第二次聖杯戦争⑯〜ミントが震えて魔狼が来たる
●異能生存体めいたなんか(でも弱い)
「とんでもないのが来ちゃったわね……」
予知で何かを見てしまったと思われるアヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)が一人呟く。
「それじゃ説明を始めるね。今回はフェンリルを統べる者、みんなにはその対処に当たってもらいたい……ん、だけど……」
どこか歯切れの悪い口ぶりのアヤカ。
その様子から察するに、途轍もない強敵か何かなのだろうか?
「……この中で、昔能力者だった人は『震えるミント』って言うゴーストウルフの事を覚えていないかしら?」
震えるミント。
このシルバーレインにおいて大きな戦いを何度となく生き延びた、豪運持ちのゴーストウルフの事だ。
それからなんやかんやあってオブリビオンとなった後も、同胞から妙に慕われており『オブリビオン界のラッキーウルフ』と裏で呼ばれているとかなんとか。
「その震えるミントがハビタント・フォーミュラに利用され、本人の意思とは無関係にフェンリルを統べる者となってしまったの」
本人の意思とは無関係だなんて、なんとひどいことを!
……いや、ひどいのか?
「当の震えるミントは石川県庁前にいるわ。その名の通りぷるぷる震えてチワワとかポメラニアンみたいな感じでポツンと佇んでいるみたいね」
しかし問題はここからだ。
猟兵達が石川県庁に近づいた途端、ミントを慕うフェンリルの『群れ』がミントの意思とは関係なく、勝手に召喚されて彼(?)を守ろうとするのである。
……今更説明するまでもないが、フェンリルとは全長50mクラスのエネルギー体。
奴は一体だけでも難敵だと言うのに、それが群れで現れるのだ。
いや、どうすんだよこれ!?
「一つだけ手があるわ。ミントの頭上には、ハビタント・フォーミュラから移植された膨大な魔力が『無限大マークの渦』となって顕現しているの」
どうにかそれを破壊すれば、フェンリルはパワー供給を断たれ消滅するそうだ。
とは言え、フェンリルの大群とミント自身が呼び出すフェンリルを上手くかわしていかなければ破壊は困難である。
「魔力の渦は破壊されてもまた復活するようだけど、何度も壊し続ければ完全に消滅するみたい。その度にミントはきゃんきゃん鳴きながらどこかへ逃げるけど……」
ミント自身は極めて弱く、(言い方としては変だが)オブリビオンの中ではかなり無害な方なので追撃の必要は一切ないとの事だ。
因みにどれくらい弱いかと言うと、
猟兵に覚醒したての者がワンパン出来るくらいのクソザコナメクジなのだとか。
「説明は以上よ。きっと本人は戦いから離れて静かに暮らしたいだろうから……ミントを出来るだけ早く、フェンリルを統べる者から解放してあげてね」
そう説明を終えると、アヤカは石川県庁へ通ずるゲートを開くのであった。
NS
はいどうも、
NSでございます。
これだけは出さずにはいられなかったんです。
戦争シナリオ三本目です、今回もどうぞよろしくお願いします。
●目的
震えるミントの頭上にある魔力の渦を完全に破壊し、解放する。
OPの通り、魔力の渦は破壊されても何度か復活します。
要するに残機みたいな物と考えていだたければ分かりやすいかと。
プレイングボーナス:フェンリルの群れに対処する。
開始時点でミントの周囲にはフェンリルがいっぱいいます。
ミント自身もユーベルコードでフェンリルを召喚してきます(SPD以外)。
少なくともまともに戦ってどうにか出来る相手ではないので、上手く群れを躱すなどする手段が必要不可欠となります。
上手くミントの間近にまで近付ければ、魔力の渦を破壊する前に可愛がってもいいんじゃないでしょうかね?
●ご注意
プレイング受付は章の導入部を書いてから開始となります。
なお今回のリプレイは内容的に幾らかコミカル寄りになるかと思われます。
その辺りをご理解の上でご参加いただければと思います。
戦争シナリオは戦況にも影響するため、なる早で完結を目標としております。
そのため、リプレイは出来るだけ早めにお返し出来ればと思います。
また、クリアに必要な人数が集まり次第プレイング受付を締め切る方針です。
その際には『プレイング受付〆切』とタグに表記します。
もし参加人数が多い場合、不採用も出る事を予めご了承の上でご参加下さい。
それでは最強の魔狼を従える(?)最弱の狼を責務から解放しましょう。
第1章 ボス戦
『フェンリルを統べる者『震えるミント』』
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POW : なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD : けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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●その頃、石川県庁前では――(特別翻訳付きでお送りします)
「きゅ~ん……」
県庁前にてぽつんと座っているミントは、その名の通りぷるぷると震えていた。
時期的に寒いからか? もちろんそれもあるだろう。
だが、一番の理由は……
「グルルルルゥ……(ボス、寒くないですか?)」
「グオォォォォン(いっそ魔炎光線でその辺りを燃やし、暖でも取るべきか)」
「ゴォォォォ……(うむ、我々を従える主は全力で守らねばな)」
ミントの周囲を固める、勝手に呼び出されたフェンリルの群れ。
ぶっちゃけるとこいつらのせいであった。
想像していただきたい……全長50メートルの巨体に取り囲まれると言う光景を。
あんな怖い連中に周囲を固められるとか、恐怖以外の何者でもないだろう。
「きゃうぅん……」
……ああ、どうしてこんな事になってしまったんだ。
ミントはそう思っているのかもしれない。
いきなりやってきた怪しげなオブリビオンに『かつての大きな戦いを生き延びた豪運の持ち主なら、ここで猟兵を足止め出来るう! フェンリルを統べる者として、時間を稼ぐう!』と言われ、魔力の塊を移植されてしまったせいでこうなってしまったのだ。
ホントにロクな事しねえな、あのウサ公!
そんな感じでミントがどうしようもない状態でぷるぷる震えていると、周囲のフェンリル達が何かに気付き、唸り声を上げる。
「グルルル……?(む、道路の向こう側で何か光ったぞ?)」
「ヴォオオオ……!(何か出てきた……な、あれは猟兵
……!)」
「ガウゥゥゥ(ボス、我々の後ろへ。何があってもお守りしますぞ)」
敵の襲来にフェンリルの群れが臨戦態勢に入る。
……が、当のミントはと言うと。
「くぅーん、くぅーん……」
これから始まるであろう激戦を前に、恐怖でぷるぷる震える事しか出来なかった。
果たしてミントの運命や、いかに!?
栗花落・澪
可愛がってもいいんですか!!!
【オーラ防御】で自己防衛しつつ【空中戦】で防衛、回避
【催眠術】を乗せた子守歌の【歌唱】で寝かしつけ
無理でも動きを鈍らせたい
更に聖痕の力で足元に香りの強い花々を生成
【高速詠唱、多重詠唱】で紡いだ風、光魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】で光らせながら拡散
鼻と目晦まし
上手くいったらフェンリルの間をすり抜けミントさんに直行
脅かしてごめんねぇ
この変なのすぐ取ってあげるからね
その前にちょっと触っていいですか
怖がらせないよう気を付けつつミントさんが安心出来るよう優しくなで…
つつどさくさに紛れて吸います
許してほしいミントさんが可愛すぎるんだ
優しくもふを堪能したら
渦だけを狙って指定UC
●ミント吸い(植物の方ではない)
「可愛がってもいいんですか!!!」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がめっちゃ輝いている。
それもそのはず、彼はこれまでミント撃退の任務に何度となく参加しており……いや、君ホントにどんだけミント好きなのさ!?
「え、ミントさんのどこが可愛いか語ってもいいの?」
文字数的に全然足りなくなりそうな予感なんで、そこはカットでお願いします!
まあでも、小動物めいてぷるぷる震えているミントは確かに可愛いやもしれない。
見た目は狼なんですけどもね!
「さて、早速可愛がりたい訳だけど……やっぱり取り巻きがいるね」
早くミントと戯れたい気持ちを抑えきれない澪の言うように、今にもこちらへ襲い掛かりそうなミントのセキュリティことフェンリルの群れがこちらをガン見していた。
しかも放たれる殺意はマシマシと、奴らを例えるなら厄介を通り越した過激派アイドルファンとでも言うべきか。
「グオオォォォ……!(行くぞ皆の者。憎き猟兵を狩り、ボスに献上するのだ!)」
地面に響く唸り声と共に、早々にフェンリルの群れが動き出す。
「それじゃ行くよー! 待っててね、ミントさん!」
対する澪もフェンリルの群れに臆する事なく、背中の翼で空を舞う。
フェンリルの口から放出される魔炎光線を空中戦の要領で躱し、時にオーラ防御で防ぐなどしつつミントへ接近を試みるが、フェンリルの群れの攻撃はなかなかに熾烈だ。
「こっちのフェンリルには効くかな? ♪~……」
ならばと澪は、催眠術を乗せた子守歌で動きを鈍らせてみようとする。
いや、さすがにこいつらにそれは効かないのでは……
「オオォォォン……(ぬう、急な眠気が……)」
なんたる事か、フェンリルの動きが鈍って……え、効果出てるの!?
……さすがに歌唱技能の数値が220を超えているだけはありますね!
「よし、少しだけ攻撃の手が緩んだ。これでダメ押しっ!」
子守歌で動きの鈍ったフェンリルの群れを見てチャンスと踏んだか、澪は両手を地面に向けると聖痕の力で足元に香りの強い花々を生成。
これに加え高速詠唱と多重詠唱で紡いだ風と、光魔法の属性攻撃、範囲攻撃で光らせながら拡散する事で、目と鼻に二重のダイレクトアタックを仕掛ける。
「ヴオォォンッ!?(は、鼻に何かが詰まって……苦しいッ!?)」
「グルルルゥゥ!?(目、目が、目が!?)」
花弁が風に巻き上げられてフェンリルの鼻(どこにあるの?)に入り込み、更に光魔法の閃光が目を焼いた事で唸り声を上げて群れが一斉に悶える。
こうかは ばつぐんだ!
……あいつらエネルギー体なのに効果ある物なんすかこれ!?(答え:効いた)
「さて今の内に……脅かしてごめんねぇ、この変なのすぐ取ってあげるからね」
「く、くぅーん……?」
一時的に行動不能になった群れの足元を駆け抜け、ついにミントとご対面した澪は相手を怖がらせないよう友好的に振舞う。
「その前にちょっと触っていいですか」
ぷるぷるしているミントの返答を聞くまでもなく、澪は安心出来るよう優しく撫でつつも後ろに回り込んで、背中の辺りに顔を埋めて犬吸いならぬミント吸いを堪能する。
……この時の彼は、それはもう大変幸せそうな顔をしていたそうな。
「もうちょっとこのままでいたいけど、そろそろ頃合いかな」
あまり時間をかけすぎると群れが行動不能から回復してしまう事もあり、澪は素早く『
Orage de fleurs』で渦だけを狙って破壊する。
その途端、周囲で悶絶していたフェンリルの群れは一気に消滅し、ミントは慌ててその場から脱兎のごとく逃げていった。
兎じゃなくて狼なんですけどもね!(二度目)
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・シュテル
あまりにも弱々しきかの存在、オブリビオンでなくば保護も選択肢ではありますが…
まずは、脅威を排除することから、ですね。
然し、フェンリルの群れに真向から立ち向かうが無謀の極み。
此処は隠密裏に接近するが得策でしょう。
既にフェンリルに捕捉されている場合は一旦待避し、その上にて電子の鎖環を起動。
敵の知覚を欺きつつミントへ接近します。
敵にぶつかってしまうと存在発覚の恐れがあるので、周囲のフェンリルの挙動には細心の注意を。
其々の挙動を把握しながら慎重に、且つ迅速に進行して参ります。
ミントを捕捉次第、身に纏う帯電粒子を集束させてビームと成し、渦へと撃ち込み破壊を狙います。
フェンリルに見つかるまで攻撃を続行。
●命がけのかくれんぼ
「あまりにも弱々しきかの存在、オブリビオンでなくば保護も選択肢ではありますが……」
ミントを持ち帰って保護したいとも思ったルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)であったが、さすがにオブリビオンを保護と言う訳にもいかず、思い留まる。
ホント、こいつがオブリビオンでなければどれだけ良かった事やら。
「まずは、脅威を排除することから、ですね」
任務を遂行するためには周囲を固めるフェンリルの群れ、こいつらをどうにかしなければ始まらない。
あれだけ強大な存在に守られているミントは一体何を思うのだろうか?
……間違いなくビビってぷるぷる震える事しか出来なさそうですね、そうですね。
「グルルルル……!(猟兵はあそこだ、一気に畳みかけるぞ!)」
獲物を視認したフェンリルが先手を取るよう一斉に口から魔炎光線を放つと、ルナは素早く飛び退いて躱し、物陰に隠れる。
「……然し、フェンリルの群れに真向から立ち向かうが無謀の極み。此処は隠密裏に接近するが得策でしょう」
当然、あれだけヤバい敵とやり合うのは自殺行為もいいとこだ。
ルナはカバーリングの体勢から『
電子の鎖環』で周囲に帯電粒子を展開、その姿を忽然と消し去ると相手に悟られないよう静かな足取りで回り込むように移動する。
「ゴオォォォ……(おかしい、奴が出てくる様子が無いぞ)」
「ヴオォォォ……(身動きが取れないのかもしれん、接近し踏み潰してしまおう)」
そんな事とは露知らず、隠れた状態で動きが全くない事を訝しんだフェンリルがのっしのっしと前進し、ルナの隠れた場所へ近付く。
……が、そこに彼女の姿はなかった。
「ゴォォォン
……!?(いない!? どうなっているんだ!?)」
「ヴオォォォン!(どこかに隠れたはずだ、探せ!)」
必死の形相(表情が分からないけどそう言う事にしていただきたい)で姿を消したルナを探し回るフェンリルの群れ。
奴らの足元を素早く、接触しないようすり抜けていくフルステルス状態のルナ。
見つかった時点でアウトとなる、命がけのかくれんぼである。
「周囲の状況を再確認……攻撃位置を制定」
ルナは上手くフェンリルの目を盗み、ミントの魔力の渦を安全に攻撃出来そうなポジションを適時計算しつつ移動を続ける。
「ここです」
そうして身に纏う帯電粒子を集束させると、ルナはミントの頭上へビームを放つ。
これによりステルス状態は解除されるが、逃げ道は既に把握済みだ。
「きゃいんっ!?」
バシッと魔力の渦に打撃を受けたミントが思わず鳴き声を上げる。
直接的ダメージこそないが、ビックリして寿命が縮んだ思いをした事だろう。
まあオブリビオンに寿命の概念はないんですが!
……それからも、ルナは隠れては渦を狙撃すると言った攻撃を繰り返し、渦の破壊を試みていた。
彼女から攻撃を受ける度、ミントがビクッと飛び上がって鳴く様はフェンリルを苛立たせる。
見えない場所から攻撃を続けるとは卑怯な、と。
「少しだけ、ミントをいじめているような気分になってきました……」
一方のルナはと言うと、攻撃を行う度に若干の罪悪感を感じつつあった。
直接攻撃をしている訳ではないが、こればかりは相手が相手だから仕方ない。
「ですが、これで終わらせます」
それでも、ここまで渦に集中攻撃を加えた事でそろそろ破壊出来ると踏んだルナが最後の一撃を放つと、ミントの頭上の浮かんでいた魔力の渦は砕け散り、周囲のフェンリルが消滅していく。
「くぅーん、くぅーん……」
そして魔力の渦が破壊された事でミントは『もう攻撃を受けるなんてこりごりだ』とばかりにどこかへ逃げ出していった。
その様子を、どこか複雑そうな顔でルナが見送っていたとかなんとか。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
フェンリルさん達も好意でやっている分、厄介ですよねぇ。
『県庁』の有る市内なら、『マンホール』も有るでしょう。
【燦華】を発動、『祭礼の女神紋』で『祭器』も対象に含め全身を『光』に変換、『隙間に入り込む能力』で『マンホール』から地下に入りますねぇ。
そして『FPS』の概念探知でミントさんの居場所をとフェンリルの配置を把握、近くの穴から抜けて、妨害される前に一気に接近しましょう。
ミントさんを巻込む恐れがある以上、近接すればフェンリル達も手出しし辛いでしょうから、一時解除しミントさんを撫でつつ、頭上の『渦』を破壊しますねぇ。
後はお土産の『ジャーキー』を置いて再使用、帰還しますぅ。
●叩けないもぐら叩き(速度的な意味で)
「フェンリルさん達も好意でやっている分、厄介ですよねぇ」
逃走したミントを追いかけた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、またしても再布陣済みであるフェンリルの群れを見て呟く。
奴ら的には好意と言うか、ある意味ミントに対する崇拝めいた感もあるような気はするが、いずれにしても厄介なのは事実である。
「グオォォォン(ボス、怪我はありませんか)」
「グルルルル(それにしても猟兵共め、思った以上にやるな)」
「ヴアァァァ(しかし我々は何があってもボスをお守りしますぞ)」
こんな感じでミントに対する忠誠を唸り声で口にするフェンリルの群れであったが。
「きゅうぅぅぅん……」
当のミントは相変わらずぷるぷる震えてビビり散らしていた。
奴らの言葉はおそらく理解しているだろうが、自身とは比べ物にならない強大な力を持った存在が怖くて仕方ないようだ。
ぶっちゃけると、何かの間違いでプチッと踏み潰されないか不安な様子である。
何せあいつら全長50mもあるからね!(エネルギー体だけど)
……と、ここでフェンリルの群れがるこるに気付き、一斉にこちらを向いた。
あの様子では、すぐにでも攻撃を仕掛けてくるのは明白だ。
「おっと、来るみたいですねぇ。では、始めますかぁ」
強大な敵が群れを成して今まさに襲い掛からんと言う直前であっても、るこるは慌てる事なく迎撃体勢を取る。
果たして、彼女はどう対処するのであろうか?
「ちょうどあれが使えそうですねぇ。利用させてもらいましょう」
何かを見つけたるこるは早速『
豊乳女神の加護・燦華』で自らの肉体を光に変換、自身のすぐ近くにあったマンホールの隙間にひょいっと入り込んだ。
狭い隙間に入り込む能力の有効活用である。
「グォォォォッ!?(何、こいつ地下に潜っただと!?)」
「ガゥゥゥゥァ!(一時的に隠れただけかもしれん、出てきたところを叩くぞ!)」
フェンリルの群れがそれぞれ警戒し、るこるの入り込んだマンホールの周囲を固める。
出て来たら踏み潰すか魔炎光線で焼き払ってやろうかとも考えているようだ。
「ここですよぉ」
だが、るこるはフェンリルの群れが固めたマンホールから離れた、別のマンホールよりひょこっと姿を現す。
マンホールの下は下水道だが、そこを上手く利用して別の場所から顔を出す事で難敵を攪乱しようと言うのが彼女の手のようだ。
「グォォォン!(あそこだ! 急げ!)」
「こっちですよぉ」
「ガウッ!?(今度は向こうだと!?)」
「ここにもいますよぉ」
……こんな感じでるこるは下水道を光の速さで移動し、別の場所へ何度も顔を出す事でフェンリルの群れを右往左往させていく。
そして攪乱の末に群れの配置が完全にバラけた隙を突き、素早くマンホールから出てくると一時的に燦華を解除しミントにぴったりと密着する。
「はーい捕まえましたよぉ」
「わうんっ!?」
あまりにも一瞬の出来事に、ミントもビクッと震える。
すっかりるこるに翻弄されまくったフェンリルの群れもミントが人質……もとい犬質に取られた事で、迂闊に攻撃出来ずにいるようだ。
「いい毛並みをしてますねぇ。これでオブリビオンでなければ良かったのですけど」
半ばミントの生殺与奪権を握ったるこるがミントを撫でつつ、素早く魔力の渦を破壊するとその場に犬用ジャーキーを置く。
「驚かせてしまったお詫びにこれをどうぞ♪」
スマイルでミントにそう告げると、るこるは再び燦華で全身を光に変換し、素早くその場から去って行く。
「く、くぅーん……」
一体あれはなんだったんだ?
そんな事を思いつつも、ミントはその場に置かれたジャーキーを咥えるとその場から立ち去っていった。
お腹、減ってたんですかね!
大成功
🔵🔵🔵
ローズ・ベルシュタイン
アドリブや連携歓迎
■心情
ゴーストウルフのミントですか、本体は弱そうですけど
フェンリルを多数従えるのは少し厄介ですわね。
何とかして無限大マークの渦を破壊しましょう。
■行動
夕暮れ時に薔薇は踊り咲く(UC)を使用して戦いますわ。
フェンリルの群れの中へ、私のUCが届く位置まで近づいて
【範囲攻撃】でUCを発動させて纏めてフェンリルを攻撃します。
【マヒ攻撃】も加えて攻撃していき、フェンリルの動きを止める様にしますわ。
フェンリルに囲まれない様に注意し、死角からの攻撃は【第六感】で察知し
【盾受け】で防御しますわ。
ミントの無限大マークの渦は『プリンセス・ローズ』による【スナイパー】で
狙い撃ちして破壊しますわ。
●県庁前に花弁は舞う
「ゴーストウルフのミントですか、本体は弱そうですけどフェンリルを多数従えるのは少し厄介ですわね」
物陰からローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)はミントの周囲を固めるフェンリルの群れを見て、油断ならぬ様子で呟く。
能力者達が戦っていた時代では何千人と言う戦力をぶつけ、ようやく討伐出来たあの頃から弱体化してるにせよ、単体での戦闘能力は相当な物だ。
それが群れとして現れたともなると、一人で戦って勝てるような相手ではあるまい。
「おそらくチャンスは一瞬。一発で決めなければアウト……大きな賭けになりますわね」
ローズの策は敵陣に突っ込み、隙を突いてミントの魔力の渦を破壊すると言うもの。
危険度はかなり高いと言わざるを得ない内容だが、やるしかない。
「……大丈夫。落ち着くのよ、ローズ。私になら出来るわ」
ローズは敵陣に踏み込むタイミングを見計らいつつ、自らを落ち着かせる。
僅かなミスも許されない策故、慎重にならざるを得ないのは仕方ない。
……やがて、フェンリルの群れが明後日の方向へ揃って向いたと同時に物陰からローズが出て、走り出した。
奴らが反応するまで、可能な限り近付ければ近付けるほど成功率は高まる。
一秒でも長く、群れがこちらに気付かない事をただ祈るしかない。
「……グオォォォォ!(敵だ、我々に近付いてくるぞ!)」
そして接敵まであと200mと言ったところでフェンリルの群れがローズに気付く。
ミントを守ろうと、奴らはすぐにでも迎撃してくる事だろう。
(まだこちらの攻撃範囲には届かない……早く近付かなければ)
フェンリルの口から放たれる魔炎光線を『風に舞う薔薇の盾』で受け止めつつローズは更に接近を試みる。
だが熾烈な攻撃を前にして、思うように近付く事が出来ずにいた。
「く、さすがに強敵と言われるだけの事はありますわね……!」
過去にフェンリルと戦った事はあるとは言え、それが群れとなって襲い掛かってくるのは正直キツいと言う他なく、やはり楽に勝てるような相手ではないと言う事を改めて認識させられる。
「よし、ここなら届く……さぁ、数多に咲き誇りなさい!」
それでも、こちらの攻撃範囲内に入る事さえ出来れば勝機はある。
多少の無茶は承知の上で、どうにか攻撃範囲内に入れた事でローズは『
夕暮れ時に薔薇は踊り咲く』でフェンリルを纏めて攻撃。
装備武器がオレンジ色の薔薇の花弁となって宙に舞い、フェンリルの群れの視界を塞いだ事で動きが鈍ると、その隙を突いてマヒ攻撃で追撃する事で僅かな間でも動きを止める事に成功する。
「グ、グオォォォォッ……!(しまった、う、動けんッ
……!)」
動きを止められ、悔しそうなフェンリルの唸り声が方々から上がる。
その巨体故、動けないのはたったの数秒程度だろうが、あまりにも致命的な隙だ。
何せその僅かな時間、守るべきボスを危険に晒すのだから。
「わ、わうぅぅん……」
「えっ、ミントが足を止めている? ……これは好都合ですわね」
一方でミントはと言うと、風に乗って舞い上がる花弁に目を奪われているのか、その場から一歩も動けずにいた。
この混乱に乗じてミントは逃げてしまうのではないかとも想定していたローズであったが、嬉しい誤算である。
「……大丈夫、一発で決めてみせますわ」
ローズはここ一番の時のためにと隠し持っていた精霊銃『プリンセス・ローズ』を抜くと、ミントの頭上の渦に向け引き金を引いた。
もはや的同然となった渦に弾丸が直撃するとパリンと砕け散り、それによって我に返ったミントが慌ててその場から退散していった。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・アンバーロン
●WIZ/アドリブとか御任せ
よぉーしっ
さっさっとミントを自由にしてフェンリル達には退場してもらおう!
えっ?!
シルヴィア(星霊スピカ)が勝手にフェンリルの群れに突っ込んで行っちゃった
わぁ…フェンリルと戯れているよ、あの娘
これはこれでチャンスかも?
ないよりマシの闇に紛れるでフェンリル達の死角を慌てず急いで進んで、危なくなったら影縛りで隙を作って進んじゃおう
ミントに逢えたら、これ以上怖がらなくて良いように優しく抱きして撫でる様にモフモフして安心させよう
目線を合わせるのも忘れずにね
その後は頭の渦を魔鍵でぶっ壊すよ
そして、逃げるミントを見送るよ
…あ!?あの仔オブリビオンじゃん!?
●似た物同士?(似ていない)
「よぉーしっ、さっさっとミントを自由にしてフェンリル達には退場してもらおう!」
強敵の群れを前にしても、ソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)は全く怯まない様子で気合いを入れる。
彼女のやる気に影響されてなのか、お供の星霊スピカ『シルヴィア』もふんすと意気込んでいるようだ。
「さて、どうやって攻めた物かな。やっぱり真っ向から行くのは自殺行為だし……」
とは言え、さすがに真っ直ぐ行くのは危険である事は分かっている以上、どうミントに近付くべきかとソフィアは物陰に隠れた状態で考える。
やはりここは囮を放って時間を稼いでいる間に素早く行くべきか?
それとも自身の技能をフルに生かした上で慎重に近付くべきか?
「もしフェンリルに見つかったら激しい攻撃が飛んでくる訳だし、うーん……」
ソフィアが悩んでいると、服の裾に潜り込んでいたシルヴィアが突然ひょいっと出て、フェンリルの群れに突っ込んでいった。
え、ちょっ、何やってるの君!?
「って、え、シルヴィア!?」
突然の事態にソフィアが手を伸ばすも、時既に遅し……シルヴィアはとてててっと足音を立てて犬のように走っていく。
ところで星霊スピカって犬なんですかね?
「あぁぁぁ、なんで急にフェンリル達のところへ行っちゃうのよ……これじゃ連中の餌食になっちゃうのがオチでしょ……!」
それはさておき、星霊スピカをこよなく愛するソフィアは気が気でなかった。
このままフェンリルにペロリといただかれてしまうのではないか、と。
……こうなってしまったら何がなんでもシルヴィアを連れ戻すしかない、ソフィアが覚悟を決めて物陰から出ようとした、その時であった。
「グ、グオォォォ……?(な、なんだこの小動物は……我らの仲間か?)」
「グルル……?(いや、さすがに違うだろう
……?)」
フェンリルの足元をペロペロ舐めて戯れるシルヴィアに、奴らは困惑していた。
よくよく見れば、青いボディの犬のような姿である事からゴーストウルフの一種なのではないかとも思っているようだ。
ところで星霊スピカって(二度目略)
「わぁ……フェンリルと戯れているよ、あの娘」
とりあえずシルヴィアの無事(?)が確認出来てホッとするソフィアであったが、この状況はチャンスではないだろうかとも考える。
予想外の事態になったとは言え、ミントに近付くなら今しかない。
「どうか気付かれませんように……!」
ソフィアはなんとなく習得していた闇に紛れる技能で姿を隠し、慎重にフェンリルの群れの死角を慌てず、かつ急いで進む。
危なくなったら影縫いで何とかしようとも考えていたようだが、シルヴィアが積極的にフェンリルに絡んでいる事もあってか、その必要はなかったのは幸運と言えるだろう。
「や、こんにちは」
「くぅーん……?」
そして、上手くフェンリルを躱してミントに近付く事に成功したソフィアが正面から、目線を合わせて接触を図る。
「今まで大変だったねー? でも、すぐに何とかしてあげるからねー?」
出来るだけ怖がらせないよう優しく抱き、撫でる様にモフモフする。
当初はぷるぷる震えていたミントも、ソフィアに敵意がない事に気付くと少しだけ安心したような様子で『きゅーん……』と鳴く。
(うーん、可愛いなぁ……じゃ、そろそろ)
こっそり隠し持っていた魔鍵を手にすると、素早く渦をベシッと殴り付けて破壊すると周囲のフェンリルがまとめて消滅する。
これによりビクッと驚いたミントが『また騙された! もう嫌だー!』と言いたげな様子で慌てて逃げていった。
「これからは静かに暮らすんだよー」
ソフィアは逃げていくミントの背を見送ると、何かに気付いてハッとする。
「……あ!? あの仔オブリビオンじゃん!?」
え、今更!?
大成功
🔵🔵🔵
希那古・もち
わーーーーー!!(元気いっぱいに走る犬!)
オオカミさーん!ぼくきなこもちー!ミントとあそびたいのー!
ぼくおいかけっこ大好き!いっぱい走るぞーわーーーー!!
(ユーベルコードで【もっとげんきにはしる】!
フェンリルにも負けないくらいいっぱい走って、どんどん速度(移動力)を上げていく!)
わーこうげきしてこないで!でもおいかけっこたのしいな!
このまま走り回ってぎゅいーんってミントに近づくんだー!
ミントも走るの好きかな?ねーいっしょにあそぼー!
(勢いのままミントに飛び付き!あたまのぐるぐるにぶつかっちゃうかも?)
わーごめんなさい!だいじょうぶだった?
(体がふわふわだから、ミントに怪我がないといいけど!)
●毛玉大爆走
「くぅ~ん……」
一体今日は何なんだ、ミントは心からそう思った。
どう言う訳か『猟兵はこちらの頭上だけを執拗に狙ってきて、自身には攻撃を加えない』と言うよく分からない状況に、彼(?)は困惑するばかりだ。
(ダダダダダダダ……)
その時であった。
土煙を上げ、何かが近付いてくる気配を遠くから感じ取ったフェンリルの群れが一斉に警戒態勢に入る。
「グルルルル……!(何かが近付いてくるぞ
……!)」
「ガオォォォン……!(ええい、今度は何が来ると言うのだ
……!)」
「ヴォォォォ……?(いや待て、あれは
……?)」
やってくるのは人ではない何か、それだけは分かる。
……だがあれは一体なんなんだ? そう言いたげな様子だ。
「わーーーーー!!」
楽しそうな声を上げつつ、もこもこした毛玉が全力疾走……否、毛玉ではない。
賢い動物(ポメラニアンめいたなんか)の希那古・もち(
あまり賢くない動物・f24531)だ!
もちはフェンリルの群れの近くでブレーキをかけて停止し、元気一杯に口を開いた。
「オオカミさーん! ぼくきなこもちー! ミントとあそびたいのー!」
えっ、遊びたいの君!?
しかも敵意ゼロで120%フレンドリーな様子である!
敵相手に何やってんの!?
「グ、グルルゥ……?(な、何を言っているのだこいつは
……?)」
「ゴォォォ……?(もしやゴーストウルフの一種なのか?)」
「ヴオォォォ……(いや、そんな訳がないだろう……)」
……あとフェンリルの連中も困惑してるんですがそれは。
「ぼくおいかけっこ大好き! いっぱい走るぞーわーーーー!!」
そんな困惑状態のフェンリルを差し置いて、もちは『
もっとげんきにはしる』で再び走り出した。
いや君、フリーダムすぎるな!?
「グルルル……(冷静に考えたら、こいつも敵なのではないか……)」
「グオォォォン……!(それもそうだ、ボスをお守りせねば!)」
「グガァァッ!(追うぞ!)」
それから少し遅れてフェンリルの群れがもちを追う。
認識が遅くないかとも思われる事だろうが、奴らも困惑したのだから仕方ない。
「こっちだよー!」
もちがビューンと駆け抜け、その後をフェンリルの群れが追いかける。
まるで怪獣映画で逃げ惑う一般人めいた状況だが、もち本人はめっちゃ楽しそうな様子で追いかけっこを満喫しているようだ。
しかも走れば走るほど、もちの機動力が倍増していくため次第に距離が突き放されていくではないか。
「グォォォォッ!(ええい、逃げ足の速い奴め! これでも喰らえ!)」
もちの足の速さに追い付けないと感じたフェンリルが口から魔炎光線を放つ。
もし当たってしまえば毛玉がチリチリになってしまうぞ!
「わーこうげきしてこないで! でもおいかけっこたのしいな!」
飛び交う魔炎光線を次々と躱すもちはめっちゃイキイキとした様子であった。
命が狙われていると言う状況だと言うのに、何とも楽しそうだ。
そして茶色の疾風となったもちは周囲を駆け回ってフェンリルの群れを翻弄しまくり、すっかり忘れ去られそうになったミントの元へ猛ダッシュ!
「ミントも走るの好きかな? ねーいっしょにあそぼー!」
「わぅんっ!?」
ズドドドド……とハイスピードで接近してくるもちを目にしたミントはビクンッと震え上がって恐怖する。
何せ爆走する喋る毛玉が近付いてくるのだ、そりゃあ怖いと感じても仕方ない。
「わーーー!」
そのままスピードの付いた状態でミントに向けてダイブするもち。
弾丸のごとき勢いでもちとミントは衝突するも、ちょうど衝突したポイントが頭上の渦だった事が幸いしてか、ミント本体へのダメージは皆無であった。
……むしろ毛玉ボディのおかげで助かった、とも言うべきやもしれないが。
「わーごめんなさい! だいじょうぶだった?」
ついうっかり(?)ぶつかってしまった事で、もちはミントに謝る。
頭上の渦は先の衝突で破壊されたらしく、フェンリルの群れは既に消滅していた。
渦だけピンポイントでブチ壊すとか、地味に器用な事するなあ!
「きゅーん……」
なんかもう今日は疲れたから帰る。
そんな様子でくるりと180度振り返ると、ミントはその場から立ち去って行った。
ここまで何度となく頭上の渦を破壊された後だ、もう渦が復活する事もなく、彼は力のないオブリビオンに戻る事だろう。
「あれー、帰っちゃうのー? またあそぼーねー!」
そんな事とは露知らず、もちは去っていくミントの背を見送るのであった。
……もしかしてこの子、ただ遊びに来ただけなんですかねえ!?
大成功
🔵🔵🔵