●スペースシップワールド
インペリウム護衛軍。
それは文字通り、帝国旗艦『インペリウム』守護の任にある宇宙艦隊だ。
その守りは堅固。きわめて高い防御力は鉄壁というに相応しい。
加えて、銀河皇帝の加護がある。その修復能力により、少々装甲に損傷が生じたとしても、万全のコンディションを取り戻してしまう。
『解放軍』の戦艦による砲撃も、意味をなさない。損傷を与える速度を、修復速度が上回っているからだ。
「ちっ、厄介な敵だ」
『解放軍』を構成する艦の一隻、『サンフィッシュ』。
猟兵達の助力によって合流を果たしたこの艦も、苦戦を味わっていた。
船長、イリスのいらだちを和らげようと、副長が声をかける。
「また、猟兵達の力を借りたいですね」
「そうだな……と言いたいところだが、この世界を救うのは、あくまでこの世界に生きる者……すなわち私達であるべきだ。過剰に頼るのはよくない……」
「あ、また敵艦、また損傷全回復しました」
「ぬわー! 助けに来てくれ猟兵諸君……!」
イリスの素直な言葉が、艦内に木霊した。
●グリモアベース
「銀河帝国攻略戦は、今のところ順調に進んでいると言ってよいでしょう。ですが」
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)が、溜め息をつくように、肩をすくめてみせた。
「帝国旗艦を守護するインペリウム護衛軍に対し、『解放軍』は苦戦している様子。攻撃力不足と、相手の修復能力のためです」
膠着状態が続けば、有利となるのは帝国だ。
この状況を打破する為には、『解放軍』の砲撃によって損傷を与えたインペリウム護衛軍の艦艇に対し、猟兵が転移による強襲作戦が必要だと、ヴェルタールは告げる。
「『解放軍』の砲撃支援を受けつつ、ドカンと外側から敵を撃破する策が、一つ」
もう一つは、『解放軍』の砲撃で破られた外壁から突入し、指揮官を撃破、または敵艦を無力化する事だ。
「交戦する敵指揮官は、蒼き鋼の機械甲冑を操る歴戦の騎士。二つ名は、『蒼き星光』。相対にはそれ相応の実力と覚悟が必要となるでしょう……いや、皆様ならば覚悟など、とっくにできておりますね」
それでは、皆様の無事な帰還をお祈りしております。
そう言ってヴェルタールは、執事めいた仕草で一礼した。
七尾マサムネ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
此度の敵指揮官は、誇り高き蒼き騎士。
ぜひ皆様の力で打ち破ってくださいませ!
第1章 ボス戦
『少佐専用の青の突撃騎士』
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POW : 見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを!
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に!
【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : これ以上はやらせんと言っている!
【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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久留米・圓太郎
誇り高き戦士、と見たぜ。
俺、こう剣で斬り結ぶような真似は、ちょっとだけ憧れるけど、でも俺…
「魔法使いなんだよ!俺にはこれしか出来ない!」
【ウィザード・ミサイル】発動
感応波は怖いが、ここは敵の銃の筒先、照準スコープをメインに叩かさせる。
先ずは武装に一部でもダメージを与えることを、考える。
とりあえず105本は用意できるし、銃を破壊するくらい出来れば、俺の役割は果たせるかな?
(謎解きや薬物の解析など、ここまで戦闘に出てこなかった、腹いせも混じっている)
絶対に俺だけじゃムリだから、ここは俺の後ろに2人くらい続いてくれて、砲撃してくれれば、俺が倒されても本望だぜ。
※仲間との連携やアドリブは大歓迎です
桜・吹雪
誇り高き騎士様には敬意を
けれど、平和の為に押し通らせて頂きますわ
SPDUC
妖刀を解放し桜吹雪を纏い、妖刀にて高速戦闘を仕掛けますわ
お相手が速度で上回るのでしたら【見切り】1点掛け
怪我を負ってでも、ひたすら相手の動きを観察し、隙を狙いますわ
戦闘中に不可視の鋼糸を張り巡らせ、動きの妨害若しくは拘束を試みます
主無き人形の身
腕や脚のひとつや二つ犠牲にしてでも一矢を狙いましょう
わたくしが倒れても、後に続く英雄たる皆様がいらっしゃいます
道を拓くのが、人形であるわたくしの役割ですわ
1秒でも永く張り付き自分と相手の寿命を削り続けます
創られた私と貴方
共に散るまで舞い踊りましょう
月凪・ハルマ
イリスさんの考えは立派ですけど、それで
こっちの艦が墜とされたら元も子もないですしね
此処は無理せず、俺達に任せて
じゃ、いってきます
◆SPD
他猟兵との連携前提で行動
まず敵の視界外で【ガジェットショータイム】
ジャミング装置を召喚して敵機体のレーダーを攪乱する
一時的にでも判断を鈍らせることが出来ればいい
その後は相手の機動力を奪う事に注力
【武器改造】で手裏剣に爆破属性を付与した後、
敵機の背部スラスター、関節、頭部カメラなどの箇所を
【投擲】技能で狙い打つ
敵の攻撃は周囲のデブリ等の障害物を利用したり、
【見切り】【残像】【武器受け】を駆使する事で回避を試みる
最悪、【激痛耐性】で耐える事も視野には入れておくけど
●そそり立つ壁、蒼く
「イリスさんの考えは立派ですけど、それでこっちの艦が墜とされたら元も子もないですし、此処は無理せず、俺達に任せて。じゃ、いってきます」
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は、『サンフィッシュ』に一時の別れを告げ。
他の猟兵達とともに、敵護衛艦を目指した。
すると、目標とする護衛艦に、光が吸い込まれた。
刹那の後、爆破の花が咲く。爆音が聴覚を乱すことがないのは、宇宙空間の恩恵か。
花弁が散った後には、大きな穴。
『サンフィッシュ』ご自慢の主砲が、敵艦を直撃、装甲を突破したのだ。
道を付けてくれた事に感謝しながら、猟兵達は、内部への侵入を試みた。修復が始まる前に、敵艦を墜とす!
……が。
開けられた穴から、蒼の煌めきが飛び出してきた。
流星の如きそれは、機械鎧の突撃騎士。
「ここまで我が軍を追いつめるとは、見事」
ライフルとシールドを携えた蒼き騎士が、宇宙空間へと身を躍らせたのだ。
「誇り高き騎士様には敬意を。けれど、平和の為に押し通らせて頂きますわ」
敵機を視認した桜・吹雪(主を求めて三千世界・f09844)は、挨拶もほどほどに、妖刀を抜き放った。
「猟兵諸君。この戦いの勝者が誰であれ、君達の活躍、我が心に刻むとしよう」
騎士のカメラアイが、強き意志の光を帯びる。
久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は、敵であろうとも敬意を忘れぬ騎士の態度を、誇り高き戦士のそれと見た。同時に、厄介な敵である、とも。
「では……行かせてもらう!」
蒼き星が、来る。漆黒の闇を切り裂いて。
だがわずかに、蒼光の軌道が乱れた。
それを為したのは、ハルマによるジャミング。手にした少々風変りな形のガジェットが、その力の発生源。
「私の知覚系に干渉してきたか。だがそれでは!」
停止がかなったのは、わずかな刻だった。
しかし、それで十分。ハルマの狙い通り。
直後、闇黒を裂き、炎の雨が騎士へと降り注いだ。
圓太郎の魔術だ。
敵がシールドを掲げた隙に、吹雪が斬りかかる。
騎士はライフルを一旦手放すと、腰にマウントされた筒状の発振器を引き抜いた。 瞬時に光が伸び、剣を生成。吹雪と近接戦闘を開始した。
圓太郎も、剣で斬り結ぶような戦闘には、少々憧れがある。けれど、
「あいにく俺は、魔法使いなんだよ! 俺にはこれしか出来ない!」
威勢よく言葉を放った瞬間。
炎の矢の列が、圓太郎の眼前にて、扇形の陣を為した。
「行け!」
ウィザード・ミサイル。再びの魔術矢が、飛びのいた吹雪と入れ替わりに、蒼き騎士へと殺到する。
その火勢は、強い。謎解きや薬物の解析など、ここまで直接的な戦場に出場してこなかった、圓太郎のうっ憤を晴らすよう。
が、再びライフルを手にした騎士の精密射撃により、矢は着弾前に次々と撃ち落されていく。
「覚悟は一人前。身の丈もわきまえている。だが、相手が私なのだ!」
蒼き騎士が圓太郎に、称賛と否定を同時に投げる。しかしそれは、圓太郎と正面から相対している事の証明だ。
「まだまだ!」
騎士に制圧されても、圓太郎は、次々と炎の矢を繰り出す。ストックは十分ある。
だがその時、圓太郎は、敵の気配を察した。笑い、だ。
「君の狙いはわかっている。しかし、少々素直すぎる」
ライフルを無力化するという目的を看破され、圓太郎は、ぐ、と唇を噛んだ。
仲間のわずかな逡巡を埋めるように、ハルマの手裏剣が、騎士を狙う。
敵機の背部スラスターや、駆動の要である関節部。
そして人間同様、知覚デバイスとして大きなウエイトを占める、頭部カメラ……重要箇所ばかりを、狙い打つ。
「自分の要は承知している!」
騎士が、身を翻す。
ハルマの手裏剣が捉えたと思ったのは、その残像に過ぎない。流石に、質量までは備わっていないようだが。
そして今度は、騎士のライフルが、ハルマを狙う。
だが、ハルマも黙って風穴を空けられるつもりはない。敵艦の装甲板の残骸を生かし、それをしのぐ。
蒼き騎士程でないにせよ、猟兵としての機動力を発揮すると、銃口から射線を見切り、残像を身代わりに。
それでもかわせぬと判断すれば、ガジェットを捨て駒にする事もいとわない。
やがて両者の戦場は、敵艦内へと移りゆく。
砲撃で空いた穴は、まだ健在。そこから両者は内部、格納庫へと降り立つ。
「大事な艦ではあるが、ここならば少々手荒な真似をしても、皇帝陛下の加護があるのでね。……むう」
蒼き騎士の声音に、警戒の色が混じる。
艦内の景色が、舞い散る桜の花弁に彩られたからだ。
そしてそれをドレスの如く身にまとう、吹雪。
「見た事のない技だな……ならば!」
『リミッター解除。ハイマニューバモードに移行します。……よき戦いを』
艦内に残る空気に乗って、機械音声が流れた直後。
蒼き騎士の姿が、掻き消えた。超高速の領域に突入したのだ。
それと同時、吹雪もまた高速戦闘に身を投じる。
蒼と桜色、二つの光条が螺旋を織りなす。時にそれはぶつかり、それこそ稲妻を思わせる軌跡を描く。
「なかなか……やる!」
「創られた私と貴方。共に散るまで舞い踊りましょう」
しかし、速度において、蒼き騎士の方が上であることを、吹雪は悟っていた。一挙手一投足を観察するほど、相手の技量を思い知る。
両者とも、命を削る加速という点で条件は同じ。だとすれば、吹雪の方が先に潰えるだろう。
だが、たとえ吹雪が倒れても、後に続く英雄たる猟兵達がいる。
(「道を拓くのが、人形であるわたくしの役割ですわ」)
吹雪の覚悟。それは、主無き人形の身、腕や脚の1つや2つ、犠牲にしてでも一矢報いるというもの。
やがて、高速の戦いは終わりを告げた。
加速を解いた両者……肩を大きく上下させる吹雪に対し、蒼き騎士のたたずまいはまるで疲れを感じさせない。強者のそれだ。
「君の奮戦に敬意を表し、討たせてもらう!」
ライフルを構える騎士。だが、トリガーが引かれることにはなかった。
「そうか、これを狙っていたのか。あの速度の中で!」
吹雪の仕掛けた不可視の糸が、張り巡らされていたのだ。鋼で編まれたそれは、機械鎧さえも束縛する。
そして、ライフルの筒先、照準スコープが破砕された。圓太郎の炎の矢が、遂に届いたのだ。
更にそこへ、ハルマの手裏剣が突き立つ。
騎士の判断は迅速だった。ライフルを放棄し、その場から離れる。
直後。ライフルが爆散した。手裏剣に仕込まれた爆破の力が、起動したのだ。
「フッ、見事だ」
今の騎士の言葉、どこか嬉しそうだったのは、圓太郎の気のせいだろうか? ともあれ、自身の役目は果たせたと、そう言っていいだろう。
その証拠に、武器を1つ失った敵に、吹雪の刃が届く!
成功
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苧環・つづら
――はいはーい、呼ばれて助けに来たわよイリス船長!
限りなき宇宙の風通しは良いに限る、さあもう一戦飛ばすわ!
宇宙バイク併用するから今回はアタシ担当。
雨霰飛び交う空間を空中戦の要領で突っ切って敵艦肉薄、
侵入可能損傷部があれば突入、無ければ氷槍陣召喚でこじ開けるまで。
どちらにしろ青騎士発見時は最優先対応、
マヒ攻撃・鎧無視攻撃絡めて足止め含めた氷槍陣召喚。
向こうの攻撃は見切り・残像・フェイント駆使して回避が理想、
避け切れなかろうとカウンター経由だまし討ちで一矢は報わせてもらうわ。
……は?これ以上はやらせん、ですって?
それはこっちの台詞よ!過去の残骸引っ張らずいい加減骸の海に還りなさい!
目面・真
厄介な相手が居たモノだな。
では、あの艦の回復力を上回る打撃を与えてみてはどうか。
友軍の砲撃に協力する形で、アームドフォートを同時に一斉発射。
弾幕に紛れて敵艦に肉薄しよう。空中戦は得意なのでフェイント、残像、見切り、変装でデブリに扮して接近。
大太刀の斬撃で敵艦コアを破壊してくれる。
コレでも破壊が無理なら、艦内に突入するしかナイな。
件の青い機体が出てくるようなら、電脳ゴーグルでヤツの動作を解析、予測した砲撃で対処。鉢合わせしたところを先制攻撃をお見舞いだ。
紙一重でも避けられないよう範囲攻撃の砲撃。隙あらば鉄扇をその銃身に突っ込んで武装解除だ。
追い打ちに大太刀を抜いて星羅閃閃で斬断してやろう。
向坂・要
ほぉ…こりゃまた大したもんだ
さて、どうしますかねぇ
分体達を展開させ敵の撹乱、味方への援護
内部に潜入、指揮官の撃破を試みますぜ
目立たない様に気をつけ可能な限り内部へ
指揮官との戦闘では展開させた分体と共に攻防一体の闘いを仕掛けますぜ
連携アドリブ歓迎で
極力全体の様子を把握する様に気をつけ
高機動モードに入る前にできりゃ「スリザス」「ユル」辺り毒の棘やなんやら使ってあちらさんの進路をある程度絞り込みたいとこですね
「戦い、ってのは常に二手三手先を読むもんですぜ」
防御時はオーラ防御や生命力吸収も併用
火力不足と判断すりゃ「大地と共にありしもの」使いますかね
切札はこっちにもあるんですぜ
ウィンディ・アストレイ
他猟兵との絡み&連携歓迎
砲撃で破られた外壁から突入、指揮官を撃破を選択
「貴方が指揮官ですか。早々ですが…猟兵が討ち取らせて頂きます!」
なるべくPOW型UCの射程に踏み込まぬ様、回避運動で間合いを計りつつ
(空中戦&ダッシュ&逃げ足&見切り&第六感&盾受け&オーラ防御)
射撃武器で牽制&他猟兵の支援を行います
(先制攻撃orカウンター&スナイパー&一斉発射&援護射撃)
敵が痺れを切らせSPD型UCを使ったら
【Akashic Shaker】で敵機動を封じ込め、味方の勝機を捻出
敵WIZ型UCも可能なら【Akashic Shaker】で相殺を狙います
「敵の動きを阻害するUCが、貴方だけの物だとお思いですか?」
ホーラ・アイアンアーム
【POW使用】【アドリブ、絡み歓迎】
赤い彗星の実力、見せてあげるのだ。
【防具改造】で【空中戦】モードに変形するのだ。
ついでに頭に動きが通常の3倍になりそうな雰囲気の角も付けておくのだ。
【ジャンプ】と【ダッシュ】で相手を翻弄しながら【戦闘知識】と【見切り】でシュピーンって感じに回避するのだ。
【選択UC】で銃火器の【範囲攻撃】と近距離武器での【グラップル】を織り交ぜて戦うのだ。
【選択UC】は攻撃力重視で使うのだ。
見える、ホーラにも敵が見えるのだ!
●堕ちる、星光
猟兵達に敵艦の撃沈を託し。
敵艦群及び戦闘機に対し、交戦を続ける『サンフィッシュ』。
そこに、援護射撃が加わった。目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)のアームドフォートによる一斉射撃だ。
「厄介な相手が居たモノだな」
真は、弾幕、そして敵とも味方のものとも知れぬデブリに紛れ、目標とする敵艦を目指した。
「――はいはーい、呼ばれて助けに来たわよイリス船長! 限りなき宇宙の風通しは良いに限る、さあもう一戦飛ばすわ!」
『サンフィッシュ』と『並走』する宇宙バイク。
それを駆るのは、苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)だ。今回は、迦河稚には休んでいてもらっている。
実弾に光学兵器。更には、敵味方の戦闘機……破壊の力乱れ飛ぶ星の海を、疾駆するつづらや真。
真が目指すは、敵艦のコア。それを断つ。
やがて、標的が近づいてくる。
「あれ、船長の艦がやったの? やるじゃない!」
護衛艦の横腹、大きく空いた風穴を見て、つづらは称賛の言葉を投げた。
そのまま、宇宙バイクを滑り込ませようと試みた時だった。
艦内から、飛び出してきたものがある。
「コアへは行かせんよ!」
蒼き騎士、そして交戦中の猟兵だ。
「赤い彗星の実力、見せてあげるのだ」
再び戦場を宇宙に移し、騎士と空中戦を繰り広げるのは、ホーラ・アイアンアーム(赤い彗星・f13693)。
外装は空中戦仕様にチェンジし、頭部は速度3倍の象徴でもある一本角が飾られている。
その二つ名の通り、ホーラが駆け抜けた後には、赤き残光。
「む」
超感覚、の為せる技か。
騎士が、新たな敵の襲来を察知した。
「貴方が指揮官ですか。討ち取らせて頂きます!」
「ほぉ……こりゃまた大したもんだ。さて、どうしますかねぇ」
加勢してきたのは、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)や向坂・要(黄昏刻・f08973)だ。
フルバーストによる全方位攻撃は脅威。その射程に踏み込まぬよう、一定の間合いをとりつつ、射撃する。
ウィンディを支援するのは、要の展開した分体達。敵を撹乱し、少しでもその機動力を削ぐ。
ウィンディは三次元的な機動にて、敵の射撃に応じた。
騎士程ではないが、第六感や得意の逃げ足を生かし、それをやり過ごしていく。
流れ弾をオーラで弾いた際に生じた飛沫が、その横顔を照らす。
「!」
不意に、騎士が顔を上げた。
そこには、凍てつく槍を大量召喚するつづら。
「こういう攻撃は見たことがあって?」
「非物質の槍か。だが!」
他の猟兵をライフルで迎撃しつつ、槍へとシールドをかざす騎士。一度は失ったライフルは、新たなものに持ち替えている。
「私の盾、ただの板切れとあなどってもらっては困る……何!?」
騎士の声が、驚きを帯びた。
防いだはずの槍が、そのまま貫通してきたのだ。
それに気づいて回避する事は、いかに歴戦の勇士といえど、不可能だった。
しかも、槍に仕込まれた麻痺の力は、機械鎧を駆動させる電子回路にまで干渉し、その動きを鈍らせる。
「くっ……そこか!」
騎士のセンサーが、ホーラを捉えた。
強引に腕を上げ、ライフルのトリガーを引く。
しかしホーラは、突如、軌道変更。この宙域での戦闘の副産物である巨大デブリを踏み台にして。
騎士の執拗にして適格なはずの射撃は、しかし、ホーラをとらえられずにいた。スラスターが、繊細な回避挙動を実現させていたからだ。
猟兵に専念しているようで、この騎士は周囲へも注意を払っている。
隙が無い。
これを突破しなければ、コアへは行けない……そう判断した真は、騎士への攻撃を決意した。
猟兵と交戦する蒼き騎士の挙動を、電脳ゴーグルで解析。
大太刀を引き抜く真。
「この身をば、しろき腕に番えれば、刃の星羅、閃閃とせん」
敵の認識範囲外から、一気に間合いに飛び込んだ真の大太刀が、騎士のシールドを断ち割った。
ここまで再三の攻撃を受け、役目をまっとうした盾が、遂に放棄された。
真を加え、騎士を中心として構築された戦場。
その全体像を把握すべく、意識を集中させる要。
積極的に仕掛ける仲間達とタイミングをはかり。蒼き騎士へ、分体の一団を殺到させ。
「小しゃくな!」
騎士の反撃。
脚部装甲、胸部装甲、背部機動ウイング……各部からミサイル発射口が展開、一斉射が行われた。
すると、バラバラに攻撃していた分体達が寄り集まり、盾状の防御陣を形成。
爆発。光の飛沫が、周囲を明るく照らし出す。
光や煙が消えた後、現れた猟兵達の姿を見て、騎士はほう、と感嘆をもらした。
「攻防一体、というわけか」
「そういう事で」
騎士に対し、要が、不敵な笑みで応じた瞬間。
ウィンディの一斉射が、猟兵達の背後から飛び出した。
回避行動に移った騎士を追い、ウィンディの力が、華麗な曲線を闇黒の中に描き出していく。
「一度の戦闘で、この技を二度も使うのは、久しぶりだ」
再びの高機動モード。
だが、その動きはどこか単調だった。
原因は、騎士自身の消耗以上に、その進路が限定されていたことにある。
要の仕掛けだ。『スリザス』や『ユル』……ルーンの力を借り、敵の進路を誘導していたのである。
「戦い、ってのは常に二手三手先を読むもんですぜ」
「ならば、少々大人しくしてもらう!」
騎士のカメラアイが輝く。雷光の如く。
経験と戦意、そして機械……三重の力が、猟兵達を屈服させんと放射される。
だが。
「複合センサ展開。システム完動確認。Akashic Shaker……行きます!」
ウィンディの両耳複合センサが、アクティブモードに移行した。
「これは……ユーベルコードか」
「敵の動きを阻害するユーベルコードが、貴方だけの物だとお思いですか?」
ウィンディが、騎士に声を飛ばした。
振鳴波が、対象の存在因果率を微揺動する事により、対象の動きを一時的に封じたのだ。
ウィンディ、そして要の視線を受け取ったホーラが、必殺のユーベルコードを発動した。
内蔵兵装が一斉展開。遠距離攻撃により騎士はもちろん、その周囲の空間全てを攻撃範囲に飲み込み、逃げ場を奪い去る。
もてる限りの攻撃力を注ぎ、敵を殲滅する!
だが、ホーラは見た。爆煙に穴を穿ち、一条の光が飛び出して来るのを。
「あの攻撃をしのぎきるとは、流石なのだ」
精密な挙動によるものか、騎士の装甲に追加の損傷はほとんど見られない。
しかし、ホーラに油断はなかった。
猟兵達に合図を送ると、先陣を切って騎士の進路に肉薄。
ソードテイルを鞭のようにしならせ、背面に突き立てる。
態勢を崩した騎士の眼前に、拳をかざしたホーラが迫っていた。
「見える、ホーラにも敵が見えるのだ!」
思わず、そんな言葉が口から放たれる。
直後、ホーラの拳が、騎士の頬をえぐった。
ここまでで分体を削られたこともあり、押し切るには火力不足。そう判断した要は、もう1つの技を披露する事にした。
「切札はこっちにもあるんですぜ」
白き衝撃波の環をくぐりながら、白銀の毛並みの大狼が現れる。
命を削り、繰り出された渾身の爪が、騎士と交錯する。
「猟兵もやるものだな……だがこれ以上は……やらせん!」
「……は? これ以上はやらせん、ですって?」
要に腹部装甲を破られ、内部機構を露出させた騎士に、つづらが言葉を返す。
「それはこっちの台詞よ! 過去の残骸引っ張らず、いい加減骸の海に還りなさい!」
武器も盾も失った騎士の全身を、氷槍が穿っていく。
腕が弾け、足が破砕する。
そして、本体もまた。
「見事、と言わせてもらおうか」
蒼き騎士が、星海に散った。
猟兵達への賛辞を置き土産として。
騎士の最期を看取った真は、進路を最終目的地へと向けた。
艦内、コアルームの隔壁を実力行使で突破すると、中心に存在するコアを確認。
大太刀を振りかぶる。極限まで研ぎ澄まされた斬撃が、戦艦の命を両断した。
艦が、爆散する。
その断末魔の叫びは、しかし、真空に呑まれ、誰の耳にも届くことはなかった。
爆散の直前、脱出していた真の元へ、『サンフィッシュ』からの小型艇がやってくる。
真は敵艦、そして『蒼き星光』を悼むように宇宙を一瞥すると、そちらへと向かった。
同様に脱出を遂げた他の猟兵達、そして『サンフィッシュ』のクルーが、待っている。
大成功
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