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第二次聖杯戦争㉑〜脳髄の賦活

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #キリング・フィールド #生と死を分かつもの #閻魔王 #ドクター・オロチ


●異形の復活
「あはははははははは! やった、やったやったやったっ! 見たか猟兵、ボクは帰ってきたぞ!」
 キリング・フィールド、漆黒の闇の中、過去も未来も一緒くたに混ぜ込んだような街並みに笑い声が響く。
 あどけなささえ感じる声の持ち主は、しかしその少女らしき声色とは裏腹の悍ましい姿をしている。
 赤い熊のパーカー。
 透き通った水晶の剣。
 そして――剥き出しの脳髄。
 ドクター・オロチが、そこに、いた。

「久しいな……『カリスト』『トビアス』『ルルモード』よ」
「おっと、その呼び方はよしてくれ。今のボクはドクター・オロチだからね、ムシュシュ」
 アポカリプスヘルで本体を封印され、二度と復活できなくなったはずのドクター・オロチ。あり得べからざる復活を成し遂げた裏には、閻魔王『生と死を分かつもの』の権能があった。
 異形。かつてこの世界で生命根絶を企てたゴーストの首魁達。銀誓館学園と幾度も相見えた者共が一堂に会する。
吾人われわれは既に『骸の海』なれば……戯れに興じるのは構わんが、役目は果たしてもらおう」
「分かってるよ、チャンスをくれた分は働くさ。本体を取り戻しに行く前の肩慣らしにね……」

●死線を越えて
「もう知ってると思うけど、金沢市の小立野が消滅したわ」
 猟兵達を案内するイデア・ファンタジア(空想の描き手・f04404)の声は固い。
「正確には闇の大穴がすっぽりと地域全体を覆ってしまってるの。それでその中は、元の街並みとかけ離れちゃってるのね」
 グリモアの予知でその光景を見たイデアいわく、まるで人類の過去から未来の全てが混ざったような、極めてカオスな状態だという。
 それが意味するところは誰にも分からない。ただ下手をすると、二度と元に戻らないかもしれないというのだ。
 この事態を引き起こした元凶は『生と死を分かつもの』。閻魔王を名乗るその存在は現状、大穴の中心でじっと佇んでいる。
「倒し切れるかも分からない相手だけど、放置するわけにもいかないわ。ただ……」
 相手は閻魔王の名に相応しく、強力なオブリビオンを呼び出してくるようだ。二体を同時に相手しなければならず、激戦となることは避けられないだろう。
 では、呼び出されるオブリビオンとは? 猟兵達が尋ねると、イデアは険しい顔で。
「……ドクター・オロチ」
 様々な者にとって因縁深い名前を呼んだのだった。


渡来あん
 初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
 本シナリオには特殊ルールが存在します。以下を必ずお読みください。

●説明
 皆様ご存知ドクター・オロチが復活しました。
 閻魔王と一緒に攻撃してくるので、諸共倒してしまいましょう。

 なお、今回戦うドクター・オロチは以下のシナリオと同じ能力となります。
 お手数ですが予めご確認ください。

 『銀河帝国攻略戦㉒~ドクター・オロチを再殺せよ』
 『https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=4393』

 プレイングボーナス:閻魔王と召喚オブリビオンの「先制ユーベルコード」に、両方とも対処する。

 それでは、ご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『生と死を分かつもの』

POW   :    テンタクル・ボーダー
戦場全体に【無数の触手】を発生させる。レベル分後まで、敵は【死の境界たる触手】の攻撃を、味方は【生の境界たる触手】の回復を受け続ける。
SPD   :    キリングホール
レベルm半径内に【『死』の渦】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ   :    閻魔浄玻璃鏡
対象への質問と共に、【無数の触手の中】から【浄玻璃鏡】を召喚する。満足な答えを得るまで、浄玻璃鏡は対象を【裁きの光】で攻撃する。
👑11
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暗都・魎夜
【心情】
『生と死を分かつもの』、こんな所に姿見せていい奴じゃねえな
オマケにこいつまでセットと来た
マジに世界の危機だな、こいつは

「ドクターオロチとトビアス、同一人物っぽくて安心したぜ。これなら、心おきなく殴れるってもんだ」

【戦闘】
「ダッシュ」「ジャンプ」で戦場を逃げながら「見切り」で巨人と触手の動きをかいくぐる
周囲を「浄化」して自分の身を守る

凌いだらUCの「召喚術」で迎撃

「発動までこんなに待ち遠しかったのは、さすがに初めてだぜ」
「リミッター解除」した「斬撃波」「なぎ払い」でゴーストと迎撃に出る

死の境の向こう側なら、奴の攻撃も効きづらいだろ

「随分と久しぶりだったぜ、死ぬ覚悟までさせられたのはな」


石蕗・つなぎ
連携歓迎
「本体を封印されてもわざわざ倒されに来るなんて、趣味が悪くて流石に引くのだけど」
先制攻撃は第六感にも助けて貰い見切って回避
避け切れなくてもオーラで防御や赤手で受ける、受け流すなど可能な限りダメージを軽減
「敵が複数は脅威だけどだからこそ成り立つこともあるわ」
可能ならオロチを盾にもしてみましょうか
「トゥルダクはお寺の境内を掘り返してて、カクリヨは健在の筈よ」
質問は予兆の問いへの返答
無事凌げたらUCで強化
「反撃開始ね」
「名付けて、オロチ・シールドよ」
赤手で掴んでLv10900相当の敵を盾にするで裁きの光を防ぎ肉薄し
盾になってるドミネーターでLv10900相当のシールドバッシュを繰り出します



 大地のいたるところから巨大な触手が生えている。無数に蠢くそれらは無秩序に、しかし確実に生命を滅さんと地面目がけて振り下ろされていた。
「うおお死ぬ死ぬ!? マジに世界の危機だな、こいつは!」
 それらを潜り抜け、飛び越え、戦場を駆け続ける暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は、視界に入る異形『生と死を分かつもの』――そしてドクター・オロチを睨みつける。
「あいつ、やっぱりトビアスだったか。安心したぜ、これなら心おきなく殴れるってもんだ」
 今も骸骨巨人でこちらをつけ狙うドクター・オロチ。銀誓館学園出身としては願ってもいない奇貨だ、今までの借りを改めて返してやろうではないか。

 ドクター・オロチの注意は魎夜に、そして閻魔王の注意は石蕗・つなぎ(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35419)に注がれていた。つなぎもまた銀誓館の能力者、思うところは色々とある。
「とりあえずあなたたち、趣味が悪くて流石に引くのだけど」
 倒しても倒せず、拘束したら逃げ出して。母の時代――昔からしぶとかった異形だが、オブリビオンとなってからも大概だ。
 銀河帝国、群竜大陸、アポカリプスヘル、そして今回。ドクター・オロチだけでも都合四度、さらに『生と死を分かつもの』は止めを刺せるかも分からず――いくら何でも生き汚すぎる。
「わざわざ倒されに来るなんてご苦労様ね。蜘蛛糸の……生命の可能性を見せてあげる」

 召喚されたフェンリルの瞳から、閻魔王の鏡から光線が放たれる。右腕を覆う巨大な籠手――赤手で受け止めつつ、つなぎは閻魔王へと語りかけた。
「あなた、閻魔王なんて名乗ってたの。一体何があったのかしらね」
「おお、銀誓館は猟兵となったか……ならば界を渡り、吾人われわれのカクリヨに至ったか……?」
「カクリヨは健在の筈よ。それと訂正するけど、もうあなたの物じゃないわ」
 問答の中身は何でもいい、その目的は時間稼ぎだ。戦いながらも織り上げた蜘蛛糸の羽衣を纏えば、つなぎの身体がふわりと浮かび上がる。
 フェンリルの遠吠えと共につなぎの足元で起きる爆発。だが爆風が彼女を傷つけることはなく、むしろ飛翔を助けることとなる。
 異形よ刮目せよ。これぞ銀の雨が降る時代シルバーレインを越えて生命が至った可能性の一つ。
「反撃開始ね。敵が複数は脅威だけど……だからこそ成り立つこともあるわ」
 そのまま戦場を翔けるつなぎが目指すのは、この場にいるもう一体の異形。今はドクター・オロチと名乗るそれを、背後から赤手で鷲掴みにする。
「ムシュッ!?」
「名付けて、オロチ・シールドよ」

 オロチ・シールドとやらで裁きの光を防ぐつなぎの姿に、魎夜は乗り切ったと胸を撫で下ろした。
「随分と久しぶりだったぜ、死ぬ覚悟までさせられたのはな」
 今は変質したとはいえ、相手は元は『生と死の境界線』。死の世界と同義である背後なら攻撃も薄いと踏んだところまでは良かったが、しつこく追ってくる骸骨巨人、そしてドクター・オロチが難点だった。
 恨みでもあるのかといった――あるのはこちら側だ――具合の猛攻。もしかするとそれは、魎夜の力を本能的に恐れていたからだったのか。『統べる王』としての権能が今こそ発動する。
「こんなに待ち遠しかったのは初めてだぜ。さあ降り注げ、詠唱銀! その神秘の力、存分に暴れさせろ!」
 空より至る銀色の雨シルバーレインが生命ならざる者達を呼び覚ます。宇宙ゴーストと呼ばれるそれらはかつては異形の配下で――今は魎夜の配下だ。
 剣と魔法の軍勢の先頭で、魎夜自身も七支刀を手に号令を下す。
 そうして、135本の重力剣と、1本の魔剣と、ついでに1つの盾ドクター・オロチが、閻魔王の巨体に叩き込まれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灯篭城・燈子
ふうん。閻魔王。閻魔王ね。あとトビアスっぽいやつ。
まあいいや。結局最後は殺すか殺されるかなのよ。つまんないわね。

私は魔女。ユーベルコードなんて使わなくっても魔法は大得意よ。
乗せろケルベロス。そーいやあんた冥界の番犬だったわね。反逆じゃん。
デカい骨ヤローはともかくさあ、女に触手とか向けんじゃないわよ。
魔力封印外して風の大魔法ブースト、魔眼で攻撃の軌道を見て、風の刃で触手を切り裂き、超密度の風を盾にして骸骨巨人の剣をそらすわ。
走りながら認識干渉じんわりかけてって、最後にガツンと識覚魔法。触手と巨人を同士討ちさせる。私と相手の位置を勘違いさせてね。
終わったら即抜け! 仕事おーわり!



「ふうん。閻魔王。閻魔王ね」
 あとトビアスっぽいやつ。そう呟いたのは灯篭城・燈子(魔女・f36229)だ。気だるげに振る舞うその姿を、貫禄がないと取るか凄みがあると取るかは人によるだろう。
 とりあえず、ドクター・オロチは前者のようだ。
「ムシュシュ、いいのかなぁそんなにのんびりして。すぐに死んじゃうよ?」
「それ冗談? 何度も殺されたやつが言ってもつまんないわね。まあいいや、乗せろケルベロス」
 燈子は魔女である。鍛錬も研鑽もなくして摂理を捻じ曲げる、生粋の魔女。魔法の行使など息をするように行える、魔獣を呼び出して自身を運ばせるなど朝飯前だ。
 そういえばケルベロスは冥界の番犬だったか。冥界を閻魔王のカクリヨと同一視していいのか、これは叛逆に当たるのか――ふと燈子はそんな考えが浮かび、すぐに打ち切る。面倒だしどうでもいい。それよりも、だ。
「デカい骨ヤローはともかくさあ、女に触手とか向けんじゃないわよ」
 自身を狙う攻撃が鬱陶しい。骸骨巨人に死の触手、大きなこいつらをあしらうには質よりも量だろう。己の魔力封印を外し、無尽蔵の魔力で風魔法を発現する。
 風の刃で触手を切り裂き、大気の盾で水晶剣の軌道をそらす。魔眼であらかじめ見ていることもあり、失敗することはありえない。
「ムシュ~逃げてばっかじゃん、まともに戦いなよ~」
「やっぱつまんないやつ。もう終わったっつーの」
 燈子が答えた直後、触手がドクター・オロチを叩き潰した。飛び散った体は緑の流体となって元に戻ろうとしているが、何が起きたか分からない限り同じことが繰り返されるだろう。
 種は燈子の識覚魔法。認識を操る神秘の力が閻魔王に、ドクター・オロチを燈子と誤認させたのだ。
 もっとも、それを親切に説明する彼女ではないが。
「こんなもんでしょ。仕事おーわり!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴鹿・小春
やっぱりじゃん!
影の城バラバラコンクリ詰めじゃまだ足りなかったの!?
なら閻魔王と一緒に冥府へもっかいお引取り願わないとね!

…テツオ懐かしいなー。ちょっと現実逃避しつつ触手の嵐を直感と瞬間思考力、見切りを合わせ受け流しつつ切り裂き払ってく。
できるだけ触手の密度低い方へダッシュで移動しつつね。
生命力吸収の呪剣の刃で傷も回復できればいいんだけど。
テツ…骨の巨人はオロチの動き見て攻撃の軌跡予測して回避、怪力で受け流しつつカウンターも狙えるなら狙う。
UC準備できたら発動し強化された呪剣の斬撃波で骨の巨人と閻魔王両方纏めてぶった切って、そのまま斬撃のコンボに繋げ滅多切りにしてやるよ!

※アドリブ絡み等お任せ



 その姿を話に聞いた時から嫌な予感はしていた。
 かつて散々苦渋を舐めさせられた異形、その一体に酷似した姿。そして他の異形をも思わせる能力。
 銀誓館学園に所属していた能力者として、鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)はドクター・オロチの正体に心当たりがあったのだ。
 そして残念なことに、その予感は的中した。
「やっぱりじゃん! 影の城バラバラコンクリ詰めじゃまだ足りなかったの!?」
 無血宰相トビアス。どうすれば倒し切れるか分からないという意味で、この状況はまさにかつての再現だった。とりあえず、小春に今出来ることとしては。
「閻魔王と一緒に、冥府へもっかいお引取り願わないとね!」

「……テツオ懐かしいなー。初めて倒したのは確か……えっ16年前?」
 ちょっとだけ現実逃避しつつ、降り注ぐ触手の攻撃を掻い潜っていく小春。後ろからテツオ、もとい骸骨巨人に追いかけられながらだ。
 さて、異形が生命ではないことなど百も承知だが、オブリビオンとなった今はどうだろうか。妖殺しの呪剣を手に反撃といってみよう。
 呪剣捕食モード、あるいはイーティング・ブレイド。敵を喰らえ、喰らって奪え。
「食い尽くせ、『つうれん』!」
 剣から呪いがあふれ出る。常軌を逸した密度の呪いはあぎとの形となって全てを捕食する。死の触手も骨の巨人もまとめてだ。
 敵から奪った力が小春の活力となる。全力を超えた全力を発揮して、斬り、突き、払う。水晶剣の横薙ぎを飛び上がって回避し、着地すらせずに空中コンボを叩き込む。
 骸骨巨人が崩れ落ちれば次は閻魔王だ。猟兵は神とだって対峙したのだ、閻魔王なぞ何するものか。
 生と死の境界線は既に破られたのだ。この宇宙は今や生命のものだ、それを否定する者にはご退場願おうじゃないか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日野・尚人
【ドヴェルグ】
この街並み・・・
ともあれ俺もリオに協力して魔力障壁<オーラ防御>を強化。
同時にドクター・オロチに貫通力の高い銃弾<貫通攻撃>を<乱れ撃ち>!
あいつの動きを妨害すれば骸骨巨人の攻撃も減らせるからな。

よーし!反撃だ!(UC発動)
時間すらも凍てつく氷の嵐を纏って周囲のあらゆる物質を減速。
動きの鈍くなった触手の中を<ダッシュ>で駆け抜けながらダメ押しの<凍結攻撃>!
でもって<零距離射撃>と<叩き割り>でぶち砕く<急所突き+部位破壊>

うおっ!? って、リ、リオが呼び出したのかよっ!?
厄介なのが増えたのかとビビった;
あーちゃん、ポーラ、俺たちも全力で行くぜ! 援護頼むな!


ポーラリア・ベル
【ドヴェルグ】
【POWで統一】
死にそうな世界にやってきたわ!皆大丈夫?

でかい骨と触手に対応するのね!
【残像】で皆を模した氷像をばらまきながら、【凍結攻撃】【天候操作】で作った吹雪バリアを張って、皆の障壁を強化するよ!
骸骨巨人さんの攻撃をいなしたら【怪力】【略奪】で骸骨巨人をぶんどって、【敵を盾にする】で触手にどぼんさせるわ!

そっちが死なら生命で対抗よ!
先行して【雪だるまアーマー】を纏い突撃!
常に生命を回復しながら触手や骨をどんどん雪に巻き込んで、
【凍結攻撃】【怪力】で触手と骨を凍らせ引きちぎってくわ!

わぁ!ドラゴン!?りおりお(エミリオ)が呼んだんだ凄い!
ドラゴンとなおなおの突破口、開くよー!


アイシャ・ソルラフィス
【ドヴェルグ】
この空間の景色って、見ているとおかしくなりそう
あとムシュムシュうるさいよ。もぅ!
尚くんとエミリオくんの魔力障壁に重なるように、ボクの魔力障壁【全力魔法+浄化+盾受け】を展開
みんなが怪我したらボクが回復魔法【全力魔法+医術+救助活動】で治すからね!

みんな、反撃するならこれを…(UC発動)…はい、これでいいよ! いってらっしゃい!
ボクは後方から尚くんたちの攻撃が当たりやすくなるように精霊魔法【全力魔法+属性攻撃】で【時間稼ぎ】とか【目潰し】とかウザめの支援攻撃をします

エミリオくん! 本のページをおっきなドラゴンに変身させるなら、一言相談して?! びっくりするから!!


エミリオ・カリベ
【ドヴェルグ】
キリング・フィールド、か。
色々気になる事は多いけれど今は……(目の前の敵を見る)

【世界知識+占星術】で星を読み、この瞬間に最も魔力が高まるよう調整した光の魔力障壁【浄化+オーラ防御】を展開。
【限界突破】の【全力魔法】で先制攻撃から三人を【かばう】よ。

生と死を分かつものとドクター・オロチ……
この世界での決戦においてお誂え向きの顔触れと言えるかな?

それじゃ僕も奥の手UCを……少し君の力と似ているかも知れないね?
嘗て群竜大陸を統べし竜達の主ヴァルギリオス、力を貸して。

あ、はは、驚かせてしまったかな?
形代に憑依召喚したヴァルギリオスに前衛を任せ、僕は後衛から魔法支援をするよ。



 空が落ちてくる。そう錯覚するほどの重圧と共に、無数の触手が一斉に振り下ろされる。
 その下にいる四人のうち、エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)は静かに目を閉じた。
 キリング・フィールド、漆黒の闇に包まれたこの空間に星空はない。けれどほら、閉じた瞼の裏には煌めく光がはっきりと思い浮かぶ。
 だから、揃いし星辰はエミリオの願いに応え、四人の頭上に星光の障壁を作り出すのだ。
 一枚。
 ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は冬の妖精だ。四人を模した氷像で敵の目を欺くなど、彼女には容易いことだった。その上でさらなる力を行使する。
 突然の雪と風。戦場に発生した局所的な吹雪はやがて更に範囲を狭め、四人の頭上のみに収まった。
 密度を増した吹雪はエミリオの障壁のすぐ下で、寄り添うように貼り付いて凍結していく。やがて出来上がったのは透き通った氷の障壁だ。
 二枚。
 オーラで備えようとした日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)は、骸骨巨人がこちらへ向かってきていることに気付いた。攪乱が限界になり、ドクター・オロチに見つかったのだ。
 咄嗟にハンドガンの連射で牽制するが、頭上の防御と両立するのは困難だ。成し遂げるには限界を超える必要があり――今がその時。親友のために気力を振り絞る尚人。
 そうして生命力の障壁が出来上がる。
 三枚。
 アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)が手にする、世界樹の名を冠する杖――イルミンスール。
 大地に突き立てられたその杖が、この地に走る龍脈から魔力を勢いよく吸い上げる。
 樹木が果実を結ぶように、吸い上げられた魔力は上空で障壁として結実する。大地の魔力で構築されたそれはまさに世界樹のごとく、仲間達の障壁を下から力強く支えている。
 四枚。
 星氷命樹、全員の力を結集した四重障壁が落ちてくる空を受け止める。その正体である触手群は、轟音と共に障壁へ激突し――他に何も引き起こすことはないのだった。

「よっし、防ぎきったぜ! 俺たちの勝ちだ!」
「気が早いよ尚くん! 勝負はここから!」
「キリング・フィールドはまだ健在だよ。それじゃ……」
「死にそうな世界をドッカーンと壊しちゃお!」
 達成感に喜ぶ尚人と、それをたしなめるアイシャ。詩篇を取り出すエミリオの前で、ポーラリアが元気に拳を振り上げる。さあ、ここからは反撃の時間だ。
 ――その直後。

 突然の地響きと共に、戦場に新しい影が生まれた。触手よりも太く、閻魔王の巨体に勝るとも劣らない『八本』に驚く尚人達。
「うおっ!? なんだ、新手か!?」
「わぁ! ドラゴン!?」
 見覚えのある者は気が付くだろう。それらの正体がオブリビオン・フォーミュラ、帝竜ヴァルギリオスであると。
 まさか閻魔王が新たに召喚したのか――尚人を初めとして顔色を悪くする面々。しかし当のヴァルギリオスはというと、こちらには目もくれずに閻魔王へと襲いかかったではないか!
 そこで面々は――三人はこの状況の仕掛け人を看破した。記録した過去を再現する魔導書、その持ち主といえば一人しかいない。
「エミリオくん! 本のページをおっきなドラゴンに変身させるなら、一言相談して?! びっくりするから!!」
「厄介なのが増えたのかとビビった……」
「りおりおが呼んだんだ? 凄い!」
 帝竜を擬似式として使役するエミリオに詰め寄る二人、それと讃える一人。対するエミリオはあくまでマイペースに、けれど確かな信頼でもって作戦を告げる。
「あ、はは、驚かせてしまったかな? ……閻魔王は彼と僕で押さえ込む。その隙に頼んだよ」

「僕の奥の手……少し君の力と似ているかもしれないね? 付き合ってもらうよ」
 怪獣大決戦をエミリオが繰り広げる中で、少しでも彼を支援しようとアイシャは祈りを込める。祈りに応えるのはもちろん、突き立てたままのイルミンスールだ。
 杖が姿を変える。宝玉の付けられた金属から完全な植物へと。分類としては苗木だが、いずれ至るべき姿が大樹であるなら現時点でも立派な樹だ。
「大樹の苗木、少しの間ボクたちに力を貸して! みんなに更なる力を!」
 秘められた力を解放して、まずはエミリオへ。擬似式が強化されたことで帝竜が全盛期の力を取り戻す。
 次は尚人とポーラリアだ。後衛のエミリオと違い、前衛として打って出るなら障壁の守りから出る必要がある。もちろん回復魔法に自信はあるが、そもそも怪我をしないのが一番に決まっている。
 祈る。仲間の無事を、そして勝利を。与える加護が幼馴染に対してだけ少し多めなのは――まあ、乙女心というやつだ。
「……はい、これでいいよ! 尚くん、ポーラちゃん、いってらっしゃい!」
「サンキュー、あーちゃん! よーし、全力で行くぜ!」
「ファイトー、おー!」

「なおなおの突破口、開くよー!」
 ドクター・オロチが召喚した骸骨巨人は、とある一体のゴーストがモデルになっている。
 他者の骨を取り込んで大きくなるスケルトン。大きくなった身体で更なる犠牲者を出していく、死の雪だるまとでもいうべき存在。冬妖精のポーラリアが相対するのは必然だった。
「雪玉ころころ雪だるまー! どんどん大っきくなって……突撃ー!」
 自身を雪に閉じ込めたポーラリアが転がれば雪玉はどんどん大きくなる。2倍、4倍、やがて骸骨より大きくなった所で止まり、一回り小さな雪玉が上に乗っかれば完成だ。氷で出来たつぶらな瞳、生命の雪だるまが誕生した。
「どーん、どーん!」
 雪だるまの体当たり。骸骨巨人とぶつかる度に触れた箇所で爆発が起こり、雪だるまと巨人の双方が削れていく。けれどもポーラリアが雪だるまを作り直せるのに対し、巨人の素材となる骨はこの場にはない。骸骨巨人はやがて、ただのちっぽけな骸骨になってしまった。
「これでお終い!」
 とどめの一撃、爆散する雪だるまに吹き飛ばされて。骸骨は触手の向こうに埋もれたのだった。
「こっちはオッケーよ、今がチャンス!」

 魔法の嵐で加速した尚人は飛び出した。背中を押してくれたアイシャに、障害を排除してくれたポーラリアに、今まさに道を作ってくれているエミリオに応えるために。
「ヴァルギリオス、もう少し首を下げて……そう、そのまま。行きなよ、尚人」
 親友の使役式、その巨大な首を橋として。一人では届かないような所へも、四人は力を合わせて辿り着く。
「……なるほど、これが猟兵か、これが生命か。『理解した』」
 無我夢中で走り抜けたその先で、尚人は相手と目が合った。かすかに頷くような仕草をしているのはこの戦いで何かを学んだからなのか。
 『生と死を分かつもの』。ドクター・オロチを初め、倒しきったはずの存在を復活させる謎の存在。ここで倒し切れる保証はなく、いつかまた猟兵達の前に現れるのかもしれない。その時はきっと、今よりも厄介な災厄となっているのだろう。
 構うものか。なぜなら――。
「どんな未来だろうと、俺たちがぜってーぶち砕く!」
 『領域』の全てをこの一撃に。手にした大鷲の短剣で狙うのは一本の触手だ。龍脈から力を吸い上げるそれこそは、閻魔王の生命線、『生の境界たる触手』!

 閻魔王の無尽蔵の体力に、明確な終わりが出来た瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

真の姿解放:全盛期の能力者・大人・錫杖装備

名前が変わろうとも関係ない
生と死を分かつ者!異形ども!
どちらも俺たちの敵だ
ドクター・オロチは他の世界まで散々迷惑をかけて
最後にもう一度此処で永遠に戻る機会を潰してやる

相棒と前の報告書は読み込んだ
倒して倒して倒し尽くすだけだ
「貴様らに永遠も時の流れも渡さない!」

全力で全技能を励起駆使して先制攻撃に抵抗
ジャイアントカルシウムの攻撃をかいくぐり
死の触手も弾いて見せよう

たとえ被弾しても此処に陸井と来たからには…不退転だ!
「絶対に!何があっても!引くものかっ」
陸井への攻撃は俺が護り、俺が当たりそうなら陸井が弾く
あの時代から変わらない
俺達の当たり前なのだから

さぁ…先制は此処までのようだな。なら此方の番だ!
血がしぶこうが委細構わず
ドクター・オロチをまっすぐ指し

天より来る百億の光使詠唱

134秒を全力で技能を用い躱し避け陸井を護り
…さあ、来い!光使!
「今度こそ永遠に去ねドクター・オロチ!134回殺してやる!」
「相棒っ!そっちは任せた!」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

真の姿:全盛期の能力者、装備は着流しに「護」の字の羽織

倒し切れるか分からなくても
どれだけの激戦になるか分かっていても
俺達の意思は、あの頃から変わらない
生と死を分かつ者を、異形を、ここで終わらせる

相棒との作戦相談は報告書も確認して万全だ
先制攻撃に対処して、倒し尽くす
「お前達を、此処で終わらせる!」

敵の先制攻撃開始と同時に相棒と背中合わせに
俺の背中は相棒が、相棒の背中は俺が護るように
二人で全周からの攻撃に対処し
ギリギリで見切り、武器で受け、被弾も覚悟の上で
骸骨巨人の攻撃には合図をして相棒と同時にかいくぐる
多少の怪我には怯みも、諦めもしない
「これくらい、なんでもないな!」

触手の攻撃が消えるのが合図
此処からは俺達の番だ
どれだけ傷ついていても
合図と同時にオロチへ向かう相棒と同じように
俺は一直線に生と死を分かつものへ肉薄
「そっちは頼むぞ、相棒!」

オロチは必ず相棒が倒す
だから俺は俺で、【水遁「爆水掌」】を使用し
閻魔王へ最大の一撃を叩き込む
「此処で、消え去れ。閻魔王!」



 玉枝の杖に繋がる銀鎖がじゃらりじゃらりと揺れ動く。『護』一文字の藍染扇がひゅうんひゅうんと空を切る。
 銀誓館学園卒業生。葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)、ここに在り。

 カリスト、トビアス、ルルモード。歴史に埋もれた名前を捨てて、新しい力を得たつもりだったのか。
 けれど見よ、この場に立つ男達を。あの頃と変わらない姿で、銀誓館が再び引導を渡しにやってきたぞ。
「名前が変わろうとも関係ない。どちらも俺たちの敵だ」
「倒し切れるか分からなくても、俺達の意思はあの頃から変わらない」
 激戦は必至。散々暗躍したドクター・オロチも、死を超越した閻魔王も、一筋縄ではいかないことは分かっている。けれどそれがどうしたというのか。共に戦う仲間がいれば、どんな戦場にだって飛び込んでいける。
「生と死を分かつもの! 異形ども! 貴様らに永遠も時の流れも渡さない!」
「そうだ、必ず倒し尽くす! お前達を、此処で終わらせる!」
「ムシュシュ。たった二人で……死にたいのかな? すぐに叶えてあげるよ!」
 死の境界たる触手。威力よりも手数で押し切るつもりか、細長いそれらが後から後から生えてくる。周囲を囲まれた時人達は、背中合わせにそれぞれの武器を構える。
 一斉に襲いかかる敵の魔の手。護るべき相方を背に、一歩も退けない防衛戦が始まった。

 ――戦い始めて何秒経ったか。数える余裕もないほどに、戦場には死の気配が充満していた。
 目の前の触手を捌くので精一杯。それは二人とも同じことで、だから『これ』での立場はただの偶然だ。
「――危ないっ、ぐああ!!」
 陸井を突き飛ばした時人の右腕が、巨大な水晶剣に圧し潰された。
「相棒っ!?」
 ほとんど千切れかけている、疑いようのない重傷だ。ほぼ全ての負傷を癒せる猟兵といえども今すぐには治らない。さすがに時人も意識が飛びかけ――踏みとどまる。
「絶対に! 何があっても! 引くものかっ!」
 不退転の覚悟。護ると決めたのだ、死力を尽くすと決めたのだ。陸井も己の背に負う文字を改めて思い出す。
 護られた、なら今度はこちらが護る番だ。それが十年以上前から変わらない二人の在り方なのだから。追撃の触手を切り払い、二人は再び共に立つ。
「……ああ! これくらい、俺達にはなんでもないな!」
 能力者よ魂を燃やせ、ここが死線のその先ラストスタンドだ。

「ムシュ!? そんな力がどこから!?」
「これが生命の真価……!」
 二人の気迫に異形が怯む。かつての戦いなら相手は間違いなく撤退しているはずだった。銀誓館学園は命を惜しむ、それがかつて異形が学んだことのはずで――結局は生命のことなど何も分かっていなかったのだろう。
 精々学習するといい、それを活かせる機会は二度と来ない!

 異形が動きを止めた、今こそ反撃の好機。
「相棒っ! そっちは任せた!」
 振り返らずに駆け出す時人の動きは重傷を負っているとは思えないほど力強い。けれどその姿を陸井が目にすることはない。彼もまた、脇目も振らずに走っているのだから。
「そっちも頼むぞ、相棒!」
 ドクター・オロチは時人が、閻魔王は陸井が戦う。予め決めていたことだった。
 異形達に仲間意識などない。膨大な報告書を片っ端から引っ張り出して下した結論だ。同時に攻撃してくるのは単に同じ場所にいるからで――それなら一対一で相手をすればいい。
 お互いへの絶対的な信頼なくして成り立たないこの作戦、それこそ絶対に成功させてみせる。そのためなら、わざと触手をくらうことだって厭うものか。
 薙ぎ払う触手に自ら当たり、跳ね飛ばされたその先に。陸井の目の前に、敵の無防備な胴体がそびえている。
「此処で、消え去れ。閻魔王!」
 爆水掌。小柄な相手なら遠くへと吹き飛ばす水遁が炸裂する。この相手は巨大で吹き飛ばせはしないが――その分、純粋な破壊のエネルギーに変換されるのだ。
 ――そして、閻魔王の巨体が沈んでいく。

 崩れる、斃れる。
 『生と死を分かつもの』、異形の守護者が消えていく。生と死の境界線は再び破られ、死は絶対性を失っていく。
 召喚されたオブリビオンは残り続けるようだが、もう二度と復活できないのは明らかだ。即座に逃げ出すドクター・オロチを、時人は左手で静かに指し示した。
「他の世界まで散々迷惑をかけて、俺達が逃がすはずがないだろう。さあ、光使となりて来い! ククルカン!」
 天より来る百億の光使。今の時人に呼び出せるのはその一部だが、それでも無視できない負担がかかる。召喚までに大きなタイムラグが生じるほどに。
 134秒、それがここまでにかかった時間。終わってみれば長かったような短かったような――いや、訂正しよう。
 16年と160日だ。2006年8月10日、忘却期の終わりから今日この日まで。長い、長い戦いだった。
「こ、こんなの何かの間違いだ……もう一度、もう一度チャンスを……!」
「往生際が悪い! 今度こそ永遠に去ね、ドクター・オロチ!」
 純白の翼を広げ、翼人化した白燐蟲達が一斉に魔法を放つ。真っ暗な空さえも照らす眩しい光が収まった後、異形の痕跡は何一つ残っていなかった。

 戦いは終わった。
 時代は移り変わった。
 死と隣り合わせの青春よ、今はただ思い出の中に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月17日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト