略)球はパフォーマンス力も重視されるらしいなッ!パフォーマンスなら俺に任せとけッ!行くぜッ!!
炎の巨人軍ッ!!」
彼が予告ホームランのようにバットを掲げると、彼と同じ燃えるような野球魂を宿した言葉通り“巨人”の野球選手が次々に召喚される。
「ガハハッ!!今からここに野球場を建築するぞッ!!」
呆れ顔でダークフィールダーが、はぁ?と口にするよりも早く炎の巨人軍《フレイムジャイアンツ》は地方の県営グラウンドをどんどんと野球場に改造していく。
消えかけの白線は真っ直ぐ純白な線へと生まれ変わった。
客席も、二階席、バルコニー席、一階席外野席、そしてエキサイティングシートとまだまだマイナースポーツである(中略)球には勿体無い程広く、きっと55,000人程の人数が収容できる巨大な客席へとみるみるうちに変わっていく。
巨大な体躯を生かし、バックスクリーンを取り付け、雨風に野球のプレーが左右されにくいように天井膜を張ったら全天候型野球用スタジアムがものの十分ほどで完成してしまった。
会場に設置されたスピーカーからはいつの間にか“第六学園野球部の歌”が流れている。
会場を作り替えてしまうそのスピードと荒技に観客はドームの規模に負けないほど沸き立つ。
「すげー!!流石マツローだ!!」
「すごいぞマツロー!!」
「ねぇマツローがいるって聞いたんだけど!!」
マツローがいることを聞きつけた野球ファンが少しずつ集まり出す。
場内に人が増えていき、更にマツローへの歓声が増えていく。
自分達の談合野球を邪魔されたものの、ここまで立派な野球場を作り上げられると同じ野球プレイヤーとしてダークフィールダー達も文句は言えず、自分達のチームのためにマツローが作り上げたダッグアウトの中で苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「マツローだかなんだか知らねぇが、こうなっちゃあ仕方ねぇ…俺たちと野球で勝負だ!」
ダークフィールダー達はマツローにそう言い放つとマウンドへ駆けていく。
どうやら先攻は譲ってくれるようだ。
「ガハハッ!!野球で勝負!!そうこなくっちゃな!!やるぜ!!
炎の巨人軍ッ!!」
その掛け声で大勢いた
炎の巨人軍は八人になるまで合体する。
九人VS九人
真っ当な野球の試合が始まろうとしていた。
────────────────────────────────────
打席は回って、四番松井・一朗。
場内アナウンスが彼の名前を告げた時、会場は大いに湧いた。
「マツロー!!」
「お前のホームランを見せてくれマツロー!!」
「ぶちかませマツロー!!」
いつの間にか会場にはマツローにエールを贈る応援団も応援団も現れ、トランペットの音は高らかに“第六学園野球部の歌”を奏でている。
「おう!!
炎の巨人軍に続いてどんどんカッ飛ばしてやるぜぇーッ
!!!!」
彼へ向かって贈られる歓声の中、ファンの全員に聞こえるように大きな声を張り上げてバットを掲げる。
そのバットの指す先は当然バックスクリーン。
「ホームラン予告か…舐めやがって!こちとら三人連続ホームラン打たれてイラついてんだ!テメェだけは三振に討ち取ってやるよ!」
打順一番二番三番の
炎の巨人軍達にホームランを打たれて相当頭にきているのか、ピッチャーは激昂して帽子をマウンドに叩きつけた。
マツローは5メートルを超える巨人である。
つまりストライクゾーンがかなり広いということだ。
ピッチャーは内角高め、ホームランを打ちづらい位置を目掛けて殺人ストレートを放った。
マツローのバットを炎が包む。
彼の熱き野球魂が具現化したかのような炎は、彼自身の瞳にも宿っていた。
「うおりゃぁぁぁ
!!!!」
バットの芯で殺人ストレートを捉える。
ホームランバット「一球入魂」に打たれたボールは吸い込まれるようにバックスクリーンに直撃する。
波打つように歓声が轟いて、ドーム内で湧き出したそれは全てマツローへ投げかけられる。
ガハハッ!!とそれに笑顔で返すと、マツローは意気揚々と手を振ってその声援に答えながらダイヤモンドを回り始めた。
大成功
🔵🔵🔵
蹴球選手・サッカーボール
対戦相手は野球チームかぁ…… (あーあ、誰かボクを蹴ってくれないかなー?)
まあ、それなら……サッカーで勝負だっ!!
何故ならボクは、サッカーの為に生まれてきた存在だからね!
サッカーシューズで、サッカーボール(武器に魔法を纏う+雷の属性攻撃)をシュート!
そして、ユーベルコード「錬成カミヤドリ」を発動だあーっ!!
本体含めて104個の分身誘導サンダーシュートを喰らえええええっっ!!!!
●野球場はサッカーボールまみれ
「対戦相手は野球チームかぁ……」
県営グラウンドの隅で非常に残念そうに眉をひそめているのは蹴球選手・サッカーボール
(サッカーのヤドリガミ代表選手・f39578)だ。
背番号10番。11月11日、サッカーの日生まれ。
6歳の美少女巨乳女子小学生のサッカーボール。野球にはあまり興味がない。
(あーあ、誰かボクを蹴ってくれないかなー?)
なんてダークフィールダー達を見ながらため息をつく。
あのピッチャーの立派な大腿筋。
あの大腿筋で蹴られたらどれだけ気持ちいい事だろうか。
スライディングする走者の足の速さ。
その勢いで蹴り飛ばしてもらえたらどれだけ遠くへ吹っ飛んでイけるだろうか。
「みんな野球じゃなくてサッカーしたらいいのになぁ……」
そうしたらボクと友達になってもらえるのに。
「たくさん蹴ってもらえるのに…!」
悔しくて眉間の皺が深くなり、地団駄を踏む。
もう一度ため息をついて項垂れていた頭を上げる。悔しがっていても目の前で着々と野球は進んでいく。
「まあ、それなら……サッカーで勝負だっ!!何故ならボクは、サッカーの為に生まれてきた存在だからね!」
相手が野球をしているのだったら、それを上回るサッカーで勝てば良い。
それがこのスポーツ、(中略)球の鉄則である。
おもむろに自身の本体を取り出す。
もちろん本体とはサッカーボールである。
超人アスリートのキック力を増強するサッカーシューズの靴紐を結んで準備は完了。
グラウンドにサッカーボールを置くと思い切り足を振り上げる。
今まさにボールをキャッチャーに向かって投げようとしているピッチャーを目掛けて
本体を蹴り上げる。
サッカーボールにサッカーシューズが触れた瞬間、バチバチバチッ!と電気がサッカーボールにまとわりつく。その電気はまるで雷のように激しく稲光と音を放った。
ギュンギュンと回転数と雷の勢いをあげながらボールはピッチャーを目掛けて飛んでいく。
「は?」
ピッチャーが気がついた時にはもう遅い。
まるで本物の雷が落ちたような強い雷属性の衝撃が炸裂する。
サッカーボールを食らったピッチャーは黒焦げになり身体を痺れさせながら地に伏せた。
「テメェ!急に何しやがる!」
外野の選手がその様子を見て、サッカーボールに睨みを効かせる。
右手を大きく振りかぶって、殺人レーザーを彼女に向かって投げた。
彼女にボールが当たると思われた瞬間、彼女はそのサッカーボール程の大きさの胸を揺らしながら大きくジャンプし硬球を蹴り飛ばし相手に向かってその一球を勢いを倍にしてお返しした。
「サッカーじゃなくて野球をしてるキミたちが悪いんだよ!」
ピッチャーの近くに転がっていた自身の本体を念動力で自らの手の中に戻すと再び地面に置いてそう言った。
「さて、一気に片付けるよ!ユーベルコード『錬成カミヤドリ』を発動だあーっ!!」
そう言いながら先ほどとは比にならない勢いで本体を蹴る。
「本体含めて104個の分身誘導サンダーシュートを喰らえええええっっ
!!!!」
蹴られた本体は分裂し、それぞれが十八人のダークフィールダー達を襲う。
真っ直ぐに蹴られたボールだったが、104個のサッカーボールはそれぞれに軌跡をぐにゃりと曲げる。
一個はキャッチャーに向かって。
一個はバッターに向かって。
一個は黒焦げになって痺れているピッチャーに向かって。
その他、野手やダックアウトに控えている選手も逃さない。
雷属性を纏ったボールが一人残らず追い詰めていく。
18人に対して104個。過剰とも言えるその威力にダークフィールダー達はなすすべもなく、一人、また一人と撃沈していった。
その様はまるで104個のサッカーボールと雷が踊るようで、会場にいる観客達は芸術的とも言っていいその光景に圧巻され、
サッカーボールへ大きな歓声を捧げた。
「うーん…自分で自分を蹴ってもやっぱり物足りないや」
こうして瞬く間にダークフィールダー達は猟兵達との勝負に敗れ、グラウンドの上に倒れ伏す事となった。
「すげーな嬢ちゃん!野球に対してサッカーで挑むなんて、すごい(中略)球力だ!」
「サッカーボールいっぱいあってカッコ良かった!」
彼女の近くにいた観客が各々の賛美を彼女へ贈る。
サッカーボールはその中で一番サッカー選手っぽい人に本体を手渡す。
「褒めてくれてありがとう!さぁ、次は君がボクを蹴り飛ばして♡」
そう言って満面の笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『トワイスアッパー』
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POW : ああ、栄冠は、俺たちに輝く!
自身の【参加している競技に関係する物品】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【ダークリーガー】を召喚する。
SPD : 負けないぜ、もう少し!
技能名「【振り絞り】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : やり出せ、声出せ、目玉だぜ!
戦闘力のない、レベル×1体の【フーリガン】を召喚する。応援や助言、技能「【団体行動】」を使った支援をしてくれる。
イラスト:壱屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●本物の(中略)球?
「あちゃ〜、ダークフィールダー達はダメだったかぁ」
少女が一人、グラウンドに入場する。
彼女は白と赤の玉を器用にジャグリングしている。
「でもね、アナタ達の(中略)球力...まだまだだね」
そう言うとビシッとこちらに向かって指を突き出す。
その背後では羽琉Duck・Me!のマスコットのダッくんが玉入れの籠をセットしている。
「アタシが本物の(中略)球を見せてあげる!」
彼女は白と赤のボールを天高く放り投げた。
それと共に飛び上がるとおもむろにバットを取り出しボールに向かってフルスイング!
四散した白と赤のボール達、その着弾点に先回り!
一つ一つにサッカー選手のごとく蹴りを入れていく。
軌跡を描き飛んでいくボール達、その先には猟兵達用に用意された籠。
支柱や籠の底にボールは命中して、猟兵達の籠は見るも無惨な姿に!
跳ね返ったボールの最後の行き先は、先程ダッくんが設置した“ダークリーガー用”の籠の中。
彼女の芸術的な(中略)球で籠はすっかり山盛りになってしまっている。
「さあ、アタシの(中略)球についてこれるかな!」
そう言う彼女の手の中には猟兵達の邪魔をするための赤白球が既に準備されていた。
白嶺・踊子
本物の(中略)球ね…
いいわ、(中略)新体操でお相手してあげる。
敵が私達の邪魔をしようとUC負けないぜ、もう少し!
を使って全力を振り絞り投げてきたら
リボンで敵陣の籠を投球の前に引き寄せて
私達の籠と同じように自分の籠も粉砕させてあげる。
オウンゴール…(中略)の悲劇ね★
UC新体操舞闘術で敵の攻撃力を削りつつ
壊れた敵の籠から零れ落ちた球を
ボール演技の要領で投げ入れたり
こん棒で打ち上げたり
I字バランスで蹴り入れたり
優雅な演技で籠に入れていって観客にアピールするわ。
勝ったと観客や審判に思わせたチームの勝ち…
つまり(中略)球の神髄とは新体操等の採点競技と同じということ。
球技の選手には分が悪い球技だったわね♪
●(中略)球VS(中略)新体操
“本物の(中略)球を見せてあげる!”
そう高らかに宣言したトワイスアッパー。
彼女の手の中で赤と白のボールがくるくると踊っている。
その堂々とした佇まいに白嶺・踊子(舞闘雪姫・f36103)の闘志に火がついた。
「本物の(中略)球ね…いいわ、(中略)新体操でお相手してあげる。」
新体操用のリボンをくるりくるりと身体の周りで遊ばせて、彼女はトワイスアッパーと対峙する。
真っ赤なリボンがまるで天女の羽衣のようだ。
ボール競技で見せた彼女の魅力とはまた違う、より女性らしく柔らかそうな様子は活発で元気いっぱいのトワイスアッパーと対極的だ。
「(中略)新体操ってなんだよぉ!!!(中略)球の試合に別競技を持ち込んでくるなぁ!!!」
そう腹の底から声を振り絞りながらトワイスアッパーは右手に赤、左手に白のボールを持ち踊子に向かって全力で放り投げた。
うねりをあげて勢いよく飛んでくる二色のボール。
「あら、さっきも言ったわよ。新体操にだってボールの種目があるんだから★」
彼女はまるでカウガールのように、リボンを操り“羽琉Duck・Me!”の籠の軸にリボンを巻き付ける。
クッと力を込めるとぐらり、カゴが斜めに傾く。
倒れていくカゴにトワイスアッパーが踊子へ向けて投げた投球が命中し、カゴの底に命中。羽琉Duck・Me!のカゴも粉砕してしまった。
「んなっ!?」
「オウンゴール…(中略)の悲劇ね★」
リボンをひらりひらりと身体の近くに纏わせながら、踊子は片足でバランスをとりポーズをとる。
ここからは(中略)新体操の演技の時間だ。
側転で猟兵チームのカゴへ近づくと複雑に、しかし甘美にゆったりとリボンを動かしてカゴに赤いリボンを絡ませて損傷箇所を修復していく。
敵チームのカゴからこぼれ落ちたボールをロンダートをしながら拾い上げる。
右腕から左腕へと転がし勢いをつけて、新体操の演技をしながら高い位置にあるカゴの中へと一個また一個と放り込んでいく。
「修復したからなによ!また壊せばいいもん!」
そう言って、カゴに近づこうとするトワイスアッパー。
「まだ私の演技中よ。近づいたら危ないんだから★」
いつの間にかフープを手にしていた踊子。
手先や足先で思うがままに回して、トワイスアッパーを寄せ付けない。
「新体操の手具にはこういう使い道もあるのよ♪」
そう言いながらフープの中でバレリーナの如くクルクルと回る踊子。
フープの次は
クラブ。
両手の指先でクラブを遊ばせながら、次々に赤と白のボールをそのクラブでカゴへ向かって打ち込んでいく。
赤いリボンで彩られ飾られたカゴの中に、着々とボールは溜まっていく。
玉入れとは思えない優雅さだった。
彼女のしなやかな新体操の動き。それは指先から足の先まで手を抜くことはない。
軽やかなステップでボールを拾い集めるその姿はプリンセスのような、妖精のような。
彼女の頬に伝う汗さえ美しい。
新体操についての知識がない者でも思わず見入ってしまうようなそんな演技だった。
ピンと伸びた足先でボールを一つ蹴り上げると、そのままI字バランスをとりバランスを取る。
その体幹の見事なこと。一ミリもブレる事のないその姿はまるで美しい彫刻のようだった。
「私の(中略)新体操はいかがだったかしら。ご覧いただきありがとうございました★」
踊子はI字バランスを解くと観客や審判に一礼する。
その素晴らしい演技に心を奪われてぼんやりとしていた観客達は、ハッとして次々に拍手を送った。
グラウンド中の観客も審判も、彼女へと賞賛という名の拍手を与えるその光景。
それが気に食わないのがたった一人いた。
トワイスアッパーだ。
「アンタは新体操をしていただけじゃない!(中略)新体操とか言って…(中略)球をしてないじゃない!」
認めない!認めない!と技術で勝てないとわかったら今度は言いがかりをつけ始めた。
踊子はその艶やかな唇から一つ息をつくとトワイスアッパーへと言った。
「勝ったと観客や審判に思わせたチームの勝ち…つまり(中略)球の神髄とは新体操等の採点競技と同じということ。球技の選手には分が悪い球技だったわね♪」
そう言うと、ちろりと舌を出して笑った。
ぐぬぬ、とトワイスアッパーは眉間に皺を寄せるだけで何も言い返せなかった。
(中略)新体操で勝ち、そして論戦でも勝った踊子は名実ともに(中略)球の勝者だ。
拍手はいまだに鳴り止まず、彼女は優雅に手を振ってそれに応えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
川村・育代
アメフトやサッカーみたいな敵選手への攻撃有りの球技だったらドッジボールの球をぶつけて倒すつもりだったんだけど、玉入れじゃ難しいわね。
というわけで、こちらも玉入れで勝負するわね。
とは言っても向こうもまともにやるつもりがないみたいだし、こちらも遠慮無くやらせてもらうわね。
連鎖する呪いで相手が投げた球が壁などに跳ね返ってこちらのかごに入る、こちらの投げた球は、外れかと思ったら相手の球に当たって方向が変わってかごに入る、フーリガンの支援はこちらに入り、相手に妨害が誤爆、と妨害や援護が全部裏目に出るようにしてあげる。
自分のやってるインチキプレイを一度味わって相手の気持ちを一度味わってみたらどうかしら?
●天罰か、不慮の事故か
川村・育代(模範的児童・f28016)はポンポンと両手でドッジーボールをドリブルさせながらトワイスアッパーの(中略)球をじっと眺めていた。
(アメフトやサッカーみたいな敵選手への攻撃有りの球技だったらドッジボールの球をぶつけて倒すつもりだったんだけど、玉入れじゃ難しいわね。)
ドッジボールの球は玉入れをするにしては大きく、そして玉入れは敵への物理的な妨害が難しい競技だった。
「…というわけで、こちらも玉入れで勝負するわね。」
ドッジボールはグラウンドの隅にコロコロと転がしておいて、地面に転がる赤と白の球を拾い上げようとする。
しかし、育代がそれを拾い上げるよりも先に、強引に割り込むようにしてそれを奪い取った者がいる。
「いいぞー!そのままぜーんぶ取っちゃえフーリガン!」
トワイスアッパーの召喚したフーリガン達だ。
破壊工作の次は、玉入れの球を根こそぎ奪ってしまう作戦のようだ。
「向こうもまともにやるつもりがないみたいね。それならこちらも遠慮無くやらせてもらうわね。」
ニコリ、育代は微笑む。
「自分のやってるインチキプレイを一度味わって相手の気持ちを一度味わってみたらどうかしら?」
トワイスアッパーが召喚した
フーリガン達は地面に落ちている球を全て拾い上げると、次々に自分達のチームのカゴの中目掛けて放り投げる。
「ヒャッハー!入れろ入れろー!」
だが、いくら投げてもその球がカゴに入ることはない。
コントロールが悪いのか、狙いが悪いのか。
フーリガンは首を傾げてもう一球、カゴへしっかりと狙いをつけて投げる。
変に力がかかってしまったのか、スポンと球が手から抜け出す。
おかしな方向へ飛んでいった赤い球。壁に絶妙な角度でぶつかり跳ね返る。
跳ね返った先にあったのはなんと不運なことに、猟兵チームのカゴ。
カゴの中に落ちた球は、最初の破壊工作でトワイスアッパーが開けた穴にギリギリ落ちないこれまた絶妙な位置に収まる。
「うっ、嘘だろ!?」
「コラー!何やってるんだフーリガン達!ちゃんと入れろー!」
トワイスアッパーに叱られ、気を引き締めて球を投げるも羽琉Duck・Me!のカゴには一球うも入らない。
壁にぶつかって猟兵チームのカゴに入り、球同士がぶつかりあって地面に落下したり、“不運”な事が続く。
「ちょうどいいところに転がってきたわね」
育代は羽琉Duck・Me!達が入れそこねた球を手に取ると、思いっきりジャンプをしながら猟兵チームのカゴへと放り投げた。
「そんな低い球、ジャンプしても入らないわよ!」
トワイスアッパーの言うとおり、育代の幼い体躯では高いカゴに届くように球を投げる事は難しかった。
「あっ、やべ」
フーリガンの一人が誰にも聞こえないような声でそう呟いた。
“不運”なことにフーリガンの投げた球が育代の投げた球と突撃する。
その衝撃で育代の投げた球は、スポッとカゴの中に押し込まれてしまった。
育代の投げる球は全て、フーリガンの球に“偶然”ぶつかりカゴの中にどんどんと入っていく。
「そんな馬鹿なァ!イカサマよ!インチキよ!何かしてるでしょ!」
キーッと顔を真っ赤にしたトワイスアッパーが、地団駄を踏む。
「あたしは何もしていないわよ、あなた達の運が悪かっただけだわ。それにたとえインチキをしていたとしても“インチキをしてはいけない”なんてルールに書いてあったかしら?」
トワイスアッパーもフーリガンも、当然あんな分厚いルールを読んでいるはずはない。
それに、イカサマ上等、破壊工作上等、不正上等の羽琉Duck・Me!。
先に手を出してきたのはそちらだ。
何も言い返せなくなったトワイスアッパーは真っ赤な顔をさらに赤くして、彼女の顔に良く似た赤い球を引っ掴み振りかぶる。
不慮の事故とは連鎖するものだ。
グキッ。勢いよく振りかぶったせいか、手首にある筋が変に伸びてしまった。
手首をおさえて悶絶するトワイスアッパー。その頭に、フーリガンが援護のために投げた白い球がクリーンヒットする。
「普段から悪いことばかりしているからそんな目に遭うのよ」
グラウンドに倒れ、痛みと悔しさでジタバタとのたうちまわるトワイスアッパーのそばに育代はしゃがみ込む。
くすくす、と笑うその笑顔は明るく、まさに“模範的児童”を象徴するような顔だった。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
いよいよ、大将さん、ですね。
今度は、
こっちのフィールドを、試して、みます。
一呼吸、集中して、次々と、サービスを、打っていきます。
テニスでは、一度につき2回、サービスを、打てます、から…
1回目は、カゴを狙って、球をはじき出したり、あわよくば、壊したりして。
2回目で、相手の、足元付近で、ポイントを、重ねて、いきます。
そして、テニスの、独特な点の数え方…。
諸説、ありますが、1周360度の、1/6の1/4、という説が、あるようです。
なので、10回決めれば、150点。24回決めれば、360点、ですっ
(点数は適宜調整してください)
ちょっと、理論に、穴はありますが、もうそこは、強く言い切りますっ
●テニス、それは最強
ダークフィールダーをバッタバッタとなぎ倒し、一瞬にしてグラウンドをプロレスリングにしてみせたアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)。
「君、小さいけどやるじゃん!けどね、プロレスは残念ながら球技じゃないよ!」
トワイスアッパーは白と赤の球をジャグリングしながら、アニカに賞賛を贈った。
(いよいよ、大将さん、ですね。)
水色とピンクの可愛らしいラケットを取り出しながら、アニカは言葉を返した。
「確かに、プロレスは、球技じゃない、です。なので、今度は、こっちの
フィールドを、試して、みます。」
そして、先手を打ったのはアニカだった。
一呼吸、集中して黄色いテニスボールを頭上に投げる。
重力に従い落ちてくるボール。タイミングよくラケットを振るってサービスをする。
狙うはトワイスアッパーの頭上。
彼女のチームのカゴだ。
ボールが激突すると、大きな音を立ててカゴが揺れる。
激突の衝撃と、バランスが崩れた事によって頭上からポロポロと球がこぼれ落ちてくる。
どうやら底に穴が空いてしまったようだ。
バランスを立て直してもなお、ボールがこぼれ落ちるのは止まらない。
「コラー!せっかく入れた球を落とすんじゃないわよ!狙うならこっちを狙いなさいよ!」
プンスコと怒りながらトワイスアッパーは自らの胸を叩く。
手には野球のバットを携え、(中略)球の準備は万端のようだった。
「はい、今のは、フォルト、です。なので、次はそちらに、打ちます、ね。テニスでは、一度につき2回、サービスを、打てます、から…」
再び、蛍光色のボールを水色とピンクの可愛らしいラケットでサーブする。
放たれた鋭いサーブはトワイスアッパーの足元付近を狙っている。
野球ならば誰が見てもストライクゾーンから外れたボールだが、彼女がサーブしたのはテニスボール。
トワイスアッパーがなんとかそれに合わせようと横へ飛んでバットを振るも、やはりガットよりも面積の狭い野球のバットではボールを仕留める事ができず、見事ストライク。
「これで、15点です、ね。」
「えっ、テニス方式で得点計算してる?」
「はい。私、は、テニスプレイヤー、ですから」
テニスの独特な点数の数え方。
15点30点40点というなんとも不思議な加点方法。
諸説はあるが、六分儀という測角器具が由来となっている説がある。
テニスの試合は元々6ゲームマッチで行われており、1セットは1/6。
1ゲームはその1/4。
1周360度の、1/6の1/4。
「… という説が、あるようです。」
アニカのテニス雑学に、会場もトワイスアッパーも、審判でさえも『へーそうだったんだぁ』と関心した。
そんな関心中のトワイスアッパーの足元に再びサーブが飛んでいく。
驚いてギャッ、と短い悲鳴をあげ、トワイスアッパーは慌てて飛び退いた。
「これで、30点、ですね。10回決めれば、150点。24回決めれば、360点、ですっ」
もしかしたら、テニスは(中略)球の中でも最も効率が良い球技の一つかもしれない。
「そ、そんな点数計算、いくら(中略)球だって通るはずないわ!」
「いいえ、テニスは、球技、なので、ルール上、問題は無いはず、ですっ」
反論をしようと口を開こうとしたトワイスアッパーの元へまたサービスが飛んできた。
「これは、歴史ある、れっきとした、テニスのルール、ですっ。なので、(中略)球の、ルールブック、にも、載っている、はず、ですっ」
反論する暇も与えないサービスの連打。
蛍光色の球がグラウンド中を跳ねまくる。
「10回決めれば、150点。24回決めれば、360点、100回決めれば、1500点ですっ!」
(ちょっと、理論に、穴はありますが、もうそこは、強く言い切りますっ)
これは(中略)球。
誰もルールを知らないから理論の穴を指摘できない。
それどころか、観客は点数のインフレに喜び、興奮し、歓声をあげている。
「そんなの、野球でもサッカーでも玉入れでも、勝てっこないじゃない…」
トワイスアッパーのバットを持つ手から力が抜け、そのまま膝から崩れ落ちる。
「負けを、認め、ますか」
「くっ…!」
玉入れのカゴからポロポロと落ちていくトワイスアッパーの得点。
ダメ押しにと、アニカは1500点目のサービスを打ち出すのだった。
大成功
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四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう。
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ。
でもぉ、身体を動かすのも好きですよぉ。
お互いに納得の上で全力が出せると一番良いですよねぇ。
※アドリブ・絡み歓迎
●眠気と球技と吹雪のあと
「ぅゅ……くぅ……あらぁ?いつの間にか始まってましたかぁ?」
ふわぁと欠伸をひとつ。
うーんと身体を伸ばしながら、はて、自分は今どこにいるのかと四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は考える。
グリモア猟兵が(中略)球などというスポーツについて説明していたところまでは覚えている。
その後は──心地の良い眠気に襲われて瞼を閉じたのだった。
「ということはぁ…ここは(中略)球の会場ですかねぇ…?」
しぱしぱと瞬きをして当たりを見渡すと、どうやら自分はベンチに横になって眠っていたようで、すっかり試合も終盤に差し掛かっているようだった。
「それならさっさと試合を終わらせてしまいましょうかぁ。試合中に眠たくなっちゃったら困りますしねぇ。」
再びふわぁと欠伸をひとつ。既に眠そうだが、大丈夫だろうか。
「とにかく球技ならなんでもいいってルールでしたっけぇ?身体を動かす事は好きですよぉ。どんな球技で戦いましょうかぁ」
相手の様子をちらりと確認すると、どうやら玉入れをしているようだ。
銀誓館学園の運動会でかつて玉入れをしたなぁ、と思い出に浸りながら地面に落ちている赤と白の球を両手でもてあそぶ。
「このまま玉入れで勝負してもいいんですけどぉ…ちょっとアレンジしましょうかぁ」
そういうと彼女はユーベルコード“氷雪地獄”を発動する。
空気が徐々に冷たくなっていく。そのうち、はらりと雪が降り始める。
雪の勢いはどんどんと増していき、空気を切り裂くような風の音が鳴り響く。まさにそれは氷雪地獄だった。
「アンタ何してくれてんのよ!ヘックション!」
へそ出しで半袖短パンの動きやすく風通しの良い運動着を着ているトワイスアッパーはこの吹雪のせいで寒くて堪らない。
盛大にくしゃみをすると手足を擦り合わせた。
「あらぁ、ずいぶんと寒そうですねぇ」
雪だるまアーマーに身を包んだ眠斗はぬくぬく。
このまま寝てしまいそうなほど防寒対策はばっちりだ。
「それじゃあ、いきますよぉ」
「な、何を始めるつもりよ…」
「雪合戦ですよぉ。雪玉を使う雪合戦も(中略)球に含まれますよねぇ」
足元に積もり始めた真っ白な雪を眠斗は両手でかき集めて、ぎゅっぎゅと丸めていく。
「そぉれっ」
出来上がった雪玉を眠斗は振りかぶって勢いよく放り投げた。
“勢いよく”
そう、眠斗は力持ちである。
世間一般の“勢い”と眠斗の“勢い”はわけが違う。
無垢な笑顔で投じられたその雪玉はトワイスアッパーが想像していた速度をゆうに超えていた。
雪玉を避けようと足に力を入れた瞬間。一度瞬きしたその一瞬。
「うわっぷ!」
トワイスアッパーの顔面に雪玉は命中し、砕け散った。
彼女はその勢いでバランスを崩して、白い雪の絨毯の上に尻餅をついた。
雪玉の当たった鼻の周辺がじんわりと赤くなっている。
「あらぁ、思った以上に良いところに当たりましたねぇ」
ぎゅっぎゅと次の雪玉の準備をしながら、笑顔をこぼす眠斗。
「寝てる間に玉入れでも点数を稼いじゃいますよぉ」
2個3個と作った雪玉を玉入れのカゴへ向かって放る。
コロンコロンとカゴの中に雪玉がカゴの中に収まっていく。
まるで運動会の白組のカゴのようだ。
「ま、負けてられないんだから!」
トワイスアッパーも負けじと雪玉を作り始める。
そしてカゴに向かって雪玉を放り込もうとした時、再び眠斗が放った雪玉が顔に命中した。
「やるからにはこっちも負けられませんからねぇ。三球目どぉぞ」
そう言って投げられた雪玉はまたしてもトワイスアッパーの鼻に命中する。
「ふぎゃっ!」
変な声をあげてトワイスアッパーは鼻に手を当てる。
まるでクリスマスのトナカイのように真っ赤になった鼻。
「さ、寒くてもう勝負どころじゃないわ!降参降参!」
彼女はそう言うとベンチの裏へと急いでかけて行った。
「あらぁ。もうおしまいですかぁ?」
まだまだ次に投げるための雪玉は残っているというのに。
「でも…ぅゅ…少し身体を動かしたら眠くなってきましたぁ…」
雪だるまアーマーもあったかいし、ここで寝てしまっても良いかもしれない。
だんだんと弱まっていく吹雪。もう雪がちらつく程度だ。
「それじゃぁ…くぁ…おやすみなさい…」
(中略)球の球場の真ん中に寝転び、彼女はすぐにくうくうと寝息を立て始めた。
成功
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