銀河帝国攻略戦⑳~盾を翳し、剣を振るえ
●撃墜せよ、帝国最強のウォーマシン
「よくぞ集まってくれた。んでは、今回のミッションについて、説明するのである」
手をむにむにとこすりつつ、マイン・ラクーンは猟兵たちへと告げた。
銀河帝国攻略戦は、まさに最後のフェーズへと到達した。『白魔』『白城』の艦隊を突破した『解放軍の艦隊』は、遂に、『白騎士ディアブロ』との決戦を開始したのである。
『白騎士ディアブロ』は、その戦力の尽くを失っており、『解放軍』との戦いに水を差すものは、もはや何もなかったのだ。圧倒的な物量で迫る解放軍。
「――だが。解放軍の艦隊が、ディアブロを撃ち破ることは、なかったのである」
解放軍の攻撃は――スペースシップによる砲撃も、戦闘機による爆撃も、ディアブロを捕らえることすらできなかったのである。
一方的に戦力をすり減らすだけの解放軍は、白騎士ディアブロの撃破を諦めた。
それは、理にかなった行動である。今回の戦いの目標は、あくまで銀河皇帝のせん滅。配下の戦力を失ったディアブロは、作戦上、もはや有力敵とは言えず、この敵に戦力をすり減らすのであれば、銀河皇帝への攻撃に注いだ方が、はるかに効率的だからだ。
「だが、我々――猟兵にとっては、そうではない。我々は、この敵を逃してはならぬのである」
『オブリビオン・フォーミュラ』である銀河皇帝を撃破したとしても、『白騎士』と『黒騎士』がこの戦いを逃げ延びれば、この二人が新たなオブリビオン・フォーミュラとなりうる可能性が生じてしまう。
仮にそうでなかったとしても、銀河皇帝撃破後のスペースシップワールドにて、銀河帝国の残党や不平分子等を結集し、新たな、そして強大な敵組織となることも、可能性として考えられるのだ。
銀河皇帝を倒す――これが最重要なのは事実ではあるが、可能であるならば、今回の時点で『白騎士ディアブロ』を撃破しておきたい。
それが、後顧の憂いを絶つことにもなる。
「よって、我々は可能な限りの最大戦力――つまり、君たちを用意した。君たちはディアブロと直接対峙し、奴を撃破するのだ」
さて、白騎士は配下の戦力をすべて失っているため、周囲に他の戦力は存在しません。白騎士単騎を、相手にできるだろう。
――だが。これは、白騎士が『一人の戦士』として、最大の力を発揮できる、という状況である。周囲の味方に配慮することなく振るわれる白騎士の力は、解放軍らが全く、相手にならなかったことを見ればわかる通りに『圧倒的』である。
「故に――仮に、君たち精鋭であったとしても、勝率は五分。あるいは、それにすら達せぬかもしれぬ。こういっては何だが、敗北する可能性も充分にあり得るのだ」
白騎士は、スペースシップワールドに同時に一体しか存在しない。だが、猟兵が勝利して、白騎士を『骸の海』に放逐したとしても、すぐに『骸の海』から蘇り、別の場所から再出撃してくるという。
また、仮に猟兵たちが敗北した場合も、ディアブロは一度骸の海に帰還し、傷を完全に癒してから再びスペースシップワールドに現れる。そのため、いくつもの部隊でディアブロを連続攻撃し、ダメージを蓄積させる……という手法はとれない。
一度の遭遇で、確実に、骸の海へと還す必要があるのだ。
「君たちには、この骸の海より出現したディアブロを、待ち伏せしてもらう。ディアブロは、スペースシップワールドの、破壊された白騎士配下の艦艇のどれかに出現するようだが、この出現する地点は、我々グリモア猟兵が予知しているのだ。そこに転送するので、出現したディアブロを撃退するのだぞ」
さて、ディアブロは、限定的ながら『未来を操作する』力を持つと目される。
そのため、何らかの有効な対策が無い限り、ディアブロは『猟兵たちの全ての攻撃を逃れ』て、『絶対に命中する攻撃』を、『最大の効果を発揮する』ように行動する……対策をとれなければ、ディアブロの勝利は確実、という事だ。
ディアブロの持つ『フォースセイバー』や『レーザーキャノン』といった兵装も、銀河帝国の技術の粋を尽くした一品であり、中途半端の手法では、防御しきれるものではないだろう。
そして、その力が尽きるまで、骸の海から蘇る力を持つ。
「だが、白騎士と言えど、その能力は絶対的ではないはず。君たちの持つ知恵と、ユーベルコードを駆使し、白騎士を完全に『殺しきる』のだ」
マインは、ゆっくりと頷いてから、続けた。
「頼むぞ。ディアブロを倒し――そして、無事に戻ってくるのだ、ともがらよ」
そう言って、マインは猟兵たちを、決戦の場に送り出した――。
洗井落雲
お世話になっております。洗井落雲です。
銀河帝国攻略作戦。目標は、白騎士ディアブロ。
この敵を倒し、生きて帰還するのが、あなた達の任務です。
●成功条件
白騎士ディアブロの撃退。
●このシナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●このシナリオの特殊ルール
白騎士ディアブロは、『必ず先制攻撃を行います』。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
ディアブロを攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』という作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
もちろん、対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があります。
以上となります。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『白騎士ディアブロ』
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POW : 収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
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●白の悪魔
スペースシップワールド――。
その宇宙の中、戦いの地と化して放棄された、白騎士配下の宇宙戦艦に、猟兵たちは降り立った。
ここは、戦闘機などの格納庫だろうか? だが、艦載機などは、脱出にすべて使われたのだろう。あたりには何もなく、ただ広い空間が広がっている。
「――敵か」
ふと、声が響いた。先ほどまでには何もなかった場所に、白の悪魔が佇んでいる。
骸の海より帰還した悪魔は、傷一つないボディを白く輝かせ、猟兵たちの方を見た。
「命が惜しくば、逃げ帰るがいい。いくら抗おうとも、貴様らに待つのは破滅の『未来』のみ」
白騎士は、特に構えることもなく、そう言い放った。
『未来を操作する』と言われる、その力の故か。だが、猟兵たちの力ならば、その絶対的な能力すら突破できるはずだ。
放棄された艦の中で――。
その戦いは静かに、幕を開ける。
コロッサス・ロードス
●初動
ユーベルコードや遠距離攻撃の直撃を防ぐ為に大盾[不退転]を前方に構えて守りを固めつつ、『武器受け』『盾受け』『オーラ防御』等の技能を駆使して剣の間合いまで白騎士に肉薄
●攻撃
『怪力』と『鎧砕き』で防御を崩し、二の太刀で砕けた装甲を穿つ『2回攻撃』が基本
●収束する運命の白光
効果的な戦闘の為ならばダメージ『覚悟』でルールを破る事厭わず
即死さえ避ければ問題ない
瀕死となるまで死力を尽くして戦い続け、必ずや【Colossus of Rhodes】の発動条件を満たす
「我が金剛不壊の守り、貴様ならば必ず打ち砕くと信じていたぞ…!」
軽々しく命を使うつもりはない
しかし命を惜しんでは一矢報いる事すら叶わぬ…!
「命惜しくば逃げ帰れ、か」
静かに――コロッサス・ロードスはそう告げた。手に掲げるは、大盾『不退転』。その名を冠するモノの通り、コロッサスに撤退の意思はなし。
「軽々しく命を使うつもりはない。だが、今この戦場にて、命を惜しむ者など存在しないと知れ!」
咆哮――その動かざる山のごとし身体は、しかし怒涛の勢いめいて、駆けだした。その身を包む真紅の鎧は、相対する者に、まさに真紅の巨山が迫りくるように見えるだろう。
「――愚かな。鋼に身を包めば、私の攻撃に耐えられると思ったか」
白騎士は淡々と、言葉を紡ぐ。瞬間、白騎士の体より放たれたレーザーが、コロッサスへと着弾した。コロッサスほどの技量の持ち主ならば、常識的な存在が相手であれば、レーザーを防ぐことはたやすいだろう。だが、相手は未来を操るとすら言われる白騎士である。正確な未来予測の末に放たれた光線は、たやすく、コロッサスの動いた先を、掲げた盾の隙間を、狙ってのける。
「『その場から動くな』。さすれば傷つくことはない」
それは、課されるルールである。その言葉に従えば、ダメージを受けることはない。傷つくことはない。保証された安全。だが、コロッサスは足を踏み出した。
瞬間! 爆発するかのような衝撃が、真紅の鎧の内を駆け巡った! 鎧の隙間からは激しく光が迸り、コロッサスの肉体を、強かに打ち据える。内部から焼き尽くされるような痛み。常人であれば、一瞬で死に堕ちるほどの激痛!
「私の力を見誤ったか? その程度の実力で、我が身体に傷をつけようなどと――」
「いいや――我が金剛不壊の守り、貴様ならば『必ず打ち砕く』と信じていたぞ……!」
白騎士の言葉に、コロッサスは笑った。
次の瞬間に、言葉を失ったのは白騎士であった。騎士の眼前に立つのは、巨像である。【ロードスの巨像】。それは、主が瀕死に陥った時に召喚される、不壊の巨神!
巨像はその巨大な腕を、白騎士へと叩きつけた。
「……むぅ!」
白騎士はたまらず、その腕を振るい、その腕を受け止めた。白騎士が――未来を操るとされるものが、その身体を差し出し、致命傷を避けたのだ!
白騎士の腕に当たる部分が、ねじ曲がっていた。巨像の一撃が、それほどの一撃が、放たれたのだ。
「私達の呪縛か。わかっていたはずではあったが――」
白騎士が、言った。
「来い、私達を脅かす存在よ。今ここで、お前達の全てを刈り取る。それこそが、私達にとって最大の戦果であり――そして、お前達への最大限の賛辞であり礼となろう」
静かに、白騎士は、その武器を構えた。それは、猟兵たちを対等、あるいはそれ以上の敵であることを、改めて認識したことの証であった。
成功
🔵🔵🔴
花盛・乙女
白騎士ディアブロ…強敵、それ以上だな。
あぁ、面白そうだ。心が躍るとはこの事か。
異世界の騎士よ、この花盛乙女との打ち合い!楽しんでもらおう!
移動先を予知し光線を置く、という技を使うそうだな。
なるほど厄介だ。速度も無意味であり思考も不能だ。
なれば…身を委ねるは遇機となる。
【仕込み手甲【鳳仙花】】での爆風による煙幕を張り、『怪力』の『ジャンプ』力を、水平方向への推進力と成し一直線に白騎士へ向かう。
その際は【黒椿】の刃を正面に据える。
直線に放たれる光線を、【剣刃一閃】にて両断しながら突進をするぞ。
間合いに捕らえれば一太刀。我が剣刃の一閃にて御首級を頂戴いたす。
まぁ光線を斬ることが出来れば、の話だな。
――白騎士ディアブロ。格上、強敵……いや、それ以上の相手!
振り払われるレーザーブレードのきらめき。爆発するレーザーライフルの閃光。
そのすべてが、世界を彩る美しき花の群れに見える。
時に、戦上手の戦いを、舞に例えることがある。
で、あれば、今この場こそは、花盛・乙女とっては極上の舞台。
美しく、息を呑むほどに美しく、相手は踊る。そして舞台へと、手を差し伸べるのだ。
さぁ、ともに踊らん、と。汝にその資格ありや、と。
ああ、たまらない。心が躍るとはまさにこのことだ!
「異世界の騎士よ、この花盛乙女との打ち合い! 楽しんでもらおう!」
「来るか――異世界のモノノフよ」
白騎士が静かに迎え撃つのへ、乙女は己が獲物を、『極悪刀【黒椿】』を携え、走った。同時に『仕込み手甲【鳳仙花】』にて地面を殴りつける。
発生する噴煙と煙幕。一瞬にして乙女の姿が掻き消えるのを、しかし白騎士は悠然と構える。
「視覚情報を潰す……定石ではあるが、私には……通じん!」
白騎士が放つは、未来位置を予測した光線である。今、この瞬間姿が見えぬことなど、何ら対策にはならないのだ。
現に、噴煙より一直線に飛び出した乙女、その眼前へと、白騎士の射撃は迫っている!
だが、乙女は笑った。振るわれる、黒椿の刃が、『光線を/切断する』。
「そうであろう、そうであろう! 速度も無意味、思考も不要! まったく対策など、私には思いつかん! だが――」
――『斬ってしまえば』、無きに等しい。
敵の攻撃は当たる。当たるのだ。必ず当たる。対策はあるかもしれないが、まず当たる。だが、当たるとわかっているのならば、それを観測しやすい状況に、自ら誘導することもできるという事だ。
正確な射撃なれば、時にそれを察知することができるはずだ。そして、敵の光線は『未来位置の予測』であり、『対象がどんな状態であるかを予測はしていない』。倒れているかもしれない。逃げた先、体勢を崩しているかもしれない。そして、刃を構えているかもしれない。刃があるのならば――乙女には充分だ。
『剣刃一閃』は、乙女の持つ近接斬撃武器が命中した対象を切断する。
刃を振るう勢いを乗せて、乙女は跳んだ。大上段に刃を構えなおし、
「御首級、頂戴いたす!」
一気に斬りかかる! だが、白騎士もまた、力は達人以上だ! 未来予測を封じられたとて、その刃に陰りはなし!
空より/地より、黒椿が/レーザーブレードが、振るわれる。交差する、刃! 訪れる、一瞬の静寂――。
「――見事だ」
白騎士が、言った。
「だが一歩――首には遠い」
白騎士の体には、鮮やかな刀傷があった。だが、致命傷にはすこし、届かなかった。
「無念……だが、楽しかった。お相手、感謝いたす」
乙女は呟くと、静かにその場にくずおれた。
成功
🔵🔵🔴
コエル・フーチ
未来操作能力か、ただでさえ強そうだってのに
まったく厄介な能力だよ……(煙草の煙を吐き出し)
んじゃ、ちょっと未来を覆してみるか
先制攻撃のデストロイマシン零式は
【高速詠唱】で『熱線の雨』を装填した
ダブルバレルショットガン型の精霊銃、ホウセンカで撃ち落とす。
一つのトリガーを引き、『熱線の雨』の熱【属性攻撃】を
誘導弾にして、66機にの動画撮影ドローンを撃ち落としていく
ドローンが動くようなら【念動力】で動きを阻害する。
ドローンをすべて撃ち落としたら、もう一つのトリガー(トリガーが2個あります)を引いて白騎士にも『熱線の雨』で攻撃だ【2回攻撃】
【誘導弾】で熱線を集中させ、一点集中でダメージを与える。
フィロメーラ・アステール
「未来を操作するって割には……?」
視覚情報を元にした計算予測が基本って感じだなー!
つまり、計算元にする情報が間違っていたらどうなる?
あらかじめ【迷彩】魔法を【物を隠す】ことで忍ばせておくぜ!
これにより認識を歪めて、シミュレーション内容を根底から覆すぞ!
まあボスだし、きっと素の身体能力も高いだろう。
【第六感】で攻撃を察知し、【残像】を放ちながら【空中戦】でしのぐぞ!
……しのいでいるだけでいいんだ、あたしは!
回避中に振りまいた光の粒子で【生まれいずる光へ】を発動!
みんなを強化するぜ! 【迷彩】の【全力魔法】をオマケしてな!
これで敵の予測を狂わせてサポートすることで【鼓舞】するぞー!
猟兵たちと白騎士の攻防は、続く。今は、一進一退といった状況だろうか。猟兵たちは、敵の未来予測をかいくぐり、着実にダメージを与えていくが、それでも白騎士はいまだ膝をつくことはない。
だが、元より強敵が相手。一進一退の状況にまで食らいつく、猟兵たちの力こそを称えるべきだろう。
「ふん……散れ、マシンども」
白騎士が呟き、召喚された『デストロイマシン零式』が戦場を舞い始める。巨大な眼の如きカメラレンズを輝かせながら、動画撮影ドローンが猟兵たちを見据えた。
「ドローンだな! でも、空を飛ぶのはあたしだけで充分だぜ!」
フィロメーラ・アステールが笑みを浮かべながら飛翔。かく乱するように、ドローンたちの周囲を舞う。
「一応あたしも飛ぶんだが……まぁ、あいつらにブンブン飛び回られるのは鬱陶しい」
コエル・フーチは、煙草を手に、煙を深く吐き出した。そのまま煙草を捨てて踏みつけると、精霊銃、『ホウセンカ』を構える。
「撃つぞ。当たるんじゃないぞ、フィロメーラさん」
ダブルバレルショットガンの形状をした、二つのトリガーを持つ特殊な精霊銃、そのトリガーの一つを、コエルは引いた。途端、放たれる熱属性の魔力散弾が、次々とドローンたちを撃ち落としていく。
だが、白騎士もそれを黙ってみているわけがない。手にしたレーザーキャノンを静かに構えるや、『コエルの動く先』へと向けて、撃ち放つ。ドローンによる未来予測を経ての攻撃――だがそれは、わずかに逸れた。
「――ふむ……なるほど、お前が原因か」
白騎士は呟くや、フィロメーラへと銃口を向ける。
「うえぇ、もうバレた!」
フィロメーラが施したものは、迷彩能力によるカモフラージュ。デストロイマシン零式による未来予測シミュレーションは、撮影された動画……つまり視覚情報を元にしたものである、とフィロメーラは判断したのだ。未来予測には、正確な情報が必要となる。その基礎情報に誤りがあれば、はじき出される結果は必然、歪む。
だが、からくりがバレてしまえば、その情報は瞬く間に修正されてしまう。残像を駆使し、必死に逃げ回るフィロメーラではあったが、敵の攻撃は少しずつ、確実にその姿をとらえ始めていた。
「ちぃっ、もう少し耐えろ!」
コエルが跳びまわりながら、ドローンを撃ち落としていく。こちらも、散発的に放たれる攻撃を回避することに必死で、フィロメーラを援護することは不可能だ。速やかにドローンを全機破壊し、白騎士本体を攻撃することが、今とれる最善手だろう。
白騎士のレーザーキャノンがフィロメーラを捕らえたのと、最後のドローンが破壊されたのは、同時だった。
フィロメーラは最後の力を振り絞り、
「ここからだぜ! 明日に繋ぐ物語のはじまりはじまり、ってなー!」
叫ぶ。同時に、コエルの体に、猟兵たちの体に力が溢れた。敵の攻撃を回避しながら振りまいていた『光の粒子』。これこそが、フィロメーラの本来の狙いだった。自身のユーベルコードを発動させ、仲間の鼓舞とする。
「これがその号砲だ……!」
コエルが『ホウセンカ』の、もう一つのトリガーをひいた。再び放たれる魔力散弾が、白騎士の白い鎧に降り注ぎ、弾痕を描く。
「む……うっ!」
フィロメーラのユーベルコードにより、コエルが強化されていたことはもちろん、今までダメージが蓄積していたこともあるのだろう。コエルの攻撃、その衝撃に、白騎士はよろめいた。だが、レーザーキャノンはコエルを狙い、その照準を外さない。放たれたキャノンの光弾が、コエルを飲み込む。爆発と共にコエルは吹き飛ばされて、意識を失った。
「……見事、と認めよう。幸運の妖精、そして銃士の妖精よ。お前達の光と銃弾は、確かに我が鎧に届いた」
――少しずつ、着実に、白騎士へのダメージは蓄積していく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ユーノ・ディエール
連携アドリブ歓迎
未来を予知する事の恐ろしさはよく知っています
ですが臆する訳には行きません
この戦い
私自身に攻撃の目を向けさせ
徹底して囮となりましょう
先ずは騎乗したクルセイダーごと強襲
敵の攻撃が当たったタイミングで墜落のふりをしつつ
クルセイダーを飛び降りて白兵戦に持ち込みます
私の方に攻撃を集中させ
ナノスキンジェルとレディエスコートの防御
サイキックコアの念動力をフル活用して可能な限り凌ぎ
クリスタライドブースターで増幅した虹輝宿星を放ち
こちらに注意を引かせて私への予測に集中させます
2回攻撃の二つ目
降りた際にハッキングで遠隔操作したクルセイダーを
死角からディアブロに最高速で大破上等、ブチ当ててやります!
ウィリアム・バークリー
また会ったね、『白騎士』。ぼくを覚えているかな? どうでもいい相手を一人ずつ覚えているはずもないか。
先制攻撃に対して、「全力魔法」の「オーラ防御」に、自身から「衝撃波」をまき散らし、「見切り」の上で「念動力」を絡めた「武器受け」。ここまでやれば防げないか?
攻撃は氷の「属性攻撃」となる「全力魔法」を「高速詠唱」でルーンソードに込めたルーンスラッシュ。冷気の「衝撃波」を纏って「鎧無視攻撃」として。
これで、受けに出た腕でも斬り落とせれば!
一撃を受けて戦闘継続が厳しくなれば、生まれながらの光で回復。
その間は、とにかく攻撃を受けないよう間合いを外して。
どうして蘇る? その力があれば後世讃えられたものを。
戦いは、最終局面を迎えようとしていた。
猟兵たちによる懸命な攻撃は、少しずつ、しかし確実に、白騎士の力を削っていった。
だが、同時に、猟兵たちの消耗もまた、大きい。
いずれにせよ、限界。
戦いの決着は、まもなくつこうとしている。
「白騎士――!」
ユーノ・ディエールは叫び、宇宙バイク、『スタークルセイダー』を走らせた。その身体を利用した突撃。
「この期に及んで……!」
白騎士がレーザーを放つ。スタークルセイダーに直撃した瞬間に、ユーノは飛び降りた。墜落を装った離脱。準備万端で駆けだしたユーノに、しかし白騎士は無情にも銃口を向けた。
「デコイを利用した攻撃など、見抜けぬものか!」
「念動収束、超エネルギー開放――七色の渦に呑まれて、落ちなさい!」
ユーノはその力のすべてを一気に開放する。言葉通り、七色に輝くエネルギーの波が白騎士へと襲い掛かる。
ユーノの攻撃は、白騎士に直撃。だが、交差するように撃たれたレーザーキャノンが、ユーノの体を飲み込み、吹き飛ばした。
体のあちこちから、黒煙を上げる白騎士。わずかによろめきながら、しかし白騎士はくるりと踵を返した。
その先にいたのは、白騎士へと駆け、迫るウィリアム・バークリーである。つまり、ユーノそのものがデコイ。続くウィリアムの攻撃を隠すための行動に過ぎないのだ。
だが、白騎士はそれすらをも予測していた。白騎士は静かに、ウィリアムへと銃口を掲げ、
「言ったはずだ。デコイを利用した攻撃など――」
そう言った白騎士を、巨大な影が覆った。
『スタークルセイダー』である。
まだ、わずかに意識を残していたユーノは、遠隔操作を用いて、放棄したスタークルセイダーを起動。
白騎士へと突撃、叩きつけたのだ。
白騎士が、驚きの視線を、ユーノへと向ける。
二人の視線が交差した。
ユーノは、笑った。
白騎士の態勢が、大きく崩れる。
白騎士は慌てて、スタークルセイダーを振りほどいた。
そして、それによって生じた隙は、あまりにも、大きい。
「白騎士。ぼくを覚えていますか?」
ウィリアムが、言った。
白騎士の、右肩が、疼いた。
「今度は……全て、全て凍てつかせて見せます」
言葉とともに放たれた斬撃は、白騎士の体を深く、深く切り裂いた。
凍り付く。
切り裂かれる。
白騎士の身体が。
凍てついて。
分かたれていく。
「ご……ふっ……」
白騎士が、深く、深く、息を吐いた。
「はっ……見事。今だけは、怨みも、憾みも、忘れよう」
白騎士の身体が大きく揺れて、地に、倒れ伏した。
「誇るがいい……お前達にはその権利がある」
白騎士の身体が、少しずつ、消えていった。
海へと還るのだ。
骸の海へと。
「――どうして、どうして蘇る? その力があれば、後世、英雄として讃えられたかもしれないのに」
ウィリアムの言葉に、白騎士は答えない。
やがてその身体が完全に消え去って、後には何も残らなかった。
――猟兵たちが勝利を手に入れた瞬間であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴