●度胸とは闇雲に突っ込むことではない
暗い宇宙空間の中で、ちっぽけな二つの影が動く。それは宇宙空間を移動するためのバイクで、片方は二人で搭乗しているため人数は三人。。
「この辺のはずだな……」
アルバイト先で出会ったこの少年たちは、よく一緒に悪ふざけをして遊ぶ仲間――悪友だ。いつもの遊びに飽きた彼等、今回は少しスリリングな事をしようと宇宙空間へ飛び出したのだ。
「でも、危なくないかな?」
一人でバイクに乗った少年は不安そうだ。
「肝試し本番の前に、臆病者がわかったっぽいなぁ」
二人乗りの少年たちは、にやにやと笑って彼を挑発する。怖いわけじゃないと大声を出した彼のバイクが駆け出すのを見て、挑発した二人もバイクを走らせる。
三人がしばらく進むと、その眼前に一つの宇宙船が現れた。それというのも、その船はライトを点けていなかったので、大分近づくまで闇に紛れて存在がわからなかったのだ。
「……なんだ、ただの廃棄船じゃないか」
驚かせやがって、と悪態をつく一人乗りの少年。
「雰囲気あるな。これならあの噂、本当だったりして」
「この辺でオブリビオンを見たってやつな」
入港口へ向かおうとした二人乗りの少年の目に、動くものが見える。
「ジャンクパーツ拾いがいるのか?」
人がいるなら怖くもない、肝試しは中止かな。とごちる少年たちを囲むように、オブリビオンの兵士が集まっていた。
●グリモアベースでの依頼
「あたくしのお話、聞いて下さるのね。嬉しいわ。でも、そんな風に言っているのは、駄目みたいなの」
急がなくちゃならないのよ。と前置きして、グリモア猟兵の揚羽・王子(今日は明日の夢を見て)は、呼びかけに応じてくれた猟兵達へ事件のあらましを語り始める。
「何からお伝えするのがよろしいかしら? そうね、先ずは場所だわ。スペースシップワールドの事件よ」
前置きの割にのんびりと話す彼女を、しかし急かしてもいけないんだろうな。と猟兵達は言いたい事を堪えて話を聞く。
「廃棄されたと思われていた宇宙船を、オブリビオンが隠れ蓑にしていたみたいなのよ。そこへ、肝試しで近づいてしまった方がいらっしゃるの。肝試しなんて怖い事、どうしてなさったのかしら? あたくしなら絶対、お断りよ」
必要な情報だけ伝えて欲しいと、言ってもいいのだろうか。悩む猟兵を余所に彼女はかく語る。
「それでね、そのお兄ちゃま方、オブリビオンに捕えられてしまったのよ。今は生きているみたいだけれど……いつ、何が起こってもおかしくないわ。助けに行ってあげてくださいな」
そこまで言ってから、王子は困った顔をした。
「本当は、監禁場所の正面にでも転移できれば良いのだけれど……ごめんなさいね、詳しい場所はわかってないのよ」
ふるふると首を横に振って、それからにこりと笑う。
「でもね、皆さまならきっと見つけ出せるわ」
だって諦めたりしませんものね。
「捕らわれた方を助けたら、恐らく警備の方が飛んでいらっしゃるわ。もしかすると船内のオブリビオンが総動員、と言う事もあるかも知れないわね。大変だと思うけれど、元より何をしているのかはわからなくても見過ごせないもの。全て倒してしまってくださいな」
それでは、と彼女はお辞儀をした。
「あたくし、ここで応援しているわ。頑張っていらしてね」
ぷりんMk2
こんにちは、ぷりんMk2です。今回も頑張ります。
●目的
オブリビオンに捕らわれてしまった民間人を救い出して、敵を撃破しましょう。
●舞台
一度は完全に打ち捨てられた宇宙船です。
野ざらし(宇宙ざらし?)になっていた所をオブリビオンに占拠されてしまったようです。見た目はボロッちいですが、中は少し手が加えられています。
おかげで敵の潜伏先自体は探さなくとも辿り着けます。
ですが建物内の構造まではわかりませんので、どうやって探すかを考えてください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『協力員を救出せよ』
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POW : 正面から監禁場所を襲撃する
SPD : 監禁場所に忍び込む
WIZ : 場所の情報を得る、見張りを陽動で追い払う
👑11
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クリア・ボイス
肝試しね、気持ちは分かるなぁ。
私も小さい頃は仲間と一緒に色んな所に潜り込んだりいたずらしたり…
って干渉に浸ってる場合じゃないか、助けないとね。
【WIZ】
外周を探索して忍び込みやすい場所を見つけるわ
出来るだけ静かに船の周りを動いてね
もちろんセンサーとカメラには最新の注意を払ってね
排気ダクトから侵入できないかな?
船内に侵入できたら息を潜めつつ、警備が見回りしているところが怪しいわね
声などにも注意を払って監禁場所を探し出しちゃおうっ
(うーん、一人だとやっぱりこの歳でも怖いなぁ…)
戦闘は極力回避したいけど、避けられない場合は銃撃で応戦しましょうか
●肝が冷えるとはこういった事
グリモア猟兵はわからないと言っていたが、クリア・ボイス(妖狐のブラスターガンナー・f01146)には肝試しをする気持ちというのは理解できる。
彼女も小さい頃は、優しい兄妹と共に立ち入り禁止の看板を無視してみたり、花火を10本位いっぺんに火をつけてみたりと、やんちゃな事をした事があり、それらは今も胸の中で輝く素敵な思い出だから――。
「って干渉に浸ってる場合じゃないか、助けないとよね」
辺りに動体がない事を確認して、彼女は宇宙船にとりつく。いくらなんでも、正規の入場口にはオブリビオンの警備がいるだろう。どこか別の入り口を探さなければ……。
排気ダクトを探してみるも、この宇宙船から空気は排気される事はない。空気は再構成されて循環するシステムなのだ。
しかし探し回ったのは無駄ではない。コアマシンの搭載された宇宙船には、星間物質を必要品に代える技術がある。つまり、星間物質の取り込み口があった。
「あんまり快適に入れそうにはないけど、まあ上々よね」
宇宙船内部へ入った彼女は、辺りを見渡す。想像よりも荒れている光景に、彼女は育った街を思い出す。そんな中で、一つだけ新しそうな建造物は嫌でも目立つ。
「意外と周りに警備兵はいないのね」
そろそろと建造物の周りを歩く。
「新しそうだけど、簡素ね。なんだか工場みたい……?」
今度こそ排気ダクトを見つけた彼女は建物に潜入。ダクトの先で着地を決めると、目の前に兵士の背中があった。唖然としたが、声が出なくて本当に良かった。
すっ、と熱線銃の零距離射撃で兵士を打ちぬく。
「うーん、この歳でも一人だとやっぱり怖いなぁ……」
今の邂逅はなかった事になった。
苦戦
🔵🔴🔴
シャルロット・クリスティア
気持ちはわかりますがね……。私も、小さいころよくいろんな場所に忍び込んでは怒られたものです。
ま、これで懲りるでしょうし……無事に助け出さねばいけませんね。
とりあえずは、潜入しても敵と鉢合わせ……だけは避けねばなりませんね。
絶望の福音を使用して、敵と出会いそうになったら先んじて隠れるように。
見つけた場合の脱出路として、通ったルートはちゃんと記録しておかないといけないですね。メモ書きでもする暇があればよいのですが……。
絡繰・ビリー
ほいほい、お仕事だよ。カッコよく行こうか!
・行動
グッドナイス・ブレイヴァー。撮影準備っと。
「はーい皆さん、いつものクラフトマンだ。今日は隠密作戦さ、よろしく」
コソコソ喋る。応援を気力にパパッとやっちまおう!
迷彩技能でコッソリと動くよ。まずは艦内情報。どっかに使える端末あるかな?
ないならガジェット展開して、ハッキング技能とメカニック技能で修理と調査するよ。
何か情報あるかなー?地図か、場所の手掛かり見つかれよー?
「あ、そうだ。仕込みもしよう。良い動画は丹念な下準備があってこそ」
情報撹乱、警報切ったり偽装したり。無理なら諦めるよ。
手に入った情報は皆に共有するからね!
ミーア・レギンレイヴ
主は仰いました。『頑張れ、応援している』と。
その言葉に答えるべく、不肖の騎士ではありますが、微力を尽くしましょう。
……良手ではないかもしれませんが、POW中心に、極力正面から相手をおびき出しましょう。
忍び込んでくださったり陽動で動いてくださる方が出来るだけ動きやすいように、出来るだけ時間を稼ぎます。
本当に人を助けられる方、人を救う方は、私でなくて構いません。
この身はただ、人々の楯となるために!
……でも、あの、痛いのは腹立つのでやり返しますけどね?
主も仰ってました。『まぁ、その、なんだ、やりすぎないようにね』と。
アリス・クロカード
POW
態と見つかるように潜入して、注意を惹く事で他の方をサポートする。
見つかった後は【バウンドボディ】【スリップボディ】を使い分ける事で近すぎず離れすぎずの位置をキープし、警備が比較的少なめの方向へ大きな音を出しながら移動する。
警備が薄い方向に行くのは監禁場所は警備が多いだろうし、そこへ他の警備を連れて突っ込んで行くのは囮の意味がないため。大きい音を出すのは警備を一人でも多く引き寄せる意味もあるけど、他の猟兵に自分の位置を知らせる事でここに警備が居ますよー!と警告する為
セルマ・エンフィールド
今回捕らえられている方は戦闘力もなければ重要な情報を持っているわけでもありません。捕まっているところが適当な場所だったり、警備がほとんどいなかったり、なんてこともあるでしょう。
私は忍び込む方はなんとかなりますが、捕らえられている場所が分からなければどうしようもありません、ですので、基本は他の人が情報を持ち帰ってきてから動きましょう、もし分からなければ…仕方がありません、虱潰しです。
『忍び足』でこっそりと忍び込み、そのまま捜索。帝国の人間と鉢合わせそうになったら【スカイステッパー】も利用して隠れます。
もし捕まっていそうな場所に鍵がかかっているなら、『怪力』ですね…好みのやり方ではありませんが。
才堂・紅葉
・SPD使用
救助任務かぁ。情報不足でやるのは手間なのよねぇああ言うの。
思わず溜息が出るがこれもお仕事だ。王子さんがその分でギャラを上げてくれる事を祈るとしよう。
頭を切り替えると、見張りの様子を伺いながら【忍び足】で宇宙船に潜入をはかる。内部構造は大まかにしか分かっていない。
そうなると悲しいかな打つ手は余り選べない。
品は無いがトイレに潜み、一人で入ってきた兵士を【二回攻撃】で倒し、【盗み攻撃】で装備を剥いで情報収集を図る事にした。首尾よく情報端末なり、船内の認証キーなりを入手できれば幸いだ。とにかく監禁場所を把握せねばならない。
「花の女子高生に何をやらせるのかしらね、本当……」
マリアンネ・アーベントロート
情報を引き出すなら私にお任せ! なんてたって催眠術師だからねっ。
潜入したあと、最初に遭遇した見回りとか監視の人とかに、『催眠・従順の子羊』で催眠術をかけるよっ。
『催眠術33』の技能を使えばばっちり効くはずっ。
そしたら、監禁場所の情報を聞き出して、もし知らなかったら知ってそうな人のところまで案内してもらうの!
もちろん、案内されたらその人にも催眠術をかけて情報を聞き出すよっ。
聞き出したあとは、監禁場所から他の監視とかが離れるように嘘の情報とかを流してもらおっか。
そうすれば、きっと救出もしやすくなるはず!
コエル・フーチ
【SPD】
莫迦な坊や達だな、かと言って捨て置けはしないか。
まずは情報からだな、私の小柄な体躯を活かして忍び込み情報を集めよう
レプリカクラフトで離れた場所に仕掛け罠を作成して騒ぎを起こし
その様子を見に行って手薄になれば多少は動きやすいだろう。
シシィ・オクトニーア
場所の情報を得ることと、見張りを陽動して追い払うことをしてみようと思います。
まずは宇宙船の内部を探索して、どのような構造になっているかと、民間人の方を宇宙船の外へ避難させるための通路の把握をしたいですね。
敵に見つかりそうになったらクリスタライズで透明化になって敵がいる場所から静かに離れるか、敵が通り過ぎるまで壁際に立ってやりすごします。
クリスタライズは使い過ぎると疲労するため、使用後は適時休息を取りつつ確実に情報を得て、一緒に来た猟兵の方々と共有したいです。
監禁場所が分かったら、民間人を救出する方々のアシストとして、クリスタライズを使用した状態で床や壁を武器を叩くなど物音を立てて陽動します。
マリア・アリス
幼なじみの【甲斐・ツカサ】の宇宙バイクに二人乗りして正面から襲撃。
ツカサにバイクの機動力でかき回してもらいながら私はブラスターでの射撃に専念するわ。
包囲された場合は包囲の一点を食い破るように射撃をして囲まれないことを優先して動くわ。そのまま船内に突入できるなら自分で飛び込んでそのまま、船内の捜索。ダメなら他の人が船内に忍び込めるように場を荒らして陽動になるわ。私達ができるなら最高だけど、命が優先よね。
それと、余計なこと言う相棒には後でお仕置きが必要よね?
甲斐・ツカサ
幼なじみの【マリア・アリス】と宇宙バイク『Ray-GuSTAR』に二人乗りして【正面から突撃】!
肝試し、今よりもっと小さい頃に冒険だー、って言って二人でやっては怒られてたっけー。
なんて思い出に浸りながら、運転に専念
正面からとは言っても、残骸や敵機なんかの利用出来る地形は色々あるだろうし、そういうのを使って派手に行こうか!
後ろのマリアには射撃に集中してもらいたいし、両手が使えるようにワイヤーで二人の体をくくりつけて、振り落とされないように気を付けよう
オレが機動力、マリアが射撃、二人で一騎の竜騎兵の力、見せてやる!
……ところでいつもよりちょっとスピード出ないけど、やっぱりマリアが重いのかな……
●空白の地図
「気持ちはわかりますがね……。私も、小さいころよくいろんな場所に忍び込んでは怒られたものです」
13歳の少女、シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)はうんうんと頷く。
まあ、こんな目に合えば、今回で懲りて大人しくなるだろう。反省の機会のためにも、無事に救出しなければ……。
宇宙船へと潜入したシャルロットが見たものは、そこだけ明らかに新しい建造物。なるほど、少年たちはこの中に捕えられているという訳ですね……と慎重に近付く。
迂闊な事をして敵と鉢合わせして、仲間を呼ばれるとか、警備が強化されるとか、そのような事態は避けなければ。シャルロットは【絶望の福音】を使用し、敵との遭遇を避ける。
兵士が通る未来を見てきたように思えば身を潜め、いなくなるまで待つ。
何度かこれを繰り返して、彼女の手にしたメモ帳には地図が書き込まれていく。
「えーと、ここはトイレですね……あれ?」
10秒後にそこから出てくる人物は兵士ではなかった。
●花子さんもかくや
事前情報の少なさに、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は思わず溜め息をひとつ。
「まぁ、これもお仕事ですわ。ってね」
手間の分ギャラが上乗せされる事を祈ろう……。シーフにして戦場傭兵である紅葉は金勘定に厳しい。
頭を切り替えた彼女は忍び足の技能を使い、見つからないように建物内部へ潜入した。
ひんやりした空気。壁のタイルが青いせいもあって、その空間は長居したいような空間ではなかった。そこへ、小走りで一人の男が入ってくる。
「あー、寒い寒い。こう冷えると便所が近いよなぁ」
そう、ここは兵士用のトイレである。
用を足した男の背後、個室から音も立てずに手が伸びてくる。これに彼が気付いていたら、叫び声で多くの兵士が集まっていただろう。だが、その手の持ち主は流れるように男性の口を塞ぎ、何が起こったのか理解する間も与えずに彼を気絶させた。
「花の女子高生に何をやらせるのかしらね、本当……」
戻ったら報酬の交渉は欠かせなくなったわね、と小声で呟いたのは手の主、紅葉だ。彼女は兵士の装備を漁り、任務遂行に役立ちそうな物を探す。
武器はいらない、馴れていない武器は持っていても役に立たない。
「建物の地図とか、認証キーとか、持ってないかしら?」
ポケットの中へ手をやると、中で紙のひしゃげる音がした。期待して取り出したそれは、残念ながら地図ではなく――
「四桁の数字、か。暗証番号かしら」
何かに使えるかも知れないと、とりあえず自分のポケットへ入れておく。気絶させた兵士には猿ぐつわを咬ませ、縛り上げてトイレに放置する。
素早くトイレから出る紅葉、もちろん外から足音がしないかには気を付けて、だ。そこで彼女は、廊下に青いベレー帽が落ちているのを見た。兵士はベレー帽を被っていない、となると他の誰かの物だ。
それが誰の物なのか。紅葉が理解すると同時に、隠れていたシャルロットが姿を現して問いかける。
「私は地図を作成していました、あなたの成果はいかがでしょうか?」
「かんばしくありませんね……合流しましょう」
トイレから猟兵が現れるとわかったシャルロットは、わざと自分の帽子を廊下に置いて身を潜めていたのだ。
「急に人影を晒しては、誤って撃たれる事もありますからね」
帽子を被り直して、シャルロットは笑った。
●出演者一覧
オブリビオンの拠点である建物の外で、五人の猟兵が潜入前に作戦のすり合わせをしていた。
「今回捕らえられている方は戦闘力もなければ重要な情報を持っているわけでもありません。捕まっているところが適当な場所だったり、警備がほとんどいなかったり、なんてこともあるでしょう」
堅い表情を崩さず、セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)は意見を述べる。あおの正面で漆黒の人型、ブラックタールのアリス・クロカード(ブラックタールのパラディン・f01086)はなるほど、と頷く。
「監禁されているから……厳重な警備だと……思ったわ。けれど……そうね、セルマさんの言う事も納得できるわ」
「とにかく、早い事情報を掴めばいいんだろう?」
アリスの肩から、声がする。
そこにいるのは身長24センチメートル、ピンク色のセミロングがいかにも愛らしいコエル・フーチ(フェアリーの探索者・f08889)見た目の印象とは裏腹にクールな物腰だ。
「そうですね。情報もなく動く事を、出来れば避けたいと思います」
眉一つ動かさずに答えるセルマ。その横でキラキラ輝く宝石の少女が、あら。と声を出す。
「コエルさん、可愛らしいのにとても頼もしいのね」
柔らかく笑うシシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)の纏うほんわかした空気は、正直この場には似つかわしくない。
少し離れた場所にいた絡繰・ビリー(ガラクタクラフトマン・f04341)が四人に近づく。
「方針は決まったかな? 配信を始めたいのだが、大丈夫?」
四人が頷くと、ビリーは【グッドナイス・ブレイヴァー】により、動画撮影用ドローンを召喚する。
「はーい皆さん、いつものクラフトマンだ。今日は隠密作戦さ、よろしく」
救助の様子を撮影するのは、一見呑気にも見えるだろう。だが、この行いこそ彼の戦いには必要不可欠なものだ。何といっても、視聴者の応援は力になる!
●それは影の如く掴めぬ者
情報をまとめる役割のセルマは外に残り、アリス・コエル・シシィ・ビリーの四人は拠点の建物へ向かう。周辺の警備は手薄だったため、四人はあっさりと潜入に成功する。辺りを見渡して、アリスが言った。
「……そこのカド……みんなが通って……から……3秒後に始めるわ……」
他の四人は頷くと、アリスを置いて廊下を駆ける。
1
コエルはシシィの肩の上に乗っており、ビリーは辺りに警備兵がいないか目を光らせての全力疾走。
2
ほら、始まるぞ。三人は立ち止まり身を隠す。
3
曲がり角から、ガシャンと大きな音がする。
その音を聞いた警備兵が、何事だと曲がり角へ集まる。そこにいたのは天井の照明を割った犯人、漆黒の人型。アリスだ。
「ブラックタールの猟兵か! 捕まえろ!」
警備兵がアリスに掴みかかる刹那、アリスは【スリップボディ】を発動し、その肉体の性質が変化する。すると、アリスを掴もうとした兵士の手はするんと滑って、彼はそのまま前につんのめって倒れた。
次の兵士も、その次の兵士も、アリスの肉体を掴む事は出来ずに転げてしまう。
「掴めないなら、網でもかけるんだ!」
捕縛網を投げつけられたアリスは、それが自身に降りかかる前に肉体をバウンドモードに切り替え、3メートル程離れた地点へ伸びて、そちらを重心として身体を戻す。
「そんなに離れていないぞ! まだ捕まえられる!」
兵士たちはアリスを捕えようと躍起になった。
それだけ他の侵入者から離れて行っているなどとは、微塵も気が付いていなかった。
●それは眩い輝きを不可視として
アリスが兵士たちを引き付けているため、コエル・シシィ・ビリーの三人は容易に歩き回れる。
フェアリーのコエルが、自身の体長の小ささを利点として先を行き、兵士がいないのを確認して二人を呼ぶ。
最大の目的はもちろん、少年たちの捕えられている場所を見つける事だが、物事には順序と言うものもある。
「おっ、発見! ビリーさん、こっちだ!」
そこにあったのは電子錠の端末。
「ありがとう。うん、これは……破損もないし、そのまま使えそうだな」
言うが早いか、ビリーはドライバーを取り出して電子錠の外装を外す。出てきた基盤のテンキー入力用のケーブルを引っこ抜いて、自分の持って来たガジェットを代わりに接続。
ハッキングの技能で、電子錠からネットワークへの接続を試みる。
……■
……■
……■
……Connect ON■
「よっし、大丈夫だね! OK!」
上手くハッキングできた事で、テンションの上がるビリー。ガジェットの事はちんぷんかんぷんなコエルが、シシィに肩を竦める動作をして見せる。シシィもガジェットの事はさっぱりわからないが、コエルの動きに込められた意味もさっぱりだったので微笑み返した。
ハッキングして直ぐに目当ての情報が手に入る訳ではない、警報を解除してから情報を探すビリーに邪魔が入らない様、通路に罠を生成していくコエル。
「あら、駄目よ。人の気配がするの……」
アリスの所へ向かう途中の警備兵が、この通路を通ろうとしているようだ。シシィは直ぐに【クリスタライズ】を使用する。彼女の輝く髪が、瞳が、肌が、服までもが消えてしまう。消える、と言う表現では語弊がある。見えないだけだ。彼女は今、全身が透明になっているのだ。
透明な彼女は、ビリーたちから離れて壁をノックする。
「なんだ!? 今、何か音がしたような……?」
シシィは足音を立てないようにして、また違う場所をノックする。
「やっぱり音がするぞ。例の侵入者だろうか……こっちか?」
兵士たちは音のする方向へと誘われ、どんどんビリーたちから離れて行った。
●クラウド
「地図は見つかったね。だけど、どこの部屋に収容されているかまでは……まだ探し出せそうにないな。とりあえず地図だけでも先に共有したいから、セルマに届けてくれないだろうか?」
ビリーは急いで書き写した地図をコエルに託す。
「罠は残して行くけれど、発動したらタイムオーバーだと思っておくんだな」
自分と同じくらいの高さのある紙を抱えて、コエルは兵士のいない通路を選んで戻っていく。
「タイムアタックだね、そういうの結構好きだとも」
腕が鳴るな、とビリーは検索に力を入れた。
●ここに顕現するは最強の楯
宇宙船内の建物を正面に捉えられる、さびれた大地の上。ミーア・レギンレイヴ(世界に祈る少女・f04070)は両手を胸の前で組み、神へ祈りを奉げる。
「む? むむ……。すみません、少し託宣が遠いような……あっ、大丈夫です、はい、ありがとうございます。聞こえております主よ――」
清らかな祈りに応えるように、少女は神託を授かった。
「主は仰いました。『頑張れ、応援している』と」
この身、不肖の騎士なれど。主のお言葉を得て、恐れるものはなし。持てる力の限りを尽くしましょう。
少女は大地を蹴って、建物に近付いた。
建物の扉がドゴォ! と大きな音を立てる。ミーアが助走をつけ、扉に――止めようとした見張りも巻き込んで――メイスを叩き込んだのだ。
「悪辣なる銀河帝国のオブリビオンたち! 私はあなたたちを倒しに来た猟兵です。受肉した体を捨てても良いと言う者は、かかって来なさい!」
叫ぶように大きな声で宣言すると、釣られるように見張りの兵士たちが集まってくる。
「派手に喚いているな? その言葉、後悔するがいい!」
兵士たちが手にした熱線銃でミーアを狙う。
様々な角度から放たれた熱線が彼女の身体に到達するが、傷一つ付かなかった。【無敵城塞】で攻撃を無効化しているのだ。
(私はただ敵を引き付け、時間を稼げは良いのです。本当に少年たちを助け出すのは、私でなくて構いません。この身はただ、人々の楯となるために!)
●ステラ・バイク
宇宙船の入場ハッチに星の煌めきが迫る。それは甲斐・ツカサ(宵空翔ける流星・f04788)の操る宇宙バイク『Ray-GuSTAR』だ。
派手な輝きに気が付いた兵士たちが集まってくる。
「侵入を許すな! ここで迎撃するぞ!」
ハッチから宇宙バイクに乗った兵士が現れる。グリップを捻りアクセルを解放した瞬間、兵士を乗せたバイクが爆発する。
「オブリビオンって、ずいぶん簡単な的なのね!」
ツカサの後ろからマリア・アリス(歩き出したアリス・f04782)が顔を覗かせる。先程の爆発は、彼女の熱線銃がバイクの動力を打ち抜いたために起きたものだ。
「子供が侮りやがって! 同時に攻撃はできないさろうさ!」
今度は同時に数機のバイク兵が現れ、射撃が間に合わなかった三台が『Ray-GuSTAR』へ迫る。
「そっちこそ侮ってるって言うんだよ!」
ツカサがグリップを握りしめて、三台のバイクを翻弄する。騎乗技術で敵わないと悟ったバイク兵が、挟み打ちをしようと三方向から突進してくるのを、ツカサは簡単に避けた。
三台のバイクが衝突して、爆発して散った。
「こういうの、自爆って言うのよね!」
「自滅じゃないかなぁ?」
余裕の二人に対して、敵は憤慨して熱線銃を撃ってくる。あいにく、『Ray-GuSTAR』は距離のある射撃が直撃するようなやわい性能ではない。光の軌跡を描いて、次々と熱線のビームを避けていく。
敵もビームを縫って新しいバイク兵を投入してくる。
だが縦横無尽に動き回る『Ray-GuSTAR』を相手取ると、敵同士での衝突や、マリア以外の放った熱線ビームで打ち抜かれるバイクが目立つ。
「畜生、増援を呼べ!」
敵の声が響いた。
●善因善果
船内、拠点の建物の前での騒ぎは少し収まってきていた。熱線銃での射撃にも無傷、サーベルで切りつけても無傷、その辺の石を拾って投げつけても無傷のミーアに、兵士たちは違和感を覚えたのだ。
「……もしかして、この猟兵」
ミーアの周りを囲む兵士たち。
「動かないんじゃないか?」
実際その通りのミーアは内心焦っていた。【無敵城塞】のデメリットで彼女は動けない、だが敵に囲まれているこの状況で【無敵城塞】を解いたら……最悪、殺されてしまう。
(ああ、主よ。どうかお救いください――)
必死で祈りを奉げるミーア。動けないなら捕えてしまおうと網を取りに行く兵士が見える。絶体絶命のピンチ。
その時、宇宙船のハッチのほうから兵士たちが駆けてくる。
「おい! 手が空いてるなら、こっちを手伝ってくれ!」
相手が動かないなら自分は捌けていいな。と思った兵士たちが大勢、ハッチのほうへ去っていく。
神よ、感謝します――。
「無効化していても、叩かれたら痛いんですよ!?」
油断していた兵士たちへ、お返しします! とミーアのメイスがめり込んだ。
船外に敵が集まってくるのを見たツカサとマリア。
「結構湧いてくるんだね」
「自爆が増えるだけだと思うわよ」
事実、数が増えただけ敵は自滅している。やる事なくて暇になっちゃうわ、と呟くマリア。ツカサもふと、思った事を呟いた。
「そういえば、いつもよりちょっとスピード出ないんだよなぁ。やっぱりマリアが重いのかな……」
マリアの眼光が一瞬鋭くなり、ツカサを睨みかけたが思い留まる。
(余計なこと言う相棒には『後で』お仕置きが必要よね?)
順調に敵を減らしているのに、なんとなく悪寒のしたツカサだった。
●ストレイ・シープは猟兵に飼われ
建物内に潜入したマリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)は、とりたてて隠れることもなく通路を散策した。
「んー、兵士さんはどこなのかな?」
出来れば一人でいる人がいいな、なんて思いながら扉を開ける。室内で椅子に腰かけていた兵士が振り返る。
「もう交代だっけか……って誰だ!?」
慌てて個人用の通信端末を手に取ろうとする兵士に、マリアンネは人懐っこい笑みを浮かべて語りかける。
「ほら、いい子だから。言うことを聞いて。ね?」
その言葉と共に発せられた【催眠・従順の子羊】の効果で、兵士は無性に猟兵の命令に従いたくなった。
「最近、少年を三人、捕まえたよね? 居場所はわかるかな」
頷く兵士に、案内してね。と言えば、ほらこの通り。兵士は部屋を出て彼女を導く。
騒がしい道を避け、二人は進む。道中で、他に潜入していた猟兵達との合流も果たす事ができた。
「驚きました、まさかオブリビオンに案内させるとは思いませんでしたので……」
言葉と違い、表情を動かさないセルマ。
「陽動に回ってくれている、アリスさん達も消耗しているだろうな。早く救出してしまおう」
セルマの肩に乗ったコエル。フェアリーの彼女は、自分で歩くよりも誰かに乗ったほうが早く移動できる。
【クリスタライズ】の副作用で疲労困憊のシシィは、紅葉に支えられて歩いている。
先導していた兵士が、一つの部屋の前で立ち止まったのを見てシャルロットは扉に駆け寄る。
「この部屋なのでしょうか? 誰かいますか?」
軽くノックをして、呼びかけてみる。
「ひっ! こ、殺さないでください!!」
この怯えようは、兵士ではない。捕まった少年たちだ。
「大丈夫、私たちは猟兵だよ。三人とも、無事なのかな?」
マリアンネが元気に声をかけると、部屋の中から安心した声がする。
「今、扉を開けますね」
シャルロットは取っ手に手をかけた。が、鍵がかかっているため開かない。扉の横を見ると電子錠のテンキー端末が付いている。
「ビリーさんがいたら、ハッキングで開けてもらうんだがな……」
舌打ちするコエルは、警報は解除されているのを知っていたので適当にボタンを押してみた。もちろん扉は開かない。
どうしようか、と悩む猟兵達。ふと、紅葉は自分のポケットに入れた、兵士の持っていたメモの事を思い出す。試してみても損はないのではないだろうか。
「この番号を――」
入力してみようと言い切る前に、扉がひしゃげる。セルマが怪力の技能で、扉を破壊したのだ。
「? 何かありましたか、紅葉さん」
これは黙っていたほうが良い流れだ。そう判断した紅葉は首を横に振っていた。
●曇天
あとは少年たちを連れて、建物から脱出するのみ。と猟兵達が思ったその時、壁にあったスピーカーからお知らせを告げる音色が流れた。
『あー、あー。マイクテストOKだね。』
「ビリーさんの声だわ、どうかしたのかしら?」
仲間の声にシシィはのんびりと反応。焦ったのは他の猟兵たちだ。まだ少年を逃がしていないのに何故目立つような真似をしているのか、と疑問が浮かぶ。
『大変な事態だ諸君、ここは銀河帝国が量産していた兵器の工場だ! まだ生産ラインは完成していないが、工場を復活させようって奴がいるんだろう。それを倒さないと、多くの人が兵器に改造されてしまう!』
●影
工場内で猟兵が目撃された事により、兵士達の間に動揺が走った。しかし警報は作動していない。混乱の中、一人の兵士が建物の奥の部屋へ駆け込む。
「工場内で猟兵を見たと言う情報があります! ですが警報は作動していないため、何が起こっているのか……!」
部屋の中にいた黒い影が、低い声を放つ。
「警報装置が壊されているのだろう。全ての者を戦闘用に切り替えるのだ」
兵士は委縮して、もごもごと喋る。
「はっ。し、しかし……一度戦闘用に切り替えると、生産ライン作りに戻れるか……」
黒い影の、目がギラリと光って兵士を一喝する。
「今は猟兵共を駆逐するのが先決だ!」
「はい! 了解しました!」
転びそうになりながら兵士は部屋を出て行った。
事態が想定よりも悪化した事を受けて、猟兵たちは多少の戦闘も辞さずに少年たちを建物の外へ出す。
宇宙船からの脱出までをサポートするのは今は無理そうだ。
一部の猟兵が護衛を買って出た事で、他の猟兵は戦いに専念する事ができる状態となった。猟兵達は工場へと踵を返す。この工場を完成させようとしているオブリビオンを倒さなければ――。
成功
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第2章 集団戦
『バトルドロイド』
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POW : バトルスイッチオン
【超戦闘モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 精密射撃
【狙撃用プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【熱線銃(ブラスター)】で攻撃する。
WIZ : シュートダウン
対象のユーベルコードに対し【正確にタイミングを合わせた射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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アリス・クロカード
他の猟兵を【かばう】為に体面積を広げ、【無敵城塞】を発動する。
自身を遮蔽物として使わせ、他の猟兵にとっての安全地帯になる。
仮に自身の近くまで寄って来たなら【ブレイズフレイム】で攻撃してもいいかもしれない。
恐らく、【バトルスイッチオン】を使った状態では正確な判断なんて出来ず、回り込むという行動を考える事も出来ない可能性が高い。
少なくとも、自身の裏に隠れている間は【バトルスイッチオン】と【精密射撃】では攻撃できないので、色々準備が出来る様になると思う。
『私…を…盾…に…して…!』
『それじゃ…あ…私…は…倒れ…ない…!』
『私…が…守る…!』
シャルロット・クリスティア
ただの一般人を殺さずに捕まえているだけというのは少々疑問でしたが、まさか人体改造とは…!
早めに気付けて良かったというところなんでしょうけども!
工場までの道を切り拓きます!
スナイパーや援護射撃技能を用いて、刻印弾で敵陣の動きを止めていきましょう。
貴重品の弾ですが、この際仕方ありません。大盤振る舞いです!
戦闘モードに入っている敵、攻撃態勢の敵を重点的に狙っていきたいですね。
とにかく私は前衛の皆さんが暴れやすいようにバックアップ。これに尽きます。
支援射撃はお任せください。前衛のほう、頼みますよ!
才堂・紅葉
・SPD使用
思ったより大事になったわね。これ大分規模大きくない?
追加料金の交渉を考えつつ、お仕事お仕事。
バトルドロイドの集団は強敵だ。こちら側が戦闘担当ばかりではないことも考慮し作戦が必要だろう。
情報面に優れた知力担当の猟兵達に協力を求め、艦内の構造と敵の配置を分析。その情報を基に【地形の利用】をした【破壊工作】を行い、一部通路を封鎖。敵戦力の分断と各個撃破を図る事にする。
有利な面は敵の【超戦闘モード】。味方の猟兵が上手く引き付ければ、敵戦力の分断に優位に働くだろう。
直接戦闘は【忍び足】で敵の精密射撃を回避。【二回攻撃】【グラップル】【盗み攻撃】のCQCで武器を奪いつつ制圧を狙う。後は流れだ。
ミーア・レギンレイヴ
……本来なら私は少年たちの護衛役として退く――否、守るべきなのでしょう。
ですが仲間を守ることもまた騎士の務め。
……不躾ではありますが、少年たちを救う手管を拝見する限り、その……皆さんまだまだ団体戦が苦手と見受けられると言いますか。
少々突っ走り気味に感じます。
で、あれば、攻めるではなく守る役目は必要かと。
武勲を華々しく挙げるのも、勝利の栄誉を受けるのも、人々の感謝を浴びるのも、お任せしましょう。
POW――頑健さを生かし、相手の射撃を受け止め続けます。
と言っても流石に無茶なので……なるべく早く終わらせて頂けると助かるのですが。
主よ、我を死から遠ざけたまえ。うう、怖いよう。
セルマ・エンフィールド
敵は集団、その上全員が銃持ちですか。ならば距離を取るのは愚策ですね、接近戦といきましょう。
『見切り』でこちらを狙う敵の銃のみを避け、敵集団の中に敢えて飛び込みます。この位置関係で撃ったところで私に当たるものと同士討ちになるもの、どちらが多いでしょうね?
そして【オートマチック・シューター】でマスケット銃「フィンブルヴェト」の自動装填、自動発射機能を発動、『零距離射撃』で近い者から撃ち倒していきましょう。
工場が完成していたらこのような兵士が量産されていたのでしょうか? 肝試しのおかげで早期に発見できたとは災い転じてなんとやら、ですね。今度は二度と再建できないよう、徹底的に破壊するとしましょうか。
コエル・フーチ
【WIZ】
まさかここが兵器工場だったとはな
坊や達を保護しに来てこうなるとは……ある意味、お手柄だったな
褒めてはやらんが。
さて、わらわらとバトルドロイド共が湧いてきた
さっさと片づけて、しまおうか。
熱線の雨を広範囲にばら撒くように放つ(2回攻撃1、範囲攻撃1)
正直、私にもどこに飛ぶか正確には分からん……
相殺できる物ならしてみるがいいさ。
といっても、発射の瞬間を狙われると不味いか
そこは上手く隠して撃つしかないな
どうせ壊すんだ多少船に穴が開いても問題あるまい?
シシィ・オクトニーア
捕まっていた方々を建物の外へ出せて良かったです。
でも、ここが兵器の工場だったなんて驚きました。
そんな危ないものを放っておく訳にはいけませんね。
私だけではなく他の猟兵の皆さんと協力して戦いたいです。
主に 、生まれながらの光で皆さんのサポートを頑張りますよ。
対象は最も傷付いている味方、次に前線で戦っている味方を優先して回復いたします。
回復の必要が無くて、かつ疲労が蓄積している状態でなければ攻撃に参加します。
生まれながらの光による疲労については注意しつつ、前線で戦うのが難しいほど疲労してしまった場合は後方に下がって息を整え、後方支援に徹します。
敵の野望を打ち砕くためにも頑張ります!
マリア・アリス
「ツカサ、アンタの腕にかかってるんだからね!頼んだわよ!」
引き続きツカサのバイクに相乗りしながらドロイドと戦うわ。
バイクで狙いを散らしてもらいながら、ブラスターでドロイドに攻撃をしかけるわよ。
ドロイドは敵の攻撃を相殺してくるみたいだから、射撃を相殺されないようにクイックドロウで先手をとって、ドロイドの銃か動力を狙って射撃自体をさせないように立ち回るわ。撃てなきゃ百発百中でも意味ないでしょ?
そうやっておけば棒立ちのドロイドを他の人がやってくれるかもしれないしね。
甲斐・ツカサ
「よし、今だ! 振り落とされないようにしっかりつかまってろよ、マリア!」
引き続きマリアと相乗り
他のみんなの行動で敵が【超戦闘モード】に入ったところで宇宙バイクで高速機動
誰より速く動き、敵のセンサーをオレに向けさせる!
狙撃用プログラムで幾ら狙いを定めても、こっちはその10秒先を見通してる
急加速、急減速、急速旋回、フェイントを織り交ぜながら動き回れば敵が撃ったはずのオレは残像だった、なんて事もあるかもね?
それに、ブラスターの撃ち合いでマリアに勝てると思うなよ!
マリアは上流階級のたしなみとしてちっちゃい頃からじいちゃんにブラスターを教わってる、スゴウデなんだからな!
(我が事のように得意げ)
絡繰・ビリー
もうバレただろうからハッキングは終わり、合流!
でも敵のデータは抜いとく!兵器と兵士とリーダー!合流後共有するよ!
・戦闘
ビルドロボット!材料には困らないけど、通路の大きさ的に邪魔かも。私は護衛に回るよ、今回はバックアップ役だね。
戦闘は武器受け技能で防御、返す拳で殴るよ。ガラクタ・ガンで、援護射撃技能を活かして味方の援護もやろう。
フォローに徹して、主役は皆に譲ろう。
「私が脇役をするのだ。活躍はバッチリ撮影してアップするから、安心してね!」
マリアンネ・アーベントロート
集団戦、一度に多くの敵を相手にするなら作戦が必要だよね。
というわけで今回の狙いはこれ、同士討ち!
『催眠・従順の子羊』を技能『催眠術33』を活かしてバトルドロイドにかけるよ!
催眠の内容は『催眠にかかっていないバトルドロイドを攻撃する』って感じで、何体かのバトルドロイドに催眠をかけておけば混乱間違いなし!
普通の催眠がロボットに効くかわからないから、念の為装備している『催眠リモコン』でしゅびびっと催眠電波も飛ばしておくよ。
(真の姿の描写・発動は無しでお願いします)
●火急の鬨
仲間に少年たちを託した猟兵達は、工場へと走る。
「……本来なら私は少年たちの護衛役として退く――否、守るべきなのでしょう」
ですが、仲間を守ることもまた騎士の務め。ミーアは華々しい武勲を挙げる事のないポジションを、あえて担おうと決意して工場に向かう仲間と共に駆ける。
道中にも警備兵が多少残存しているが、シャルロットの放った銃弾により猟兵達へ近付く前に倒れていく。
「工場までの道を切り拓きます!」
先を走っていた猟兵が工場へ入るのを見て、彼女も工場へと飛び込んだ。半分閉じた扉から覗き、追いすがる警備兵を打ち抜く。
「追って来ていたのは、今の兵で最後です!」
少なくともしばらくは、工場外からの邪魔は入らないだろう。
しかし通路の奥からは、規則正しい金属音が響いてくる。敵の集団が近づいているのだろう。
「さて、敵との接触までの時間は長くないだろうが、情報共有の時間だ」
ビリーが10インチ程度のガジェットを周りに見せる。画面に映っているのは、人の骨格を模したような黒いロボット。手には同じく黒い熱線銃を持っている。
「これが銀河帝国が過去に量産していた兵器、バトルドロイドだ。捕虜の脳髄を取り出して、制御の根幹に使用した悪趣味な戦闘ロボットだよ。これと相対した軍人は、動きの癖とかのせいで、同僚と同士討ちをしている気分になって躊躇いが生じたようだ」
まくしたてるように概要を述べて一息。
「今回の相手は生きた人間の脳髄は使用されていない、オブリビオンだからね。……さて肝心の攻撃方法だが、基本的には手にした熱線銃での長距離射撃、ならびに攻撃の相殺を狙ってくる。そして特徴的なのはこれ【バトルスイッチオン】命令系統の切替によって、戦闘力が大きく跳ね上がる。が、このモードは制御が難しいみたいだね、とにかく素早く動くものを無差別に攻撃し続けるらしい」
見た目はシンプルながら、おぞましい成り立ちの兵器の画像に、周りの猟兵達は憤りを感じる。それと同時に、敵の【バトルスイッチオン】は強力そうだが、上手く習性を利用できないものだろうかと思案する。
その間にも敵の足音は乱れずに、刻一刻と迫りくる。
「ところで、ここだと三方向から囲まれてしまうだろう。今から移動できる、丁度いい場所はないのか?」
壁を背に囲まれるのは避けたい。とコエルが、地図を持っているセルマとシャルロットに意見を仰ぐ。
「相手の移動経路がわからない以上、移動のリスクは高いと思います。もちろん囲まれるのは、最も避けるべき事態ですが……」
急いで地図に目を落とすセルマ。
「通路に関しては任せてくれませんか?」
せめて二方向くらいにしてみます、と紅葉が言う。どうやって、と聞く前に猟兵の視界にバトルドロイドが見えた。
「議論の暇もなさそうだねっ!」
こんな時も元気なマリアンネの声が開戦の合図となった。
●別つ
猟兵達を認識したバトルドロイド達は通路を走り始めた。
「私…を…盾…に…して…!」
駆け寄るバトルドロイドに危険を感じたアリスが、他の猟兵をかばうべくタールの身体を薄く延ばし、カーテンの様に通路の一方を遮断する。そのまま【無敵城塞】を発動。
そうとは知らないバトルドロイドはアリス諸共、他の猟兵も打ち抜こうと熱線銃を撃つ。その熱線は黒いカーテンに吸い込まれるように消滅した。
「それじゃ…あ…私…は…倒れ…ない…!」
「それじゃあ、こちらの通路を塞ぎましょうか」
紅葉が取り出したのは愛用のサバイバルナイフ。とてもではないが、通路を塞げる大きさも、威力も感じない。
「本当は、CQC(近接格闘)のために用意したのだけれど……囲まれるわけにはいかないでしょう!」
生存第一! と彼女は【スチームエンジン】を発動し、サバイバルナイフには、大きすぎるくらいの蒸気エンジンが搭載される。それを『塞ぐ』と宣言した通路の天井へ投げる。
だが、いくら破壊力を増したと言ってもナイフ一本。天井の照明を割って、そこに刺さる程度の力しかない。
照明の割れた音に一瞬怯んだバトルドロイドだが、それに威力がないと判断すると再び猟兵達へ向かって走り出す。
「巻き込まれても知りませんよ?」
ニッと口角を上げた紅葉はアサルトウェポンを取り出し、天井のナイフへ発砲する。正確にはナイフに搭載された、蒸気エンジンへ発砲した!
弾が命中し、穴の空いた蒸気エンジンからは大量の蒸気が噴出され、穴が狭くて出られない蒸気も我先にとエンジンの外へ出ようとする。その結果、エンジンの外殻はあっという間に膨張し、炸裂するように破裂する。
爆発音に近いドォンと言う音と共に、ナイフが刺さっていた天井が崩壊し、通路には瓦礫がうず高く積もった。
「では最後に残った方向は、私が受け持とうかな」
ビリーは【ビルドロボット】で工場の瓦礫の一部と合体して、263センチメートルの巨大なロボットに変形した。
「予想はしていたが……この通路では細かい動作は無理だな」
頭がぶつかるくらい巨大化してしまったため、ビリーは少ししゃがみ気味になって、今回は援護および護衛に専念しようと決めた。
それなら、動画撮影は前衛のほうへ回したほうがいいな。とドローンを動かす。
「私が脇役をするのだ。皆の活躍はバッチリ撮影してアップするから、安心してね!」
●穿つ
瓦礫の間を這うようにして接近を試みるバトルドロイドに気が付いたマリアンネ。
「ロボットにも催眠って聞くかな~?」
ちょっと心配だな。と催眠リモコンで催眠電波を飛ばしつつ【催眠・従順の子羊】を放つ。
這いつくばりながらも、狙撃しようと熱線銃を構えていたバトルドロイドに催眠電波が浸透する。
「あなたの後ろにいるバトルドロイド、倒しちゃってね!」
こくん、と一回頷いたバトルドロイドは、瓦礫の穴を戻っていく。肉眼では確認できないが、音の様子から先のバトルドロイドが、他のバトルドロイドと戦闘になったことが伺える。
もっと多くの敵に催眠をかけられれば、混乱を招く事ができるはずだが……
「穴から狙撃されるのも嫌だもんね。しばらくこっちのサポートに専念かなぁ?」
敵は集団、その上全員が銃を持っている。
「ならば距離を取るのは愚策ですね」
接近戦といきましょう。アリスの横からセルマが飛び出し、銃口が自分に向いている敵だけを避けて、バトルドロイドの集団の中へと潜っていく。
自ら囲まれに行ったような形のセルマだが、これは作戦の一環。
「この位置関係で撃ったところで……私に当たるものと同士討ちになるもの、どちらが多いでしょうね?」
言葉が終わらない内に熱線銃を撃ったバトルドロイドの熱線は、ものの見事に同士討ちとなる。
「忠告はしました。――ですが、自滅を待つだけでは芸がありませんね」
セルマはマスケット銃の『フィンブルヴェト』を手に持ち、【オートマチック・シューター】を発動する。自動装填および自動発射機能によって『フィンブルヴェト』はおよそマスケット銃とは信じがたい、高速連続射撃を始める。
近くにいる者や近づいてくる者を優先的に狙い、彼女はくるくると妖精のダンスのように、回りながら敵を屠っていく。
ビリーの横から前線に出たのはシシィ・ミーア・紅葉の三人。
「でも、ここが兵器の工場だったなんて驚きました」
ちょっと感想の遅いシシィは、可憐な見た目によらずフードファイターだ。グルメツールを駆使しての戦闘も、案外さまになる。
だが背中に目の付いていない彼女は、後ろからの射撃を避ける事ができない。あわや、と言うところで間一髪、ミーアがシシィの背中に己の背中を付けて【無敵城塞】を発動。熱線は無効化される。
ミーアはユーベルコードを解除して、バスターソードを握る。
「本当は盾が欲しかったですが、あいにく持っていません!」
本来は武器である剣を、熱線を防ぐ防御のために使おうと言うのだ。メイスよりは面積が広くて、沢山防げるのではないでしょうか!? と言うのは彼女談か、神託か。
「ありがとうございます、これで安心して戦えるわね」
お礼を言ったシシィの持つ、巨大なナイフがバトルドロイドの胴体を切断する。と同時に背後からの熱線を、ミーアが掲げるように持ったバスターソードで受け止める。――うん、少し溶けましたよね。
バスターソードの表面が溶けた事に気が付いたミーアは神に祈った。
「うう、怖いよう(主よ、我を死から遠ざけたまえ)」
愛用のサバイバルナイフを投擲してしまった紅葉は、グラップルと2回攻撃の技能を中心にして戦っている。だが、ナイフなしでの近接戦闘は中々に不便なもの。
とにかく、敵の攻撃が敵同士に当たるように、を心掛ける。
キラリと遠くで何かが光る、銃口だ。彼女が近くの敵に気をやっている内に、いつの間にか精密射撃に狙われていた。
(不味いわ、このままじゃ離脱もままならない……!)
その時、ビリーの横から冷気を纏った銃弾が放たれた。その弾は紅葉を狙っていたバトルロイドに命中すると、封入されていた氷の魔力が弾けて相手を凍り付かせた。
「貴重品の弾ですが、この際仕方ありません」
シャルロットが次の刻印弾を装填する。
的確な支援射撃が敵を足止めしていくが、敵もやられてばかりではない。シャルロットの呼吸に合わせての熱線の射撃で、刻印弾が軌道の途中で弾ける。
「……先ほども言いましたが、貴重品の弾ですよ?」
一度ビリーの後ろへ引っ込み、別の隙間から覗いての狙撃で、弾を無駄にさせたバトルロイドを打ち抜く。
少しだけ怒っています、少しだけですけどね?
壁役のビリーやマリアに傷をつけようと、躍起になったビルドロボットの中に【バトルスイッチオン】で超戦闘モードに切り替えた個体が頻出してきた。
「よし、今だ! 振り落とされないようにしっかりつかまってろよ、マリア!」
通路内をツカサの操る『Ray-GuSTAR』が駆け抜ける。
「ツカサ、アンタの腕にかかってるんだからね! 頼んだわよ!」
『Ray-GuSTAR』に同乗しているのはやはり、幼馴染のマリアだ。
ただでさえ狭い通路。更に今そこは、黒いカーテンと巨大ロボットによって道が分断されている。だがツカサの騎乗技術は、そんな悪路を物ともせず、誰よりも素早く走り抜ける。
技術に加えて【絶望の福音】を使用したツカサは、10秒先の未来を見てきたかのようにバトルドロイドの射撃を加速して避け、減速して他のバトルドロイドに攻撃を流れさせ、旋回して目標を逸らせる。
超攻撃力と言っても、当たらなければどうと言う事はない!
「凄いわ! さすがツカサ!」
思わず年相応の無邪気さではしゃぐマリア。だが、その手の熱線銃は狙いを外す事はなく的確に敵の銃を打ち抜く。【クイックドロウ】での素早い射撃に、バトルドロイドたちの武器は消耗していくばかりだ。
●絶つ
ビリーの隙間を通り、アリスの横を回り込んで、縦横無尽に駆ける『Ray-GuSTAR』のタンデムシートに向かって一本のフックが投げ付けられた。
ツカサにはそれを回避する事も出来た、がそれをしなかった。何故か、と問われれば単純だ。
それを投げたのは猟兵だったからだ。
「ぐぅ……っ! 風圧が凄いな!」
しばらく振り回されながらも、フックに付いたワイヤーを手繰ってバイクに取り付いたのはコエルだ。
「あら、コエルさん。どうしたの?」
射撃の手を緩めずに訪ねるマリア。
「ちょっと頼みがあってな。あなたたちのお陰もあって、敵は大分減っているだろう? この辺で一気に決めたくないかい?」
二人は好奇心から、それを引き受けた。
アリスの後ろで、ミーアがシシィの放った聖なる光によって治療されていた。
「うう、ありがとうございます……バスターソードが折れた時は、さすがに駄目かと思いましたが。この光は凄いです!」
主よ――怖かったです、次の試練はもっと穏やかであると嬉しいです。でもまだ頑張りますので目に焼き付けてください――。
ミーアが祈っている、少し上方を掠める様に『Ray-GuSTAR』が走り抜ける。アリスの壁を回り込んで前線へ出る。そこではセルマが戦っており、少し疲弊した感じを受ける。
「大変なの、セルマさんにも光を届けないと」
シシィが聖なる光を生み出すより前に、『Ray-GuSTAR』がセルマの横を走り抜ける。
「……あら? どこに行っちゃったのかしら……?」
彼女の視界からセルマが消える。バイクの後ろ、マリアが細い腕でセルマを抱え込んだのだ。
「うう、ツカサ……早く戻って……! 腕の限界!」
「わかってるけど、完全に定員オーバーだよ!」
先ほどまでより動きの鈍くなったバイクが、それでもなんとかアリスの後ろに回り込む。
「治療は遠距離でもできるのではないですか? 何故いきなり抱えたのです?」
セルマは別段、怒っているわけではないが、表情の変わらない人間に堅い口調で言われると怖い。怒っていると勘違いしたマリアとツカサが謝ろうとした時、コエルが言う。
「私が頼んだんだ。次の手のためにな」
そのままアリスのカーテンから出ていったコエル。
「集束、凝縮、装填完了――熱線発射!」
大量の熱の魔力散弾が、通路を埋め尽くす様に降り注ぐ!
【無敵城塞】を展開中のアリスは無事だが、熱風はそのカーテンの内側にまで及んだ。
しばらくして熱風が止むと、回路の焼き切れたバトルドロイドは動きを停止していた。
「どうせ壊すんだ多少船に穴が開いても問題あるまい?」
●騎士
コツコツと足音が響く。
「さて、ボスの情報を共有しようか」
ビリーがガジェットを取り出そうとする。
「その必要はない――」
前方から威圧感に満ちた声がする。
「猟兵達よ。今からでも降伏すると言うのならば、捕虜として収監してやろう」
黒い騎士の目が、赤く光った。
成功
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第3章 ボス戦
『帝国騎士』
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POW : インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD : ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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アリス・クロカード
「もちろん…返事…は…否…よ…!」
【スリップボディ】で高速で移動しながら敵の攻撃から味方を【庇う】。
余裕があったら宇宙船の残骸を拾い、代わりに盾とする。(【武器受け】)
こっちを無視するような事があったら、残骸を【バウンドボディ】でパチンコみたいに投げつける事で邪魔をする。
自分か残骸が鎖に囚われたら、【バウンドボディ】で思いっきり引っ張る事で相手の態勢を崩して相手に隙を作る事が出来るかも?
先に自分を始末する為に相手が接近して来たら【ブレイズフレイム】で逆に燃やし尽くしてやる。
「私…が…守る…!」
「無視…しても…いい…の…?」
「これが…私…の…切り札
…!」(【ブレイズフレイム】を使う場合)
才堂・紅葉
・SPD使用
「帝国騎士か。厄介な奴がいるわね」
愛用の武器が手元に無い状態なので、あいつを仕留めるには火力不足だ。
やるべき事は味方へのチャンスメイク。
ジャケットを脱ぎ、出来るだけ身を軽くして【忍び足】で気配を殺す。高速で移動し、赤雷を撒き散らす奴を捕らえるのは一瞬の隙を見逃さぬ【見切り】が重要だ。仲間作った隙目掛け、シーブズ・ギャンビットで懐に飛び込みナイフ代りの肘打ちで崩す。そのまま【優しく】【手を繋ぎ】【グラップル】の背負い投げで前衛達の下へ【吹き飛ばす】。【地形を利用】し、高速移動を封じるスペースの角地か、インペリアルフラッグの見えない場所に飛ばせればモアベターだ。
絡繰・ビリー
ビルドロボット解除っと。邪魔にしかならないしね
お約束のセリフどーも、返事も決まってるよ
「誰が降伏するものか!ってね」
杜撰なセキュリティのおかげで、楽な仕事だったよ!
・行動
この場所だと出来ること少ないので後衛に下がるよ
代わりに皆に助言で援護だ
「飛ぶ斬撃が来るよ、避けて!」
「オーラを纏ったら気をつけて!速くて電気を放つから!」
「旗の近くだと強くなるよ!」
援護射撃するけど、役に立つ気がしない。ならばガジェットショータイム!呼び出し!
使い方をメカニック技能で探す!うおーなんか出ろ!
敵がこっち来ない内に出ろ!動けー!
・終了後
まだまだ改良点が多かったな。お仕事終了!
結果オーライだけど、次はやめなよ?
セルマ・エンフィールド
真の姿の片鱗により、スコープを覗く左目が赤く染まっています
この状況で降伏勧告とは尊大ですね、オブリビオンは皆そうなのでしょうか? ですが、実力は確かなようですし、ここは人数差を活かして戦うとしましょう。
【凍風一陣】で近接戦闘が得意な人たちの『援護射撃』を行います。当たれば痛いでは済まない弾丸ですが、敵も高速移動に電撃による放射攻撃、そうやすやすとは当たってくれないでしょう。
ですので味方の攻撃の合間を縫うように、敵の攻撃の機会を潰すように『スナイパー』で射撃します。
少々反動があるので、一対一だと使いづらい技ですが…まぁ、今なら問題はないでしょう。前は任せました。
マリア・アリス
お前が親玉ね!ボコボコにしてあげるから覚悟しなさい!
バイクから降りてツカサとは場所を分かれて対応するわ。
ブラスターで遠間からチクチク削らせてもらうわよ!
ツカサやほかの猟兵の人も近接や射撃を絶対にするはずだから、騎士がそっちに向いたり意識を割いたら死角から嫌がらせでブラスターを撃っていくわ。もちろん、一発ごとに移動して場所を変えてね?
騎士がこっちの攻撃を処理できなくなるか、高速移動でこっちを狙ってくるようなら、バトルインテリジェンスで追い込みをかけるわ。
全力で撃ち込めば、仕留められるか、悪くても囮にはなるもの。ダメな時は後ろからぐさってやってもらいましょ!
ツカサ、絶対にケガするんじゃないわよ!
甲斐・ツカサ
細かな動きに向かないバイクは乗り捨てて高速戦闘
手数の多さで敵に大技の機会を与えず、注意を自分に引き付け、仲間に対応出来ないようにさせていく
高速近接戦闘なら、オレも攻撃の巻き添えになるかも?
ここまで戦って来たんだ、未来予知するまでもなく、どういうタイミングでどういう攻撃をしてくるかなんて分かってる!
だから、ここで近接戦闘をする勇気は、あてのある勇気
荷物どころか、力をくれるのさ!
そして、ここぞという時に圧縮空気を壁のように放射
一瞬でも高速移動が止まれば、それがみんなのチャンス!
同時にオレも攻勢に
放った空気を足場代わりに縦横無尽に飛び跳ねて、嵐のように斬り刻もう
これが宇宙にはない空気の……風の力さ!
シシィ・オクトニーア
いよいよ敵のボスが出現、ですね。
もうひと頑張りと参りましょう!
引き続き、生まれながらの光で味方の皆さんのサポートをしたいと思います。
敵がインペリアルブレイドで繋がれた味方がいましたらその方に攻撃が集中するかもしれないので、そうなったらその方を中心に回復したいです。
インペリアルフラッグで地形を帝国の領土にされたら、その上に敵が立たないように位置取りしますね。
敵がその地形の近くに来たら立ちはだかって攻撃します。
ダークフォースバリアを使われたらさすがに真正面で戦うのは難しそうなので、回復や回避に専念して敵に隙ができるのを待ちたいです。
降伏なんてしませんし、捕虜になるなんてお断りなんですからね!
コエル・フーチ
【WIZ】
ああ、お前がここのボスか、すまないな少し散らかした
お前のとこのスクラップ共がじゃれてきてな
で、降伏だって? する理由がないだろう、アホか
なんてな、とりあえず挑発してみたがどう出るか
冷静さを欠いてくれれば多少はやりやすいだろうが
ワンパターンだが、熱線の雨で攻撃だ。これが一番威力あるからな
ただし、さっきは範囲攻撃で拡散させたが、今度は集中攻撃だ
「誘導弾」で帝国騎士の一点を狙い発射
「2回攻撃」で2丁のショットスピリッツから
時間差「フェイント」を入れて攻撃する
帝国騎士のインペリアルフラッグが地形に刺さったら
「念動力」でどかして排除しておく。
●嵐の前の一時
「猟兵達よ。今からでも降伏すると言うのならば、捕虜として収監してやろう」
低い声が響く。
猟兵達は騎士の出現と共に、周りの空気が重くなったような感覚を覚えた。まるで、そう、冷たい水に沈んでしまったかのような感覚。ああ、息を吸うのが、こんなに力のいる事だったなんて。
息苦しくとも、コエルが口を開いた。
「お前がここのボスか、すまないな少し散らかした」
くい、と顎で後ろを指して、あのスクラップ共がじゃれてきてな。と続ける。
「お約束のセリフどーも。ずさんなセキュリティのおかげで、楽な仕事だったよ!」
これでまたPVが伸びそうだ。と、ビリーがガジェットの画面をちらりと見せる。
「捕虜……に……して……脳髄を、取る……つも……り?」
アリスが一歩踏み出すと共に皮肉を発する。
「私たちは、あなたを倒すために前へと進んだのよ」
今までと違い、語気を強めるシシィ。
猟兵達は顔を見合わせ、頷く。ここは水の中じゃない、空気は重くなんてない、自分たちはこの騎士を倒すためにここまできた。だから――
「「「「絶対に降伏なんてしない
!!」」」」
全員の視線が真っ直ぐに帝国騎士を捉える。
「無駄な威勢だ。それも直ぐに絶える運命だがな」
騎士が鮮血の如き赤いオーラをまとった。
●戦いとはかくも激しく
「気をつけて!そのオーラを纏っていると、速くて電撃を放つから!」
敵のデータを確認したビリーが、仲間に注意を促す。
「相手の動きが速いなら、こっちも速く動かないとだよね」
バイクから降りたツカサの周りに、蒼く透き通る風が生まれる。
「ツカサ……絶対に、ケガするんじゃないわよ!」
同じくバイクから降りたマリアはつっけんどんに言い放ち、その場から駆け出す。もちろんそのつもりさ、と呟いたツカサも床を蹴り騎士に肉薄する。
【ダークフォースバリア】と【悠久の蒼穹呼ぶ風の外套】による高速移動同士の戦闘は、常人ならば動きを追う事も叶わないだろう。だがここに集った猟兵たちには、その合間を縫って援護する技術と意志がある。
ツカサの横をすり抜けた銃弾が騎士の手甲を貫通し、極寒の冷気を放出する。あと数秒もないタイミングがずれていたら、ツカサをも巻き込みかねないスレスレの弾道。
「あの騎士の実力は確かなようですし、味方に『当たるかも』で怯むなら援護射撃などできませんから」
もちろん当たらない軌道を選びました、と。セルマは呟くのと同時に、若干の眩暈を覚える。
(今回の反動は毒のようですね……回りきる前に決着すればいいのですが)
それをおくびにも出さず、彼女は赤く染まった左目で再びスコープを覗く。
「今の射撃、一歩間違えば貴様に当たっていたが?」
逃げ出さなくていいのかと騎士が問えば、ツカサは当たり前のように答える。
「ここまで一緒に戦って来たんだ、どういうタイミング攻撃をしてくれるかなんて分かってる!」
一人で戦う奴にはわかんないだろうけどね。と付け足すのも忘れなかった。
「さすがに、簡単に冷静さを欠く相手じゃないみたいだな」
まあ、想定の範囲内だ。とコエルは己の身長よりも大きいダブルバレル・ショットガンを抱えるように持つ。トリガーを引くのは【レプリカクラフト】で生成した、粗い作りの手の模型に任せる。
騎士の頭を狙った一撃。だが、その散弾は高速移動する騎士に簡単に避けられる。
「その程度の狙いで、命中すると思ったか?」
「思ってないさ。だってそれはフェイントだからな」
相手の言葉に被せるように発言しながら、コエルは『ショットスピリッツ』に二つあるトリガーの、先ほどとは異なるトリガーを引く。
立て続けに放たれた散弾――今度は熱属性の魔力散弾だ――が騎士の脚部に当たり、その熱が騎士の鎧の表面を溶かす。
「小癪な真似を……っ」
鎧の内部の肉が焦げる臭いを発した騎士は、念動力を使い帝国の旗を形成すると同時に、それをコエルに向かって放つ。フェアリーの彼女は相当に小柄だが、今はショットガンのぶん的が大きくなっている。
避けきるのは難しいと判断したコエルがショットガンを盾にしようとした刹那、旗の軌道上にアリスが割り込む。
「私……が……守る……!」
彼女の鎖骨の間に、旗がめり込み、貫通したかに思えた。だが【バウンドボディ】で強い伸縮性を持った彼女の身体を旗は貫く事ができず、アリスにただ深くめり込んだだけだ。そのまま弾力性を高めて旗を弾き返そうとしたアリスに、ビリーが叫ぶ。
「ストップ! ボスは旗の近くだと強くなるんだ!」
旗を弾き返しては、相手を有利にしかねない。ならば、とアリスは弾力性を低くしたまま、自身にめり込んだ旗を手で引き抜き、横に倒して持った腕を伸ばす。その帝国のシンボルを、シシィのグルメツールのナイフが真っ二つに裂いた。
「……後悔するぞ」
騎士の声に凄みが増す。それと同時に騎士はオーラを纏い、その身を中心にして赤黒い電撃が放射される。近接戦闘を挑んでいたツカサに命中した電撃は、小さな身体に強い負荷を与える。
「ツカサ!?」
堪らず両膝を着いたツカサを見たマリアは叫ぶ。幸いな事に、放射状に広がった電撃は範囲の広さを重視したため威力が分散していたようで、ツカサはすぐさま立ち上がる。シシィが聖なる光を放って彼を治療する。
立ち上がったツカサにホッとしたのは束の間、マリアはふつふつと怒りが沸いてくる。
「ただでさえ悪人だって言うのに、ツカサまで傷つけるなんて許せないわ!」
黒いポニーテールを揺らして走り、様々な位置から騎士に熱線を連続で放つ。だが走って位置を変えても、少女の脚力では移動感覚が狭く、騎士は攻撃を見切っているかのように避ける。
「これから死ぬ貴様たちが、傷一つで騒がしいものだ」
騎士が赤く光る剣を構える。
「斬撃を飛ばすつもりだ! 危ないっ!」
マリアに駆け寄ろうとしたビリーだが、両名の間には距離が開きすぎている。騎士の剣が空中を薙ごうとした時、側面から風の如き速さの銃弾が騎士に命中した。騎士の鎧の砕けた脇腹から冷気が漏れる。
「冷気のせいで、血も凍っているようですね」
セルマの狙撃のために、怒りで冷静さを欠いた演技をしていたマリアは大成功。と彼女にウィンクして見せる。少し躊躇った後、ウィンクと呼ぶには堅すぎる、右目を瞑っただけにしか見えないながらもウィンクを返すセルマ。見た目が青と黒で構成された彼女は、真の姿の片鱗で赤く染まった左目がとても目立つ。
演技とわからずに本気で心配したのが少し恥ずかしいビリーは、でも無事で良かったと脱力して座りこんだ。そして援護射撃は既に頼もしい仲間が揃っているから任せよう、と決めて【ガジェットショータイム】で変な形のガジェットを召喚する。
「うおーなんか出ろ! 動けー!」
あちこち触ってみたり、ボタンに見える部分を押したり……何が起こるのかわからないが、とにかく敵が近づいて来ない内に起動しなくては。
風を纏ったツカサが、再びオーラを纏った騎士と戦う。宵闇のように黒い刀身を持った短剣では、相手の長剣に対して圧倒的に不利だ。だが、その差は支援してくれる仲間たちのおかげで埋まっている。
セルマの銃弾で剣撃を逸らされた騎士に、ツカサが切りかかる。と見せかけて高速のステップで後退すると、防御の気が回っていない箇所にコエルが【熱線の雨】を放つ。
「セルマさん、なんだか辛そうね?」
サポートに専念するシシィは、仲間の様子を注意深く見ていた。だからこそ、殆ど表情を変えていないセルマの不調に気がつく事が叶った。
シシィが聖なる光をセルマに与えると、彼女が使用した【凍風一陣】の反作用である毒が治療される。
「回復と言うのは厄介だな」
騎士がシシィに向かって旗を放つも、それは先ほどの旗と同じようにアリスが受け止めて壊す。
AI搭載型戦術ドローンを召喚しその身を委ねたマリアが、騎士の死角から熱線を放つ。
ダメージが蓄積してきたのか、騎士の動きは多少鈍くなってきている。しかし、まだ決定打は入らない。
「うわっ! 開いたー!」
後ろに下がってガジェットの動かし方を模索していたビリーが声を上げる。彼の手元のガジェットは、召喚した時と比べて模様がずれた事で蓋が開いたようだ。中に見えたボタンを押す。
「おっと、これは……立体投影装置……?」
ガジェットを下向きに持ってしまっていたようで、映像が途切れていたため反転させる。映し出された映像は一旒の旗だ。敵の放つ帝国の旗に比べて、装飾は少なく、ただポツンとシンボルが入っただけの旗。
おかしい、使い方を理解すれば強いガジェットを召喚できたはずなのに。もしかして、まだガジェットの本領を発揮できていないのか? とビリーが焦っていると、斬撃が飛んできた。それはビリーを狙ったものではなく『投影された旗』を目掛けていたが、映像である旗を斬撃がすり抜けて、後ろの壁に斬撃が当たる。
「解放軍! 我等が銀河帝国に仇をなす者どもめ!」
どうやら逆鱗に触れたらしく、冷静さを失う帝国騎士。赤いオーラを纏って、ビリーへ向かい高速で駆ける。
「直線的な動きね、見切るのが容易くて助かるわ」
辛抱強く機会を窺っていた紅葉は騎士の懐に飛び込み、鎧の砕けている脇腹目掛けて肘を打ち込んだ。傷口を攻撃された騎士が、思わず前のめりに屈みかける。その動作も利用して、紅葉は騎士に背負い投げをかける。吹き飛ばしの技能でなるべく遠くへ、角地へ向かって。
投げ飛ばされた騎士が体勢を直す前に、コエルが『ショットスピリッツ』から熱の魔力散弾を続け様に二回打ち込む!
熱風をかき消すように、ツカサが圧縮された風を騎士へ放つ。風は騎士に当たると、パァンと大きな音を立てて鎧の一部諸共破裂する!
帝国騎士が最後に見た光景は、マリアが自分へ向けて熱線銃のトリガーを引く場面だった。
●一陣の風を感じて
さすがに工場を全て破壊するには人数が足りなかったが、可動前の生産ラインは壊して猟兵達は建物から出た。グリモア猟兵にでも報告すれば、建物の解体が得意な者を転移してくれるだろう。
「まだまだ改良点が多かったな。お仕事終了!」
ビリーは宇宙船の天井に向けて伸びをする。
「安心したらお腹が空いちゃったよ」
戻ったら甘い物を食べたいな、とシシィは沢山のお菓子を想像する。
外で少年たちを護衛していた猟兵たちが、出てきた彼等を見て安堵の表情を浮かべた。
「猟兵のねーちゃんたち、すげー! 凄い音とかしてたけど、全部やっつけちまうんだもんなぁ!」
少年たちが目を輝かせる。その様子を見た猟兵達は顔を合わせて苦笑いを浮かべる。
「結果オーライだけど、次はやめなよ?」
ビリーの言葉に、少年たちはしょんぼりと落ち込む。
「肝試しのおかげで早期に発見できたのは災い転じてなんとやら、でしたが」
口調も表情も堅いが、セルマの精一杯のフォローだ。
少年たちが、確かに自分たちお手柄なんじゃないか? なんて調子に乗りはじめたので、コエルが厳しい口調で諫める。
「褒めてはやらん。と言うより、危機感を持て」
愛らしいフェアリーに怒られて、少年たちは唖然としていた。恐らく、口調のせいも少なからずある。
「さて。初期の説明不足と、思ったより大事に発展した事、あと愛用のナイフの修理費用と……」
紅葉が、ベースに戻ったら請求書を作らなきゃ。と言っているのを見て、護衛に残っていた猟兵たちも唖然とした。
「じゃあ、俺たちは帰り道を一番乗りだ!」
「いいわね! 賛成ー!」
『Ray-GuSTAR】に乗ったツカサとマリアが、テレポートのポイントへ走っていく。その軽やかな軌跡は、気持ちの良い風だった。
大成功
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