九十三・鈴香
北海道の野山での生活などを。
多分周囲から浮いていたといっても悲観的ではなく、大きい身体だったら木の実などを沢山持てるからいいやー、みたいなタイプです。
どんぐり集めたり、木の蔓で隠れ場所を作ってみたり、大きな葉っぱでテントを作ったり。
自由気儘に生活している様子をお願いできればと思っております。
北海道にある、とある山の中を風が撫でる。
ひややかな空気を受け取って、九十三・鈴香(鉄腕系蝦夷小鼯鼠娘・f39537)はぱちりと目を開ける。
エゾモモンガにしては大きい体をのそりと持ち上げ、鈴香はおだやかな一日を始めることにした。
エゾモモンガたちは樹上を飛び回り、木の実を探しているようだ。
それは鈴香も例外ではない。黒い瞳で辺りを見回し、めぼしい木を見付けると鈴香はその木へ飛びついた。
木と木の間は開いていて、他のエゾモモンガたちはみな、間に生えている木を中継してその木へ向かっている。
しかし、他のエゾモモンガよりも大きい鈴香であれば中継の必要はない。飛膜を大きく広げて滑空すれば、あっという間に木の実のなる樹へ到着した。
たくさんの木の実を抱えて鈴香は満足げ。しばし木の実を堪能してから、ころりと枝の上で寝転がる。
涼やかな森の気配を堪能していた鈴香だが、風による木の葉の揺れで、鈴香の目の前に木の蔓が垂れ落ちてきた。
ひょいっ。
蔓を掴んでしげしげと眺める鈴香――色つやといい、長さといい、実に鈴香好みの蔓だった。これを使えば、最高の隠れ家が作れるに違いない。
確信した鈴香の行動は早い。巣穴そばまで引っ張った蔦を折り、編み込み、傍らにある針葉樹の葉でちょっとした屋根まで作り上げる。あっという間に完成した鈴香の隠れ家は、食事を終えたひとときを穏やかに過ごすにはうってつけだ。
周囲の樹皮をかじって形を整えたり、葉っぱを辺りに散らしたりとやることは多い。
そうしてしばらく隠れ家作りに没頭していると、不意に鈴香は眠気を覚えて巣穴へ帰る。
白い体をくるりと丸めて、鈴香は一日の楽しさに満たされた思いで目を閉じる。
きっと明日も、素敵なことが待っているに違いないと思いながら、安らかな日々は過ぎていく。
成功
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