魔穿鐵剣外伝 ~裏刃二振~
さて、霜柱の立った土を踏み拉き、永海の里の門を潜る猟兵が、また一人。
「妖刀地金というのは――妖怪変化の血や胆や肝、爪骨肉、およそあらゆる全て鍛冶を儀式に見立てて鉄に鋳込み、『
鐵を
妖と成した』ものにございます。我らが永海に伝わる技術の根幹にして、八種の地金がございますな」
饒舌に語るは、永海の里、刹鬼鉄筆頭鍛冶『
永海・鋒竜』。つるりとした禿頭をした、人の良さそうな笑みの三〇半ばの男だ。
「なるほど、すごい技術! でも、ということは、妖刀地金っていうのは、新しい武器を造るのにしか使えないのかな?」
口元に指をあて、問い返したのはサイドテールの可愛らしい少女。花咲くかのような変形忍装束を纏った、菫色の瞳の少女――無論、猟兵だ。サツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者・f38892))である。
ぱんと膝を打って、それに鋒竜が応える。
「そこは我ら永海、猟兵様の力になろうと工夫を凝らしてですな。既にある武具に妖刀地金の性質を含めることも可能でございます」
「そんなことも出来るんだ! 他の猟兵から噂を聞いてきたかいがあったよ。ボクは忍びなんだけど、単独での戦闘や、忍びの任務を補助出来るように、この苦無達を補強出来ないかな? 協力してもらえるなら、とても嬉しいよ! 」
「勿論ですとも。猟兵様がどのようにお力を揮われるか、練武場でお見せ戴きたくございます。きっと、よいものを
誂えましょうとも」
早速と立ち上がり練武場へ向かう二人を、手の空いている鍛冶達がわいわいと、見物すべく追っていった。
◆永海・鋒竜改作
刹鬼含
無明暗転『
宵闇・纏』
追想喚起『
暁闇・刻』◆
血を吸い、闇を操り、人の環状や記憶を操作する妖――いわゆる
血吸い鬼の亡骸、灰を用いて刹鬼含を行った逸品。
宵闇はサツキ自身が生み出す『闇』をより深く暗く強く増し、そこに潜む彼女の隠密性を増す。闇を経由し、生命力を吸い取るという芸当さえも可能となった。暁闇には、その妖が得意とした記憶操作――それにより彼奴は人里に忍び、人を食い物にし続けてきたという――の力を強く宿り、刀身に纏わせた闇を経由し、触れたものの記憶を削り取り、或いは刻み込むことが可能となったという。
成功
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